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教育交流部門 - 名古屋大学国際教育交流センター

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教育交流部門 - 名古屋大学国際教育交流センター
教育交流部門
留学生センター留学生相談室205号室 ……………………………… 松浦まち子
82
学生支援を通した大学・地域社会への貢献
∼留学生センター相談室(204号室)活動報告∼
……………………………………………………………… 田中 京子・柴垣 史
89
海外留学室……………………………………………… 堀江 未来・柴垣 史
99
異文化交流実践を授業へフィードバック
………………………………………… 松浦まち子・浮葉 正親・田中 京子 104
Ⅰ 基礎セミナー A(前期開講)「多文化社会を生きる」
Ⅱ 教養科目(後期開講)「留学生と日本−異文化を通しての日本理解」
Ⅲ 大学院授業「異文化接触とコミュニケーション」国際言語文化研究科
(資料)平成16(2004)年度
1.地域社会と留学生との交流 …………………………………………………… 108
2.奨学金採択一覧表(平成15年9月∼平成16年8月)………………………… 110
3.留学生の宿舎状況 ……………………………………………………………… 111
名古屋大学留学生センター紀要 第3号
留学生センター留学生相談室205号室
松
はじめに
浦
ま
ち
子
Ⅰ.留学生相談業務と相談内容
2004年度は,私が室長を併任する「名古屋大学留学
【指導教員・進路】
生相談室」(以下「留学生相談室」と記述)が実質的
博士後期課程6年目の留学生が,学位取得に関して
に立ち上がり,どのように運営するかが課題であった。
文部科学省へ直訴の手紙を送ったため,その内容に関
留学生センターの相談室と「留学生相談室」の業務の
して真相究明依頼があり当該部局の留学生担当教員に
棲み分けの必要もあった。内容的には,留学生に関わ
調査を依頼した。また,研究に行き詰って研究に集中
る一般的な相談を受けながらも,主として国際理解教
できないが,期待してくれている指導教員にそのこと
育への留学生派遣や地域の人々との交流,さらに留学
を言えずに苦しんでいる留学生から相談があり,学生
生家族の日本語コース運営を「留学生相談室」の業務
相談総合センターと連携して助言した。留学生は勇気
とし,それらに関する日常業務は非常勤職員に委ねた。
を出して指導教員に窮状を話し,さらに相談室担当者
2005年度中にはメンタルヘルス分野を専門とする助教
からも重ねて留学生の状況を説明し先生の理解と対応
授1名(年俸制,任期付)の着任が想定されており,
で救われた。進路関係では,短期交換留学生から大学
それによって留学生の精神的適応への支援体制も整備
推薦を含む名古屋大学への再留学の相談や日本語・日
できる予定である。時間配分は,留学生センターの相
本文化研修生から10月以降研究生として名古屋大学に
談時間を月・水・金とし,
「留学生相談室」は火・木
残るための手続きの問い合わせなどがあった。また,
としたが,実際には業務増加に伴う会議等で相談室を
国費留学生から協定校への1年間の留学希望があった
不在にすることもあり,相談業務に従事する時間確保
が奨学金支給との関連を説明し時期尚早と断念させ
が困難になっているのが実情である。この年報には「留
た。
学生相談室」で受けた相談も含めて記載する。
また,2004年度7月から独立行政法人日本学生支援
【日本語・勉学】
機構(JASSO)の留学生地域交流事業「児童養護施
学位記の公印証明の手続きについて問い合わせがあ
設の児童と留学生のこころの交流と思い出づくり」の
り,外務省証明班を紹介した。また,博士前期課程2
企画に関わり,JASSO 職員とともに留学生を巻き込
年生の学生から論文執筆中にパソコンを修理に出すこ
んで実施した。これは「子どものこころ」をキーワー
とになったため,パソコンを借りたいと相談があった。
ドとした社会性のある有意義な事業であり,2005年3
留学生のチューターに指名されたが,どのような役割
月,JASSO 名古屋支部から報告書が刊行された。
を期待されているのか尋ねてきた日本人学生がいた。
その他,2004年度の特徴的な改革としては,国際交
チューター制度に関しては,名古屋大学院生協議会(名
流会館付き留学生相談主事として就任した1993年以
院協)から総長交渉でチューター制度の整備要請があ
来,毎年4月と10月に行ってきた国際交流会館での入
り,留学生教育交流委員会およびその WG でチュー
居オリエンテーションを10月から担当職員とチュー
ター制度を検討しているが,2005年度に向けては4月
ターに全面的に委譲した。さらに,同じく4月と10月
の新学期開始とともに,新入留学生にチューターをつ
に行ってきた新入留学生オリエンテーションにおける
けることになった。
生活上の注意事項説明の担当を,2005年度4月から留
学生教育交流委員会委員に委譲したことが挙げられ
る。
【一時帰国・帰国】
帰国に際して荷物の発送の相談があり,郵便局から
送ることを勧めた。また,留学生の帰国途中,中国で
−82−
教育交流部門
乗り継ぎトラブルが起きて名古屋へ送り帰されるとい
2.公営住宅
う事態が生じた。関係者の対応で,翌日には帰国でき
県営住宅に入居している留学生が一時帰国中に,そ
たが,その間,すでに日本を出国して有効なビザを
の部屋から大量のゴキブリが発生したと近所から苦情
持っていないこの学生は空港に留め置かれ不安な一日
があり,管理事務所からの連絡で所属の留学生担当教
を過ごした。かかった経費は,とりあえず留学生後援
員が母国の留学生と連絡を取り,了解を得て留守宅の
会で立替払いした。また,メンタルブレークダウンし
ゴキブリ駆除が行われた。その経費の支払いが留学生
た留学生が一時帰国したが,その学生に関しても急な
に求められたが,駆除は1回と思っていたところ実際
帰国だったため必要経費の一部を留学生後援会で貸付
には3回行なわれ,常識的に考えてもかなりの高額
けた。
だった。留学生は1回分の支払いには同意したが,そ
れ以上は了解していなかったこと,さらに経済力がな
【入国・在留】
いため支払いできないと相談があった。交渉の末,か
インドネシア人留学生から韓国への入国ビザの相談
があり韓国領事館に問い合わせた。また,経済的事情
なり減額してもらい不足分は愛知留学生会後援会の
「緊急援助金」を申請して何とか支払った。
で半年間休学した留学生が,在留期間更新にあたり,
休学中のアルバイト時間数を気にして相談に来た。経
3.社員寮
済的事情による留学生の休学は,日本に滞在している
社員寮の入寮生募集の際には面接を行い適切と思わ
場合には不法就労の危険性もあり,大学の管理責任を
れる留学生を推薦し,廉価で安全・清潔な寮で少し
問われるため,どのように対応すべきか今後の課題で
でも勉学に専念してもらいたいと思うが,中には勉
ある。
学をおろそかにする留学生がおり退寮してもらった。
「NGK インターナショナルハウスは,
『スタディールー
【宿舎】
ムがありよい論文が書ける』と先輩から聞きました」
1.名古屋大学国際交流会館
と言った留学生がいた。
留学生会館家族室に入居したばかりの学生から,赤
ちゃんがいるのに部屋が汚くて不衛生であるとクレー
4.民間アパート等
ムがあった。前入居者がきれいに掃除しなかったた
4月に向けて,プリマベーラ5室,ブルーハイツ重
め,結果的にはボランティアに掃除をお願いすること
の井1室,相生山住宅1室への入居者推薦と契約手続
になった。また,友人等非居住者を宿泊させたいとい
きを行った。いずれも留学生に好意的であり長年にわ
う希望があったが,規則に従って断った。さらに,レ
たってご提供いただいているアパートである。一般の
ジデンス近くの路上で,夜,ひったくりがあり留学生
民間アパートの場合には,退去時に高額の請求に驚い
が被害をうけたため注意喚起を掲示した。
た留学生が相談に来るケースが時々ある。家主や仲介
2005年度に向けて,職員宿舎である猪高町宿舎の一
の不動産会社に話して,大抵の場合は留学生の立場を
部が改修・整備され研究者宿舎として生まれ変わった。
理解してもらい,金額を最小限に抑えていただいてい
空室に留学生を入居させてもらうことにしたため,少
る。中には大学が機関保証しているため原状回復費用
し留学生の宿舎状況がよくなった。また,留学生会館
は保険で支払われるとの誤解からしっかり請求してく
の1階のホワイトベアー退去後のスペースも留学生が
るところもあったが,これも話して減額してもらっ
使用できる場所として改修された。
た。一方,借主の留学生の水道料金が急に増え,疑念
名古屋大学国際交流会館では,緊急に避難場所(シェ
をもった留学生が相談に来たが,水道管を調べても漏
ルター)が必要な事態に陥った留学生に対して,人道
水箇所もないため,結局は本人が使用したとしか考え
的配慮から空室があれば短期間でも入居させている。
られないケースもあった。理想の宿舎
「プリマベーラ」
例えば,一人住まいの女子学生宅への不審者の侵入や
に関しては,昨年度に家賃や電気料金未納等,経済的
ストーカー被害,DV など柔軟に対応している。
トラブルがあったため今年度から機関保証制度を活用
することにし,
入居留学生には「留学生住宅総合補償」
に加入させた。また家主のご理解をいただいて,建替
−83−
名古屋大学留学生センター紀要 第3号
えのため4ヵ月間の宿舎を探していた留学生を入居さ
で一歩も前に進めなくなり帰宅してしまう学生がいた
せてもらった。アパートにパラボラアンテナを設置し
り,さらには DV による心の傷を抱えていたり,他に
たいという留学生がいたが,ケーブルテレビ事情に詳
もメンタルブレークダウンを起こした留学生について
しい家主や仲介業者が留学生に代わって対応してくだ
報告されている。このような精神的問題を抱えた留学
さった。
生への対応は,1対1でなく周囲の関係者の理解と協
力(チームワーク)が大切であるが,それでも当該留
【奨学金・授業料】
学生所属の留学生担当教員の対応への時間や労力,さ
国費留学生の奨学金延長申請に関して,志望研究科
らには精神的支援には並々ならぬものがあり,担当教
不合格による延長不可の決定があり,留学生からの相
員のおかげで状況のさらなる悪化が抑制されたことは
談を受けて出身国大使館に状況を説明した。また,諸
事実である。
「留学生相談室」に異文化適応を含む留
機関の合併や大学の法人化の影響もあって4月の国費
学生のメンタルヘルスを担当する教員を要望している
奨学金の支給が大幅に遅れたため,問い合わせが多
のはまさにこれら実情への緊急対策であり,留学生を
かった。国内採用申請結果を不満に思った留学生が文
受け入れている大学として当然のことと考えている。
部科学省に直訴の手紙を送ったため,名古屋大学の選
考方法を当該留学生に説明した。また,国内採用申請
【生活・適応】
者で採用の可能性が高いことを理由に,当面の必要経
ストーカーのように,ここ1∼2日車で尾行されて
費として愛知留学生会後援会事業「緊急援助金」から
いると怯えた様子で留学生が相談に来た。留学生の話
返済を条件に借金した学生がいた。予想通り国費留学
ではいつも同じ車が後をつけているとのこと。病院や
生に採用されたが,あちこちの借金を清算し最終的に
銀行へ寄ってもいつの間にかまた同じ車が後ろにいる
は半年かかったが完済した。2月から3月にかけて
と気味悪がっていた。留学生は原付きに乗っていて,
は,毎年国内採用の申請結果を聞きに来る留学生が1
バックミラーで尾行する車のナンバーを見ていたた
∼2名いる。彼らは何度も何度も相談室に足を運んで
め,警察に通報し善処を依頼したところ,結果的には
くるが,その様子は必死であり,幸い採用されるケー
車は警察の車だったことが判明した。ひったくり犯人
スが多いので一緒に喜ぶことができるが,万が一不採
に良く似た留学生が疑われていたらしい。警察からは
用だったらどんなにがっかりするだろうかと思う。国
通訳アルバイトを頼まれることもあり,いつもは役に
費留学生から支給期間延長申請書に指導教官の印鑑が
立っているはずの留学生が捜査の容疑者になっている
もらえないと相談があり,当該部局留学生担当教員に
とは想像もしなかった。留学生の恐怖を思うと笑えな
事情を尋ね善処を依頼した。
い笑い話だった。
学位取得・卒業を控えた博士後期課程3年の留学生
アルバイトというか地域交流というか,
2005年の愛・
から授業料が支払えないとの相談があり,調べたとこ
地球博にかかわって,通訳や市民プロジェクト等への
ろ前期の授業料免除許可通知を通年の許可だと勘違い
留学生の参加協力依頼があった。完全にボランティア
して,後期の免除申請をしなかったことがわかった。
というものから,交通費が支給されるもの,報酬が支
日本語能力が原因とも思われるが,いずれにしても本
払われるもの等いろいろだったが,できれば交通費は
人責任で友人から借金することを助言するしかなかっ
実費支給してもらいたい。通訳は留学生にとってよい
た。中には,どうしても授業料が工面できず未納によ
アルバイトであるが,雇用主から留学生の社会人とし
り除籍された学生もいた。
てのマナーについて苦情が持ち込まれ,留学生に状況
説明を求め仲裁したこともあった。
【医療・健康】
留学生は奨学金や医療費補助の受け取りのため,銀
異国での生活は,特に最初の頃はホームシックに罹
行口座を開設するが,その際,外国人留学生に対して
りやすいが,授業についていけないと落ち込んだ学生
も署名(サイン)ではなく印鑑を使用させたがる日本
が悩んだ末,留学を中断して帰国した。2ヵ月間の日
のやり方には疑問を持った。
本滞在だった。同じく精神的健康に関しては,心理的
留学生の交通事故相談で保険会社との折衝などを相
原因で長期間不登校の学生がいたり,大学へ来る途中
談室が行うことが増えてきている。留学生は自転車で
−84−
教育交流部門
被害者の場合が多いが,精神的肉体的ダメージが勉学
を中断させる結果になるため自転車に乗る時は気をつ
けることをオリエンテーションで説明している。
留学生の日本での就職に関しては,11月に JAFSA
月例研究会「留学生の日本での就職:現状と可能性」,
および12月に愛知学生支援コンソーシアム主催「留学
生就職支援ガイダンス」が開催され,留学生の就職が
やっと問題として認識されたように感じた。また,内
定した留学生から日本企業で働くにあたり,ビジネス
マナーの講座はないかと問い合わせがあった。
留学生に独自の貸付を行なっている部局があるが,
家族の日本語コース「日本の文化―おりがみ」
申請後時間がかかりすぎて留学生が困惑・困窮してい
るため当該部局長に連絡し担当職員に注意をしても
実際のところは不明のままであったが,配偶者が母国
らったこともあった。また,地域のボランティアが留
で就労していることが原因らしいと耳にした。また,
学生にお金を貸したが,留学生と連絡が取れなくなっ
夫婦ともに留学生の二人から,母国で生まれた赤ちゃ
たことを心配した貸主が相談室に連絡してきたことも
んを急いでいたので在留資格「短期滞在」で連れて来
あった。これは留学生が一時帰国していたことが判明
てしまったが在留資格「家族滞在」に変更できるかと
して解決した。
いう相談もあった。名古屋栄ライオンズクラブから支
留学生後援会の一事業として貸付金制度があるが,
援をいただいている留学生の家族のための日本語コー
返済期限切れの留学生に連絡して早く返すよう注意し
スは,前期受講生25名,後期受講生47名であり,支援
た。留学生は返済したが,年度末には授業料未納によ
開始の1994年秋から延べ人数にして1,109名の留学生
り除籍となり気の毒だった。元国費留学生が留年など
家族がその恩恵に与った。12月1日のライオンズクラ
で私費留学生になった場合,収入の激減と生活レベル
ブ例会では崔美那さん(韓国)と陳新さん(中国)が
がアンバランスであり,経済的破綻をきたすケースが
日本語でスピーチして日頃の学習成果を披露した。毎
時々見られるため,奨学金を受給している期間にきち
年出席させていただいているこの例会でのスピーチ
んと修了できるよう頑張ってもらいたい。
は,受講生にとって晴れ舞台であり,その準備に対す
る努力を評価したい。また,
「ひろば」というグルー
【家族】
プが,留学生家族の日本語コース受講中のベビーシッ
「家族呼び寄せ」の在留資格認定証明書交付が立て
ターサービスを担当し,授業の前後に受講生と日本語
続けに不許可になり,理由を入国管理局に問い合わせ
でおしゃべりする時間を設けて学習した日本語の活用
たが,「個人的に来てもらえば話します」とのことで
を支援している。授業最終日は,
「日本の文化紹介」
ということで,地域のボランティアの方々の協力を得
て「おりがみ教室」と「着物着付け教室」を開催し好
評だった。
「家族の日本語コース」の受講生(留学生
の配偶者)が入院したが,その際は日本語教師が病院
へ何度も足を運んでくださるなど献身的なお世話をい
ただき大変有難かった。
【地域・交流】
⑴ 地球家族プログラムは,心機一転して,学内教職
員にホストファミリーを呼びかける案内文書を作成
し,年度末に全教職員に配布した。地球家族プログ
ラムでは,ホームステイ,ホームビジットの紹介だ
家族の日本語コース「日本の文化―きもの」
−85−
名古屋大学留学生センター紀要 第3号
けでなく,合気道教室(通年)
,おにぎり講習会(10
せられた。これは2005年3月から9月まで開催され
月),しめなわ講習会(12月)等も行っている。ホー
る「愛・地球博」によるところが大きいだろう。留
ムステイに参加した留学生からはとても楽しかった
学生にとっては自分の生まれ育った国を多くの人に
と感謝の言葉があった。
紹介できる機会であるだけでなく,日本の社会に対
して何らかの貢献をしているという達成感や満足感
⑵ トヨタ自動車(株)主催「トヨタ見学会」を8
を得られる機会になっているようだ。ひとたび派遣
月,11月,3月に実施した。11月の第2回目はトヨ
された留学生は,その後も国際理解教育に積極的に
タ自動車の都合でキャンセルされたため,代替案と
関わろうとして,その後何度か交流活動に出向く傾
して留学生センターの学生(6ヶ月コース,1年
向がある。これは大変喜ばしいことなのだが,その
コース)と NUPACE 生に対して,日程を変え二日
一方で国際理解の授業に慣れていない,あるいは国
間にわたって見学会を実施していただいた。また,
際理解の授業を初めて行う学校の中には授業の内容
医学部から8月の見学会に医学研究科の YLP 生全
について十分な検討がなされていない印象を受けた
員を参加させたいという希望が出たため,7月中旬
ところもあった。依頼者が留学生に何を求めている
に YLP 生のみの見学会を別途実施していただいた。
のかが見えないことも多く,実際留学生から何をす
3月の見学会は,11月に2回実施したこともあり,
ればいいかわからないといった話も多く寄せられ
留学生からの参加が少なかったので,留学生家族の
た。依頼者には留学生の熱意や能力を十分に発揮で
日本語コースから約10名参加することができた。結
きるような授業内容を検討していただくと同時に,
局,名古屋大学の留学生に対して5回実施していた
依頼者のニーズに的確に応えられるような下準備が
だいたことになった。
できるように留学生にも働きかける必要があるだろ
う。
「留学生相談室」は両者のコーディネータとして,
⑶ いけばな教室は,未生流加藤千鶴子先生のご好意
実のある国際理解教育を行えるようにサポートして
により,月1回水曜日の昼休みに留学生センターで
いきたい。
開催していたが,10月が台風で中止になった後,担
当職員が退職し水曜日開催が困難となって中断した
⑹ 独立行政法人日本学生支援機構から留学生地域交
ままである。4月に留学生センターラウンジで開催
流事業の相談があり,事業「児童養護施設の児童と
したときには,NUPACE の学生を中心に14名の留
留学生のこころの交流と思い出づくり」を企画,実
学生の参加があり賑わった。新入留学生を歓迎する
施した。名古屋市内外の2施設への訪問交流に多く
意味でこれら留学生のいけばな作品展を2日間開催
の留学生が応募,参加した。現実社会の厳しさを体
したが,ラウンジが華やかだった。
験し,親と一緒に暮らせない子どもたちにより多く
の笑顔を与え,多様な楽しみを体験させ,さらには
⑷ 名古屋栄ライオンズクラブから留学生図書の継続
日本留学という大きな目標を達成した留学生の「夢」
支援の打診があり中央図書館に照会し,2004年度は
を話してもらうことで異文化体験とともに希望や夢
30万円,翌年から20万円分の図書を寄贈していただ
を持って強く育ってほしいと願うものである。一方,
けることになった。これらの寄贈図書は中央図書館
留学生にとっても,経済先進国の先進的な面を勉強
の「留学生コーナー」に配架された。
するだけでなく現実社会に触れることは人間的成長
につながると期待している。留学生の心の豊かさが
⑸ 小中学校の国際理解教育への留学生派遣について
子どもたちを自然に受け入れ,子どもたちのこころ
は,「留学生相談室」で担当している。ここでは担
を温かく包むこの活動を広げていきたいと考えてい
当者(白石慶子)からの報告を記載する。後述の〈教
る。
育交流部門資料―地域社会と留学生の交流〉も参考
にしてもらいたい。
⑺ 愛知留学生会後援会では,留学生支援として「緊
◇ 地域の小中学校や地域団体から国際理解教育を目
急援助金」事業を行っている。これは,留学生に理
的とした留学生の派遣依頼が月1∼3件の割合で寄
解のある地域の篤志団体からの寄付によって運営さ
−86−
教育交流部門
れているもので,『緊急』に経済的困難に陥った私
費留学生に対して援助金を支給している。一人当た
りの支給金額はそれほど多くないが,実質的に経済
的困難を軽減することはもちろんであるが,むしろ
留学生からのお礼状によれば「助けてくれる人がい
る」
「自分は一人じゃない」と感じて,もう一度頑張っ
てみようという前向きの気持ちを引き出すなど精神
的支援の役割を果たしている。この事業は愛知県内
の大学を対象に行われているが,2004年度は15大学
35名に対して総額231万円が支給された。うち名古
愛知留学生会「第40回留学生の夕べ」
屋大学の留学生は17名であった。
関係者の代表として受け取った。
⑻ 愛知県観光協会が留学生に対し愛知の観光ツアー
を毎年実施しているが,2004年度は中部国際空港の
⑶ インドネシア留学生会の2004年度の会長は,工学
開港を待って3月はじめに実施された。
研究科のエフェンディさんだった。2004年12月26日
のスマトラ沖大地震と巨大津波の被害者支援のた
【人間関係】
め,インドネシア留学生会は街頭募金を行い,さら
卒業した元留学生から留学期間中における指導教官
に2005年2月28日に「被災者支援を考える会」を開
の言動に起因する教育責任に関して賠償請求があっ
催した。
た。関係者間で話し合ってきたが,指導教官が定年退
官し未解決のままである。能力,人格ともに優秀な学
⑷ 愛知留学生会(AFSA)の2004年度の会長は,名
生だっただけに過去に固執していることが残念にも思
古屋大学工学部のニルマル・メータさん(タンザニ
える。
ア)で,副会長は名城大学のアスタさん(ネパール)
だった。愛知留学生会後援会,ACE などとの合同
【NUFSA・留学生会】
会議を年数回行い,5月のリトルワールドでの新入
⑴ 名古屋大学留学生会(NUFSA)の2004年度の会
留学生歓迎会,11月の富士山へのバス旅行,12月の
長は,教育発達科学研究科の武小燕さん(中国)だっ
「留学生の夕べ」
,2月の AFSA 役員歓送迎会が定
た。彼女は NUFSA 役員とともに4月と10月のバ
番化してきたが,いずれも役員たちは忙しい勉強の
ザー,6月の名大祭,9月の新潟大学留学生会との
合間をぬってよく頑張ってくれた。特に「留学生の
交流会等を行なった。名大祭では,
「Performance
夕べ」は日本人と留学生の約500名が交流を楽しん
for peace」をテーマとして民族衣装でのお国紹介
だ。
に加え,ドイツ平和村への寄付金を集めて留学生が
発信する世界平和への願いとして新聞にも報道され
た(2004/05/28中日新聞)。
おわりに
2004年度は「留学生の就職」がクローズアップされ
⑵ 名古屋地域中国人留学生学友会の2004年度の会長
た年だったとも言える。日本の少子化,あるいはグロー
は,工学研究科の馬翔さんだった。10月1日には,
バル化で日本語が理解でき,日本人や日本社会を多少
中華人民共和国建国55周年を祝って「日中友好感謝
なりとも理解している留学生が優良な人材として注目
と記念の集い」が名古屋市公会堂で開催され,中国
され始めた。特に愛知県では,この地域で学んだ留学
人留学生を支援してきた55名の市民に感謝状が贈ら
生を東海地域の産業発展のために定着させたいという
れた。名古屋大学で長年留学生相談業務を担当して
希望もあり,12月,初めて愛知学生支援コンソーシア
きた筆者(松浦)もその栄誉に与り,歴代会長から
ム主催の「留学生就職支援ガイダンス」が開催された。
手渡される感謝状を中国人留学生に関わるすべての
2005年度には愛知県が国際交流大都市圏構想絡みで留
−87−
名古屋大学留学生センター紀要 第3号
学生向けの企業説明会的事業を企画・予定している。
らに,外国人従業員がいるということは,当然彼らの
一方で,留学生も日本の企業で働くための就職活動の
子どもたちの教育に関する問題も起きてくる。日本の
ノウハウやビシネスマナーを含む社会人としての心得
学校教育における教育体制の柔軟性,日本人と同様に
を習得したいと考えるようになっている。日本社会で
あるいはそれ以上の教育を受けることができる体制が
外国人雇用が進めば職場や地域での異文化衝突は避け
求められている。いろいろな面で開かれた日本が期待
られないと思うが,それは別の視点から見れば日本人
されている。
の国際化のために大いに奨励したいことでもある。さ
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教育交流部門
学生支援を通した大学・地域社会への貢献
∼留学生センター相談室(204号室)活動報告∼
田 中 京 子 ・ 柴 垣 史
取り合っている,知り合いがいる,という状態になっ
はじめに
た。
2004年度から,国立大学が法人化し国立大学法人と
なった。これまでの活動評価や今後の活動計画のため
⑵ 到着後オリエンテーション(留学生センター所属
の方法や様式について大学全体で模索が続き,それに
学生対象)
取り組むために多くの知恵と時間を要する一年であっ
新入生には,
彼らの名古屋到着時に,留学生センター
た。
からの歓迎メッセージとその後の予定を記したパンフ
オリエンテーション,ワークショップや日々の相談
レットを,宿舎で待つ ACE(Action group for Cross-
活動を通した学生支援を着実に行うとともに,これま
cultural Exchange)から手渡した。到着翌日(平日)
での知識や経験を更に学内の国際化に生かすために学
には,地域ボランティアの協力で区役所で外国人登録
内委員会等での活動に力を入れ,また,地域社会にも
と国民健康保険加入を行い,この手続きの際使用した
貢献すべく,他機関との連携協力を強化することに重
新入学生の氏名のカタカナ表記を,ボランティアメン
点をおいた。相談室204号室は引き続き田中と柴垣が
バーがファックスで留学生センターに送付するという
担当し,継続が力となるよう,惰性に陥らないよう,
方法を続けた。これにより,その後大学で使用するカ
新たな発想を心がけながら教育活動を行った。
タカナ表記が,健康保険等に使用する表記と統一でき
るようになった。
後日留学生センターでオリエンテーションを行っ
1.オリエンテーション:情報提供,信頼関係
た。留学生センターオリエンテーションは,事務室に
構築,交流促進
よる書類記入,日本語教育メディア・システム開発部
2002年度の調査結果(柴垣・田中,2003年度『留学
門によるコンピュータ室使用説明,相談室による生活
生センター紀要』,p18−27)をもとに,渡日前から
関係の説明,日本語コースについての説明を,部門間
修了後に至るまでの継続型,交流型,日本語・英語併
で連携して行った。
用型オリエンテーションを充実させた。
⑶ ワークショップ型オリエンテーション(全学学生
⑴ 渡日前オリエンテーション(留学生センター所属
学生対象)
対象)
これまでのワークショップ型オリエンテーションを
新入予定の学生が,渡日前から留学生センターのス
再編すべく,前期は準備期間とし,引越しについての
タッフや学生たちと交流して信頼関係を築いていける
説明会のみ行った。
よう,事務室との協力で渡日前情報を作成,郵送した。
後期には新たな試みとして,次のような点を変更し
同内容を電子メールでも発信し,その後新入予定者,
てワークショップを行なった。
学生,スタッフ,等が互いに連絡を取り合った。情報
・授業と重ならない時間設定を望むというアンケート
の中には,在学留学生でその期の情報提供者として登
結果を取り入れ,これまでと異なる時間を設定し
録した学生のリスト及び彼らからの渡日にあたっての
た。新学期にはセンター長によるワークショップ,
アドバイスを含めた。多くの新入学生にとって,渡日
その後,災害対策室との連携で地震に関するワーク
時には名古屋大学のスタッフや学生の中に既に連絡を
ショップ,そして引越し準備の時期に相談主事によ
−89−
名古屋大学留学生センター紀要 第3号
る引っ越しオリエンテーションをとり入れ,それ以
ないで当日の都合によって参加を決める学生が多いた
外は,通常授業がない時期に時間を設定した。留学
め,事前の参加人数把握ができないという特徴があり,
生センター内で日本語の春季集中講座が開催されて
準備する側にとっては難点となった。今後改善しなが
いる時期の,日本語講座の後の時間に行なうことに
ら,日本語の春季・夏季集中コースの時期に行なう方
より,全学の学生たちが出席しやすいように配慮し
式を継続する可能性を検討したい。
た。
・講師の交通費や材料費,通訳への謝礼の一部が支出
できるよう,わずかではあるが予算を得た。
・連続ワークショップの時期を「日本週間」と名づけ,
5回シリーズの配布資料を一冊のパンフレットにま
とめて使用した。
・希望する者には受講証明書を発行した。
これまでと同様,ボランティア講師や通訳の協力を
得て,日本文化,日本社会について考える機会とし
(資料1/2)。日本人学生や外国人研究者,留学生の
家族,といった様々な身分の人が参加することによっ
ワークショップ「日本の習慣とマナー」
て,交流のきっかけともなるオリエンテーションをめ
ざした。また,言語習得度の異なる人々が参加できる
よう,すべてのオリエンテーションを日本語・英語併
用で行った。
ほとんどのワークショップでは,講師,通訳,進行
役の三者がチェックリストをもとに事前に学外で打ち
合わせを行い,内容についての共通理解を持ったうえ
で当日のセッションに臨んだ。
時間帯の変更により,出席者の顔ぶれはこれまでと
異なっていた。これまでは留学生センター所属の学生
の出席が多かったのに対し,今回は他部局の学生や家
族の参加を得ることができた。この場合事前登録をし
ワークショップ「華道」
ワークショップ概要
開催日
トピック
講師
通訳
7/13
引越し
松浦まち子(留学生センター)
11/2
日本の技術文化
末松良一(留学生センター)
11/16
地震が来る?
災害対策室/田中・柴垣(留学生 ワンゲ アナンド ムクンド(日本語・
センター)
日本文化研修生)
1/18
引越し
松浦まち子(留学生センター)
2/14
日本の伝統衣装 着物
加藤かつ子(駒きもの学苑)
2/15
書道
2/16
日本の習慣とマナー
2/17
日本人のコミュニケー
堀江未来(留学生センター)
ションスタイル
2/18
華道
参加者数
20名
ヌーワー エイ(国際開発研究科)
19名
40名
25名
ラジュディープ セート(国際言文)
14名
藤井尚美(藤井書道教室)
ストラヒル イバノフ バストゥホフ
(理学部)
20名
勝山峯子(全日本作法会)
ディーピカ カウシク(日本語・日本
文化研修生)
18名
13名
ディーピカ カウシク(日本語・日本
文化研修生)
大澤万香(八代流)
19名
(計188名)
−90−
教育交流部門
⑷ ホームページ・電子メールによるオリエンテー
⑴ 相談時間
ション(留学生センター所属学生)
これまでと同様,週に7コマから8コマ(1コマは
ほとんど全ての学生が電子メールアドレスを持ち,
90分)の相談時間を設定し,その時間内は最低限相談
宿舎や留学生センターで頻繁にメール交信を行ってい
に応じることができるようにした。その他の時間も可
る状況から,相談室からの情報提供等を電子メールも
能な時には開室して相談に応じた。
(資料3)
使用して行ってきた。事務・生活情報を適宜発信し,
修了後にも手続き関係の情報,今後の協力願い,など
⑵ 相談件数
を発信し電子メールの利便性を活用した。電子メール
相談室のホームページを見てメールで留学相談や生
による情報提供においては,そのコピーを留学生セン
活相談を発信する人が増え,電子メールによる相談件
ター内の各自のメールボックスにも配付するようにし
数が増えている。昨年度急激に増えたインターネット
た。留学生センター全体のホームページ整備の中で,
接続に関する相談は今年度は安定し,情報が整理され
相談室のホームページ充実についても検討している。
てきたことがうかがえる。
⑶ 相談内容
2.学生個別教育:相談
◆指導教官
相談室での相談活動を,個別教育と位置づけ,名古
組織変革の時期,大学教員は通常にも増して多忙で
屋大学の留学生に限らず,在学生や他大学へ進学した
あった。相談内容からは,十分な時間を使って学生と
学生,地域構成員などの相談に対応した。結果として,
向き合うことができない現状がうかがえる。学生側に
多面的に名古屋大学および地域の国際化進展に貢献す
は,共通言語の問題がある場合にはポイントをまとめ
ることをめざした。
て書いて見せながら話すこと,メールで簡単に内容を
伝えてから面談すること,
などをアドバイスしてきた。
相談件数
相談者
相談内容
日本語研修生
日本語・日本
文化研修生
短期留学生
他学部留学生 他大学留学生
その他
合 計
指導教官
15
0
0
13
10
25
63
勉学
48
13
10
63
0
92
226
帰国・一時帰国
0
0
0
10
0
0
10
入国・在留
0
9
0
41
0
0
50
事務手続き
10
4
0
28
5
0
47
医療・健康
12
20
0
18
2
2
54
家族
21
0
0
36
18
16
91
宿舎
29
0
0
113
59
52
253
適応
5
0
0
26
0
21
52
経済
52
0
0
49
0
10
111
地域交流
0
14
17
16
10
220
277
仕事・アルバイト
0
0
0
0
0
10
10
旅行・クラブ・趣味
0
0
16
15
12
10
53
電話
0
0
0
0
0
0
0
インターネット
0
0
5
9
0
1
15
その他
14
0
0
22
5
9
50
合計
206
60
47
459
121
468
1361
E-mail
556
来訪 /TEL
805
1361
−91−
名古屋大学留学生センター紀要 第3号
また時には,感情的になりがちな口調や文の調子を,
センター長及び国際課長の迅速な対応により,学生は
事実を端的に伝え改善を提案するという建設的な内容
無事に帰国できたが,母国に着くまで出入国に際して
にすることをアドバイスすることもあった。交渉方法
の注意を促す必要があることを再認識させられた。
の文化差や個人差についてあまり意識していない学生
旅行中に盗難にあった学生があり,パスポート等す
や,逆に過剰に敏感になって一歩を踏み出せないで悩
べて盗まれた。入国管理局と連絡しながら再入国の支
む学生があり,コミュニケーションの問題は,どこか
援をした。
で一歩を踏み出すか,譲歩をするか,変化しなければ
◆事務手続き
解決しない問題である。しかしそれは同時に,教員側
市・県民税や国民年金について役所から書類を受け
に必要なことでもある。
取ってその処理について相談に来る学生は多い。税金
◆勉学・研究
についても国民年金についても,住民としての自覚を
留学生相談室がインターネット上にホームページを
持つよう指導しているが,書類の内容についての説明
開設していることから,入学に関する電子メールでの
や記入の援助などには知識や時間が必要である。関係
問い合わせが多くあった。また田中が数年前ペルー
機関と連携しながら進めていきたい。
の元日本留学生の同窓会誌に執筆した記事がインター
◆医療・健康
ネット上に公開されているため,これを見て問い合わ
幸い SARS の再流行はなく,関係者は入国・出国
せをするスペイン語圏の留学希望者も多く,電子メー
を予定通り計画・実施することができた。癌などの深
ルによる相談件数が増加している。電子メールによる
刻な病気と闘う学生は決して少なくない。関係の方た
問い合わせの対応に,相談員は時間管理と判断力を求
ちの協力を受けながら,相談室としても可能な限り支
められている。
援を続けている。また,精神的に危険な状況になった
入学後数ヶ月で退学した学生が数名いた。入学して
学生もいたが,幸い献身的な友人たちや関係機関の協
みて始めて,留学が自分の希望する道ではないことが
力で危機を脱出することができた。
わかり,進路を変えることにしたというケースである。
留学ビザの残り期間が1年未満の学生が家族を呼び
厳しい選考を通り,様々な事務手続きを踏んで得た奨
寄せたところ,予定滞在期間が1年に満たないことか
学金を辞退する場合には,それなりの責任ある行動を
ら家族が国民健康保険に加入できないという相談が
するよう指導した。
あった。今後注意が必要である。
学内外において異文化理解等の分野で勉強をする学生
学内外で不審者の出没や路上強盗などの犯罪事件が
から外国人留学生へのアンケート調査の協力依頼に関
何件かあり,関係機関により早急に対策がとられた。
する相談が数件あり,留学生センターで掲示するなど
◆家族
の協力をした。
家族の呼び寄せについて,経済的に扶養される必要
◆入国・在留
がある人以外には家族滞在の在留資格認定証明書が発
入国・在留については,
出入国管理体制の強化に伴っ
行されない例が多く,母国で職業を持つ配偶者が,休
て,引き続き厳しい状況となった。つまり,これま
職して日本で留学生と共に家族滞在するという可能性
では在留資格認定証明書が発行されることが多かった
が少なくなっている。このため,同居を望む配偶者は
ケースや短期滞在の延長が認められることが多かった
短期滞在の資格で日本に滞在することになるが,滞在
ケースについて,審査の厳格化によってこれが認めら
期間の問題はもとより,健康保険に加入できないため
れない例が多く見られた。配偶者と子供の呼び寄せが
通院や入院の際の経済的負担が大きくなる問題があ
認められずに予定変更を余儀なくされた例が多くあっ
る。このため母国でしっかりした保険に加入してくる
た。相談室としては,友人や先輩など過去の事例を参
こと,確固たる経済基盤を条件に渡日すること,など
考にして入国・家族呼び寄せを計画しがちな留学生に,
が必要となる。しかし実際問題としてこれらは留学生
制度や審査基準は常に変更するものであることを伝え
の力を超えることもあり,日本留学の質そのものにも
るようにしている。
影響を与えることになる。
学生が帰国の際,乗継ぎ手続きのトラブルにみまわ
また,子どもと同居を始めたが,時間的経済的に自
れ,日本へ強制的に戻されたケースがあった。留学生
分の能力範囲を超え,その結果苦労をし,周りへ無理
−92−
教育交流部門
な要求をしてしまう学生があった。最近は配偶者を呼
い明細書を見ると,資格外活動許可の規定時間を越え
ばずに子どもだけ呼んで同居する場合が見られ,この
てアルバイトをしていたことが判明した,ということ
場合の時間管理の重要性を予め認識している必要があ
があった。学生たちには,規定時間以上の仕事をする
る。
ことは違法であり,違法行為の中ではたとえ相手側に
一方,学内に保育園が設置されることが決定した。
問題がある事件が起こっても解決が困難になることを
認可保育園と異なり保育料への補助はあまり望めない
認識させるようにしている。これは他の件についても
であろうが,外国籍の家族の特性も考慮したものにな
同様であり,法律を遵守することの大切さを伝えてい
るよう,これまで相談に応じてきた経験をふまえた意
る。
見を今後も伝えていきたい。
◆電話・インターネット
◆宿舎
インターネットに関する相談は,サービス会社に関す
家主との誤解や考え方の違いについての相談,修繕
る情報提供を求めるもの,サービス解約に関わる相談
範囲についての相談等があった。民間宿舎については,
が数件あったが,サービス会社における手続きの簡素
家主に何か疑問や問題があればいつでも学生本人に,
化から,昨年度の相談件数からみれば激減した。
難しい場合は相談室にも相談できるような信頼関係を
◆旅行・クラブ・趣味
築くことを第一とし,文化差からの誤解があるような
クラブ紹介,旅行代理店などの情報を求められた。
場合には仲介者として双方の理解を促すよう努めた。
名大のクラブ・サークルについては年度初めに集めた
おおよそのことは学生たちと家主たちとの話し合いで
チラシ等の情報をファイルし,閲覧してもらい,クラ
解決している。
ブ・サークルへの連絡・参加は自己の責任において行っ
◆適応
てもらうようにした。しかし,実際に連絡先へコンタ
学生の人間関係に関して深刻な事例が数件あり,関
クトしても返事がない,言葉の問題からうまく意思が
係機関と調整のうえ,解決へ向けて多くの時間と知恵
伝えられないこともあり,最初のきっかけをつかむ補
を使った。
助もときには必要となった。
◆経済
◆その他
授業料免除が受けられない,奨学金が得られないな
家族へ,家族からの送金方法について,郵便の送り
どの状況で,経済的に苦境にたつ学生からの相談は依
方について,クレジットカード申し込みについての質
然として多い。授業料は学生本人が支払うものである
問などがあった。財政貯蓄運用に関心の高い学生もお
という基本にたち,経済的に自立するためのアドバイ
り,外貨預金等についての情報を求められたことも
スをしたり,場合によっては休学帰国や中途退学の可
あった。
能性を検討することもある。一方で,優秀な学生たち
日本のみならず世界各地で頻発する大地震により,
に大学独自の奨学金を創設することが,引き続き求め
災害時の対策について関心を寄せる学生も増え,彼ら
られている。
の不安を取り除くためにも名大災害対策室との協力に
◆地域交流
よりワークショップで正しい情報提供に努めた。国内
地域からは,留学生の行事参加協力について相談が
での大地震への関心が高まる中,スマトラ沖地震津波
あり,また留学生からは地域行事について相談がある。
により,学生の家族,知人,友人に甚大な被害が及び
今年度は全学の「留学生相談室」が中心となってこの
精神的・物質的に打撃を受けた学生が多くいた。大家
点を強化してコーディネートするようになった。諸機
族のうち30名が亡くなった,友人が40名亡くなった,
関や学生たちとの連絡は手間や配慮が欠かせない仕事
など想像を絶する状況があり,母国救済のための活動
であるため,コーディネートする機関ができたことは
を行う学生もいた。相談室でも活動へのアドバイスや
たいへん心強いことである。近隣地域や町内会との交
広報など可能なことを行なった。
流,連携は今後更に進めていく必要があると考えてい
る。
3.学部・大学院教育:授業
◆仕事・アルバイト
アルバイト先からの支払いについての相談時に支払
基礎セミナー(学部一年生)向けの「多文化社会を
−93−
名古屋大学留学生センター紀要 第3号
生きる」を前期に開講し,松浦教授が代表者となって
講師との打ち合わせ,資料作成,当日の進行などを行
教員チーム(三宅,
浮葉,田中)で担当し,
柴垣が技術・
なった。
(参加者26名)
資料面でサポート,国際言語文化研究科の大学院生が
TA として活躍した。入学後すぐの時期に12名という
小人数で多文化社会について考え発表する機会を持つ
5.学生パートナーシッププログラム
のはたいへん意義深いことであると考え,国際交流ア
⑴ 運営,実施状況
ドバイジングの仕事で得た知見をできる限り学生たち
次年度に引き続き,今年度6月末まで専門の知識と
に還元し共に学ぶことをめざして授業に臨んだ。(詳
経験のある海外留学室のボランティアスタッフ羽柴千
しくは p.104参照)後期も例年の教養科目「留学生と
都子氏に運営のご助力を頂き,7月から教育交流部門
日本」を継続し,浮葉助教授を代表として松浦・堀江,
でそのノウハウと運営を引き継いだ。今年度の日本人
田中の教員チームで学部2年生および日本語・日本研
学生,留学生登録者数,及びマッチング数は下表の通
修留学生の合同授業を担当した。クラスの半数ほどが
りである。
外国籍の学生,あと半数ほどが日本人学生であり異文
化交流の機会となった。今期は日本人学生たちの気付
ホスト(日本人学生)登録者数
男性
きと積極性が大きく向上したと思われる。(詳しくは
文学部
p.105を参照)。
女性
1(3)
文学研究科
また田中は,国際言語文化研究科での「異文化接触
合計
10(7)
11(10)
1
教育学部
1
1
1
とコミュニケーション」の授業を通年で担当した。日
法学部
本語教育や国際交流の分野で研究者・実践者となる大
経済学部
学院生たちに,国際交流アドバイザーとして培ってき
経済学研究科
1(1)
1(1)
た経験を共有できるよう努めた。15名の受講者の出身
情報文化学部
3(2)
3(2)
情報科学研究科
1(1)
理学部
1(1)
多元数理学研究科
2(1)
国籍は様々で,全員日本語に堪能であったが,第3の
言語として英語を共通語として使用し,理解をはかる
(1)
2(1)
2(2)
(1)
5(4)
5(5)
1(1)
1(1)
2(2)
2(1)
という実践的な授業を行った。英語を母語とする学生,
医学部
第一外国語とする学生,第二外国語とする学生,等,
医学部保健学科
様々な言語能力が混在・葛藤する中での討論や活動は
工学部
7(3)
工学研究科
1(2)
(1)
1(3)
18(16)
22(16)
40(32)
男性
女性
合計
非常に興味深いものであった。
合 計
4.地域連携:学外講演,文化交流
1
1
1(2)
2
1(2)
9(3)
留学生登録者数
大学と地域の連携,大学の地域貢献の重要性は益々
増大している。学外で生涯学習センターを中心として
田中が進めてきた市民向けの講座を,今年度は一部留
NUPACE
6
6ヶ月コース
1
1年コース
1
4
5
3
3
1*
2
学生センターとの「連携講座」として行ない,企画の
教育学部
段階から関わりながら職務のひとつとして行なった。
法学研究科
1
経済学部
1
工学部
5
○2004年5月27日,6月10日,6月24日
生命農学研究科
天白生涯学習センター市民講座「わたしから始まる
言語文化部
3
9
1
1
5
1
1
1
1
国際理解」のうち,第2回∼5回を留学生センターと
国際言語文化研究科
1
4
5
の連携講座「ことばと文字で世界を旅する」とし,そ
国際開発研究科
2
1
3
のうち1回は名古屋大学を会場にして行った。フラン
情報科学研究科
1
1
18
19
37
合 計
ドル語,シンハラ語,ヒンドゥー語を取り上げ,講師
を市内大学に在籍する留学生3名,コーディネーター
を田中が担当した。企画の段階から相談室が関わり,
( )は,2004年度にマッチングした数であり,前年度以前
に登録した日本人学生のマッチングも数えた。
*研究員
−94−
教育交流部門
登録にあたっては,交流目的,趣味などを聞き,で
また,昨年度から引き続き,日本人学生登録者数は留
きるだけ共通点のある者を紹介するよう試みたが,ホ
学生登録者数を上回ったため,待機者が出た。
スト側の日本人学生の登録者には,目的の一つとして
「外国語(特に英語)のスキルアップ」を希望するこ
⑵ アンケート
とが多く,特にパートナーとのコミュニケーション言
これまで,パートナー紹介後,学生から疑問や相談
語に固執する場合,あるいは出身国籍/地域を限定す
があれば適宜問題解決のためのアドバイスを行ってき
る場合は,留学生パートナーに該当者がいなければ紹
たが,プログラムとして積極的なフォローは行ってい
介が遅れる旨を伝えた。
なかった。
プログラムで提供する「交流のきっかけ」が,
登録から6ヶ月以上のパートナー未紹介者に対し
どのような展開を生み,また,どのような問題点を抱
て,登録状況を報告するとともに,登録継続の意志が
えているのかを知り,今後の効果的なプログラムの改
あるかどうかを確認するための文書を送付した。これ
良に役立てるため,今年度にマッチングして在籍して
は,登録時の学生の興味が変化していないか,学生生
いる学生にアンケートを実施した。設問とその回答の
活が研究や就職活動なので忙しくなっていないか等を
一部を別表で紹介する。
確認するためでもあった。
(文書送付者41名に対し,
登録継続申し出は5名)
⑶ プログラムの今後について
日本人学生の登録者が学部生(特に1,2年生)が
1人のパートナー紹介というきっかけから,自由な
多いのに対し,留学生の登録者が大学院レベルの研究
交流を目指すプログラムとして存在してきたが,登録
生あるいは研究者である場合,マッチングの際に双方
者の中から「交流の仕方が分からない」「他のプログ
の交流目的を再度確認し,年齢差があることを了解し
ラム参加者との交流の場が欲しい」という意見が多く
てもらった上で紹介をしてきたが,年齢差が大きすぎ
寄せられ,パートナー紹介後にも「交流展開」のきっ
て日本人学生を紹介できない留学生,研究者がいた。
かけや,異文化コミュニケーションについて理解を図
学生パートナーシッププログラム アンケート結果
(設問)これまでに,どこで,どのような交流をしましたか?
*毎週一回昼食,週末は飲みにいく。登山等,名古屋観光
*顔合わせをかねてお昼を一緒にとっただけ
*留学生センターで日本語,留学生の母国語の会話
*喫茶店でおしゃべり,私の自宅でミニパーティー
* I don’t keep contact with him. He disappeared after the first meeting
* We played Shogi a couple weeks ago. But we’ve actually only met twice.
(設問)パートナーとなって困ったこと,悩んだことはありますか?あればお聞かせください。また,問題があった時,どのよ
うに解消しましたか?
*こちらが就職活動時期とかさなり,あまり交流がもてずにいて心苦しい
*日本人は本当にいい人ですけどいつも“また会いましょう”と言うのに,日付を決めるのはいつも私だ。最初に,私は忙しかっ
たから合える時間が少なかったです。後は彼女は忙しくなりました。でも,自分意志でメールを送ってくれませんでした。私
のメールに返事をしますけど。私と会うには会ったが2回しかではありませんでした。今は私はメールを待つことにしました
から待っています。
(設問)プログラムに関して皆さんからのアドバイスや意見がありましたら,どんなことでも構いませんので,どうぞお聞かせ
ください。
*もっと相手からの発信があるとうれしいけれど,こちらの英語力も不十分なのでなんともいいがたい。
*1対1の付き合いだとどうしても,息が詰まりがち。プログラムに参加している人たち同士が交流できるような機会があると
面白いと思います。こういったアンケートのようなフィードバックをもう少し行うと,お互いの経験の共有の機会になると思
います。ネット上の掲示板があると面白いかもしれません。
*英語の会話相手を望んでいたが,いないということで残念でした。
* I think it would be better if we could meet more students before setting someone as a partner. Because there are different
personalities and some people may not fit each other.
* Choose people who are really interested in cultural exchange.
*欲を言えば,もう少し年齢が近い人の方が良かったかもしれない。
(日本人学部生に院・留学生)
−95−
名古屋大学留学生センター紀要 第3号
るセミナー等を提供する必要性が感じられる。また「1
これらの委員会活動を通して,多学部のスタッフと
対1」という枠にとらわれず,交流目的や言語能力に
知り合い協働する機会を得たのは,今後の教育指導に
応じて,交流の場をグループという形で紹介すること
とってもたいへん有益なことだったと思う。
も考えられるが,定期的に交流の場を設けること,登
しかしながら,様々な活動に関わることによって日
録者が全員参加できるイベントを企画するなど,意図
常の相談業務が手薄になってはいけない。土台がしっ
的にグループをまとめる人材が必要である。あるいは
かりし,様々な活動がその土台にもさらに栄養を与え
ワークショップ,ボランティア等様々な異文化交流プ
るような工夫が必要である。今年度は通常よりも多く
ログラムと連携しながら,一人一人の目的に適う交流
田中が相談室外の仕事を受け持ち,その結果相談室の
の場を提供していくことも必要である。
様々な教育活動を,柴垣が広範囲に担当することに
なった。超過勤務やサービス残業にならないよう,ス
タッフの志気も向上し自己実現がはかれるような工夫
6.コンピュータ室スーパーバイザー調整
をしながら活動したい。
留学生センター内のコンピュータ室のスーパーバイ
ザーとして,所属する学生にコンピュータのシャット
ダウン,戸締り,建物全体の戸締り,緊急時の連絡等
おわりに
の仕事を依頼した。学生が安全に,責任を持って仕事
2004年6月,留学生センター創設時より12年間教育
を行えるよう,相談室でマニュアルを作成し,学生に
交流部門(元 指導相談部門)を率いてくださってき
はチェックリストを提出してもらっている。現在のと
た三宅政子教授が,バリ島での生活を始めるべく退職
ころ大きな問題はなく,毎日夜10時までの開室が実現
された。国際教育交流や学生指導,人間性の育成に関
している。
する多くの知見と経験を,大学や国の枠を越えて分か
ち合ってきてくださった。これまで共に仕事をするこ
7.学内委員会
とができたことに感謝し,三宅教授から学んだ多くの
今年度,田中は学内委員会に多くの時間を割くこと
ことを今後に生かしていきたい。
になった。
大きな期待,夢,緊張を,世界のいろいろな地域か
男女共同参画推進委員会の下にある育児支援ワーキ
ら運んで来る学生たちのエネルギーの大きさとダイナ
ンググループでは,学内保育所設置をめざして打ち合
ミズムは,驚異的とも言える。そのエネルギーとダイ
わせや視察を行なった。候補地選定のために学内の数
ナミズムを受けとりながら相談員も力をもらい,それ
箇所を見学,検討したり,他園を見学してその内容や
を還元しながら活動している。
形態を検討したりした。その結果,学内保育園の設置
多岐に渡る教育活動を行いながら,研究も進め論文
が実現のはこびとなり,更に作業を進めている。国際
を発表していくという仕事の中で,時間管理・スケ
貢献型という位置づけの当保育園のために,これまで
ジュール管理,特に何を優先し何をあきらめるのかに
留学生や外国人研究者たちとの相談活動の中で培った
関わる仕事の位置づけ,また,スタッフ自身の健康管
知識や経験を生かせるよう願っている。
理が非常に重要である。相談員二人は,家族の病気等
また,全学同窓会の幹事として広報委員を担当し,
で欠勤することはあったものの,これまで自身の健康
今年度のニュースレターの編集まとめ役となった。多
上の理由で欠勤したことはないという誇らしい(?)
様な人々の意見をとり入れ,また多様な同窓生に向け
記録を持つ,が油断はできない。今後も無理のない,
て発信できるニュース作成をめざして,他の委員たち
着実な,しかもダイナミックで創造的な仕事をしなが
と協力して編集・発行した。これも日常の活動の糧を
ら教育交流に寄与したい。
還元する場となった。
−96−
教育交流部門
資料1
−97−
名古屋大学留学生センター紀要 第3号
資料2
資料3
−98−
教育交流部門
海外留学室
堀 江 未 来 ・ 柴 垣 史
リンク先のリソースが役に立っている。
はじめに
今年度は,
新たに「イギリス留学説明会」を試みた。
今年度は,海外留学室の担当者が7月1日を区切り
これは,ブリティッシュカウンシルより講師を招き,
に交代した。6月末をもって退職された三宅政子氏は,
専門家による情報提供を行ったものである。来年度以
1997年から派遣留学支援体制整備を始められ,それは,
降は,同様に各国の留学情報提供機関や関連機関に講
国立大学における派遣留学の組織的な教育支援体制整
師協力を依頼し,定期的な説明会として開催したいと
備の先駆けでもあった。それから8年経った現在,名
考えている。
古屋大学においては,様々な目的で「留学したい」と
いう希望を持った学生が情報を収集し,担当者に相談
〈セミナー・説明会・ガイダンス〉
をし,目的を実現させるプロセスを支援する基礎的な
① 新入生生活ガイダンス(一部)
体制ができあがっている。海外留学室を新しく担当す
日 時:4月2日(金)
ることになった堀江は,このようにできあがった基盤
場 所:豊田講堂
をもとに,名古屋大学における派遣留学を量的にも質
対 象:新1年生
的にもさらに充実させるべく,海外留学室の活動をよ
目 的:名大における留学と国際交流の機会の紹介
り活発化させたいと考えている。
非常勤スタッフの柴垣史氏は,三宅氏在職時から週
② 工学部・工学研究科学生対象留学説明会
1回海外留学室業務を担当しており,三宅氏から堀江
(主催:工学部・工学研究科国際交流室)
への業務引き継ぎにおいては重要な役割を担ってい
日 時:4月13日(火)16:30−17:30
る。以下に報告する2004年度における活動のほとんど
場 所:工学部1号館1階会議室
は前年度から引き継いだものであり,実施においては
対 象:工学部・工学研究科学生
柴垣氏の経験に支えられる部分が大きかった。
目 的:留学機会の紹介,情報収集・準備教育指導
以下に,海外留学室における2004年度の活動を,
「情
参加者:61名(内訳:別表1)
報提供」「個人相談」「派遣留学生に対する支援」の3
つに分けて報告する。最後に,来年度以降についての
③ 海外留学入門セミナー
課題を提起したい。
日 時:学期中の毎週木曜日 12:15−12:45
場 所:留学生センター201教室
対 象:全学の学生・教職員
1.情報提供
目 的:留学機会の紹介,情報収集・準備教育指導
海外留学室における情報提供活動は,名大生の海外
参加者:101名(年度合計。内訳:別表2)
留学促進と支援の要となる。海外留学室における情報
提供の形には2つあり,説明会やセミナーの形をとる
④ 交換留学(全学間協定)応募説明会
ものと,ホームページや資料提示によるものがある。
日 時:10月5日(火)12:10−12:50
前者の,説明会やセミナーなどを行って積極的に留学
場 所:CALE フォーラム
に興味のある学生を取り込もうとする活動は,三宅氏
対 象:全学の学生,交換留学応募希望者
によってアウトリーチプログラムと位置づけられた。
目 的:交換留学
(全学間協定)への応募に関する説明
また,説明会には足を運べないが自分で情報収集を行
参加者:約40名
いたいとする学生には,ホームページにおける情報や
−99−
名古屋大学留学生センター紀要 第3号
⑤ イギリス留学説明会
2.個人相談
日 時:11月30日(火)16:30−17:30
場 所:CALE フォーラム
海外留学室では,学期中相談時間(週約8時間)を
対 象:学内外の学生・教職員,イギリス留学希望者
設け,予約なしで個別相談が受けられるようにしてい
目 的:イギリス留学についての一般的な情報提供,
る。それ以外の時間や休暇中は,予約制で受け付けて
いる。個別相談を利用する場合,海外留学入門セミナー
質疑応答
講 師:ブリティッシュカウンシル名古屋センター
やそれに準ずる説明会などに出席し,ある程度自分の
副所長 Gemma McGoldrick 氏
留学計画に対する考えをまとめ,情報収集を行ってい
参加者:11名(内訳別表3)
ることが前提となっている。
2004年度(7月以降),個人相談を利用したのはの
べ181名であった。利用者の姿や相談に寄せられるテー
〈ホームページ運営〉
海 外 留 学 室 ホ ー ム ペ ー ジ(http://www.ecis.
マは多様である。後に述べるような,交換留学派遣が
nagoya-u.ac.jp/abroad)は,昨年度に引き続き,柴垣
決まった学生の手続サポートのような具体的な相談も
氏が中心となって運営した。情報更新を週1回以上行
あり,その場合はこちらで答えを用意する,または情
い,様々な新しい情報を出来るだけ早く,また分かり
報検索の仕方を提示することで解決することが多い。
やすく提供することにつとめた。ヒット件数等は記録
一方,多くの相談は,
「留学したいがどうしたらい
していないが,海外留学室主催の説明会や個人相談の
いかわからない」というものである。その中でも,実
申込のきっかけを「ホームページをみたから」とする
際の手続がわからないケースもあれば,「自分の進路
利用者が増えている実感はある。また,新入生へのガ
において留学をどう位置づけたらいいのか分からな
イダンス時など,多くの情報を提供できない場合,
「海
い」「留学したいという気持ちは漠然とあるが,具体
外留学に関するホームページがある」ということだけ
的に進めていいのだろうか」というような,不安や疑
でも伝えておくと,効果があるようだ。
問を抱いているケースもある。そのような場合,つま
来年度には留学生センターのホームページが全面的
り,本人が留学に対する希望と不安と疑問の中で揺れ
にリニューアルされることになり,この機会に海外留
ているような場合は別の対応が必要となる。留学した
学情報についても整理し直し,より分かりやすいホー
いが,親に反対されている,指導教員に反対されてい
ムページにする予定である。
る,など,人間関係上の要因によって本人の留学計画
が前に進まないというケースや,自分の理想と現実の
間で取捨選択が出来ずに悩むケースもある。このよう
〈留学関連資料提供〉
海外留学室では,留学関連資料(図書,留学体験談
な状況に対しては,こちらが答えを用意するのはふさ
報告書,各協定校資料等)をロビーにおき,自由に閲
わしくないため,本人が自分の考えや行動計画をまと
覧できるようにしている。しかし,場所がロビーであ
める援助を行うことを主眼としている。具体的には,
ることなどから,貸し出しの管理等が行えず,したがっ
基礎的なカウンセリングの手法に基づき,継続的に相
て資料の更新等ができていない状態であった。そこで,
談を行っている。留学の準備から実施のプロセスを進
新たに新規図書を購入し,貸し出し管理ができる体制
めるには,本人の強い意思が必要であり,準備段階で
を整えるよう,準備を始めた。海外留学室(104号室)
「自分がやる」という考えをしっかりさせておくこと
は限られたスペースであるが,そこに書架をおき,閲
が重要だからである。
覧スペースを作る予定である。また,情報閲覧用のパ
個人相談の他,メールによる相談も増加した。しか
ソコンを用意することが出来た。現在の留学情報は,
し,メールのやりとりで説明できる事柄には限界があ
ホームページ上で最新のものを一次情報源からとって
る。メールで送られてくる質問には,行く通りもの文
くることが有効である。またオンライン出願を必要と
脈の可能性があり,本人の意図や希望が見えない場合
する海外の大学も増えており,このようなニーズに対
が多いからである。メールでの相談を入り口とし,説
応できるようになった。
明会参加や個人面談の利用をするよう働きかけている。
−100−
教育交流部門
生命農学研究科 男子1名
3.派遣留学生に対する支援
備 考:NCSU Japan Center の奨学金により,5名
交換留学(全学間協定)を含め,いくつかの派遣留
分までの全額授業料(または10名分半額)が
学プログラムに参加する学生の留学手続のサポートを
免除される。
行っている。今年度は以下のプログラムについて,受
入れ校との協議及び手続支援を行った。また,派遣が
〈木浦大学校夏期研修〉
決まった学生のうち,一部に対し,出発前オリエンテー
期 間:2004年8月2日∼12日
ションを行った。
参加者:法学部 男子1名,女子2名,
工学部 男子1名
① 留学手続支援
備 考:名古屋大学より4名まで授業料及び宿舎費が
〈全学間協定に基づく交換留学〉
全額免除される。
イギリス ブリストル大学 教育発達科学研究科 女子1名
② 渡航前ガイダンス
フランス グルノーブル大学
〈フランス プログラム8〉
文学部 女子2名
日 時:5月26日(水)12:10−12:50
法学部 女子2名
場 所:留学生センター201教室
フランス ストラスブール大学 対 象:2004年度フランスプログラム8留学予定者
法学部 女子3名
目 的:渡航前情報提供
アメリカ セント・オラフ大学 講 師:プログラム8留学経験者
法学部 女子1名
情報文化学部 男子1名
〈セント・オラフ大学〉
アメリカ 南イリノイ大学
日 時:6月28日(月)16:30−17:30
情報文化学部 女子1名
場 所:留学生センター206教室
アメリカ シンシナティ大学
対 象:2004年度セント・オラフ留学予定者
教育発達科学研究科 女子1名
目 的:渡航前情報提供
アメリカ イリノイ大学
講 師:セント・オラフ大学 Dr.Ito
理学部 女子1名
工学研究科 男子1名
おわりに:今後の課題
アメリカ ノースカロライナ州立大学
〈異文化教育プログラムの開発・実施〉
法学部 女子1名,男子1名
文学部 女子1名
海外留学室での派遣留学支援教育は,留学生相談室
経済学部 女子1名
や短期留学部門で行っている留学生受入れと関連させ
韓国 梨花女子大学校
ることで,総合的な異文化教育プログラムとして発展
医学部 女子1名
可能である。特に,交換留学によって半年から1年間
の留学をする学生にとって,準備期間と帰国直後の整
理期間を十分に活用することで,異文化体験による学
〈ルノー財団プログラム〉
Programme Renault
習を最大化することが出来ると考えられる。このよう
経済学部 男子1名,文学部 女子1名
な視点からの異文化教育プログラムを開発すること
(MBA − IP 及び Master Paristech は今年度該当なし)
は,留学生の受け入れと派遣に関わる総合的教育支援
を同じ組織で行っていることのメリットを活かすこと
〈ノースカロライナ州立大学夏期英語研修〉
にもなるだろう。
期 間:2004年7月6日∼8月6日
このようなプログラムの具体的な例としては,派遣
参加者:法学部 男子1名
留学生に対する準備教育に短期留学生を組み合わせる
−101−
名古屋大学留学生センター紀要 第3号
ことで,お互いの文化理解とコミュニケーション能力
るが,現在の交換留学や夏期研修プログラムへの応募
向上をはかるものが考えられる。堀江が来年度担当す
状況を見ていると,とても多くの学生が積極的に情報
る異文化コミュニケーションの授業においては,短期
を得ているとは思えない。名古屋大学ほどの学生規模
留学生だけでなく一般学生にも門戸を開くことで,留
があれば,現在の交換留学の競争率はもっと高くても
学予定者が英語による授業履修を経験し,また異文化
よいはずである。
コミュニケーションの理論学習を,留学生との議論を
一方,留学したいと思い始め,情報収集を始めて見
通じて実践的に体得することを目指す予定である。ま
たものの,実行するには時間がなさすぎるというケー
た,短期留学生にとっては,日本人学生と深い議論を
ルがある。例えば,交換留学に応募したいが TOEFL
する貴重なチャンスとなることを期待している。
を受けていないために応募が間に合わない,などとい
同様に,授業外でもこのような活動を促進すること
うケースである。これは,半年でも早くから準備のス
が考えられる。留学生の受入れサポートに留学経験者
テップを理解していれば,容易にクリアできる問題で
や留学予定者が関わることは,自分が経験したことや
ある。したがって,ただ情報を与えるだけでなく,そ
これから経験することとの関連から,より高い共感が
れが準備に十分間に合う時期でなければならない。新
可能であるし,留学生にとっても心強いサポートが与
入生へのガイダンスにおいて10分間の説明時間をいた
えられるのではないか。同様に,帰国報告会を開催し,
だいているのは,
こういう点から非常に有意義であり,
帰国前の留学生のリエントリーショック対策とするこ
ありがたい。
とも考えられる。さらに,このような一連の活動を一
より多くの留学希望者が何らかの形で目的を達成で
般学生にも開放することで,内なる国際化を部分的に
きるようにしたい。また,交換留学への応募者が増え
促進することが可能となる。
ることで留学交流を質的にも量的にも拡大したい。そ
また,当然ながらこのような活動を行うには,短期
のためにも,まずは海外留学室の活動と,名大におけ
留学部門や教育交流部門留学生相談担当者との情報交
る留学の可能性そのものについて広く周知する働きか
換と緊密な連携が必須である。
けが必要である。
〈海外留学室についての広報活動〉
〈危機管理体制の整備〉
名古屋大学においても,中期目標等で見られるよう
海外留学・渡航に関する危機管理体制の整備もま
に,派遣留学の促進は重要課題となっている。留学促
た,全学的な取り組みが必要な課題である。今年度は,
進には全学的かつ長期的な取り組みが必要であるが,
国際課と留学生センターの共同で,派遣留学生データ
海外留学室としてまずしなければならないことは,海
ベースの開発に着手した。これにより,交換留学生以
外留学室の活動そのものを学生,教職員の間で広く周
外の海外渡航情報についてもまとまったデータを用意
知することと考える。海外留学室の認知度がどのくら
することが出来,海外における事件や事故発生時にお
いあるのか全く想像もできないが,決して高くないだ
ける学生の安否確認のために活用できる。
ろう。
一方,危機回避のための教育も重要である。今年度
どのようなレベルであれ,「留学したい」と思い始
までは,行き先別の渡航前オリエンテーションはいく
めた学生がそのまま漠然とあきらめるのではなく,少
つか行ってきたが,総合的なものはまだない。異文化
しでも具体的な行動を起こすことが出来るように,サ
適応やコミュニケーション,心身の健康管理について
ポートする必要がある。海外留学室の存在を知ってい
の注意などに加え,危機回避についての教育を渡航前
れば,少なくともホームページを見たり,入門セミ
に行うことは派遣を行う大学の責任でもある。来年度
ナーに出席するという第一歩を起すことができる。そ
以降,このようなプログラムの開発と実施に着手した
のような第1歩を踏み出している学生は,ホームペー
い。
ジや各部局での掲示にも注意を払っていると考えられ
−102−
教育交流部門
表1:工学部・工学研究科「派遣留学についての説明会」参加者内訳
1
男
人 数
2
女
13
合 計
男
15
13
3
女
男
5
6
20
4
女
男
13
6
M1
女
男
1
5
M2
女
男
D1
女
1
14
男
D2
女
1
5
男
D3
女
男
女
1
1
合計
男
女
55
1
1
6
61
表2:海外留学入門セミナー参加者内訳
総計
文学部
13
文学研究科
2
教育学部
4
教育学研究科
1
法学部
7
法学研究科
2
経済学部
12
経済学研究科
1
1年
男
女
1
4
2年
男
3年
女
男
女
5
1
2
4年
男
女
M1
男
女
M2
男
D1
女
男
D2
女
男
D3
女
男
女
他
男
女
2
11
2
2
2
1
1
2
2
1
1
2
1
4
1
4
1
2
2
1
1
2
1
情報文化学部
7
1
理学部
6
1
医学部(医学科)
2
2
医学部(保健学科)
1
4
2
2
5
1
1
7
5
1
1
1
6
1
2
1
3
3
理学研究科
2
1
1
医学研究科
工学部
22
8
2
2
4
1
4
1
4
1
18
4
1
9
工学研究科
農学部
10
生命農学研究科
1
国際開発研究科
3
情報学研究科
2
5
1
1
2
1
3
2
2
多元数理科学研究科
国際言語文化研究科
1
環境学研究科
4
小 計
合 計
101
1
17
13
6
17
11
6
9
5
1
2
1
1
3
6
4
3
1
30
23
17
14
9
7
1
1年
2年
3年
4年
M1
D1
D2
文学研究科
1
法学部
1
理学部
2
工学部
1
農学部
1
国際開発研究科
1
環境学研究科
1
その他
2
小 計
合 計
11
男
女
男
女
男
女
男
女
男
女
男
女
男
その他
女
男
女
1
1
2
1
1
1
1
1
2
2
2
0
1
1
0
1
1
0
0
2
2
−103−
0
1
1
1
1
0
0
1
1
51
101
表3:イギリス留学説明会参加者内訳
総計
3
50
1
0
2
2
名古屋大学留学生センター紀要 第3号
異文化交流実践を授業へフィードバック
松 浦 まち子 ・ 浮 葉 正 親 ・ 田 中 京 子
Ⅰ.基礎セミナー A(前期開講)「多文化社会を
生きる」
6/17 発表準備(Power Point 作成)
6/24 レポートを書く時の留意点と文献検索方
法,発表準備
1.授業のねらい
7/1 発表と討論
外国文化を持って日本で暮らす人々に焦点をあて,
7/8 発表と討論
彼らの視点を通した日本を知ることによって,日本社
7/10 発表と討論
会の課題に気づき,様々な文化を持つ人々が共に生き
7/15 発表と討論
ることについて考えた。
7/22 まとめ
3−2 口頭発表テーマ
2.受講者及び講師
・世界の競馬
開講2年目の授業で,受講生は12名(内訳:文学部
・韓国での日本文化の開放
2名,教育1名,法学部2名,経済学部1名,情報文
・ドイツシュタイナー教育
化学部1名,理学部2名,工学部1名,農学部2名),
・社会主義国の政治
TA は国際言語文化研究科の Elitsa Marinova(ブル
・見えない文化の違い
ガリア出身留学生)だった。ゲストスピーカーとし
・ネイティブアメリカン
て稲垣達也・アイダご夫妻(5/13)
,姜信和氏,原
・外国人が見た日本(日本人)
田芳裕氏,岩田梓氏(以上5/20)
,張玉玲氏(5/
・JAZZ の多文化性
27),岩村ウイリアン雅浩氏(6/10)に参加しても
・移民を考える∼オーストラリア編
らった。平成16(2004)年度は,三宅政子,浮葉正親,
・ドイツの音楽文化
田中京子,松浦まち子(責任者)の4名が担当した。
・日泰寺とタイ
・世界のマナー
3.授業内容等
3−3 レポート集
3−1 スケジュール
日本人学生は口頭発表より自分の意見を文章にする
4/8 オリエンテーション,自己紹介,プレゼン
ほうが得意と感じる。レポートはどれもよくできてい
テーション実演
た。担当教員全員が学生一人一人にコメントを書き,
4/15 自分と異なる文化を持つ隣人について
それをまとめてレポート返却時に各学生に渡した。受
4/22 TA の出身国「ブルガリア」を学ぶ
講生が12名と少数であるからこそできるきめ細かい指
5/6 効 果 的 な プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン,Power
導である。さらに昨年度同様「レポート集」を作成し
Point とは何か?
て配布した。
5/13 国際結婚した人たちの暮らしを詳しく知ろ
う(ゲストスピーカー)
4.評価
5/20 在日韓国人の人たちの暮らしを詳しく知ろ
う(ゲストスピーカー)
き,それぞれの立場から話をしてもらい,その後全体
5/27 在日華僑の人たちの暮らしを詳しく知ろう
(ゲストスピーカー)
で意見交換した。テーマは⑴国際結婚,⑵在日韓国人
やその血筋の人々の暮らし,⑶在日華僑の人々の暮ら
6/10 在日ブラジル人の人たちの暮らしを詳しく
知ろう(ゲストスピーカー)
このゼミでは、ゲストスピーカーを4回延べ7名招
し,⑷在日ブラジル人の暮らしの4つである。毎回学
生に感想を書かせる宿題を与えたが,とりわけ在日韓
−104−
教育交流部門
国人のあり方については大きな反響があった。ゲスト
よかったです。充実した授業だったと思います。
スピーカーが熱意を込めてありのままの気持ちをさら
け出してくださったことが学生に伝わったものだが,
学生の純粋な受け止め方に感動した。わずか数ヶ月の
ことで,学生の視野が広がっていく様子に教育効果の
Ⅱ.教養科目「留学生と日本―異文化を通して
の日本理解―」浮葉 正親
すばらしさを実感した。また,TA は留学生を採用し,
1.授業のねらい
日本人学生が地域の多文化の一端を担う留学生の存在
外国人留学生と日本人学生が討論や協同作業を通じ
を身近に感じるよう配慮した。
て,両者の日本に対する理解と相互の理解を深めるこ
来年度への反省点は,学生のテーマ決定に制限を設
とを目的とする。名古屋大学内およびこの地域で異な
けなかったため,地域の多文化という視点が抜けて,
る文化を持つ人々が共に学び生きることの意味を考え
異文化であればなんでもありのようなテーマが見られ
直し,多文化共生のあり方を模索する。
たことで,そのため来年度はゲストスピーカーの話に
基づくテーマ設定を指導予定である。また,わずか12
2.受講者
名の受講生でありながら,いつも,学生とゲストスピー
学部生は29名(日本人学生28,学部留学生1)
。受
カー,学生と教員という1対1の関係性が多く,学生
講生の学部別内訳は,文学部3,教育学部3,法学部
同士の親密化が思うほど進まないため,クラスの雰囲
6,経済学部3,理学部1,工学部6,農学部4,医
気の緩和策として来年度はグループ発表を導入するこ
学部3である。学部留学生の国籍は中国である。これ
とを考えている。
に10月に渡日した日本語・日本文化研修生21名(中国
【参考】学生からのコメント(アンケート自由記載欄
4,インド3,ベトナム2,ウクライナ2,ポーラン
より)
ド2,韓国1,タイ1,インドネシア1,イタリア1,
★ この授業は毎回考えさせられることばかりですご
ウズベキスタン1,ブルガリア1,ルーマニア1,ブ
く勉強になりました。多文化共生社会というのは,
ラジル1)
,日韓共同理工系留学生3名を加え,日本
私にとってもすごく興味のある分野で,本当に難し
人学生28/留学生25,計53名で授業を行った。
い問題ですが,この基礎セミナーを通して,そうし
平成16(2004)年度は,浮葉正親,田中京子,松浦
たことについてじっくり考えることができました。
まち子,堀江未来の4名がこの科目を担当した。全14
ありがとうございました。
回の授業内容と担当は以下のとおりである。
★ 異文化について直接いろいろな話(体験談など)
が聞けたし,みんなのいろいろな意見が聞けて,自
3.授業内容
分の視野を広げることができてよかったです。
3−1 スケジュール及び担当者
★ 在日韓国人の方や在日中国人の方など様々な方の
10/4 オリエンテーション(1)(全員)
ゲスト講演が百聞は一見に如かずで,とても現実味
10/18 オリエンテーション(2)(全員)
を持って聴けてよい勉強になった。ただ教材だけで
10/25 異文化との出逢い(田中)
学ぶよりも深く印象に残り,問題意識の根付きと
11/1 在日留学生と日本社会(松浦)
なった。TA の方のサポートも微に入り細に入り大
11/8 異文化コミュニケーション(堀江)
変よくサポートして頂いた。プレゼンでは,自分の
11/15 グループ活動について(浮葉)
社会に対する関心,興味を改めて確認できたと同時
11/22 グループ発表準備(全員)
に他の学生の関心もよく理解できて面白かった。特
11/29 グループ発表準備(全員)
にあらゆる学部から学生が来ていたので興味深かっ
12/6 グループ発表と討論(全員)
た。
12/13 グループ発表と討論(全員)
★ 毎週毎週違う刺激があってとても楽しい授業でし
12/20 グループ発表と討論(全員)
1/17 ケースから学ぶ異文化(田中)
た。
★ 基セミの授業は私が前期にとった授業の中で一番
面白かったです。アットホームな感じがとても心地
1/24 留学体験について考える(堀江)
1/31 まとめ(全員)
−105−
名古屋大学留学生センター紀要 第3号
3−2 グループ発表のテーマ
のフィードバックで自分と似ていることを感じた人,
グループ1:日本人とお化け
逆に気づかなかったことに気づいた人がいる,という
グループ2:日本の結婚事情―非婚・晩婚化と言わ
ことが分かってよかったです」とあり,不満や疑問に
れているが―
感じていたことを相対化するよい機会となったようで
グループ3:なぜ日本人は英語を話せないか?
ある。そして,グループ内のコミュニケーションのあ
グループ4:日本の結婚式事情について―タン&ア
り方を異文化間コミュニケーションの理論から捉え直
ンナの結婚式編―
す講義を行い,状況をよく観察することの大切さ,他
グループ5:日本語のあいまいな表現について
者を評価することの難しさ,危うさ等を確認した。次
グループ6:男女の言葉はなぜ違う?
年度もグループ活動のフィードバックを必ず実施した
グループ7:レディーファーストと日本
い。
グループ8:バイトについて
Ⅲ.大学院授業「異文化接触とコミュニケーショ
4.評価
昨年に引き続き,グループ活動に対する評価を重視
し,全体の40%(発表30%+自己評価10%)とした。
ン」:国際言語文化研究科 日本言語文化専
攻応用言語学講座(担当:田中京子)
その他は,レポートが30%,出席10%,クラス討論へ
の参加度10%,宿題提出10%である。グループ発表に
2003年度に開講した科目を,2004年度も継続した。
対する評価は,五つの評価項目を作り,4名の教員に
よる評価を15%,他の学生による評価を15%とした。
1.授業のねらい
結果的には,どのグループも積極的に発表に取り組み,
母語や背景となる文化が異なる人たちが,意思疎通
24∼27%を獲得した。発表のなかには演劇を用いたグ
をはかりながら共に生活しようとする時,どんな創造
ループが3つあり,インタビューやアンケートによる
や衝突があるか,文献購読や経験学習,討論を通して
調査の結果をパワーポイントにまとめたグループも多
考え学ぶ。
く,全体に工夫が感じられた。
コースの中では,共通言語として英語を使用して話
ただし,グループ活動に対するアンケートには次の
し合いや実習を行うことによって,言語能力が様々な
ような感想も書かれていた。「留学生の疑問に答える
人たちの間のコミュニケーションの特徴を実体験し,
他の日本人学生が固定観念の固まりで,誤解を招かな
積極的で公平なコミュニケーションについて考察す
いようフォローしなければならなかった。また,細部
る。
にこだわって全体が見えない,あまり話し合いに参加
しない,いつまでたっても『結局どうしよう』しか言
2.受講者
わないなど,私自身はグループに対してかなり不満を
国際言語文化研究科日本言語文化専攻・多元文化専
持った」
。教員の目の届かないところで,学生たちは
攻の大学院生12名,他研究科の大学院生,研究生など
慣れないグループ活動に葛藤を感じていたのだろう。
含めて,16名が受講した。学生の出身国は6カ国,地
17年度は,グループ発表終了の2週間後,グループ
域は東アジア,南アジア,アメリカ,ヨーロッパに渡っ
活動での体験を話し合った。留学生からは,「話し合
ていた。
いの中で分からない言葉があっても,話の流れを止め
てしまうので聞きにくい」とか,「知っている単語の
3.TA
意味を何度も確認されて嫌だった」という感想が出さ
今年度は TA 予算がつき,教員と TA の二人三脚
れる一方,日本人学生からは「留学生の日本語の間違
で授業の内容を深め,学生に還元していくことができ
いをどの程度直していいのか分からない」という感想
た。
が出された。また,グループ全体のまとまりを重視し
前期:教育発達学研究科 博士後期課程 中島葉子
たグループと発表の内容の精度を重視したグループが
後期:教育発達学研究科 博士後期課程 ラセガー
あったことも分かった。その授業の感想には,「今回
−106−
ド・ジェームス
教育交流部門
TA は異文化コミュニケーションを専攻しており,
について全員が話し合い,更に,内省してそれをまと
レポートへのコメント,参考文献の紹介,授業への参
め,伝えるという作業を通して,学習内容が深まった。
加,発表などを行なった。
しかし全員討論の場では自然,英語の運用能力の高い
参加者が多く発言するという状況が起こりがちで,そ
4.授業内容
の場合全体の意見もそちらへ傾く,という傾向が感じ
⑴ 経験学習(疑似体験学習,ロールプレイ等)
られた。
⑵ 事例考察
コース後の学生による評価では,異文化についての
⑶ 討論
学びが多かったという面以外に,言語力による影響力
⑷ 文献購読(宿題)
の差についても触れられていた。「自分がクラスをハ
⑸ 文献についてのレポート(宿題)
イジャックしていなければよいのだが…」「言語能力
⑹ 発表(事例作成,討論進行)
が低い人ももっと積極的に発言してほしかった」
(英
語母語話者)
,「自分がこれほど寡黙なこともあるとは
5.評価
思わなかった」
(英語中級者)
。また,
「たまたま参加
教員はこれまで行ってきた国際交流関連業務や留学
者に恵まれていたので多く学ぶことができたが,参加
生相談の中で培った異文化コミュニケーションに関す
者の質によってはこうはいかないと思う」と,討論の
る経験や知識を,個別教育(相談)だけでなく授業の
難しさを実感したという意見もあった。しかしコース
中でも生かすべく積極的にとり組んだ。また,この授
の内容を消化しきれずに終わった学生が数名いたかも
業を逆に個別教育に還元して相談活動を発展させるこ
しれない。彼らからは評価を提出してもらうことがで
とも意識した。留学生センターでの活動の独自性を活
きなかった。
かし,大学院教育に貢献できたと思う。
今年度もセクシュアルハラスメント相談所に1コマ
参加者にとって,母語であったり,第2,第3の言
研修をお願いした。ジェンダーの問題を扱う内容は,
語であったりする英語を使用することは,英語運用能
コース内容に深く関連するものであったが,苦情処理
力の初中級者から母語話者までが混在するグループで
方法,相談所の説明はコースの目的と異なっており,
いかに共通理解をはかるかを考える実践の場となり,
今後工夫の必要がある。授業後すぐにその旨の意見を
結果よりも過程そのものに重点を置いた授業となっ
伝えてくれた学生もあった。前期 TA に,「外国籍の
た。専攻や年齢,国籍,言語運用能力の異なる参加者
子どもたちの教育」について,1コマ使って発表して
全体の間に生まれるコミュニケーションはダイナミッ
もらった。身近な地域の例を具体的に知り考えるよい
クで,時には緊張したものとなった。
機会となった。
前期に毎回宿題として出した文献購読とレポート提
このコースで発表した事例と討論した内容を土台
出にほぼ全員が真剣に取り組んだ。各授業の後に TA
に,“Different Cultures, Different Interpretations”
と教員がレポートについて検討会を持ち,コメントを
の本の編纂を行なうことになった。幸いこの活動のた
書いてレポートを返却した。後期は一人1時間使って
めに JAFSA(日本国際教育交流協議会)の研究・調
事例を発表し,その解釈についてグループ討論し,更
査補助金が支給されることになり,2005年度前期の完
に宿題として参加者が自分の意見や解釈を書いて発表
成をめざして有志で研究会を継続し,本の編集を進め
者と教員に提出するという形をとった。ひとつの事例
ている。
−107−
−108−
名古屋を明るくする会
Let's Sing Together ‼
「 愛・地球博 」PR お国紹介
平成クラブディナーブッフェ
国際交流事業
Let's Sing Together ‼
2004/11/20
2004/12/1
2004/12/1
2004/12/8
岐阜県立加納高等学校
名古屋市立昭和橋小学校
平成クラブ
豊川市国際交流協会
岐阜県立加納高等学校
留学生交流見学ツアー(奈良)
2004/11/17
津島市立南小学校
2004/11/13
「 ぼくら津島の地球人 」
2004/10/22
名古屋市立正木小学校
名古屋市立滝川小学校
国際交流の授業
2004/10/22
南知多町立内海小学校
名古屋市立守山中学校
名古屋市立若宮商業高等学校
名古屋市立昭和橋小学校
名古屋市立引山小学校
愛知教育大学附属名古屋中学校
名古屋市立高針小学校
名古屋市立正木小学校
西春町立西春小学校
名古屋大学教育学部付属高等学校
愛知教育大学附属名古屋中学校
名古屋大学教育学部付属高等学校
依頼団体
2004/11/1−11/18(4回) 国際理解教室
国際交流教室
国際交流活動
2004/7/15
守山中学校ホームページコメント募集
帰国生のための語学保持授業
2004/7/9
2004/9/28
高針夏まつり及び留学生との交流会
2004/7/2
2005/8/30
国際交流の授業
2004/6/26
国際交流活動
にしはるワールドウィーク2004
2004/6/18
2004/7/17−7/22(3回)
付属高校からの訪問
2004/6/4
国際交流事業
国際交流活動
2004/7/16
付属高校からの訪問
2004/5/ 下旬
行事名
2004/5/6
行事年月日
4
4
5
2
3
21
7
3
2
2
掲示
1
4
7
派遣不可
3
4
5
2
3
4
派遣留学生数
(名)/ 対応者
1.平成16(2004)年度 地域社会と留学生との交流(教育交流部門による地域への連携・貢献活動)
中国・マレーシア・ブルガリア・バングラデシュ
各1名
インドネシア1名・ウズベキスタン2名・ジャ
マイカ1名
モンゴル・インドネシア・ドイツ・チェコ・ポー
ランド各1名
ペルー・フィリピン各1名
中国・マレーシア・ブルガリア各1名
中国20名・モンゴル1名
スリランカ2名・インドネシア3名・中国1名・
ブラジル1名
中国3名
モンゴル・インドネシア各1名
モンゴル・中国各1名
マレーシア
インドネシア1名・ウズベキスタン2名・ジャ
マイカ1名
インド・モンゴル・インドネシア・アルジェ
リア・中国・ウズベキスタン・ジャマイカ各
1名
国指定で該当留学生見つからず
タイ・インド・中国各1名
モンゴル・タイ・ナイジェリア・インドネシ
ア各1名
タイ・インド・カザフスタン・ロシア・中国
各1名
インド2名
インド2名・中国1名・韓国1名
備考
名古屋大学留学生センター紀要 第3号
〈教育交流部門資料〉
英語活動を通しての国際理解
国際交流事業
国際交流活動
国際交流活動
雛人形を飾る会
留学生と遊ぶ会
2005/2/ 中旬
2005/2/15
2005/2/17
2005/2/18
2005/2/20
2005/2/22
−109−
国際交流の第一歩―身近なアジアを学ぶ― 千種生涯学習センター
2005/5/27−6/1
2005/6/16・6/23(2回)
いのちの歌文化交流協会
母の日に贈る感謝状
WAFCA 車いすバスケットボールアジア
アジア車いす交流センター
交流大会 in 愛・地球博
「 自然と人の歳時記 」 プロジェクト
揚輝荘の会
名古屋市立柴田小学校
尾張旭市立瑞鳳小学校
スペシャルオリンピクス冬季世界大
会・長野
名古屋市立見付小学校
名古屋大学職員宅
名古屋市立新明小学校
名古屋市立新明小学校
名古屋市立昭和橋小学校
名古屋市立豊が丘小学校
名古屋市立藤が丘小学校
名古屋市立白沢小学校
名古屋を明るくする会
大府市長草公民館
岐阜県笠原町立笠原中学校
国際ソロプチミスト名古屋
依頼団体
2005/5/2−5/8
自然と人の歳時記
文化に親しむ会―
留学生と 「 揚輝荘 」 をつなぐ―日本の伝統
2005/3/27
2005/3/20
国際理解教育
留学生との交流会
2005/1/ 下旬
国際理解の学習
国際交流活動
2005/1/26
2005/3/1
新春懇親会・懇談会
2005/1/22
2005/2/25
外国を知る
2005/1/8−2/5(5回)
スペシャルオリンピックス冬季世界大会
笠原中学校国際交流の日
2004/12/18−12/19
2005/2/22−3/6
家庭訪問
行事名
2004/12/18
行事年月日
1
掲示募集
掲示募集
掲示募集
掲示募集
1
3
掲示募集
2
掲示募集
1
2
4
派遣不可
派遣不可
2
6
1
掲示募集
派遣不可
派遣留学生数
(名)/ 対応者
モンゴル 2005年2月募集
2004年10月より募集
2004年10月より募集
オーストラリア
タンザニア・ペルー・フィリピン各1名
中国2名
オーストラリア
中国2名
インドネシア1名・ウズベキスタン2名・ジャ
マイカ1名
先方の都合により中止
先方の都合により中止
フィリピン2名
中国5名・モンゴル1名
エチオピア
先方の都合により次年度に延期
備考
教育交流部門
名古屋大学留学生センター紀要 第3号
2.平成16年度 奨学金採択一覧表(平成15年9月∼16年8月 実績)
〈大学推薦応募〉
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
奨学団体名
部局(グループ)
愛知県・愛知留学生
旭硝子奨学会
アジア国際交流奨学財団
市原国際奨学財団
イノアック国際教育振興財団(初年度)
イノアック国際教育振興財団(2年目)
エプソン国際奨学財団
KANSAI PAINT(AIEJ)
共立国際交流奨学財団
共立メンテナンス奨学基金
公益信託井深大記念奨学基金
公益信託川嶋章司記念スカラシップ奨学基金
国際コミュニケーション基金
国際ソロプチミスト名古屋
国際ソロプチミスト名古屋
国際日本文化研究交流財団
国際文化教育交流財団 SEIHO
小林国際奨学財団
佐川留学生奨学会
サトー国際奨学財団
実吉奨学会
神内留学生奨学金(AIEJ)
大幸財団(育英・学部)
大幸財団(学芸・院)
タカセ国際奨学財団(秋・特別コース)
タカセ国際奨学財団(春)
朝鮮奨学会(学部)
朝鮮奨学会(MC)
朝鮮奨学会(DC)
ドコモ(AIEJ)
豊田通商
豊秋奨学金(旧西秋奨学会)
名古屋 I ゾンタクラブ
NGK 留学生基金(学部)
NGK 留学生基金(大学院)
橋谷奨学会
服部海外留学生育英会
坂文種報徳会
ヒロセ国際奨学財団
船井情報科学振興財団 学部
船井情報科学振興財団 院
平和中島財団(学部)
平和中島財団(大学院)
平和中島財団(招致)
BPW 東海クラブ
ベターホーム協会
牧田国際育英会
みずほ国際交流奨学財団
三菱信託山室記念奨学財団
村田海外留学奨学会
名鉄国際育英会
ユアサ国際教育学術交流財団
ロータリー米山記念奨学会(学部)
ロータリー米山記念奨学会(院)
綿貫国際奨学財団(院レベル)
学習奨励費 大学院レベル16AD
学習奨励費 学部レベル16AG・RG
学習奨励費 大学院レベル15TD
学習奨励費 学部レベル15TG
学習奨励費 大学院レベル15WD
学習奨励費 学部レベル15WG
名古屋国際センター(支援金)15
合 計
奨学期間
2年6ヶ月
2年
1年
1年
1年
1年
2年
2年
2年
1年
最短年限
1年
1年
1年
一時金
2年
2年
2年
2年
2年
1年
2年
1年
1年
1年
1年
最短年限
最短年限
最短年限
2年
最短年限
1年
1年
1年
1年
最短年限
最短年限
最短年限
2年
1年
1年
2年
2年
2年
1年
1年
2年
2年
最短年限
1年
2年
1年
2年
2年
1年
1年
1年
6ヶ月
6ヶ月
3ヶ月
3ヶ月
1年
金 額(円)
100,000
90,000
70,000
50,000
40,000
50,000
100,000
120,000
100,000
60,000
150,000
100,000
150,000
80,000
300,000
150,000
50,000
100,000
100,000
130,000
20,833
100,000
33,333
33,333
100,000
100,000
25,000
40,000
50,000
120,000
70,000
50,000
30,000
120,000
160,000
100,000
50,000
70,000
100,000
100,000
100,000
100,000
120,000
200,000
100,000
60,000
100,000
120,000
100,000
12,500
80,000
100,000
120,000
150,000
150,000
73,000
52,000
73,000
52,000
73,000
52,000
10,000
応 募
採 択
継 続
1
1
2
4
9
−
1
1
2
1
1
1
2
2
3
1
1
2
1
12
3
1
3
6
1
1
0
2
0
−
5
1
1
1
10
1
−
3
2
1
1
1
1
0
1
−
−
−
−
7
10
1
1
18
0
99
14
8
2
4
0
89
347
0
1
0
3
4
−
1
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
1
0
0
3
0
1
3
1
1
0
1
0
−
3
1
0
1
10
0
−
2
1
1
0
1
0
0
1
−
−
−
−
7
1
1
1
7
0
99
14
8
2
4
0
27
213
2
1
0
0
0
1
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
1
0
0
1
0
0
0
0
1
0
0
0
0
1
2
0
1
0
1
7
1
0
0
0
0
0
0
0
24
応 募
採 択
継 続
0
0
6
16
0
−
7
1
24
92
−
2
2
0
150
0
0
0
0
0
0
6
0
−
1
0
2
−
0
9
0
0
0
0
0
0
11
0
0
0
0
0
0
0
11
合 計
2
2
0
3
4
1
1
0
0
0
2
1
0
0
0
0
0
1
1
0
3
0
1
3
1
1
0
1
1
0
3
1
0
1
11
0
0
3
1
1
0
1
1
0
1
0
0
1
2
7
2
1
2
14
1
99
14
8
2
4
0
27
237
〈個人直接応募〉
1
2
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
奨学団体名
部局(グループ)
アサヒビール芸術文化財団
青峰奨学財団(学部)
青峰奨学財団(大学院)
伊藤国際教育交流財団
岩谷直治記念財団
岩國育英財団
交流協会
公益信託 斉藤稜兒イスラム研究助成金
とうきゅう外来留学生奨学財団
日商岩井国際交流財団 ( 学部 / 院)
日本生命財団
富士ゼロックス小林節太郎記念基金
朴龍九育英会
盛田国際教育振興財団
合 計
奨学期間
金 額(円)
1年
最短年限
最短年限
2年
1年
2年
2年
100,000
50,000
70,000
180,000
150,000
120,000
184,000
2年
2年
1年
1年 / 件
1年
1年
160,000
70,000/10,000
150,000
1,000,000
70,000
1,000,000
−110−
合 計
0
0
0
0
0
0
17
0
0
1
0
2
0
0
20
−111−
0
7
0
0
大学等による借り上げ宿舎
留学生用宿舎
(地方自治体設置)
留学生用宿舎
(民間団体設置)
民間企業の社員寮
その他
合 計
民間下宿・アパート
〇内はホームスティで内数
0
133
214
81
14
0
3
5
0
0
30
0
126
28
1
一般学生用宿舎
(自校・他校設置)
公営及び住宅・都市整備公
団住宅
52
22
0
15
0
0
0
1
0
0
6
12
0
11
0
0
0
0
0
0
1
女
男
男
女
政府派遣
国 費
留学生用宿舎
(自校及び他校設置)
宿 舎 区 分
3.留学生の宿舎状況
406
6
228
67
14
15
8
0
4
64
男
10
699
①
162
18
42
42
0
8
213
計
407 1194
①
①
4
238
①
53
4
24
21
0
3
60
女
私 費
政府派遣
私 費
255
0
164
6
0
3
11
0
1
70
42
0
16
16
0
0
1
0
0
9
50
0
18
29
0
0
0
0
0
3
31
0
24
0
0
0
1
0
0
6
1
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
598
①
6
374
①
11
17
35
26
0
7
122
102
2
47
43
1
4
3
0
0
2
留学生会館52名,レジデンス105名,
国際嚶鳴館60名
備 考
服部留学生会館16名,
NGK インターナショナルハウス26名
10
699
①
竹越住宅3名,高針住宅3名,中村住宅2名,
中平住宅2名 他
市営住宅 梅森荘18名,本地荘12名,高坂荘5名,
新楠荘5名,大根荘3名,戸田荘2名,
中希望荘2名 他
162 県営住宅 平針住宅8名,野並住宅8名,猪子
石住宅8名,伝治山住宅5名,梅森坂住宅3名,
トヨタ自動車3名,中部電力2名,山田商会2名,
18 東邦ガス2名,ノリタケ1名,建光社1名,
デンソー1名 他
42
42 国際留学生会館42名
0
8
213
計
115 1194
①
2
56
57
0
0
0
0
0
0
単身 夫婦 家族 単身 夫婦 家族 単身 夫婦 家族
国 費
留学生の入居者数
平成16年5月1日現在
教育交流部門
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