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ProDeSセンターのご紹介 - PFU
トピックス 開発製造サービス ProDeS 参1)において,お客様によ り高品質な商品を,よりスピーディに提供するため,新た に ProDeS センターを建設,ProDeS の開発・試作機 能と,関係会社で行っていた試作・製造機能を集約しまし た. ProDeS センターでは,お客様の信頼を勝ち取るため の数々の仕掛けを用意しておりますので,以下のとおりご 紹介いたします. 1 建設の背景・趣旨 ProDeS の推進にあたっては,モノづくりに関する お客様のご要望に対して「迅速に」 「高品質な製品を」 まえながらメリット・デメリットを比較した結果, 高松工業団地を取得のうえ建設することとしまし た.主な選定理由は以下のとおりです. 「高い信頼性をもって」提供することが大変重要となり 1)敷地面積が広い(約 1 万坪)ため充分なワンフ ます.これらを実現するには,開発/試作/製造環境の一 ロア面積を確保でき,建設コスト面のメリットも 層の充実はもちろんのこと,各部門が密接に連携しなが 大きい. ら取り組むことが不可欠となります. したがって,関連部門すべてが同じ建屋に集結できる ProDeS センターを建設,スペース不足の解消や物流 の簡素化といった点も含め,大幅に業務効率の向上を図 るとともに,今後のビジネス拡大に備える充分な体制整 備を図ったものです. 2)近隣に民家がないため,電波障害や騒音・振動の 影響を心配する必要がない. 3)マイカー通勤者による本社周辺における朝夕の 交通混雑を緩和できる. (3)建設スケジュール ビジネス上の要請もあり,以下のとおり短期間での建 設が必要となりました.2005 年末の大雪の影響が危 2 建設の具体化 (1)建屋の条件 ProDeS センターに求められた条件は以下のとおり です. 1)ProDeS 関連の開発部門,試作/製造部門がすべ 惧されましたが,関係者の協力のおかげで予定通り稼動 を開始することができました. 1)2005 年 10 月 建設計画の決定 2)2006 年 1 月 着工 3)2006 年 5 月 一部(試作/製造部門)稼動 4)2006 年 7 月 全体(開発部門含む)稼動 て入居可能 2)製造部門(PFU テクノワイズ(以下「PTW」 ) はワンフロアに集約 3)工作工場の騒音・振動が周囲に影響を及ぼさな い (2)建設場所の選定 3 ProDeS センターの特長 3.1 建屋ほか概況 建屋と勤務人員の概況は表−1のとおりです.A 棟 2 階は開発部門,A 棟 1 階は PTW 組立ライン,B 棟は 建設候補地は本社敷地および地元かほく市内の高 PTW 工作部門と同一敷地内に関係部署が同居したこと 松工業団地の 2 地区に絞り込み,前項の条件を踏 により,それぞれの意思疎通や連携が大幅に改善,開発 PFU Tech. Rev.,18, 1,pp.1-5(05,2007) 1 ProDeS センターのご紹介 スピードや製品の品質,信頼性の向上に大きく寄与する (図−1 b) ,c)参照) . こととなりました. (3)遠隔 VDR ProDeS 商談は全国展開しており,ProDeS センタ 3.2 開発環境(A 棟 2 階) ーに頻繁に来られない遠方のお客様とも円滑にコミュニ ケーション可能な環境が必要となります. (1)基本コンセプト 製品開発の早い段階でお客様とレビューできるよう, そこで,各地の開発/営業拠点と ProDeS センター たとえ遠隔地間であっても円滑なコミュニケーションが の VDR ルームをネットワークで結び,遠隔地間でも 確保できるとともに,レビューの場に豊富な情報(ナレ CAD 画面を同期させながら議論できる機能を加えると ッジやデータ)をすばやく提供できる環境としました. ともに,高精度の Web カメラを通じてお互いの状況や 製品サンプルを詳細に見ながら議論できる環境を構築し (2)VDR ルーム VDR(Virtual Design Review)とは,試作品を作 ました.これにより,お客様は最寄の当社拠点に来てい 成する前に CAD 画面を見ながら開発製品の妥当性確 ただくだけで臨場感溢れるデザインレビューを行うこと 認(デザインレビュー)を仮想的に行う検証活動のこと ができるようになりました.図−2に Super-VDR の であり,当社においては 8 年以上にわたる活動実績が 遠隔コラボイメージを示します. あります (4)CAE ルーム . 参2) ProDeS センターでは VDR ルームを 3 室設置しま ProDeS においては,PFU の総合力を求められる したが,内 1 室は豊富な情報をお客様とのレビューの 開発案件が数多くあり,各々の分野を超えたチームを柔 場に同時提供できるよう,120 インチの大画面スクリ 軟に編成することが重要となります. LSI,PCB,筐体/構造設計,解析等の CAD シス ーンを含む 3 画面を設置,呼称も「Super VDR ルー テムを CAE ルームに集結させるとともに,メンバー ム」としました(図−1 a)参照) . 他の 2 室(VDR-A,VDR-B)は CAE ルームに隣 接する形で設置,設計中に問題が生じた場合に関係者が 即座に議論を行える環境とすると同時に,壁の色にも心 が容易にコミュニケーションできるような環境としまし た(図−3参照) . (5)システム検証センター 理学的な配慮を盛り込み,一方は議論を活性化させるオ ProDeS として開発/製造受託した製品のハードウ レンジ色,他方は落ち着いた議論を促す青色としました ェアやシステム,SE アプリケーションの一部やお客様 が開発/調達した製品等が,お客様の要望通りにうまく ●表−1 建屋と勤務人員● 区 分 敷地面積 機能するかどうかを幅広く検証するために,約 1 000 ㎡の広さを持つシステム検証センターを構築しました. 規 模 図−4にシステム検証センターの一部を示します. 35 737 ㎡ A 棟(鉄骨 2 階建:延床面積 16 800㎡ ⇒ 開発製造棟) 1)セキュリティルーム 建屋構成 B 棟(鉄骨平屋建:延床面積 2 652㎡ ⇒ 工作棟) 勤務人員 お客様の未発表製品や顧客情報が入った製品を検 約 500 名 a)Super-VDR 具体的な設備は以下のとおりです. 証すべく,カードキーによるセキュリティルームを 2 b)VDR-A c)VDR-B ●図―1 VDR ルーム● 2 PFU Tech. Rev.,18, 1,(05,2007) ProDeS センターのご紹介 a)サブスクリーン 遠隔地の様子を表示 b)メインスクリーン(120 inch) CAD 画面を表示 c)サブスクリーン 資料や規格を表示 ●図―2 Super-VDR の遠隔コラボイメージ● ●図―3 CAE ルーム● ●図―4 システム検証センター● 室装備しました. の工夫や IT 機器装備を通じて,スピードと品質でお客 2)信頼性試験室 様に感動を与えることのできる製造環境構築を目的とし 寿命試験用の大型 6 軸ロボット,部品解析用の蛍 光 X 線分析器,三次元マイクロスコープ,分光光度 計,断面研磨装置,熱衝撃試験機等,多数の試験設 ました. (2)生産効率の向上 ProDeS センター建設を機に,従来は石川県内 6 か 備を保有しました. 所に分散していた各工場を統合,倉庫の分散ロスや工場 3)ソフトウェア検証エリア 間の物流ロスが解消されたと同時に,品質対応や設計検 各種 OS のサーバと 100 台以上のクライアント パソコン,各種ネットワークシミュレータ設備に加 証等のため,人が工場間を移動する時間的ロスも解消で きるようになりました. え,NTT 金沢局とダークファイバーにより直結,光 さらに,図−5に示すような「ワンフロア一貫製造体 インターネット環境の提供や顧客データセンターに 制」を実現したことにより,部品・製品の構内物流効率 接続しての検証等,地域的な問題をクリアした検証 を大幅に向上させることができました. を実施します. 4)ハードウェア検証エリア 大型環境試験室やノイズシールドルーム,各種ノ イズ試験機/測定機類を装備しました. (3)新規設備の導入 試作生産能力の向上,緊急部品製作や設計変更への柔 軟な対応による試作スピードの向上を図るため,以下の ような最新設備を導入,CAD / CAM データとの連 携強化とあいまって,加工リードタイムの大幅短縮を実 3.3 PTW の製造環境(A 棟 1 階および B 棟) (1)基本コンセプト PFU の ProDeS 製品の主力製造工場として,各種 PFU Tech. Rev.,18, 1,(05,2007) 現しました. 1)プレスレーザー複合機 既存金型に左右されない柔軟で,しかも高速の試 3 ProDeS センターのご紹介 作対応が可能となりました.加工スピードは従来比 で約 5 倍,夜間の無人稼動も可能です(図−6 a) 1)変種変量生産への柔軟な対応 屋台型セル生産 1 台流し生産方式を採っており, 参照) . 大型製品・卓上型製品・小型製品の 3 形態でライン 2)二次元測定機 構築しています(図−7 a) ,b) ,c)参照) . プレスレーザー複合機で加工したものを,レーザ ースキャンによる高速検査を実施(図−6 b)参照) . 板金形状の高速測定と検査データ自動生成,プロ 2)生産効率向上のしかけ 自作の簡易クリーン BOX 活用,生産状況のリア ルタイム予実把握,各ラインの異常の早期伝達,タ グラミングミスの早期検出が可能になりました. クト安定化を図るムービングラインや空間活用を狙 3)プレスブレーキ った藤棚設置等,独自のアイデアを工場の至るとこ CAD データとの連携により,段取りを含めた曲げ ろで見ることができます(図−7 d) ,e) ,f)参 加工リードタイムを大幅に削減しました(図−6 c) 照) . 参照) . 3)ショップフロアマネジメント 各ラインを店(SHOP)と見なし,ラインマネー 4)自動バリ取り機 従来手作業だった加工後のバリ取りを自動化,品 ジャはその店の経営者としてラインの損益管理を徹 質安定化と加工リードタイムの大幅削減を実現しま 底します.各マネージャが経営者としての意識を持 した(図−6 d)参照) . ち,やりがいをもって取り組むことで,工場全体の 損益を改善することを目的としています. (4)見える化と魅せる化 工場を見学されたお客様が, 「この工場なら任せられ る」と安心感を持っていただけるよう,3S の徹底に加 3.4 その他の工夫 え,省力化,異常管理(見える化) ,生産進捗管理,工 ProDeS センターでは,社員にとって働きやすい環 場環境の観点で,絶え間ない生産革新活動を展開してい 境となるよういくつかの工夫を行っておりますので,以 ます. 下にご紹介いたします. (1)カラー会議室 VDR ルーム同様,会議室毎に心理学的な効果を狙っ た色合いを工夫,議論の性格に応じて黄色系,緑色系等 B 棟(工作棟) の部屋を使い分けることが可能です(図−8 a) ,b) 参照) . (2)立ち会議コーナー フロア内に立ち会議コーナーを設置,ワンフロアに集 A 棟 1 階(製造棟) 結した開発関係者が,浮かんだアイデアをすぐその場で ワンフロア一貫製造 議論できる環境を提供しています(図−8 c)参照) . (3)リフレッシュコーナー A 棟中央に階段室を兼ねたリフレッシュコーナーを ●図―5 ワンフロア一貫製造体制の全体図● a)プレスレーザー複合機 設置,中央の植栽には季節に応じた装飾が施され,行き b)二次元測定機 c)プレスブレーキ d)自動バリ取り機 ●図―6 新規設備● 4 PFU Tech. Rev.,18, 1,(05,2007) ProDeS センターのご紹介 a)自立大型製品ライン b)卓上型製品ライン c)小型製品ライン d)簡易クリーン BOX e)生産進捗大型画面/パトライトシステム f)藤棚 ●図―7 生産ラインと生産効率向上に向けた仕掛け● a)カラー会議室(黄) b)カラー会議室(緑) c)立ち会議コーナー d)クリスマス e)お正月 ●図―8 その他の工夫● かう社員の気分転換に役立っています(図−8 d) ,e) したとおりの商談対応力向上を果たしています. 今後も一層のスピードアップおよび品質の向上に努 参照) . め, 「技術と信頼の PFU」を具現化する場として,お 4 まとめ ProDeS センターは 2006 年 7 月の完全稼動以来, 早くも 1 年近くを経過しようとしています. ProDeS に関わる開発部門と試作/製造部門が同居 したことに伴うコミュニケーション円滑化は,当初期待 PFU Tech. Rev.,18, 1,(05,2007) 客様に一層のアピールをしてまいります. 参考文献 参1)開発製造サービス ProDeS 紹介ホームページ http://www.pfu.fujitsu.com/prodes/ 参2)市川,南雲:バーチャル・デザイン・レビュー, PFU Tech., Rev., 11, 2, pp. 92-97(2000). 5