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シンポジウム - 日本コンベンションサービス
シンポジウム S001 全部床義歯を進化させる −新技術と伝統との融合− S002 ここまで進んだ再生歯科医療の現在 S003 歯科矯正用アンカースクリューの臨床応用と最新情報 S004 口腔バイオフィルム研究の最前線 −基礎から臨床まで− S005 がん治療時の周術期口腔機能管理 ∼管理方法の標準化とエビデンス検証への取り組み∼ S006 地域連携最前線:国民目線の到達目標を考える S007 もっと知りたい全身と歯周病の関係 ∼歯周医学の最前線∼ S008 よく観る歯科医療 −マイクロスコープの有効活用− S009 インプラント治療とハード・ソフトティッシュマネージメント S010 高齢者歯科のキーワードは栄養である S011 ブラキシズムを口腔と全身との関わりから再考する S012 デジタルワークフローの現状と未来 S013 最新カリオロジーに基づく齲 マネージメントの実践 日時 10月22日(土) 9:00∼12:00 第1会場(メインホール) 会場 シンポジウム1 S001 【対象】 歯科医師 全部床義歯を進化させる いちかわ [モデレーター]市川 歯科技工士 −新技術と伝統との融合− てつ お 哲雄(徳島大学大学院医歯薬学研究部 口腔顎顔面補綴学分野 教授) 全部床義歯治療は全ての補綴歯科治療の基本であり,完成された治療技術のようで今なお議論されてい る。一方で,歯の喪失の減少,要介護高齢者の増加と難症例化など全部床義歯を取り巻く環境の変化だけで なく,デジタル化,McGill コンセンサスにあるインプラントオーバーデンチャーの推奨,診察・検査から 治療結果までのデータを整理・分析する方法など,新技術の波も押し寄せている。 そこで,これら新技術に関連するテーマを3つに絞り,全部床義歯の大家と次世代を担う補綴研究者のコ ラボレーションから,全部床義歯臨床に関する蓄積された知識と技術を新技術にどう生かし,患者の多様な 要求にどう応えるかを示したいと考えている。 ● S001―1 略歴 ● 1983年 徳島大学歯学部卒業/1987年 歯学博士(徳島大学大学院) CAD/CAM 義歯: 実践してみて思うこと あ べ 阿部 S001―2 インプラントオーバー デンチャー じ ろう かわはら ひで お 二郎 河原 英雄 (阿部歯科医院 院長/東北大学大学院歯学研 究科 口腔システム補綴学分野 臨床教授) (歯科河原英雄医院 院長) 全部床義歯を CAD/CAM 技術で完成させる方法は,印象体 をスキャンし,コンピュータ画面上で人工歯を配列,そして最 終的には,重合済みのレジンジスクを機械で削り出す画期的な 製作方法である。歯科技工における義歯不適合原因の石膏膨張 とレジン収縮を排除できるこの方法を用いて臨床試験を行った 結果,様々な問題が浮上してきた。この新たな技術を,歯科界 に確実に定着させるためには,まだ多くの追加研究と改良策が 必須である。 インプラントオーバーデンチャーの主役は,フルバランスを 与えた義歯であって,インプラントはそれに維持を提供するに 過ぎない。しかし下顎の安定しない難症例では患者さんに大変 喜ばれた。インプラント補綴の経過は,10,20年という単位で みたときには必ずしも芳しいものではないが,オーバーデン チャーの場合は装着後30年以上機能しているものも珍しくな い。長期経過を供覧し,予後を左右する要因として,咬合の安 定について考えたい。 ● 略歴 ● 1 981年 東京歯科大学卒業/2012年 博士号取得(東北大 学大学院歯学研究科) ,2012年 東北大学大学院歯学研究科口腔シス テム補綴学分野臨床教授,2013年 神奈川歯科大学大学院歯学研究科 口腔機能修復学講座顎咬合機能回復補綴医学分野客員教授 ● 略歴 ● 1 967年 九州歯科大学卒業/1983年 医学博士(久留米大 学医学部) ,元日本審美歯科協会会長,元日本顎咬合学会会長 S001―3 治療評価:無歯顎患者が失うも の,術者が与えられるもの うえはま あきら 上濱 正 (ウエハマ歯科医院 院長) 無歯顎患者が失うものは三次元的形態と口腔機能(感覚と運 動)である。患者は「何でもおいしく食べられ元気で長生きで きる全部床義歯」 ,術者は「エビデンスに基づく全部床義歯臨 床による治療評価の向上」を求めている。そのための情報(診 察・検査)を長期的予後の良い臨床と若手臨床医における臨床 から解説する。研究における現状と将来展望を補綴研究者(松 田謙一先生)に解説いただき,全部床義歯の進化に貢献した い。 指定発言: 金澤 学(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科) 略歴 ● 1989年 日本歯科大学歯学部卒業,1991年 茨城県土浦市にてウエハマ歯 科医院開業,1998年 日本歯科大学歯学部歯学特別研究生修了(歯学博士),2005年 日本歯科大学生命歯学部歯科補綴学第1講座非常勤講師,2014年 日本歯科大学生命 歯学部客員教授(現在に至る),2015年 日本顎咬合学会理事長(現在に至る) ● 1 熱田 生(九州大学大学院歯学研究院) 松田 謙一(大阪大学大学院歯学研究科) 日時 10月22日(土) 9:00∼12:00 第3会場(201) 会場 シンポジウム2 S002 【対象】 歯科医師 歯科技工士 歯科衛生士 ここまで進んだ再生歯科医療の現在 あさ ひ な [モデレーター]朝比奈 いずみ 泉(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 顎口腔再生外科学分野 教授) 再生医療に期待が寄せられて久しいが,歯科領域ではそのアクセスの容易さから比較的早期に臨床研究が 進められた。昨年11月に再生医療新法が施行されて以来,医科領域では iPS 細胞を用いた網膜再生をはじめ 様々な臨床研究が実施され,培養表皮に続き,培養軟骨,心筋シートが保険収載されるなど一気に実用化が 進んだ感がある。一方,歯科領域においても臨床研究の成果を元に改良が加えられ着実に実用化に近づいて いる。本シンポジウムでは,歯の再生に向けた iPS 細胞を用いた基礎的研究から,幹細胞を用いた歯槽骨再 生の臨床研究,そして歯髄細胞培養上清を用いた様々な組織再生の可能性まで,幅広い範囲での再生歯科医 療の現状を報告していただく。 略歴 ● 1983年 東京医科歯科大学歯学部卒業/1987年 博士(歯学) (東京医科歯科大学) ,1991年 ハーバード 大 学 リ サ ー チ・フ ェ ロ ー,1998年 東 京 医 科 歯 科 大 学 講 師,2003年 東 京 大 学 医 科 学 研 究 所 助 教 授,2006年 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科教授 ● S002―1 iPS 細胞を用いた エナメル芽細胞分化機構の解明 ふくもと さとし 福本 敏 S002―2 歯周組織再生療法の近未来 むらかみ しん や 村上 伸也 (東北大学大学院歯学研究科 小児発達 歯科学分野 教授) (大阪大学大学院歯学研究科 口腔治療 学教室 教授) 歯の再生を行なう為には再生に利用する細胞ソースが重要で ある。特にエナメル質を形成するエナメル上皮は,ヒトにおい てその細胞を得ることは極めて困難であることから,これらの 細胞を人工的に誘導する技術の開発が必要である。我々は近年 注目されている iPS 細胞を用いて,エナメル上皮の作成に成功 し,さらにエナメル芽細胞の分化誘導技術を開発した。本講演 ではこれらの成果を用いた最近の知見を紹介する。 既存の歯周組織再生療法に対するさらなる改善を期待して, 塩基性線維芽細胞増殖因子(FGF-2)を用いたサイトカイン 療法の開発が我が国で進められている。さらにその先を見据え て,歯周病患者の腹部脂肪組織に由来する間葉系幹細胞を用い た細胞移植療法の安全性・有効性が臨床研究として現在評価さ れている。本講演では,世界をリードするこれらの新規歯周組 織再生療法の開発現状と将来展望をご紹介させて頂く。 ● ● 略歴 ● 1 984年 大阪大学歯学部卒業/1988年 歯学博士(大阪大 学大学院歯学研究科) ,2013年 IADR Distinguished Scientist Award, Basic Research in Periodontal Disease Award 受賞 略歴 ● 1994年 長崎大学卒業/2000年 歯学博士(長崎大学) S002―3 骨再生治療: 基礎研究から臨床応用まで S002―4 脱落乳歯歯髄幹細胞由来の 無血清培養上清を用いた再生医療 かが み ひであき やまもと あきひと 各務 秀明 山本 朗仁 (松本歯科大学 口腔顎顔面外科学講座 教授/ 東京大学医科学研究所附属病院 先端診療部) (名古屋大学大学院医学系研究科 頭頸部感覚 器外科学講座咀嚼障害制御学分野 准教授) 骨不足はインプラント治療を困難にする大きな原因であり, 侵襲が少なく確実な骨再生治療法が求められている。本シンポ ジウムでは,骨再生治療の基盤となる骨再生のメカニズムに関 する基盤研究と,その臨床応用としての細胞治療の現状につい て紹介をする。華やかな臨床応用の一方で骨再生のメカニズム については十分に理解されていないことも多い。基礎研究の発 展は,さらに優れた骨再生法の開発につながるものと期待され る。 近年,再生医療の実現に対する期待が高まっているが,実用 化には多くの課題が山積している。我々は乳歯歯髄幹細胞の無 血清培養上清(SHED-CM)の驚異的な組織再生効果を報告し てきた。様々な難治性疾患モデルに歯髄幹細胞-CM を静脈内 投与すると病態が著しく改善する。SHED-CM は「万病の薬」 である。本発表では SHED-CM を用いた「細胞移植を必要と しない次世代再生医療」の開発について概説する。 ● 略歴 ● 1 988年 広島大学歯学部歯学科卒業/1991年 医学博士 (名古屋大学大学院医学系研究科) ,日本再生医療学会評議員,第3 回日本再生医療学会優秀演題賞 略歴 ● 1988年 長崎大学卒業/1992年 歯学博士(長崎大学大学 院歯学研究科) ● 2 日時 10月22日(土) 9:00∼12:00 会場 第4会場(202) シンポジウム3 S003 【対象】 歯科医師 歯科矯正用アンカースクリューの臨床応用と最新情報 みやわき [モデレーター]宮脇 しょういち 正一(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 歯科矯正学分野 教授) 歯科矯正用アンカースクリューは,平成24年7月に薬事承認され,平成26年4月に保険収載されて以降, 絶対的固定源として日常臨床で頻繁に用いられるようになった。そして,これまで困難であった大臼歯の大 きな近心移動,遠心移動および圧下による下顎のオートローテーションなどが容易に行えるようになった。 本シンポジウムでは,歯科矯正用アンカースクリューを用いた様々な臨床応用例を紹介するとともに,歯 科矯正用アンカースクリューの脱落を防止するための新たな補助装置の開発,ガミースマイル改善の新たな 取り組み,矯正治療後の長期安定性,ならびに外科的矯正治療成績の向上とリスク軽減への貢献などに関す る最新の知見を紹介する。 略歴 ● 1989年 大阪大学歯学部卒業/1995年 歯学博士(大阪大学) ,鹿児島大学歯学部長,日本矯正歯科学会 編集理事(Orthodontic Waves 編集委員長) ● S003―1 歯科矯正用アンカースクリュー 脱落の関連因子とその対応策 みやわき しょういち 宮脇 正一 S003―2 歯科矯正用アンカースクリューは外科的矯正 治療成績の向上やリスク軽減に寄与するか? −形態と機能のバランスを再考する− (鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 歯科矯正学分野 教授) よし だ のりあき 吉田 教明 (長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 歯科矯正学分野 教授) 近年,歯科矯正用アンカースクリューが絶対的固定源として 用いられ,これまで困難であった大臼歯の大きな近心移動,遠 心移動および圧下による開咬の改善などが容易に行えるように なった。 そこで,本講演では,まず,私共の治験例を紹介し,次に, アンカースクリューの脱落に関連する器械的嵌合力や歯根近接 などの重要性について述べ,最後に,これらの問題を解決する ための新たな維持力増加補助装置の開発について報告する。 外科的矯正治療において,骨切り術の進歩により手術成績は 格段に向上したが,最終ゴ−ルである咬合の長期安定や形態と 機能の調和が損なわれる症例も散見される。外科的矯正治療や 歯科矯正用アンカースクリューの適用による咬合高径の変化が 顎運動や咬合力を制御するメカニズムを変調させる。新たな環 境に筋群が適応することで,下顎位が術後変化(後戻り)する 経過を検証し,症例に応じた適正な治療オプションについて考 察したい。 ● 略歴 ● 1 989年 大阪大学歯学部卒業/1995年 歯学博士(大阪大 学) ,鹿児島大学歯学部長,日本矯正歯科学会編集理事(Orthodontic Waves 編集委員長) ● 略歴 ● 1 986年 長崎大学歯学部卒業/1997年 歯学博士(新潟大 学) ,日本顎口腔機能学会奨励賞 S003―3 正中口蓋部への アンカースクリュー応用の有用性 みやざわ けん 宮澤 健 (愛知学院大学歯学部 歯科矯正学講座 成人矯正歯科特殊診療科 教授) S003―4 アンカースクリュー埋入症例における 長期安定性と骨格性Ⅱ級症例の 下顎のオートローテーションについて こ やま いさ お 小山 勲男 (小山氏井矯正歯科クリニック 副院長) 当講座では,正中口蓋部への植立と付加装置の応用によっ て,これまで最も困難とされてきた大臼歯の遠心移動や圧下な ど3次元的コントロールが予知性を持って可能となった。この ことは,特にガミースマイルを伴う上顎前突に対する治療方法 として有効であると感じている。 今回は,我々が日常的に行っている治療方法を供覧させてい ただき,効果的なアンカースクリューを用いた矯正治療の現在 と今後の方向性について考えてみたい。 歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正治療後,長期に わたって観察した症例は極めて少ない。そこで,アンカースク リューを用いて矯正治療を行なった5症例の約10年間の安定性 について報告する。次に,これまで矯正治療による改善が困難 とされていた成人の骨格性Ⅱ級の改善について,歯科矯正用ア ンカースクリューを適用した結果,下顎のオートローテーショ ンにより,骨格性Ⅱ級が改善されたので,その治療例について も報告する。 ● 略歴 ● 1 988年 愛知学院大学卒業/1996年 博士(歯学) (愛知 学院大学) ● 略歴 ● 1 968年 大阪歯科大学卒業/1976年 歯学博士(大阪歯科 大学) ,第四軍医科大学客員教授,アメリカ矯正学会 Joseph Johnson Clinical Award 授与 3 日時 10月22日(土) 9:00∼12:00 第5会場(409+410) 会場 シンポジウム4 S004 【対象】 歯科医師 歯科技工士 歯科衛生士 口腔バイオフィルム研究の最前線 −基礎から臨床まで− たかはし [モデレーター]高橋 のぶひろ 信博(東北大学大学院歯学研究科 口腔生物学講座 口腔生化学分野 教授) 口腔バイオフィルムの研究は,特定の細菌と疾患との関係を解析する時代から,構成細菌の網羅的解析 (何がいるか?:メタゲノム解析)とその代謝等の機能の網羅的解析(何をしているのか?:メタボローム 解析) へと変わりつつある。さらに,構成細菌の持つ病原性の分子生物学的機構も徐々に明らかになってき た。近年の研究成果は,特定の細菌に原因を求める「特異的プラーク説」から,バイオフィルムを生態系と 捉え口腔環境との相互作用の中で病原性が発現すると考える「生態学的プラーク説」への転換を支持してい る。 本シンポジウムでは,口腔バイオフィルムの先端研究を紹介するとともに,口腔バイオフィルム性口腔疾 患の治療法についても考察する。 ● S004―1 略歴 ● 1984年 東北大学歯学部卒業/1988年 歯学博士(東北大学大学院歯学研究科) 口腔バイオフィルムを理解する: 「何がいるか?」から「何をしているのか?」へ S004―2 歯周病菌の細胞傷害戦略 たかはし のぶひろ あま の あつ お 高橋 信博 天野 敦雄 (東北大学大学院歯学研究科 口腔生物 学講座口腔生化学分野 教授) (大阪大学大学院歯学研究科 口腔分子 免疫制御学講座予防歯科学分野 教授) 口腔バイオフィルム研究は,構成細菌の網羅的解析(何がい るか?:メタゲノム解析)とその代謝等の機能の網羅的解析 (何をしているのか?:メタボローム解析)が主流となりつつ ある。「何がいるか?」に加えて「何をしているのか?」が明 らかになると,口腔バイオフィルムの何が解るのだろうか?。 本講演では,口腔バイオフィルム研究の歴史と最新の研究成 果を踏まえながら,口腔バイオフィルムを理解する。 歯周病と対峙するには最新の歯周病因論の理解が必要であ る。最も病原性の高い歯周病菌は18歳以降に口腔内に定着す る。その後,長い年月をかけてバイオフィルム細菌叢は自身の 病原性を高める。そして,歯周ポケットからの出血を機に,歯 周炎の本格的な進行が始まる。 本演題では,歯周病菌の巧妙な歯周組織破壊戦略について述 べたい。 ● 略歴 ● 1 984年 東北大学歯学部卒業/1988年 歯学博士(東北大 学大学院歯学研究科) 略歴 ● 1984年 大阪大学卒業/1990年 歯学博士(大阪大学) / Nakagawa et al, Science,306,1037−40,2004. Hamasaki et al, Nature,495,389−93,2013. S004―3 ● 口腔バイオフィルムの網羅的解析 から見える次世代の歯科医療 やました よしひさ 山下 喜久 (九州大学大学院歯学研究院 口腔保健 推進学講座口腔予防医学分野 教授) 齲 の原因菌はミュータンス連鎖球菌なのだろうか? 黒色 色素産生性嫌気性桿菌が歯周病菌なのだろうか? 近年の遺伝 子工学の急速な進歩で口腔細菌叢の全貌が解析可能となった 今,従来の古典的な細菌学感染症の概念は大きく変貌してお り,口腔疾患もその例外ではない。 本演題では口腔マイクロバイオームと齲 および歯周病の関 係から,マイクロバイオーム解析技術が予防を中心とした次世 代の歯科医療に果たし得る可能性を考察する。 * ● 略歴 ● 1 982年 九州歯科大学卒業/1986年 歯学博士(九州歯科 大学)/口腔マイクロバオーム解析の歯科医学における臨床的意義. 実験医学 32 ⑸:95−100,2014.口腔疾患とマイクロバイオーム. 医学のあゆみ 246 ⒀:1089−1093,2013. 4 * * 日時 10月22日(土)14:00∼17:00 第2会場(203+204) 会場 シンポジウム5 S005 【対象】 歯科医師 歯科技工士 歯科衛生士 がん治療時の周術期口腔機能管理 ∼管理方法の標準化とエビデンス検証への取り組み∼ うめ だ [モデレーター]梅田 まさひろ 正博(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 口腔腫瘍治療学分野 教授) がん治療時の合併症のリスクを軽減させる目的で,周術期口腔機能管理が広く実施されるようになった。 しかし管理方法の標準化や有効性に関するエビデンス検証はほとんどなされていないのが現状である。術後 創部感染,術後肺炎,口内炎,顎骨壊死,敗血症などの予防のためにはどのような口腔管理をすればよいの か? はたして合併症予防に口腔管理が役立っているのだろうか? 本シンポジウムは周術期口腔機能管理の有効性について多施設共同も含めた臨床研究を実施している4名 の先生に,これらの疑問点に答えていただくことを目的として企画した。周術期口腔機能管理の標準化やエ ビデンス検証に一歩でも近づくことができれば幸いである。 ● S005―1 略歴 ● 1983年 東京医科歯科大学卒業/1987年 医学博士(神戸大学) ,口腔腫瘍学会理事,口腔外科学会指導医 外来化学療法におけるエベロリムス 投与時の口内炎予防の検証 S005―2 ∼造血幹細胞移植における口腔ケア介入効果∼ にいくら なお き かしわざき はるひこ 新倉 直樹 柏崎 晴彦 (東海大学医学部 乳腺・内分泌外科学 講師) (北海道大学病院 高齢者歯科 講師) 癌治療における外来化学療法において口内炎予防のために強 く推奨できるエビデンスに乏しい。がん患者の化学療法前の口 腔内管理を推奨して施設もあるが,同様にエビデンスにもとづ いて行われている訳ではない。そこで我々は,高頻度に口内炎 を起こすエベロリムスを使用する症例に対する,口腔ケアの介 入試験を行っている。 本発表では外来化学療法における口内炎予防について過去の 研究,現在進行中の研究を発表する。 化学療法をうける患者の約40%に口腔合併症が生じ,重度に なると投与スケジュールや投与量の変更を余儀なくされる。口 腔合併症の制御は,患者の QOL のみならず治療成績に関連す るという点で,重要である。我々は,強力な化学療法に伴い口 腔合併症を高頻度に生じる造血幹細胞移植における口腔管理を 実施してきた。 本シンポジウムでは,これまで得られたデータを紹介し,化 学療法における有害事象を予防する方策を検討したい。 ● 略歴 ● 2 002年 東海大学医学部医学科卒業/2012年 医学博士 (東海大学) ,2012年 松前重義学術奨励賞,2014年 日本乳癌学会 学術奨励賞 S005―3 化学療法における有害事象予防 略歴 ● 1992年 北海道大学卒業/1997年 歯学博士(北海道大学 大学院) ,1998年 北海道医学会賞,2007年 日本口腔外科学会メダ ルティス賞 ● 食道がん術後肺炎予防に対する 周術期口腔機能管理の有効性 S005―4 −多施設共同後ろ向き研究− そう と め こ 抗菌薬局所投与による 口腔がん SSI 予防に向けた 多施設共同ランダム化比較試験 ふなはら 五月女さき子 船原まどか (長崎大学病院 周術期口腔管理センター 講師) (長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 口腔腫瘍治療学分野) 食道がん手術では術後肺炎リスクが高いことが知られてい る。その原因の一つに病原性微生物を含んだ唾液の誤嚥が考え られているが,これまで口腔ケアが術後肺炎発症予防に有効で あったとするエビデンスレベルの高い報告はない。そこで我々 は医科歯科連携医療研究グループ(JCDM)を発足させ,参加 6施設383例に対して口腔ケアの食道がん術後肺炎予防効果に ついて多施設共同後ろ向き観察研究を行ったのでその結果を報 告する。 皮弁再建や気管切開を伴う口腔がん手術では口腔内細菌数は 著しく増加するが,術前の口腔ケアのみでは周術期の口腔内細 菌数を抑制することはできない。われわれはテトラサイクリン 軟膏を舌背上に塗布すると約6時間は口腔咽頭貯留液中の細菌 増殖を抑制できることを確認した。これらの結果をもとに,本 法の口腔がん手術部位感染予防効果を明らかにする目的で昨年 より開始された多施設共同ランダム化比較試験の概要について 報告する。 略歴 ● 1997年 鹿児島大学卒業/2015年 歯学博士(鹿児島大 学) ● 略歴 ● 2 007年 兵庫県立総合衛生学院歯科衛生学科卒業,2012年 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科展開医療科学講座入学,在学中 ● 5 日時 10月22日(土)14:00∼17:00 会場 第4会場(202) シンポジウム6 S006 【対象】 歯科医師 歯科技工士 歯科衛生士 地域連携最前線:国民目線の到達目標を考える た むら [モデレーター]田村 ふみ よ 文誉(日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック 科長(教授)) 高齢者が可能な限り住み慣れた地域で,自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう地域 の包括的な支援体制の構築が急がれています。このためには,医療サービスや介護サービスに加えて,住ま いや移動,食事,見守りなど生活全般にわたる支援を併せて考える必要があるとされています。地域の隅々 まで立地し,地域に根ざした医療を展開する歯科医療は,食べることの専門家であると同時に地域の重要な 社会資源と言えます。本講演では,地域支援の先進事例を通じて歯科医療の在り方を論じていただきます。 ● 略歴 ● 1 989年 昭和大学卒業/1997年 歯学博士(昭和大学) ,日本障害者歯科学会理事,IADH Junior Award 受賞 S006―1 食べられる街づくり S006―2 ∼新宿における地域食支援の実践∼ ご とう ともゆき うら べ ひでのり 五島 朋幸 占部 秀徳 (ふれあい歯科ごとう 代表) (尾道市公立みつぎ総合病院 診療部長) 食支援とは単に摂食嚥下障害のキュアではない。食には多く の意味があり,その支援は多方面に及ぶ。東京都新宿区では, 2009年7月,新宿食支援研究会を立ち上げた。20職種以上,100 名以上のメンバーたちによって様々な取り組みを行っている。 このような活動の中で歯科の役割は小さくない。歯科医師が中 心になり他職種,多職種の連携の中で結果を出し続けている。 今回は,地域食支援における連携の意味を考えていく。 公立みつぎ総合病院は,地域包括ケアシステム発祥の病院で ある。その中で当院歯科は,生まれた時から最期の時を迎える まで“健口”を意識して,保健活動の企画・立案・実施を担う 歯科保健センター並びに外来・病棟・施設・在宅の診療を担う 歯科診療室を両輪として保健,医療,介護,福祉サービスを多 職種と連携して地域住民に提供している。 これまで我々が実践してきた事を皆様の診療の一助にして頂 ければ幸いである。 略歴 ● 1991年 日本歯科大学歯学部卒業/2000年 歯学博士(日 本歯科大学歯学部) ● 略歴 ● 1 985年 福岡歯科大学卒業/1990年 歯学博士(広島大学 大学院歯学研究科) ,日本歯科保存学奨励賞,国民健康保険中央会会 長表彰 ● S006―3 歯科が一翼を担う 地域包括ケアシステム 都市部での大学病院と 地域医療との連携による訪問診療 いし だ りょう 石田 瞭 (東京歯科大学 口腔健康科学講座摂食 嚥下リハビリテーション研究室 教授) 本学で摂食嚥下リハビリテーションを主体とした診療科を開 設して8年を迎えた。地域で経口摂取の支援を念頭に活動した 結果,必然的に訪問診療が増え,現在の姿となった。我々の到 達目標は,歯科医学教育・研修を通じ,地域で活躍できる歯科 医療従事者の育成と考えるに至った。 * ● 略歴 ● 1 996年 岡山大学歯学部卒業/2000年 博士(歯学) (昭 和大学) 6 * * 日時 10月22日(土)14:00∼17:00 会場 第5会場(409+410) シンポジウム7 S007 【対象】 歯科医師 歯科技工士 歯科衛生士 もっと知りたい全身と歯周病の関係 ∼歯周医学の最前線∼ なが た [モデレーター]永田 としひこ 俊彦(徳島大学大学院医歯薬学研究部 歯周歯内治療学分野 教授) 近年,口腔と全身との深い関連が次第に明らかにされ,歯科の外来だけでなく,医科の外来や病棟を含め た医療現場全体にわたって口腔の健康の重要性が力説されるようになった。とくに歯周病と全身との関連に ついては,世界中で多くの学術エビデンスが蓄積されている。これらの知見をもとに日本歯周病学会では 「糖尿病患者に対する歯周治療ガイドライン」や「歯周病と全身の健康」など,歯周医学に関するガイドラ インを複数発行し,国内の歯科臨床医に対して情報を発信してきた。これらの学術情報は日々進展してお り,本シンポジウムでは4名のトップランナーの先生方に,個々の専門の立場から歯周医学の最新情報を提 供していただく。 ● 略歴 ● 1 978年 九州大学卒業/1986年 歯学博士(九州大学) ,2013∼14年 日本歯周病学会理事長,2016年∼ 現在 徳島大学副学長 S007―1 糖尿病患者に対する 歯周治療のエッセンス S007―2 歯周病と関節リウマチの治療効果 にしむら ふさのり よし え ひろまさ 西村 英紀 吉江 弘正 (九州大学歯学研究院 口腔機能修復学 講座歯周病学分野 教授) (新潟大学大学院医歯学総合研究科 摂食環 境制御学講座歯周診断・再建学分野 教授) 糖尿病患者に対する歯周治療のエッセンスは,重度歯周炎に よって全身性に惹起された炎症を極力コントロールすることに ある。この治療理念を説明する上で,①なぜ糖尿病における歯 周病では局所の炎症が全身性に増幅されるのか,②炎症を極力 軽減することがなぜ大事なのかを正しく理解することが大切で ある。そこでこのたびの講演では,炎症に焦点を当て糖尿病と 歯周病の関連性を概説し,治療理念に対する理解を深める場と したい。 関節リウマチは,関節における滑膜の慢性炎症である。関節 リウマチ患者では,歯周病が重症化しやすく,炎症性サイトカ インが深くかかわり,関節リウマチと歯周病には,双方向性の 関係が示されている。歯周治療を行うと,関節の腫れや痛みが 減少し,また,生物製剤によるリウマチ治療を行うと,歯肉の 出血部位が減少するとの報告がある。最後に,歯周病・関節リ ウマチ患者に対する歯科医師・歯科衛生士の役割について述べ る。 略歴 ● 1985年 九州大学卒業/1996年 歯学博士(岡山大学) , 日本歯周病学会常任理事,日本歯周病学会学術賞 ● 略歴 ● 1 977年 新潟大学歯学部卒業/1981年 歯学博士(歯周病 学) (新潟大学大学院) ,日本歯周病学会理事長(2011年∼2013年) , 日本歯科医学会会長賞研究部門受賞(2015年) ● S007―3 妊婦さんに及ぼす歯周病の弊害 S007―4 歯周病と全身疾患の関連メカニズム・ 腸内細菌叢攪乱からの視点 いず み ゆういち やまざき かずひさ 和泉 雄一 山崎 和久 (東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 生体支持組織学講座 歯周病学分野 教授) (新潟大学大学院医歯学総合研究科 口腔保健学分野 教授) 近年,歯周炎が早産・低体重児出産と関連があることが注目 されている。Offenbacher ら(1996)により初めて報告され, 日本でも Hasegawa ら(2003)や Ye ら(2013)が歯周炎と切 迫早産もしくは早産との関連を報告し,歯周炎が胎盤に影響し ている可能性を示唆した。 妊婦さんや妊娠を考えている女性に向けて,日頃から十分な プラークコントロールを心がけ,口腔の健康を維持すること が,母子の健康増進に重要であることを強調したい。 歯周病と全身疾患を関連づけるメカニズムとして,歯周ポ ケット内の歯周病原性細菌や歯周炎組織で産生されたさまざま な炎症性サイトカインが全身循環を経由して持続的かつ軽微な 炎症を起こすと考えられてきた。我々は嚥下された歯周病原細 菌が腸内細菌叢を撹乱し,バリア機能や免疫能に影響を与える ことも関与していると考え,研究を行ってきた。 本講演ではこれまでの結果を提示し,口腔−腸管連関の重要 性について考えたい。 略歴 ● 1983年 東京医科歯科大学大学院歯学研究科修了/1983年 歯学博士(東京医科歯科大学) ,日本歯周病学会理事長,日本歯科医 学会常任理事 ● 略歴 ● 1 980年 神奈川歯科大学卒業/1985年 歯学博士(新潟大 学) ,日本歯周病学会常任理事,2016年 IADR Distinguished Scientist Award for Basic Research in Periodontal Disease 受賞 ● 7 日時 10月23日(日) 9:00∼12:00 第1会場(メインホール) 会場 シンポジウム8 S008 よく観る歯科医療 まえ だ [モデレーター]前田 【対象】 歯科医師 −マイクロスコープの有効活用− ひでふみ 英史(九州大学大学院歯学研究院 口腔機能修復学講座歯科保存学研究分野 教授) 今日,自分の歯を少しでも永く残して,健康な日常を送りたいという国民の希望は増加傾向にあり,これ は歯科疾患実態調査の結果に見られる残存歯数の顕著な上昇からも明らかである。このような現在の潮流に おいて,歯の保存を図るには,これまでの診断や治療方法に加えて,病態をさらに詳細に観察し,正確な診 断力と精緻な治療技術の導入が必要と考えられる。近年,広く普及するようになってきたマイクロスコープ は,そのニーズに十分に応えられる機器である。 本シンポジウムでは,3名の著名なシンポジストの先生にご講演をいただき,歯科治療の様々な場面での マイクロスコープの有効な活用方法とその症例について解説をいただく。 略歴 ● 1989年 九州大学歯学部卒業/1994年 歯学博士(九州大学) ,日本歯科保存学会理事,日本歯内療法学 会代議員 ● S008―1 マイクロスコープを用いた 精密歯科診療 S008―2 おかぐち もり お すず き まさ な 岡口 守雄 鈴木 真名 (岡口歯科クリニック 院長) (鈴木歯科医院 院長) マイクロスコープを歯周形成外科の分野に応用し早19年目を迎える。 この間歯科界における拡大システムの必要性に対する認識も変化し,今 ではマイクロスコープを臨床に応用する事は広く認められるようになっ た。 マイクロスコープの応用は歯科における全ての分野に有効だが,今回 は自身の専門とする歯周形成外科での有効性について臨床例を通し解説 する。こ の 中 で1997年 か ら 取 り 組 ん で い る CTG(Connective Tissue Graft)の応用とその長期予後を例に CTG の適応法を考察したい。CTG は広く世界中で口腔粘膜のマネージメントとして使用されているが明ら かな臨床基準を獲得していないと考える。そこで CTG の正しい適応と はどのような手法なのかを一つの仮説として解説するとともに多くの先 生方とディスカッションしたい。 近年,マイクロスコープは歯科界で大きな脚光を浴びていま す。審美修復や MI を極めようとすればするほど,肉眼の限界 を超えた精緻な処置が要求され,マイクロスコープなどの拡大 視野下での治療が必須となってきました。マイクロスコープ は,歯科医師の手をゴッドハンドに変えてくれる「可能性を秘 めたツール」と言えるでしょう。今回,マイクロスコープを用 いた精密な歯科治療を,私の臨床症例を通し紹介したいと思っ ております。 ● 略歴 ● 1976年 明治大学政治経済学部経済学科卒業,1986年 岩手医科大学歯学部卒 業,1993年 東京都千代田区にて開業,東京 SJCD 理事,東京 SJCD マイクロスコープインス トラクター,JEA 関東歯内療法学会理事,日本顎咬合学会指導医,カールツァイス公認マイ クロスコープインストラクター,AMED(academy of microscope enhanced dentistry)会員 S008―3 マイクロサージェリーの特徴と 長期経過からの考察 略歴 ● 1984年 日本大学松戸歯学部卒業,1989年 鈴木歯科医院 開業,2008年 鶴見大学歯学部口腔顎顔面インプラント科非常勤講 師,2009年 日本大学松戸歯学部客員教授 ● マイクロネイティブ世代が考える 歯内療法の未来 よしおか としひこ 吉岡 俊彦 (吉岡歯科医院/東京医科歯科大学大学院医歯 学総合研究科 歯髄生物学分野 非常勤講師) マイクロスコープの特徴である「拡大」と「視軸と光軸の一 致」は歯内療法において非常に有用である。根管内が明るく照 らされることで既存の知識では理解できない状態が見えてくる ことも少なくなく,歯内療法学はさらなる進化を必要としてい る。学生・研修医・大学院といった歯科医師としての基礎を築 く時期からマイクロスコープを用いて診療を行ってきたマイク ロネイティブ世代を代表して,歯内療法の現在と未来について 語りたい。 * 略歴 ● 2007年 東京医科歯科大学卒業/2012年 歯学博士(東京 医科歯科大学) ,日本歯内療法学会ガイドライン策定委員会委員,西 日本歯内療法学会理事 ● 8 * * 日時 10月23日(日) 9:00∼12:00 第2会場(203+204) 会場 シンポジウム9 S009 【対象】 歯科医師 歯科技工士 歯科衛生士 インプラント治療とハード・ソフトティッシュマネージメント わたなべ [モデレーター]渡邉 ふみひこ 文彦(日本歯科大学新潟生命歯学部 歯科補綴学第2講座 教授) インプラント治療には適応症の拡大,審美回復,長期の安定した予後の点から多くの症例でインプラント 周囲組織の環境整備,所謂軟組織・骨の造成が必須である。特に顎骨幅の小さいアジア人にとっては,骨移 植を応用することが多い。また厚い歯肉粘膜組織は骨組織の維持や審美回復に重要である。欧米人に比べて アジア人は薄い歯肉を有する者の割合が低く,インプラント治療においては不利になり易い。本シンポジウ ムではティッシュマネージメントについての術式,予後,必要性について議論する。 ● 略歴 ● 1 977年 日本歯科大学歯学部卒業/1982年 歯学博士(日本歯科大学歯学部) ,2012年∼公益社団法人日 本口腔インプラント学会理事長 S009―1 インプラント周囲への軟組織増生 S009―2 Minimally Invasive Surgery −インプラント周囲の軟組織移植術,骨造成術への応用− なか た こう た ろう さ とう たく や 中田光太郎 佐藤 琢也 (医療法人社団洛歯会 中田歯科クリニック 院長) (サトウ歯科デンタルインプラントセン ター大阪 理事長) インプラント修復治療において長期の予知性を考える上で, 生物学的な観点からはインプラント周囲に構築した組織をいか に経年的に保存・維持できるか,また審美的な観点からは軟組 織を含めた審美性の達成が求められ,治療のマネージメント 上,軟組織量,形態をいかにコントロールするかが非常に重要 である。歯周形成外科の手法を応用した軟組織増生について科 学的根拠と臨床について検証したい。 最小の外科的侵襲にて,生物学的,審美的にも満足しうる治 療結果を達成しようとする MIS(Minimally Invasive Surgery)が提唱されつつある。すなわち,強拡大視野で行う新 しい手術術式により,患者の疼痛を軽減し,生物学的,かつ審 美学的により良好な治療結果を獲得する試みである。 本講演ではインプラント周囲の軟組織・骨移植におけ る MIS を詳述し,難症例に対する先鋭的な治療の実際を供覧し つつ,この意義について諸兄と共に議論を深めたいと思う。 ● 略歴 ● 1990年 福岡県立九州歯科大学卒業 S009―3 略歴 ● 1998年 大阪歯科大学卒業/2003年 歯学博士(大阪大学大 学院歯学研究科),2005年 UCLA 留学,日本口腔インプラント学会専門 医,日本補綴歯科学会専門医,日本審美歯科学会代議員,認定医,日本 デジタル歯科学会代議員,大阪歯科大学歯科技工士学校非常勤講師 ● 上顎洞底挙上術における イノベーション S009―4 インプラント周囲の感染制御と 軟組織接着の革新 あめみや けい すずかわ まさひこ 雨宮 啓 鈴川 雅彦 (藤沢歯科ペリオ・インプラントセン ター 院長) (AIC デンタルクリニック 院長/広島大学大学 院医歯薬保健学研究院 歯周病態学分野研究室) 上顎臼歯欠損部インプラント治療において十分な骨量が得ら れない場合,頰側アプローチによる上顎洞底挙上術は確立され た手術方法である。しかし一方で,術後の腫脹や疼痛,感染と いった偶発症の発生頻度が高いことが欠点となる。そこで今 回,低侵襲に確実な剥離挙上が可能となる,超音波切削器具を 用いた歯槽頂アプローチを紹介し,上顎洞底挙上術におけるイ ノベーションについて,症例を交えながら考察したい。 インプラント治療を受ける患者数は増加の一途をたどり,そ れに伴いインプラント周囲病も増加傾向にある。インプラント は異物である事から上皮組織による被包化を受け,深いインプ ラント周囲溝を形成する。その結果として細菌バイオフィルム を形成する事となる。感染の入り口はインプラント表面と軟組 織の接合部分であり,これらをより強く結合させる技術革新が 存在する。インプラントへの感染制御は今後の課題であり難題 でもある。 ● 略歴 ● 1 999年 東京歯科大学卒業/2003年 歯学博士(東京歯科 大学大学院歯科麻酔学) ,日本歯周病学会歯周病専門医第982号,日本 口腔インプラント学会専門医第630号 ● 9 略歴 ● 1992年 岡山大学歯学部卒業 日時 10月23日(日) 9:00∼12:00 会場 第4会場(202) シンポジウム10 S010 【対象】 歯科医師 歯科衛生士 高齢者歯科のキーワードは栄養である よし だ [モデレーター]吉田 みつよし 光由(広島大学大学院医歯薬保健学研究院 先端歯科補綴学研究室 准教授) 「食べる」ことは高齢者にとって一番の楽しみであると言われている。我々は,歯科医療を通じて「食べ る」ことを守ることで国民の QOL 向上に貢献してきた。しかしながら,「食べる」ことの一番の目的は栄 養摂取である。我々はこのことを見過ごしてきたきらいがある。超高齢社会を迎え,口から食べることが当 たり前でなくなった今日,口腔の機能に応じた食事選択や食べ方の指導,さらには,歯科治療を通じた栄養 改善を図ることが我々の大きな使命である。歯科医療は生死とは関わらないからと言われていたのはもはや 過去の話である。高齢者歯科を通じて歯科と栄養を科学していくことが健康長寿につながることを立証して いきたい。 ● 略歴 ● 1 991年 広島大学卒業/1998年 歯学博士(広島大学) ,日本老年歯科医学会評議員,日本摂食嚥下リハ ビリテーション学会評議員 S010―1 生活習慣病(NCDs)を予防・ 改善するための歯科補綴の役割 S010―2 たけうち ひろあき きくたに たけし 武内 博朗 菊谷 武 (神奈川県綾瀬市開業(医療法人社団 武内歯 科医院 理事長)/鶴見大学歯学部 臨床教授) (日本歯科大学口腔リハビリテーション 多摩クリニック 院長(教授)) 大臼歯の喪失により咀嚼機能が低下すると,糖質偏重食及び 食速度増加に伴う過食など不適切な食習慣となる。これら口腔 虚弱(オーラルフレイル)が,タンパク質低栄養を経由して NCDs を招く傾向がある。 本シンポジウムでは,歯科補綴による咀嚼機能回復を第一評 価指標に,補綴及び保健指導による健康増進効果を第二評価指 標として,食後高血糖,体組成(骨格筋量・骨量・体脂肪量) の改善事象よりその効果を明らかにする。 高齢者が可能な限り住み慣れた地域で,自分らしい暮らしを 人生の最期まで続けることができるよう地域の包括的な支援体 制の構築が急がれています。なかでも,食べることの支援は在 宅生活を続けるうえで重要です。地域の隅々まで立地し,地域 に根ざした医療を展開する歯科医院は,食べることの専門家で あると同時に地域の重要な社会資源と言えます。 本講演では,地域の歯科医院が行う食べることの支援の重要 性についてお話します。 ● 略歴 ● 1 987年 日本大学歯学部卒業/1991年 横浜市立大学医学 研究科大学院 博士課程修了(医学博士) S010―3 地域で「食べる」を支えるという こと ● 略歴 ● 1989年 日本歯科大学歯学部附属病院高齢者歯科診療科入局,2001年10月より附属 病院口腔介護・リハビリテーションセンターセンター長,2005年4月より助教授,2007年4月 より准教授,2010年4月 教授,同年6月 大学院生命歯学研究科臨床口腔機能学教授,2012 年1月 東京医科大学兼任教授,同年10月 口腔リハビリテーション多摩クリニック院長 嚥下機能が低下して高齢者でも 低栄養にならないために かやした じゅん 栢下 淳 (県立広島大学人間文化学部健康科学科 教授) 嚥下機能が低下した場合に嚥下調整食を提供することが多い が,柔らかく仕上げるために加水を行う必要がある。このため 栄養価は低下する。つまり嚥下調整食を提供する場合には,ど のような形態が適するかを考えることと,低栄養状態に陥りや すいことを認識しておく必要がある。最近の研究では,高齢者 はたんぱく質の同化機能が低下していることや至適 BMI が70 歳以上では22. 5∼27. 4kg/m2という結果も報告されている。 * 略歴 ● 1988年 徳島大学医学部栄養学科卒業/1999年 栄養学博士(徳島大学)/1) The Need for International Terminology and Definitions for Texture-Modified Foods and Thickened Liquids Used in Dysphagia Management : Foundations of a Global Initiative Cichero JAY, Steele C, Duivestein J, ClavéP, Chen J, Kayashita J, Dantas R, Lecko C, Speyer R, Lam P, Murray JCurr Phys Med Rehabil Rep, 1,280−291,2013.2)Determination of a Suitable Shear Rate for Thickened Liquids Easy for the Elderly to Swallow Yamagata Y, Izumi A, Egashira F, Miyamoto K, Kayashita J Food Sci Technol Res., 18,363−369,2012. ● 10 * * 日時 10月23日(日)14:00∼17:00 第3会場(201) 会場 シンポジウム11 S011 【対象】 歯科医師 ブラキシズムを口腔と全身との関わりから再考する ふじさわ [モデレーター]藤澤 まさのり 政紀(明海大学歯学部 歯科補綴学分野 教授) ブラキシズムは夜間を中心とする睡眠時ブラキシズム(Sleep Bruxism,以下 SB)と日中のくいしばりを 中心とする覚醒時ブラキシズム(Awake Bruxism,以下 AB)に大別され,歯科臨床では高い関心がもた れている。SB は睡眠障害の範疇に含まれているが,睡眠障害の立場からの SB はメインストリームとは言 いがたい。このような状況の中で SB への対応を考えるとき,睡眠医学の観点からも SB が置かれている立 場をもう一度見つめる必要があろう。 本シンポジウムでは歯科的対応を含め,全身との関連を俯瞰し,ブラキシズム対応に関する新たな展開を 探りたい。 ● S011―1 略歴 ● 1984年 岩手医科大学卒業/1988年 歯学博士(岩手医科大学大学院) 咀嚼筋筋電図バイオフィードバック による Bruxism コントロール ふじさわ まさのり 藤澤 政紀 S011―2 生理学的要素によって形成される 疾患多様性を考える −睡眠時無呼吸症候群から睡眠時ブラキシズムへ− (明海大学歯学部 歯科補綴学分野 教授) やまうち もと お 山内 基雄 (奈良県立医科大学 内科学第二講座 准教授) ブラキシズムに対するマネージメントには,スプリント装 着,薬物療法,認知行動療法などが挙げられる。 本講演では認知行動療法の一つである EMG バイオフィード バック訓練によるブラキシズム抑制効果を紹介する。開発した 携帯型筋電計による覚醒時ブラキシズム,睡眠時ブラキシズム の抑制効果に加え,全身との関連の観点から,睡眠中の脳波の 変化に見られる睡眠の質に及ぼす効果についても敷衍したいと 考える。 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の病因病態は,解剖学 的に狭小化した上気道が睡眠中に閉塞してしまうといった単純 なメカニズムで説明されるものではない。睡眠生理と呼吸生理 が複雑に絡み合うが故に存在する OSAS の疾患多様性を考え ることは概念的に睡眠時ブラキシズムの病態理解と治療戦略に 通ずるものがあると考える。 本セッションでは生理学的要素によって形成される OSAS の疾患多様性を紹介したい。 ● 略歴 ● 1 984年 岩手医科大学卒業/1988年 歯学博士(岩手医科 大学大学院) S011―3 略歴 ● 1995年 奈良県立医科大学卒業/2010年 医学博士(奈良 県立医科大学) ,日本呼吸器学会(専門医,代議員,肺生理専門委 員) ,日本睡眠学会研究奨励賞 2012年 ● 自己観察と自己暗示法による Sleep Bruxism のコントロール いけ だ まさひこ 池田 雅彦 (池田歯科クリニック 院長) Sleep Bruxism(SB)は,歯や歯周組織,顎関節など顎口腔 系に多大な影響を及ぼし各種の障害を与えている。また,睡眠 障害の原因因子の1つとも考えられている。現在,SB そのも ののコントロールは出来ないといわれている。私の診療室では 40年来 SB の評価法を確立し,SB のコントロールを試みてき た。今回,自己観察と自己暗示法による SB のコントロールの 手順とその効果を発表し皆様と討論したい。 ● * 略歴 ● 1973年 北海道大学卒業 11 * * 日時 10月23日(日)14:00∼17:00 第4会場(202) 会場 シンポジウム12 S012 【対象】 歯科医師 歯科技工士 デジタルワークフローの現状と未来 さ とう [モデレーター]佐藤 ひろのぶ 博信(福岡歯科大学 咬合修復学講座 冠橋義歯学分野 教授) CAD/CAM 技術の進化によって,歯冠修復の手法が鋳造から CAD/CAM 加工へと大幅に変化する大航 海時代がやってきた。平成26年4月より小臼歯の齲 治療に CAD/CAM 冠が保険に収載され,その勢いに は加速度がついている。このほかにも CT・MRI をはじめとする画像診断機器,ナビゲーションを利用した 手術支援機器などなど,医科も歯科もデジタル技術をなくして,現代の医療は成り立たない。そこで,本シ ンポジウムでは歯科技工の分野も含めた歯科医療におけるデジタルワークフローの全体像の現状と未来につ いて発表をし,意見交換をする。 ● S012―1 略歴 ● 1977年 九州歯科大学卒業/1981年 歯学博士(九州歯科大学大学院) デジタルワークフローの全体像 さ とう ひろのぶ 佐藤 博信 S012―2 歯科医療における CAD/CAM テクノロジーの真髄 −CAD/CAM システムの進化とトレーサビリティへの対応− (福岡歯科大学 咬合修復学講座 冠橋義 歯学分野 教授) すえ せ かずひこ 末瀬 一彦 (大阪歯科大学 歯科審美学室 教授) 現在歯科領域で着目されているデジタル技術の全般的活用例 をまず報告するとともに,CAD/CAM 機器などが,なぜまた どのようにして技術革新を進ませてきたのかなどを考察する。 さらに,今後の歯科医療におけるデジタル機器の活用をどのよ うに行うかということに焦点をあて,デジタルワークフローの 全体像を考えるとともに,今回のシンポジウムの企画について 解説する。 CAD/CAM システムの普及によって補綴治療が大きく変革 され,ジルコニアやハイブリッド型コンポジットレジンなどの 新素材が審美修復材料として適用されている。さらに3D プリ ンターによる模型やレジンパターンの製作も可能になってき た。しかし,一方では CAD/CAM システムはデータの送受信 によって作業が進むことからその取扱いには慎重な配慮が必要 である。 ● 略歴 ● 1 977年 九州歯科大学卒業/1981年 歯学博士(九州歯科 大学大学院) ● 略歴 ● 1 976年 大阪歯科大学卒業/1980年 歯学博士(大阪歯科 大学大学院) S012―3 歯科用 CT の可能性とその留意点 S012―4 口腔工学と デジタルデンティストリー あら い よしのり き はら たく や 新井 嘉則 木原 琢也 (日本大学歯学部 特任教授) (広島大学大学院医歯薬保健学研究院 統合健 康科学部門 口腔生物工学分野 特任助教) 歯科用 CT によるシミュレーションは,すでに患者への侵襲 性の高い外科手術を安全に実施するために広く応用されてい る。今後は侵襲性が低い補綴物の製作にも,難症例に対して応 用されることが期待されている。しかし,歯科用 CT は① CT 値の安定性,②コーン角による特徴的なアーチファクト,③被 曝の正当化と最適化等に留意が必要である。これらを最適化し た新しいコンセプトの3D 咬合器についても,症例を提示す る。 工学や IT 技術の発展に伴い,歯科医療のワークフローが大 きく変化しつつある。口腔工学では全身の健康を口腔から維持 促進することを目指し,デジタルデンティストリーに関連した 臨床・研究を行ってきた。新しい医療の展開に向けた,口腔工 学と補綴歯科や矯正歯科及び,口腔外科等との連携,さらには 医科との連携診療支援を紹介し,将来のデジタルデンティスト リーの可能性について一考したい。 ● 略歴 ● 1 984年 日本大学歯学部卒業/1988年 歯学博士(日本大 学) ,歯科用 CT の開発 略歴 ● 2009年 広島大学卒業/2014年 口腔健康科学博士(広島 大学) ,Dental Materials Adviser ● 12 日時 10月23日(日)14:00∼17:00 第5会場(409+410) 会場 シンポジウム13 S013 【対象】 歯科医師 歯科衛生士 最新カリオロジーに基づく齲 マネージメントの実践 はやし [モデレーター]林 み か こ 美加子(大阪大学大学院歯学研究科 口腔分子感染制御学講座 歯科保存学教室 教授) 本年4月の診療報酬改定で「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の評価」にて「エナメル質初期う 管理加算」が保険収載されたことは,日常臨床でのう への対応が,従前の盲目的な「削って詰める」から 脱却し,生物学的な視点でう をマネジメントするよう,歯科医療行政が舵を切ったことを示している。 本シンポジウムは,まず,う マネジメントの世界的な潮流を概説し,続いてエナメル質初期う に対す る再石灰化療法と,MI の理念による先進の修復材料・技術,さらには,歯科医院全体で取り組むう マネ ジメントの成功の鍵を解説することで,最新カリオロジーの知見に基づくう への対応を,包括的かつ深く 考える機会とすべく企図した。 ● S013―1 略歴 ● 1987年 大阪大学卒業/1997年 歯学博士(大阪大学) モダンカリオロジーの 世界的な潮流を知る はやし 林 み か S013―2 こ 美加子 カルシウムおよびフッ化物配合 ガムを用いた内科的う 療法の実践 きたさこ ゆういち 北迫 勇一 (大 阪 大 学 大 学 院 歯 学 研 究 科 口 腔 分 子 感染制御学講座 歯科保存学教室 教授) (外務省大臣官房歯科診療所 外務技官(医療職)/東京 医科歯科大学大学院 う 制御学分野 非常勤講師) 2015年のわが国の12歳児 DMFT は0. 9本と,北欧並みのレベ ルが示された。しかし,成人のう 罹患率は過去25年間ほぼ 100%に近い横ばい状態で,65歳以上のう は増加している。 世界では,う を糖尿病や肥満などと同様の予防可能な「非感 染性疾患」と位置付け,生活習慣病コントロールの一環とし て,地域社会でう 予防を推進する潮流がある。これらについ て,わが国のう 予防への適応の可能性を考えてみたい。 近年,生物学的なう 管理が着目され,エナメル質初期う に対する内科的アプローチ(再石灰化療法)が重要な役割を担 う時代を迎えつつある。これまで,再石灰化療法には,フッ化 物が多用されてきたが,最近では,カルシウムおよびフッ化物 配合ガムが登場し,食品を介したう 管理が可能となった。本 シンポジウムでは,フッ化物による再石灰化療法の概要ととも に,同ガムの臨床効果について光干渉断層画像診断法を交え紹 介する。 ● 略歴 ● 1987年 大阪大学卒業/1997年 歯学博士(大阪大学) S013―3 略歴 ● 1993年 長崎大学卒業/1997年 歯学博士(東京医科歯科 大学) ,日本歯科保存学会う 治療ガイドライン作成委員会・IADR Lion award 受賞 ● MI に基づく生物学的う 治療の 実際 ひ S013―4 一般開業歯科医院における カリエスマネージメント の うら こう い とう あたる 日野浦 光 伊藤 中 (日野浦歯科医院/日本大学 客員教授) (医療法人 伊藤歯科クリニック 院長) 口腔内の健康増進を目指して,う窩を作りたくない,あるい はすでに修復治療を受けているう 部位をさらに大きくしたく ないとの希望が強くなっている。そのような時代背景の中,う リスクの異なるそれぞれの人々の口腔内を守り,そしてう 進行の様々なステージでの治療と治療後のさらなる予防に対応 できるように知識を集積したい。「健康な人がより健康になる ための歯科医院」を目指して,そして次の一手は! 「う が減少して歯科医師の仕事が減った」と耳にすること が多い。これは「修復治療=う 治療」の考え方に立脚するも ので,現在のカリオロジーの知識は修復治療だけでは不十分で あることを示している。低う 時代のう 治療においては,継 続的なメインテナンスが必須であり,歯科医院,中でも歯科衛 生士は非常に多くの仕事を求められる。 今回は,臨床例を提示しながら,これからのう 治療のスタ イルの一例を紹介したい。 ● 略歴 ● 1 979年 日本大学歯学部卒業/1983年 歯学博士(日本大 学) ● 略歴 ● 1 990年 大阪大学歯学部卒業/2010年 歯学博士(大阪大 学) 13