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第2 【事業の状況】
第2 【事業の状況】 1 【営業の状況】 (1) 営業実績 当第1四半期連結会計期間におけるセグメントごとの営業実績は次のとおりであります。 セグメントの名称 売上高(百万円) 広告業 情報サービス業 その他の事業 計 (注) 前年同四半期比(%) 404,380 ─ 12,376 ─ 5,654 ─ 422,411 ─ 上記金額に消費税等は含まれておりません。 なお、上記売上高には、セグメント間取引の金額が当第1四半期連結会計期間について5,412百万円含まれてお ります。 (2) 国内における広告取引の状況 ① マスメディア広告取引 マスメディアの広告料金は、各メディア会社の発行する広告料金表に定められております。通常の 媒体広告取引は、この料金表の定価を基に行われますが、引合状況等により、実勢価格は異なりま す。 なお、当社グループではマスメディアにつき広告料金全額を売上高として計上し、メディア会社に 支払う広告料金から取引手数料を控除した金額を売上原価として計上しております(図1参照)。 図1 広告のスペースまたは時間枠の取引 またメディアで掲載・放送する広告の企画・制作(クリエーティブ)等に係る収入については、上記 手数料とは別に企画料・制作料等の報酬を広告主から得ております。企画・制作作業に関して制作会 社等の協力会社に対して外注費が発生する場合には、当社およびグループ各社の利益を外注費に加え て広告主に請求しております(図2参照)。 図2 広告の企画・制作(クリエーティブ)等の取引 ― 4 ― ② その他の広告取引 その他の広告取引には、交通広告等、マスメディア広告と同様に広告料金表に応じて取引を行う場 合、サービスの内容に応じて広告主および発注先と個別に交渉を行って広告料金を決定する取引を行 う場合等があります。その他の広告取引のうち比較的広告料金が確定しているものは、交通広告であ ります。 2 【事業等のリスク】 当第1四半期連結会計期間において、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の異常な変動 等又は、前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について重要な変更はありません。 3 【経営上の重要な契約等】 当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。 4 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1) 業績の状況 当第1四半期連結会計期間の日本経済は、輸出や政策効果を背景に回復の傾向がみられたものの、ギ リシアの財政問題をきっかけにして、欧州の信用不安が高まるなど、依然として先行きは不透明な状態 が続きました。広告業界でも、広告主各社の広告費支出への慎重な姿勢がみられ、厳しい経営環境が続 いております。 このような環境の下、当社グループは中期経営計画「Dentsu Innovation 2013」に基づく様々な具体 的施策を推進するとともに、「2010 FIFAワールドカップ南アフリカ大会」や「第22回参議院議員通常 選挙」などを足掛かりに、統合的なソリューションを提供すべく、当社グループの総力を結集し積極的 な営業活動を展開しました。 当第1四半期連結会計期間の連結業績は、売上高4,169億98百万円(前年同四半期比9.4%増)、売上総 利益677億円(同7.2%増)、営業利益69億97百万円(同413.9%増)となりました。しかし、持分法による 投資損失および為替差損を計上したことなどにより、経常利益は28億45百万円(同8.4%増)、四半期純 利益は3億49百万円(同81.7%減)となりました。 なお、持分法適用会社であるピュブリシスグループが四半期決算を開示していないため、当第1四半 期連結会計期間においては、ピュブリシスグループの損益に対する当社持分の取り込みおよびのれんの 償却を行っておりません。 当第1四半期連結会計期間における報告セグメントの業績は、次のとおりです。 ① 広告業 広告業では、売上高4,043億80百万円、セグメント利益70億円でありました。 ② 情報サービス業 情報サービス業では、売上高123億76百万円、セグメント損失12億58百万円でありました。㈱電通 国際情報サービスのグループ各社が当セグメントの対象会社となります。 ③ その他の事業 その他の事業では、売上高56億54百万円、セグメント利益4億72百万円でありました。 ― 5 ― 所在地別セグメントの業績は、次のとおりです。 ① 日本 日本では、売上高3,770億50百万円、営業利益66億48百万円でありました。 ② 海外 海外では、売上高412億12百万円、営業利益4億31百万円でありました。 連結業績には、当社単体の業績が大きく影響しております。当第1四半期連結会計期間における当社 単体の業績および業務区分別・業種別業績の概況は、以下のとおりです。 当社単体の業績は、売上高が3,259億44百万円(前年同四半期比6.3%増)、売上総利益は420億13百万 円(同2.9%増)、営業利益は57億28百万円(同50.3%増)、経常利益は97億47百万円(同5.6%減)となりま した。なお、ピュブリシスグループ株式の売却益等の特別利益を計上したことなどにより、四半期純利 益は87億46百万円(同1.9%増)となりました。 <業務区分別> 業 務 区 分 売上高 前年同四半期 増減率 構成比 新 聞 27,855 % 8.5 % 2.4 雑 誌 8,938 2.7 △13.3 百万円 ラ ジ オ 4,554 1.4 △4.6 テ レ ビ 165,153 50.7 7.4 (テレビタイム) (71,218) (21.9) (1.6) (テレビスポット) (93,934) (28.8) (12.2) インタラクティブメディア 9,230 2.8 51.1 OOHメディア 11,222 3.4 △2.3 クリエーティブ 40,518 12.4 3.9 マーケティング /プロモーション 37,555 11.5 14.7 コンテンツサービス 15,989 4.9 △1.9 4,926 1.5 △0.8 325,944 100.0 6.3 そ の 他 計 注1:主要な業務区分の内容は、下記のとおりです。 新聞:新聞広告枠の取引業務 雑誌:雑誌広告枠の取引業務 ラジオ:ラジオ広告枠の取引業務 テレビ:テレビ広告枠の取引業務 テレビタイム:テレビタイム広告枠(番組提供による番組内)の取引業務 テレビスポット:テレビスポット広告枠(主に番組間)の取引業務 インタラクティブメディア:インターネット、モバイルに関する広告枠の取引業務 OOHメディア:アウト・オブ・ホーム・メディア(交通、屋外、折込)広告枠の取引業務 クリエーティブ:広告表現立案業務、広告制作業務および関連業務 マーケティング/プロモーション:クライアントのマーケティング、コミュニケーション、ブランド、 経営等の戦略立案、コンサルティング業務、および課題解決のためのSP、イベント、PR、 eプロモーション、ダイレクトマーケティング等のソリューションの企画・実施作業 コンテンツサービス:スポーツ領域、エンタテインメント領域での権利販売業務、企画立案・制作実施 業務およびその他のコンテンツサービス その他:衛星その他のメディア、メディアプランニング等が含まれます。 注2:各業務区分の構成比は、小数第1位未満を四捨五入しています。 ― 6 ― マス四媒体の売上高は、2,065億1百万円(前年同四半期比5.3%増)となりました。また、マス四媒体 以外の売上高は1,194億42百万円(同8.0%増)となり、売上高構成比は36.6%と前年同四半期から0.5ポ イント増加しました。 <業種別> 当第1四半期連結会計期間において、当社単体売上高に占める割合の大きい上位10業種では、「情 報・通信」(前年同四半期比11.3%増)、「飲料・嗜好品」(同1.6%減)、「化粧品・トイレタリー」(同 19.8%増)、「金融・保険」(同23.2%増)、「食品」(同3.9%増)、「家電・AV機器」(同14.6%増)、 「流通・小売業」(同11.6%増)、「外食・各種サービス」(同8.6%増)、「薬品・医療用品」(同8.1% 減)、「自動車・関連品」(同6.5%減)となりました。 (2) キャッシュ・フローの状況 当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、1,207億20百万 円(前連結会計年度末928億54百万円)となりました。投資有価証券の売却による収入の増加により投資 活動による収入が生じたため、前連結会計年度末に比べ、278億65百万円の増加となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動によるキャッシュ・フローによる収入は、前年同四半期に比べ10億92百万円減少し、234 億61百万円となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動によるキャッシュ・フローによる収入は、投資有価証券の売却による収入が大幅に増加し たため、129億73百万円となりました(前年同四半期は38億39百万円の支出)。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動の結果使用した資金は、前年同四半期に比べ155億62百万円減少し、59億51百万円となり ました。これは主にコマーシャル・ペーパーの返済支出が無くなったことによるものです。 (3) 事業上および財務上の対処すべき課題 当第1四半期連結会計期間において、事業上および財務上の対処すべき課題に、重要な変更および新 たに発生した課題はありません。 (4) 研究開発活動 当第1四半期連結会計期間における研究開発活動の金額は、2億66百万円であり、全て情報サービス 業に属するものであります。 ㈱電通国際情報サービスおよびその連結子会社は、平成21年3月期から平成23年3月期までの3ヵ年 の中期経営計画において、積極的な研究開発・製品開発投資を実行する計画としております。 当第1四半期連結会計期間におきましては、人事管理システム「POSITIVE(ポジティブ)」の機能向 上開発、製造業向け製品開発プロセス最適化システム「iPRIME NAVI(アイプライムナビ)」の機能強 化、地域金融機関向けソリューション「BANK・R(バンクアール)」の新規モジュール開発などの研究開 発を実施しました。 ― 7 ― (5) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し ① 経営成績に重要な影響を与える要因 当社グループの収益は、主にマス四媒体やインタラクティブメディア、OOHメディアなどの広告 に係るサービスおよびそれに関連するクリエーティブ・サービスによるものであり、広告枠の販売に 係るメディア会社からのコミッションが大半を占めます。特にマス四媒体の広告枠の販売に係るコミ ッションが当社グループにとって重要な収益となっています。 マス四媒体の広告に関連して、収益に影響を及ぼす主な要因は次のとおりです。 ア 国内の広告費(景況全般、技術革新、規制緩和および競争激化等、産業に影響を与える情 勢により変動) イ 日本の広告業界における当社グループの競争力 ウ 広告枠に対してメディア会社に支払う料金 エ 広告主の媒体ニーズの変化 近年、インターネットの普及が進み、すでに家庭内のメディア接触時間では、インターネットがテ レビに次ぐメディアとなっています。こうしたメディア環境の変化に伴い、広告主においても、マス 四媒体とインターネットやモバイルなどのインタラクティブ・メディアを組み合わせた効果的かつ効 率的なメディア・プランニングの提供、広告効果の検証など、ニーズの高度化が進んでいます。当社 グループでは、こうしたクライアント・ニーズに的確に応えるため、付加価値の高いクロスメディ ア・キャンペーンの提供に努めています。 最近の傾向として、このような幅広い領域にわたる一貫したサービス、コスト効率や広告効果の検 証ツール等に対するニーズの高まりから、広告主が大手広告会社との取引を増やす傾向にあると思わ れます。 当社グループでは、プロモーションなどのサービスを、マス四媒体の広告と関連して提供すること も多く、例えば、プロモーションの場合、クライアントは消費者による商品およびサービスの購入を 促進するため、マス四媒体の広告キャンペーンをPOP(ポイント・オブ・パーチェス)および販促イベ ント、その他の方法と組み合わせて展開するのが一般的です。これらのサービスに対する需要はマス 四媒体の広告への需要とは別に変動することもありますが、マス四媒体の広告の需要に影響を与える 要因は同時にマス四媒体の広告以外のサービスの需要にも影響を与えます。 当社グループはまた、エンタテインメントおよびスポーツマーケティングに係るサービスからも収 益を得ています。具体的には、映画、スポーツ・イベント、音楽等のメディア・コンテンツについ て、制作、マーケティング、協賛社獲得、スポンサーシップ・放映権・その他諸権利の販売・仲介を 行っています。これらのサービスによる収益の内訳は、メディア・コンテンツに関する諸権利の純売 買益または取扱手数料、メディア・コンテンツに含まれる諸権利および使用権からの収益、そして諸 サービスに対する報酬です。収益は、イベントの開催場所や開催時期、当社グループが諸権利を得る 条件、メディア・コンテンツに対する消費者の需要や関心度、広告主および放送局等の当該諸権利に 対する需要の度合いなどの要因によって異なります。 さらに、当社グループは、CRM(顧客管理サービス)、e-マーケティングサービスおよびシステム構 築サービスなどのソリューション事業の提供による収益も得ています。このサービスによる収益は、 広告サービスによる収益に影響を与える要因のほか、システム開発にかける設備投資額の市場トレン ドにも影響されます。 また、海外における広告サービスによる収益も得ています。収益に影響を与える要因は、日本にお いても海外においても概して相違ないといえます。よって、国ごとの景況、特定産業の発展、広告業 界における当社グループ企業のポジション、サービスに対する報酬に関する市場慣習、広告主のメデ ィアごとの需要の変化などによって、当社グループが事業展開する国々における収益トレンドが異な る可能性があります。また、当社グループの報告通貨である円と、当社グループが展開する海外諸国 の通貨間の為替レートの変動も、海外における広告サービスによる収益に影響を与えます。 ― 8 ― ② 経営戦略の現状と見通し 今日、国内では少子高齢化の進展や環境問題への関心の高まりなど、社会構造や社会意識が大きく 変容するとともに、デジタル・テクノロジーの発展により生活者のライフスタイルも急速に様相を変 えつつあります。また、先進各国の市場の成熟化が指摘される一方で、世界経済における新興諸国の 存在感は一段と高まり、内外企業はグローバルな事業展開を加速させています。 当社グループではこのように急速に進む経営環境の変化の中、現状に満足することなく、時代の変 化をチャンスと捉え、平成21年に策定した新中期経営計画「Dentsu Innovation 2013」に基づき、 様々な具体的施策を推進しております。 ア デジタル領域 社内のデジタル関連部署を発展的に解消・統合し、デジタル関連リソースを再編・集約した「デ ジタル・ビジネス局(以下、DB局)」では、各セクションと密接に協働しながら、クリエーティブ、 マスメディア等の専門力を活かし、総合広告会社の強みである統合的かつ高度なソリューションを 提供しました。当第1四半期連結会計期間は、インタラクティブメディアの売上高が前年同四半期 比で、51.1%伸長しました。今後も、当社グループのデジタル関連事業を統括する「電通デジタ ル・ホールディングス」とDB局が常に連携しながら、ひとつのデジタル・エージェンシーのように 機能することで、グループ全体の統合的デジタル戦略を迅速に立案・実施し、テクノロジー等の事 業環境変化および広告主ニーズの高度化に即応できる体制を構築してまいります。 イ グローバル領域 BRICsなどの成長市場を中心に、従前の方式にとらわれない新しい視点から事業に取り組み、日 系クライアントに加えて、グローバルアカウント、ローカルクライアントの獲得、マネジメントの 現地化などを図って、各地の実情に応じた拠点営業基盤の安定と競争力の強化を推進いたします。 当社グループでは成長戦略の一環として、これまでに「電通メディア・ネットワーク」として、 台湾、タイ、中国、インドネシア、シンガポール、インド、および韓国にメディア・エージェンシ ー・ネットワークを整備し、アジア地域におけるメディア事業の強化・拡大を図ってまいりました が、この成長戦略を「電通メディア香港」においても展開してまいります。 また、オリジナル・コンテンツ開発を行い、それらコンテンツに関わるライセンスの販売をグロ ーバルに展開していく拠点として、新会社「電通エンタテインメントUSA」を米国に設立しまし た。電通アメリカ内に専門チームを立ち上げ、2年以上にわたってエンタテインメント・ビジネス に関わるフィージビリティスタディを重ねてきましたが、新しいコンテンツ開発事業が当社グルー プのグローバル化の推進に極めて有効であると判断しました。 ウ プラットフォームビジネス 情報流通やコミュニケーションがダイナミックに変化する時代において、様々な顧客接点のなか で、新しいプラットフォームやメソッド・ツールを開発し、生活者情報の分析を収益に結び付けて いく必要があります。今後も、様々なキープレイヤーとの連携を図りながら、それぞれが提供する 価値を結びつけ、より大きな付加価値の創造を目指してまいります。 平成21年9月に開発した、電子雑誌を携帯電話等で有料販売するサービス「MAGASTORE」におい て、PC向け閲覧サービスとiPad向けサービスを開始しました。またデジタルコンテンツを販売する 事業者向けに、iPhone/iPadでのアプリ内課金機能を手軽に利用できる課金支援サービス「Samurai Purchase」を開始しました。さらに電子マネーを利用した商品販促ソリューションに関するビジネ スモデル特許を取得しました。 ― 9 ― エ ソリューション領域 クライアントの経営・事業課題からコミュニケーション活動の実施に至るまで、グループの専門 性や連携をさらに強めながら、マスメディア、デジタル関連サービス、プロモーション、コンサル ティングなど、多様なニーズに応じたソリューション力の強化を進めております。 国内では、様々な業界で市場の成熟化が進み、多くの企業が次世代の成長に向けた新たな仕組み づくりに挑戦しています。これまで当社グループは、主にマーケティング・コミュニケーション領 域において、クライアントへの統合ソリューション・サービスの提供を行ってまいりました。しか し今後は、クライアントの経営上及び事業上の課題解決を図っていくためには、従来の領域を越え て、統合的なソリューションを提供していく必要があります。そこで、経営戦略コンサルティング 会社「電通コンサルティング」を立ち上げ、平成22年7月より経営戦略を軸とする統合ソリューシ ョン・サービスの提供を開始しました。 また、6月の第57回「カンヌ国際広告祭(CANNES LIONS 2010)」では、当社グループはアウトド ア部門、デザイン部門で金賞を受賞し、当社グループのソリューションに対して高い評価を獲得い たしました。 当社グループでは、以上のような経営ビジョンと新中期経営計画のもと、グループの総力を挙げて 新たな時代に相応しい積極果敢な活動と事業構造改革に取り組み、2013年度末までに以下の経営目標 を達成することを、引き続き目指してまいります。 ■連結営業利益 700億円 ■オペレーティング・マージン 20%以上 (オペレーティング・マージン=営業利益÷売上総利益×100) ■ROE 8% (6) 資本の財源及び資金の流動性についての分析 ① 資金需要 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、広告作業実施のための媒体料金および制作費の支 払等ならびに人件費をはじめとする販売費及び一般管理費であります。 また、近年においては既存の広告取引とは異なる事業機会を発掘するため、デジタル領域およびグ ローバル事業への投資に係る資金需要が生じております。 ② 財務政策 当社グループは、運転資金につきましては、内部資金、コマーシャル・ペーパーまたは短期借入金 により調達することとしております。流動資産から流動負債を控除した運転資本については、当社グ ループでは以前から流動資産が上回っています。前連結会計年度および第1四半期連結会計期間にお ける当社グループの運転資本は、それぞれ1,068億円および1,193億円の超過となっています。 当社グループでは、資金の短期流動性を確保するため、シンジケート銀行団と400億円(平成22年8 月16日現在)の融資限度枠を設定しています。また、グループ・ファイナンスを効率よく行うため、 資金余剰状態にある国内子会社から当社が資金を借り入れ、資金需要が発生している国内子会社に貸 出を行うキャッシュ・マネジメント・システムを導入しております。 当社は、格付機関である㈱格付投資情報センター(R&I)から長期格付AA、短期格付a-1+を取得して おります。 ― 10 ― (7) 経営者の問題意識と今後の方針について 今後、当社グループを取り巻くビジネス環境は、ますます大きく変わっていくと考えます。例えば、 これまで想像もつかないような次世代のデジタル・デバイスが誕生し、メディア環境も大きく変化して いきます。マスメディアとデジタルメディア、通信と放送の融合が進み、業界各社は、大きく変貌して いくと考えます。そして、中国やインドが経済大国としての地位を確固たるものとし、それらに続く新 興国が世界市場で経済成長を競い合っていることが予想されます。また、消費のためのコミュニケーシ ョンだけではなく、社会の役に立つ「ソーシャル・コミュニケーション」の領域も益々重要な役割を担 うようになっていくと思われます。従って、そうした変化をとらえながら、企業として勝ち続けていく ために、今後の当社グループの経営は、国籍や人種、男女の性別を問わず、能力のある人々がその中枢 を担い、社内にいる優秀な人材、世界各地に存在している優れた才能を有機的に結び付けた組織づくり を進めていく必要があります。そして、多様性を尊重し、異なるものをグローバル規模で繋げて、新し い価値を創り出していくことが求められています。 また、デジタル化が進む時代において、当社グループは、まずプラットフォームビジネスのキープレ ーヤーとしての地位を確立しなければなりません。さらに「クリエーティブ」や「メディア」といった 領域の垣根が低くなるなか、統合コミュニケーションをデザインし、コミュニケーションのストーリー を創り上げ、最新のテクノロジーを駆使しながら、最適な課題解決を提供し続けてまいります。 広告やマーケティングという仕事は、人々の日常を豊かにするという重要な役割を担っています。歴 史ある当社グループを、広告会社の定義を変えていくような、「新しいコミュニケーションズ・グルー プ」として、社会の発展に貢献する、働きがいのある企業に進化させていく方針です。 ― 11 ―