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今月の専門科診療

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今月の専門科診療
PAL
今月の専門科診療
犬糸状虫症(フィラリア症)
パル動物病院
診察を行います。ご希望の方
NEWS
2007 年 4 月号
~人と動物の絆~
よりよい関係を目指して
私たちは最先端の診療技術を生かし、
地域に密着した動物病院を目標にして
おります。
〈診療時間〉
裾野センター病院
月~土
午前 9:00 ~ 12:00
午後 2:00 ~
日・祝
9:00
午前 9:00 ~ 12:00
午後 2:00 ~
7:00
は事前にご予約下さい。
今回は春から予防が必要になる犬糸
[ 検査法 ] 採血して犬糸状虫の検査
状虫症についてお話します。
キットを使用します。また血液を顕微
[ 原因 ] 犬糸状虫の感染により起こり
鏡で観察し、フィラリアの幼虫(ミク
ます。感染は子虫をもった蚊に刺され
ロフィラリア)の有無を確認します。
ることにより起こります。犬糸状虫の
フィラリアの寄生が認められたら症状
成虫はそうめん様の形をしており、主
に応じて、レントゲン、超音波検査を
な寄生部位は心臓(右心室)と血管(肺
行います。
動脈)です。
[ 治療 ] 成虫の駆虫薬はありますが、
4月 26日(木)
[ 症状 ] 感染初期や軽度の感染では無
死んだ虫が血管につまり生命に危険を
エキゾチック・ペットクリニック院長
症状のことが多いです。しかし感染が
及ぼすことがあるので、投薬は症状に
霍野 晋吉 先生
長期および重度になるにつれ、咳や呼
合わせて選択します。しかし咳や呼吸
吸困難、頻呼吸などの呼吸器症状や心
困難などがある場合は、その症状を和
不全が起こり、運動することを嫌がり
らげる治療薬を用います。また感染し
ます。また二次的に腹水症、胸水症、 ていても、これ以上の感染を防ぐため
肺水腫など胸やお腹に水が溜まること
歯 科
4月 11日(水)
歯学博士
奥田 綾子 先生
エキゾチックペット
腫瘍科
4月 10日(火)
麻布大学獣医学部附属動物病院
川村 裕子 先生
予防は必ず行います。
もあります。急性フィラリア症では、 [ 予防 ] 蚊が発生する期間(4月また
画像診断科
午前 9:00 ~ 12:00
急激に血管内で血液が破壊されるため、 は5月~11月)、月に一回予防薬を
4月 21日(土)
午後 2:00 ~
コーヒーや醤油のような赤褐色の尿を
飲ませます。フィラリア症は死に至る
沼津病院
平日
今月は下記の日程で専門科の
7:00
木曜日
休診
排泄し、発熱、貧血、呼吸困難、黄疸(お
こともある病気なので予防はしっかり
日・祝
午前 9:00 ~ 12:00
うだん)を起こします。
行いましょう。
眼 科
4月 4日(水)
、
7日(土)
、14日(土)
、
裾野センター病院
TEL: 055-993-3135
当院では病院内での注射のほかに、例年通り往診での注射(往診料無料)
沼津病院
狂犬病予防注射
TEL: 055-922-6255
も受け付けております。ご希望の方はお気軽にご予約ください。
18日(水)
、21日(土)
、
25日(水)
、28日(土)
獣医学博士
小野 啓 先生
疥癬(かいせん)と毛包虫(もうほうちゅう)
イヌに寄生する種をイヌ二キビダニ(犬毛包虫)
、ネコに寄生する種をネ
犬や猫の体表にはノミやダニなどさまざまな外部寄生虫が寄生し、
コ二キビダニ(猫毛包虫)
、ハムスター類にはまた別の種類の毛包虫類が
それが原因で皮膚病が起こります。今回はその中から、ダニでも草む
寄生します。この毛包虫が皮膚内に過剰に増殖したときにおこる炎症性
らなどにいるマダニ類とは異なる、少々厄介なダニである疥癬と毛包
皮膚疾患を毛包虫症と呼び、これはイヌに多くみられます。毛包虫は名
虫症についてお話します。
のとおり毛穴に寄生し、ここで産卵を行い一生を過ごします。
【疥癬】
毛包虫は他の動物との接触により感染し、一般に犬の半数以上が感染
疥癬の原因は、犬はイヌセンコウヒゼンダニ ( 犬疥癬虫)、猫はネ
していると言われていますが健康な犬には起こりにくい病気です。症状
コショウセンコウヒゼンダニ(猫疥癬虫)という小型のダニです。体
が現れるのは生後4~9ヶ月齢の幼犬や年老いた犬、あるいは何らかの
長 0.1 ~ 0.4mm でほぼ球形をしています。センコウヒゼンダニは、名
原因で免疫力の低下した犬に発症します。この他栄養状態、ストレス、
の通り寄生する動物の皮膚を刺し、皮膚の中で一生を過ごします。皮
発情なども発症に関連しているという報告もあります。
膚内に穴を掘り動きまわることによって、動物にかゆみが生じます。
感染初期は口や目の周り、顔面、四肢の先端などに脱毛がおこり、局
イヌセンコウヒゼンダニは全身の皮膚に寄生しますが、比較的被毛
所的な場合と全身に広がっていく場合があります。イヌ、ネコに寄生す
の少ない耳や目の周り、顔面、肘、四肢端、腹側、および下腹部によ
る毛包虫は、人間に寄生するものと同一種と考えられることもあります
く寄生します。一方ネコショウセンコウヒゼンダニは、特に顔面、四
が、一般にイヌやネコから人間に感染することはないそうです。
肢に寄生することが多いといわれています。主にダニ保有動物との接
疥癬、毛包虫症ともに皮膚の症状からおおよその感染の予測が可能で
触で感染し、年齢、季節、品種に関係なく発症します。
す。しかし確実に診断を行うためには、皮膚の一部を掻きとって顕微鏡
犬に寄生するセンコウヒゼンダニは、人間に寄生するものと同一種
で観察します。この掻きとり検査によってダニが見つかれば確定となり
または非常に近縁の種と考えられています。ただし、犬と人間では感
ますが、皮膚内に潜む小型のダニやその卵はなかなか検出するのが難し
染性が異なるようで、免疫が低下している人でない限り、ずっと寄生
く、たとえダニが検出されなくても何回か繰り返して検査を行うことも
することはほとんどないようです。しかし、センコウヒゼンダニ、ネ
あります。治療は駆虫薬を使用します。しかしこの駆虫薬は体に負担が
コショウセンコウヒゼンダニともに、一時的に人間に感染することが
かかることもあるので、年齢や品種、体調を考慮しながら何回かに分け
あります。この場合、著しい皮膚病変は形成されませんが、激しい痒
て使用します。
みを伴う皮膚炎が発生します。疥癬にかかったイヌやネコへの接触は
疥癬は皮膚病の中でも痒みがかなり強いといわれ、毛包虫症は治療に
十分に注意しなければなりません。
長期を有することが多い皮膚疾患なので、共に早期の発見が大切となり
【毛包虫】
毛包虫はニキビダニともいわれる体長 0.2mm 程の小型のダニです。
ます。
パルニュース 2007 年 4 月号
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