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案 - 電子政府の総合窓口e
別紙3 重要通信の高度化の在り方 に関する研究会 報告書(案) 平成20年4月4日 総 務 省 目次 序章 重要通信を確保するための検討の必要性 ................................... 1 (1) 検討の目的 ............................................................ 1 (2) 電気通信事業をとりまく環境の変化 ...................................... 1 ア ブロードバンドサービスの普及状況 .................................... 1 イ IP電話サービスの現状と動向 ........................................ 1 ウ 携帯電話等の移動系の加入者数の増加 .................................. 2 エ 次世代ネットワークの導入 ............................................ 2 (3) 情報通信審議会答申(平成 19 年5月 24 日) .............................. 4 (4) 検討の基本的視点 ...................................................... 4 第1章 重要通信の対象に関する課題の検討 ..................................... 6 (1) 優先的取扱いについて検討すべき事項 .................................... 6 ア IP電話等による優先的取扱い ........................................ 6 イ 音声以外のサービス(データ伝送役務等) .............................. 7 ウ 緊急通報受理機関への通報方法の多様化 ................................ 8 (2) 重要通信対象機関の追加・削除の検討 .................................... 9 (3) 電気通信事業者網と自営通信網との役割分担 ............................. 11 ア 災害対策機関内 ..................................................... 11 イ 災害対策機関相互間 ................................................. 11 ウ 電気通信事業者網と自営通信網の連携 ................................. 12 第2章 重要通信の疎通の確保の課題の検討 .................................... 13 (1) 輻輳発生時の帯域の確保 ............................................... 13 ア アナログ電話 ....................................................... 13 イ IP電話 ........................................................... 13 ウ 携帯電話 ........................................................... 13 (2) 優先度のクラス分け ................................................... 13 (3) 通信時間の制限 ....................................................... 16 (4) IP化でのネットワーク全体の運用ルール ............................... 19 (5) 停電時における電源確保 ............................................... 20 ア 局給電 ............................................................. 20 イ 電源の確保 ......................................................... 20 ウ 利用者の選択による携帯電話等他の通信手段による代替 ................. 21 (6) 復旧における課題 ..................................................... 21 (7) 災害用伝言ダイヤル、災害用伝言板 ..................................... 22 ア 認知度の向上 ....................................................... 22 イ 災害用伝言板の横断的検索の実現 ..................................... 22 i (8) 避難所における課題(避難所への電話の設置方法) ....................... 23 (9) 災害時の電話の利用方法(国民利用者の啓発) ........................... 24 第3章 緊急通報等における課題の検討 ........................................ 25 (1) 緊急通報における発信者位置情報通知機能 ............................... 25 ア GPS測位方式により対応可能な移動機の普及 ......................... 25 イ 緊急通報受理機関側の対応状況 ....................................... 25 ウ 住所情報の入手 ..................................................... 26 (2) 緊急地震速報やワンセグ等の新たな取組 ................................. 27 ア 新たに配信されるようになった情報 ................................... 27 イ 情報の配信方法 ..................................................... 27 第4章 電気通信事業者間の連携・連絡体制の課題の検討 ........................ 29 (1) ネットワーク資源の確保と信頼度・設計基準の統一 ....................... 29 (2) 故障時の相互バックアップの強化 ....................................... 29 第5章 諸外国における重要通信確保の取組事例 ................................ 31 (1) 米国 ................................................................. 31 ア 行政組織 ........................................................... 31 イ 重要通信の確保に係る施策 ........................................... 31 ウ 緊急通報に係る施策 ................................................. 32 (2) 英国 ................................................................. 33 ア 重要通信の確保に係る施策 ........................................... 33 イ 緊急通報に係る施策 ................................................. 34 (3) ア (4) EU・ドイツ・フランス ............................................... 34 緊急通報に係る施策 ................................................. 34 韓国 ................................................................. 35 ア 重要通信の確保に係る施策 ........................................... 35 イ セル・ブロードキャスト技術を活用した災害情報の配信 ................. 35 (5) 標準化動向 ........................................................... 35 ア 標準化の流れ ....................................................... 35 イ ITU ............................................................. 36 ウ 3GPP ........................................................... 36 エ 3GPP2 ......................................................... 38 第6章 今後の取組 .......................................................... 39 (1) 国が中心となり実施すべき事項 ......................................... 39 (2) 国・電気通信事業者等が協力をしながら実施すべき事項 ................... 39 (3) 電気通信事業者等が中心となり実施すべき事項 ........................... 40 (4) 引き続き検討を深めるべき事項 ......................................... 40 ii 序章 重要通信を確保するための検討の必要性 (1) 検討の目的 我が国では、ブロードバンドサービスの進展とあいまって、他国に先駆けてIP電話サ ービスの本格的な普及が始まっており、特に、従来の固定電話と同じ電話番号体系である 0AB~J番号を使用するIP電話(0AB~J IP電話)については、現在、急速に普 及・拡大しているところである。また、国内外の主要な電気通信事業者においても、従来 の電話ネットワークをIPネットワークに移行する計画を相次いで打ち出しており、電気 通信事業者が所有する設備も変化しつつある。 これらの状況より、平成 19 年5月の情報通信審議会一部答申「ネットワークのIP化 に対応した安全・信頼性対策」において、ネットワークのIP化に対応した重要通信を確 保するための対策が必要である旨の提言がなされたところである。 本研究会の目的は、これらを踏まえ、電気通信事業においてIP化されたネットワーク 等における重要通信の高度化の在り方について意見集約を行うものである。 (2) 電気通信事業をとりまく環境の変化 近年、ブロードバンドサービスの普及、0AB~J IP電話の急速な普及・拡大、新 規参入電気通信事業者の増加、各国で既存網から次世代ネットワーク(NGN:Next Generation Network)への移行の動きがあり、電気通信事業をとりまく環境が大きく変化 してきている。 ア ブロードバンドサービスの普及状況 我が国では、情報通信分野における急速な技術革新や、競争政策等の推進により、世界 的に最も低廉な水準のインターネット常時接続料金が実現されており、あらゆる分野の経 済成長や国際競争力の源泉となっている。特に、昨今では、これまで我が国のブロードバ ンド化を牽引してきたDSL(Digital Subscriber Line:デジタル加入者線)といった比 較的廉価なサービスにかわり、高速な光ファイバサービス(FTTH:Fiber To The Home) の加入者が加速度的に増加しており、今後も、我が国のブロードバンド環境は一層の高度 化が進展していくものと見込まれている【資料1】 。 また、これに伴い、このような高度なネットワーク環境を利用した新しいIP系サービ スが急速に普及・拡大している。 イ IP電話サービスの現状と動向 ブロードバンドサービスの進展とあいまって、我が国においては、他国に先駆けてIP 電話サービスの本格的な普及が始まっており、平成 19 年 12 月末現在で利用数が 1,676 万 1 件を超えている状況にある【資料2】 。 なお、我が国においては、IP電話サービスに用いられる電気通信番号は、以下の2種 類が存在する。 ① 0AB~J番号 技術基準や緊急通報(110番等)などについて、アナログ電話と同等の要件 を満たすIP電話サービスに指定されるもの ② 050-CDEF-GHJK番号(以下「050番号」という。 ) 電話として利用できる最低限の品質を有し、地理的識別性を有しない(ロケー ションフリーで利用可能である)IP電話サービスに指定されるもの このうち050番号については、利用数が平成 19 年 12 月末現在で 996 万件に達してい るものの、ここ1年程度は横ばいから減少傾向となっている。 一方、従来の固定電話と同じ電話番号体系である0AB~J IP電話については、利 用数は平成 19 年 12 月末現在で 680 万件であるが、この1年で倍以上に増加しており、現 在、急速に普及・拡大しているところである。今後とも、FTTH等のIP系高速アクセ スサービスの普及等に伴って0AB~J IP電話は急速に普及・拡大していくものと予想 される。 また、近年多数の電気通信事業者が参入しており、0AB~J IP電話サービスを提 供するIP電話事業者数についても、平成 14 年度末の1社から、平成 19 年度末には、13 社に増加している。 ウ 携帯電話等の移動系の加入者数の増加 携帯電話についてはその加入者数が平成 12 年3月に固定電話の設置台数を上回って以 降も増加し続けており、平成 19 年 12 月末の携帯電話とPHSの加入契約数は、合計1億 530 万(携帯電話が1億 53 万、PHSが 477 万)である。また、第3世代携帯の加入契約 数は 8,330.5 万加入で、携帯電話の加入契約数に占める割合は 82.9%と、世界でいち早く 世代交代が進んでいる【資料3、4】 。 さらに、近年、新たなMNO(移動通信事業者、Mobile Network Operator)の参入に 加え、MVNO(Mobile Virtual Network Operator)の参入が増加している。 エ 次世代ネットワークの導入 次世代ネットワークとは、現在の電話網に代わるオールIP化を前提にしたネットワー クであり、電話網が有する高い信頼性とインターネットが有する柔軟性の両立を基本理念 としている。具体的には、サービスに応じて柔軟にQoS(通信のサービス品質:Quality of Service)を制御設定し、ネットワークのセキュリティ機能を高め、多彩なマルチメデ 2 ィア・サービスを提供するものである。 また、次世代ネットワークは、標準化機関において議論が行われ、既存の電話網などの ネットワークと相互接続性を確保しており、各国の電気通信事業者において導入の動きが ある。 (i) 国内の動向 IP系サービスの急速な普及と合わせて、国内の主要な電気通信事業者が、従来の電話 ネットワークをIPネットワークに移行する計画を相次いで公表している。 日本電信電話株式会社は、2007 年 11 月に公表した次世代ネットワーク(NGN)のサ ービス展開計画の中でNGNの商用化を平成 20 年3月末に東京・大阪等の一部エリアで開 始しており、商用化開始時にベストエフォートサービスに加え、高品質のIP電話・テレ ビ電話及びマルチキャスト等のコンテンツ配信向けサービスといった品質確保型のサービ スを提供している。平成 20 年度内にエリアを政令指定都市へ拡大し、県庁所在地の都市へ の展開も開始し、平成 22 年(2010 年)度までに現行Bフレッツのサービスエリアまで拡 大する予定である。なお、光アクセスについては、平成 22 年(2010 年)に 2,000 万の契 約数を見込んでいる。 KDDI株式会社においては、2003 年 10 月から、FTTHにより、映像、高速インタ ーネット及び高品質なIP電話のトリプルプレイサービスを開始し、2005 年2月には、加 入者電話回線 (メタル回線) をIPネットワークに直接接続するサービスを開始している。 また、2004 年9月に発表された固定電話網のIP化計画に沿って、現在、中継電話網のI P化を順次進めているところである。さらに、2005 年6月には、CDMA2000 システムの更な る高速化や、様々な通信システムの相互補完によるシームレスなサービスを提供するため の次世代通信インフラとして、固定移動統合網である「ウルトラ3G」の構築を推進する ことを発表している。 ソフトバンクテレコム株式会社においては、2000 年にIP-VPNとVoIPサービス の複合サービスを開始し、2005 年にFTTHよる映像、高速インターネット及び高品質な IP電話のトリプルプレイサービスを開始している。また、既存の固定電話サービス、非 対称デジタル加入者線サービス及び携帯電話サービスの各基幹網のIP化・統合化を推進 している。 (ii) 海外の動向 海外においても、国内と同様にネットワーク環境が変化してきている。 ベライゾン(米国)では、2008 年までに加入者数の 60%をFTTP(Fiber To The Premises)でカバーする予定である。また、IMS(IP Multimedia Subsystem)共用化の 3 ための推奨規格を公表し、テレビ放送と携帯電話との統合も視野に入れた検討を行ってい る。 フランステレコム(仏国)では、テレビ受信の9%がIPTVであり、その品質向上の ためFTTH化を推進している。 ブリティッシュテレコム(英国)では、2006 年 11 月にNGN商用サービスを開始して おり、2011 年までにNGNへの移行を予定している。 ドイツテレコム(独国)では、2012 年を目標に既存の固定電話網のIP化を予定してい る。また、FMC(固定移動融合:Fixed Mobile Convergence)から撤退し、FMS(固 定移動代替(移動による固定の代替) :Fixed Mobile Substitution)を提供中である。2010 年にIPTVの 150 万加入を目指し、FTTR(Fiber To The Remote terminal)の導入 を推進している。 KT(韓国)では、BcN(広帯域統合網:Broadband convergence Network)により、 通信・放送融合を指向している。 チャイナテレコム(中国)では、ソフトスイッチの導入中であり、今後、IMS標準仕 様を策定し、PHS利用のFMCも検討している。 (3) 情報通信審議会答申(平成 19 年5月 24 日) このような電気通信事業をとりまく環境の変化の中、平成 19 年5月に、情報通信審議 会から、平成 17 年 10 月 31 日付け諮問第 2020 号「ネットワークのIP化に対応した電気 通信設備に係る技術的条件」のうち「ネットワークのIP化に対応した安全・信頼性対策」 の一部答申において、ネットワークのIP化に対応した重要通信の確保が必要である旨の 提言がなされたところである。 具体的には、 「社会構造や社会情勢の変化に伴い、非常時等において重要性の高い通信 が変化してきていると考えられる。このため、ネットワークのIP化といった技術の進展 も踏まえ、ネットワークに最低限求められる機能の整理、重要通信の対象機関の見直し、 運用ガイドラインの策定について有識者や業界関係者と調整をしつつ検討を行うことが必 要である。 」などの提言がなされている。 (4) 検討の基本的視点 我が国の重要通信確保に関する法制度として、電気通信事業法においては、電気通信事 業者に対し非常事態における通信の確保・優先取扱いの一般的義務を規定し、電気通信事 業者は重要通信に関する事項について適切に配慮することを求めているが、具体的にいか なる事態にどのような方法で重要通信を確保するかについては、個々の電気通信事業者の 判断に委ねられている。また、電気通信事業者は、重要通信を確保する場合に必要がある ときは、電気通信業務の一部を停止することができるとされており、これにより重要通信 を確保するために他の通信の接続を制限又は停止することが可能となっている。 4 我が国においては、重要通信の確保のために、これまで様々な対策が行われてきている。 しかし、我が国における重要通信の確保策は、現在の電話網をベースにしたものであるた め、ネットワークの高度化に伴うサービスの高度化、新たな優先的取扱いニーズ等への対 応について検討する必要がでてきている。例えば、現在まで、固定通信・移動通信ともに、 電話の音声伝送役務を中心として重要通信の確保を検討している状況であったが、将来的 には、非音声による情報伝達など新たなニーズへの対応の検討が必要となる。 したがって、現状における課題解決、更には将来への一層の効果的な重要通信の確保の 観点から、電気通信事業においてIP化されたネットワーク等における重要通信の高度化 の在り方について総合的に検討を行った。 なお、検討にあたっては、下記の基本的視点を踏まえながら行った。 ① 災害等の非常時において災害対策機関等の活動を支援するものとして、重要通信の 現状と課題を検討し、重要通信の対象について見直しをすべきではないか。 ② 電気通信事業者が重要通信の円滑な疎通を確保する上で現実に生じている課題や今 後生じうる問題、更には具体的なルールがないために実現されていない事項など、 必要な対応策は何か。国民の安全・安心確保に不可欠な緊急通報等における課題は 何か。 ③ 重要通信を確保するための電気通信事業者間の連携・連絡における課題は何か。 ④ 諸外国における重要通信確保の取組において、我が国の参考となるものはないか。 5 第1章 重要通信の対象に関する課題の検討 (1) ア 優先的取扱いについて検討すべき事項 IP電話等による優先的取扱い (i) 0AB~J番号を使用する電気通信役務の緊急通報・優先通信 現在、アナログ電話(加入電話)及びISDNでは緊急通報及び災害時優先通信1が提供 されている。また、アナログ電話、ISDN、0AB~J IP電話という0AB~J番号 を使用する電気通信役務は、 「国民生活に最も浸透した」サービスであることを踏まえ、 「個 人の利用者に対して提供される固定電話サービスについては、IP技術を用いたものも含 めて、その実現が求められる」 、 「従来の固定電話の代替となる電話については、社会通念 上、緊急通報が求められる」 ( 「平成 14 年度 電気通信番号に関する研究会」報告書、平成 15 年9月 18 日公表)ため、電気通信番号規則(平成9年郵政省令第 82 号)第 15 条第2 項及び別表第二の規定に基づき、緊急通報が利用可能であることが電気通信番号付与の要 件とされている。 一方、緊急通報と同様な重要な位置を占める災害時優先通信は、アナログ電話では基本 的に提供されているのに対して、 0AB~J IP電話では電気通信事業者によって必ずし も提供されているわけではない。 しかし、IP電話の利用数が平成 19 年 12 月末現在で 1,676.6 万件となるなどIP化が 急速に進展し、とりわけ、従来の固定電話と同じ電話番号体系である0AB~J IP電話 については、この1年で倍以上に増加しており、現在、急速に普及・拡大している。 また、PSTNからIP網への移行に伴い、アナログ電話から、いわゆる次世代ネット ワーク(NGN)等の統合IP網での電話を含めた0AB~J IP電話への移行が考えら れる。その際に、国民生活の安全・安心の観点から、現行のアナログ電話との代替性が確 保されることが必要であり、そのため、0AB~J IP電話において、現行のアナログ電 話で提供されている緊急通報及び災害時優先通信が提供されることが必要と考えられる。 これらを踏まえると、0AB~J IP電話を含めて、0AB~J番号を使用する電気 通信役務に、災害時優先通信が利用できることを要件化することが適当である【資料5】 。 なお、現在、0AB~J番号を使用する電気通信役務の緊急通報については、電気通信 1 災害時優先通信は、災害等の非常時に、交換機、呼制御サーバ、通信端末等に登録された情報に基づき、発信呼に重要通信の識別信号(優 先フラグ等)を付す等の方法により、当該呼が輻輳(ふくそう)規制の対象外となって、優先的に取り扱われるものである。また、災害時 優先通信は、緊急通報のように、重要通信を行う機関に係る全ての端末を災害時優先通信としているわけでなく、重要通信を行う機関の端 末の一部を災害時優先通信としている。このため、規定方法については留意が必要である。 6 番号規則において、総務大臣が特に認める場合に、緊急通報を取り扱わないものを認めて いる。例えば、0AB~J IP電話の一部の法人向けサービスについて、緊急通報が利用 可能なアナログ電話等の代替手段があることを条件として、緊急通報を取り扱わないもの を認めている。 災害時優先通信等の要件化に際しては、対応にかかる期間を考慮して要件化を進めると ともに、総務大臣が特に認める場合の扱いを同様に規定することが適当である。なお、災 害時優先通信を行うのは「機関」であることに鑑み、重要通信を行う「機関」での利用を 想定しないサービス(例:個人向けサービス等)は、総務大臣が特に認める場合として、 災害時優先通信を取り扱わないものを認めるか検討することが必要である。 (ii) 携帯電話・PHSの緊急通報・優先通信 現在、携帯電話・PHSの加入数が1億を超え(平成 19 年 12 月末現在1億 530 万) 、 我が国の人口に近づいていることに鑑みると、上記0AB~J IP電話について「国民生 活に最も浸透した」ものであることを踏まえて緊急通報が利用可能であることを要件化し たことと同様に、携帯電話・PHSについても緊急通報が利用可能であることを要件化す ることが適当である。 また、災害時優先通信は、海上保安機関や警察機関などの重要通信を行う機関において、 アナログ電話及び0AB~J IP電話のみならず、携帯電話・PHSを用いた通信のニー ズが高いことから、災害時優先通信が利用できることを要件化することが適当である【資 料5】 。 携帯電話・PHSの緊急通報・災害時優先通信の要件化に際しては、総務大臣が特に認 める場合の扱いを、0AB~J番号を使用する電気通信役務の緊急通報と同様に規定する ことが適当である。とりわけ、新規参入電気通信事業者については、緊急通報受理機関側 の対応も必要となるため、緊急通報の提供に一定の期間がかかる場合には、提供計画を適 切に立てることを前提として、総務大臣が特に認める場合として取り扱うことが適当であ る。なお、緊急通報等の利用に係る制限がある場合には、電気通信事業者等はその内容を 提供条件の概要として利用者に説明しなければならない(電気通信事業法(昭和 59 年法律 第 86 号)第 26 条及び電気通信事業法施行規則(昭和 60 年郵政省令第 25 号)第 22 条の2 の2第3項第5号) 。 イ 音声以外のサービス(データ伝送役務等) 従来のように電話(音声伝送役務)という単一のコミュニケーションツールだけではな く、データ通信や電子メールが、社会経済活動や市民生活において必要不可欠な連絡・伝 達の手段となっており、これらのサービスに対しても優先的取扱いの要望が高くなってい 7 る。 例えば、救急車と病院間での心電図、災害時に被災状況を確認するために撮影した静止 画・動画などのデータ伝送や、聴覚障がい者からの緊急通報【資料6】 、職員の緊急参集、 関係者の安否確認、関係機関への災害対応の要請、被害状況の確認等に用いられる電子メ ールに対して要望が挙げられる。 これら要望の背景として、現状のデータ通信や電子メールでは、接続・送信ができない 場合や、データ通信に遅延が生じる場合があり、特に、年末年始やイベント時における携 帯電話・PHSで顕著に表れており、災害時以外にも通信の支障が生じている場合がある ためである。 このため、緊急参集連絡やデータ収集等の通信は、優先的に取り扱うことが望ましい2。 データ伝送役務を優先的に取り扱うには、 エンド・エンドで優先的に取り扱う必要があり、 インターネット網よりも、品質やセキュリティを管理できるように設計されている次世代 ネットワーク(NGN)や統合IP網などのネットワークの方が実現しやすい。したがっ て、データ伝送役務の優先的取扱いについては、NGNや統合IP網などの管理されたネ ットワークにおいて提供できる通信サービスでの実現の検討が適当である。例えば、特定 の救急車と病院との間、被災状況確認のための画像を送受信する機関の間、聴覚障がい者 施設と緊急通報受理機関との間などにおいて、管理されたネットワークを用い、音声伝送 役務と同様、優先フラグの付与などの方法により、優先的取扱いを行うことができるよう 検討することが適当である。この際、音声伝送役務以外(データ伝送役務等)の優先的取 扱いには電気通信事業者の網の改修と、優先的取扱いとするための標準化などに配慮が必 要であり、データ伝送役務の優先的取扱いについて、必要に応じてITU-T等に対して 標準化提案を行うことが適当である【資料7、8】 。 ウ 緊急通報受理機関への通報方法の多様化 近年、救援等必要な当事者が自分で緊急通報が出来ない場合などに、民間会社・地方自 治体等の第三者が当事者に代わって緊急通報を行うサービスが出現し、緊急通報受理機関 への通報方法が多様化してきている。例えば、自動車の運転手を対象に、携帯電話端末等 を利用した第三者による緊急通報サービスが提供されている。これは、交通事故が発生し た際に、エアバッグ等と連動して、自動的にオペレータとの通話開始と同時にカーナビの 位置情報の送信を行うことにより、通報を受けたオペレータは状況を確認し、状況に応じ て消防・警察機関等へ救援を要請するサービスである。また、高齢者・障がい者等を対象 に、ペンダント型無線機等を利用して、緊急時に非常ボタンを押すことにより、救援等が 必要な当事者に代わって緊急通報を行うサービスも提供されている。 2 データ伝送であれ音声伝送役務であれ、通信を優先的に取り扱うには、特定の電気通信事業者網だけでなく、エンド・エンドで優先的に 取り扱う必要がある。しかしながら、現状の電子メール等は、通常、ベストエフォートが原則であるインターネット網を経由している。イ ンターネット網では、IX(Internet Exchange)を通過したり、他電気通信事業者網を経由したりするため、自社の管理・制御下にない 区間が存在する。また、優先的取扱いを実現するためには、品質を管理できるように設計・改修した上で、安定的に運用することが必要で あり、その場合、廉価というベストエフォートの考え方に基づく設計のメリットが損なわれることとなる。よって、インターネット網内で の優先的取扱いは必ずしも適当でなく、データ伝送役務のうちインターネット網を経由するものの優先的取扱いは検討の対象としていない。 8 現在、緊急通報を代行するオペレーションセンターと緊急通報受理機関側の通信は優先 的取扱いを行うことができるが、救援等必要な当事者と緊急通報を代行するオペレーショ ンセンターとの間の通信は優先的取扱いが行われていない【資料9】 。 今後、高齢社会、技術の高度化などと共に、救援等が必要な当事者に代わって第三者が 緊急通報を代行するサービスが増加すると考えられる。現在の緊急通報は、110、11 8、119番の番号を認識することにより優先的取扱いを行っているが、将来は多様なサ ービスに対応した優先的取扱いができる仕組にすることが必要である。 なお、重要通信確保の観点から優先的取扱いの対象呼が過剰にならないように対象を限 定することが必要である。実現する手法として、例えば、端末の接続先が、救援等が必要 な当事者に代わって第三者が緊急通報を代行する機関のみであり、かつ、緊急通報に該当 する通信の内容のみを扱う場合は、優先端末にする手法が考えられる。また、通信の内容 が様々である端末、又は接続先が不特定多数になる端末の場合、代行者への接続番号(0 AB~J番号や網内番号等) を特定することにより、 優先的接続を行う手法が考えられる。 (2) 重要通信対象機関の追加・削除の検討 重要通信(優先的取扱い)の対象機関については現在、電気通信事業法第8条及び電気 通信事業法施行規則第 56 条の規定に基づき、 「総務大臣が指定する機関」 (平成 17 年総務 省告示第 584 号)により個別具体的な機関が定められている。 この機関について、近年における災害等の非常時における対応を踏まえ、見直しを検討 する。これまでに、電気通信事業者等に対し、①社団法人日本エレベータ協会、②社団法 人日本自動車連盟(JAF) 、③電力機関・輸送機関の設備保守会社等から、重要通信を行 う機関への指定の要望が寄せられている。 ①エレベーター管理会社については、平成 17 年7月の千葉県北西部地震の際に、首都 圏においてエレベーターへの閉じ込めが多数発生し、各エレベーター管理会社の復旧拠 点・情報センターと出先の復旧要員との間の連絡が困難となったため閉じ込めからの救出 に支障をきたしたこと等に鑑み、②社団法人日本自動車連盟については、各都道府県警察 本部又は都道府県との間において、災害時における車両撤去等に関する協定・覚書等を締 結し、災害対策基本法(昭和 36 年法律第 223 号)に基づく車両の移動等の業務に協力する こと等に鑑み、③電力機関・輸送機関の設備保守会社については、災害時における電力の 供給の確保等のために応急・復旧業務を実質的に行うこと等に鑑みて、重要通信を行う機 関への指定を要望している。 重要通信は、電気通信事業法第8条により、 「天災、事変その他の非常事態が発生し、 又は発生するおそれがあるとき」に「災害の予防若しくは救援、交通、通信若しくは電力 の供給の確保又は秩序の維持のために必要な事項を内容とする通信」 、 「公共の利益のため 9 に緊急に行うことを要するその他の通信であって総務省令で定めるもの」とされている。 このような重要通信は、非常時において、災害対応、ライフライン確保、公共の利益等 のために行うものであり、個々の自然人・法人の利益や業務の継続性を確保しようとする のではなく、公益の確保を目指すものである。したがって、重要通信を行う機関の見直し についてはこのような観点から検討することが必要である。 なお、重要通信を行う機関を増加させることは、災害等の非常時における重要通信の輻 輳(ふくそう)につながることがら、安易に行わないことが必要である。 重要通信を行う機関の追加に当たり、具体的な規定方法としては、次のものが考えられ る【資料10】 。 原則は、例えば、エレベーター管理会社、社団法人日本自動車連盟のように、個別機関 名を追加することである。 これは、重要通信を必要とする機関のみを明確に規定することが可能である。さらに、 社会情勢の変化に応じた見直しをすることが容易(社会的意義が低下した機関を対象外と することが容易)である。 また、設備保守会社等の場合には、現在の重要通信を行う機関の設備保守会社など契 約・業務受委託関係等のある機関を一律に追加する、又は電力機関・輸送機関の設備保守 会社など業種毎・業務内容毎に必要な具体的機関を追加することが考えられる。 これは、現在の重要通信を行う機関の一部において、その災害対策・復旧事業は実質的 に保守会社の契約・受託機関が実施しているという実態に適合する。さらに、業種毎、業 務内容毎に限定すれば、電力機関・輸送機関の設備保守会社のように、重要通信を必要と する業種・業務内容の機関のみ規定可能である。 一方、対象範囲が広がる可能性があり、一時的に契約・業務受委託関係等のある機関も 対象となって契約・業務受委託関係等終了後に廃止しない可能性があるほか、災害時優先 通信のために契約・業務受委託関係等とする行為が出てくる可能性が考えられる。 対象範囲の拡大の可能性に関しては、電気通信事業者において、従来から重要通信を行 う機関の電話等全てを災害時優先通信としているのではなくその一部を災害時優先通信と していることと同様に、自社の通信容量を踏まえて災害時優先通信の判断を行うことによ り対応可能と考えられる。なお、災害時優先通信の付与時に契約書や業務委託書が電気通 信事業者に提示されるべきことは、契約・業務受委託関係等を確認するためには不可欠で ある。また、契約関係終了後に災害時優先通信扱いが廃止されるべきことは告示に規定す る以上当然であり、例えば、契約関係終了後の優先電話返却を条件としたり、通信端末更 改時や定期的(例えば毎年度)に確認したりするなど、本来の取扱いに即した災害時優先 通信扱いとしていくことが必要である。また、契約・業務受委託関係等のある機関として は、現在の重要通信を行う機関が指定された理由にそぐわない内容の契約・業務受委託等 のある機関を対象とすることは適当でない。 重要通信は、 「災害の予防若しくは救援、 交通、 10 通信若しくは電力の供給の確保又は秩序の維持のために必要な事項を内容とする通信」又 は「公共の利益のために緊急に行うことを要するその他の通信」 (電気通信事業法第8条) であり、このような通信を行う機関を対象とする必要がある。 なお、設備保守会社など契約・業務受委託関係のある機関を一律に追加することについ ては、優先的取扱いを行う通信が飛躍的に増加する可能性があることから、このような重 要通信を行う機関の見直しに当たっては、全体の通信容量を考慮することが必要であり、 配置、必要性、運用管理等の実態を踏まえた重要通信を行う機関からの削除や、優先度の クラス分け(第2章(2)参照)により、リソースが産み出されるかどうかも考慮することが 適当である。 (3) 電気通信事業者網と自営通信網との役割分担 各機関において、重要通信の疎通を確保するためには、電気通信事業者網と自営通信網 をそれぞれの特徴に応じて組み合わせて利用することによって、通信手段が電気通信事業 者網に偏らないようにすることが重要である。 ア 災害対策機関内 消防機関、警察機関、海上保安機関など多くの災害対策機関は、自営無線網(固定系・ 移動系) を構築しており、 電気通信事業者網が途絶又は輻輳により使用できない場合でも、 当該機関内での通信が可能となるよう対処している。 ただし、職員の緊急参集連絡、災害現場の調査団との連絡、被災地の市町村との連絡、 契約先・委託業者への連絡等には、固定電話や携帯電話等の電気通信事業者網を利用して いる。 イ 災害対策機関相互間 災害対策機関相互の通信については、都道府県防災行政無線3、防災相互通信システム4、 地域防災無線5等によって行うことができるが、すべての災害対策機関に整備されていると は限らない。そのため、必要に応じて、固定電話や携帯電話等の電気通信事業者網と組み 合わせて連絡を取り合うことが適当である。 3 都道府県防災行政無線とは、地域防災計画に基づく災害情報の収集・伝達を行うための無線通信網で、都道府県庁とその出先機関、市区 町村のほか、関係の災害対策機関との間でネットワークが構成されている。 4 防災相互通信システムとは、主に災害現場において、国、地方公共団体、公共機関等が被害情報を共有し、防災活動を円滑に行うために 使用されるシステムで共通の周波数が割り当てられている。 5 地域防災無線とは、交通及び通信手段の途絶した孤立地域からの情報や病院、学校、電気、ガス等の生活関連機関と市区町村の役場等の 間の通信を確保することを目的とした市区町村が整備する移動系ネットワークである。 11 ウ 電気通信事業者網と自営通信網の連携 災害対策機関自体ではないが、災害対策機関の業務の一部を請け負い、又は災害時に協 力を求められる機関がある。これらの機関について、重要通信を行う機関への指定の要望 がある。 しかし、電気通信事業者網は、通信容量に限界があるため、重要通信(優先通信)を行 う機関を増加させることには限界がある。特に、携帯電話は、周波数に限りがあり、重要 通信を行う機関を増加させることが困難となる場合がある。このため、電気通信事業者網 と自営通信網を組み合わせて利用すること(電気通信事業者網と自営通信網の連携)が必 要である。 災害時にのみ使用する通信手段は、いざというときに使い慣れておらず、また、平時に も余分に携帯しなければならないという使い勝手の面や、コストの面から、導入する機関 は必ずしも多くないと考えられる。そのため、災害時に輻輳の心配がない自営通信網の導 入は、通常の業務にも利用できることが前提となる。 したがって、自営通信網を利用しておらず、かつ、重要通信(優先通信)を行う機関で ない場合においては、各機関の通常業務における通信形態を再検討し、自営通信網の方が より適している場合については、MCA無線等の自営通信網の導入を検討することが必要 である。また、災害対策機関ではあるが、電気通信事業者網のみを利用している機関につ いても、同様である。 一方、電気通信事業者網と自営通信網の特徴を再検討し、電気通信事業者網の方がより 適していると考えられる場合(例:職員の緊急参集連絡、災害現場の調査団との連絡、被 災地市町村との連絡、契約先・委託業者への連絡等)については、必要に応じて、十分な 災害時優先通信を確保することが必要である。 このように電気通信事業者網と自営通信網の特徴に応じて、各用途に合った利用方法や 補完などの一層の連携を図っていくことが必要である。 12 第2章 重要通信の疎通の確保の課題の検討 (1) 輻輳発生時の帯域の確保 災害等の非常時において輻輳が発生した場合、重要通信の疎通に支障が生じることが考 えられるため、ルータ、呼制御サーバ、無線アクセス区間等において、例えば、無線アク セス区間の重要通信専用パス通過率の可変設定や、通話規制中でも緊急通報等を非規制と する機能等により、輻輳発生時の帯域を確保することが必要である。 ア アナログ電話 アナログ電話では、災害時は被災地域からの通信により加入者交換局が輻輳し、自社網 他地域から被災地域への通信により中継交換局が輻輳し、他事業者から被災地域への通信 においては関門交換局が輻輳することが多いため、これらに応じて発信側交換機を制御す ることにより重要通信の疎通を確保している【資料11、12】 。 イ IP電話 IP電話では、通信量が増大する場合には呼制御サーバの処理能力が過剰となり、輻輳 することが多い【資料11、12】 。また、IP電話はアナログ電話に比べてサービス停止 等の事故・障害が増加、長時間化していることから、従来のアナログ電話のノウハウを活 かしつつ、新しいネットワークに即した輻輳制御技術の確立、ノウハウの蓄積を図ること が必要である。 ウ 携帯電話 携帯電話では、災害時は特に無線アクセス区間が輻輳することが多い【資料11、12】 。 したがって、無線アクセス区間の重要通信専用パス通過率の可変設定や、通話規制中でも 緊急通報等を非規制とする機能等により、帯域を確保することが必要である。また、音声 とパケットの規制を独立に行うことができる仕組が導入されたことにより、柔軟な運用が 可能となっているとともに、緊急呼等の音声通話を確保し、安否確認等の一般の通信は災 害用伝言板等でより確実に行うことができるようになる【資料13】 。 なお、重要通信対象機関に対するアンケート調査によると、無線アクセス区間の重要通 信専用パス通過率の可変設定は、重要通信を行う機関に対して行ったアンケート調査によ ると、83%の機関が導入を望んでいる。 (2) 優先度のクラス分け 現在、通信については基本的に優先か非優先かの区分があるだけであり、きめ細かなク 13 ラス分けが行われているわけではない。優先度のクラス分けについては、 「電気通信事業に おける重要通信確保の在り方に関する研究会報告書」 (平成 15 年 7 月総務省)で提言され た【資料14】が、現在までのところ実現されていない。 国際的には、3GPPのeMLPP(enhanced Multi-Level Precedence and Pre-emption service)では、最大7つの優先レベルが定義されており、ユーザに対し優先レベルを割り 当てることができるとされているほか、高い優先度を有する呼を優先的に接続するための 機能がある【資料15】 。 米国では、GETS(Government Emergency Telecommunications Service)、WPS (Wireless Priority Service) 、TSP(Telecommunication Service Priority)とも、 分類1:行政府指導者・政治家、分類2:災害対応、軍事命令・指揮、分類3:公衆衛生、 安全、法執行、分類4:公共サービス、公共福祉、分類5:災害復旧、の5段階の優先順 位(一般を除く)に分かれている【資料16】 。 英国では、2004 年民間緊急事態法(Civil Contingencies Act 2004)に基づき、第一種 対応者(警察、消防、地方自治体、国営医療機関) 、②第二種対応者(交通事業者、公益事 業者、健康安全管理庁)の2段階の優先順位(一般を除く)に分かれている。 このような状況の中、災害等の非常時における輻輳の下でも、重要通信の中でも特に重 要な通信の疎通を確実に確保するため、輻輳度に応じた通信規制の段階分けに活用可能な 優先度のクラス分けを行うことが有効である。 なお、国内の状況を見ると、情報通信技術委員会(TTC)標準(JT-Q3401)では、N GNの発ユーザ種別として、オペレータ、一般、優先、試験、公衆の5種類が設定されて いる。 また、東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社の次世代ネットワーク(N GN)では、転送パケットの転送品質クラスとして、最優先、高優先、優先、ベストエフ ォートの4種類が想定されている。 優先度のクラス分けを検討するに当たり、具体的な優先順位を考えると、例えば次のも のが挙げられる【資料17】 。 案1:第一順位:緊急通報 第二順位:国民の生命又は身体を保護する機関(人命救助機関)及び国又は地方 公共団体の優先通信 第三順位:第二順位以外の機関(輸送・通信・電力・ガス・新聞・金融等)の優 先通信 これは、緊急度の高い機関がより優先となる一方、優先度が低くなる機関への 対応が必要となる。 案2:第一順位:緊急通報 14 第二順位:災害対策基本法・武力攻撃事態法の指定(地方)行政機関・指定(地 方)公共機関の優先通信 第三順位:第二順位以外の機関の優先通信 これは、災害等対策に必要な機関がより優先となる 一方、大部分が第二順位の優先で、第三順位の優先が少なく、リソース産出効 果が少ない。 案3:第一順位:緊急通報 第二順位:本来機関(対象機関として明記されている機関)の優先通信 第三順位:契約・受託機関(重要通信対象機関の追加に連動)の優先通信 これは、本来重要な機関自体がより優先となる。 一方、対象範囲の拡大の可能性があるため、第1章(2)と同様に、その歯止め をかける方策が重要である。 案4:同一機関内でも端末により優先度を分ける。 これは、きめ細かい優先度の割振りが可能である。具体的には、例えば次のよ うにするものである。 第一順位の機関には、優先度1、優先度2、優先度3 第二順位の機関には、 優先度2、優先度3 第三順位の機関には、 優先度3 なお、実施する際には、各機関内における優先度のクラス別台数の適切な配分 が必要である。 案5:機関別(案1~3)に加え、機関内でも優先度を分ける(第二順位の機関では第 二又は第三順位の優先度、第三順位の機関では第三順位の優先度のみ) 。 これは、きめ細かい優先度の割振りが可能となる一方、運用がやや複雑である。 案6:時間・場所・状況別に優先度を分ける。 例えば、30 分/60 分/3日/1週間、被災地/被災地外、被災地の対策機関 /応援機関などで優先度を分ける。 これは、非常にきめ細かい優先度の割振り可能となる。例えば、災害時におけ る他都道府県・他市町村・他機関からの救援要員やボランティアに優先度を付与 するといった用途が考えられる。 一方、緊急時の運用が複雑である。また、SIMカードを遠隔書換すると、書 き換えに失敗した際に使用不可能となってしまう可能性がある。 比較考察すると、 案1は災害対応の緊急度を考慮している。 案2は災害対策基本法などの他の法体系を形式的に引用している。 案3は本来機関か否かを考慮している。 15 また、案1~3と案4とを組み合わせた案5は、優先度をきめ細かく分けることでリソ ースの有効活用を考慮している。例えば、米国では、機関を5段階に分けているのみなら ず、機関内についても最大5段階に分けている。 案6のTPO(時間・場所・状況)別に優先度を分けることは、きめ細かい対応の点か ら理想的であるが、具体的にどのように運用するかさらに検討が必要である。例えば、I Dポータビリティが近い将来実現すれば、これを効果的に活用することにより、可能とな ると考えられる。 なお、IDポータビリティ技術については、その研究開発・標準化等が「新世代ネット ワーク基盤技術に関する研究開発」の一環として推進されており、また、 「次世代IPネッ トワーク推進フォーラム IP端末部会 開発推進ワーキンググループ(WG) 」において、 IDポータビリティ技術の実現に必要な要素が検討されているところである。 案1~案3については、内容を更に精査し、具体的なクラス分けを引き続き検討するこ とが適当である。クラス分けの実施に当たっては、まず、復旧優先順位を優先度のクラス 分け順位に沿って定めつつ、次世代ネットワークや統合IP網の提供時期等を踏まえて、 通信ネットワークに対するクラス分け機能を導入することが適当である。 なお、現在は、原則として、優先/一般(又は最優先/優先(公衆)/一般)しかクラ スがなく【資料18】 、通信自体について優先度のクラス分けを行うには、システム変更が 必要であるとともに、TTC標準(JT-Q3401)等の改正が必要である。さらに、クラス分 けの導入に当たっては、現に重要通信を利用して行われている業務が適切に確保されるよ う取り組んでいくことが求められる。 (3) 通信時間の制限 災害等の非常時において、通信需要が急増した場合、重要通信の疎通に支障が生じるこ とから、電気通信事業者は、重要通信を優先的に取り扱うため、発信規制を実施すること がある。発信規制により、災害時優先通信でない一般の通信の端末は通信が困難又は不可 能となるが(緊急通報を除く) 、一般の人々においても家族・知人等の安否確認などの通信 需要が強い。一般の人々が安否確認する手段として、災害用伝言ダイヤル、災害用伝言板 等が提供されているものの、短時間でも直接話をしたいと望んでいる人が多い。例えば、 福岡県西方沖地震の際のアンケートによれば、全体の 76.2%が、また、千葉県北西部地震 の際のアンケートによれば、全体の 78.9%が、 「短い時間(30 秒程度)でもかまわないの で、すぐに、相手にじかにつながること」に賛成である【資料19、20】 。 「電気通信事業における重要通信確保の在り方に関する研究会報告書」 (平成 15 年 7 月 総務省)においては、 「災害時等における輻輳のなかで、より多くの人が通信できるための 16 方法として、個々の通話時間を制限することの有用性についても通信総合研究所で検討が 行われており、実現方式等も含め詳細な検討をしていくことが必要である。災害等の非常 時においては、携帯電話に限らず、固定電話や公衆電話等でも通話時間を制限することに よって、より多くの人の通話の疎通が確保される可能性があることから、通話時間の制限 に向けて、輻輳時の有効性について更に技術的な検討を進めるとともに、利用者の理解を 求め、コンセンサスが得られるようであれば、具体的な方策等について検討を行うことが 必要である。 」と提言された【資料21】が、現在までのところ実現されていない。 災害等の非常時において、MCA無線等と同様に【資料22】 、通信中の通信時間を制 限すれば、 時間制限はあるもののつながり易い状態を作り出すことができ、 より多くの人々 の通信を確保することが可能となる。また、通信できた利用者によるかけ直し(再呼)が 減少すると想定されることから、通信需要自体が一定程度減少し、輻輳の解消に寄与する と考えられる。通信時間の制限は、特に、無線区間の輻輳に対して有効である【資料23】 。 「トラヒック(呼量) 」は、 「単位時間当たりの呼数×平均保留時間」で表されるが、発 信規制が、 「単位時間当たりの呼数」を規制することにより、重要通信を確保し、少数の人々 の通信を可能とするのに対し、 通信時間の制限は、 「平均保留時間」 を規制することにより、 多くの人が通信可能となるという特徴を有している。 通信時間の制限について利点・留意点を見ると【資料24】 、通信時間の制限の利点は、 ・ 他の通信の時間制限により、重要通信の確実な確保に資すると考えられる。 ・ 有限な周波数資源を使っている等のために増加が難しい回線の容量を増加させる ことなく、より多くの通信を実現可能である。 ・ 通信できた利用者は、満足してかけ直ししなくなるため、通信需要自体の減少が 一定程度見込まれる。 ・ 現状より多くの一般利用者の通信が可能となる。 ・ 重要通信を行う機関内の一般端末から優先端末への通信も掛かりやすくなる。 一方、通信時間の制限の留意点は、 ・ 通信時間の制限のコンセンサス作りが必要となる。 ・ 通信時間が短い。 ・ 交換機・呼制御サーバ(SIPサーバ)の容量や信号網の容量以内での制御にな り【資料25】 、通信時間制限の効果を活かすためには、交換機・呼制御サーバ能 力の増強等が必要である。 また、対比として、現在の規制方法である発信規制について、その利点は、 ・ 一般通信を発信規制することにより、重要通信の確実な確保に資する。 ・ 交換機・呼制御サーバの容量や信号網の容量以内に抑えられる。 一方、発信規制の留意点は、 17 ・ 通信できない利用者が通信できるまで何度もかけ直すため、なかなか通信需要自 体が減らない。 ・ 多くの一般利用者が通信できない。 通信時間の制限を導入する場合、通信制限の時間を検討する必要がある。これは、呼量 に合わせて通信時間を制限する方法と、固定的な時間(例えば、30 秒、2分、3分等)に 制限する方法がある。参考として、災害用伝言ダイヤルの録音時間は 30 秒、平時の平均保 留時間は約2分程度、市内(単位料金区域内)一度数当たり通信可能時間は3分、旧日本 電信電話公社時代の公衆電話打ち切り時間は3分【資料26】である。なお、通信時間の 制限を行う場合、時間の経過とともに通信時間制限を解除していくこととなるが、その解 除要件を検討する必要がある。 輻輳のボトルネックになりやすい無線アクセス区間での重要通信確保の対策としては、 予め通信制限時間について定めておくのではなく、例えば無線チャンネルの空きがない場 合には一般呼を強制切断して重要通信を疎通する等の運用措置も、費用対効果の面で効果 的と考えられる。 また、通信時間を制限する対象を検討する必要がある。これは、一般端末(緊急通報を 除く)のみ通信時間を制限する方法と、一般端末だけでなく優先端末(緊急通報受理機関 を除く)も通信時間非制限と通信時間制限にクラス分けする方法がある。 災害等の非常時は通信がつながりにくいため、利用者によっては、一度つながったら長 時間つないだままにする例が見られるが、発信規制を免れた端末の長時間回線占有で回線 資源をとられ、重要通信に係る端末等(災害時優先通信端末、一般端末からの緊急通報) がつながり難くなるのは、国民の安全・安心の観点から避けるべきと考えられる。 さらに、通信中に突然通信が途絶するのは利用者の混乱を引き起こす可能性があるため 望ましくなく、利用者へのその度毎の事前に通知することが必要である。通信開始時に、 、又は音声案内を行うことなど まず、通信制限される時間を表示する(携帯電話等の場合) が考えられる。通信制限時間(切断)前には、バイブレーションで知らせる(携帯電話等 の場合) 、又は警告音で知らせる(通話制限時間(切断)の特定の秒数前から複数回など) などの方法がある。 ただし、いったん音声案内に接続し、その後目的の接続先に接続することは接続処理を 二度行うことに近いため、システムの接続処理負荷が大きく、処理負荷の少ない事前通知 方法について慎重な検討が必要である。これについては、専用の端末を開発する等の方法 がある。 なお、通信時間の制限と発信規制との組合せ(発信規制を免れた一般端末への通信時間 制限の適用)が、交換機負荷等を容量の範囲に抑え、また、一般端末の長時間回線占有に 18 より優先端末が接続出来なくなることを防ぐために有効と考えられる。平時の約50倍に なるような災害発生直後においては、発信規制が必要不可欠であり、通信時間の制限だけ では効果が限定されるが、通信発生後一定時間が経過しても、平時の数倍の通信容量とな る時期があり【資料27、28】 、そのような時期に通信時間の制限と発信規制を組み合わ せることも有効である。 通信時間の制限の留意点となる交換機・呼制御サーバ(SIPサーバ)の能力増強につ いては、被災地域をカバーする呼制御サーバに余力がない場合に、例えば、他の地域をカ バーする呼制御サーバなど通常は別の目的に使用している呼制御サーバに接続できるよう にする、又はバックアップ用として共通的に予備のサーバを準備するなど、被災地域をカ バーする呼制御サーバとは別のリソースを有効活用することが考えられる。現在のネット ワークの設計がこのようになっていない場合でも、今後、より効果的な設計・運用を工夫 することにより通信時間の制限を実現できることが考えられる。 このような通信時間の制限の導入については、国民的コンセンサスを得るべく、利用者 を含めて引き続き検討を進めることが適当である。詳細検討項目が多岐に渡っているが、 まず、通信時間の制限の効果的な実現に向けた技術的課題について、本件を研究している 独立行政法人情報通信研究機構と電気通信事業者等が連携して検討を深めることが適当で ある。 (4) IP化でのネットワーク全体の運用ルール IP化の進展に伴って、音声、データ、映像等がオールIP化されていくが、その際に 重要通信の確保が円滑になされるようネットワーク全体の運用ルールを速やかに確立して おくべきである。 現在のIP電話が他社網のIP電話と接続する際にはIPパケットで直接接続してい る例は少ない。今後、各社の網がIP化されていくとともに、音声、IPTV、インター ネットなどの情報をIPで相互接続するオールIP化時代が到来すると考えられる。 次世代IPネットワークは、各情報の優先度を設定することが可能である。この際、重 要通信に関わる優先度については、音声系(緊急通報、災害時優先通信、一般通信)だけ でなく、音声以外の重要な通信(画像、映像、データ系等)について、サービス内容や提 供時期を踏まえて、網間インターフェイス等の共通の運用ルールを速やかに確立する必要 がある。 19 (5) ア 停電時における電源確保 局給電 アナログ電話用設備については、事業用電気通信回線は、端末設備等を接続する点にお いて通信用電源を供給しなければならないと規定されており (事業用電気通信設備規則 (昭 和 60 年郵政省令第 30 号)第 27 条) 、電話局側からの給電(局給電)によって電源確保が 行われている。しかしながら、近年の電話端末の多様化・高度化により局給電による電力 では通話ができない固定電話端末もある(ファクシミリ機能付電話端末のような多機能電 話端末については、局給電の電力だけでは発着信ができない) 。 また、今後、アクセス回線の光化に伴い局給電が不可能となることが予想される。 このようにアクセス回線の光化の進展や多機能電話端末の普及に伴って、メタル回線で 単機能電話端末では可能であった局給電による通話が不可能となることを認識していない 利用者は多いと考えられる。このため、 「電気通信事業法の消費者保護ルールに関するガイ ドライン」 (電気通信事業法第 26 条(提供条件の説明関係) )に盛り込み、電気通信事業者 等がユーザに対して提供条件の説明を行うことが適当である。 イ 電源の確保 災害等による停電時に重要通信を確保し、救助を求める等のためには、電源の確保が必 要であり、その対策が課題となる【資料29】 。 (i) 無停電電源装置(UPS:Uninterruptible Power Supply)による電源確保 電源確保対策の手段の一つとしては、UPSによる給電がある。しかし、一般家庭では UPSがほとんど設置されていないなど、停電時における電源確保が進んでいない。その 理由としては、次の事項が考えられる。 ・ 停電がほとんどない。 【資料30、31】 ・ 万一停電しても、携帯電話(音声・メール)等の普及など通信手段の多様化によ り代替手段がある。 ・ UPSは使用頻度・効果(給電時間)の割に高価であり、購入費用だけではなく、 2~4年ごとのバッテリーの交換等の手間や運用コストがかかる。 しかし、今後の研究開発によって、UPSの小型化、低廉化等が見込めることから、3 ~5年後を視野にライフラインとしてのUPSの性能・価格の目標を明示し、支援策を講 じることが適当である。この場合、光回線終端装置(ONU:Optical Network Unit) (事 業用電気通信設備の場合)の電源確保のため、電気通信事業者が、ONUと通信端末に一 体で給電するメンテナンス不要で低価格なUPSを開発又はその開発を支援すべきである。 また、電源の確保についてライフラインとして対策を考える場合、ONU、VoIP端 末機器の低消費電力化、多機能電話端末の停電時の通話の確保、UPSの小型化・低廉化、 20 UPSのネットワーク経由の死活監視等の課題をトータルで検討すべきと考えられる。 このため電気通信事業者、通信端末メーカ、電源メーカが共同して、ONU、通信端末 及びUPSがトータルで最適となるよう開発することが適当である。 (ii) UPS以外の手段による電源確保 停電時に乾電池により光IP電話端末用のONUとVoIPルータ一体型の機器に給 電を行う方法があり、オキシライド乾電池(単三)10 本により、30 分程度の通話が可能な 機器がレンタルされているが、現在のところ電話端末には給電できない。 また、住宅用太陽光発電システムや自動車からの給電等が考えられるが、現在のところ、 一般家庭の電源対策として普及させるには現実的とまでは言えないと考えられる。 (iii) 光ファィバによる局給電手法の研究 メタル回線では局給電によって電源確保が行われているのと同様に光信号と電力を多 重化して一本の光ファイバの中を伝送する技術も研究が実施されつつあり、その進捗状況 を注視する必要がある。 ウ 利用者の選択による携帯電話等他の通信手段による代替 停電により固定電話が使用できない場合でも、携帯電話等他の通信手段で通信を確保す ることが可能であるが、携帯電話等については、省令上、緊急通報等の重要通信が利用可 能であることが明示的に規定されていない。このため、携帯電話設備等への重要通信確保 を省令で要件化することが適当である(第一章(1)ア(ii)参照) 。 (6) 復旧における課題 電気通信事業者では、予備電源のバッテリー保持時間と電力供給回復見込みを勘案しな がら、移動電源車や発動発電機を効果的に手配することが必要である。 しかしながら、過去の災害において、平成 16 年の新潟県中越地震の際、電気通信事業 者は停電情報をアラーム感知で把握できたが、電力の復旧情報は電力事業者の情報提供が ないと分からなかったことや、平成 17 年に新潟市を中心に発生した 61 万世帯に影響が及 ぶ大停電の際においても電力事業者からの情報が少なかった等、電気通信事業者の復旧計 画に影響する事例が発生している。 このため、各電力事業者に大まかな復旧計画でも良いので出してほしい旨、電気通信事 業者協会から電気事業連合会に対して要望している。しかし、電力事業者側としても、復 旧作業は災害現場での作業であり、悪条件のなか復旧を第一優先としているため、停電復 旧状況を時々刻々現場から情報収集すること(復旧見込みを含む)は困難なようである。 なお、現在、各電気通信事業者と各電力会社が個別に協議をしたり、災害時に各地方の 防災会議等において重要インフラ事業者が情報を一定程度共有している。 21 仮に、重要インフラ事業者(通信、電力、ガス、水道等)間において、復旧状況を相互 連絡するような仕組があれば、電力事業者が電気通信事業者に電力の復旧見込みを伝える ことで、電気通信事業者は移動電源車の準備等の復旧活動を円滑に進めることが可能とな り、電気通信事業者の復旧情報が分かれば、他の事業者は当該通信の見込みを踏まえて復 旧活動を円滑に進めることができるというように、重要インフラ分野の機関は相互に関連 性を有している。 しかし、現在、災害時に、事業者(個別事業者情報)→監督府省(個別分野情報)→内 閣官房・内閣府(全体取りまとめ)→監督府省(取りまとめ情報フィードバック)→事業 者(同左)という情報連絡はあるが、現場の事業者同士が当該情報を入手できるまでには 時間がかかる。 このため、電気通信、電力、ガス、水道等、複数の重要インフラ分野の機関間において、 復旧に係る情報の相互連絡・共有体制が効果的なものとなるように連携を一層強化するこ とが適切である。 なお、政府の情報セキュリティ政策会議の決定を受け、現在、内閣官房において重要イ ンフラ分野横断的な情報共有について検討が進められているところである。 (7) 災害用伝言ダイヤル、災害用伝言板 災害時には輻輳の発生により、電話等がつながりくい状況になることから、電気通信事 業者は安否確認などする手段として、災害用伝言ダイヤル171、災害用ブロードバンド 伝言板(web171) 、携帯・PHSの災害用伝言板を提供している【資料32】 。 ア 認知度の向上 各災害用伝言ダイヤル・災害用伝言板は、認知度が向上するほど役にたつサービスであ る。現在、国民の認知率がまだ低いため、今後ともより一層の周知等による利用促進を図 っていくことが必要である。 イ 災害用伝言板の横断的検索の実現 固定電話の「災害用伝言ダイヤル」は共同運用の形が取られており、固定系の電話は登 録・確認とも統一されている。 一方、携帯電話・PHSの「災害用伝言板」は各社が運営しており、登録・確認とも各 社の伝言板により行う必要がある。 したがって、携帯電話・PHSの「災害用伝言板」を確認する場合、知りたい相手先の 加入する電気通信事業者を事前に確認する必要がある。また、知りたい相手先の加入する 電気通信事業者が分からない場合は、各社の伝言板のリンクは存在するため、各社の災害 用伝言板を順に探す必要がある。さらに、複数の相手について確認する場合、たとえすべ 22 ての知りたい相手先の加入する電気通信事業者が分かっていても、煩雑な操作が必要とさ れる【資料33】 。 よって、携帯電話・PHSについては、災害用伝言板の横断的検索を早期に実現するこ とが必要であり、そのために検討を開始することが必要である。この際はセキュリティ等 に十分に配慮することが必要である。 なお、あらかじめ設定しておいた相手には、伝言板に安否情報を登録した際に、安否情 報が登録されたことを電子メール自動送信で通知する機能が具備されている。 (8) 避難所における課題(避難所への電話の設置方法) 大規模災害発生時に、避難所として学校(体育館)が指定される例が多く、電気通信事 業者は、地方自治体からの要請に基づいて、順次、避難所等に臨時に電話を設置している (例えば、特設公衆電話(優先的取扱いあり) ) 。また、災害発生時の対応を容易にするた め、一部地域では避難所に災害発生時用の電話回線をあらかじめ敷設する取組が行われて いる【資料34】 。 災害発生後の避難所において、 ① 被災住民は、安否確認等のため通信手段を必要とするが、携帯電話等は輻輳により つながりにくくなったり、停電等により基地局が停波して使えなくなったりするた め、優先的取扱いとなる特設公衆電話の需要が高くなる。 ② 避難所の運営担当者と市区町村の防災担当者との間で非常に多くの通信需要が発生 する。一部の避難所では、市区町村の防災担当者から学校の職員室等に連絡があり、 学校の教職員が避難所の運営担当者に伝令を行う例が見られ、この場合、教職員が 本来行う業務に支障をきたす可能性がある。 このような避難所で生じる通信需要のすみ分けを行わなければ、いたずらに混乱が生じ る可能性がある。このため、市区町村・避難所と学校が連携して運用を的確に確保する必 要がある。 例えば、避難所に設置される電話(例:特設公衆電話/臨時電話、親子電話により学校 の電話を職員室等から体育館に分岐)を、被災住民用と、市区町村防災担当者・避難所運 営担当者との連絡専用とに分けることが考えられる。また、避難所自身の運用として、市 区町村・避難所間の連絡専用の電話の確保が考えられることを予め周知したり(設置場所 の分離や、深夜における呼出音等に留意が必要) 、電気通信事業者が特設公衆電話を設置す る際に(事前設置、災害時設置) 、被災住民用とは別に市区町村・避難所間連絡専用の電話 (臨時電話等)の確保が考えられることを周知することが適当である。 このように、災害発生時等に必要な通信を確保するため、国・地方公共団体や電気通信 事業者等が取り組んでいくことが必要である【資料35】 。 23 (9) 災害時の電話の利用方法(国民利用者の啓発) 地震等の災害時に、大量の電話が殺到すると、被災地域内における電話が大変つながり にくくなる。このため、安否確認や、警察、消防、海上保安機関への連絡等に支障が多く 発生する。 電気通信事業者は、適切なネットワークの制御、災害用伝言ダイヤル・災害用伝言板の 提供、臨時電話の設置など様々な方法により、通信の確保を図っているが、国民利用者に おいても、災害時等通信が混雑する際の利用にあたっては、効率的に安否確認等の連絡を 取ることが求められる。このため、下記のような内容について、国民利用者に対する周知・ 広報・教育等を充実させることが必要である。 ① 通信設備の容量には限りがあるため、できるだけ手短な電話とする。 ② 通常の電話がつながらない場合は、比較的つながりやすい次の方法を利用する。 ・ 「災害用伝言ダイヤル171」 ・ 「災害用ブロードバンド伝言板(web171) 」 ・ケータイ「災害用伝言板」 (NTT ドコモグループ、au(KDDI) 、ソフトバ ンクモバイル、ウィルコム、イーモバイル) ・ 携帯電話メール(各携帯電話事業者) 等 なお、 「災害用伝言ダイヤル171」 、 「災害用ブロードバンド伝言板 (web171) 」 、 ケータイ「災害用伝言板」は、毎月1日、正月三が日、国の防災週間などで体験利用 ができるようになっている。利用方法等の詳細は、社団法人電気通信事業者協会の HP(http://www.tca.or.jp/index.html)に掲載されている。 ③ 被災地からの電話は、公衆電話が比較的つながり易くなっている。 ④ 災害時の安否確認方法を、家族、親族間等で決めておく。 ⑤ 災害直後は被災地への電話が集中するためつながりづらい。被災地内の緊急な電話 がスムーズに利用できるようにするため、不急な電話や、リダイヤルを控えて、しば らくたってからかけ直すようにする。 24 第3章 緊急通報等における課題の検討 (1) 緊急通報における発信者位置情報通知機能 平成 19 年4月より、第三世代携帯電話・IP電話等から警察機関などの緊急通報受理 機関に通報する場合、発信者の位置情報を通知する機能を具備することが事業用電気通信 設備規則で義務付けられており、現在の運用の状況等は次のようになっている。 ア GPS測位方式により対応可能な移動機の普及 発信者位置情報通知機能の対応機種普及状況は、2007 年 12 月末において、第3世代携 帯加入者数のうち、26%が発信者位置情報通知機能に対応している。また、発信者位置情 報通知機能の対応機種普及状況は、2007 年 12 月末において、パンフレットに記載されて いる第3世代携帯機種のうち、46%が対応している【資料36】 。 平成 16 年6月 30 日の情報通信審議会答申、諮問第 2015 号「電気通信事業における緊 急通報機能等の高度化方策」のうち、 「携帯電話からの緊急通報における発信者位置情報通 知機能に係る技術的条件」 (一部答申)において提言された、GPS測位方式により対応可 能な移動機の目標である、2009 年4月において 50%、2011 年4月において 90%を達成す べく電気通信事業者はGPS対応機種の着実な普及をしていくことが必要である。 イ 緊急通報受理機関側の対応状況 (i) 警察機関 警察機関の発信者位置情報通知機能の導入状況は、全国 52 の通信指令室のうち、7通 信指令室において導入されている。今後は、平成 20 年4月に 18 の通信指令室、平成 21 年4月に10の通信指令室、 平成21年6月に1の通信指令室で運用の開始を予定している。 残り 16 の通信指令室においても、 発信者位置情報通知機能の導入を図っていく必要がある 【資料37】 。 (ii) 消防機関 消防機関の発信者位置情報通知機能の導入状況は、平成 19 年4月1日現在、全国 807 消防本部のうち、平成 19 年度中に 116 消防本部が導入を予定している。市町村消防の原則 に基づき、消防行政が行われているため、一律の対応が難しいものの、各消防機関はそれ ぞれの実情を踏まえながら、発信者位置情報通知機能に対応を図っていく必要がある【資 料38】 。 25 (iii) 海上保安機関 海上保安機関の発信者位置情報通知機能の導入状況は、平成 19 年4月に全 11 管区で導 入済みである【資料39】 。 ウ 住所情報の入手 固定電話において、緊急通報を扱う事業用電気通信回線設備については、電気通信番号 及び総務大臣が告示する情報(発信に係る住所等)を緊急通報受理機関に送信する機能を 有することが規定されている(事業用電気通信設備規則第 35 条の2等) 。このため、電気 通信事業者は加入者の申告をもとに住所情報を管理している。 一方、市区町村が合併や区画整理等を行い、住所が変更される場合がある。住所表示が 変更される場合においては、例えば、消防機関は市区町村からの情報等により自らの住所 情報を更新している。 IP電話等事業者が送信した位置情報が緊急通報受理機関の把握する住所情報と異な る場合には、緊急通報受理機関の迅速な出動及び現場到着に支障が生じる可能性がある。 IP電話等事業者が、市区町村の住所が変更になったことを把握するためには、全国の 市区町村の公報をチェックする必要があるが、 全国1,788市町村 (平成20年4月1日現在) の公報を逐一チェックすることはIP電話等事業者に相当の負担を強いることになると考 えられる。 また、区画整理等による住所表示変更内容の開示方法、詳細度が市区町村により異なり、 開示された内容のみでは、IP電話等事業者が一義的に住所情報の更新を行うことができ ない場合があり、その場合は、電気通信事業者は各市区町村や加入者に対する確認作業を 行う等の手続が必要となり、即時の更新ができない。 さらに、市区町村によっては、住所表示の変更内容の詳細な情報提供を受けることが困 難な場合がある。 なお、IP電話等事業者は、住所情報を財団法人国土地理協会が付与したコードで管理 しているが、コードだけでは住所情報の変更を認識できない場合がある6こと、番地及び号 の情報がないことから、このコードだけから住所情報の更新を行うことはできない。 住所表示変更内容の入手については、消防庁において、IP電話等事業者が自主的に住 所表示変更内容の収集及びそれに基づく住所情報の更新に努めるとともに、消防機関も同 様の情報をIP電話等事業者に積極的に提供するよう促すこととされた(平成 20 年3月 31 日 「第4回 119 番緊急通報の円滑な運用に関する検討会」 ) 。この実施状況を踏まえ た上で、必要に応じてさらに検討することが適当である。 6 例えば、A町1丁目の一部がB町1丁目になった場合、B町1丁目が追加されたことは把握できるが、A町1丁目のコードに変更がない ことからA町1丁目に変更があったことが把握できない。 26 (2) 緊急地震速報やワンセグ等の新たな取組 近年、従来の避難情報や警報情報だけでなく、新たに緊急地震速報などの情報の配信が 始まっている。またこれら情報を配信する方法も多様化している。情報を広く国民に配信 する方法には、通信による方法と放送による方法があり、通信によって広く国民に伝える 場合は、一者から多数の者に情報を配信する同報型の情報配信と多数の者がインターネッ トを活用して情報を収集する方法がある。 ア 新たに配信されるようになった情報 緊急地震速報は気象業務法(昭和 27 年法律第 165 号)が平成 19 年に改正され、同年 12 月1日に施行・制度化されたものである。地震の発生直後に、震源に近い地震計でとらえ た観測データを解析して震源や地震の規模(マグニチュード)を直ちに推定し、これに基 づいて各地での主要動の到達時刻や震度を推定し、 可能な限り素早く知らせる情報であり、 この情報を利用して、 列車やエレベーターをすばやく制御させて危険を回避したり、 工場、 オフィス、家庭などで避難行動をとることによって被害を軽減させたりすることが期待さ れている。 上記法律の規定により地震警報が日本放送協会に通知されることとされた(同法第 15 条第1項) 。日本放送協会は、直ちに通知された事項を放送しなければならないと規定され ており(同法第 15 条第6項) 、テレビとラジオのすべての放送波を用いて全国放送で速報 することにしている。一方、民放各社においては、同法上の規定はなく、緊急地震速報の 放送開始については各社それぞれが判断することとし、在京民放テレビ5社は平成 19 年 10 月から運用を開始しており、在京民放ラジオ5社は、平成 20 年4月1日からの運用を 開始している。また、電気通信事業者、警備保障会社、ケーブルテレビ会社等が、民放各 社と同様に一般向け緊急地震速報による配信サービスを開始している。 イ 情報の配信方法 通信においては、一部の電気通信事業者では、セル・ブロードキャスト技術等のネット ワークへの負荷の小さい技術を活用した緊急地震速報の配信を開始しており、他の携帯電 話事業者も同様の技術を活用した配信を予定している。今後、緊急地震速報以外に、地方 公共団体等が提供する災害に関する情報も配信される予定である。 なお、現在セル・ブロードキャスト技術等による緊急地震速報の配信には、気象庁より 情報を入手してから 10 秒程度時間を要するため、 今後の運用状況を見ながら適切な配信時 間について検討を行い、より短時間に配信できる技術の可能性を見極めた上で、当該技術 を開発することが必要である。 また、同技術を用いて地方公共団体等が提供する新たに災害に関する情報を配信する際 には、地方公共団体等の情報提供者が各電気通信事業者と仕様を決める必要がある。今後 このようなサービスを有効に活用するために、国、地方公共団体、各電気通信事業者が協 27 力しながら、情報提供者にとって配信しやすい体制を整えていくことが必要である。 放送においては、地上デジタル放送が平成 15 年 12 月から開始されており、平成 18 年 4月からはワンセグを活用した携帯端末向けの放送も行われている。デジタル放送の活用 により、輻輳の影響を受ける心配がなく、また通信トラヒックを混雑させずに情報を提供 することが可能であり、特にワンセグ放送を携帯電話等移動端末で受信することにより、 移動中での情報入手も可能となっている。なお、地上デジタル放送では、情報圧縮等のデ ジタル信号処理のために数秒の遅延が生じているが、今後の技術の進展により遅延時間の 短縮が図られることが期待される。 被災地で求められる情報は、余震の見通し、地震の規模や発生場所、地震の被害、電気・ ガス・水道などの復旧情報、火災の状況、交通機関や道路の開通情報等の要望が高いが、 これらの情報の提供は必ずしも1対1の通信でなくても良いと考えられる。ワンセグを含 めた放送やインターネットのホームページを活用して提供することによって、国民の災害 に関する情報の収集手段を多様化していくことが必要である。また、国民の情報の収集手 段を多様化することにより、通信需要が分散し、重要通信が疎通し易い環境に資すること が期待できる。 なお、アメリカでは、Plant CML 社による Reverse 911 という固定電話を利用した一斉 連絡サービスがあり、2007 年 10 月のサンディエゴでの大規模な山火事の際に利用され大 きな効果があったことが報道された。台風や山火事のようにある程度予測ができる自然災 害等には有効と考えられる。我が国においては、災害情報の住民への伝達手段として消防 庁が普及を促進している J-ALERT や同報無線等があるが、これらを補完するものとして、 このような新しい技術についても、引き続き検討していくことが必要である。 28 第4章 電気通信事業者間の連携・連絡体制の課題の検討 「ネットワークのIP化に対応した安全・信頼性対策」 (平成 19 年5月 24 日 情報通 信審議会)において、非常時等の事業者間の連携・連絡体制の整備として、 「障害が発生し た場合においては、 まず各事業者が自らサービスの早期復旧に取り組むことが必要であり、 そのための予備設備の設置・手配は各事業者が主体的に実施すべき事項である。一方、緊 急通信や重要通信確保のためのネットワーク資源の確保及びその運用・管理などについて は共通化の検討が必要であり、信頼度・設計基準の統一、故障時の相互バックアップの可 否などについての共同研究を行うことが適当である。 」と提言されている【資料40】 。 (1) ネットワーク資源の確保と信頼度・設計基準の統一 緊急通報や災害時優先通信等を確保するために、ネットワーク資源の確保及びその運 用・管理などについて共通化の検討することが必要である。 例えば、携帯電話の無線区間の帯域確保の手法について、いわゆる重要通信専用パスレ ーン方式や、いわゆる待ち行列先頭方式があるが、このように多様な方式の運用・管理を 共通化することにより効果が見込まれる点について検討することが適当である。 また、現在、技術基準として、遅延時間・遅延ゆらぎ・呼損率等の通話・接続・総合品 質は、事業用電気通信設備規則に基づき、既に数値化されて共通化されている。一方、情 報通信ネットワークの安全・信頼性に関する任意基準(ガイドライン)として、 「情報通信 ネットワーク安全・信頼性基準」 (昭和 62 年郵政省告示第 73 号)がある。これに基づき、 信頼度や設計基準の具体的な目標値を業界で設定し、信頼性の向上を図ることが適当であ る。 この点については、例えば、輻輳対策のような事例をもとに、電気通信事業者間で用語 の定義、検知の基準、発生時の連絡体制、事故報告の意見交換を行うことが有益と考えら れる。 (2) 故障時の相互バックアップの強化 災害等の非常時における電気通信設備の故障の際は、自助努力を前提としつつも、国民 の安全・安心の観点から、電気通信事業者間において、相互バックアップを強化し、円滑 な電気通信役務の提供に資することが必要である。 光伝送路における相互バックアップについては、平成 17 年9月に電気通信事業者協会 が相互融通の仕組を設けている(ただし、これまでのところ、利用に至るような規模の災 害は少ない【資料41】 ) 。 29 また、今後、例えば、現在電気通信事業者により異なっている移動電源車の電圧や差込 口の共通化を検討することにより、災害等の非常時において、商用電源や予備電源が途絶 した携帯電話基地局等を支援することが可能となると考えられる【資料42】 。 さらに、可搬(車載)型携帯基地局の共通化による相互バックアップ(無線通信方式が 異なる場合はさらに検討が必要)や、衛星による相互バックアップの仕組みを設けること により、災害等の非常時において円滑な電気通信役務の提供に資することができると考え られる。 このように電気通信事業者間において、光伝送路、移動電源車、可搬(車載)型携帯基 地局、衛星回線などの相互バックアップを強化し、円滑な電気通信役務の提供に資するこ とが必要である。 30 第5章 諸外国における重要通信確保の取組事例 (1) ア 米国 行政組織 米国連邦政府における国土防衛・市民安全に係る組織は、2001 年の同時多発テロを受け、 2003 年設立の国土安全保障省(DHS:Department of Homeland Security)を中心に再 編された。国土安全保障省は大きく四つの任務を担っている。すなわち、 「情報分析及び社 会基盤の保護」 、 「緊急事態への準備・対応」 、 「国境警備・運輸保安」 、 「科学技術」である。 国土安全保障省は連邦政府の一部局であるが、各州政府においても国土安全保障省に相当 する機関として、国土安全保障局(OHS:Office of Homeland Security)が設置されて いる。 また、国土安全保障省は多くの下部組織より構成されるが、代表的なものとしては連邦 危機管理庁(FEMA:Federal Emergency Management Agency)を挙げることができる。 連邦危機管理庁は、天災、人災を問わず、大災害への対応を任務としている。災害発生時 における連邦政府、州政府、地元機関の調整および、災害後の復旧活動への支援が主たる 任務である。 多くの下部組織の中で、重要通信確保を行う上で大きな役割を果たしている部局が国家 通信システム(NCS:National Communication System)である。国家通信システムは国 土安全保障省が担う四つの任務のうち、情報分析および社会基盤の保護を任務とする部局 の一つに位置付けられている。非常時における重要通信の確保として、具体的には有線の 電話回線及び携帯電話回線における回線の優先割り当てサービスやインフラの復旧におけ る優先順位策定の主体的役割を担っている。 イ 重要通信の確保に係る施策 国家通信システムが運用主体となる回線の優先割り当てサービスとしては、GETS (Government Emergency Telecommunications Service)およびWPS(Wireless Priority Service)が挙げられる。GETSは固定・携帯・衛星電話等における重要通信の優先的取 扱いを実現するものであり、WPSは携帯電話における重要通信の優先的取扱いを実現す るものである。また、これらの技術的な取組のほか、制度的な取組としてインフラの優先 復旧についてTSP(Telecommunication Service Priority)が機能している。これは、 災害時等にインフラの復旧における優先順位を策定するためのものである。 これらはいずれも、連邦政府レベルから、州政府、企業、NGOに至るまで、国家安全 保障と危機管理(NS/EP:National Security and Emergency Preparednes)に係る活 動に対して提供されている。対象としている利用者の範囲も広範であり、大統領府を筆頭 とする連邦政府の諸機関、州政府、地方公共団体、インフラ企業などを対象としている。 31 対象となる職能は、①行政府指導者・政治家、②災害対応・軍事命令・指揮、③公衆衛生・ 安全・法執行、④公共サービス・公共福祉、⑤災害復旧、といった5段階に定められてい る。 GETS、WPS、TSPの概況は以下のとおりである【資料43】 。 GETSは固定電話、ファックス、携帯電話、衛星電話等、端末に依らず利用可能な、 重要通信の優先的取扱いに関するサービスである。12 桁のPINを入力することにより、 端末に依らず優先通信の確保を可能とするものである。利用者に対しては、PINが記載 されたカード(GETSカード)が発行されるが、この発行手数料は無料である。ただし、 実際の利用に際しては、いくつかの例外を除き1分当たり 10 セントの課金がなされる。 WPSは携帯電話のみを対象とした、重要通信の優先的取扱いに関するサービスである。 これは端末依存のサービスであり、あらかじめ対象となる携帯電話を登録しておく必要が ある。GETSにおける優先的取扱い区間に加え、端末及び移動通信交換局の無線通信に ついても優先的取扱いがなされることが本サービスの特徴である。本サービスの利用に際 しては「*272+相手先の電話番号」を発信することにより、優先通信が開始される。 月額 4.5 ドルおよび、コールあたり 10 ドル、加えて1分あたり 75 セント未満の課金がな される。 TSPは国家安全保障と危機管理に関わる組織が利用する通信サービスについて、導 入・復旧の際に優先的な取扱いを受けるための制度である。 事後申請では対応不能であり、 被災以前に事前申請を行っていくことが求められる。優先付けは一定の年限ごとに見直し をすることが定められている。本サービスの適用事例としては、911同時多発テロの際 に、ウォール街の復旧が優先的取扱いを受けた事例が挙げられる。 GETS、WPSについては、NGN対応についても検討が行われているところである。 具体的には、2000 年ごろにホワイトハウスより発行されたメモランダムにおいて、NGN 上で実現されるべきNS/EP(国家安全保障と危機管理)情報通信に係る 14 項の機能要 件が記載されている。 その多くは現行のシステムにおいても実装されているものであるが、 ブロードバンドサービス機能や、帯域制御にかかるものについては新たな機能として検討 をする必要があると考えられている。 ウ 緊急通報に係る施策 緊急通報に関しては、警察・消防・救急のすべてについて、 「911」番号が割り当て られている。これは、北米電話番号計画において定められているものである。緊急時に本 番号に電話をかけた場合、市当局が運営するPSAP(Public Safety Answering Point) へと接続され、そこを経由して、適切な緊急対応機関へと接続される。通報者の位置を確 認するためのしくみもE911(Enhanced 911)として確立されている。E911は基地 局から得られる情報とGPSから得られる情報の両者を活用することにより位置情報の特 32 定を行っている。 緊急通報システムに関しては、連邦運輸省において次世代型911システム(NG91 1)について検討が行われているところである。NG911については、位置情報取得シ ステムのより一層の徹底、マルチメディア情報の活用などをテーマとして検討がなされて いる。マルチメディア情報を活用する上での具体的な事例としては、携帯電話等により利 活用が容易となった静止画、動画を含めて検討している。 その他、行政から市民に対する一斉連絡システムとして、米国 Plant CML 社による Reverse 911 を活用している事例が見られる。本システムはGISと連動をしており、情 報を提供したい地域の電話番号に対して一斉連絡を実施することが可能となっている。民 間企業、 大学等による利用も可能であるが、 特に行政による緊急時の一斉連絡に際しては、 警察保有の911データベース、電話会社のデータベースを利用するケースがある。ただ し固定電話のみに対応しており、携帯電話やインターネット電話については域内同報連絡 に対応しておらず個別の登録を要するのが現状である。また、電話が話中であった場合に は、応答がなされるまで繰り返し連絡が試みられる。 米国において実際に情報提供が行われた事例としては、山火事等の自然災害に関する情 報、危険動物の出現情報、囚人脱獄に関する情報、行方不明者に関する情報などが挙げら れる。 (2) ア 英国 重要通信の確保に係る施策 英国における重要通信の確保に係る施策は、内閣府(Cabinet Office)に設置された緊 急事態対応部門(CCS:Civil Contingencies Secretariat)主導のもとで、天災・人災 下における「回復力のある通信システム」構築を目指して取り組まれている。固定網・移 動網への優先アクセスのほか、衛星通信および特別な電波帯の活用を通じて実現されてい るものである。固定網への優先アクセス方法及び移動通信網への優先アクセスについての 施策の概況は以下のとおりである。 まず、固定網への優先アクセスについては、固定網における優先通話を可能とするため のシステムとして、現状は政府通信優先計画(GTPS)が実装されている。しかしなが ら、固定網は 2011 年にNGNに刷新される予定であるため、現状GTPSは強く推進はさ れていない。NGN上では新たにFTPAS(固定通信優先アクセス計画)が発動される 予定である。 次に、移動網への優先アクセスについては、公衆移動通信網に対するアクセスを制限す 33 るためのシステム(アクセス過負荷制御クラス:ACCOLC)が導入されている。制限 は固有のSIMカードを配付することにより実現される。制限の発動は警察の要請に基づ き電気通信事業者により行われる。特別SIMカードは資格保有機関ごとに15個まで取 得可能となっているが現在利用資格の再検討が行われているところである。 イ 緊急通報に係る施策 公共電話事業者(PTOs)においては、ライセンス規約上、通信事業者における緊急 通報に関する対応が義務として定められている。割り当てられている番号は警察、消防、 救急、沿岸警備ともに「999」又は「112」となっている。 「112」は後述のEU指 令により定められている。 その他、非緊急通報用に「101」が割り当てられている。これは「緊急ではない公共 サービス」に関する対応を 24 時間行うものである。具体的には、落書き、酔っ払い、街頭・ 交通標識の汚損、騒音、放置自動車などへの対応が非緊急対応の事例に相当する。 GSM(Global System for Mobile communications)携帯電話利用者に関しては、自 らが契約している電気通信事業者のネットワーク圏外であったとしても他社のネットワー ク圏内にあれば緊急通報を行うことが可能となっている。 システム的な対応ではないものの、英国では 2005 年の連続テロ以降、ICEキャンペ ーンが官民により行われている。これは、緊急時に本人に意識が無くとも、医療機関・家 族等との連絡を迅速に行うため、携帯電話に記録された重要連絡先の先頭に「ICE」 (In Case of Emergency)と記載するといったものである。具体的には、 「ICE1:かかりつ け医」 、 「ICE2:夫」というようにアドレス帳に登録することにより救急隊員等が容易 に重要な関係者に連絡を取ることが可能となる。 (3) ア EU・ドイツ・フランス 緊急通報に係る施策 緊急通報に関して、EUは「単一欧州緊急通報番号の導入に関する欧州理事会決定」 、 「音 声電話に係るユニバーサル指令」等を通じて、緊急通報番号の統一化を進めてきたところ である。1991 年に欧州統一緊急番号「112」を決定したが、すでに各国において同番号 が占有されているケースなどがあり、完全には普及していないのが現状である。 現状について、ドイツ・フランスの事例を見ると、ドイツにおいては、警察が「110」 、 救急・消防が「112」となっている。フランスにおいては、警察が「17」又は「11 2」 、救急が「15」 、 「18」又は「112」 、消防が「18」又は「112」と定められ ている。 34 (4) ア 韓国 重要通信の確保に係る施策 韓国においては情報通信部により、 「通信災難管理基本計画」が毎年策定されており、 通信災難管理の推進目標及び方向と基本計画の推進体系・推進計画・投資計画が定められ ている。2008 年度の推進計画は「通信災難の事前予防体系」 、 「効率的な災難対応環境の造 成」 、 「迅速な対応及び復旧の支援」 、 「通信業者別災難管理の主な推進計画」の各項により 構成されている。 災害等が発生した後には、 「緊急復旧優先順位」にのっとり効率的な復旧活動支援を行 う旨、定められている。支援主体として定められているのは、情報通信省および 11 の基幹 通信事業者である。韓国における通信事業者は上の基幹通信事業者区分を含む3つの区分 に分類される。基幹通信事業者とは「電気通信回線設備を設置し、電気通信サービスを行 う事業者」 、別定通信事業者とは「基幹通信事業者の回線を利用して、音声サービスを行う 事業者」、付加通信事業者とは「基幹通信事業者の回線を利用して、データ通信サービスを 行う事業者」と定められている。 3段階の緊急復旧優先順位のうち、最も優先順位が高い第1順位には「国家指導者、緊 急救助機関、軍事・治安・電波管理」などが定められている。第2順位には「気象、電力、 治水、マスコミに係る通信、駐韓外国機関、国際連合機関における通信」 、第3順位には「防 衛関連企業、医療機関における通信」などがそれぞれ定められている。 イ セル・ブロードキャスト技術を活用した災害情報の配信 韓国においては、セル・ブロードキャスト技術を活用した情報の配信サービスが行われ ている。情報の配信サービスには、①ニュース等を配信する有料の一般サービスと、②災 害情報、迷子捜し及び緊急献血の呼びかけを配信する無料の公益サービスがある。一般サ ービスは 1998 年に開始され、公益サービスは消防防災庁により 2005 年から全国でサービ スが開始されている。公益サービスは、初期設定がオン(デフォルト・オン)となってお り、自動的に公益サービスを受けることができる。現在、70%以上の携帯電話端末が受信可 能となっている。 (5) ア 標準化動向 標準化の流れ 重要通信と緊急通報に関する国際標準は、ITUという世界各国政府が正式に参加する、 国際的な公的標準化機関で策定作業が進められ、勧告化(標準化)される。IMT-2000 の標 準化については、地域標準化機関等により組織された、地域標準機関等により組織された 3 G P P / 3 G P P 2 (Third-Generation Partnership Project/ Third-Generation 35 Partnership Project 2)において検討されている。各国の標準化機関パートナーは、3G PPおよび3GPP2で作成された技術仕様を自国の標準として採用し、ITUは各地域 や各国の標準を参照することにより、国際標準を策定するという流れになっている【資料 44】 。 イ ITU ITUは、世界 191 カ国と、700 以上の電気通信の事業体や学術団体又は工業団体等か ら成る国際標準機関である。1932 年に万国電信連合と国際無線電信連合が合体して発足し、 1947 年から国際連合の専門機関の一つとなった。組織構成は、4年ごとに開催される全権 委員会議(PP:Plenipotentiary Conferences)を最高意思決定機関とし、次の3つの部 門を抱える。 ① ITU-R(Radiocommunication Sector) 国際的な周波数の分配を行う、無線通信部門 ② ITU-T(Telecommunication Standardization Sector) 電気通信の標準化を行う、電気通信標準化部門 ③ ITU-D(Telecommunication Development Sector) 開発途上国に対する技術援助等を行う、電気通信開発部門 優先呼に関する機能としては、ETS(Emergency Telecommunications service)が標 準化されている。ETSの通信は、一般的な通信に比べて、エンド・エンドの通信に対し て高機能な優先制御機能を提供し、通信が制限されている状況でも通信すべき相手と通信 を行うことが可能である。緊急時の優先レベルは、国家のしかるべき機関が決める。そこ には、優先レベルの基準や優先レベル数(段階)なども含まれる。ETSは、緊急時には 国をまたがったETSの確立が重要であるという認識のもと、自国の優先通信が他国でも その優先が保持できるよう標準化されている。なお、ETSは米国GETSのリファレン ス(参照元)となっている。 ウ 3GPP 3 G P P は 、 第 三 世 代 移 動 通 信 シ ス テ ム IMT-2000 ( International Mobile Telecommunications - 2000)のための標準化作業を行うパートナーシップ・プロジェクト の一つである。 無線アクセス方式として W-CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access、 広帯域符号分割多元接続)をコア・ネットワーク技術として、携帯電話の標準規格GSM を発展させ、標準仕様を作成することを目的とする組織である。1998 年 12 月に設立され た共同プロジェクトで、世界の各地域や国を代表する標準機関パートナーで構成される。 現在は、日本のARIBとTTC、中国のCCSA、米国のATIS、韓国のTTA、 欧州のETSIの6つの機関に加え、市場代表パートナーとして、GSMアソシエーショ ンなども参加している。3GPPは、次の4つの技術仕様化グループから成る。 36 ① TSG-SA(Services & System Aspects) サービスおよびシステム・アスペクトに関する仕様の作成 ② TSG-RAN(Radio Access Network) 無線アクセス・ネットワーク仕様の作成 ③ TSG-CT(Core Network & Terminals) コア・ネットワークと端末に関する仕様の作成 ④ TSG-GERAN(GSM EDGE Radio Access Network) GSM仕様書の維持管理、およびGSMの発展形であるEDGEシステムなど の無線アクセス・ネットワーク仕様の作成 優先呼に関する機能としては、eMLPP(enhanced Multi-Level Precedence and Pre-emption service)が標準化されている。eMLPPは、 「呼に対して優先度を割り当 てる機能(Precedence) 」および「高い優先度を有する呼を優先的に接続するための機能 (Pre-emption) 」から成る。eMLPPには、最大7つの優先レベルが定義されており、 ユーザに対し優先レベルを割り当てることができる。以下の図表は、優先レベルの構成例 である。 優先 レベル 優先レベル定義 優先接続機能 (Pre-emption) 接続 作業時間 利用 範囲例 A highest, for network internal use Yes Class1 Local Voice Broadcast / Voice Group emergency applications B for network internal use or, optionally, for subscription Yes Class2 Local Operators calls 0 for subscription Yes Class2 Global Emergency calls (TS12 call) 1 for subscription Yes Class3 Global Premium rate calls 2 for subscription No Class3 Global Standard rate calls 3 for subscription No Class3 Global Default for no eMLPP subscription 4 Lowest, for subscription No Class3 Global Low tariff calls 利用例 なお、接続作業時間(set-up time)とは、通話ボタンを押してから、受話側が着信を 受けるまでの時間のことで、時間は例ではあるが、次の3つのクラスがある。①class1: fast set-up 1-2s、②class2: normal set-up<5s、③class3: slow set-up<10s。また、利 用範囲例には2つの例がある。Local は例えば1つの電話交換機内のみ、Global は例えば eMLPP機能をサポートする装置間及び交換機間を指す。 37 優先接続機能(Pre-emption)が設定されている優先レベル(上図でのレベル A~1)に ついては、優先接続が行われる。なお、優先レベルは、eMLPPに加入している発信者 (calling subscriber)ごとに定められており、基地局、SIM/USIMに登録するこ とにより利用される。SIMカードには、以下の4つの項目が登録されている。 ① 優先レベル(Priority level) ② eMLPPへの加入可否(Subscription available) ③ 自動返答の適用可否(Automatic answering applies) ④ 速い接続作業動作の可否(Fast set-up actions) エ 3GPP2 3GPP2も、3GPPと同様、第三世代移動通信システム IMT-2000(International Mobile Telecommunications-2000)のための標準化作業を行うパートナーシップ・プロジ ェクトの一つである。ただ、3GPPと違い、ITU-Rで標準化された無線方式の一つ、 CDMA2000 無 線 ア ク セ ス 方 式 と 、 発 展 型 ANSI-41 ( American National Standard ANSI/TIA/EIA-41)コア・ネットワークを採用するファミリーの標準仕様の作成を目的とす る組織である。1999 年1月に設立された共同プロジェクトで、世界の各地域や国を代表す る標準化機関パートナーで構成される。 現在は、日本のARIBとTTC、中国のCCSA、米国のATIS、韓国のTTAの 5つの機関に加え、市場代表パートナーとして、CDG(CDMA Development Group)など も参加している。3GPP2は、次の4つの技術仕様化グループから成る。 ① TSG-A 基地局制御装置間、および基地局制御装置から移動関門交換機間の仕様作成 ② TSG-C CDMA2000 関連の仕様作成 ③ TSG-S サービスとシステム・アスペクト(サービス・システム全般に関わる事項)関 連の仕様作成 ④ TSG-X コア・ネットワーク関連の仕様作成 優先呼に関する機能としては、GECO(Global Emergency Call Origination)が標 準化されている。GECOは、緊急機関の電話番号(911、119、110等)が各国 ごとに異なるため、電話番号に依存しない機能を定義している。利用者が緊急番号を知ら なくても、基地局が緊急呼出センターへの通話を開始する機能である。仕組としては、エ アインタフェース上に緊急呼を定義するフラグを設け、緊急機関の電話番号と連携して緊 急連絡先への接続を優先的に行う。なお、緊急通報を優先付けし、接続を行う動作は、電 気通信事業者特有であり、標準化の対象ではない。 38 第6章 今後の取組 本研究会の検討結果を踏まえ、電気通信事業においてIP化されたネットワーク等にお ける重要通信の高度化の在り方については、次のような取組・検討を実施することが必要 である。 (1) 国が中心となり実施すべき事項 ① 0AB~J番号を使用する電気通信役務は国民生活に最も浸透したサービスである ことに鑑みると、災害時優先通信が利用できることを要件化することが適当である。 また、携帯電話・PHSの加入者が1億を超えていることに鑑みると、0AB~J 番号を使用する電気通信役務と同様に、携帯電話・PHS役務においても、緊急通 報・災害時優先通信が利用できることを要件化することが適当である。 ② 重要通信対象機関の追加については、個別機関名を規定することを原則としつつ、 設備保守会社等については、契約・業務受委託関係のある機関を一律に追加する、 又は電力機関・輸送機関の設備保守会社など業種毎・業務内容毎に必要な具体的機 関を追加することが適当である。なお、設備保守会社など契約・業務受委託関係の ある機関を一律に追加することについては、優先的取扱いを行う機関が飛躍的に増 加する可能性があることから、配置、必要性、運用管理等の実態を踏まえた重要通 信を行う機関からの削除や、優先度のクラス分けにより、リソースが産み出される かどうかも考慮することが適当である。 (2) 国・電気通信事業者等が協力をしながら実施すべき事項 ① アクセス回線の光化の進展や多機能電話端末の普及に伴って、メタル回線で単機能 電話端末では可能であった局給電による通話が不可能であることの周知、電源確保 対策の1つとしてのUPSの性能向上・低価格化・普及促進、トータルで最適なO NU、通信端末及びUPSの開発、利用者の選択による携帯電話等による代替など の対策をすることが適当である。 ② 電気通信、電力、ガス、水道等、複数の重要インフラ分野の機関間において、復旧 に係る情報の相互連絡・共有体制を強化することが適当である。 ③ 災害時等通信が混雑する際の利用の際は、効率的に安否等の連絡を取ることが求め られる。このため、災害時の電話の利用方法について国民利用者に対する周知・広 報・教育等啓発活動を行っていくことが必要である。例えば、災害用伝言ダイヤル や災害用伝言板は、認知度が向上するほど役にたつサービスであるが、現在、国民 の認知率がまだ低いため、今後ともより一層の周知等による利用促進を図っていく ことが必要である。 ④ 緊急通報における発信者位置情報通知機能について、GPS測位方式により対応可 39 能な移動機については、情報通信審議会の答申にある目標の割合を達成すべく着実 な普及をしていくことが必要である。また、緊急通報受理機関側においては、発信 者位置情報通知機能の未対応なところは対応を図っていくことが必要である。 ⑤ 住所表示変更内容の入手については、消防庁において、消防機関も住所表示変更内 容の情報をIP電話等事業者に積極的に提供するよう促す方向で検討されている。 この検討結果に基づく実施状況を踏まえた上で、必要に応じてさらに検討すること が適当である。 ⑥ ワンセグや Reverse911 のような新しい技術等により国民の災害に関する情報の収 集手段を多様化していくことが必要である。なお、セル・ブロードキャスト技術等 による緊急地震速報を配信する場合には、緊急地震速報の趣旨を踏まえた適切な配 信時間について検討が必要である。また、同技術を用いて地方公共団体等が提供す る新たに災害に関する情報を配信する場合には、国、地方公共団体、各電気通信事 業者が協力しながら、情報提供者にとって配信しやすい体制を整えていくことが必 要である。 (3) 電気通信事業者等が中心となり実施すべき事項 ① 災害等の非常時において輻輳が発生した場合、重要通信の疎通に支障が生じること が考えられるため、ルータ、呼制御サーバ、無線アクセス区間等において、例えば、 無線アクセス区間の重要通信専用パス通過率の可変設定や、通話規制中でも緊急通 報等を非規制とする機能等により、輻輳発生時の帯域を確保することが必要である。 ② 携帯電話・PHSの災害用伝言板については、横断的検索を早期に実現することが 必要であり、そのために検討を開始することが必要である。 ③ 携帯電話の無線区間の帯域確保方式の運用・管理を共通化することにより効果が見 込まれる点について共通化を検討するとともに、信頼度や設計基準の具体的な目標 値の業界での設定により、信頼性の向上を図ることが適当である。 ④ 故障時の相互バックアップの強化として、光伝送路における相互バックアップや、 移動電源車や電圧の差込口、可搬(車載)型携帯基地局の共通化などの検討が必要 である。 ⑤ 電気通信事業者網と自営通信網の特徴に応じて、各用途に合った利用方法や補完な どの一層の連携を図っていくことが必要である。 (4) 引き続き検討を深めるべき事項 ① データ通信等が災害時等の非常時の連絡手段として活用されていることを鑑みると、 データ伝送役務等の音声以外のサービスの優先的取扱いを実現していくことが必要 である。これについては、NGNや統合IP網などの管理されたネットワークにお いて提供できる通信サービスでの実現を検討するとともに、必要に応じてITU- 40 T等に対して標準化提案を行うことが適当である。 ② 高齢社会、技術の高度化などとともに、救援等が必要な当事者に代わって第三者が 緊急通報を行うサービスが増加すると考えられる。現在の緊急通報は、110、1 18、119番の番号を認識することにより優先的取扱いを行っているが、将来は 多様なサービスに対応した優先的取扱いができる仕組みにすることが適当である。 ③ 輻輳度に応じた通信規制の段階分けに活用可能な優先度のクラス分けを行うことが 有効であり、具体的なクラス分けを引き続き検討することが適当である。クラス分 けの実施に当たっては、まず復旧優先順位をクラス分け順位に沿って定めつつ、情 報通信技術委員会(TTC)標準を改正して、通信ネットワークに対するクラス分 け機能を導入することが適当である。 ④ 通信時間制限は論理的に災害時にはつながり易い状況を作り出すことができる。今 後は、国民的コンセンサスを得るべく、利用者を含めて引き続き検討を進めること が適当である。まず、通信時間の制限の効果的な実現に向けた技術的課題等につい て、独立行政法人情報通信研究機構(NICT)と電気通信事業者等が連携して検 討を深めることが適当である。 ⑤ IP化の進展に伴い、次世代IPネットワーク等がIPで相互接続するオールIP 化時代が到来すると考えられ、そのような中でネットワーク全体として重要通信の 確保が円滑になされるために、音声系(緊急通報、優先通信、一般通信)及び音声 以外の重要な通信(画像、映像、データ系等)について、サービス内容や提供時期 を踏まえて、網間インターフェイス等の共通の運用ルールを速やかに確立すること が必要である。 ⑥ 避難所への電話の設置方法など避難所における課題について、災害発生後の避難所 のニーズを調査しつつ、国・地方公共団体や電気通信事業者等が取り組んでいくこ とが必要である。 41 重要通信の高度化の 在り方に関する報告書(案) 資料 平成20年4月4日 世界最先端のブロードバンド環境 資料1 世界的に最も低廉な水準のインターネット常時接続料金が実現 的 低廉 水準 ネ 常時接続料金が実 → あらゆる分野の経済成長や国際競争力の源泉 (ドル) (単位:万契約) 2.5 1,600 2 06 2.06 DSL ○契約数 ○契約数 :: 13,483,359 13,483,359 ○事業者数 ○事業者数 :: 45社 45社 1,400 13,786,256 2 ブロードバンドは、 世界で最も低廉・高速 CATV 1,000 1.43 15 1.5 1.21 800 1.01 1 600 0.63 0.51 0.49 0.5 400 0.24 ○契約数 ○契約数 :: 3,748,618 3,748,618 ○事業者数 ○事業者数 事業者数 : : 372社 372社 社 ○契約数 ○契約数 :: 10,518,659 10,518,659 ○事業者数 ○事業者数 :: 147社 147社 10,518,659 FWA ○契約数 ○契約数 :12,451 :12,451 ○事業者数 ○事業者数 :: 26社 26社 3,748,618 200 0.14 0.08 0.07 FTTH 1,200 12 451 12,451 0 00 /1 01 2 /0 01 3 /0 6 01 /0 01 9 /1 02 2 /0 02 3 /0 6 02 /0 02 9 /1 03 2 /0 03 3 /0 03 6 /0 03 9 /1 04 2 /0 04 3 /0 04 6 /0 9 04 /1 05 2 /0 05 3 /0 05 6 /0 05 9 /1 2 06 /0 06 3 /0 06 6 /0 06 9 /1 07 2 /0 07 3 /0 07 6 /0 9 国 ド ラン ー ギ 中 ダ ル ニ ュー ジー ベ ツ リス カナ イギ カ ドイ メリ ル ポ ー ラン ンガ シ ア ダ 国 オ 韓 日 本 0 (注)各国のDSL及びケーブルインターネットの提供速度及び提供料金を基に、 100kbps当たりの料金に換算し比較出典:digital.life ITU Internet Report 2006 注:平成16年6月末分より電気通信事業報告規則の規定により報告を 受けた契約数を、それ以前は事業者から任意で報告を受けた契約数を 集計。 1 IP電話の利用者数の推移 資料2 (万件) 1800 1,676.6 1,594.9 0AB~J-IP電話 050-IP電話 話 1600 1,527.6 ,527.6 1,447.8 1,375.9 1400 1,300.0 1,209.7 1,145.7 1200 901.4 976.7 32.3 51.0 269.9 1,060.4 204.3 142.4 85.2 830.5 1000 420.6 335.5 680.3 575.4 500.4 18.7 800 600 811.8 400 1040.4 1030.1 1005.4 1003.3 975.1 925.8 869.1 1027.1 1027.2 1019.5 996.4 527.6 2 6 200 末 12 9末 H1 H1 9. 9. 6末 9. 3末 H1 H1 H1 8. 9. 末 12 9末 H1 H1 H1 H1 8. 6末 8. 3末 8. 12 7. 7. H1 H1 H1 9末 6末 7. 3末 7. 3末 6. H1 末 0 2 資料3 電気通信サービス契約数等の推移 (単位:万契約) 12,000 固定電話(加入電話+ISDN) 10,530 加入電話 10,170 移動電話(携帯電話+PHS) 10,000 9,648 高速・超高速インターネット加入者数 9,147 (DSL+CATV+FTTH+無線) 8,665 IP電話 8,112 8,000 6,000 5,245 5,456 5,636 5,453 5,627 5,781 5,907 66,164 164 6,263 6,285 6 028 6,028 5,883 5,994 6,111 5,765 6,678 6 263 6,223 6,263 6,153 6,045 5,856 5,245 加入-移動の 契約数が逆転 加入:5,555万 移動:5,685万 (平成12年3月) 2,000 3,825 2,691 1,170 49 87 138 171 元年度末 2年度末 3年度末 4年度末 213 433 6 133 6,1966,133 6 022 6 077 6,022 6,077 5,961 5,805 5,516 5,685 5,240 5,555 4,731 4,000 7,482 5,226 5,100 5,116 5,159 5,163 5,056 4 816 4,816 4,581 固定-移動の 2,830 2,330 2,644 契約数が逆転 1,956 固定:6,219万 固定 , 1,495 1,448 1,677 1 677 移動:6,282万 1,146 (平成12年11月)943 831 387 528 85 22 0 5年度末 6年度末 7年度末 8年度末 9年度末 10年度末 11年度末 12年度末 13年度末 14年度末 15年度末 16年度末 17年度末 18年度末 19年12月 3 携帯電話加入者数の推移 (百万加入) 100 資料4 ~TCA調べ~ 2007年12月末現在 加入数 ・携帯電話 :約10,052万加入 ・インターネット接続 :約8,728万加入 IMT 2000 :約8,330万加入 約8,330万加入 ・IMT-2000 90 82.9% 80 1999年 iモード、EZウェブ、 Jスカイサービス開始 50 IMT-2000 40 30 20 イ ン タ ー ネ ッ ト 接 続 60 携 帯 電 話 加 入 数 70 86.8% 10 0 2001年 IMT-2000サービス開始 IMT 2000サ ビス開始 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 (年度末) 2007.12 IP電話等による優先的取扱い(原則要件化) 資料5 ◎ 要件、 ○ 提供中、 △ 事業者により提供中、 × 現時点では提供していない サービス 種別 アナログ電話 ISDN(電話) 優先的な取扱い実施状況 番号体系 0AB~J 0AB~J (統合IP網以外の電話) IP電話 0AB~J (NGN等の統合IP網の 電話) 050 (品質基準が緩い電話) 携帯電話(2G,3G) PHS(電話) (電話) データ伝送系サービス ※1 ※2 ※3 ※4 ※5 ※6 090、080 070 - 緊急通報(110、118、119番) 災害時優先通信 ◎ ○→◎ (※1) (※2) ◎ (※3) その他 △→◎ A事業者:提供なし(システム未対応) B事業者:提供なし(システム対応済) ◎ →◎ × × (※4) ○→◎ ○→◎ (※5) - - 番号付与の際の要件としている 番号付与の際の要件としている。 NTTについては、「102」による交換経由による優先的な取扱いも行っている。 番号付与の際の要件としている。ただし、一部の法人向けサービスについては代替手段があることを条件として緊急通報を取り扱わないものを認めている。 一部のサービス(BBフォン等)では、緊急通報の際に、アナログ電話回線に切替えることで緊急通報を確保するものがある。 携帯電話(第三世代)の緊急通報について、平成20年春において、一部の事業者の一部の番号において提供されない場合があり得る。 一部の事業者では障害復旧の際に回線を優先的に確保している。 △ (※6) 5 データ伝送等による緊急通報の現状 ① 資料6 主に障がい者・高齢者を対象に、電子メールや携帯ウェブを利用した緊急通報 サービスが、都道府県市区町村の消防・警察本部より提供されている。 ○ 電子メールでの緊急通報サービスは、いずれの地域でも障がい者団体等から歓迎されている模様。 ○ 一方、携帯ウェブでの緊急通報サービスは、聴覚や言語等の障がい者等が利用する際も、文字入力が必要 でないため 携帯メールに不慣れな人でも容易に利用することができると言われている でないため、携帯メ ルに不慣れな人でも容易に利用することができると言われている。 電子メール等の緊急通報サービスの仕組 電子メール 携帯ウェブ 緊急事態 ①緊急通報 ②確認メール 対話・指示 聴覚や言語等の障がい者 高齢者など ③現場急行 消防機関 警察機関 6 データ伝送等による緊急通報の現状 ② 提供サービス サービス概要 提供主体 電子メール/ 携帯電話等 聴覚等の障がい者が、電子メールで119番通 報する。通報後には、消防本部から確認メ 報する 通報後には 消防本部から確認メール ル が送られてくる。 都道府県/市区町村消防本部 (2006年2月現在で52自治体から 提供) 携帯電話による 119番通報サービス 携帯ウェブ/ 携帯電話、小型専 用機器 小型専用機器を携帯電話の電源差込口に差し 込むと、自動的に消防局の専用ウェブサイトに 接続する 項目を選択することで119番通報す 接続する。項目を選択することで119番通報す る。 愛知県のNPO法人日本レス キュー支援協会が開発 対話式メール110番 通報システム 携帯ウェブ/ 携帯電話 携帯用ウェブサイトより、項目を選択、文字入 力することで110番通報する。指令室担当者と 文字で直接対話しながら 事件内容を通報し 文字で直接対話しながら、事件内容を通報し、 指示を受ける。 新潟県警察 電子メールからの 電話リレーによる 電話リレ による 緊急通報サービス 電子メール/ 携帯電話等 聴覚や言語等の障がい者が電子メールで緊急 通報する通報内容について、オペレーターが 警察 消防機関等に電話で取り次ぎ 通報受 警察・消防機関等に電話で取り次ぎ、通報受 理機関と通報者の連絡を仲介する。 ㈱レスキューナウ等、法人企業 ㈱ キ ナウ等、法人企業 テレビ電話からの 電話リレーによる 電話リレ による 緊急通報サービス テレビ電話(フレッツ フォン、FOMA機) ン FOMA機) 聴覚や言語等の障がい者が、テレビ電話で手 話や筆談機による連絡を行う。連絡を受けたオ ペ ペレータは電話で取り次ぎ、通報機関に連絡を タは電話 取り次ぎ 通報機関 連絡を する。 (株)プラスヴォイス、(株)Loux等 メール119番 通報 通報サービス 利用方法/端末 資料6 (出典)(株)野村総合研究所調べ 7 データ伝送の優先的取扱い① 資料7 □ 現在、通信の優先的取扱いは音声で実現 現在 通信 優先的 扱 は音声 実現 □ データ伝送が重要な役割を果たすようになり、優先的取扱いの要望の高まり (例)救急車と病院間での心電図等のデータ通信、災害時の被災状況の確認(画像) 職員の緊急参集 関係者の安否確認 障がい者からのメ ル等による緊急通報 職員の緊急参集、関係者の安否確認、障がい者からのメール等による緊急通報 現状のデータ通信や電子メールでは、遅延や、接続・送信できない場合あり(年末年 始・イベント時など 災害時以外にも通信の支障あり) 始・イベント時など、災害時以外にも通信の支障あり)。 緊急参集連絡やデータ収集等の通信は、優先的に取り扱うことが望ましい NGN・統合IP網はQoS制御可能 →優先的取扱いを実現を検討(網の改修が必要) SIPサーバで、ネットワークリ ソース(帯域等)を制御するこ と とで、QoSを確保する を確保する 利用者 SIP サ ハ サーバ NGN・ 統合IP網 音声や映像は既に優先的に 伝送されており、インターネット 網に比べて、データの優先的 取扱いを実現しやすい 映像配信 事業者等 NGN・統合IP網同士 の相互接続は取組を 進めている段階 他社 NGN 網 ・統合IP網 NGN・統合IP網は実証・商用段階へ移行中 デ タ伝送役務の優先的取扱いに いては データ伝送役務の優先的取扱いについては、 NGN・統合IP網などの管理されたネットワーク において提供できる通信サービスでの実現の検 討が適当。 例えば、データ伝送の優先的取扱いを必要と する機関の間で、管理されたネットワークを用い、 優先フラグの付与などの方法により、優先的取 扱いを行うことができるよう検討することが適当 扱いを行うことができるよう検討することが適当。 必要に応じ、ITU-T等に標準化を提案。 利用者 8 データ伝送の優先的取扱い② 資料8 【標準化】 • NGNは国際機関であるITU-T等で標準化されており、優先的取扱いを実現するためには、国際標 準によるコンセンサスが必要になる。 – 標準化の進捗状況を踏まえ、標準に準拠した機器の開発、事業者の設備更改を考慮した導 入計画等の策定が可能となる。 【優先度の付与】 • 優先度の付与権限は、事業者等が管理・付与する必要があるのではないか – オープンなネットワークでは、優先的取扱いの機能を実現しても、利用者が望めば誰でも自由 にデータを優先的取扱いとできてしまうため、優先すべきとは言えないデータまでもが優先的 となってしまう。 – NGN・統合IP網のような管理されたネットワークであれば、事業者側で真に優先すべきデータ のみ優先取扱いが可能。 – 優先的な取扱いを実施するため、客観的な基準等についての整理 優先的な取扱いを実施するため 客観的な基準等についての整理・検討が必要 検討が必要。 9 第三者機関を通じての緊急通報等への接続の現状 ① 資料9 民間会社 自治体等の第三者が緊急通報するサ ビスの出現 民間会社・自治体等の第三者が緊急通報するサービスの出現 【事例】 ○ 障がい者・高齢者・女性・子供を対象に、ペンダント型無線機等を利用した緊急通報サービスが提供されてい る。緊急時に非常ボタンを押すと、民間事業者のオペレーションセンターに発信し、通報を受けたオペレーター が直ちに本人や家族に確認の電話を行い、状況に応じて消防・警察機関等へ救援を要請する。 ○ クルマのドライバーを対象に、携帯電話端末等を利用した緊急通報サービスが提供されている。交通事故が 発生した際に、エアバック等と連動することにより、自動でオペレーターとの通話開始と同時にナビの位置情報 の送信を行うことにより、通報を受けたオペレーターは状況を確認し、状況に応じて消防・警察機関等へ救援を 要請する。 第三者機関による緊急通報サービスの仕組 緊急事態 ①通報 ③緊急通報 ペンダント型無線機 障害者・高齢者・女性・子供 ②連絡・状況確認 オペレーションセンタ オ レ ションセンタ 交通事故 消防機関 警察機関 ④現場急行 10 第三者機関を通じての緊急通報等への接続の現状 ② 提供サービス 音声、電波からの 電話リレーによる 緊急通報サービス 音声、データ伝送から の電話リレーによる 緊急通報サービス 資料9 利用方法/端末 サービス概要 提供主体 音声、電波/ペン ダント型・万歩計型 無線機、通報用電 話機 障がい者・高齢者・女性・子供を対象に、ペンダント型無 障がい者・高齢者・女性・子供を対象に ペンダント型無 線機等を利用した緊急通報サービス。緊急時に非常ボタ ンを押すと、民間事業者のオペレーションセンターに発信 し、通報を受けたオペレータが直ちに本人や家族に確認 の電話を行い、状況に応じて119番や110番に通報する。 タ タクシー会社や警備保障会社であれば、現場に出動し、 会社 警備保障会社 あれば 場 出動 事態の把握・対処等を行う。 安全センター(株)、ホー ムネット(株) 交通事故・急病・ケガ・海でのトラブル等の緊急事態発生 音声、データ伝送/ 時、オペレーションセンターへ通報を行う。オペレーション GPS対応携帯電話 GPS対応携帯電話、 センターは位置情報を取得するとともに、通報者と電話で 車載専用端末 状況を把握。そして110番や119番に通報を行う。 (株)日本緊急通報サー ビス、(株)ワムネット、セ ビス (株)ワムネット セ コム 電子メールからの 電話リレーによる 緊急通報サービス 電子メール/ 携帯電話等 聴覚や言語等のがい者が電子メールで緊急通報する通 報内容について、オペレーターが警察・消防機関等に電 話で取り次ぎ、通報受理機関と通報者の連絡を仲介する ㈱レスキューナウ等、 法人企業 テレビ電話からの 電話リレーによる 緊急通報サービス 緊急通報サ テレビ電話(フレッツ フォン、FOMA機) 聴覚や言語等の障がい者が、テレビ電話で手話や筆談機 による連絡を行う。連絡を受けたオペレータは電話で取り 次ぎ、通報機関に連絡をする。 機 (株)プラスヴォイス、 (株)Loux等 携帯ウェブ/ 携帯電話 携帯用ウェブサイトより、項目を選択、文字入力することで 110番通報する 指令室担当者と文字で直接対話しながら、事件内容を通 報し、指示を受ける 新潟県警察 対話式メール110番 通報システム (出典)(株)野村総合研究所調べ 11 重要通信対象機関の追加・削除の検討 資料10 重要通信対象機関 □ 災害時優先通信を行う機関。告示「重要通信を行う機関を指定する件」で個別具体的な機関名を規定。 □ 気象、水防、消防、災害救助(関係府省、独立行政法人、病院、学校、災害対策基本法・武力攻撃事態法の指 定行政機関・指定公共機関(地方を含む)等) 秩序維持(警察庁等) 防衛 海上保安 輸送 通信 電力 水道 定行政機関・指定公共機関(地方を含む)等)、秩序維持(警察庁等)、防衛、海上保安、輸送、通信、電力、水道、 ガス、選挙管理、新聞、金融等の各機関が指定されている。 □ 近年、追加を求める要望があるが、追加に当たっては全体の通信容量を考慮することが必要。 重要通信対象機関(重要通信を行う機関)への追加は、個別機関名が原則。設備保守会社等は、 一律に追加すると優先的取扱いを行う通信が飛躍的に増加する可能性があるため、見直しに当 たっては 重要通信を行う機関からの削除等により リソースが産み出されるか考慮することが適当 たっては、重要通信を行う機関からの削除等により、リソ スが産み出されるか考慮することが適当。 (具体的な追加の考え方) 追加の考え方 利点 検討事項 原則 個別機関名 (例:エレベーター管理会社、日本 自動車連盟(JAF)等) 重要通信を必要とする機関のみ規 定可能。社会情勢の変化に応じた見 直しが容易。 特定の機関のみを対象とする 理由の明確化が必要。 設備 保守 会社 等 契約・業務受委託関係等のある機 関(全業種一律) 又は 業種毎・業務内容毎に必要な具体 的機関(例:電力・輸送機関の設 備保守会社に限定) 一部の現在の重要通信を行う機関 の災害対策・復旧事業は、実質的に 設備保守会社等の契約・受託機関 が実施している実態に適合。 対象範囲が広がる可能性。 契約終了後に必ず廃止するこ とが必要 とが必要。 12 災害時優先電話のネットワーク構成概要 IP電話 アナログ電話 資料11 携帯電話 優 輻輳 (被災地内からの通信) 優 加入者 交換局 収容 ルータ 優先フラグ付与 発信規制 中継 交換局 輻輳 (自社他地域から 被災地への通信) 発信規制 輻輳 輻輳 重要通信専用パス 通過率の可変設定 などの無線アクセス 区間の帯域確保 (輻輳) 他中継交換局→ 基地局 基地局 制御装置 優先フラグ付与 IP電話網 関門 交換局 (他社から 被災地への通信) 無線区間 輻輳 VoIP ルータ 発信規制 優 SIPサーバ 優先フラグ付与 輻輳規制 技術の確立、 ノウハウの蓄積 (輻輳) MG ↑自社網 ↓他社網 SG ↑自社網 ↓他社網 関門 交換局 関門 交換局 音声 制御信号 音声 制御信号 MG:Media Gateway SG:Signaling Gateway (輻輳) 移動通信 交換局 (輻輳) 関門 交換局 ↑自社網 ↓他社網 関門 交換局 音声 制御信号 13 緊急通報のネットワーク構成概要 資料12 アナログ電話網 携帯電話 (通報者) 基地局 位置情報 アナログ電話 (通報者) 交換局 携帯電話網 緊急通報 受理機関 位置情報 通知サーバ 加入者 交換機 位置情報 通知サーバ 交換局 中継事業者の利用 は事業者による 中継系 事業者網 関門 交換機 中継 交換機 加入者 交換機 ISDN回線 受付台 地域系事業者網 IP電話 (通報者) 交換局 IP電話網 位置情報 受信サーバ IP-VPN網 位置情報 通知サ バ 通知サーバ 部の携帯電話事業者の特定の地域(東京都大島 新島 神津島 八丈島等) 一部の携帯電話事業者の特定の地域(東京都大島、新島、神津島、八丈島等) 携帯電話 基地局 交換局 基地局 緊急通報機関 一部の携帯電話事業者の特定の地域 携帯電話 基地局 交換局 アナログ専用線 受付台 無線アクセス区間の重要通信の疎通の確保 ① 14 資料13 無線アクセス区間において、規制中でも緊急通報は規制を受けない仕組みを導入 無線アクセス区間において 規制中でも緊急通報は規制を受けない仕組みを導入 無線アクセス区間において、規制中でも災害時優先電話は規制を受けない仕組みを導入 15 無線アクセス区間の重要通信の疎通の確保 ② 資料13 災害時等の輻そう時において重要通信(優先電話・緊急通報)のみを疎通させる帯域を持たせる 機能(無線アクセス区間の帯域の確保)を導入 携帯電話・PHSにおいて、音声とパケットの規制を独立に行うことができる仕組みを導入 携帯電話・PHSにおいて 音声とパケットの規制を独立に行うことができる仕組みを導入 課題 改善策 規制 音声 OK OK NG NG NG OK OK NG NG パケット NG 30% 音声 ¾同じ規制値 基地局 30 % ・同じ規制値でしか 運用できない。 OK OK NG NG NG 規制 分離 OK OK OK パケット OK OK 30 % ・柔軟な運用が 可能。 基地局 100% 優先度のクラス分けについてのこれまでの提言 16 資料14 「電気通信事業における重要通信確保の在り方に関する研究会報告書」(抜粋) 平成15年7月総務省 5.携帯電話における重要通信確保のための技術的検討 5 携帯電話における重要通信確保のための技術的検討 (1) 携帯電話の無線区間における重要通信・緊急通報の確保対策 さらに、米国のWPS(編注:Wireless Priority Service:携帯電話における優先取扱いシステ ) は優先加入者をクラ 分けし 通話 優先順位を規定し るよう 、特 重要な通 ム)では優先加入者をクラス分けして通話の優先順位を規定しているように、特に重要な通 信の疎通を確実に確保するためには、優先度のクラス分けを行うことが有効である。 (2) 第3世代携帯電話における重要通信・緊急通報の確保対策 ③ 我が国における今後の取組 米国のWPSが活用しているeMLPP(編注:enhanced Multi-Level Precedence and Preemption service:優先割り当て機能)の優先度の設定は、効果的な通信規制を実施するため に有効な機能であり、我が国の第3世代携帯電話のシステムに導入していくことが考えられ 有効 機能 あり、我 国 第 世代携帯電話 導 考 る。このように、優先度のクラス分けを行う場合には、携帯電話事業者共通の基準と運用 ルールの策定が必要である。 7.今後の取組 7 今後の取組 (3) 携帯電話における重要通信確保のための今後の取組 ① 無線区間における輻そう対策の強化 重要通信をより確実に確保する方法として、優先度のクラス分けを行うことも有効であり、今 後、優先度のクラス分けを導入する場合には、各携帯電話事業者が共通の基準に従って、 優先取扱いが行われるよう、国が必要な基準を定めることが必要である。 17 呼の優先について 資料15 【問題意識】 ○ 新潟県のプレゼンテーションを受けた第4回会合の議論 災害等の非常時において、通信中であっても、より優先度の高い相手方からの通信を受信することができ (通信中の通信に対して切断する旨の警告・メッセージが必要) (通信中の通信に対して切断する旨の警告 メッセ ジが必要)、一方 方、優先度の低い相手方からの通信に 優先度の低い相手方からの通信に ついては転送できるような機能が、現実的に災害時に役に立つと考えられる。 ○ 3GPP (Third Generation Partnership Project)の「eMLPP (enhanced Multi-Level Precedence and Preemption service)」における「高い優先度を有する呼を優先的に接続するための機能(Pre service)」における「高い優先度を有する呼を優先的に接続するための機能(Pre-emption)」 emption)」 ・ 優先接続機能(Pre-emption)が設定されている優先レベルについては、優先接続が行われる。 - 一方、優先レベルが設定されていない呼については、呼を列に並ばせる(通話待ち) - eMLPPに加入している受信者は、基地局(Mobile MLPPに加入している受信者は 基地局(M bil St Station)に対して、かかってくる呼への自動返答 ti )に対して かかってくる呼への自動返答 (automatic answer a call)を設定することができる。 - 基地局が混雑している場合、優先接続を行う為に、低優先レベルの呼が開放(切断)(pre-empted) されたり、適切な指示を受けたり(call hold)することができる。 - 呼の自動返答(automatic answering)や呼の開放(切断)(pre-empted)を行う優先レベルの定義は、 基地局に登録されており、eMLPP加入者によって変更することができる。 - 基地局が呼を受けない場合や、受信者が呼を受けない場合、その呼は別の機関へ転送されるのが 望まし 。 望ましい。 - 基地局が優先接続時に低優先レベルの呼を開放(切断)できない場合、高優先レベルの呼は待機 状態となり、受信者は後で接続することができる。受信者が待機状態を拒否した場合は、別の機関へ 転送されるのが望ましい。 (第4回会合資料4-9「海外における重要通信の確保について」をもとに作成) 18 米国における優先度のクラス分け【仮訳】 資料16 User Classification 利用者の分類 Examples 具体例 Category#1: Executive Leadership/ Policy Makers 分類1:行政府指導者、政治家 President Governors President, Governors, Lt Governors, Governors City/County leaders, leaders Cabinet officers, key senior staff Category#2: Disaster Response/Military Command & Control 分類2:災害対応、軍事命令・指揮 Continuity of government and national security leadership; EOC coordinators/directors 大統領、州知事、市長、カウンティの長、連邦政府長官、主要上 級幹部等 政府機関の継続性を確保する機能、国家安全保障の指導者、 緊急運用センターの調整者・指示者 緊急運用センタ の調整者 指示者 Category#3: Public Health, Safety, Law Enforcement 分類3:公衆衛生、安全、法執行 Senior command levels of law enforcement, fire and public safety functions 法執行機関・火災対応・公共安全機能における上級指揮レベル Category#4: Public Services/Utilities and Public Welfare 分類4:公共サービス、公共福祉 COE leadership; water/Sewage/telecomm/transportation leadership COEの指導者、水道・下水道・通信・運輸の指導者 Category#5: Disaster Recovery Medical resources; sheltering; infrastructure damage assessment; DFO 医療資源、避難、インフラ損害評価、DFO 分類5:災害復旧 ※ 和訳は仮訳 ※ 英文出典 http://www.ncs.gov/tpos/docs/0924/WPS.ppt 「非常時における通信運用技術に関する調査研究報告書」(抜粋)平成19年3月財団法人テレコム先端技術支援センター 19 優先度のクラス分け 資料17 クラス分けは、輻輳度に応じた通信規制の段階分けに活用可能であり、検討を進める。 クラス分けは 輻輳度に応じた通信規制の段階分けに活用可能であり 検討を進める 導入に当たっては、まず復旧優先順位をクラス分け順位に沿って定めた上で、情報通信技術委員会 (TTC)標準を改正して、通信ネットワークに対するクラス分け機能を導入。 (具体的クラス分けの例) 優先度(①~③) 利点 検討事項 事業者への影響 案 1 ① 緊急通報 ② 国民の生命又は身体を保護する機関(人命救助機関) 並びに国及び地方公共団体の優先通信 ③ ②以外の機関(輸送・通信・電力・ガス・新聞・金融等) の優先通信 緊急度の高 い機関が優 先 案 2 ① 緊急通報 ② 災害対策基本法・武力攻撃事態法の指定行政機関・指 定公共機関(地方を含む)の優先通信 ③ ②以外の機関の優先通信 災害対策に 必要な機関 が優先 案 3 ① 緊急通報 ② 本来機関の優先通信 ③ 契約・受託機関の優先通信 本来重要な 機関が優先 機 関 内 上記機関別に加え機関内でも優先度をクラス分け ① 優先度1、優先度2、優先度3 優先度1 優先度2 優先度3 ② 優先度2、優先度3 ③ 優先度3 きめ細かい割 振りが可 運用がやや複雑 上記に加え、各機関内 における優先度のクラス 別台数の適切な配分が 必要。 T P O 時間 場所 状況別に優先度を分ける 時間・場所・状況別に優先度を分ける (IDポータビリティの活用を検討) 非常にきめ細 か 割振りが かい割振りが 可 緊急時の運用が複 雑。 SIMカード遠隔書 換失敗可能性。 利用者の設定変更を受 け けて、事業者側での対 事業者側 対 応が必要。 システム変更が必要。 TTC標準の改正が必要。 第③順位の優先度 が少なく、リソース 産出効果が少ない 同上 同上 ※ 合わせて費用負担の在り方の検討が必要。 20 TTC標準(JTーQ3401) ① 資料18 TTC標準JT-Q3401の概要 NGN NNIのTTC技術レポート(TR-9025)を、国際標準ベースへ移行しTTC標準を制定 構成は、ITU-T勧告部分の和訳部分の本文、および、次世代IPネットワーク推進フォー ラムの要望等により、TRに盛り込んだTTC独自の規定を付属資料/付録資料として、 規定/記述の追加 【 TTC技術レポート】 TR - 9025 Q.3401記載項目 【 新TTC標準構成】 【 ITU – T勧告】 約80頁 置き換え Q.3401 信号プロファイル RFC選択等 オプション規定あり(may) 接続形態、番号方式、 信号方式等 本文 JT - Q3401 約40頁 Q.3401翻訳 付属資料 a 規定の明確化項目 TTC規定事項 SIPメッセージの設定内容、 空き番号トーキ等 オプション項目 付属資料 フォールバック接続、 TCP等 b~h SIPメッセージの設定内容、 空き番号トーキ、番号系IW等 オプション項目表 付録 録 信号毎M/O表 フォールバック接続、 TCP 、番ポ IW 送信: Dynamic 網付与ユーザ 番号系IW 番ポ IW i~iii 受信:Static 付録 シーケンス例 TR - 9022 付属資料f 発ユーザ種別について iv オプション項目表 約40頁 付録 ID情報転送 v 信号毎M/O表( Dynamic ) 付録 vi シーケンス例 (注:付属資料は仕様の一部である。付録は参考資料であり、仕様ではない。) (出典)社団法人情報通信技術委員会(TTC) 「JT-Q3401第1.0版プレスリリース http://www.ttc.or.jp/j/info/release/news20071128_JT-Q3401.pdf 」より引用。 21 TTC標準(JTーQ3401) ② 資料18 優先扱いの表示 SIP-ISUPの 変換に関する規定 (出典)社団法人情報通信技術委員会(TTC)「JT-Q3401第1.0版より引用」。 TTC標準(JTーQ3401) ③ 22 資料18 一般発ユーザを示す 優先扱いは < Priority > (出典)社団法人情報通信技術委員会(TTC)「JT-Q3401第1.0版より引用」。 23 通信時間の制限について 資料19 安否確認をする際に重視すること つながりやすければすぐに切れてもOK 福岡県西方沖調査 短い通話(30秒程度)でもかまわないの で すぐに 相手にじかにつながること で、すぐに、相手にじかにつ 76.2 すぐにではなくても、必ず、相手にじかに つながること すぐに、相手には同時につ すぐに 相手には同時につながらなくと も、伝言板のような記録・登録媒体で確 認できること 認できる と 158 15.8 6.2 (出典)「災害時の情報ニーズ 情報通信と関連して」(中村座長代理 第2回会合(平成19年12月7日)) 通信時間の制限についての調査 24 資料20 「災害情報調査研究レポート③」(抜粋) 2006年3月31日、東京大学・東洋大学 災害情報研究会 2005年7月千葉県北西部地震と災害通信の問題 4 災害時の通信・・・・・中村 災害時の通信 中村 功(東洋大学社会学部) 4.3 「通話時間を短くして、災害通信を確保すること」はよい仕組みと思うか (略) 輻輳時には一人あたりの通話時間を短くして(強制的に通話を切断して)、より多くの人につな げるようにするアイデアは受け入れられないか、とたずねてみた。すると、全体の78.9%の人が 「短い時間(30秒程度)でもかまわないので、電話を確実につながるようにして欲しい」という意見 に賛成であった この方策は もし実現すれば一般に受け入れられそうである に賛成であった。この方策は、もし実現すれば一般に受け入れられそうである。 こうした仕組みは技術的にはそれほど難しくないと思われる。というのは、実際に1960年代の後 半には、待ち時間を短縮する目的で、公衆電話の3分打ち切り制度が実施されたことがあるので ある。 また、携帯電話についてもこうしたアイデアはすでにあり、特許がとられている。(特許番号:特 許第3477498、登録日2003/10/3、発明の名称:通話規制方法、特許権者:独立行政法人通信 総合研究所、http://koukai.nict.go.jp/doc/result/kouhou3477498.pdf)この特許はまだアイデア 段階の特許といえるが、その内容は、①災害時の輻輳問題を解決することが目的、②輻輳が激 しくなるほど通話できる時間を短くする、③通話が切れる何秒か前に警告音を入れる、④一度つ なげた番号からは再呼があっても一定の時間は接続しない、というものである。こうした仕組は、 実際にどれだけ通話時間を短くしたらどれだけ通じやすくなるのか という試算をする必要がある 実際にどれだけ通話時間を短くしたらどれだけ通じやすくなるのか、という試算をする必要がある が、真剣に検討する価値があるのではないだろうか。 (出典)「災害情報調査研究レポート③」(抜粋) 2006年3月31日、東京大学・東洋大学 災害情報研究会 25 通信時間の制限についてのこれまでの提言 資料21 「電気通信事業における重要通信確保の在り方に関する研究会報告書」(抜粋) 平成15年7月総務省 5 携帯電話における重要通信確保のための技術的検討 (1) 携帯電話の無線区間における重要通信・緊急通報の確保対策 (略) また、災害時等における輻そうのなかで、より多くの人が通信できるための方法として、個々 の通話時間を制限することの有用性についても通信総合研究所で検討が行われており、実 現方式等も含め詳細な検討をしていくことが必要である。災害等の非常時においては、携帯 電話 限らず 固定電話や 衆電話等 も通話時間を制限する と 電話に限らず、固定電話や公衆電話等でも通話時間を制限することによって、より多くの人 り多く 人 の通話の疎通が確保される可能性があることから、通話時間の制限に向けて、輻そう時の有 効性について更に技術的な検討を進めるとともに、利用者の理解を求め、コンセンサスが得 られるようであれば、具体的な方策等について検討を行うことが必要である。 26 優先度・通信時間制限についてのこれまでの提言 資料21 「安心・安全な社会の実現に向けた情報通信技術のあり方に関する調査研究会」 最終報告書(抜粋) 平成19年3月19日 第1部 災害対策・危機管理分野 第5章 実現に向けた4つの課題 5.2 将来像の実現のために解決すべき4課題 (4) 利用・普及促進面の課題 イ 重要通信を効果的に確保するためのルールが未確立 ① 重要通信を行う機関が多々あるにもかかわらず、ネットワーク上での重要通信の識 別は1種類のみ。 ② 重要通信を行う機関同士においても長時間の占有等により利用の不均衡が発生。 27 優先度・通信時間制限における課題 資料21 現 状 ◆問題点 ・重要通信を行う機関が多々あるにも 重要通信を行う機関が多 ある も かかわらず、ネットワーク上での重要 通信識別は1種類のみ。 ・重要通信を行う機関同士においても 重要通信を行う機関同士においても 長時間の占有等により利用の不均 衡が発生。 一度接続すれ ば切断されない 一般 優先 優先又は一般 の2種類のみ 将来課題 ◆ 検討項目 ・重要な機関等の種類に応じて複数の 優先度を設定するとともに、状況によ り最適な優先度の重み付けを決定す る技術を確立 ・通信状況に応じて、通話時間制限等 新たな通信規制 最適な運用パ 新たな通信規制に最適な運用パラ メーターを設定するための技術を確立 通信状況を判 断し強制切断 一般 優先レベル1 優先レベル3 機関により優先度 を適切に設定 MCAにおける通信時間の制限 ① 優先レベル2 28 資料22 1 MCA無線システムとは MCA(※)方式を利用した陸上移動通信分野における業務用無線システム。昭和57年にアナログ方式で 開始され、平成6年にデジタル方式が導入された。主に陸上運輸、製造販売等の分野で利用されている。 1回の通話時間は3分から5分に制限されているが、混信のないクリアで秘話性の高い通信が可能であり、 同報( 斉指令)機能を備えている また 比較的低廉な料金で使用ができる 同報(一斉指令)機能を備えている。また、比較的低廉な料金で使用ができる。 (※) Multi Channel Access System 電波の有効利用技術の1つであり、一定数の周波数を多数の利用者が共同で利用する仕組み。 MCA制御局 2 MCAシステムの構成 通話用チャネル 制御用チャネル 指令局 指令局 指令局 移動局 移動局 移動局 ※ MCA制御局 指令局と移動局、移動局相互の通信を中継するための無線局。 サービスエリアは半径約15~30キロ。 指令局 利用者の事業所等に設置する無線局。 制御用チャネル 各利用者の接続要求に応じて通話チャネルを指定するための電波。 制御チャネル1波に対して通話チャネル15波。 29 MCAにおける通信時間の制限 ② 【主要諸元】 800MHz帯 周波数 出力 アナログ方式 制御局 40W以下 指令局 10W以下 陸上移動局 10W以下 1.5GHz帯 デジタル方式 制御局 40W以下 指令局 2W以下 陸上移動局 2W以下 デジタル方式 制御局 40W以下 指令局 2W以下 陸上移動局 2W以下 変調方式 周波数変調 π/4 QPSK M16QAM、M4PSK、M64QAM 通信方式 二周波単信 TDMA/FDD TDMA/FDD 通話時間 3分間以下 5分間以下 5分間以下 昭和57年(1982) 平成15年(2003) 平成6年(1994) サービス 開始時期 資料22 3 通話時間制限機能の概要 MCAを運営している財団法人移動無線センター(MRC)と財団法人日本移動通信協会(JAMTA)とで は多少の機能・サービスの違いはあるが、概ね次のとおり。 ① 通話時間の制限は、アナログでは最大3分間、デジタルでは最大5分間で運用しており、1分毎の設定 変更が可能となっている。 ② 通信輻輳時には、通話時間を短く設定することにより、利用者が公平に使用できるようにしている。 ③ 設定は、遠隔にて制御局制御装置の設定を変更する。 設定は 遠隔にて制御局制御装置の設定を変更する ④ 通話時間を越えた場合、自動的に予約(待ち受け)状態となり、チャンネルが空き次第チャンネルが自 動的に割り当てられ、通話が可能となる。 ⑤ 通信輻輳も、自動的に予約(待ち受け)状態となり、チャンネルが空き次第チャンネルが自動的に割り当 てられ、通話が可能となる。 ⑥ 災害対策支援活動等に関しては、指定されたユーザに対して優先権を設定し、通信輻輳時においても 他の一般通信より優先的に接続されるようにしている。 30 通信時間の制限 資料23 国民的コンセンサスを得るべく、利用者を含めて引き続き検討。 的 を得る く 者を含 き続き検 まず、通信時間制限を効果的に実現するための技術的課題について、情報通信研究機構(NICT) と電気通信事業者等が連携して検討。 背景と内容 ○ 災害時に通信需要が急増 → 発信規制を実施 ○ 発信規制により 発信規制により一般端末は通信が不可能化 般端末は通信が不可能化 → 一般の人の安否確認などの通信需要も強い 般の人の安否確認などの通信需要も強い ○ 通信時間を制限 → 時間制限があるが、つながり易い状態へ 通信できた利用者によるかけ直し(再呼)の一定の減少 トラヒック(呼量) = 単位時間当たりの呼数 × ↑ 発信規制:重要通信確保 少人数が通信可 平均保留時間 ↑ 通信時間制限:多くの人が通信可 ○ 留意点 ・ 通信時間制限のコンセンサスが必要。 ・ 呼数増加による処理量の増大により呼制御サーバ(SIPサーバ)・回線交換機の負担が上昇。 → 被災地域をカバーする呼制御サーバ(SIP)等と別の呼制御サーバ等の活用等を検討。 検討項目 ○制限時間:呼量に合わせて通信時間を制限 又は 一定の時間(30秒、2分、3分等) ○対象:一般端末のみ(緊急通報を除く) 又は 優先端末(緊急通報受理機関を除く)でも通話時間非制限と制限にクラス分け ○通信開始時:通信制限時間を表示 又は 音声案内等 ○切断前:バイブレーション 前 ブ 又は 警告音等 (出典)「災害時の重要通信確保のための研究-通信時間制限と非常時マルチシステムアクセス-」 (情報通信研究機構 第2回会合(平成19年12月7日))、電気通信事業者へのヒアリングなどから編集 31 通信時間の制限の利点及び留意点等 資料24 利 点 留意点 通信時間 の制限 ・ 他の通信の時間制限により、重要通信の確 実な確保に資すると考えられる。 ・ 有限な周波数資源使っている等のため増加 が難しい回線容量を増加させることなく、より 多くの通信を実現可能である。 ・ 通信できた利用者は、満足してかけ直ししな 通信できた利用者は 満足してかけ直ししな くなるため、通信需要自体の減少が一定程度 見込まれる。 ・ 現状より多くの一般利用者の通信が可能と なる なる。 ・ 重要通信を行う機関内の一般端末から優先 端末への通信も掛かりやすくなる。 ・ 通信時間制限のコンセンサス作りが必要とな る。 ・ 通信時間が短い。 ・ 呼制御サーバ(SIPサーバ)・交換機の容量 や信号網の容量以内での制御にする必要が あり 通信時間制限の効果を生かすためには あり、通信時間制限の効果を生かすためには、 交換機能力の増強等が必要である。 → 被災地域をカバーする呼制御サーバと別 の呼制御サーバの活用等を検討。 【備考】 発信規制 (現在の 方法) ・ 一般通信を発信規制することにより、重要通 一般通信を発信規制することにより 重要通 信の確実な確保に資する。 ・ 交換機・呼制御サーバの容量や信号網の容 量以内に抑えられる。 ・ 通信できない利用者が通信できるまで何度 もかけ直すため、なかなか通信需要自体が減 らない。 ・ 多くの一般利用者が通信できない。 32 交換機における呼数と呼量の関係 呼量(erl)) 呼量(e 災害時の運用点 ネットワークで処理可能な トラヒックの範囲 (接続規制により 限界値以内に制御) 資料25 呼処理能力の限界を 超えるため困難 34,000 (注2) 回線容量の限界値 (回線数・伝送帯域で決まる) 60~80% 通話時間制限時の 期待処理呼数 平時の最繁時運用点 平時のトラヒック 呼処理能力の引き上げが必要 災害時は輻輳を避けるた め長時間呼が増えて平均 保留時間が延びると予想 (注1)一般的な電話交換機の呼処理能力 通話時間制限時に想定 される限界運用点 60~80% (注2)平均保留時間を2分とし、呼処理能力の限界値から 100万 (注1) 呼数 (Call Attempts/hour) 呼処理能力の限界値 (CPU能力で決まる) 算出した回線容量(呼量) ◎上図は、一般的交換処理を図式化したものであり、電話網への影響については慎重な検討が必要。 ◎通話時間制限により重要通信の通話可能呼数を増やす効果は期待できるものの、十分な効果を得るために は 呼処理能力の上限を引き上げる必要があり コストを必要とする は、呼処理能力の上限を引き上げる必要があり、コストを必要とする。 ◎輻輳のボトルネックになりやすい無線アクセス区間での重要通信確保の対策としては、例えば、無線チャンネ ルの空きがない場合には一般呼を強制切断して重要通信を疎通する等の運用措置が費用対効果の面で効 果的と考えられる。 33 公衆電話における通信時間の制限の事例 資料26 1970年(昭和45年)1月30日から1972年(昭和47年)11月11日までの間、公衆電話から市内 通話「3分打ち切り」が実施されており、3分を過ぎると自動的に打ち切られるが、打ち切り30 秒前に予報音のチャイムが2回鳴り、通話打ち切りを予告する仕組みになっていた。 ○ 1969年(昭和44年)公衆電話の市内通話、3分打ち切り決まる 公衆電話から市内通話「3分打ち切り」が昭和45年(1970)1月30日の東京都心部を皮きりに 順次開始されました。これは、公衆電話の長話を防止するために行なわれたものでした。3分 を過ぎると自動的に打ち切られますが、打ち切り30秒前に予報音のチャイムが2回鳴り、通 話打ち切りを予告する仕組みになっていました。 ○ 1972年(昭和47年)市内電話の料金度数制を改め、時間制採用 これまでの通話制度は、市内通話であれば7円で時間に制限なく通話ができるのに対し、市 外通話は距離と時間によって課金されることになっており、市内通話と市外通話の料金格差 は著しいものがありました。これを解消するために、通話料金の合理化案が検討され、昭和 47年(1972)11月12日から実施されました。この広域時分制は、最低通話料区域を加入区域 から単位料金区域まで拡大するとともに 加入区域内は無制限で通話できる「度数制」を「時 から単位料金区域まで拡大するとともに、加入区域内は無制限で通話できる「度数制」を「時 分制」に改め、市内通話と市外通話の料金上の格差をなくしたものです。 (出典) http://park.org/Japan/NTT/MUSEUM/html_ht/HT969030_j.html http://park.org/Japan/NTT/MUSEUM/html_ht/HT972030_j.html 34 新潟県中越地震における通信サービスの疎通状況 資料27 全国から被災地あてトラフィック量の推移 単位:倍 50 新潟着信(10/16-18) 40 新潟着信(10/23-25) 30 最大 約45倍 20 10 0 H16/10/23(土) ( ◆地震発生の直後、全国から被災地あ てに安否確認等の通信が殺到(通常時 の45~50倍)したため、発災直後から 約6時間、輻輳状況となり、固定電話、 携帯電話ともに つながりにくい状況に 携帯電話ともに、つながりにくい状況に。 10/24(日) ( 10/25(月) ( ネットワークの交換機機能の維持及び 緊急通報(110番等)を確保するため、 緊急通報( 番等)を確保する 、 全国の中継交換機、被災地の加入者交換 機で通信規制を実施。 (出典)「 「重要通信の高度化の在り方に関する研究会」について」(事務局 第1回会合(平成19年11月22日)) は編集で付与。 35 災害発生時の通信トラヒック 資料28 ■兵庫県南部地震時の通信状況(全国から神戸への通信状況) 呼数(万) 平成7 平成 7年1月17 日 5:46 地震発生 800 平 常 時 の 約 7 倍 平 常 時 の 約 50 倍 600 400 200 4:00 8:00 8:00 12:00 16:00 1月17日(火) 凡 例 全国 ⇒ 神戸 地震発生 時 平常日 ●地震発生直後では瞬間的に平常日 の最大50倍となった。 ●輻輳は地震発生後、連続5日間続 いた 設備容量 20:00 (平常時のレベ ル) 0:00 4:00 8:00 12:00 1月18日(水) 16:00 20:00 0:00 4:00 1月19日(木) ■新潟県中越地震時の通信状況(全国から新潟への通信状況) 呼数(万) 10 8 6 4 平 常 時 の 約 50 倍 平成16 平成 16年 年10月 10月23 日 5:56 地震発生 全国 ⇒ 新潟 ●輻輳は地震発生後、約6時間続い た 設備容量 2 18:00 10月23日(土) ●地震発生直後では瞬間的に平常日 の最大50倍となった。 0:00 6:00 (平常時のレベ ル) 12:00 18:00 0:00 6:00 10月24日(日) (出典)「重要通信確保に伴う通信の現状」(NTT東日本 第1回会合(平成19年11月22日)) 12:00 10月25日(月) 18:00 は編集で付与。 36 停電時における電源確保 資料29 電源確保における課題 □ 電話局側からの給電(局給電)による電力では通話ができない多機能電話端末が増加 □ アクセス回線の光化に伴い、局給電が不可能化 停電時における電源確保が進まない理由 ○ ○ ○ 我が国では、停電がほとんどない。 万一停電しても、携帯電話等の代替手段がある。 無停電電源装置(UPS)は、使用頻度・効果の割にコストがかかる。 約6.5kg 約16cm 対 策 約34cm 太陽電池式発電機 (携帯電話用)の例 (携帯電話用) 例 約10cm ○ 局給電に関する周知 メタル回線で単機能電話端末では可能であった局給電が不可能なことを 「消費者保護ルールに関するガイドライン」に盛り込み、事業者等が説明。 ○ UPSによる電源確保 ・ 光回線終端装置(ONU)の電源確保のため、電気通信事業者が、ONUと 通信端末に一体で給電するメンテナンス不要で低価格なUPSを開発・支援。 ・ 電気通信事業者、通信端末メーカ、電源メーカが共同して、ONU、通信端 末及びUPSがトータルで最適となるよう開発。 ○ UPS以外の手段による電源確保 ・ 乾電池による光IP電話ルータへの給電:電話端末には給電できない ・ 住宅用太陽光発電システム、自動車からの給電:普及はまだ現実的でない ○ 光ファイバによる局給電手法の研究 ・ 研究の進捗状況を注視。 ○ 利用者の選択による携帯電話等による代替 ・ 携帯電話設備への重要通信確保を省令で要件化。 UPSの例 通信端末: ひかり電話 ホームFAX等 対応機器 AC AC ONU AC UPS AC 電気通信事業者 利用者 37 年間停電回数と事故停電時間の国際比較 資料30 日本の停電時間は他の国々と比べても格段に少なくなっている。 (出典)電気事業の現状2005 http://www.fepc.or.jp/thumbnail/supply/transmit-09.html 我が国における年間停電回数と停電時間の推移 38 資料31 停電時間は、年を追うごとに着実に減ってきており、特に昭和60年代の終わりから平成 にかけては非常に少なくなっている。(平成以降で一部グラフの数値が大きいのは、台 風19号の影響により日本列島全体がダメ ジを受けた部分。) 風19号の影響により日本列島全体がダメージを受けた部分。) (出典)FEPC(電気事業連合会) INFOBASE http://www.fepc.or.jp/thumbnail/supply/transmit-10.html 39 災害用伝言板等の運用について ① 【伝言(安否)の登録】 伝言蓄積装置 音 声 に よ る 【 【伝言(安否)の確認】 ( ) 】 伝言容量:最大800万伝言 伝言保持:48時間 災害用伝言ダイヤル(171) (全国50箇所) ・・・・・・・・ (全国50箇所) ・・・・・・ 資料32 伝言蓄積装置 音声による 固・・ 定電話網 伝言(安否)録音 伝言(安否)再生 固定電話番号(10桁)で登録 災害用ブロードバンド伝言板(web171) 伝言サーバ 伝言サーバ 【A避難所】 (web171) (web171) Webによる 伝言容量:5億伝言(テキスト換算) 伝言容量:5億伝言(テキスト換算) 伝言保持:48時間 伝言保持:48時間 Webによる 伝言(安否)登録 伝言(安否)確認 イイ ンンタタ ー ーネネッ トッ ト 【避難所以外】 被災地内の固定電話番号で登録 被災地内の固定電話番号で登録 (なお、携帯電話やIP電話番号等も利用可能) (携帯電話やIP電話番号等も利用可能) テキスト 音声(フ イル貼付) 音声(ファイル貼付) 画像(ファイル貼付) パソコン 等 h https://www.web171.jp // b171 j 携帯電話・PHSの災害用伝言板 伝言サーバー 伝言サーバー 各社の伝言サーバーへ 伝言(安否)登録 各社の伝言板サービスより 伝言(安否)閲覧 伝言サーバー 伝言サーバー 各社携帯電話網 各社携帯電話網 伝言保持:72時間 伝言サ バ 伝言サーバー 電話番号(11桁)で登録 携帯電話番号(11桁)で登録 (出典)第1回「重要通信の高度化の在り方に関する研究会」資料1-4「重要通信確保に伴う通信の現状」(東日本電信電話株式会社、平成19年11月22日)より作成。 災害用伝言板等の運用について ② 40 資料33 各災害用伝言板・ダイヤルの周知等による利用促進が必要 携帯電話・PHSの災害用伝言板の横断的検索の早期の実現が必要 ■ 固定電話の「災害用伝言ダイヤル」は共同運用の形が取られており、固定系の電話は登録・確認 とも統一されている。 ■ 一方、携帯電話・PHSの「災害用伝言板」は各社が運営しており、登録・確認とも各社の伝言板に より行う必要がある なお 確認する際は 各社の伝言板のリンクは存在する より行う必要がある。なお、確認する際は、各社の伝言板のリンクは存在する。 ■ 携帯電話・PHSの「災害用伝言板」を確認する場合、知りたい相手先の加入する電気通信事業者 を事前に確認することが必要。分からない場合は、各社の災害用伝言板を確認して探す必要がある。 ■ 複数の相手について確認する場合、たとえすべての知りたい相手先の加入する電気通信事業者 複数の相手について確認する場合 たとえすべての知りたい相手先の加入する電気通信事業者 が分かっていても、煩雑な操作が必要とされる。 ■ なお、あらかじめ設定しておいた相手には、伝言板に安否情報を登録した際に、安否情報が登録 されたことを電子メ ル自動送信で通知する機能が具備されている。 されたことを電子メール自動送信で通知する機能が具備されている。 新規参入事業者 41 小・中学校への特設公衆電話の事前設置 資料34 首都直下地震の発生を考慮し、予め東京都が指定する避難所の小・ 首都直下地震の発生を考慮し 予め東京都が指定する避難所の小 中学校への特設公衆電話の事前設置の推進! <自治体負担>学校構内の電柱設置費用 < NTT負担 >特設公衆電話機の貸与、電話回線の事前敷設 >特設公衆電話機の貸与 電話回線の事前敷設 平成17年度以前設置済み(4区) 【215校:1094回線】 平成18年度設置完了(1区) 【31校:155回線】 平成 設置予定(10区) 【574校:2,544回線】 【574校 2 544回線】 文京区(37校・314回線)、荒川区(32校・172回線) 台東区(36校 173回線) 足立区(110校 435回線) 台東区(36校・173回線)、足立区(110校・435回線) 目黒区(31校・155回線) 千代田区(18校・90回線) 、新宿区(41校・123回線) 杉並区(67校・201回線) 、中野区(50校・150回線) 板橋区(77校・385回線) 板橋区(77校 385回線) 、品川区(30校 、品川区(30校・150回線) 150回線) 葛飾区(75校・375回線) 、江東区(66校・330回線) 墨田区(42校・210回線) 、江戸川区(106校・530回線) 年度 19 予算化に向け検討中(7区) 【542校:2,700回線】 今後の提案予定 【1,246校:6,230回線】 中央区、港区、渋谷区、大田区、世田谷区 北区、豊島区、練馬区 多摩地区、川崎市 (出典)「重要通信確保に伴う通信の現状」(東日本電信電話株式会社 第1回会合(平成19年11月22日)) 42 避難所における課題(避難所への電話の設置) 資料35 運営担当者用 電話端末 市区町村 (防災担当者) 学校(職員室等) 避難所(体育館) 運営担当者 被災住民用 電話端末 教職員 災害発生後の避難所のニーズ ① 被災住民:携帯電話等の輻輳・停波→特設公衆電話(優先的取扱い)の需要増 被災住民 携帯電話等の輻輳 停波 特設公衆電話(優先的取扱い)の需要増 ② 市区町村(防災担当者)→学校(職員室等)→伝令(教職員)→避難所(運営担当者) 本来業務に支障 避難所で生じる通信需要のすみ分けが必要 ○避難所設置の電話(例:特設公衆電話/臨時電話、親子電話など)→被災住民用/市区町村・避難所間連絡用 ・ 避難所の運用として、市区町村・避難所間の連絡専用の電話の確保が考えられることを予め周知。 ・ 電気通信事業者が特設公衆電話を設置する際(事前設置、災害時設置)、被災住民用と別に、市区町村・避難 所間の連絡専用の電話(臨時電話等)の確保が考えられることを周知。 国・地方公共団体や電気通信事業者等が取り組むことが必要。 43 携帯電話からの発信者位置情報通知機能の対応機種普及状況 ① 資料36 2007年12月末において、3G加入者数のうち、26%が発信者位置情報通知機能 に対応している。 9,000 万 緊急通報に対応するGPS測位対応加入者数 3G加入者数 割合 8,000 6,991 7,000 8,058 7,920 25% 26% 7,463 6,322 30% 8,310 8,168 23% 6,000 20% 21% 19% 5,000 15% 4 000 4,000 13% 9% 3,000 10% 2 000 2,000 1,519 1% 1,000 1 700 1,700 1,865 2,145 5% 974 645 68 0 0% 2006年12月末 2007年3月末 2007年6月末 2007年9月末 2007年10月末 2007年11月末 2007年12月末 44 (出典)電気通信事業者よりのヒアリングより作成。 携帯電話からの発信者位置情報通知機能の対応機種普及状況 ② 資料36 2007年12月末において、パンフレットに記載されている3G機種のうち、46%が 対応している。 100 50% 対応機種数 3G機種数 87 割合 90 80 69 70 46% 82 81 79 39% 36% 60 35% 78 77 40 30% 25% 32 30 14% 36 29 28 29 23 20 10 40% 35% 38% 26% 50 45% 20% 15% 10% 10 5% 0 0% 2006年12月末 2007年3月末 (出典)電気通信事業者よりのヒアリングより作成。 2007年6月末 2007年9月末 2007年10月末 2007年11月末 2007年12月末 45 警察機関の発信者位置情報通知の導入状況 資料37 北海道(北見方面)、東京都(島しょ部の一部を除く)、神奈川県、愛知県、大阪府、 奈良県で導入済み(7)。 ※全国には52の通信指令室(ただし、東京都においては2通信指令室) 今後の予定 ○平成20年4月運用開始予定地域(18)(計25/52) 北海道(札幌方面、函館方面)、宮城県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、新潟県、 長野県、岐阜県、三重県、京都府、兵庫県、岡山県、広島県、福岡県、大分県、沖縄県 阜 都 広 ○平成21年4月運用開始予定地域(11)(計36/52) 青森県 石川県 滋賀県 和歌山県 山口県 徳島県 佐賀県 長崎県 熊本県 青森県、石川県、滋賀県、和歌山県、山口県、徳島県、佐賀県、長崎県、熊本県、 鹿児島県(島しょ部の一部を除く)、千葉県(平成21年6月1日予定) (出典)警察庁 平成20年1月10日広報資料「携帯電話、IP電話等からの110番通報における位置情報通知システムの運用について」より作成。 平成20年1月10日広報資料「携帯電話 IP電話等からの110番通報における位置情報通知システムの運用について」より作成 46 消防機関の発信者位置情報通知の導入状況 資料38 平成19年度中に116消防本部が導入予定 ※平成19年4月1日現在 全国807消防本部 ※市町村消防の原則 (平成20年1月1日現在) 都道府県 導入消防本部 都道府県 導入消防本部 都道府県 導入消防本部 札幌市消防局 深谷市消防本部 浜松市消防本部 小樽市消防本部 三郷市消防本部 焼津市消防防災局 釧路市消防本部 埼玉県 杉戸町消防本部 静岡県 都道府県 導入消防本部 丹波市消防本部 兵庫県 藤枝市消防本部 朝来市消防本部 淡路広域消防事務組合消防本部 北海道 北見地区消防組合 比企広域消防本部 菊川市消防本部 和歌山県 深川地区消防組合 川越地区消防局 島田市・北榛原地区衛生消防組合島田消防本部 鳥取県 南渡島消防事務組合 船橋市消防局 岡崎市消防本部 愛知県 岩手県 和歌山市消防局 鳥取県西部広域行政管理組合消防局 浜田市消防本部 島根県 胆江地区消防組合消防本部 習志野市消防本部 豊田市消防本部 岩沼市消防本部 八千代市消防本部 津市消防本部 出雲市消防本部 岡山市消防局 岡山県 登米市消防本部 我孫子市消防本部 三重県 四日市市消防本部 高梁市消防本部 千葉県 宮城県 栗原市消防本部 浦安市消防本部 桑名市消防本部 広島県 呉市消防局 石巻地区広域行政事務組合消防本部 富里市消防本部 大津市消防局 香川県 高松市消防局 大崎地域広域行政事務組合消防本部 安房郡市広域市町村圏事務組合消防本部 横手市消防本部 香取広域市町村圏事務組合消防本部 滋賀県 湖南広域行政組合消防本部 西予市消防本部 愛媛県 湖北地域消防本部 宇和島地区広域事務組合消防本部 秋田県 能代山本広域市町村圏組合消防本部 東京都 東京消防庁 京都市消防局 高知県 高知市消防局 京都府 上山市消防本部 横浜市安全管理局 福知山市消防本部 東根市消防本部 横須賀市消防局 大阪市消防局 糸島消防本部 山形県 八女消防本部 福岡県 水戸市消防本部 相模原市消防局 豊中市消防本部 つくば市消防本部 厚木市消防本部 吹田市消防本部 那珂市消防本部 大和市消防本部 春日・大野城・那珂川消防組合消防本部 神奈川県 茨城県 かすみがうら市消防本部 鹿島南部地区消防事務組合消防本部 黒磯那須消防組合消防本部 新潟県 富山県 宗像地区消防本部 唐津市消防本部 泉大津市消防本部 大阪府 佐賀県 寒川町消防本部 茨木市消防本部 新潟市消防局 東大阪市消防局 富山市消防局 大阪狭山市消防本部 金沢市消防局 柏原羽曳野藤井寺消防組合 加賀市消防本部 神戸市消防局 大野市消防本部 姫路市消防局 敦賀美方消防組合消防本部 西宮市消防局 杵藤地区広域市町村圏組合消防本部 長崎県 長崎市消防局 熊本市消防局 栃木県 佐野地区広域消防組合 熊本県 山鹿植木広域消防本部 石川県 群馬県 高崎市等広域消防局 さいたま市消防局 福井県 川口市消防本部 有明広域行政事務組合消防本部 大分市消防局 大分県 国東市消防本部 兵庫県 埼玉県 所沢市消防本部 長野県 伊那消防組合消防本部 豊岡市消防本部 宮崎県 延岡市消防本部延岡市消防署 春日部市消防本部 岐阜県 山県市消防本部 宝塚市消防本部 鹿児島県 大島地区消防組合消防本部 羽生市消防本部 静岡県 静岡市消防防災局 高砂市消防本部 沖縄県 宮古島市消防本部 (出典)第4回「重要通信の高度化の在り方に関する研究会」資料4-8「消防における緊急通報等について」(消防庁、平成20年1月18日)より作成。 47 海上保安機関の発信者位置情報通知の導入状況 資料39 平成19年4月に全11管区で導入済み 「118番 受理体制 「118番」 第一管区 本庁(東京)・・・衛星船舶電話 本部 小樽 管区海上保安本部・・・携帯・固定電話等 管区海上保安本部 携帯 固定電話等 第九管区 本部 新潟 第八管区 第二管区 本部 舞鶴 本部 塩竃 本 第七管区 本部 広島 庁 東京霞ヶ関 本部 北九州 第六管区 第三管区 本部 横浜 第十管区 第五管区 本部 鹿児島 本部 神戸 第四管区 本部 名古屋 第十一管区 本部 那覇 48 (出典)第3回「重要通信の高度化の在り方に関する研究会」資料3-6「海上保安庁 緊急通報 「118番」」(海上保安庁、平成19年12月21日)より作成。 電気通信事業者間の連携・連絡体制の整備についてのこれまでの提言 資料40 「ネットワークのIP化に対応した安全・信頼性対策」 (抜粋) 平成19年5月24日 情報通信審議会 第3 章 組織 組織・体制 体制、人材育成等に関する対策 人材育成等に関する対策 3.1 組織・体制に関する検討 3.1.2 故障・災害等によるICT 障害に対する責任体制・管理体制の整備 (3) 非常時等の事業者間の連携・連絡体制の整備 事業者間の連携促進のための情報交換連携の仕組み(事象のレベル分け、レベルに応じ た情報連携の整理)が必要である。連携にあたっては、相互接続を意識して、事業者とベン ダ ダーでの連携を図る際にやり取りされる情報のフォーマットを共通化する検討が必要である。 連携を図る際にやり取りされる情報 トを共通化する検討が必要 ある 障害が発生した場合においては、まず各事業者が自らサービスの早期復旧に取り組むこと が必要であり、そのための予備設備の設置・手配は各事業者が主体的に実施すべき事項で ある 一方 ある。 方、緊急通信や重要通信確保のためのネットワ 緊急通信や重要通信確保のためのネットワーク資源の確保及びその運用・管理 ク資源の確保及びその運用 管理 などについては共通化の検討が必要であり、信頼度・設計基準の統一、故障時の相互バック アップの可否などについての共同研究を行うことが適当である。 49 災害時における光ファイバの相互融通スキームの運用 資料41 社団法人電気通信事業者協会(TCA)では、地震等の災害によって電気通信事業者の通信設備が被害を受け 気 震 気 た場合に、迅速な復旧が図れるように、『災害時光ファイバ緊急相互融通スキーム』を策定し、運用している。 1.目的 地震等の災害に備え、重要通信の確保に向けた通信設備の復旧を迅速かつ円滑に行うため。 2.本スキームの主な規定内容 ① 対象ケースは、災害時の参画事業者間における中継系光ファイバの緊急相互融通。 ② 参画事業者間の各事業者連絡窓口を明示。 ③ 早期合意(契約締結)のための様式と概要を事前に決定。 3.参画事業者数 平成17年 9月:13社(試行運用開始時) 平成18年 1月:31社(本格運用開始時) 平成19年12月:43社 4.運用方法(連絡方法) 参画事業者によるメーリングリストを構築しており、災害時に光ファイバの融通を要請する場合は、メーリングリストあてに メールを送信することにより、全ての参画事業者に一斉に要請が届くもの。なお、新規事業者の加入時などに適宜参画事業 者の名簿を維持 更新しており 平常時にも メ リングリストによ て当該名簿あてに送信し 送受信状況を確認している 者の名簿を維持・更新しており、平常時にも、メーリングリストによって当該名簿あてに送信し、送受信状況を確認している。 5.これまでの利用例(1例のみ) 平成17年9月の台風第14号発生時に、ある参画事業者から本スキームあてに光ファイバの融通要請連絡が発信されたが、 その後24時間以内に自社内での復旧対応が可能となり、相互融通に至る前に要請が取り下げられた。 6.今後の利用見込み 例えば、大都市圏で大規模な災害が起きた場合や、地震と風水害が同時発生した場合等が考えられる。 7.課題 平成17年9月の事例では、実際に他社設備を借りようとした場合に、その接続地点までの光ファイバの延ばし方という技術 的課題と、地権者との調整等の現実的なハードルがあったもの。 (出典)社団法人電気通信事業者協会資料、同ウェブサイト( http://www.tca.or.jp/japan/news/050829.html )より 移動電源車の共通化 50 資料42 【現状】 2.移動電源車と局の接続 3.移動電源車の運用 ・高圧電源(大型局用)と低圧 電源(中・小型局用)が存在 ・低圧電源は電圧や供給方法 が混在 ・①配電盤にボルトで直接接続 又は ②専用コネクタでの接続 ・多数の接続方式が混在 ・事業者毎に異なる電源運用 方法 電源の種類 高圧 電源 低圧 電源 3相3線6600V (電力会社の高圧配電線と同じ) 同一 単相2線100V、 単相3線100V/200V 単相3線100V/200V、 事業者間 3相3線200V、 で混在 3相3線210V、 3相3線400V ① ボルト で接続 ・手動 ・汎用工具 ・専用工具 ② 専用コ ネクタ ・一事業者内でも複 数種のコネクタ 数種 クタ ・事業者間での互換 事業者間 性調整は未実施 で混在 特殊な工具 電源車 の管理 ・自社 ・リース/レンタル会社 給電接 続口の 設置場 所 ・屋外設置 屋外設置 ・搬入口等からケー ブルを引き込み、屋 内配電盤へ接続 ・専用小窓からケー ブルを引き込み、屋 内配電盤へ接続 施錠 ・敷地入口、建物、 配電盤の開錠 事業者間で異なる運用方法 1.電源電圧 移動電源車を災害時の相互バックアップとするには、事業者間での共通化が必要 ・電源の電圧等の共通化 ・ボルト接続の専用工具不要化 又は 専用工具を電源車に配備 ・電源コネクタの共通化 又は 相互変換コネクタの配備 ・移動電源車の運用方法・ 手順についての共通化 (移動電源車手配方法、移動電源車から給電接 続口への接続方法、施錠部分の開錠方法等) 続 接続方法、施錠部分 開錠方法等) →事業者間の調整の場を設け、共通化に向けて議論を進めることが必要でないか。 51 米国 GETS/WPSにおける優先取扱いの範囲 ローカルタンデム エンドオフィス 加入者 宅内装置 非優先 移動通信 交換局 GETSにおける優先取扱い区間 WPSについても局間通信においては GETSと同様にHPCとしての取扱いがなされる 移動通信 交換局 WPSにおける 優先取扱い区間 • 加入者 宅内装置 自宅電話 職場電話 ファックス 衛星電話等 GETSにおける優先取扱い区間 衛星電話 等 ローカルループは経由しない 携帯電話 ローカルタンデム エンドオフィス GETS PIN データベース デ タベ ス HPC* 扱いの 扱 開始 自宅電話 職場電話 ファックス アクセス タンデム 中継キャリア アクセス タンデム 資料43 携帯電話 WPSにおける 優先取扱い区間 * HPC (High Probability of Competition) 取扱いについて – – 1. 2 2. エンドオフィスあるいはタンデムオフィスにおいて発信先が 710番号であることを確認し、優先通話扱い(HPC Call)を 開始する。 HPC状態においては右の各項の取扱いがなされる。 3. また、HPC以前に、710番号の取扱いとして、GETS対応の中継キャリ ア3社に対して適時通信を割り振るという対応も行われている。 共通線信号(IAM)における特別パラメタの割り振り 交換局間通信における優先取扱い。(HPC 交換局間通信における優先取扱い (HPC T Trunk k Queuing) 通信混雑時のネットワーク管理制御からの例外的取 扱い 出典: 米国NCSウェブサイト掲載資料等をもとに作成 52 標準化機関の全体関係図 資料44 ITU (国際電気通信連合) ITU 勧告 ITU-T(電気通信標準化部門) ITU-R(無線通信部門 ) 標準化機関パートナー 3GPP ※ ARIB (日本) T1 (米国) CWTS (中国) TIA (米国) ETSI (欧州) TTA (韓国) 参加 無線アクセス: W-CDMA コアネットワーク: GSM発展形 TTC (日本) 市場代表パートナー 市場代表 トナ UMTSフォーラム、GSM-A等 ※) ARIB (社団法人電波産業会) CWTS(中国無線通信グループ) ETSI (欧州電気通信標準化機構) T1(電気通信標準化委員会) TTA(電気通信技術協会) TTC(社団法人情報通信技術委員会) 3GPP2 無線アクセス: cdma2000 無線アクセス コアネットワーク: ANSI-41 発展形 53