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【課題】プロテアーゼの生産性がより向上された微生物、及

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【課題】プロテアーゼの生産性がより向上された微生物、及
JP 2007-259725 A 2007.10.11
(57)【 要 約 】 ( 修 正 有 )
【課題】プロテアーゼの生産性がより向上された微生物、及び当該微生物を用いたプロテ
アーゼの製造方法の提供。
【解決手段】特定な配列で示されるアミノ酸配列における特定のアラニン残基、又はこれ
に相当する位置のアミノ酸がバリン残基に置換される変異を含むことを特徴とするバチル
ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii ) の 変 異 株 。 当 該 変 異 株 を ア ル カ リ 性 培 地 で 培 養 し 、
その培養液よりアルカリプロテアーゼを採取するアルカリプロテアーゼの製造方法。
【選択図】なし
(2)
JP 2007-259725 A 2007.10.11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号2で示されるアミノ酸配列における479番目のアラニン残基、又はこれに相
当する位置のアミノ酸残基がバリン残基に置換される変異を含むことを特徴とするバチル
ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) の 変 異 株 。
【請求項2】
さ ら に 、 バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) の rsbU遺 伝 子 の 不 活 性 化 又 は 欠 失
により生じる変異を含む請求項1記載の変異株。
【請求項3】
変異が、配列番号4で示されるアミノ酸配列における176番目のアスパラギン残基又
10
はこれに相当する位置のアミノ酸残基がグリシン残基に置換され、且つ234番目に対応
するコドン又はこれに相当する位置のコドンでフレームシフトし、251番目に対応する
コドン又はこれに相当する位置のコドンで終止コドンとなる変異である請求項2記載の変
異株。
【請求項4】
配列番号4で示されるアミノ酸配列における変異が、配列番号3で示される塩基配列に
おける527番目のAをGに置換すること、及び693番目∼700番目の連続したTの
うち何れか1つのTを欠失することにより生ずるものである請求項3記載の変異株。
【請求項5】
さ ら に 、 バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) の rph遺 伝 子 の 不 活 性 化 又 は 欠 失
20
により生じる変異を含む請求項1∼4の何れか1項記載の変異株。
【請求項6】
変異が、配列番号6で示されるアミノ酸配列における149番目に対応するコドン又は
これに相当する位置のコドンでフレームシフトし、151番目に対応するコドン又はこれ
に相当する位置のコドンで終止コドンとなる変異である請求項5記載の変異株。
【請求項7】
配列番号6で示されるアミノ酸配列における変異が、配列番号5で示される塩基配列に
おいて、439番目から445番目の何れか1ヶ所へAを挿入することにより生ずるもの
である請求項6記載の変異株。
【請求項8】
30
独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに受託番号FERM P−2
0 7 6 1 と し て 寄 託 さ れ た バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) K S M − 1 6 M
−372株。
【請求項9】
さらに配列番号8で示されるアミノ酸配列における529番目のアラニン残基又はこれ
に相当する位置のアミノ酸残基がバリン残基に置換される変異、及び/又は配列番号10
で示されるアミノ酸配列における10番目のロイシン残基又はこれに相当する位置のアミ
ノ酸残基がフェニルアラニン残基に置換される変異を含む請求項1∼8の何れか1項記載
の変異株。
【請求項10】
40
独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに受託番号FERM P−2
0 7 6 2 と し て 寄 託 さ れ た バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) K S M − 3 M −
30株。
【請求項11】
バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) の rsbU遺 伝 子 の 不 活 性 化 又 は 欠 失 に よ り 生
じ る 変 異 、 及 び バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) の rph遺 伝 子 の 不 活 性 化 又 は
欠 失 に よ り 生 じ る 変 異 を 含 む バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) 変 異 株 。
【請求項12】
配列番号8で示されるアミノ酸配列における529番目のアラニン残基又はこれに相当
する位置のアミノ酸残基がバリン残基に置換される変異、及び/又は配列番号10で示さ
50
(3)
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れるアミノ酸配列における10番目のロイシン残基又はこれに相当する位置のアミノ酸残
基 が フ ェ ニ ル ア ラ ニ ン 残 基 に 置 換 さ れ る 変 異 を 含 む バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus cla
usii) の 変 異 株 。
【請求項13】
請求項1∼12の何れか1項記載の変異株をアルカリ性培地で培養し、その培養物より
アルカリプロテアーゼを採取することを特徴とするアルカリプロテアーゼの製造法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロテアーゼの生産に有用な微生物、及びこれを用いたプロテアーゼの生産
10
方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微生物による有用物質の工業的生産は、アルコール飲料や味噌、醤油等の食品類をはじ
めとし、アミノ酸、有機酸、核酸関連物質、抗生物質、糖質、脂質、タンパク質等、その
種類は多岐に渡っており、またその用途についても食品、医薬や、洗剤、化粧品等の日用
品、或いは各種化成品原料に至るまで幅広い分野に広がっている。
【0003】
こうした微生物による有用物質の工業生産においては、その生産性の向上が重要な課題
の一つであり、その手法として、突然変異等の遺伝学的手法による生産菌の育種が行われ
20
てきた。特に最近では、微生物遺伝学、バイオテクノロジーの発展により、遺伝子組換え
技術等を用いたより効率的な生産菌の育種が行われるようになっており、遺伝子組換えの
ための宿主微生物の開発が進められている。
例 え ば 、 バ チ ル ス ・ リ ケ ニ ホ ル ミ ス ( Bacillus licheniformis) や バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ
イ ( Bacillus clausii) の rpoB遺 伝 子 に よ り コ ー ド さ れ る R N A − ポ リ メ ラ ー ゼ の β − サ
ブユニットにおける特定のアミノ酸を置換した突然変異体において、プロテアーゼやアミ
ラーゼの生産性が向上することが報告されている(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特表2005−512595号公報
【発明の開示】
30
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、プロテアーゼの生産性がより向上された微生物、及び当該微生物を用いたプ
ロテアーゼの製造方法を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、界面活性剤に対する安定性の高いアルカリプロテアーゼK−16を産生
す る バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) に つ い て 、 ア ル カ リ プ ロ テ ア ー ゼ の 高 生
産 化 を 検 討 し た と こ ろ 、 RpoBタ ン パ ク 質 他 、 特 定 の タ ン パ ク 質 の ア ミ ノ 酸 変 異 を 含 む 変 異
体が、変異前の親株と比較して、高いアルカリプロテアーゼ生産性を有することを見出し
40
た。
【0007】
すなわち本発明は、配列番号2で示されるアミノ酸配列における479番目のアラニン
残基、又はこれに相当する位置のアミノ酸残基がバリン残基に置換される変異を含むこと
を 特 徴 と す る バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) の 変 異 株 に 係 る も の で あ る 。
【0008】
また本発明は、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに受託番号 F E R M P − 2 0 7 6 1 と し て 寄 託 さ れ た バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii)
KSM−16M−372株に係るものである。
【0009】
50
(4)
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また本発明は、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに受託番号 F E R M P − 2 0 7 6 2 と し て 寄 託 さ れ た バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii)
KSM−3M−30株に係るものである。
【0010】
ま た 本 発 明 は 、 バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) の rsbU遺 伝 子 の 不 活 性 化 又
は 欠 失 に よ り 生 じ る 変 異 、 及 び 、 バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) の rph遺 伝
子 の 不 活 性 化 又 は 欠 失 に よ り 生 じ る 変 異 を 含 む バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii
)変異株に係るものである。
【0011】
また本発明は、配列番号8で示されるアミノ酸配列における529番目のアラニン残基
10
又はこれに相当する位置のアミノ酸残基がバリン残基に置換される変異、及び/又は配列
番号10で示されるアミノ酸配列における10番目のロイシン残基又はこれに相当する位
置のアミノ酸残基がフェニルアラニン残基に置換される変異を含むバチルス・クラウジイ
( Bacillus clausii) の 変 異 株 に 係 る も の で あ る 。
【0012】
また本発明は、上記変異株をアルカリ性培地で培養し、その培養物よりアルカリプロテ
アーゼを採取することを特徴とするアルカリプロテアーゼの製造法に係るものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の微生物変異株によれば、洗剤酵素として有用なアルカリプロテアーゼを効率よ
20
く生産することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本 明 細 書 に お い て ア ミ ノ 酸 配 列 お よ び 塩 基 配 列 の 同 一 性 は Lipman-Pearson法 (Science,2
27,1435,1985)に よ っ て 計 算 さ れ る 。 具 体 的 に は 、 遺 伝 情 報 処 理 ソ フ ト ウ ェ ア Genetyx-Win
( ソ フ ト ウ ェ ア 開 発 ) の ホ モ ロ ジ ー 解 析 ( Search homology) プ ロ グ ラ ム を 用 い て 、 Unit
size to compare( ktup) を 2 と し て 解 析 を 行 う こ と に よ り 算 出 さ れ る 。
【0015】
本明細書において、「G」はグアニン、「C」はシトシン、「A」はアデニン、「T」
はチミンをそれぞれ示す。
30
【0016】
本発明の変異株を構築するための親微生物(以下、「親株」という)としては、例えば
バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) K S M − K 1 6 株 又 は そ の 変 異 株 、 あ る い
は バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) に 属 す る 上 記 以 外 の 菌 株 が 挙 げ ら れ る 。
【0017】
バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) K S M − K 1 6 は 、 栃 木 県 芳 賀 郡 の 土 壌
より採取したアルカリプロテアーゼK−16生産菌(FERM BP−3376)である
(特開平4−281782号公報、特開平4−349882号公報)。
【0018】
本発明の変異株における変異は、(a)配列番号2で示されるアミノ酸配列における4
40
79番目のアラニン残基、又はこれに相当する位置のアミノ酸がバリン残基に置換される
変 異 、 ( b ) バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) の rsbU遺 伝 子 の 不 活 性 化 又 は 欠
失 に よ り 生 じ る 変 異 及 び ( c ) バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) の rph遺 伝 子
の不活性化又は欠失により生じる変異、から選ばれる1又は2以上の変異を含むものであ
る。このうち、(a)∼(c)の変異を全て含むものが好ましい。
【0019】
上 記 ( a ) の 配 列 番 号 2 で 示 さ れ る ア ミ ノ 酸 配 列 は 、 バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus
clausii) K S M − K 1 6 株 に お け る 、 D N A 依 存 性 R N A ポ リ メ ラ ー ゼ [ E C : 2 .
7 . 7 . 6 ] β サ ブ ユ ニ ッ ト ( RpoB) の ア ミ ノ 酸 配 列 で あ り 、 ( a ) の 変 異 は 、 当 該 ア ミ
ノ酸配列における479番目のアラニン残基、又はこれに相当する位置のアミノ酸残基が
50
(5)
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バリン残基に置換されたものである。
ここで、配列番号2で示されるアミノ酸配列における479番目のアラニン残基に相当
する位置のアミノ酸残基とは、配列番号2で示されるアミノ酸配列と80%以上、好まし
くは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好まし
く は 9 9 % 以 上 の 同 一 性 を 有 す る 、 K S M − K 1 6 株 以 外 の バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Baci
llus clausii) 由 来 の RpoBに お け る 対 応 ア ミ ノ 酸 残 基 を 意 味 す る 。
【0020】
( a ) で 示 さ れ る ア ミ ノ 酸 の 変 異 は 、 例 え ば 、 当 該 RpoBを コ ー ド す る D N A の 塩 基 配 列
(配列番号1)において、1436番目のCをTに置換することにより起こすことができ
る。
10
【0021】
上 記 ( b ) の バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) の rsbU遺 伝 子 の 不 活 性 化 又 は
欠 失 に よ り 生 じ る 変 異 は 、 バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) に お け る 、 シ グ マ
− B 活 性 の 間 接 的 な 正 の 制 御 因 子 で あ る RsbUの 機 能 を 変 化 さ せ る 変 異 で あ る 。
こ こ で 、 バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) の rsbU遺 伝 子 と し て は 、 例 え ば 、
バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) K S M − K 1 6 株 の rsbU遺 伝 子 又 は 当 該 遺
伝 子 に 相 当 す る 遺 伝 子 が 挙 げ ら れ る 。 rsbU遺 伝 子 に 相 当 す る 遺 伝 子 と は 、 K S M − K 1 6
株 の rsbU遺 伝 子 と 実 質 的 に 同 じ 機 能 を 有 す る 遺 伝 子 を い い 、 例 え ば 、 K S M − K 1 6 株 の
rsbU遺 伝 子 と 塩 基 配 列 に お い て 7 0 % 以 上 、 好 ま し く は 8 0 % 以 上 、 よ り 好 ま し く は 9 0
%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上の同一性を有する、K
20
S M − K 1 6 株 以 外 の バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) 由 来 の 遺 伝 子 が 挙 げ ら
れる。
【0022】
斯かる変異としては、例えば、配列番号4で示されるアミノ酸配列における176番目
のアスパラギン残基又はこれに相当する位置のアミノ酸残基がグリシン残基に置換され、
且つ234番目に対応するコドン又はこれに相当する位置のコドンでフレームシフトし、
251番目に対応するコドン又はこれに相当する位置のコドンで終止コドンとなる変異が
挙げられる。
【0023】
こ こ で 、 配 列 番 号 4 で 示 さ れ る ア ミ ノ 酸 配 列 は 、 バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus cla
30
usii) K S M − K 1 6 株 に お け る RsbUの ア ミ ノ 酸 配 列 で あ る 。 ま た 、 当 該 ア ミ ノ 酸 配 列
における176番目のアスパラギン残基又はこれに相当する位置のアミノ酸残基、同アミ
ノ酸配列における234番目に対応するコドン又はこれに相当する位置のコドンとは、配
列番号4で示されるアミノ酸配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは
95%以上、さらに好ましくは98%以上の同一性を有する、KSM−K16株以外のバ
チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) 由 来 の RsbUに お け る 対 応 ア ミ ノ 酸 残 基 又 は 対 応
コドンを意味する。
【0024】
尚、上記及び後記の「相当する位置のアミノ酸残基又はコドン」を特定する方法として
は、例えばリップマン−パーソン法等の公知のアルゴリズムを用いてアミノ酸配列を比較
40
し、各蛋白質のアミノ酸配列中に存在する保存アミノ酸残基に最大の相同性を与えること
により行うことができる。これにより、アミノ酸配列中にある挿入、欠失にかかわらず、
相同アミノ酸残基の各タンパク質における配列中の位置を決めることが可能である。
【0025】
( b ) で 示 さ れ る 上 記 ア ミ ノ 酸 の 変 異 は 、 例 え ば 、 rsbUを コ ー ド す る D N A の 塩 基 配 列
(配列番号3)において、527番目のAをGに置換すること、及び693番目∼700
番目の連続したTのうち何れか1つのTを欠失することにより起こすことができる。
【0026】
上 記 ( c ) の バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) の rph遺 伝 子 の 不 活 性 化 又 は
欠 失 に よ り 生 じ る ア ミ ノ 酸 変 異 は 、 バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) に お け る
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(6)
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、 リ ボ ヌ ク レ ア ー ゼ P H で あ る Rphの 機 能 を 変 化 さ せ る 変 異 で あ る 。
こ こ で 、 バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) の rph遺 伝 子 と し て は 、 例 え ば 、
ま た 、 バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) K S M − K 1 6 株 の rph遺 伝 子 又 は
当 該 遺 伝 子 に 相 当 す る 遺 伝 子 が 挙 げ ら れ る 。 rph遺 伝 子 に 相 当 す る 遺 伝 子 と は 、 K S M −
K 1 6 株 の rph遺 伝 子 と 実 質 的 に 同 じ 機 能 を 有 す る 遺 伝 子 を い い 、 例 え ば 、 K S M − K 1
6 株 の rph遺 伝 子 と 塩 基 配 列 に お い て 7 0 % 以 上 、 好 ま し く は 8 0 % 以 上 、 よ り 好 ま し く
は90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上の同一性を有す
る 、 K S M − K 1 6 株 以 外 の バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) 由 来 の 遺 伝 子 が
挙げられる。
【0027】
10
斯かる変異としては、例えば、配列番号6で示されるアミノ酸配列における149番目
に対応するコドン又はこれに相当する位置のコドンでフレームシフトし、151番目に対
応するコドン又はこれに相当する位置のコドンで終止コドンとなる変異が挙げられる。
【0028】
こ こ で 、 配 列 番 号 6 で 示 さ れ る ア ミ ノ 酸 配 列 は 、 バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus cla
usii) K S M − K 1 6 株 に お け る 、 リ ボ ヌ ク レ ア ー ゼ P H ( EC 2.7.7.56) ( Rph) の ア
ミノ酸配列である。また、当該アミノ酸配列における149番目に対応するコドン又はこ
れに相当する位置のコドンとは、配列番号6で示されるアミノ酸配列と80%以上、好ま
しくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上の同一性を
有 す る 、 K S M − K 1 6 株 以 外 の バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) 由 来 の Rph
20
における対応コドンを意味する。
【0029】
( c ) で 示 さ れ る 上 記 の ア ミ ノ 酸 の 変 異 は 、 例 え ば 、 Rphを コ ー ド す る D N A の 塩 基 配
列(配列番号5)において、439番目から445番目の何れか1ヶ所へAを挿入するこ
とにより起こすことができる。
【0030】
上記(a)∼(c)の変異を有する微生物株としては、例えば、独立行政法人 産業技
術総合研究所 特許生物寄託センターに受託番号FERM P−20761として寄託さ
れ た バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) K S M − 1 6 M − 3 7 2 株 が 挙 げ ら れ
る。
30
【0031】
また、本発明においては、上記の変異に加えて、又はこれとは別に、(d)配列番号8
で示されるアミノ酸配列における529番目のアラニン残基又はこれに相当する位置のア
ミノ酸残基がバリン残基に置換される変異、及び/又は配列番号10で示されるアミノ酸
配列における10番目のロイシン残基又はこれに相当する位置のアミノ酸残基がフェニル
アラニン残基に置換される変異を有するものが包含される。このうち、好ましくは、(a
)∼(d)の変異を全て有するものである。
こ こ で 、 配 列 番 号 8 で 示 さ れ る ア ミ ノ 酸 配 列 は 、 バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus cla
usii) K S M − K 1 6 株 に お け る 、 ユ ビ キ ノ ン 生 合 成 タ ン パ ク 質 の ア ミ ノ 酸 配 列 で あ り
、その変異は、当該アミノ酸配列における529番目のアラニン残基又はこれに相当する
40
位置のアミノ酸残基がバリン残基に置換したものである。
【0032】
ここで、配列番号8で示されるアミノ酸配列における529番目のアラニン残基に相当
する位置のアミノ酸残基とは、配列番号8で示されるアミノ酸配列と80%以上、好まし
くは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上の同一性を有
す る 、 K S M − K 1 6 株 以 外 の バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) 由 来 の ユ ビ キ
ノン生合成タンパク質における対応アミノ酸残基を意味する。
【0033】
上記アミノ酸の変異は、ユビキノン生合成タンパク質をコードするDNAの塩基配列(
配列番号7)において、1586番目のCをTに置換することにより起こすことができる
50
(7)
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。
【0034】
ま た 、 配 列 番 号 1 0 で 示 さ れ る ア ミ ノ 酸 配 列 は 、 バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus cla
usii) K S M − K 1 6 株 に お け る 、 3 0 S リ ボ ソ ー ム タ ン パ ク 質 S 2 ( RpsB) の ア ミ ノ
酸配列であり、その変異は、当該アミノ酸配列における10番目のロイシン残基又はこれ
に相当する位置のアミノ酸残基がフェニルアラニン残基に置換したものである。
ここで、配列番号10で示されるアミノ酸配列における10番目のロイシン残基に相当
する位置のアミノ酸残基とは、配列番号10で示されるアミノ酸配列と80%以上、好ま
しくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上の同一性を
有 す る 、 K S M − K 1 6 株 以 外 の バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) 由 来 の r p
10
sBにおける対応アミノ酸残基を意味する。
【0035】
上 記 ア ミ ノ 酸 の 変 異 は 、 RpsBを コ ー ド す る D N A の 塩 基 配 列 ( 配 列 番 号 9 ) に お い て 、
28番目のCをTに置換することより起こすことができる。
【0036】
斯かる(a)∼(d)の変異を有する微生物株としては、独立行政法人 産業技術総合
研究所 特許生物寄託センターに受託番号FERM P−20762として寄託されたバ
チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) K S M − 3 M − 3 0 株 が 挙 げ ら れ る 。
【0037】
本発明の、微生物変異株は、例えば以下に示す方法により得ることができる。
20
第1の方法として、例えば親株に突然変異剤を作用させるか、又は紫外線若しくは放射
線等を照射する等の一般的な変異誘発法、あるいは、自然突然変異の利用が挙げられる。
上 記 ( a ) ∼ ( c ) の 変 異 を 含 む 変 異 株 を 得 る に は 、 バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus
clausii) K S M − K 1 6 株 ( F E R M B P − 3 3 7 6 ) 若 し く は そ の 変 異 株 又 は バ
チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) に 属 す る 上 記 以 外 の 菌 株 を リ フ ァ ン ピ シ ン を 含
有する培地で培養し、当該リファンピシン耐性を有する菌株を選択することにより行うこ
とができる。ここで、用いられる突然変異剤としては、5−ブロモウラシル、2−アミノ
プリン等の塩基類似物質、亜硝酸、ヒドロキシアミン、ニトロソグアニジン、エチルメタ
ンスルホン酸、アクリジン類等が挙げられる。また放射線としては、電離放射線等が挙げ
られる。
30
【0038】
ま た 、 上 記 ( d ) の 変 異 を 含 む 変 異 株 を 得 る に は 、 バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus c
lausii) K S M − K 1 6 株 又 は そ の 変 異 株 又 は 上 記 ( a ) ∼ ( c ) の 変 異 を 施 し た 変 異
株 ( 例 え ば バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) K S M − 1 6 M − 3 7 2 株 ( F
E R M P − 2 0 7 6 1 ) 又 は バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) に 属 す る 上 記
以外の菌株をバンコマイシンを含有する培地で培養し、当該バンコマイシン耐性を有する
菌株を選択することにより行うことができる。ここで、用いられる突然変異剤としては、
例えば5−ブロモウラシル、2−アミノプリン等の塩基類似物質、亜硝酸、ヒドロキシア
ミン、ニトロソグアニジン(NTG)、エチルメタンスルホン酸、アクリジン類等の突然
変異剤が挙げられる。また放射線としては、電離放射線等が挙げられる。
40
【0039】
第2の方法としては、ランダム変異や部位特異的変異等の遺伝子変異手段により、所望
の ア ミ ノ 酸 置 換 又 は フ レ ー ム シ フ ト を 生 ず る よ う な RpoB、 RsbU、 Rph、 ユ ビ キ ノ ン 生 合 成
タ ン パ ク 質 又 は RpsBの 変 異 と 適 当 な 相 同 領 域 を 含 む D N A を 作 製 し 、 必 要 に 応 じ て こ れ を
プラスミドDNAにクローン化し、親株のゲノムDNAとの相同的組換え反応を利用して
導入する方法が挙げられる。
【0040】
例 え ば 前 記 バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) K S M − K 1 6 株 の ゲ ノ ム 配
列はすでに公知であり、その塩基配列は、例えば、GenBankやDDBJ等のデータ
ベ ー ス に A c c . N o . N C 0 0 6 5 8 2 と し て 登 録 さ れ て い る 。 RpoB、 RsbU、 Rph、
50
(8)
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ユ ビ キ ノ ン 生 合 成 タ ン パ ク 質 、 RpsBの コ ー ド 領 域 に 対 応 す る 塩 基 配 列 が 上 述 し た 配 列 番 号
1、3、5、7及び9に示されるものである。従って、ゲノム配列情報を利用して、当該
KSM−K16株の染色体DNAまたは必要に応じてクローン化した所望のDNAに対し
て 、 例 え ば 、 部 位 特 異 的 変 異 や SOE( splicing by overlap extension) − PCR法 な ど を 用
いることによって、各DNAにおける所望の変異を導入し、かつ、適当な相同領域を有す
る DNA断 片 を 構 築 す る こ と が で き る 。 導 入 す る 変 異 に は 、 ア ミ ノ 酸 置 換 を も た ら す コ ド ン
の変異、塩基又は塩基配列の挿入、欠失、例えばクロラムフェニコール耐性遺伝子等の選
択マーカー遺伝子の挿入、5’側の発現制御領域での変異などが含まれる。
【0041】
更に必要に応じて、相同組換え用のDNAを構築するため、所望の変異が導入されたD
10
NA断片、あるいは、上記DNA断片に例えばクロラムフェニコール耐性遺伝子等の選択
マーカー遺伝子を含むDNAが付加された断片を相同的組換え用プラスミドベクターにク
ローン化することができる。このベクターは、例えば、クロラムフェニコール耐性遺伝子
等を選択マーカーとして有する。
【0042】
構 築 し た 相 同 組 換 え 用 D N A あ る い は プ ラ ス ミ ド を バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus c
lausii) K S M − K 1 6 株 、 又 は そ の 変 異 体 に プ ロ ト プ ラ ス ト 形 質 転 換 法 な ど の 形 質 転
換法により導入し、相同的組換えにより変異を導入した配列と親株配列とが置換した変異
体を得ることができる。
【0043】
20
斯くして得られた本発明の変異株を適当な培地に接種し、常法に従って培養すれば、ア
ルカリプロテアーゼを効率良く生産することができる。
使用される培地としては、通常の微生物の培養に用いられ本菌株に利用可能なものであ
れば何れをも使用することができるが、該培地中には資化しうる炭素源及び窒素源を適当
量含有せしめておくことが好ましい。
【0044】
この炭素源及び窒素源については特に制限はないが、その例としては、窒素源としては
アミノ酸液、コーングルテンミール、大豆粉、コーンスチープリカー、カザミノ酸、酵母
エキス、ファーマメディア、イワシミール、肉エキス、ペプトン、ハイプロ、アジパワー
、コーンミール、ソイビーンミール、コーヒー粕、綿実油粕、カルチベーター、アミフレ
30
ックス及びアジプロン、ゼスト、アジックス等が挙げられる。また、炭素源としては、資
化しうる炭素源、例えばアラビノース、キシロース、グルコース、マンノース、フラクト
ース、ガラクトース、蔗糖、マルトース、乳糖、ソルビトール、マンニトール、イノシト
ール、グリセリン、可溶性澱粉や廉価な廃糖蜜、転化糖等、また資化しうる有機酸、例え
ば酢酸等が挙げられる。また、その他、リン酸、Mg
2 +
+
2 +
、Ca
2 +
、Mn
2 +
、Zn
2 +
、Co
+
、Na 、K 等の無機塩や、必要であれば、無機、有機微量栄養源を培地中に適宜添加
することもできる。
【0045】
斯くして得られた培養物中からのアルカリプロテアーゼの採取及び精製は、一般の酵素
の採取及び精製の手段に準じて行うことができる。
40
すなわち、培養物を遠心分離、又は濾過等することによって菌体を分離し、その菌体及
び培養濾液から通常の分離手段、例えば、塩析法、等電点沈澱法、溶媒沈澱法(メタノー
ル、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン等)によって蛋白質を沈澱させたり
、また、限外濾過(例えばダイアフローメンブレンYC、アミコン社製)により濃縮させ
てアルカリプロテアーゼを得る。塩析法では、例えば硫安(30∼70%飽和画分)、溶
媒沈澱では、例えば75%エタノール中で酵素を沈澱させた後、濾過或いは遠心分離、脱
塩することによってこれを凍結乾燥粉末とすることも可能である。ここで脱塩の方法とし
ては、透析又は、セファデックスG−25等を用いるゲル濾過法等の一般的方法が用いら
れる。
【0046】
50
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得られた酵素液は、そのまま使用することもできるが、更に公知の方法により精製結晶
化して用いることも出来る。更に酵素を精製するには、例えばヒドロキシアパタイトクロ
マトグラフィー等の吸着クロマトグラフィー、DEAE−セファデックス、DEAE−セ
ルロース、CM−セルロースやCM−バイオゲル等のイオン交換クロマトグラフィー及び
セファデックスやバイオゲルのような分子篩ゲルクロマトグラフィーを適宜組み合わせて
分別精製すればよい。
【0047】
斯 く し て 得 ら れ た ア ル カ リ プ ロ テ ア ー ゼ は 、 親 株 で あ る バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacill
us clausii) K S M − K 1 6 の 産 生 す る ア ル カ リ プ ロ テ ア ー ゼ K − 1 6 と 同 一 の 酵 素 学
的性質を有する(特開平4−281782号公報、特開平4−349882号公報)。
10
【実施例】
【0048】
実施例1
バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) K S M − K 1 6 ( F E R M B P − 3 3
76)を、培地Aに接種し、30℃で18時間好気的に振盪培養したところで、ニトロソ
グアニジン(NTG)を30∼100μg/mLになるように添加した後、同温度で30
∼60分間振盪を継続した。その後、新たに培地Aへ1%上記処理液を接種し、30℃で
24時間振盪培養を行った。この培養液をリファンピシン0.1μg/mL以上添加した
培地Bに塗布し、30℃で3日間培養した。生育したコロニーを取り、同培地で3回純化
を 繰 り 返 し リ フ ァ ン ピ シ ン 耐 性 株 で あ る バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) K
20
SM−16M−372(FERM P−20761)を得た。
【0049】
【表1】
【0050】
30
(10)
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【表2】
10
20
【0051】
実施例2
親 株 と し て バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) K S M − 1 6 M − 3 7 2 ( F
ERM P−20761)を培地Aに接種し、34℃で約18時間好気的に振盪培養した
後、遠心分離を行い得られた菌体を、NTGを10∼200μg/mL含有する培地Aに
懸濁し、30℃で30分間放置した。次に遠心分離により菌体を集め、培地Aで数回洗浄
した後、この処理液を新たに培地Aに1%接種し、34℃で20時間振盪培養を行った。
この培養液をバンコマイシン6.8μg/mL以上添加した培地Cに塗布し、30℃で3
日間培養した。生育したコロニーを取り、同培地、次いで、培地Cにて純化を繰り返し、
バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) K S M − 3 M − 3 0 ( F E R M P − 2 0
7 6 2 ) を 得 た 。 バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) K S M − 3 M − 3 0 ( F
ERM P−20762)のバンコマイシン耐性は、親株であるバチルス・クラウジイ(
Bacillus clausii) K S M − 1 6 M − 3 7 2 ( F E R M P − 2 0 7 6 1 ) と 同 程 度 に
まで低下していた。
【0052】
30
(11)
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【表3】
10
20
【0053】
実 施 例 4 バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) の ゲ ノ ム の 塩 基 配 列 決 定
バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) K S M − K 1 6 株 、 同 K S M − 1 6 M − 3
72株、同KSM−3M−30株を染色体DNA調製に使用した。染色体DNAのライブ
30
ラ リ ー 構 築 に 使 用 す る 宿 主 菌 に は 、 大 腸 菌 ( Escherichia coli) D H 5 α ( タ カ ラ バ イ オ
)を使用した。
【0054】
(1)ホールゲノムショットガンライブラリーの作製
バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) の 菌 株 を 、 1 0 % 炭 酸 ナ ト リ ウ ム で p H 8
. 5 に 調 整 し た T S B 培 地 ( BD BBL Trypticase Soy BrothTM ;BD Diagnostic Systems)
1 0 0 m L 中 で 3 0 ℃ に お い て 培 養 し た 。 対 数 増 殖 期 の 菌 体 か ら 、 斉 藤 と 三 浦 ( Saito &
Miura) の 方 法 ( フ ェ ノ ー ル 法 ; サ イ ト ウ ( S a i t o ) ら 、 Biochem. Biophys. Acta.
72, 619-629 (1963)) に よ り 染 色 体 D N A を 得 た 。
20μgの染色体DNA(100μg/mL)を超音波破砕により断片化した。断片化
40
DNAは、30℃、5分間のBAL31ヌクレアーゼ(タカラバイオ)処理により、突出
末端を平滑化した後、フェノール・クロロホルム処理とエタノール沈殿により精製した。
次 に DNA Blunting Kit( タ カ ラ バ イ オ ) で T 4 D N A ポ リ メ ラ ー ゼ 処 理 後 、 フ ェ ノ ー ル
・クロロホルム処理とエタノール沈殿により精製した。続いて、精製DNA断片のアガロ
ー ス 電 気 泳 動 を 行 い 、 1 − 2 k b の 画 分 を Qiaquick Gel Extraction Kit(QIAGEN)を 用 い
て回収した。
【0055】
こ の D N A 画 分 と 等 量 の ベ ク タ ー pUC18/SmaI/BAP( Amersham Pharmacia Biotech) を 1
: 1 の 比 率 で 混 合 し 、 DNA Ligation Kit Ver.1( タ カ ラ バ イ オ ) を 用 い て 、 1 6 ℃ で 一 晩
、 ラ イ ゲ ー シ ョ ン を 行 っ た 。 そ の 後 、 こ の D N A に て コ ン ピ テ ン ト セ ル 大 腸 菌 E.coli DH5
50
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αを形質転換した。形質転換体は、100μg/mLのアンピシリン含むLB寒天培地に
6
塗布し、30℃で一晩培養した。この方法により、約1x10 クローン/μgベクター
の形質転換効率のホールゲノムショットガンライブラリーを作製した。
【0056】
(2)ショットガンシーケンシング用鋳型DNAの増幅
ショットガンクローンは、100μg/mLのアンピシリン含むLB液体培地を用いて
、 3 7 ℃ で 1 8 時 間 培 養 し た 。 こ の 培 養 液 を 鋳 型 と し て 、 イ ン サ ー ト D N A を TaKaRa Ex
TaqTM( タ カ ラ バ イ オ ) を 用 い た P C R に よ り 増 幅 し た 。 こ の P C R に は 、 ベ ク タ ー の 塩
基 配 列 よ り 設 計 し た プ ラ イ マ ー L F ( 5'-CAAGGCGATTAAGTTGGGTAACG-3') ( 配 列 番 号 1 1
) と L R ( 5'-CTTCCGGCTCGTATGTTGTGTG-3') ( 配 列 番 号 1 2 ) を 使 用 し た 。
10
【0057】
(3)鋳型DNAの精製
P C R 産 物 に 残 存 す る 未 反 応 の プ ラ イ マ ー を 、 exonuclease I( Amersham Pharmacia Bi
otech) に よ り 分 解 し 、 そ の 分 解 物 を shrimp alkaline phosphatase(Amersham Pharmacia
Biotech) に よ り 脱 リ ン 酸 化 す る こ と で P C R 産 物 の 精 製 を 行 っ た 。
【0058】
(4)ショットガンクローンのシーケンシング
ショットガンクローンのシーケンシングは、インサートDNAの精製PCR産物を鋳型
と し 、 L F ま た は L R を プ ラ イ マ ー と し て 、 DYEnamic ET terminator( Amersham Pharmac
ia Biotech) を 使 用 し て 行 っ た 。 反 応 産 物 は 、 エ タ ノ ー ル 沈 殿 に よ り 精 製 後 、 キ ャ ピ ラ リ
20
ー型DNAシーケンサーを用いてシーケンシングを行った。
【0059】
(5)アセンブル(配列結合編集)
シ ョ ッ ト ガ ン ク ロ ー ン よ り 得 た 配 列 デ ー タ は 、 大 型 ア セ ン ブ ル ソ フ ト Phred/Phrap( Ewi
ngら 、 Genome Res. 8, 186-194 (1998)) を 使 用 し て ア セ ン ブ ル し た 。
【0060】
実施例5 KSM−K16株とKSM−16M−372株の間における変異点の抽出
バ チ ル ス ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) K S M − K 1 6 株 と K S M − 1 6 M − 3
72株の塩基配列を比較したところ、以下に示す様に、2遺伝子に各1ヶ所、および、1
遺伝子に2ヶ所の変異が検出された。
30
【0061】
第 1 に 、 本 発 明 の 配 列 番 号 2 に 示 す D N A 依 存 性 R N A ポ リ メ ラ ー ゼ [EC:2.7.7.6]β サ
ブ ユ ニ ッ ト ( RpoB) を コ ー ド す る D N A の 塩 基 配 列 ( 配 列 番 号 1 ) に お い て 、 1 4 3 6 番
目のCからTへの変異を検出した。この変異は、配列番号2に示すアミノ酸配列において
479番目のアラニン残基がバリン残基に置換された(A479V)変異を生ずる。
【0062】
第 2 に 、 配 列 番 号 4 に 示 す シ グ マ − B 活 性 の 間 接 的 な 正 の 制 御 因 子 ( RsbU) を コ ー ド す
るDNAの塩基配列(配列番号3)において、527番目のAからGへの変異および69
3番目∼700番目の連続したTのうち何れか1塩基のTの欠失を検出した。前者の変異
は、配列番号4に示すアミノ酸配列において176番目のアスパラギン残基がグリシン残
40
基に置換された(D176G)変異をもたらす。後者の欠失変異は、配列番号4に示すア
ミノ酸配列においてフレームシフトを起こし、コドン234からコドン250までに異な
るアミノ酸配列をコードするコドンを生じ、コドン251に終止コドンを生ずる。
【0063】
第 3 に 、 配 列 番 号 6 に 示 す リ ボ ヌ ク レ ア ー ゼ P H [EC 2.7.7.56)(rph)を コ ー ド す る D N
Aの塩基配列(配列番号5)において、439番目から445番目の何れか1ヶ所へのA
の挿入を検出した。この変異は、配列番号6に示すアミノ酸配列においてフレームシフト
を起こし、コドン149とコドン150に異なるアミノ酸配列をコードするコドンを生じ
、コドン151に終止コドンを生ずる。
【0064】
50
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実施例6 KSM−16M−372株と3M−30株の間における変異点の抽出
バ チ ル ス ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) K S M − 1 6 M − 3 7 2 株 と K S M − 3
M−30株の間で配列を比較したところ、以下に示す様に、2遺伝子において各1ヶ所の
変異が検出された。
第1に、配列番号8に示すユビキノン生合成蛋白質をコードするDNAの塩基配列(配
列番号7)において、1586番目のCからTへの変異を検出した。この変異は、配列番
号8に示すアミノ酸配列において529番目のアラニン残基がバリン残基に置換された(
A529V)変異を生ずる。
【0065】
第 2 に 、 配 列 番 号 1 0 に 示 す 3 0 S リ ボ ソ ー ム 蛋 白 質 S 2 ( RpsB) を コ ー ド す る D N A
10
の塩基配列(配列番号9)において、28番目のCからTへの変異を検出した。本変異は
、配列番号10に示すアミノ酸配列において10番目のロイシン残基がフェニルアラニン
残基に置換された(L10F)変異を生ずる。
【0066】
実 施 例 7 K S M − K 1 6 株 か ら の D N A 依 存 性 R N A ポ リ メ ラ ー ゼ ( RpoB) 変 異 株 の 構
築
バ チ ル ス ・ ク ラ ウ ジ イ ( Bacillus clausii) K S M − K 1 6 株 の 培 養 液 を 、 0 . 1 μ
g / m L リ フ ァ ン ピ シ ン 、 0 . 1 % 炭 酸 ナ ト リ ウ ム 、 1 . 5 %精 製 寒 天 を 含 む T S B 固 体
培地に塗布して、30℃でインキュベーションした。形成したコロニーからゲノムDNA
を 調 製 し 、 こ れ を 鋳 型 と し て D N A 依 存 性 R N A ポ リ メ ラ ー ゼ ( RpoB) β サ ブ ユ ニ ッ ト (
20
RpoB) を コ ー ド す る 配 列 を 決 定 す る こ と に よ り 、 R p o B の 4 7 9 番 目 の ア ラ ニ ン 残 基 が
バリン残基に置換された(A479V)変異株を取得した。この変異株をK16rpoB
−A479V株とした。
【0067】
実施例8 Skim Milk含有固体培地における透明帯形成によるプロテアーゼ分泌
量の検定
K16rpoB−A479V株、KSM−16M−372株の2菌株を、10%炭酸ナ
ト リ ウ ム で p H 8 . 5 に 調 整 し た 1 % S k i m M i l k (BD Diagnostic Systems)、
1 . 5 % A g a r を 含 む T S B ( BD BBL Trypticase Soy BrothTM ;BD Diagnostic Sys
tems) 培 地 で 調 製 し た 1 枚 の 固 体 培 地 上 で 3 0 ℃ に お い て 培 養 し た 。 培 養 2 日 目 に 、 分 泌
30
されたアルカリプロテアーゼによるSkim Milkの分解のために生じた透明帯の直
径を測定した(表4)。
その結果、透明帯の直径(n=4)は、rpoB遺伝子にA479Vの変異を有する変
異株K16rpoB−A479V株における11.1±1.1mmよりも、さらに変異が
導入されているKSM−16M−372株における12.5±0.6mmの方が有意に大
きかった(p<0.003)。このことから、KSM−16M−372株においてrpo
B遺伝子のA479V変異の他に更に導入された変異によるアルカリプロテアーゼ分泌の
向上が固体培地上で確認された。
【0068】
【表4】
40
【0069】
実施例9 評価培養
1.5 % (v/v)
アミノ酸液(アスパラギン酸2%、トレオニン0.8%、セリン1.1
50
(14)
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%、グルタミン酸3%、グリシン0.9%、アラニン1.2%、バリン0.8%、メチオ
ニン0.1%、イソロイシン0.3%、ロイシン0.6%、チロシン0.1%、フェニル
アラニン0.6%、リジン1.2%、ヒスチジン0.5%、アルギニン1.1%、プロリ
ン1.2%)、0.2% 酵母エキス、1.2% 魚肉エキス、0.3%リン酸2カリウ
ム、0.006%チアミン塩酸塩、1%グルタミン酸ナトリウム、0.3%アルギニン塩
酸塩、0.6%ヒスチジン塩酸塩、0.2%メチオニン、200ppm 硫酸マグネシウ
ム、40ppm硫酸マンガン、10ppm硫酸第2鉄、6ppm硫酸亜鉛、2ppm硫酸
ニッケル、0.6ppm硫酸銅、12%マルトース1水和物、0.3%炭酸ナトリウムか
らなる培地(記述のない限り重量%)を、500mL容ひだ付三角フラスコに20mL仕
込み、KSM−K16株、KSM−16M−372株、KSM−3M−30株、K16r
10
poB−A479V株の各培養液を0.4mL接種後、210r/minで34℃にて2
日間培養した。得られた培養液を2500r/min、15分間遠心分離し培養上清のプ
ロテアーゼ活性を測定した。すなわち、水酸化ナトリウムで p H10.5に調整した0
.1M ほう酸/0.1M 塩化カリウムの緩衝液0.5mL、脱イオン水0.4mL及び
0 . 1 M N -succinyl-L-Alanyl-L-Alanyl-L-Alanyl-p-nitroanilide(ペ プ チ ド 研 究 所 製
)0 . 0 5 m L か ら な る 反 応 液 を 3 0 ℃ で 3 分 間 恒 温 し た 後 、 0 . 0 5 m L の 酵 素 液 を 加
え反応を開始した。30℃で5分間恒温した後、2mLの5%(w/v)クエン酸を加え
反応を停止した。420nmにおける吸光度を測定し、遊離したp−ニトロアニリンを定
量した。尚、プロテアーゼ活性はKSM−K16株のp−ニトロアニリン生成量を100
とした相対値で示した。表5に示したように、KSM−K16株よりもKSM−16M−
20
372株でプロテアーゼの生産量は増大し、KSM−3M−30株では更にプロテアーゼ
の生産量は増大した。K16rpoB−A479V株は、KSM−16M−372株と同
等のプロテアーゼ生産量であった。
【0070】
【表5】
【配列表】
2007259725000001.app
30
(15)
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フロントページの続き
(74)代理人 100117156
弁理士 村田 正樹
(74)代理人 100111028
弁理士 山本 博人
(74)代理人 100101317
弁理士 的場 ひろみ
(74)代理人 100121153
弁理士 守屋 嘉高
(74)代理人 100134935
弁理士 大野 詩木
(74)代理人 100130683
弁理士 松田 政広
(74)代理人 100140497
弁理士 野中 信宏
(72)発明者 影山 泰
栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会社研究所内
(72)発明者 高木 善弘
神奈川県横須賀市夏島町2番地15 独立行政法人海洋研究開発機構内
(72)発明者 島村 繁
神奈川県横須賀市夏島町2番地15 独立行政法人海洋研究開発機構内
(72)発明者 西 真郎
神奈川県横須賀市夏島町2番地15 独立行政法人海洋研究開発機構内
(72)発明者 小林 徹
神奈川県横須賀市夏島町2番地15 独立行政法人海洋研究開発機構内
(72)発明者 伊藤 進
神奈川県横須賀市夏島町2番地15 独立行政法人海洋研究開発機構内
(72)発明者 掘越 弘毅
神奈川県横須賀市夏島町2番地15 独立行政法人海洋研究開発機構内
Fターム(参考) 4B024 AA03 BA14 CA02 CA11 CA20 DA06 DA07 EA04 GA25 HA01
HA11
4B050 CC02 DD02 LL04
4B065 AA15X AA15Y AC14 BA18 CA33 CA57
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