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NAOSITE: Nagasaki University's Academic Output SITE
Title
インド公企業における収益性と社会経済的目的,低価格政策および
経営上の諸問題 (4)
Author(s)
立山, 杣彦
Citation
経営と経済, 74(1), pp.109-155; 1994
Issue Date
1994-06-24
URL
http://hdl.handle.net/10069/28889
Right
This document is downloaded at: 2017-03-30T04:59:46Z
http://naosite.lb.nagasaki-u.ac.jp
経営と経済 第74巻第1号1994年6月
インド公企業における収益性と社会経済的目的,低価格政策および経営上の諸問題(4)
立山杣彦
はじめに
第1節インド経済における公企業の位置
第2節公企業の経営収支概況
第3節公企業の多様な社会経済的目的と低収益
(以上『経営と経済』第72
第4節公企業における価格設定の類型および価格設定に
(以上『経営と経済』第72巻3号)
第5節政府による公企業に対する価格政策
(以上『経営と経済』第72巻
第6節公企業経営上の諸問題
むすび
(以上本号)
第6節 公企業経営上の諸問題
1 インド下院の公企業委員会は,1979年4月,公企業運営上の諸問
(l)
題にかんする報告書を下院議会に提出した。R・N・チョプラは,同委員会
が同報告書において公企業運営上の欠陥として次の7点を見出したと,述べ
(2)
ている。
1
1
0
経営と経済
(
i
)いくつかのプロジェクト実施の遅滞から明らかとなった,ミクロレベル
での計画・執行上の弱点[2
.1
4
J ;(
i
i
)いくつかの工業プロジェクトの完成
に際しての
6年半以上の法外な遅滞 [2. 1
4
J ;(
i
i
i
)
l9
7
7
年から 7
8年にかけ
9
7
7
7
8年度における約 1
,
3
0
0億ルビー
て生産能力の低稼働は著しかった。 1
の総投資額を考慮すると,生産資源の未利用,低利用は,国民経済に対する
重大な損失を意味する。外国から貸与された莫大な資金によって購入した機
械の未稼働・低稼働と多大な利子支払いという 2つの要素は,インド経済を
不具にする傾向がある[3
.1
1
J
制生産能力の未稼働という病弊の原因は
p
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u
c
t
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o
np
l
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n
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gmanagementandc
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生産計画の管理・統制 (
ただし,チョプラは p
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np
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i
n
gprogramme,managemenfandc
o
n
-
t
r
o
l という表現を用いている)が本来のものとなっていなし、点にあり,最低
. 13/4. 7J ;
(
v
)
産業および
限の生産・原価管理すらなされていない[3
経営上の科学・技術が非常に発達してきているこの時代に,経営ミスや科学
的管理の欠如が蔓延り,公企業の諸活動が無計画に遂行されている
[
4
.
8J ;
(司明白な理由が確認されないままの経営上の失敗,および適切な監視
. 11/4
.1
2
J 同すべてが良くなく,事態は望まし
・評価制度の欠如[4
い状況から程遠い。政府も議会も静かな傍観者であってはならない。公企業
8
0を超えているのに,公企業委員会がその設置以来調査できたの
の総数が 1
は5
4企業にすぎない。少なくとも,これらの公企業をグループ毎に調査する
.1
4
J。
このような委員会が 6つ必要である[4
以上のように,インド公企業経営およびこれをめぐり多くの諸問題がある。
ほとんどの論者は,その立場の如何を間わず,インド公企業部門の赤字・低
収益の原因のーっとして経営上の非効率を指摘している。前述のように,
1
9
9
1年産業政策声明の「公企業に対する新たなアプローチの採用」において
も,経営上の諸問題に大きな位置づけが与えられている (
rはじめに JW経営
と経済』第 7
2巻 1号参照)。本節では,コストの増大につながる公企業経営
の非効率をもたらすいくつかの経営上の諸問題を取上げる。ただし,各々の
インド公企業における収益性と社会経済的目的,
低価格政策および経営上の諸問題(
4
)
1
1
1
詳細な分析・考察やその他の問題点については別の機会に譲ることとする。
なお,ここで使用する資料や取上げる事例は,資料上の制約から 1
9
6
0年代, 7
0
年代のものも少なくないが,これまでのインド公企業経営の諸問題を一般的
に論ずるのが本節の課題であり,この意味で大きな支障はないものと考えて
いる。
(1J 少なからぬ公企業において,当初計画より工場建設期間が大幅に
長期化するか,もしくはその他の理由により,生産・事業開始が大幅に遅れ
るという事態が見られる。先の『公企業委員会(第 6次下院)第 2
8回報告書
(
19
7
9年)Jlの調査結果は次のとうりである。まず, 1
1
2の工業・生産企業に
ついて。 B
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tAluminiumC
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lH
industanA
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b
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8企業は生産開始が計画より遅れた;
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n Machine Tools L
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. 等の 2
B
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tE
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hMoversL
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.B
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g
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l
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e等の 6企業は,生産開始の遅れはなか
ったが,最高経営責任者の任命の遅れや資産・企業の譲渡の遅れにより事業
2企業は,工場建設や生産開始の遅滞がないかもしくは既に
開始が遅れた;6
操業している企業を接収した;B
okaroS
t
e
e
l
lONGC等 1
6
企業は完全な情報
を提供しなかった。したがって,最後の 1
6企業を除く 9
6企業のうち, 3
4企業
(
3
5
.
4
%
) において生産・事業開始が遅滞したのである。つぎに, 6
5のサー
r
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no
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ビス企業やその他の非生産企業について。 TeaT
-6年を要した;C
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l lnland water
L
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. 等 2企業は事業開始に 1T
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no
fl
n
d
i
aL
t
d
.等の 1
0企業は事業開
始に 3ヵ月 1年を要した;3
9
企業は,計画通りまたは建物建設後 3ヵ月以
内に事業を開始するか,もしくは操業中の企業を接収した;C
e
n
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lMine
P
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p
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r
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i
o
n等の 1
4
企業は完全な 情報を提供しなかった。したがって,最後の 1
4企業を除く 5
1企
4
業のうち, 1
2企業 (
2
3
.
5
%
) において事業開始が遅滞したのである。
当初計画より工場建設期間が大幅に長期化し,生産・事業開始が大幅に遅
れる原因の 1つは,機械・設備供給の遅延等のプロジェクト準備の不十分さ
1
1
2
経営と経済
にある。インフラ施設やプロジェクト関連設備,さらに従業員の生活関連施
設等の建設の遅滞もその原因である。数ヵ月,数年にわたる事業・生産開始
の遅滞は,建設コストを上昇させ,その聞の生産を不可能にする。
つぎに,
w
会計検査院院長報告書』に依拠しながら,生産・事業開始遅滞
の事例を簡単に取上げよう。
① F
e
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i
l
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no
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e
d(FCIL) W公企業委員会(第
3 次下院)~第 6 回報告書は, FCIL の工場建設・事業開始の問題を取上げ
ており,次のように述べている。すなわち,国連肥料使節団(1960-61年度)
の見解では,インドの諸条件の下で肥料プロジェクトを完成するのに要する
時間は通常35~47 ヵ月であり,
FCIL はこれまで、得た経験により将来のプロ
ジェクト完成に要する時間を認可の日から 40~50 ヵ月まで短縮することがで
きょうと。ところが,実際には,同社の計画・開発部が作成した新規プロジ
第 6-1表
F
e
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t
i
l
i
z
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rC
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r
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i
o
no
fI
n
d
i
aL
im
i
t
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dにおける事業開始または
プロジェク卜完成の大幅な遅滞
プロジェクト名
1
.D
u
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u
g
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p
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2
.B
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3
.T
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l
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4
. Ramagundam
5
.H
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6
.P
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p
7
. Namarup拡張
8
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l拡張
9
. TrombayIV拡 張
1
0
.G
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1
1
.S
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n
d
r
i合理化
1
2
.S
i
n
d
r
i近代化
1
3
. TrombayV拡 張
政府による認可期日
操
予
業
定
開
・
始
実
/
際
完
の
成
期
の
日
1
9
7
4年 1
0月*
1
9
7
6年 1
1月
1
9
8
0
年1
1月
1
9
8
0
年 8月
1
9
8
1年 4月
1
9
6
6年 2月
年 1月
1
9
6
7
0月
1
9
6
9年 1
年1
0月
1
9
6
9
1
9
7
1年 1
1月
認可待ち
賛
プ
成
ロ
ジ
さ
れ
ェ
て
ク
い
ト
は
る
原
に
則
す
的
ぎ
な
にい
1
9
6
7
年 1月
1
9
7
3年 4月
1
9
7
0年 7月
年 1月
1
9
7
2
1
9
6
7
年1
2月
1
9
7
3
年1
1月
1
9
7
3年 1
1月
1
9
7
6
年1
0月
1
9
7
8
年1
1月
1
9
7
9年 1月
1
9
7
6年 4月
1
9
7
9年 1
0月
1
9
7
9
年1
0月
1
9
8
1年 4月
総
(
月
期
数
間)
1
0
5
1
1
9
1
3
3
1
3
0
1
1
3
1
1
8
6
8
1
0
3
5
2
1
4
3
7
2
8
9
*工場が商業生産を開始したと考えられる期日(原注)
〔出所 JRψo
r
t0
1t
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t(
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,
)
l1
9
8
0,P
a
r
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,p
.
5
0
インド公企業における収益性と社会経済的目的,
)
低価格政策および経営上の諸問題(4
1
1
3
ェクトのフィージビリティ・レポートでは 3
6ヵ月という予定期間が掲げられ
ていたが,この計画はきわめて非現実的であることが明らかとなった。同社
が実施したプロジェクトの完成に実際に要したもしくは要しそうな時間は,
6ヵ月以内のものはまっ
第 6- 1表から明らかなように大幅に長期化した。 3
第 6- 2表
BharatE
l
e
c
t
r
o
n
i
c
sL
imitedにおけるプロジェクト完成の大幅な選滞
プロジェクトの詳細
取承認締年役会月の
日
1
. テレビのブラウン管
1
9
6
7年 1
1月
同
1
9
7
2年 1
2
達生成産予能定力
の
生の産予能定年力完月成
日
実際の完成年月日
3万本
1
0万本
2
0万本
1
9
7
1年 1月
1973-74年度
1
9
7
6年 2月
1972-73年 度
1978-79年 度
1982-83年度に 1
9万
5
0
0
0本の生産
1
0
0万個
1973-74年 度
定められなかっ
た
1
9
8
3年 4月まで未完成
1981-82年度に 6
7万
4
0
0
0個の生産水準のみ
2
. 集積回路
リニア素子
1
9
6
9年 1
2月
CMOSデジタル素子 1971年 9月 200万個への拡
張
達成
M
S
I
.
I
S
I複合体のマ 1973年 3月
スク・セットを生産
するためのマスク設
計および製造設備の
増強
イオン注入およびポ
リシリコン加工のた
めの設備
1
9
7
5ー 7
6年度
MSI 複 合 体 の み の マ
スク設計能力の増強が
1
9
8
1年 9月までに達成
9
8
0
イオン注入設備 イオン注入設備は 1
1月に稼働し,ポリ
の発注から 1
6ヵ 年 1
シリコン工程は 1
9
8
2年
月
l月に稼働
1
9
7
8年 1月
3
. 7
0
0
8型マイクロ波導
波管:
第 l段階一輸入部品
よりの組立て
第 2段階一国内製造
部品よりの生産
1
9
6
6年 1月
3
0
0本
1
9
6
9年 4月
1
9
7
1年 3月
~1970年 3 月
1
9
7
0年 4月
1971-72年 度
~1971 年 3 月
4
. シリコン半導体一
1
9
7
8年 1月
2
0
0
0万個から
2
5
0
0万個への拡
張
5
. インディケータ管
1
9
7
1年 9月
1
5万本
6
. ゲルマニウム半導体
1
9
7
0年 6月
1
0
3
0万個から
2
0
3
0万個への拡
ダイオード
7
. シリコン半導体
1
9
7
4年 7月
1
9
7
0年 6月
8. シリコン電力素子
1
9
7
1年 9月
260万
設備注文より 2 1981-82年度に 2
年以内(注文は トンの生産水準が達成
1
9
7
9年 8月から
1
9
8
0年 7月の間
になされた)
定められず
1
9
8
3年 4月までには完
成されず
定められず
1974-75年 度
張
3
0
0万個
4
0
0万個から
1
0
0
0万個への拡
定められず
定められず
1978-79年 度
1979-80年 度
定められず
1981-82年 度
張
2
0
0万個
〔出所JR
c
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t01t
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,U
nionGovernment(Commercia
l
)•
1
9
8
2,P
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tXI,p
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.13-14.
1
1
4
経営と経済
たくなく, 1
3プロジェクトのうち 8つは 1
0
0ヵ月を超えるありさまで、あった。
② B
h
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r
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tE
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r
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n
i
c
sL
t
d
. 第 6-2表から明らかなように,プロジェ
クトの完成予定時期が明示されたものについては,ほとんど,実際の完成期
日は完成予定時期を,大幅に越えており,計画どうりの生産能力に達しなか
った場合も少なくない。また,完成予定期日が定められなかったプロジェク
トも少なくない。さらに,取締役会の各プロジェクト承認期日から実際の完
0年以上,
成期日までの期間を見てみると,ほとんどの場合きわめて長く, 1
あるいはそれに近いものも少なくない。
C
2
J
多数のインド公企業は,生産・労務・在庫・原価管理等々の諸
側面で問題を抱えている。これらは,相互に結びつき経営の非効率をもたら
しているのだが,ここではまず,生産面の問題点を取り上げよう。
原材料の浪費等種々の無駄により,生産の実際原価が見積り原価より大き
くなる。逆に原材燃料供給が十分でないことやその質の欠陥,設備・機械・
器具の欠陥や破損,そしてこれらのための適切な保守制度の欠如,さらには
以上の諸要因とも結びついている生産計画そのものや統制・調整のまずさは
生産能力の稼働率を低下させ生産原価を上昇させるとともに,生産目標(数
量・品質)の達成を不可能にする (9)また,後述 C6Jのように,機械の遊休
時間を確定し,その理由を明らかにする制度がなければ,生産能力稼働率の
9
7
9年 4月に
正確な算定さえできずその対策も立てられない。さらに,先の 1
おける公企業委員会報告書は,最低限の生産・原価管理すらなされていない
こと,適切な監視・評価制度の欠如や,全般的な科学的管理の欠如を指摘し
ている。生産管理は工程管理を中心に様々な諸過程,諸要素から構成されて
いるが(10)以上から明らかなように,インド公企業はその多くの部面において
一定の水準に到達していないと言わざるをえない。通常,原価管理・在庫管
理は生産管理の一環を形成していると考えられるが,ここでは一応前二者を
切離して論じている。なお,生産面の問題としては,個別企業では対処でき
ない重要な原材燃料の不足等のインド経済・公共部門全体に係るものがある
インド公企業における収益性と社会経済的目的,
)
低価格政策および経営上の諸問題(4
1
1
5
ことも忘れてはならない。
つぎに,若干の事例を取上げてみよう。
① C
o
a
lI
n
d
i
aL
t
d
.(
C
I
L
) その子会社 B
h
a
r
a
tCokingC
o
a
lL
t
d
.(BCCL)
は最大の損失企業の一つであり, 1
9
7
77
8
-1
9
8
2-8
3の 6年間におけるその
無煙国内燃料プラントの生産能力が 1
8万トンであったのに対して,実際の生
産は 3万2
9
0トンでしかなかった。その理由としては,様々な設備の最大生産
能力が設計されたものより小さかったことや石炭の高灰分が挙げられる([2)
1978-79と1979-80年度の 2年間における,その子会社である BCCL をも
含めた CILの,生産目標に比しての実際の生産量の不足分は 1
,
9
8
6万トンに
達した。東部部門 (BCCL も西ベルガルに位置する)の計画的欠勤,労使
関係悪化,法律・秩序上の諸問題に加え,東部地域の深刻な電力不足,セメ
ント・鉄鋼,予備部品のような決定的投入財の欠乏が生産に悪影響を及ぼし
,
0
5
4万 7,
0
0
0トンにの
た。電力不足に基因する生産減だけで,この 2年間に 1
ぼった。ちなみに, 1980-81年における BCCL をも含む子会社 4社の電力
不足による生産減は 5
4
8万トンに及んでおり,これは,電力不足をも含む種
々の原因に基づく生産減全体の 35.9%に当る。その他の原因による生産減は,
計画的欠勤 (36.5%),労働争議 (4.2%),降雨・洪水 (3.7%),火薬の不
足(1.1%),i
その他(19.3%)J となっているが, i
その他」については,
ここに上っている以外の生産管理面に基因するものが多いのではなし、かと推
察される。
② F
e
r
t
i
l
i
s
e
rCorpno
fI
n
d
i
aL
t
d
.(
F
C
I
L
) CILに限らず,電力不足によ
る生産能力稼働率低下の事例はきわめて多い。 FCI のナンガル工場では,
1
9
7
0-71年の契約電力 1
6
4M Wに対し,実際の供給量は約 63%でしかなか
った。 1
9
7
0年 8月のゴラクプール工場では,州電力庁従業員のストライキに
よる電力供給停止等により生産のロスがもたらされた。また,シンドリ工場
では,予期しない機械の破損や保守の困難が稼働率を低下させ f
4
1
5
)
(3J つぎに,労務面の問題点を取上げよう。前出の第 1-10-1表
1
1
6
経営と経済
/第 1-10-2表/第 1-10-3 表 C~経営と経済」第 72巻 1 号)から明ら
かなように,中央政府完全所有企業をも含む公共企業部門における 1人当
り総生産額・純付加価値額は,その膨大な固定資本額・投資額を計算に入れ
ると,民間部門に比しでかなり小さいと言えよう。公共部門の特殊性を考
慮するとしても,その労働生産性は民間部門に比してかなり低いと言わざる
をえない。その原因としては,前述の生産面における問題点に加え,次のよ
うな労務面の諸要因を指摘することができょう。すなわち,計画的欠勤
C
a
b
s
e
n
t
e
e
i
s
m
).動機付けの欠如,監督が効果的に行なわれていないこと,
労使紛争,労組問の対立,人員過剰,補助者を用意するというような産業的
伝統,技能改善のための訓練の欠如等々である。 L. ナラインは. I
すべて
のレベルで「生産性意識」を高めることが不可欠である J
. I諸公企業の側で
の労働生産性を増進させるための全面的に一致団結した努力が必要である」
と述べている(16)労務管理は,労働力の有効的
効率的な活用を目的とする多
くの諸施策からなる人事管理と労使の敵対関係を緩和し労使の協力関係の育
成を図り前者を補完する労使関係管理から構成されているが 7)以上から明ら
かなように,ここでもインド公企業はその多くの部面において一定の水準に
到達していないと言わざるをえない。この問題は,労働者の経営不参加の問
題とも結びついている。
ここでは,以上の諸要因をすべて取上げることはせず,主として第 6- 3
表に拠りながら,公共部門における労働争議による労働人日数の損失につい
て簡単に見ておきたい。公共部門の争議件数は民間部門と比較すると少ない
が,各々の企業数,工場数(第 I節『経営と経済』第 7
2巻 1号参照)を考慮す
れば公共部門の争議件数はきわめて多いと言えよう。公共部門の争議 l件当
りの関与労働者数も民間部門より大きい。ところが,争議 l件当りの損失人
日数については,民間部門の方が大きい。したがって,公共部門においては,
民間部門に比して,労働争議が多くこれへの関与労働者数も多いが,比較的
短期間に解決していると言えよう。しかし,少数の公企業において労働争議
インド公企業における収益性と社会経済的目的,
)
低価格政策および経営上の諸問題(4
1
1
7
が頻発し,莫大な労働人日数の損失が生じており,これが個々の公企業およ
び公共企業部門全体の生産能力稼働率を引下げ,収益を圧迫していることは
否定できない。また,後述
C6Jのように,労働争議やその他の要因による
第 6-3 労働争議への関与労働者数と損失人日数
争議件数
年
公共部門 長間部門
1日当りの争議関与労働者の最大人数
5
十
損失人日数
言
十
公共部門
民間部門
計
(I件当り人数)(I件当り人数)(
.
1件当り人数)(I件当り人数)(I件当り人数)(I件当り人数)
公共部門
民間部門
1
9
5
1
1
,
0
7
1
,
13
2
1
6
9
(
6
4
5
.
5
)
3,
8
1
8
.
9
2
1
(
3,
5
6
5
.
8
)
1
9
5
5
,
11
6
6
5
2
7,
767
(
4
5
2
.
6
)
5
.
6
9
7,
848
(
4,
8
8
6
.
7
)
1
9
6
0
,
15
5
3
9
6
2,
4
2
1
(
6
1
9
.
7
)
6,
3
8
2,
850
(
4,1
1
0
.
0
)
1
9
6
2
13
1
4
1
7
7 ,
1
,
4
9
1
1
2
8,
345
(
7
2
5
.
1
)
5
7
6,
7
1
4
(
4
3
8
.
9
)
7
0
5,
0
5
9
(
47
2
.9
)
5
3
2,1
5
7
(
3,
0
0
6
.
5
)
5,
588,
4
1
9
(
4,
2
5
2
.
9
)
6,1
2
0,
576
(
4,1
0
5
.
0
)
1
9
6
4
2
5
4 ,
18
97
2,1
5
1
1
5
4,1
8
4
(
6
0
7
.
0
)
8
4
8,
7
7
1 ,
10
0
2,
9
5
5
(
4
4
7
.
4
)
(
4
6
6
.
3
)
7
4
7,
3
9
3
(
2,
9
4
2
.
5
)
6,
97
7
.301
(
3,
6
7
8
.1
)
7
.
7
2
4,
6
9
4
(
3,
5
9
1
.
2
)
1
9
6
6
345
2,
2
1
1
2,
5
5
6
1
9
6
8
386
2
.
3
9
0
2
.
7
7
6
1
9
7
0
446
2,
443
2,
8
8
9
1
9
7
2
5
3
8
2,
705
3,
2
4
3
1
9
7
4
597
2,
3
4
1
2,
9
3
8
(
2,
2
9
4
.
0
)
(
6
2
2
.
9
)
(
9
7
1
.
6
) (
2
1,
9
2
3
.
4
) (
11,
0
6
7
.
9
) (
13,
7
0
4
.
0
)
1
9
7
6
1
5
3
1
.306 1,459
1
4
7,
8
8
0
(
9
6
6
.
5
)
5
8
9,
0
9
4
(
4
5
.1
)
7
3
6,
9
7
4
(
5
0
5
.1
)
2,
7
4
5,
735
8
7
2,
0
0
4 1
1,
873,
7
3
1 1
(
5
.
6
9
9
.
4
) (
9,
0
9
1
.7
) (
8,
7
3
5
.
9
)
1
9
7
8
947
2,
2
4
0
3,1
8
7
9
2
5,
7
2
9
(
9
7
7
.
5
)
19
1
5,
6
0
3
9
8
9,
8
7
4 ,
(
4
41
.9
)
.1
)
(
6
01
3,
992,
0
1
5 2
8,
340,1
9
9
4,
3
4
8
.
1
8
4 2
(
4
.
5
91
.5
) (
8,
8
9
2
.
4
)
) (
10
.
7
1
0
.7
1
9
8
0
968
1
,
888
2,
8
5
6
7
9
8,
9
2
3
(
8
2
5
.
3
)
7
4
3,
086
.3
)
(
4
41
14
1
0,
0
5
6 1
,
2
7
6,
6
5
9 1
2,
569,
6
7
0 1
3,
8
4
6,
329
1
.170,334 ,
.7
) (
3,
7
0
0
.
5
) (
5,
4
1
7
.
2
)
(
5
2
9
.
3
)
(
5
51
5
.
6
8
5
.1
) (
4
3
3,
7
2
2 1,
2
3
5,
5
7
2 ,
5,
2
71
16
6
9,
2
9
4 1
.789 1
7,
2
4
3,
679
.97
,
18
9
0 1
.3
) (
5,1
0
8
.
5
) (
6
.
3
9
0
.
0
) (
5,
9
6
8
.7
)
(
I
,1
2
3
.
6
)
(
5
1
7
.
0
)
(
6
01
4
3
8,
5
6
2 1
0
6
2,
2
1
4 1
.389,190 1
.827,752 2,
8
.
5
01
.167 20.563,381
2
3
9,
7
2
2
(
6
9
4
.
8
)
(
9
8
3
.
3
)
(
5
6
8
.
6
)
13
20,
8
9
4
4
1
5,
843 ,
(
7
72
.
9
)
(
4
8
8
.
3
)
(
6
3
2
.
7
)
(
4,
6
2
3
.
8
)
)
(
7
.
5
7
3
.1
(
7,1
1
7
.
8
)
7,1
9
8,
2
9
8 2
0,
5
4
3,
916
1
.736,737 3.345.618 1
(
5
3
5
.
5
)
(
6
.
2
1
8
.
6
)
(
6,
3
5
8
.
0
)
(
6,
3
3
4
.
8
)
1
.369,498 1
.458,125 2,854,623 13.088,247 27,174,170 40,262,417
1
.1
01
.410 1
.900,333 4,1
3
4,1
4
2 1
7,
7
9
0
.
8
8
4 21
.925,026
(
5
8
3
.
4
)
1
9
8
2
16
8
4
7
9
9 ,
2,
4
8
3
7
2
5,
9
4
3
(
9
0
8
.
6
)
1
9
8
4
15
0
2
5
9
2 ,
2
.
0
9
4
,
11
3
8
9
3
(
1
,5
7
2
.
9
)
1
.017,891
(
67
7
.7
)
1
9
8
(
2
6
)
3
3
7
1
,
2
4
4 ,
15
8
1
6
3
5,
6
8
3
(
1
,8
8
6
.
3
)
6
2
8,
2
4
1
(
5
0
5
.
0
)
(
6
6
5
.
4
) (
9,
4
2
3
.1
) (
7
.
6
7
6
.
8
)
4,
2
7
0
.
8
) (
4,
6
1
4,
4
6
4(1
1,
469,
029 1
4,
2
5
4,
4
7
7 7
0,
3
6
0,
2
8
7 6
(
5
91
.6
) (
3
8,1
5
5
.
9
) (
3
0,
0
5
0
.1
)
12
.
9
6
6
.
6
) (
1,
949,
029 7,
8
71
.318 48,153,922 56.025,240
)
(
9
3
0
.
8
) (
13,
2
9
6
.
1
) (
3
2
.
0
6
0
.
0
) (
2
6,
7
5
5
.1
1
,
2
6
3
.
9
2
4
(
7
9
9
.
4
)
0,1
1
4,
0
5
8 2
2,
0
0
4,
5
3
0 2
2
.
1
1
8,
588
(
5,
9
4
8
.
2
) (
13,
9
9
0
.
3
)
16,1
6
8
.
9
) (
〔出所 J(
:
) 1951~ 1960:LabourBureau,Ministryo
fLabour,Governmento
fI
n
d
i
a,l
n
d
i
a
n
L
a
b
o
u
rY
e
a
rBook-1969
,p
.102.
n
d
i
a
nLab
o
u
rY
e
a
rBook-1970
,p
.107.
(
2
) 1962~1970: l
n
d
i
a
nL
a
b
o
u
rY
e
a
rBook-1980and1981,p
.95.
(
3
) 1972~1976: l
(
4
) 1978~1986: l
n
d
i
a
nLab
o
u
rY
e
a
rBook-1986
,p
.91
.
1
) この数値は, 1982・1983の両年における B
ombayTexti
1eのストライキによる各々
〔注 J(
4,
140万・ 1,
338万損失人日数を含んでいる(原注)。
(
2
) 暫定的な数値である(原注)。
1
1
8
経営と経済
労働の遊休時間を確定しその理由を明らかにする制度を持たない公企業も少
なくない。これは,労務・生産・原価管理上きわめて大きな問題点である。
つぎに労務面での問題点を示す若干の事例を取上げてみよう。
① ScooterslndiaLimited(SIL) 同社が 1974年 2"-'3月に準備したプロ
ジェクト・レポートによれば, 1981年 3月末までの 5年間に, 100,
000台の
2輪車と 30,
000台の 3輪車の生産に要する必要人員は,第 6- 4- 1表のよ
うに考えられていた。ところが,同社がこの間実際に雇用した人員は,第 6
- 4 - 2表のとうりで、あった。全体的に言えば,各年度における実際の雇用
2
"
'1
.64倍にも及んでいる。
人員は,プロジェクト・レポート予定人員の1.5
熟練労働者が予定人員を大幅に下回り,半熟練労働者が予定人員を下回るか
やや上回っているのを除き,あらゆる層で実際の雇用人員が予定人員を大幅
に上回っている。とくに管理者層,事務員層, I
その他」において,この点
が著しい。これに反して,実際の生産は,計画水準より著しく低かった。 1980
年 4月,同社の経営者は,プラントが取付けられ生産が開始されたばかりの
ScootersI
n
d
i
aL
imitedのプロジェクト・レポートによる 1
9
7
6
-77---1980-8
1年度における必要人員見積り
第 6-4-1表
1976-77 1
9
7
7-78 1978-79 1979-80 1980-81
(
i
) 経営者
2
3
2
5
2
5
2
5
2
5
1
9
0
4
4
2
5
2
0
0
5
0
2
5
2
0
0
5
0
2
5
2
0
0
5
0
2
5
2
0
0
5
0
2
5
3
0
0
1
,
0
0
0
5
0
0
8
0
3
0
0
1
,
0
0
0
5
0
0
1
0
0
3
0
0
5
0
0
1
0
0
3
0
0
1,
0
0
0
5
0
0
1
0
0
2,
1
6
2
2,
2
0
0
2,
2
0
0
2,
2
0
0
(
i
i
) 管理者
(
a
) 技術系
。事 務 員
(
b
) 非技術系
i
)
i
(
v
) 労働者
(
a
) 熟
練
(
b
) 半熟練
(
c
) 非熟練
(
v
) その他
計
,
10
0
0
3
0
0
,
10
0
0
5
0
0
1
0
0
2,
2
0
0
〔出所 JRゆo
r
to
ft
h
eC
o
m
p
t
r
o
l
l
e
randA
u
d
i
t
o
rG
e
n
e
r
a
lo
fl
n
d
i
a
,UnionGovernment
l
),
1
9
8
2,P
a
r
tm,
p
.61
.
(Commercia
インド公企業における収益性と社会経済的目的,
)
低価格政策および経営上の諸問題(4
1
1
9
ScootersI
n
d
i
aL
imitedの1
9
7
6
7
7
.
.
.
.
.
.
1
9
8
0
8
1年度における
第 6-4-2表
雇用人員
1976-77 1
9
7
7ー 7
8 1
9
7
8ー 7
9 1979-80 1980-81
(
i
) 経営者
3
9
4
1
4
2
4
4
4
0
5
0
9
5
0
5
5
0
1
6
0
5
5
7
2
1
7
2
1
9
2
2
1
7
2
2
8
2
4
5
7
4
7
5
4
1
,
0
0
9
7
6
8
8
4
1
,
1
9
0
9
1
,
10
4
9
,
10
9
5
,
11
4
0
9
3
1
,
0
9
4
,
11
3
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3
4
6
3,
3
3
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3,
3
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3,
5
3
5
6
0
0
3,
(
i
i
) 管理者
(技術系および
。
非技術系)
i
) 事務員
制労働者
(
a
) 熟
練
(
b
) 半熟練
(
c
) 非熟練
(
v
) その他
計
8
9
〔出所〕第 6-4-1表と同じ。
初期の時点では様々の層の人員数を決めることは難しかったが,様々な層の
人員数を決定する同社の職務委員会報告書をまもなく受取れるものと期待し
ていると,述べた。ところが, 1982年 9月,会計検査官が入手した職務委員
会報告書では,同委員会は熟練労働者・半熟練労働者を A ・B ・C'Dの 4
つに分類しているだけで,労働者にかんする要請は果されていなかった。
② FCI 前述のように公企業における労使関係は全般的に良好な状態に
はないのだが, FCI シンドリ工場のそれは満足とは程遠かった。 1963年 9
月23日から 26日までストライキが行なわれ,同年 1
1月にも怠業運動が起った。
1
, 710万ルビー
合法的なストライキのみについても,その生産損失額は 2億
にのぼった。 1966-67年度におけるストライキの重要な問題点は,ボーナス
支払いであった。そのストライキは 66年 10月 17日から 1
1月 6日まで続き,従
400名のうち約 2,
700名がストライキに参加した。 F
CI は
, 1973-74
業員 3,
年度,指導者が訴えたバンド・ストライキや袋地労働者が採用した遵法闘争
・怠業戦術により生産損失を被った。 FCI におけるボンベイとアッサムの
バンドによる窒素の生産損失は,
トロンベイ工場では 3,191トン,ナムラッ
1
2
0
経営と経済
プ工場では 1
8
8トンにのぼった。労組が運動を開始した理由は様々である。
それは,報償金の拒否,ボーナス・プロジェクト手当て・その他の手当てに
かんする紛争,労働者達による特別な任務への配置の主張に対する懲戒的取
締りやスタッフの削減から個人的な不満にまでわたっている。
[4) 以上 [2) [3) ではインド公企業の生産面や労務面における
問題点について述べたが,これらの多くや全体的な計画・調整の拙劣さが相
侠って,個別公企業や公共企業部門全体の生産能力は十分に稼働していない。
つぎに,第 6-5表に拠りながら 1
9
7
0年代から 8
0年代における生産能力稼働
率別の中央政府企業分布の推移を簡単に見ておきたい。 75%超の稼働率を有
する層は,一定の変動を繰返しながらも一部の年度を除き企業総数の 40%台
後半から 50%台前半を占めるに止まっており,長期的には上昇傾向が見受け
られない。 50-75%の稼働率を有する層は,一定の変動を繰しながらも一部
第 6-5表生産能力稼働率別の中央政府企業分布の推移
(単位:会社数)
1972-731973-741974-751975-761976-771977-781978-791979-801980-81
50%未満 (
2
1
.
2
1
8
%) (
3
0
.
2
5
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9
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50~75%
2
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2
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3
1
1
3
3
1
5
0
1981-821982-831983-841984-851985-861986-871987-881988-891989-90
50%未満 (
2
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50~75%
2
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4
2
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2
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.
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)(
2
2
.
6
5
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6
)
75%超
10
1
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1
2
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3
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.
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2
.
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1
4
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1
7
5
1
8
4
2
1
2
2
5
7
〔出所J1972-73~1974-75 :
Bureauo
fP
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974-75
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2
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1
9
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5-76~ 1
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y1989-90
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.1
4
.
1980-81~1989-90 :
インド公企業における収益性と社会経済的目的,
低価格政策および経営上の諸問題(4
)
1
2
1
第 6-6表産業・業種別,生産能力稼働率別の中央政府企業分布の推移
5
0% 未 満
7
5 %超
50%~75%
1981-821985-861989-901981-821985-861989-901981-821985-861989-90
鉄
鋼
石
炭
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炭
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.7
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織
維
電
力
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0
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化学・薬剤
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.
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.
0
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) (
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.
6
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.
5
)
5
(
41
.7
)
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(
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.
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0
(
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.
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) (
(
14
.
3
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3
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2
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。
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0
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.
0
) (
10
0
.
0
)
O
6
(
4
0
.
0
)
〔注〕これらの単位はすべて企業というわけではなく,産業によっては多数の工場,さらには
製品ラインも含まれている(原表)。
〔出所〕次より算出。
Bureauo
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.209~214.
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.175~182.
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v
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y1989-90,v
o
l
1,p
p
.110~128.
の年度を除き企業総数の 20%台を占めるに止まっており,長期的には大きな
変動は見受けられない。したがって,中央政府企業の生産能力の稼働率は,
長期的には改善されずかなり低水準に止まっていると言えよう。こうした生
産能力の低稼働率が中央政府企業の低収益率と直結していることは言うまで
もない。
1
2
2
経営と経済
重要産業・業種における公企業生産能力の低稼働は,さらに他産業・業種
における企業の生産能力稼働率や経営効率へ悪影響を及ぼすこととなる。つ
9
8
0年代における中央政府企業の産業・
ぎに,第 6-6表に後拠しながら, 1
業種別,生産能力稼働率別分布およびその推移を簡単に見ておきたい。化学
・薬剤部門における企業の稼働率は,著しく低く, しかもこの間低下傾向を
示している。肥料,重機械や消費財部門における企業の稼働率はこの間上昇
傾向を示しているが,稼働率そのものは依然として著しく低い。鉱物・金属
や輸送機械部門における企業の稼働率はこの間上昇傾向を示しているが,稼
働率そのものは決して高いとは言えなし、。さらに注意すべきは, 1
989-90年
度における電力部門の企業の稼働率の低さである。重要産業における中央政
府企業の低稼働率は,様々な形で諸産業・業種の公私両企業の生産・経営へ
悪影響を及ぼすとともに,国内産の薬剤や消費財の不足をもたらすこととな
る
。
C5J 適切な量の資材在庫を適切な場所に適切な時間保有すること
は,コストの削減を可能とする。ところが, 1
974-75年度末現在で必需品・
予備部品の在庫にかんする最大・最小量さえ設定されていなかった中央政府
企業が 2
4も存在していた。とりわけ,過剰在庫は,生産原価や利益に大きな
悪影響を及ぼす。『公企業白書(1989-90
年度版)
jは,この点について次の
ように述べている。「在庫品に固定されている資本を少し減少させるだけで
も,より高い収益の達成に資するであろう。これは,数百の供給業者から数
干の投入財を購入する公企業の場合には,一層当てはまる」。また, 1
9
7
1年
における公企業研究所の出版物において,前内閣官房長官 B
.シバラマンは,
公企業局が行なった研究に言及しながら,もし公企業の在庫を適切と考えら
れる水準まで削減すれば,利子負担が年間 l億 1
,
0
0
0万ルピー減ると,指摘
している。
L. ナラインは,過剰在庫の主な原因として次の 7点を指摘している。 (
i
)
コラボレーター・供給業者の勧告・圧力に基づく当初予備部品の大量輸入;
インド公企業における収益性と社会経済的目的,
低価格政策および経営上の諸問題(4
)
1
2
3
(
i
i
)
将来,十分な額の外貨を入手できないのではないかとの危倶に基づく,輸
i
i
i
)計画的生産に基づき調達を計固化するのだが,実際の
入品目の過剰備蓄;(
生産が予想以下となる;付他企業より生産循環がかなり長期にわたる公企業
は,在庫を減少させるための
PERTや CPMのような技術をしばしば採用
v
)国内供給不足の結果,何度も調達時間が長期化し,
することはしない;(
c
こ
(吋)プロジェクト開始後数年間は,建設段階
れに対応するための過剰備蓄 J ;
からの過剰在庫や建設設備が残される;(ViY必要以上に多種類の品目の在
庫了)(i) 同は,各々,企業の経営管理,公企業の特質,国内の産業事情,
そして国際経済関係に基因するもの等多様である。このうち, (
i
)は多国籍企
業を中心とする外国企業との企業提携に基づくことが少なくなく,
(
i
i
)はイ
ンドの慢性的外貨不足を背景にしている。なお,以上から明らかなように,
ナラインは,ここでは完成品や仕掛品を考慮、に入れていない。
第 6-7表から明らかなように, 1
9
7
0年から 90
年にかけ,在庫日数は長期
的にはかなりの減少傾向を示しており,また総生産費・総売上高に占める在
庫品総額の割合もほぼ同様の傾向を示している。したがって,中央政府企業
全体としては,過剰在庫の問題は改善の方向へ向っていると言えよう。しか
第 6-7表 中央政府企業における在庫品総額および在庫期間の推移
各年 3月末
1
9
7
0
1
9
7
5
1
9
8
0
1
9
8
5
1
9
8
6
1
9
8
7
1
9
8
8
1
9
8
9
1
9
9
0
総
く
生
は
産
幣
費
売
も
額
し
1
8
1
4
8
1
1
8
2
0
1
1
0
4
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8
0
4
5
5
0
0
1
6
1
1
6
8
7
1
6
1
1
8
4
4
9
7
9
6
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2
2
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0万
(
品
2
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総
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額〕
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8
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9
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2
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2
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.
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8
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7
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〔出所 JB
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り 1
989-90.vol
.1.p
1
4
0
.
S
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1
2
4
経営と経済
第 6-8表
中央政府企業における産業・業種別の在庫品総額と在庫日数
(
1990年 3月末)
(
1
在
0
0庫
0万
品
ル
総
ビ
額ー)
在庫日数
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重
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1
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.
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機
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料
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5 化学製品・薬剤
1
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4
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鋼
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財
3
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.
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8
油
4
6
8
2
.
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6
8
3
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0
1
0 農産物を土台とする工業
1
1 石炭
亜炭
3
6
.
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1
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.
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0
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7 輸
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1
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費
9 石
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.
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3
9
1
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4
4
1
6 請負・建設サービス
8
2
0
.
2
4
1
2
9
.
2
5
6
9
1
7 建設サービス
1
7
3
.
3
5
4
4
計
1
6
1
3
.
5
1
4
1
2
1
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6
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.
4
4
8
3
計
Bサービス企業
1
4 輸送サービス
1
5 貿易・売買業
メ
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3
6
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y1989-90
,v
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l,p
.1
41
.
〔出所J P
し,第 6-8表から明らかなように,産業・業種によって大きなバラツキが
ある。サービス企業の在庫日数が全体として 41日であるのに対し,財生産・
販売企業のそれは 91日である。また,後者のなかでも,輸送機械の 302日
,
農産工業の 221日,中軽機械の 202日,重機械の 177日,金属,鉱業の 155日を
はじめとして,在庫日数が 100日を超える産業・業種が 8つもある。このよ
うに,財の生産-販売に携わる中央政府企業においては過剰在庫を抱えるも
インド公企業における収益性と社会経済的目的,
)
低価格政策および経営上の諸問題(4
1
2
5
のが少なくなく,これが個別公企業,公共部門全体の収益性を圧迫する大き
な要因になっている。
(6J L. ナラインが, I
公企業はしばしば原価意識の欠如を批難さ
れる」と述べているように,インド公企業は,原価管理面においても問題を
抱えている。本節の初めの部分で取上げたように, 1
9
7
9年 4月における公企
最低限の生産管理や原価管理
業運営にかんする公企業委員会の報告書は, I
さえ欠如していることが広範囲に及んでいると考えられるが,企業経営者ま
たは政府は,それに気をとめなかった」)と述べているのだが,同委員会報告
書によれば,会計検査院院長が彼の指示により会社の会計監査役から受取っ
た報告書に関連する 9
4政府会社とその 2
5子会社についての 1975-76年度の状
況は,次のとうりであった。 (
i
)
3
4社は生産目標に達しなかった (
B
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.等々);
(
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)
2
4社は正規の原価計算制度を持たなかった (
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.等々);(
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)
4
2社
は,労働もしくは機械の遊休時間を確定し,その理由を明らかにする制度を
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d等々);i
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2
8
社では,原材料の消費が標準/見積りを超えた(In
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d等々);(
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)
2
2社
では,主要製品の標準原価が定められていなかった (Hindustan Z
inc
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d/B
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d 等々) ;(
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)4社は標準原価計算制度を導入していなかった (
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d等々) ;
同1
5社では,生産の実際原価が見積り/標準原
価を超えた (HSL/H
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d等々)。
以上から明らなように,多数の会社が,生産・労務管理面における問題点
1
2
6
経営と経済
とともに,原価管理上重大な欠陥を有していた。適切な標準原価計算制度を
通じて標準原価と実際原価との比較によって非効率の所在を明らかにし,原
価の低減を図らねば,企業収益を圧迫することとなる。
なお,同委員会報告書は,以上のほとんどの欠陥を併せ持ち,経営に苦し
んでいる会社が,次の 1
1社あると指摘している。すなわち, HeavyE
n
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.(1) L
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tCokingC
o
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lL
t
d
.である。この中
には著名企業も少なくない。ついで,同委員会報告書は,この項を次のよう
に締めくくっている。「販売原価の販売額に対する割合が 100%を超えており,
それがもっぱら生産管理・原価管理の欠如に起因すると考えられる公企業
6にも達することは,驚くに当らない。これ(生産管理・原価管理の欠
が
, 5
如一立山)は,
1
9
7
7
7
8年度中に企業利益をかなり侵食したア。
以上の (
I
J
'
"
'
'
(
6
J を簡単にまとめておきたい。
プロジェクト準備の不十分さによる機械・設備供給,さらにはインフラ施
設・関連設備や生産関連施設の建設の遅滞は,建設期間の大幅長期化,生産
・事業開始の大幅遅延を惹起し,建設コストを上昇させ,その聞の生産事業
を不可能とする。
原材燃料の浪費等の種々の無駄は生産コストを大きくする。原材燃料の不
足やその質の欠陥,設備・機械・器具の欠陥や破損,そのための適切な保守
制度の欠如,そして以上の諸要因と結びついている生産計画そのものや統制
・調整の拙さは,生産目標の達成を不可能にするとともに,コストを上昇さ
せる。少なからぬインド公企業では最低限の生産・原価管理すら行なわれて
おらず,適切な監視・評価制度も欠如している。適切な標準原価計算制度を
インド公企業における収益性と社会経済的目的,
低価格政策および経営上の諸問題(4
)
1
2
7
通じて標準原価と実際原価との比較によって非効率の所在を明らかにし,コ
ストの低減を図らねば企業収益を圧迫することになる。
計画的欠勤,動機付の欠如,監督が効果的に行なわれていないこと,労使
紛争,労組問の対立,人員過剰,補助者を用意するというような産業的伝統,
技能改善のための訓練の欠如が,労働生産性を低位にしている。
以上の生産面や労務面の諸問題と全体的な計画-調整の拙劣さが相侠っ
て,個別公企業や公共部門全体の生産能力の低稼働をもたらし,生産コスト
を増大させている。また,適切な在庫管理の欠如,とくに過剰在庫の形成は
生産コストを増大させている。
2 政府による行過ぎた統制とこれによる公企業自治の欠如が,他の
諸要因とも連関しながら公企業経営の非効率の大きな原因のーっとなってい
る。公企業経営における重要事項にかんする意志決定は,政府によって行な
われてきた。 1985-86
年度における E. P
. W. ダ・コスタの論稿は,
r
公
共部門の主要な弱点は,それが自身の運命の支配者でないことである。実際
に,その意思決定は,公共部門経営者の領域から大きくはずれている」とし
1項目を挙げている。 (
i
)
政府は公企業参入領域の最終的判定者であ
て,次の 1
i
i
)
政府は,資本投資および立地・技術上の選択にかんするすべての決定
る;(
を行なう;(
m
)
政府は,各企業の法人としての目的,およびその営利目的と社
会的目的との聞のバランスを決定する;i
(
サ最高経営責任者や取締役会の任命
権限は政府にある;(
v
)
政府は,企業の賃金政策を決定し,また労使関係に介
入する;(吋)政府は,価格設定・販売政策の策定において重要な発言権を有す
る;州政府は,社会政策の国家戦略にかんする諸問題について,公企業に対
して指令を発する権利を保有している;州政府は,寄せられた苦情もしくは
自身の意志に基づき,企業の経営者に対し調査を命ずる
ω
;政府は,議会の
質問に答え,経営者の法的権限内のすべての問題にかんする情報を求める権
x
)
政府は公企業の業績を監視し評価する;糾政府は公企業の会
利を有する;(
1
2
8
経営と経済
計監査を行なう (31)
このように,公企業経営における重要意思決定権限は政府によって掌握さ
れている。ちなみに, 1
9
7
7
年に公企業がさまざまな諸省・部局へ送付した報
告書は少なくとも 1
8種類に上った。)このような状況の下では,
r
公共部門の
生産性・収益性の改善は,必然、的に政府自体の経営職能遂行の際の効率に結
びっく j
)のであり,公企業の大幅な「生産性・収益性の改善」は期待できな
い。ナラインは,政府と公企業との関係の現状とあるべき姿について次のよ
うに述べているが,同感である。「し、かなる状況の下でも,政府は,企業に
窮屈さを感じさせるほど,それを自己の軌道上へ乗せるか監視機能を強化す
ることを切望し,企業自体の諸機能を引継ごうとすべきではない J
r
公企
業と政府諸部局との満足し、く組織的関係は,これまで発展してこなかった。
その関係は,企業へ十分な自治を与え,また政府に対する必要な責任を確保
しうるようなものであるべきである」。
以上のように,公企業経営の自治の欠如は様々な点において看取されるの
だが,ここではそのうちでもとくに重要だと考えられる最高経営責任者・取
締役の任命方法や出身別構成等々について見ておきたい。
C1J W
公企業政策精査委員会(通称アルジュン・セングプタ委員会)
報告書[1 984年 12 月 J~ は,最高経営責任者や常勤取締役の任命権を,政府
が有することにより公企業自治が侵食されていること,非常勤取締役の任命
権すら政府にあること,そしてその是正・改善について,次のように述べて
いる。「最高経営責任者と常勤取締役の任命・解任権限 (
p
o
w
e
r
)は,現在政
府に付与されている。……政府のこの特別な権限は,そうでなければ政府の
事前の承認を必要としない意志決定へ非公式に介入することにより,自治を
侵食するであろう。したがって,われわれは,最高経営責任者や常勤取締役
が原則としては彼らの権限であると認められていることを行使し,彼らの自
治を守ることを助けるが, しかし他方では彼らを業績審査に従わせるような
インド公企業における収益性と社会経済的目的,
)
低価格政策および経営上の諸問題(4
一定の変更を,提案したい J
1
2
9
I
非常勤取締役の任命権限 (
a
u
t
h
o
r
i
t
y
)も
政府にある。しかしながら,われわれは,当該の部局は非常勤取締役のリス
トを完成する前に最高経営責任者と協議することを,提案するア。
公企業白書(19
7
8
最高経営責任者や取締役の選考・任命の方法について, w
-79年度版)~およびナラインの研究に依拠しながら少し詳しく見ておきた
し
、
。
1
9
6
5年 2月,公共部門のトップ・マネジメントの人事に関する諸問題を検
討し勧告するため,各省大臣から構成される特別委員会が政府によって任命
された。政府が承認した同委員会の主要な結論・勧告の一つは,任命当局が選
定時に十分広範な選択対象を持ちうるように,適切な人物の名簿の保管を内
閣官房長官に任せることを規定することが必要であろうという点であった。
1
9
6
5年 1
0月1
3日付内閣官房室覚書きによって決定されたとうり,名簿は公企
業局によって保管された。 1
9
6
6
年,名簿登載選考委員会 (
E
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d- ESB) として知られるようになる,申請者・被推薦者を選別
する,各省大臣から構成される選考委員会が設置された。公企業局は, ES
Bの活動と積極的に結びつけられ,その事務局となった。 1
9
6
8年 7月 8日付
公企業局覚書きによれば,その名簿からトップ・マネジメントを選考する省
'
"
'
'
・部局は,公企業局にポストの職責にかんする情報を提供し,そこから 4
5名の小名簿を送って貰う。当該の省は,その小名簿または全体名簿のうち
のその他の数名から l名,もしくは名簿登載を条件として企業内から 1名を
選抜することができる。もしもその名簿外から選抜する場合は,内閣の任命
委員会に対してその理由を文書で明確に述べることとなっている。
1
9
7
4年 8月3
0日の政府決議によって, とくに銀行・保険業以外におけるト
ップ・マネジメントの任命について政府に助言するための公企業選考委員会
(
P
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nB
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r
d- PESB) が設置された〔前出の ES
Bはさらに権限を拡大されこの PESBに発展解消されたものと推察され
o PESBは,各省の大臣,公企業局局長や公私両企業の会長など 5
るJ
1
3
0
経営と経済
'
"
'
'
6名から構成される了)常勤・非常勤の会長 (
c
h
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) や専務取締役
(
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gd
i
r
e
c
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o
r
) の任命,もしくはその任期の延長はすべて,同委員会
の勧告に基づいて行なわれる。新規の任命については,同委員会は当該の大
'
"
'
'
3名の名簿を提出する。その任命は内閣任命委員
臣の検討の材料として 2
A
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tC
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eC
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i
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e
t
)の承認を得てなされる。常勤取締役
会 (
i
i
)
PE SBの
の任命については,所管省は, (
i
)その企業の最高経営責任者, (
代表者 l名
, (
i
i
i
)
(i
)と(
i
i
)が合同で選考する 1'
"
'
'2名から構成される選考委員会
を設置する。同委員会は当該大臣の意志決定の材料として 2
'
"
'
'
3名の名簿を
提出し,内閣任命委員会の承認を得て,任命が行なわれる。ゼネラル・マネー
ジャーの任命は当該取締役会の責任であるが,その企業は,他企業よりの候
補者への要求が見落されぬよう PESBの事務官を委員として加え,これを
含め 4名以上の委員からなる委員会を,設置しなければならない了)以上のよ
うに,公企業の会長・専務取締役・常勤取締役の選考・任命においては, P
ESBを中心に政府が大きな権限を持っているのである。これ以後の資料は
入手していない。
C
2J
第 2- 2表
(
W経営と経済』第72巻 l号)に見られるような公
企業の急増は,従業員数を急増させるとともに,
トップ・マネジメントから
ロワーに至るまでの管理者層に対する必要性を増大させることとなった。た
公企業白書(1978-79年度)Jlによれば, 1971-72年度に 9
7
企業が
とえば, w
6
6万人の従業員を雇用していたが, 1978-79年度には 1
7
6
企業が 1
8
7万人の従
1
,
業員を雇用することとなった。これに伴ない,同期間に管理者層も 3万
000万人から 8万2,
000人へと増加した(各年度 1月初)
01
9
7
9年 7月 l日に
おける保険会社グループを除く 1
7
0社の管理者層総数は 9万4,
5
1
8人であった
が,その内訳は次のとうりである。非常勤の会長5
2;最高経営責任者(常勤
の会長・会長兼専務取締役・専務取締役) 177;常勤の常務取締役1
9
6;ゼネ
ラル・マネージャー400;上級管理者 l万4,
660;中級管理者 2万9,
515;下
級管理者 4万4,
000;初級管理者6,
0
0
0。
インド公企業における収益性と社会経済的目的,
低価格政策および経営上の諸問題(4
)
1
3
1
前述のように,公企業のトップ・マネジメントの任命については政府が大
きな権限を持っているのだが,それでは政府はどの程度公企業へ人材を派遣
しているのであろうか。『公企業白書(1978-79年度)Jlによれば, 1
9
7
9年 7
月 1日現在で, 1
7
0企業に中央政府からし 6
1
1名,州政府から 5
1
9名派遣され
ている。)これらのポスト別内訳は明らかではないが,その大部分はトップ・
マネジメントや上級管理者層に属するものと推察される。『公企業委員会(第
5次下院)第4
0回報告書』によれば, 1
9
7
2
年 9月時点で,政府より公企業へ
の派遣者は 1万 1
,
0
0
0名である。双方の数値を単純に比較することはできな
いが,政府より公企業への派遣者の数は7
0年代に減少傾向を示していると言
えよう。 1
9
7
2年の 1万1,
0
0
0名のうち, 48%は財務会計部門に配属され, 4
3
%は人事・一般管理部門へ配属されている。これらの人材は大蔵省出身官僚
と所管省庁出身官僚に大別される。)その実態は各省庁よりの出向,天下りで
あり,彼らの意思決定や行動パターンは,一般的には出身省庁の利害を反映
するものと推察される。
o
. P. ミノチヤは, r
公企業発展の初期の段階で
は文官の任命は必要であるかもしれない。しかし,この人材源への継続的依
存は全般的な批判を招いた」として,官僚の公企業への派遣について次の 5
点を問題点として指摘している。 (
i
)このような官僚は最善を尽して前進する
i
i
)このような官僚
ことはほとんど期待しえず,企業への帰属感も持てない;(
は一般的な派遣条件に従って20%の派遣手当てを取得する道を選ぶかもしれ
ないので,この制度はより高くつく;(
i
i
i
)彼等の在任期間は短期となりそうな
ので,企業にかんする適切な知識の取得は困難であり,また彼等が得た経験
i
v
)公企業へ派遣される官僚は行政事務の規約
や直接的な知識は無駄になる;(
に従おうとする傾向を有しており,その結果緩慢かつ官僚的な機構がもたら
され,有能な管理者を失望させ,民間部門へ向わせることとなる;(
v
)このよ
うな制度は,公企業の通常の従業員の昇進の見込みに悪影響を与えそうであ
る
。
以上のような各省庁より公企業への官僚派遣が公企業経営に与える弊害
経営と経済
132
第 6-9表
身
レ
、
期
¥
、
ポ
¥
間
ス
同
ド
¥
出
ミ
、J
ポストの
トップ・マネジメントのレベル別・出身別構成
公企業部門
民間企業部門
政府行政部門
合 計
レベ Jレ 人 数 そ 切 合 人 数 そ の 附割合 人 数 そ の 附割合 人 数 そ の 附割合
1
9
7
6
年 3月末
I
E
計
2
1
1
0
3
1
3
6
.
8
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.7
3
8
.
3
5
4
9
8
.
8
1
6
.
7
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4
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4
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0
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1
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1
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6
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1
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9
,
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.2
3
2/p
p
.2
6
1~264 (Amnexure1
7
.
6
)
.
〔
注 J(
1
) レベル Iのポストは,基本的には,会長・会長兼専務取締役・専務取締役であり,レ
レEのポストは基本的には副専務取締役・常務取締役・業務取締役であるが,後者に
ベl
は担当が明記された専務取締役も若干含まれている。また, 1
9
7
7年 1
1月2
3日付の大蔵省
(公企業局)決議によりレベル Eのポストに分類されるようになった総支配人等々が,
1978-79年度のレベル Eに含まれている。
一
一I
b
i
d
.,pp.2
6
1~2641 p
.2
3
2
.
(
2
) 公企業部門の(
J内は,同一公企業よりの出身者数とその割合を示している。小池
年度 )
.
nの2
3
2頁の表に基づいて同様の表を作成し
賢治氏が既に『公企業白書(1978-79
ているが(小池「インドの公企業一ーその現状と問題点」同編『アジアの公企業一一官
営ビッグ・ビジネスのパフォーマンス』アジア経済研究所, 1
9
8
2
年
, 2
4
5頁
)
, (
7
.6 (261~264 頁)に依拠して筆者が書加えた。
同白書付録 1
J内は,
インド公企業における収益性と社会経済的目的,
低価格政策および経営上の諸問題(4
)
は
,
1
3
3
トップ・マネジメントや上級管理者層の場合とくに大きくなる。第 6-
9表は, 1
9
7
4年 9月から 1
9
7
9年 3月末の期間に PESBの勧告の下に任命さ
れたトップ・マネジメントの出身構成とその推移を示したものである。レベ
ル Iについては,政府行政部門は当初過半数以上の割合を占めていたのが
1
9
7
8一7
9年度には 4分の l未満にまで下落しているのに対し,公企業部門は
年度には約 7割 5分にまで
当初 4割未満しか占めていなかったのが 1978-79
上昇している。レベル Eについては,当初政府行政部門・公企業部門共に 4
割程度を占めていたのが, 1
9
7
8一7
9年度には,前者は約 l割 5分にまで下落
し,後者は約 8割にまで上昇している。このように,
トップ・マネジメント
の公企業部門内部における自給率はかなりの上昇傾向にあるが,これは,経
済的刺激等を通ずる政府による政府官僚の公企業部門定着の政策を反映した
ものである (45)各部門におけるレベル IとEの割合を比較してみると,政府行
政部門については Iが Eより大きく,公企業部門については Eが Iより大き
,
く したがって政府行政部門よりの官僚派遣についてはよりハイレベルの I
に重点が置かれており,公企業部門内部におけるトップ・マネジメントの自
給率はよりロワーの Eにおいて高くなっている。
1977-78,1
9
7
8一7
9年度のデータに拠りながら公企業部門内部のトップ・
マネジメントの自給の問題について見ておこう。レベル Iについては,同一
公企業内よりの登用者は 5割 5分程度であり,残りは他企業よりの登用者で
ある。レベル Eについては,同一公企業内よりの登用者が 7割 5分前後を占
めており,残りは他公企業よりの登用者である。したがって,同一公企業内
よりの登用はレベル Eに重点が置かれ,他公企業よりの登用はレベル Iに重
点が置かれていると言えよう。他企業よりの登用者には,退職金・移転費用
の供与や休暇の繰越等の特典を目当ての「渡鳥官僚」が少なくなく,彼らは
公企業部門のエトスを理解し,アントラプラナーシップの発揮により積極的
に公企業経営に当るとは考えられず,むしろ自己の利害およびこれと結びつ
く出身省庁の利害を反映する意思決定や行動パターンをとるものが少なくな
1
3
4
経営と経済
いと推察される。他企業よりの登用はレベル Iに重点が置かれており,こう
した「渡鳥官僚」の公企業経営に対する悪影響はきわめて大きい。また,同
一公企業内からの登用者についても,本来の「生抜き」以外については,こ
のような特質を持つ者も少なくないと推察される。さらに, I
生抜き」のレ
ベル Iへの登用の実態は明らかではないが,公企業経営活性化のためにはそ
の増加が望まれる。
最後に,民間企業部門出身者についてである。第 6-9表から明らかなよ
うに,この間のトップマネジメントの登用者数は,レベル 116
名,レベル I
I
7
名で,各々のレベル全体に占める割合も 9.6%,5.0%に過ぎない。民間部門,
とくに大財閥出身者が公企業,公企業部門のトップ・マネジメントの多数を
占めることによる弊害も明らかであるが,今日のインドの公企業経営におけ
る非効率の主要な原因がエトスなき高級官僚の主導に起因する官僚主義的経
営スタイルにあるとするならば,公企業自治による民間部門からの専門的経
営者の導入も考慮する必要があろう。もっとも,そのためにはトップ・マネ
ジメントの実質的な人事権が各公企業に付与される必要があろう。
以上では,主としてトップ・マネジメントの任命方法やその出身別構成に
ついて見てきた。この問題は公共部門民主化の重要な柱である経営者の民主
化の重要な一環である。ここでは,経営者の民主化の詳細や公共部門民主化
のもう一方の柱である労働者の経営参加には言及しないが,公共部門の民主
化と経営効率は密接に結びついているものと考えられる。
J.ハンスは,公
共部門を強化するために,好業績に対し個人レベルで大なる刺激を供与する
ことにより,有能かっ経験ある人材による経営の専門化を図ること,労働者
への仕事・資質に応じた差別的賃金支払い,工場・会社等の単位に基づく「全
面的な組織的刺激計画」や罰則の重視等を主張している。彼の主張は,イン
ド公共部門の現状に照らして,首肯できる点も少なくないが,公共部門の民
主化という観点が欠如している。これまで,公企業経営のいくつかの重要な
インド公企業における収益性と社会経済的目的,
低価格政策および経営上の諸問題(
4)
1
3
5
問題を取上げてきたが,公共部門の民主化という文脈のなかに位置づけてい
く必要があると考えられる。
〔
注
〕
(
1
) C
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11
9
7
9
. 以下各年次の同報告書を
たとえば CPU(
1978-79
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hLokS
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)2
8
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hR
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tと略記する。
(
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),1
9
8
2,p
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.4
8-5
0
.
(
3
) 中央政府企業に対する投資の原資構成の変遷と利子負担の推移については注的と表
6-Aを参照。
(
4
) チョプラは,各項目の詳しい出所を明らかにしていないが,同報告書と照合すると,
これら 7点は,各章の「結論/勧告」部分からのものであることが明らかである。各
項の末尾の括弧内は,同報告書の当該パラグラフを示す番号であり,筆者が古き加え
iについては,チョプラの叙述が同報告書の内容を十分に反映していないと
た。(り・や)
考えられるので,同報告書を基に叙述した。各項の詳細については,同報告書および
チョプラの向上書を参照。
(
5
) CPU(
1978-79
,6
t
hLokS
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b
h
a
)28
的 R
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p
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p
. 2~ 1
4
. なお,同報告書は,完全
故意に適切な情報の提供を差控えている企業
な情報を提供していない企業について, I
d
.,p
.1
2/p
.
1
4
)Jと,厳しく批
の行為は,結局当委員会を侮辱することになろう(昂 i
判している。
(
6
) この報告書の 2頁では,生産開始が計画より遅れた企業が 2
6企業となっているが,
3~8 頁にかけてのこの種の公企業にかんする詳細な表から,さらには全体的な整合
性という点から, 2
8が正しい企業数であると考えられる。
(
7
) K
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.Krishnaswamy,WhatAi
1
st
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9
8
0,p
.9
7
3
. なお,インド商工会議連盟 (FICCI)のレポートは, 1
9
8
9
年計画実施省が発表した報告に基づき,公共部門におけるタイム・オーバーランの最
近の実態を明らかにしている (
FICCI,M
i
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1theCommitteeMeetingonthe11.8
.
1989o
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(
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1theComptrollerandAuditorGeneralollndia,UnionGovernment(Commcr-
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. 以下,各年
次の同報告書をたとえば, R
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1C& AG1980と略記。
(
9
) 次を参照。 Ka
1
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aDeb,
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),1
9
8
7,pp.315-316.
(
1
0
) 生産管理は,所定の品質・原価・数量の製品を所定の納期に生産するため,生産資
源を総合的に統制し,効率的な生産を行ない,原価の低減を最終目的とする。生産管
理は,日常の販売・購買活動に直結しており,受注から納品までの生産過程を管理の
対象とし,生産計画と生産統制の機能から構成される。生産計画は,製品計画・手順
計画・日程計画から成立つており,生産統制は,作業手配・進度管理より構成されて
いる。一橋本和美「生産管理の展開」中村瑞穂・丸山恵也・権泰吉編著『現代の企
業経営一一理論と実態』ミネルヴァ書房, 1
9
8
9
年
, 1
33-146
頁
。
制
次を参照。手塚孝「生産管理」今井俊一・儀我壮一郎・笹川儀三郎編著『企業経営
の理論と実態』ミネルヴァ書房, 1
9
9
0年
, 74-79
頁。インド公企業における生産管理
の問題については次も参照。 LaxmiN
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9
8
2,pp.
445-454;A.S
.
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1
3
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y1980-81,v
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2 (以下,各年次の同報告書を,たとえば PE
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y1980-81と略記)。慢性的電力不足へ対応するための, 1
9
8
0年代における電力
2
部門の中央政府企業への集中的投資については,第 2節 1 C2J (li"経営と経済』第 7
巻 1号
, 50~52頁)参照。
0
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.4
51
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制伊藤健市「労務管理」今井・儀我・笹川編著,前掲書, 83-84
頁。次も参照。
頁。資本主
平沼高「人事・労務管理の展開」中村・丸山・権編著,前掲書, 151-152
義私企業の「労務管理は,集団労働の管理として社会的生産の円滑化のための必要物
インド公企業における収益性と社会経済的目的,
)
低価格政策および経営上の諸問題(4
137
であるという歴史貫通的性格をもっ一方で,企業の規定的な目的=剰余価値の生産を
「資本合理的」に推進しなければならないという二重の性格をもっている(伊藤健市,
前掲論文, 8
2頁)
Jが,ここでは,インド経済・公企業の現状に鑑みて「社会的生産の
円滑化」という点に力点を置きながら,インド公企業の労務管理の問題を取上げてい
る。労務管理の一方の柱である人事管理は,雇用管理,作業管理,安全衛生管理,労
働衛生管理,労働時間管理,労働意欲管理,教育・訓練管理,賃金管理等々から構成
されており,他方の柱である労使関係管理は労働組合対策(団体交渉・労働協約・経
営参加・労使協議制等)や従業員対策(苦情処理制度・企業内福利厚生制度等)から
構成されている。一一伊藤健市,前掲論文, 83-84頁。インド公企業における労務管
理の問題については次も参照。 N
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(
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),1982,p
p
.44-45.なお,ミシュラとラヴィシャンカールの編著書
では,労務管理の問題に大幅な紙数を割いており,インド公企業における労務問題の
重要性,深刻さの一端を窺うことができる。また,
P
.N
. シンの著書では
Heavy
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nの経営上の諸問題が豊富に取上げられている。
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1C& AG1982
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.61-62.インド政府
ILの民営化を決定し,同社は,インド国
は
, 1
9
8
8
年,極端な経営不振に陥っていた S
営企業最初の民営化決定事例であったが,売却条件をめぐって問題が生じこの話は流
産したもようである(立山 1
1
9
6
0年代半ばまでのインドにおける産業政策と公企業・
経営と経済』第6
9巻 4号 [
1
9
9
0年
]
, 1
7
9頁/187
頁
)
。
国有化 JW
なお,プロジェクト・リポートの立案者が外国人であったために,インドの諸条件
を考慮せずに,プロジェクト・レポートの段階で提示されている必要人員が著しく過
少になっており, したがってその後必要人員が大幅に変更されざるをえない事例も見
受けられる。たとえば, 1
9
6
6年における公企業委員会による H
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のピライ工場にかんする報告書は, 1
9
6
4年1
2月末における 1
0
0万トンプラントのために
実際に雇用された必要人員2
6,
5
1
2名(建設労働者を除きタウンシップに携わる労働者
や鉱山労働者を含む)はソビエトのプロジェクト立案者による必要人員7,
3
0
0名の 3倍
以上となったが,その主要な原因を,彼らがインドの実状とは合わない諸仮定(たと
えば,ソ連で一般的となっている荷積み・荷下しのための機械化された操縦施設や保
守職務の機械化)に基づいて必要人員を著しく過少に見積ったことに求めている。こ
1
3
8
経営と経済
うして,同報告書は,当該箇所の結論・勧告部分において, I
従業員数の現実的な見積
りが行なえるよう,提携機関にはインドの諸条件にかんするすべての必要な資料を
提供すべきであった」と指摘するとともに,また「鉄鋼プラントにおける過剰人員は
1966
,3rdLok Sabha) 30th
ある程度認められた」とも述べている。一一 CPU (
1Hindustan SteelLimited. pp. 45-46. スリパスタ
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パは,同報告書を利用して, HSLが過剰人員に苦しんできていることを明らかにして
いるのであるが,ソ連側のプロジェクト立案者による必要人員の過少見積りという点
にはまったく言及ぜず,実際に雇用された人員がプロジェクト・リポートの必要人員
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.
見積りの 3倍以上になったという点を強調するに止まっている。-S
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1theCentralGovernment1973ー 74,p
.3
1
4
(以
下,各年次の同報告書を,たとえば AnnualR
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p
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n WICUCG1973-74と略記す
る) ;R
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7,p
.1
5
2
]
.
制 R
. ナグラージの研究によれば, 1990-91年度に中央政府企業の各々①使用資本の 5
5
%,②付加価値の 55% を占める 14企業の 1979-80~ 1
990-91年度における稼働率は年
1%以上成長しており, 1
9
9
1年には各々約85%と90%に達しているという (
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)。
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5 (Source:ReportoIC&AG1976
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. 4~ 5)
.ちなみに, 1
969-70と1970-71の両年度におけ
る保険会社を除く中央政府企業の利子負担額は,各々粗利益の 89.2%・86.5%に当た
る1
2億 4,
0
0
0万ルビーと 1
2億 5,
4
0
0万であった(第 2-7- 1表 [
W
経営と経済』第 7
2巻
l号 J
)。
なお,ここで,中央政府企業に対する投資の原資構成の変遷と利子負担の推移につ
いて簡単に見ておきたい。 1
9
7
0年から 1
9
9
0年までの中央政府企業に対する投資の原資
構成の変遷を示す表 6-Aから明らかなように,普通株式の出資比率については中央
政府は 100%
近くを占め続けている。ところが,貸付については, 1
9
7
0
年には 8割超を
インド公企業における収益性と社会経済的目的,
)
低価格政策および経営上の諸問題(4
1
3
9
占めていた中央政府は,その後一貫してその比重を急速に低下させている。とりわけ
8
0年代,ことにその後半における比重の低下は著しく, 1
9
9
0年には中央政府の占める
割合は 4割超にまで下落している(諸状況から同表におけるインドの金融機関による
貸付はほとんど政府系のそれであると推察されるが,これを加えても中央政府の占め
る割合は 5割に満たない。)中央政府に替り,インド民間企業(主として大財閥系であ
ると推察される)を中心とする貸付や外国民間企業(主として多国籍企業であると推
察される)を中心とする貸付の割合が増加している。前者は, 1
9
7
0年の 2.0%から 9
0年
9
8
0年代には 8
0年の 12.4%から 9
0
の27.2%へと急速な増加傾向を示しており,とくに 1
年の 27.2%へと 15%近く上昇している。後者は, 1
9
7
0年の 16.4%から 8
0年の 11
.0%へ
0年代は減少傾向を示しているが, 8
0年代は 8
5年の 18.3%,さらに 9
0年の 23.5%へ
と7
と急速な増加傾向に転じている。以上の動きは,とくに 1
9
8
0年代以後目立つようにな
った「経済自由化」の流れや財政危機を反映したものと推察される。以上のように中
央政府企業の内外民間金融への依存が深まるなかで,第 2- 7- 1表/第 2- 7- 2
表から明らかなように, 1
9
7
0年代終り頃から利子負担が増大している。利子の対使用
資本比率を見てみると, 1974-75年度まで 3 %台であったがその後上昇し, 77-78年
度には 6 %台へ,さらに 80-81年度には 7 %台に達した。ただし, 86-87年度以後は
やや下降し 6 %台に止まっている。
また,中央政府企業の内外民間金融への依存の深化と,他方で政府系産業金融機関
が大財閥系企業を中心とする民間企業へ大量の貸付を行なうとともに,それらの株式
.K
.
を大量に保有していることを考え併せると,きわめて興味深い。次を参照。 S
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Group,IIPA; 立山「インドの政府系産業金融機関と大財閥的J~経営と経済』第 60 巻
3号(19
8
0年同「インドの公私共同部門」都野尚典・平尾勇編『現代アジア経済
9
8
5年
。
の発展と動向』税務経理協会, 1
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.,p.437.なお, (
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)の括弧内は,論旨が明確になるように筆者が古加え
た
。
制
1
9
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8年の RBI による『インド産業におけ外国企業提携 (
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FC) 調査報告苫』は,政府会社の外国企業との FCを次のように特徴づけている。「政
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) は,民間部門のそれらより広範
府会社の企業提携協定 (
1
4
0
経営と経済
(単位:1000万ルビー)
表 6 - A 中央政府企業における投資の原資構成の推移
1970
年 3月 末
普通株式
中
政
央
チ
│
、
│
政
貸
付
普通株式
計
3,
8
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1
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8
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貸
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1980年 3月 末
普通株式
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払
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6
3
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3
.
.
5
5
3
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(
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.
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3
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9
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5
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.
.
3
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2
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2
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)
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6
2
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3
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)
4,
中
央
政
政
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│
府
府
民間参加(インド)
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4
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.
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1
0
0
.
0
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(
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7
8
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.
.
8
1
)
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9
3
9
.
.
6
2
9
)
9,
(
4
7
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.
0
9
) 1
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2
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1
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0
1
0
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.
0
(
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.
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) 3
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0
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5
)
1
3,4
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(
8
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2
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7
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0
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.
1
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0
.
0
1990年 3月 末
普通株式
中
州
、
│
央
政
政
府
府
外信国用参を加含およむび貸延付
払
金融機関(インド)
民間参加(インド)
計
貸
付
計
38,
6
(
3
4
.
2
5
) 2
3,
2
(
1
9
.
5
7
6
)
4,
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(
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0
5
.
.
3
7
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1 6
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3
.
9
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.
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1
3
2
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1
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.
2
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) 1
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.
.
2
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) 1
0
.
4
1
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)
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.
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.
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3
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(
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1
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) 6
(
3
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3
)
1
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1
7
) 99,
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1
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.
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.
0
〔出所J1970:Bureauo
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.Departmento
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,pp.164-169.
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t1969-70
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t1974-75. pp.14-21
1980:Bureau o
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. Ministry o
f Finance.P
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1980-81,voll• p
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y1985-86
,vo11• p.
12
8
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1985:P
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y1989-90
,vo11• p.
10
0
.
1990:P
インド公企業における収益性と社会経済的目的,
低価格政策および経営上の諸問題(4
)
1
4
1
なものであった。技術援助供与を別としても,外国の当事者が設備供給・プラント建
設・信用供与を請負う点においては,これらは,一般的には産業(提携)兼技術提携
協定(in
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) であった。一-RBI,
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9
6
8,p
.9
8
J。同報告書が取
上げている外国企業と中央政府会社との FC協定 7
0について見てみると,制限条項を
有する協定総数は 3
8(
5
4
.
3
%
) あり,制限条項総数4
7のうち, ["原材料およびプラント
・機械の供給源にかんする条項」は 5(
10
.1%)であった。一昂i
d
.,p
.9
2/p
p
.97-98.
年の WFC調査報告書』が取上げている外国企業と政府会社との FC協定9
3につい
1
9
8
5
8(
6
2
.
4
%
) あり,制限条項総数 1
1
3のう
て見てみると,制限条項を有する協定総数は 5
ち,先の「原材料……供給源にかんする条項」はわずかに 1でしかなかった。
-RBI,
F
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9
8
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.
1
5
5
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p
p
.1
6
6
1
6
8
.したがって,政府会社の外国企業との企業提携において原材料等々の供
給源にかんする制限条項は減少傾向にあると言えよう。しかし,インド側パートナー
が中央政府企業であることによる政治的配慮に基づく紳士協定の存在等々の問題を考
慮する必要があろう。この点は, 6
8年の報告書についても同様である。
制
1
9
6
6
1
9
7
5年の在庫品総額や在庫日数等にかんする数値については,次を参照(た
だし,第 6-7表と重複する年次については,同表の数値とかなりのずれがある)。
AnnualR
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p
o
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nWICUCG1974-75
,p
.9
6
.
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.4
.7
)
.
制 昂i
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.,p
p
.30-41/p
.4
9
.各項目に該当する会社の詳細なリストが同委員会報告書に
掲載されている (
I
b
i
d
.,p
p
. 30-41)。リスト全体を見ると,各項目毎の問題点が会社
全体に及んでいる場合は少なく,一部の工場や部門に問題がある場合がほとんどであ
る。なお,ナラインも,各社の会計監査役による会計検査院院長への報告書に拠りな
がら,本文中の各項目の問題点を取上げ,会社数や例示会社名を明らかにしている。
時期は明示されていないが,状況から見て 1
974-75年度にかんするものと推察される。
1
9社をかなり下回る
また,対象会社総数も明らかではないが,状況から見て本文中の 1
ものと推察される。ここでとくに注目されるのは, ["如何なる形態での原価計算制度を
も持っていなかった」会社 (
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)が存在することである。
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6
6
3
6
7
.
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) CPU(
1979
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),2
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,p
.4
9
(
p
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. 4.7).なお, 1
9
7
5
7
6
1
9
7
7
-78の 3年度にかんする販売原価の販売額に対する割合の各社のリストが,同委員会
1
4
2
経営と経済
報告書に掲載されている(昂i
d
.,pp.42-48)。
制 E
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985-86,p
p
.1
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1
1
0
. K.デプは, 1
9
8
7
年の
著書で,公企業に対する政府統制の有効なシステム化を強調しているのだが,
r
高級官
僚や大臣はしばしば公企業を自らの帝国と考えており,最高経営責任者が成果を上げ
るために必要とされる行動の自由を享受することはめったになかった」と述べている。
また,彼は,最高経営責任者のしばしばの交替や重要問題における政府の意思決定の
遅れが公企業へ損害をもたらしたこと,さらに公企業のトップ・マネジメントにいつ
5-16の空席があったこと等々を指摘している。一一 Deb,o
p
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p
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7
7(
p
p
.321-3
2
3
)
. なお,これらの報告書に加
え,企業は,公企業局の年次報告書や全国標本調査に包含されるよう,その送付す
る書式に記入する。また,その時々に特別の情報も収集された。 -Ibid., p
.3
2
3
(
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).
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.3
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.一方,彼は,これに続けて公企業と政府間における「インフ
ォーマルな相互作用」の重要性について次のように述べている。「企業の最高経営責任
者は,自治について硬直的な考え方を持つべきではない。……多くのインフォーマル
な相互作用は,常に公企業一政府関係の一部を構成するであろう,したがって制度
の一部として受容れられねばならない。これは,その過程で,個々人のパーソナリテ
d
.,p
.3
2
0
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9
3
.
例
ちなみに, 1
9
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年1
0月に発足した第 2次の PESBのメンバーは次のとうりである。
制
議長は前公企業局局長 A
.N
.パナージーであり,その他のメンパーは,外国貿易省大
.P
.ソウニー
臣 S.M.アガlレワル,鉄道庁理事 V
H
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M.L.ヅツシおよび公企業局局長であった (
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.,p
.3
9
4
)
.
~9)
以上は次に拠る。昂i
d
.,p
.3
9
4
. PESBについては次も参照。 PES
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.2
3
2;0,P,Minocha,R
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インド公企業における収益性と社会経済的目的,
低価格政策および経営上の諸問題(4
)
1
4
3
An
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No2,Apr~June 1
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p
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9
9
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0
0
.銀行業における BankingS
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B
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d
sについては次を参照。 N
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p
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3
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.
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7
.
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PES
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y1978-79
,p
.2
3
3
.
伺昂似, p
.
2
3
3
.
制
以上については,小池賢治氏の次の論稿が大変参考になった。「インドの公企業一一
その現状と問題点」同編『アジアの公企業一一官営ビッグ・ビジネスのパフォーマン
9
8
2年
, 240-246
頁。小池氏はトップ・マネジメントにかん
ス』アジア経済研究所, 1
する出向・天下り人事および「渡鳥官僚」について次のように指摘している。「トップ
・マネジメントの人的構成にかかわる重要な問題の一つに監督官庁からの出向・天下
り人事の問題がある。第 2次 5ヵ年計画期からの公企業の数の急激な増大はトップの
適材に不足するところとなりシピル・サーヴアントを中心とする高級官僚がこれら公
企業の要職を出向または天下りという形で,この空隙をうめる結果となった。こうし
た経緯から今日でも相当数のポストが出向・天下りで占められており, 2年前後の短
い期間,省庁からつぎつぎと派遣されては退出してゆくという状況がインドでもっと
4
4頁J
も大きな問題となっているわけである。ー一向上書, 2
r
当局は,本表〔向上
書の表 6-8Jから公企業内部での自給率が上昇傾向にあり,官庁からの出向・天下
りは減少しつつある,との評価を下している。しかし公企業からの出身者と L、う場合,
公企業の生え抜きに加えて相当の数の渡り鳥官僚が含まれていることである。渡り鳥
のウェートが明示されない限りこうした評価はご都合主義といわれでもやむを得ない
であろう。一一向上書, 245~246頁」。
同 第 6-9表と同時期を対象とする平取締役をも含めた取締役全体の出身別構成にか
んする資料は入手していないが, 1960-61年度については若干の資料がある。これに
よると, 1
4
0政府会社の取締役 6
6
5名のうち民間人取締役は 2
8
0名に達しており,彼らは
兼務も含め 3
1
1の取締役職に就いており, 2
4社では民間人取締役が優勢であった (
R
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. Nigam,Government-OwnedCompanies-
m(TrendsinManagenmentPat-
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9
6
2,p
.2
7)。以上の数値は第 6-9表と同じレベルの
1
4
4
経営と経済
ものではないのではっきりしたことは言えないが,公企業部門内での取締役やトップ
.マネジメントの自給率の上昇に伴ない政府行政部門以上の速度で民間人の取締役や
960-61年度の状
トップ・マネジメントが減少していったものと推察される。なお, 1
況については次も参照。立山「独立より 1
9
6
0年代半ばまでのインドにおける公企業と
経営と経済』第 7
0
巻 1号(19
9
0
年 6月
)
。
民間企業および外国民間資本・援助 Jr
制
L
. ケイは, 1
9
8
8
年 1月の論稿で,既にコンセンサスの得られている公共部門の非効
率の原因のーっとして,
r
営利企業
(
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s
) にはふさわしくない
用心深かすぎる官僚主義的経営スタイル」を挙げている。その他の原因としては,次
r
企業上の
r
人員過剰 J r
労働上の規律不足」。
の 4点を挙げている。「公共部門の日常的業務への政治的介入 J
(
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) 優先度と社会的優先度の混乱
一一Li
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.5
6
.ところで,前出の
ミノチャは,民間企業に比しての公企業の規模の巨大性を理由として,
r
…民間会社の
取締役の多くがこのような巨大企業の新たな諸問題に応じることができるか疑問であ
る。〔段落〕このことがわれわれを,公企業におけるトップの経営者の職への補強源と
Minocha,o
p
.
しての「民間部門」は専門的にも質的にも弱体であるとの結論に導く (
c
i
t
.,p
.3
9
4
)J と述べており,民間部門出身の経営者に期待していないが,疑問を感ず
る
。
これまで,公企業における低収益や経営の非効率の要因について述べてきた。L.ケ
イは「強力な利害集団が可能な限り公共部門を搾っている」として以下のように述べ
ている。ここでは以上で言及してきた低収益や経営の非効率の要因以外のものも含ま
れている。「トップの民間産業家は,自由市場という美辞麗句にもかかわらず,公共部
門の建設・保守・供給契約に基づき,依然として楽な取引を享受している。公共部門
r
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の仕事を契約させ配分することは,政治家にほとんど無限の取引の蓄積源 (
o
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)を提供する。民間疾病会社の固有化は,斜陽産業の閉鎖と労働者の解雇
に対する,近視眼的ではあるが安易な代案となる。さらに,公共部門における政党支
部的な労組は甘やかされているに違いない。なぜならば,彼らは票の貯蔵所や衝撃的
な政治キャンペーン隊となるから。一一 Kaye,o
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6
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制次を参照。 M.S
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House(N. D
.
), 1
9
7
7,pp.234-236. 公共部門の民主化については次も参照。
インド公企業における収益性と社会経済的目的,
低価格政策および経営上の諸問題(4
)
1
4
5
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p
.4
2
3
4
3
5
. 労働者の経営参加との関連では,労働組合を
中心とする労働者側が経営の効率化に大きく貢献した例が少なくないことが注目され
る(Kr
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12
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9
9
0
.
むすび
以上では,まず,公企業の「模範的雇用者」としての側面および「疾病企
業」接収型公企業を中心に,公企業の社会経済的目的の遂行が赤字・低収益
の大きな原因のーっとなっていることを見てきた。一般的には,公企業の社
会経済的目的に基因する赤字・低収益には社会的正当性があると考えられ
る。しかし,財政状態が悪く,公共部門のあり方のみならず存続そのものが
問題とされる状況の下では,社会経済的目的の設定と遂行に当って,個々の
公企業および公企業部門全体について,全国民的視点からの明確な基準と政
策が必要とされよう。たとえば,前述のように,インド公企業は「模範的雇
用者」として住宅・保健サービス・教育・買物・リクリエーションなどのた
めの不可欠な社会的施設を建設・運営するために多大な支出を行なっている
が,これらの大部分は,本来,行政が担うべきである。責任体制を明確にし,
これらの業務を中央・州政府・地方自治体に移管するのが望ましい。
I
疾病
9
9
0
企業」の固有化・接収も無制限に行なうべきではない。これについては, 1
年 4月 1
6日,産業相 A. シンが下院で「疾病企業」の固有化もしくは接収の
不許可の方針を明らかにし,その後 1
9
9
1年 1
2月2
0日
, N. ラオ首相が議会で
の声明で, I
疾病または潜在的疾病公企業」への予算支援削減, I
疾病J処理
に伴なう従業員の苦難の回避とともに,固有化の回避を指摘している。接収
9
8
0年代後半, 4
5
"
'
4
6でほとんど増
「疾病企業」数は,前述のように,既に 1
1
4
6
経営と経済
えていない(第 4節『経営と経済』第7
2巻 l号
)
。
第 2に,公企業製品・サービスの価格の大部分が政府の管理下にあり,そ
の水準が長期にわたり低位に設定されてきたことを見てきた。このような低
価格政策は,公企業の赤字・低収益の大きな原因の一つであり,できる限り
是正すべきである。公企業の社会経済的目的による低価格政策に基因する赤
字・低収益にも社会的正当性があると考えられるが,この場合についても前
9
8
0年代に入り,低価格政策改善
述のような視点が必要とされよう。また, 1
の傾向が窺えることも明らかとなった。第 3に,コストの増大につながる経
営の非効率をもたらす,公企業における生産・労務面,その他の管理面の諸
問題とともに,
トップ・マネジメントの人事の問題を中心として公企業自治
の問題を取上げてきた。これらは,赤字・低収益の大きな原因の一つである。
当然,個々の問題点の改善が必要であるが,公企業自治の確保は,その他の
諸問題の改善と深く結びついており,とくに重要であると考えられる。さら
に,公企業経営の効率化のためには,公企業自治の確保をも含め公共部門の
民主化という観点が必要となろう。
9
9
1年 7月の新産業政策声明で謡われている「覚書き
前述のように, 1
(Memorandumo
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g- MOU)制度」と「公企業の行動にさら
なる「市場規律」を与える」とされる公企業普通株式の一部の民間部門への
放出(売却)は
(
1はじめに JW
経営と経済』第7
2巻 l号),公企業経営の「合
理化」と公企業自治の拡大を目指したものであり,各々インド政府の「公企
業改革」の柱の一つである。(なお, 1
民営化」概念はきわめて多様であるが,
株式の民間への放出はその一種で、ある)。これらの一端を取り上げるが,そ
の前に,現在のインド政府の「公企業改革」全体の枠組について簡単に見て
おきたい。インド大蔵省の『経済白書(1 992-93年度版)~は,
1
公共部門改
革のための戦略の主な要素」として次の 5点を指摘している。(i) 1
経営
者自治 (
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g
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i
a
lautonmy)の強化J
領域における民間部門による競争の促進 J
(
i
i
)1
社会的考慮が最も重要な
(
i
i
i
)1
厳しい予算上の制約か
インド公企業における収益性と社会経済的目的,
低価格政策および経営上の諸問題(4
)
1
4
7
らの,公企業に対する予算支援の削減および、政府株式への十分な収益を確保
するための配当支払いの増強 J
C
i
v) r
非インフレ的資金を動員し,公共
部門に対する公共・民間部門の参加を拡大してより大きな責任感を持たせる
ための,選ばれた企業における普通株式の部分的売却 J
(v) r
存続不能
企業の再構築または閉鎖,および労働者の利益を守るための安全網の創出
」。このように,インドの「公企業改革」は広範な分野に及んでおり,そ
の個々の側面を取上げる場合も,全体とのバランスを踏えておく必要がある
。さらに言えば,
r
公企業改革」の考察も,マクロ的な経済運営の把握を前
提としなければならない。また,以上の「公企業改革」の諸要素については,
とくに資金面に対する厳しい姿勢が注目される。
「毎年 MOU を通じて公企業を調べる現存の制度を強化することは,現
在の改革の一つの重要な要素である」と把える『経済白書(1992-93年 H
によりながら, MOU制度導入の経緯やその目的・意義について簡単に見て
おきたい。 MOU制度は,前出のアルジュン・セングプタ委員会の勧告に基
づき 1988-89年度に導入された。 )MOUは,政府と公企業経営者との聞の有
効な仲介装置であり,後者に対し運営上の自治を保証するとともに,結果的
には相応の責任を持たせる。 MOUは,政府による頻繁な介入を排除するた
めのものである。 MOUは,公企業の使命,目的や年次目標を詳細に説明す
る。各々の目標は,優先度に応じてウェイトが与えられる。目標達成度は 5
段階評価に基づいている。さらに, MOUは,漸進的な財務的・物的・質的
業務改善のために,双方に一定の義務を課す。 1
9
8
8年,評価の際の公平性を
付与するため,内閣官房長官を委員長とする権限の大きな委員会が設置され
た。また,公企業局による年度初めにおける MOU の審査と年度末におけ
る MOU の評価を助けるために,適切な経験を有す専門家より構成される
特別専門委員会が設置された。その MOU に対する評価は上記の強力な委
員会に提出される。
MOUの実施状況について簡単に見ておきたい。所管の省/部局と MOU
1
4
8
経営と経済
1
9
8
8
8
9年度 1
1→ 89-90年 度 1
8→ 90-91年度 2
3→ 9
1
に契約した公企業数は,
1→ 92-93年 度 1
2
0と
, 9
0年代に入り急速に増加している。また,
-92年度 7
実績評価による各ランクの企業数は次のとうりである。
1
9
8
9
9
0年度…優秀
9,大変良好 3,良好 5 (
1企業のランクは不明) ;1
9
9
0
9
1年度…優秀 1
4,
大変良好 8,不良
l
;
)このように, 1
9
8
0年代末から 9
0年代初にかけて MOU
を実施した公企業は,比較的優良な企業である。その後,優良でない公企業
の
MOU実施例が増加しているものと考えられ, MOU制度の総体的な評価
は,これらの実績に基づいて行うべきである。
最後に,公企業株式の民間への売却について取上げる。まず, w
経済白書
92-93年度)Jlに依拠して,
(
19
要を見ておきたい。
1
9
9
1
9
2年度と 92-93年度におけるその概
1
9
9
1年 1
2月と 9
2年 2月
, 3
1公企業の普通株式が各々 5
'
"
'
'
20%売却された。 3
1社の内訳は,各々,額面 1
0ルビー株式の純資産価値が 5
0
ルビー超の優良会社 8社,同 2
0
'
"
'
'
5
0ルビーの 1
2社,同 2
0ルビー未満の 1
1社で
あった。株式は
9社を一括して「任意に構成された証券」として,選ばれ
た金融機関とミュー・チュアル・ファンド(基金型の投資信託)へ売却され
た。最低競売価格は,純資産価値と収益力価値との平均に設定された。
月には,普通株式の 4
.7%に当る
却された。
9
1年 1
2
5億 1
,
6
2
0万株が l株平均 2
7
.
6
5ルビーで売
9
2年 2月には,普通株式の 3.3%に当る 3億5
,
5
9
0万株が 1株平均
4
5
.
2
5ルビーで売却された。結局, 1
9
9
1
9
2年度,売却された株式数は 3
1公
企業の政府所有株式の
8%に当る 8億 7,2
1
0万 株 で あ り , 売 却 額 は 3
0
3億
8
,
0
0
0万ルビーであった。
1
9
9
2年 1
0月
8公企業の普通株式が各々 5'
"
'
'
0
.
5
%売却された。最低競売
価格はマーチャント・バンカー 3社の勧告価格の平均に設定された。政府所
有普通株式の1.6%
に当る
l億2
,
8
7
0万株が l株平均 5
3
.
0ルビーで売却され,
売却額は 6
8億1, 9
5
0万ルビーであった。同年 1
2月,政府が設定した最低競争
価格に基づき,
1
2公企業の株式が各々 5'
"
'
'
0
.
0
6
%売却された口政府所有普通
.4%に当たる
株式の 3
3億 1
,
0
6
0万株が l株平均3
8
.
1ルビーで売却され,売却
インド公企業における収益性と社会経済的目的,
低価格政策および経営上の諸問題(4
)
1
4
9
額は 1
1
8億4,
0
0
0
万ルピーであった。この他 2公企業も株式を売却する予定で
あったが,入札価格が最低競売価格に達せず,売却は実現しなかった。 1
9
9
1
-92年度は,一般の人々への株式売却は望ましいとは考えられず,ミューチ
992-93
年度に
ュアル・ファンドや諸機関のみへ接近が図られた。しかし, 1
は,それまで公共部門株式が市場にある程度曝され,人々がそれらの価値を
評価するのにより良い環境に置かれるようになったという理由で,株式はー
括売却はされず,入札は一般の人々やその他の機関にも許可された。
9
9
2年 7月2
6日付『ビープルズ・デモクラシー』紙に掲載された
つぎに, 1
「公共部門の実績にかんする神話と現実一公共部門は人民の財産である」
と題する記事の一部を簡単に取上げる。同記事は,中央政府の公企業政策に
かんする中央公企業役員協会全国連合による全国会議員への公開書簡のフル
・テキストである。同書簡は,インド政府の公企業政策について, I
インド
政府は,
IMF.世銀のコンディショナリティの下で,従業員の経営参加お
よび大なる自治の付与というような措置を通じて公共部門を改善するのでは
なく,公共部門の株式売却と非工業化の政策に乗出した」との認識を示して
いるのだが, 1
991-92年度における公企業株式の売却について,いくつかの
データを挙げながら「途方もない安値で J行なわれたとして,次のように述
べている。「株式売却企業が報告した純利益と株式売却の規模を基とし,現
5を前提とすれば,収入額は, 6
1
7億6
0万ルビーと算定され
在の株価収益比率 2
るであろう。しかしながら,これらの企業の独占的性格,事業の性質や積立
0
0とするのが妥当であり,
金・資産の大きさを考慮すれば,株価収益比率を 1
,
4
6
8億 2
4
0万ルビーとなるであろう。実際に
この比率を基にすると収入額は 2
0ルビー株式の高値が 2
5
0ルピーであったことと,それが現在
は
, SAILの 1
1
1
4ルビーで取引されていることを考慮すれば,株価収益比率 1
0
0でも大変控
え目である。これから,より高い相場の株式価格を基にすれば株価収益比率
0
0の高さに達し,時価ではそれは約 2
5
0となることが,明らかである。し
は4
たがって,株式売却は,総体的に途方もない安値で行われたのである」。
1
5
0
経営と経済
確かに,実際の売却額 3
0
3億ルビーとこの書簡で試算されている収入額と
の間には,きわめて大きな聞きがある。インド政府が,一方で公企業に対し
て予算支援の削減を打出すとともに内部資金の創出を求めながら,他方で「途
方もない安値」で公企業株式を売却したとすれば,まったく不可解である。
これは,民間資本や富裕層への不当な優遇にほかならない。同書簡は次のよ
うに述べている。「一方で,公共部門が留保利潤によって積立金の増強を要
請されているのに,他方で,公共部門の非常に限られた普通株式が市場価格
以下で売却されており,事実上新規所有者に資産と積立金を無料で贈与する
こととなっているのは,奇妙である」。
インド政府が公企業株式の売却代金をどのように使用したのか定かではな
いが,ある論者は, I
株式売却政策の全般的な目的」は「インド公共部門の変
革と結びついている」次の 3種類の費用のための資金を公共部門内から調達
B
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することであると,指摘している。(i)産業・金融再建庁 (
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g
) が最終的に「疾病状態にある」と宣言した企
業の閉鎖に係る費用(主として任意退職計画に関連する費用) ;(
i
i
)I
慢性的
疾病状態にあるがなお回復の見込みがある企業」の再構築のための費用;(
i
i
i
)
閉鎖や「規模縮小を伴なう内部的再構築」の結果として,解任されるか影響
を受ける労動者の再訓練のための費用。これらの売却代金は, I
疾病公企業
992-93
の改革」に充当されるということである。しかし,別の論者達は, 1
年度,政府は財政赤字を削減するために売却代金の 6割を使用するであろう
と述べている。前述のように, 1
9
9
1年の産業政策声明は公企業株式の民間へ
の売却目的が「公企業の行動にさらなる市場規律を与える」ことにあると述
べているが,この点についてはどのようになっているのであろうか。先の論
者も, I
公企業の責任に対して何らかのインパクトを与えるはずである。い
ったん公企業株式が株式市場に上場されれば,これらの企業は,ますますビ
ジネス的視点からの監視に曝されるごとになろう」と述べているが,実態は
明らかではない。この点については,今しばらく時間を要するであろう。
インド公企業における収益性と社会経済的目的,
)
低価格政策および経営上の諸問題(4
1
5
1
〔
注
〕
(
1
) ここでは財政問題には立入らないが,インドの課税体系については第 4節で簡単に
2
4
) [~経営と経済』第 72巻 3 号 J) 。次を参照。絵所秀紀「経済
触れた(第 4節〔注 J(
政策と経済規制一工業化の政策的・政度的枠組み j 伊藤正二編著『インドの工業化
9
8
8年
。
一一岐路に立つハイコスト経済』アジア経済研究所, 1
(
2
)
r
改革・開放」下の中国においても,近年, r
中国の工場は(なにもかもそろってい
る)荘園のような存在」と指摘されている固有企業の赤字体質が問題とされ,改革が
行なわれつつある。たとえば次を参照。「中国の赤字国有企業全体の 4割に迫る J~日
本経済新聞~
1
9
9
4年 1月 7日
r
r大鍋飯J揺らぐ中国一企業改革で余剰人員整理」
『日本経済新聞~ 1
9
9
4年 1月 2
4日。後者の記事は表題から明らかなようにとくに「余
剰人員整理」を対象としているが,先に簡単に触れたように(第 3節『経営と経済』
2巻 l号),インド公企業においても同様の問題が存在し,
第7
r
早期退職計画」等が実
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,
施されつつある。次を参照。 C
K
i
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a
bMahaICNewDelhi
),1
9
9
0,C
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p
t
e
rX.公企業部門全体において「余剰人員整理」
を行なうためには,再雇用促進のための制度的措置や社会保障制度の確立が必要であ
ることは言うまでもない。
(
3
) Nomoren
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はじめ
にJ[
注 J(
16
) (~経営と経済』第 72 巻 l 号)では同方針が明らかにされた日付を 4 月
6日としているが,これは筆者のミスである。
(
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1992-93
,p
.1
4
5
. また,第 3節〔注 J(
12
) (~経営と経済』第 72巻
1 号)参照。
(
5
) 以上では国内における相対的な価格水準を問題としてきたが,前述のように(第 5
節〔注 J(
57
) ~経営と経済』第 72 巻 4 号) ,インドの資本集約的製品の価格は,国際価
格に比して著しくなってきている。輸入政策の改善,税政の歪みの是正,公正な競争
の促進による生産不足の解消と経営効率の引上げ等々を通じて資本集約的産業のハイ
コストを改めなければ,インド公企業の抜本的改革は望めない。
(
6
)
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民営化
(
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)J概念の多様性と各国における「民営化」の問題点につい
ては次を参照。テオ・ティーマイヤー,ガイ・クォーデン編『民営化の世界的潮流』
尾上久雄・虞岡治哉・新田俊三編訳,御茶の水書房, 1
9
8
7
年;儀我壮一郎「現代公企
業の新局面 J~立教経済学研究』第 43 巻 2 号(1 989 年 10 月 )0
r
インドの民営化政策
(
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) の最も不明瞭な面は,一致したその名称がないことである」と
. トリヴェディは,インドでこれまで「民営化政策」という用語が使用され
指摘する P
i
)r
r民営化」という用語は広範な舞台
なかった理由として,次の 3点を挙げている。 (
1
5
2
経営と経済
を被っている J ;
(
i
i
)
民営化という用語の「最も共通の合意」は, [""公共資産の売却」で
あるが,これは, [""インド政府の暗黙の民営化計画」の最も重要な位置を占めていなか
った。「少なくとも,政府は,公企業政策の土台として公共資産の売却を重要視してい
るとの印象を創り出したくなかった J ;
(
i
i
i
) [""民営化は,イデオロギー的意味合いが強
o [""インドでは,如何
い言葉であり,我が国のような貧しい国ではまずい言葉である J
なる民営化も,比較的豊かな社会層においてのみ新所有者を創出しそうである。貧し
い人々の大多数は,すべての資産所有移転を懐疑的に見そうである」。さらに,彼は,
政府は以上の 3つの理由からこの用語の使用をためらったようであるが,このことが
i
)これは政府の批判者を武装解除さ
次の 2つの結果をもたらしたと,指摘している。 (
せ,政府は,静かに株式売却や一般的には民営化の範時に属するその他の諸政策を推
し進めた;(
i
i
)この言葉の意味と範囲にかんする合意の欠如によって,いく人かのトッ
プの政策策定者は,この主題について相矛盾する声明を出した。ついで,彼は,一方
で彼らの L、く人かはインドが民営化の準備をしているかそれを推進しつつあると言い,
他方で政府の他の人達は民営化という言葉を注意深く避けていたと,述べており,そ
の理由のーっとして次のように指摘している。「…国際的な援助供与者や投資家は「民
r
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)
J
営化」という言葉を聞きたかった。現下の国際環境では,公共部門の「改革 (
について語ることは現状維持の再確認と見なされる。したがって,圧力の下で国際社
会を懐柔し,追加投資を誘引しなければならないそれらの政策策定者は, [""民営化」と
いう言葉を,真剣な政策戸明というよりマーケティング・トウールとして使用する傾
o向がある J
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3,M-71.以上から,インドにおける「民営化」と
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いう用語が持つ対内的,対外的意味が一定程度明らかとなった。
(
7
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4
8
.
(
8
) 同白書によれば公企業の計画投資に占める予算支援の割合は, 1
991-92年度の 2
3
.
5
%(修正見積り)から 92-93
年度の 18.6% (予算見積り)まで減少している。同白書
は,この点についてさらに次のように述べている。「この傾向は,来年度以後,公企業
の再構築の結果として強まり,内部資金創出の増大やより大きな予算外資金の動員を
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.1
4
8
J。
もたらすかもしれない。 一一 I
(
9
) 同白書によりながら, (
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)に係って重要な位置を占める「疾病公企業」の産業・金融
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g- BIFR)への委託および
再建庁 (
国家再建基金 (
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lRenewalFund- NRF)について簡単に見ておこう。 1991-
9
9
1年 1
2月
, 1
9
8
5年疾病産業会社(特別条
9
2年度の連邦予算案提出時の声明に従い, 1
項)法が修正され,慢性的な「疾病公企業」を合理化するために BIFR に委託できる
インド公企業における収益性と社会経済的目的,
)
低価格政策および経営上の諸問題(4
1
5
3
ようになった。同法の下での疾病条件,すなわち設立 7年;純資産の目減り; 2年間
W
経営と経済』第 7
2巻 1号〕参照)を満す公共部門の
の現金損失(第 3節〔注 J(8) [
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)を BIFRに委託する。 9
2
年1
2月末現在で,公共部門の 9
1
指定産業 (
会社が BIFR に委託された。 9件は登録の段階で却下され, 1
1件は同庁の精査の下に
1件が有効登録された。登録会社のうち, 3
8社は中央政府所属, 3
3社は州
あり,残り 7
政府所属であった。 NRFは,労働者の再訓練・再配置計画へ資金を供給し,解任され
991-92
た労働者を補償する。「疾病企業」は,この基金の最初の利用者に含まれよう。 1
年度の中央政府予算では NRFのため 2
0億ルビーが準備されたが,これは, 92-93
年度
0
0億ルビーまでの公企業株式売却によって補われよう。また,国際開発協会
における 1
(
第 2世銀)からの資金配分により 92-93
年度には 5
0億ルビーの, 93-94年度にも同
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.1
51
.I
疾病公企業」の再構
程度の, NRFへの追加資金が確保された。 一一 I
築に伴う労働者の再訓練・再配置のために,中央政府予算に加え公企業株式の売却代
金と第 2世銀よりの国際的な資金が利用されるという点はきわめて興味深い。
(
1
0
) たとえば,インドの「民営化」政策をいくつかの要素から構成されていると考える
公企業改革」についてではないが, I
民営化」政策について
前出のトリヴェディは, I
次のように述べている。「ほとんどの著作者は,この政策の一面を取上げ,それを拡大
鏡を通して調べる。不幸なことに,この種の精査は,大きな像を無視しているので,
そんなに有用ではない。個々の諸改策の有効性を分析する場合,諸政策聞の連関が非
株式売却」政策, IMOUJや「疾病公共部門企業の再構
常に重要である。たとえば, I
築」政策が如何に大きな象の一部を形成しているかを知ることなくしては,それらの
」
。 一一 T
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.
政策のメリットを十分に論ずることはできな L、
年度版 H は
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.ラオ政権以前の政府による公企業部門
(
1
1
) 前出の『経済白古(1992-93
の「機構上の改善」への取組みにも触れながら,マクロ的な経済運営の問題と「公企
業改革」について次のように述べている。「過去の政府は,専門委員会の勧告に基づい
て,持株会社の設立, MOU制度の確立や疾病企業の BIFRへの委託のような機構上の
改善に着手した。これらは何らかの改善をもたらしはしたが,公共部門企業の運営を
現在の政府が開始した全般的な構造改革とマクロ経済的安定化計画に調和させるため,
公企業の包括的改草が必要だと考えられた。使用資本資源の生産性を引上げ、公共部
門企業の損失を削減して年々の予算における財政赤字の規模を縮小する必要性により,
公共部門改革が望まれる点が強調されてきた。一-E
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4
8
J。
. ラオ政権下のマクロ的な「経済改革」や「公企
なお,ここでは取上げていないが, N
業改革」は, IMF・世銀による対印圧力の下で取組まれてきていることも忘れてはな
らない。
1
5
4
経営と経済
功
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9
.
1
(3
) A
.セングプタ委員会の勧告では, r
中核部門」における MOU制度は,持株会社と
一体の相互補完的なものとして扱われている。 - R
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.X (Mainstream
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1
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6
). しかし,これまで,同委員会の勧告に沿う形での持株会社の設立は,実現して
いない。次を参照。 S
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9
91.政府と公企業との契約方式についてはフランスのそれがよく知られているが,
A
.セングプタ委員会の勧告による MOU制度のモデルは韓国の経験であると言われて
いる。次を参照。藤本光夫『ミッテラン政権と公企業改革』同文館, 1
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8
8
年,第 5章;
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(4
)
r公企業白書(1 989-90年度)~は,
MOU制度の目的・意義について次のように述
べている。 rMOUは公企業の政府主の関係を明確に規定し,公企業と政府の各々の役
割を明らかにして,より秀れた実績を達成するための道具である。また, MOU は
,
責任と自治とのバランスを適切にするための試みである。その力点は,日常の業務に
関与することよりも,交渉の上同意された目的の達成に置かれている。-D
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3年度の利益関連基準のウェイトは,最低限 50%引上げられており (
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営利性」重視の姿勢が強化されてきている。
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年度における各ランクごとの MOU実施の公企業リストは次のと
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。著名公企業がずらりと並んでいる。
インド公企業における収益性と社会経済的目的,
)
低価格政策および経営上の諸問題(4
1
5
5
肋 MOU実施公企業にかんする使命・目的や基準等々の設定の実態については,次を
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参照。 B
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,また, MOUにおける公企業の実績にかんする評価基準の設定や実
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績の評価については次を参照。 P
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.149~15 1. 1992-93
年度に株式を売却した公企業のリ
ストは次のとうりである。 S
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. 150~ 1
51.やはり著名公企業が並んでいる。途上国における公企業株式
の売却や「民営化」にかんする文献は枚挙にいとまがないが,たとえば次を参照。
El
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の論稿で,公企業株式売却の必要性を認めながらも, 1991-92
年度の株式売却につい
て,政府の決定が性急過ぎて,安売りされるとともに,株式売却計画のその他の目的
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