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不登校児童生徒への適切な対応と未然防止の取組

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不登校児童生徒への適切な対応と未然防止の取組
日田教育事務所管内
地域学力向上推進協議会研修資料
「不登校児童生徒への適切な
対応と未然防止の取組」
平成28年1月26日(火)
大分県教育庁生徒指導推進室
1
本日の内容
1.
不登校児童生徒への適切な対応
2.
不登校を予防するために
3.
生徒指導の三機能をあらゆる
教育活動で
2
1,400人
【不登校】の児童生徒数
(大分県公立小・中学校)
1,255人1,230人 1,226人 1,273人
1,242人
1,195人1,243人
1,200人
1,000人
1,041人 988人
800人
957人
1,024人1,005人1,017人
968人
小学校
中学校
合計
600人
400人
214人 242人
269人
200人
人
274人
249人
190人
平成20年度 平成21年度 平成22年度
平成23年度
平成24年度
226人
平成25年度
平成26年度
【不登校の定義】
不登校とは、何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景によ
り、児童生徒が登校しない、あるいはしたくてもできない状況にあること(た
だし、病気や経済的な理由によるものを除く)文部科学省
1 不登校児童生徒への適切な対応
4
心のエネルギー曲線とは
京都教育大学大学院教授
桶谷守氏による
5
前兆期の支援
○ 朝起きられなくなる。
○ 休み時間に一人でいることが多くなる。
○ 宿題等の学習をしたがらなくなる。
○ 忘れ物が多くなる。
○ 保健室を頻繁に利用するようになる。
○ 身体症状を訴えるようになる。
6
早期発見のポイント
7
初期の支援
○ 腹痛、頭痛等の身体症状がときどきみら
れる。
○ 食欲・睡眠等の生活リズムが乱れる。
○ 物や人に当たることが増える。
○ 感情のコントロールができなくなる。
○ 人を避けるようになる。
○ 学校の話題を激しく拒絶する。
8
中期(前)の支援
○ 部屋に閉じこもって外に出なくなる。
○ 家族とのかかわりが少なくなる。
○ 今までにしていた手伝いをしなくなる。
○ 昼夜逆転の生活をする。
9
中期(後)の支援
10
後期の支援
11
復帰期の支援
○ 生活のリズムが整う。
○ 相談室、保健室への登校ができる。
○ 休日や夕方に友達と遊ぶようになる。
○ 家族とよく話をするようになる。
○ 好きな教科の学習に取り組む。
12
復帰期の対応
・昼夜逆転の生活リズムが少しずつ解消される。
・家族と会話するようになる。
・外に買い物に出かけるようになる。
・自分の部屋を掃除したり、身の回りを片付けたりするようになる。
・入浴、着替え、散髪など身だしなみに気をつかいだすようになる。
・学校のことを話題にしたり、学習のことを気にしたりするようになる。
13
家庭訪問について
不登校の子どもに対応する有効な手段として家庭訪問があります。家庭訪問をするときは、
それぞれの家庭の事情や子どもの状態を大切にすることが肝要です。
連絡をせずに家庭訪問をすると、子どもや保護者との人間関係を悪くしてしまったり、問題の
解決を長引かせてしまったりする場合もあります。
家庭訪問には、次のような配慮が必要です。
14
15
支援する際に注意する点
不登校の状況は一人一人異なっている。
 「原因」と「きっかけ」は違うことが多
い。
 「原因」は本人にもよく分からないこと
も多い。
 「原因」を解消すれば、不登校状態から
即復帰するわけではない。
 休んでいることで減少するソーシャルス
キルのサポートをどうするか。

今行っている「支援」は適切なのか 16
不登校の児童生徒をどう支援するか

こころの「充電」を促進する
◦ 何もしないことだけが良いとは限らない

この状態でどう「自己肯定感」を高めるか
◦ 他者からの肯定的なまなざしこそ

「原因を追求する」と「責める」ことになる
◦ 「なぜ」「どうして」は叱り言葉

「きっかけづくり」は本人には厳しい
◦ 「記念日」をどうつくるか

「ソーシャルサポート」をどう増やすか
◦ 教室に入ってないから「部活停止」の愚

再登校を温かく迎える級友を育てているか
17
◦ 長期になればなるほど気になる「級友の視線」
組織的対応の具体化
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
早期に問題や危機をひろいあげるシス
テムをつくる。
問題状況を正確に把握する。
対応の方針と目標設定を行う。
学校内の援助資源、地域の社会資源を
活用する。
チームで継続的に指導・援助する。
錯綜する情報をまとめるキーパーソン
を明確にする。
問題を学校全体のこととしてとらえる。
18
校内支援チーム(不登校対策委員会)の組織と各援助者の役割
地域不登校防止推進教員(教育相談担当)
校内の支援体制を中心となってまとめ、教職員や子どもとSC
をつないだり、SSW等と連携して外部専門機関と学校をつなぐ
等、コーディーネーターとしての役割を果たす。日頃から不
登校の子どもの情報収集に努め、相談に関する広報を行う。
学級担任が多忙な場合は、代わって家庭訪問を行う。
各学年の教育相談担当
各学年の不登校あるいは、その傾向のある子どもの情報を、学級担任との連絡を通
して常に把握しておく。不登校対策委員会で検討した対応策について学年の教職員
集団に伝える等、校内不登校対策委員会と学年とのつなぎ役となる。
19
スクールソーシャルワーカー配置事業(国庫1/3)
【事業費について】
スクールソーシャルワーカーを配置する、各市町村の総事業費の3/5以内を大分県が補助
する。
【スクールソーシャルワーカーの身分】
スクールソーシャルワーカーは、地方公務員法第3条第3項第3号に規定する非常勤職員と
する。
【募集要件】
地方公務員法第16条の欠格事項に該当しない者
○スクールソーシャルワーカー
・社会福祉士や精神保健福祉士の資格を有する者
○スクールソーシャルワーカーに準ずる者
・教育と福祉の両面に関して専門的な知識と技術を有する
とともに、過去に教育や福祉の分野において活動経験があ
る者。
【補助対象経費】(国の交付要綱よ
り)
・諸謝金、報酬、旅費、交通費、消耗
品費、 印刷製本費、雑役務費、借料
及び損料、 通信運搬費、会議費、賃
金、保険料、委託費、補助金とする。
【職務内容】
○問題を抱える児童生徒が置かれた環境への働きかけ
○関係機関等とのネットワークの構築、連携・調整
○学校内におけるチーム体制の構築、支援
○保護者、教職員等に対する支援・相談・情報提供
○研修会等での助言
○県教育委員会、市町村教育委員会、実際に業務を行う学校の校長が要請
する児童生徒への支援に関する業務
つなぐ
【報酬及び費用弁償】
「付属機関の委員等の報酬及び費用弁償
条例」にもとづき、予算の範囲内で支
給。
【服務】
スクールソーシャルワーカーの服務監督
については、配置された市町村教育長が
行う。
【勤務形態】
○年間432時間以内の勤務
○1日6時間以内
○年間72日以内
関係機関
管内の学校
連携
要請
状況把握、課題解決
にむけたプランニン
グ、ケース会議参加
による見立て、教職
員への支援など
調整
支援
市町村教育委員会
福祉部局、児童相談
所、保健センター、
民生委員、社会福祉
協議会、地域包括支
援センタ-、障害者
相談支援事業期間、
児童家庭支援セン
ターなど
指導的
学校(教職員)
教育学を基盤とした「教育の専門家」
学校(教職員)
スクールカウンセラー
スクールソーシャルワーカー
とのちがい
☆焦点「個人あるいは集団の学力・体
力・仲間づくりの指導」
☆役割「指導者」
☆機能「指導・助言」
☆めざすもの「個人・集団の変容」
☆技法「学習指導・構成的グループエン
カウンター等」
スクールカウンセラー(SC)
スクールソーシャルワーカー(SSW)
心理学を基盤とした「こころの
専門家」
社会福祉学を基盤とした「ネットワークの専門
家」
☆焦点「個人の内面の葛藤」
☆焦点「個人と環境の不適合」
☆役割「治療者」
☆役割「パートナー」
☆機能「助言・治療」
☆機能「助言・関係調整・仲介・代弁」
☆めざすもの「個人の変容」
☆めざすもの「生活の質の向上」
☆技法「心理療法」
☆技法「ソーシャルワーク技法」
受容的
心理面
21
社会面
2
不登校を予防するために
22
いま必要なのは2つのアプローチ
 予防的アプローチ
①不登校状態になってしまってからの対応は難しい
②不登校状態にならないように常に気を付ける
③極めて重要になる「教師のアセスメント能力」
 開発的アプローチ
①懸念は無くとも必要なアプローチ
②開発的カウンセリングの概念の広がり
23
不登校の予防とは
24
「魅力ある学校」づくり
25
個を大切にした「心の居場所づくり」とは
(1)一人一人を大切にする子ども理解
① 子ども理解の工夫
一人一人の子どもの表情や言動が意味しているものを見逃さないという姿勢
で進めることが大切です。また、教職員間の子ども理解のための話し合いや連
携から、共通理解をもち、より多角的な視点で理解に努めることが必要です。
・子どもと共に遊び、共に働くことを通して、子どもを肯定的にとらえる。
・生活ノート、作文、連絡帳等を通して、日頃の人間関係や子どもの思いを
つかむ
② 人間関係づくりの推進
不登校のきっかけとして、「友人関係をめぐる問題」「教職員との関係をめ
ぐる問題」等の学校内での人間関係によるものも多く挙げられています。最近
の子どもたちは、人間関係の形成が苦手でストレスを感じています。そのため、
学校生活においては、学級活動、児童会・生徒会活動、学校行事等の特別活動
を充実させ、子ども間や教職員との好ましい人間関係の形成を学ばせ、育てる
事が重要です。
26
個を大切にした「心の居場所づくり」とは
③ 教育相談の充実
教職員は、教育相談を一人一人の子どもから話を聴く場として
位置付け、子どもに「先生は自分のために考えてくれている。」
「自分の存在は肯定的に認められている。」ということを感じさ
せていくことが大切です。学校で子どもが肯定的存在感をもって、
各自の独自性が発揮できるよう援助していく必要があります。
④ 子ども理解のための研修の充実
子どもにとって、話しやすく相談しやすい雰囲気をもち、子ど
もの立場に立って聴き、指導ができる資質を身に付けた教職員が
望まれています。資質向上のためのシステム化した学校内外の研
修のみならず、各学校において、複数の教職員が不登校の子ども
に継続的にかかわっていくことも大切な研修です。
27
個と個をつなぐ「絆づくり」
(1)心の結び付きの重視
① 自尊感情や自立心を育む活動
子どもが互いに協力して目的を達成する中で、一人一人が自己を活かす事が
できるよう、子ども同士のふれあいの場を創り出すことが大切です。
・子どもの気持ちを共感的に理解しようとする教職員の姿勢
・子ども自身が必要とされている存在であることが実感できる
・子どもがストレスをためない人間関係づくり
② 認め合い高め合う集団づくり
教育活動全体を通じて、一人一人の良さや違いを認め合い、互いに高め合お
うする集団が形成されるように取り組むことが大切です。
・いじめや暴力行為を許さない教職員の姿勢
・子ども同士が対等であり、学び合い高め合う集団づくり
・自分の意見が言え、仲間の意見を尊重できる学級づくり
28
開発的アプローチ
29
開かれた学校づくり
30
3 生徒指導の三機能をあらゆる
教育活動に!
31
生徒指導の三機能をあらゆる教育活動に!
居場所
づくり
自己決定の場
を与える
絆
づくり
自己指導能力
の育成
自己存在
感を与え
る
共感的人間
関係を育成
する
32
自己存在感を与える
例えば・・・
・授業中に氏名を行う際、児童生徒の顔を
見ながら名前を呼ぶ。
・一人一人のよいところを認め、ほめたり
励ましたりする。
・誤った解答でも、全員で考える契機とす
るなどして大切に扱う。
・児童生徒の作品等を返却する際、良い点
や成長等を認める言葉を添える。
33
共感的な人間関係を育成する
例えば・・・
・小集団活動の場を設定するなどして、全て
の児童生徒が、自分の考えを伝えたり、友だ
ちの考えを聞いたりする場を設定する。
・児童生徒が互いに教え合う場面を意図的に
設定する。
・相互評価を取り入れるなどして、互いのよ
さに学び合う場を設ける。
・教師が共に努力しようという姿勢で児童生
徒と関わる。
34
自己決定の場を与える
例えば・・・
・様々な学習方法の中から、児童生徒自ら選択
する場面を設ける。
・自分たちで課題を設定し、追究する活動機会
を設ける。
・小集団や全体での話し合いに入る前に、一人
一人の児童生徒に自分の考えを書かせるなどし
て、自分の意見を明確にした上で活動させる。
・遠足や集団宿泊活動における班活動の中で自
分たちで計画を立てて活動する場面を設ける。
35
3 生徒指導の三機能をあらゆる
教育活動に!
①学級づくりで
36
具体的な学級づくり
スタートが肝心(最初の3日が勝負)
 ルールづくり
 班づくり(席替え)の心得
 自己肯定感と学級への所属感を高める
 進路への夢と希望をもたせる
 自分の成長の見える化
 他者理解を深める
 ルールの再点検とマナーへの進化

「学級経営ハンドブック」より
高知大学教育学部 鹿嶋真弓氏
37
具体的な学級づくりの技法
アドジャントーク
 がんばり貯金
 「すごい!」の木
 OKワードとNGワード
 ビブリオバトル
 仲間らから見た自分
 学級の重大ニュース
 未来予想図

「学級経営ハンドブック」より
高知大学教育学部 鹿嶋真弓氏
38
信頼される教師になるために
①
②
③
④
⑤
自分の思いを語る教師
できていることをすかさず認め
てくれる教師
話を聞いてくれる教師
約束を守る教師
いつも明るく笑顔で! そして
身なりを整える教師に
「学級経営ハンドブック」より
高知大学教育学部 鹿嶋真弓氏
39
3 生徒指導の三機能をあらゆる
教育活動に!
②授業づくりで
40
教科の枠を超えて(授業開始前)
 授業開始の合図を守る。
 あいさつや出欠の確認
 一人一人と目を合わせる。
 授業に集中できるような教室環境
 場合によっては臨機応変に
 叱るよりもほめる点を見つけて、
スタート
41
教科の枠を超えて(導入場面)
 興味や関心を引き出す導入
 本時の内容やゴールを最初に示す
 「取り組みたい」「追求してみた
い」と思わせる学習課題の設定
 シンプルにテンポよく短時間で
 学習課題を選ばせる
42
教科の枠を超えて(展開場面)
 「つなぐ」ことの大切さ
発言と発言、教材と子ども、知識と知識、
教室と社会、現在と未来、
 全体から個へ
 児童生徒への指名の仕方
 反応に対する評価
 教師の「身体性」
 教師の「話す・伝える力」
 失敗を笑わない指導
43
教科の枠を超えて(展開場面)
 グループ学習を「協同的な学び」へ
 必ず個人の考えをもつ時間を確保
 「司会」「記録」「発表」「計時」
の役割を輪番で分担させる
 グループの人数は4人がベスト
 少人数指導では、座席配置を工夫
 時にペア学習を有効活用
44
教科の枠を超えて(展開場面)
 思考ツールを用いて、全ての児童生
徒が学習に主体的に参画していると
いう意識をもたせる
 様々な思考ツールの中から、グルー
プごとに協議内容によって、自由に
選択させる
45
教科の枠を超えて(終末場面)
 評価やふり返りの場を位置付ける
 生徒の言葉でまとめさせる
 自己評価や相互評価を入れる
46
教科の枠を超えて(授業終了時)
 授業全体への評価をする
 次の時間へつなげる
 終了の合図を厳守する
 事後のコミュニケーションを大切に
 個別指導が必要な児童生徒の確認
47
子どもにとって魅力ある学校・
授業をつくりましょう!
ご静聴ありがとうございました。
48
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