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~これだけは知っておきたい~特定商取引法講習会
A コース:通信販売を行う事業者向け特定商取引法講習会
平成28年1月18日
通信販売と特定商取引法
弁護士 薬 袋 真 司
1.通信販売と法律
(1)通信販売
→新聞、雑誌、テレビ、カタログ、インターネット等で広告を行い、購入者から郵便、電
話、電子メール等の通信手段で申込みを受ける取引。
ただし、電話で勧誘して申込みを受ける取引(電話勧誘販売)は別に規制があり、「通信
販売」には含まない。
(2)通信販売に関わる法律
・特定商取引法(特定商取引に関する法律)
・民法
・消費者契約法
・景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)
・不正競争防止法
・電子契約法(電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律)
・消費生活条例(大阪府消費者保護条例等)
・その他(対象商品に関する法律、著作権等に関する法律など)
(3)参考文献、参考ウェブサイト
・消費者庁取引対策課等『平成 24 年版 特定商取引に関する法律の解説』
・消費者庁ウェブサイト・取引対策<http://www.caa.go.jp/trade/>
・特定商取引法ガイド<http://www.no-trouble.go.jp/index.html>
・公益社団法人日本通信販売協会ウェブサイト<http://www.jadma.org/>
・同協会「通販法務ハンドブック」<http://www.jadma-handbook.org/>
・経済産業省「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」1
2.特定商取引法とは
経済産業省・報道発表(2014 年 8 月 8 日)
「『電子商取引及び情報財取引等に関する準則』
を改訂しました<http://www.meti.go.jp/press/2014/08/20140808003/20140808003.html>。
1
1
(1)特定商取引法
→正式名称は、
「特定商取引に関する法律」。以前は、「訪問販売等に関する法律」
(訪問販
売法)という名称であった(平成12年に改称)
。
訪問販売などトラブルになりやすい取引類型(主として販売形態)を対象として、トラ
ブル防止のルールを定めて、消費者取引の公正を確保するための法律。
(2)特定商取引法の定めるルール
① 行政ルール(基本的には業法の性格を持つ)
・広告規制 …広告を利用する取引について、表示事項の義務づけ、誇大広告等を禁止
している
・開示規制 …消費者への適正な情報提供といった観点から文書等の交付などの規制を
課している。
・行政処分 …業者が違反した場合は、行政処分(報告を求める、立ち入り調査を行な
う、改善指示、業務停止処分、業者名の公表)
・罰則 …違反に対しては罰則があるものがある。
開業規制はない
→誰でも自由に業務として取引ができる。この点で、貸金業法、旅行業法等の多くの
法律が、許可制・登録制の業界規制をしていることと大きく違う。
② 民事ルール(契約法的な性格も強く持っている)
・民事特別法 …消費者と事業者間のトラブルを防止するために、民法等に比べて被害
者救済が容易に図れるようにしている。
・契約の解消 …クーリング・オフ(冷静に考え直して、自由に申込みの撤回あるいは
契約の解除をすること)、顧客の契約取消権(消費者契約法上の契約取
消権に類似するもの)、中途解約権
・契約内容の規制 …損害賠償額の制限、クーリング・オフ等の片面的強行法規性
(3)通信販売のルールの特徴
→消費者が広告を見て自主的に行う取引なので、訪問販売等とは異なり、書面交付義務、
クーリング・オフ、取消権等の規定はない。
→商品自体を直接確認して行わないことや、事業者と面談することなく行うという点から、
広告規制が中心となる。
3.特定商取引法の定める通信販売のルール
(1)対象となる「通信販売」
→事業者が新聞、テレビ、ダイレクトメール等で広告をし、消費者が郵便、電話、インタ
ーネット等の通信手段で申込みを行う形の取引。
・広告 …カタログ、新聞、雑誌、折込みチラシ、投げ込みチラシ、ダイレクトメールな
どの紙媒体や、テレビ、ラジオ、ホームページ、電子メールなどもすべて対象
となる。
2
・申込み …「郵便その他の省令で定める方法」
(郵便等)は、郵便、信書便、電話機、フ
ァクシミリ装置その他の通信機器又は情報処理の用に供する機器を利用する
方法、電報、預金又は貯金の口座に対する払込み。
・取引 …商品若しくは指定権利の販売又は役務の提供であって、電話勧誘販売に該当し
ないもの。
「指定権利」とは、施設を利用し、あるいは、役務の提供を受ける権利のうち、
国民の日常生活に関する取引において販売されるものであって、政令で定めら
れているもの
→① 保養のための施設又はスポーツ施設を利用する権利
② 映画、演劇、音楽、スポーツ、写真又は絵画、彫刻その他の美術工芸品を
鑑賞し、又は観覧する権利
③ 語学の教授を受ける権利)。
特定商取引法の見直しの議論では、
「指定権利」の制度は廃止の方向となっている
・事業者 …「販売業者または役務提供事業者」は、販売または役務の提供を業として営
む者。
「業として営む」とは、営利の意思をもって、反復継続して取引を行う
こと。
インターネット・オークションにおける出品者
→営利の意思を持って反復継続して行う場合は、個人でも事業者に該当しうる。
「インターネット・オークションにおける『販売業者』に係るガイドライン」2
(2)広告における表示事項(法 11 条)
・広告に表示すべき事項。
②
販売価格(役務の対価)(価格に送料が含まれない場合には、送料の表示も必
要)
代金(対価)の支払い時期、支払い方法
③
商品の引渡時期、権利の移転時期、役務の提供時期
④
商品(指定権利)の売買契約の申込みの撤回又は解除に関する事項(返品の
特約がある場合はその旨も含む。)
⑤
事業者の氏名(名称)、住所、電話番号
①
⑥
⑦
2
事業者が法人であって、電子情報処理組織を利用する方法により広告をする
場合には、その代表者または通信販売業務の責任者の氏名
申込みの有効期限があるときには、その期限
⑧
販売価格、送料等以外に購入者等が負担すべき金銭があるときには、その内
容とその額
⑨
商品に隠れた瑕疵がある場合に、販売業者の責任についての定めがあるとき
は、その内容
⑩
ソフトウェアに関する取引である場合は、そのソフトウェアの動作環境
<http://www.no-trouble.go.jp/search/raw/pdf/20120401ra01.pdf>
3
⑪
商品の販売数量の制限等、特別な販売条件・役務提供条件があるときには、
その内容
⑫
広告表示の一部を表示しない場合に、請求によって、その説明書を提供する
場合に、請求者に金銭を負担させるときは、その金額
⑬
電子メールによる商業広告を送る場合には、事業者の電子メールアドレス
・具体的な表示例
→適切な表示と不適切な表示
「通信販売広告について」
(特定商取引法ガイド)
<http://www.no-trouble.go.jp/search/what/P0204004.html>
・表示事項の一部省略
→消費者から請求があれば、省略した事項を記載した書面(インターネット通販では電
子メールでもよい)を「遅滞なく」提供することを広告に表示し、かつ、実際に請求
があった場合に「遅滞なく」提供できるような措置を講じている場合には、広告の表
示事項を一部省略することができる事項がある。
ただし、事項によっては、
省略できない事項があることに注意が必要(特に返品特約)
。
【省略基準】
販売価格・送料その他消費者の負担する
表示事項
金銭
全部表示したとき
代金等の支払時期
前払のとき
省略不可
後払のとき
省略可
代金等の支払方法
商品の引渡時期等
省略可
遅滞なく送付
それ以外
省略可
省略不可
全部表示しないとき
省略可
省略可
省略可
返品に関する事項
省略不可
省略不可
販売業者の氏名等
省略可
省略可
法人のネット広告における法人代表者名 or
責任者名
省略可
省略可
省略不可
省略不可
申込みの有効期限
商品の隠れた瑕疵に関す
る販売業者の責任
負う
省略可
負わない
省略不可
省略可
ソフトウェアを使用するための動作環境
省略不可
省略不可
販売数量の制限等特別の販売条件
省略不可
省略不可
請求により送付する書面の価格
省略不可
省略不可
(電子メールで広告をするときは)電子メー
ルアドレス
省略不可
省略不可
(参考)
「通信販売広告 Q&A」(特定商取引法ガイド)
4
<http://www.no-trouble.go.jp/advice/P0404002.html>
「通信販売における返品特約の表示についてのガイドライン」
<http://www.no-trouble.go.jp/search/raw/pdf/20120401ra04.pdf>
・違反の効果
→行政処分の対象
返品特約の記載がないときは法定返品制度が適用される
【事例】
屋号のみを表示し、氏名、住所、電話番号を不表示としていた例(危険ドラッグの
通販サイト)
【事例】
会社名を表示せずに屋号のみを表示、戸籍上の氏名以外を表示した例(開運ブレス
レットの通販等)
【事例】
開運ブレスレットの通販で、
「お布施代・祈祷料・登録料」等、消費者が実際に負担
すべき金額や商品発送の際の送料、代金の支払の時期、商品の引渡時期等について
表示していなかった例
(3)誇大広告等の禁止(法 12 条)
・表示事項等について、「著しく事実に相違する表示」や「実際のものより著しく優良で
あり、もしくは有利であると人を誤認させるような表示」は禁止
・合理的根拠資料の提出(法 12 条の2)
→商品の品質、役務の効能等について合理的根拠資料の提出を求められたにも関わらず、
相当期間内(15日程度)にその提出がないときは、虚偽・誇大広告の禁止に違反す
るものとみなされる。
・違反の効果
→行政処分、罰金(100 万円以下)
【事例】
開運ブレスレットの通販で、
「お布施代・祈祷料・登録料」等、消費者が実際に負担
すべき金額や商品発送の際の送料、代金の支払の時期、商品の引渡時期等について
表示して射なかった例
【事例】
保証人紹介・斡旋サービスを行う業者が、ウェブサイトで、成約率(賃貸保証の場合
98%、身元保証の場合 98%、融資保証の場合 85%)、あるいは、保証人として登録
している者の人数(約 5,300 名登録)や登録保証人の属性(会社員や公務員、企業
社長など)について表示していたが、これらの表示は、具体的な算定根拠等を持つ
ものではなかった。
(4)電子メール広告の規制
・未承諾者に対する電子メール広告の提供の禁止(法 12 条の3、12 条の4)
5
→消費者があらかじめ承諾しない限り、事業者が電子メール広告を送信することは、原
則として禁止されている(オプト・イン規制)
通信販売業者のほか、通信販売電子メール広告受託事業者も対象
消費者から承諾や請求を受けた場合は、最後に電子メール広告を送信した日から3年
間、その承諾や請求があった記録を保存することが必要
・規制の対象外となる場合
①
②
契約の成立、注文確認、発送通知などに付随した広告
メルマガに付随した広告
③
フリーメール等に付随した広告
・承諾の取得
(参考)
「電子メール広告をすることの承諾・請求の取得等に係る『容易に認識できるよう表
示していないこと』に係るガイドライン」
<http://www.no-trouble.go.jp/search/raw/pdf/20120401ra05.pdf>
(5)前払式通信販売の承諾等の通知(法 13 条)
→消費者が商品の引渡し等を受ける前に、代金(全部あるいは一部)を支払う「前払式」
の通信販売の場合、事業者は、代金を受け取り、その後、 商品の引渡しに時間がかかる
ときには、その申込みの諾否等を記載した書面を渡さなければならない。
①
承諾の有無(承諾しないときには、すぐに返金することと返金方法)
②
代金を受け取る前に承諾の有無を通知しているときには、その旨
③
事業者の氏名(名称)、住所、電話番号
④
受領した金銭の額(それ以前にも金銭を受け取っているときには、その合計額)
⑤
当該金銭を受け取った年月日
⑥
申込みを受けた商品とその数量(権利、役務の種類)
⑦
承諾するときには、商品の引渡時期(期間または期限を明らかにする必要があ
る)
(6)その他の禁止行為(指示対象行為)(法 14 条)
・履行拒否または不当な履行遅延の禁止(1 項 1 号)
・契約解除に伴う債務不履行の禁止(1 項 1 号)
・顧客の意に反して契約の申込みをさせようとする行為の禁止(1 項 2 号)
ネット通販の場合の禁止
①申込画面で、申込みであることが明記されていないもの
②申込内容を確認できるように確認画面の用意されていないもの
③申込画面を確認後に訂正できないもの
(参考)
「インターネット通販における『意に反して契約の申込みをさせようとする行為』
に係るガイドライン」
6
<http://www.no-trouble.go.jp/search/raw/pdf/20120401ra06.pdf>
・効果
→業務改善の指示
【事例】
テレビ広告による健康食品の通販販売について、広告表示にない返品特約の条件
(「返品の際は必ず開封後の空箱と残りのすべての未開封商品を同封してご返送く
ださい」)があるとして、商品の返品に応じず、商品代金の返還の全部又は一部の履
行を拒否した例
【事例】
最終画面に、「この内容で送信する」ボタンしか存在せず、「変更」ボタンやブラウ
ザの「戻る」ボタンで前のページに戻ることの説明がなかった事例(開運ブレスレ
ット等の通販)
電子契約法(電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律)
→電子契約の申込みに際し、消費者が申込みを行う前にその申込み内容などを確認す
る措置などを事業者が講じないと、
消費者の操作ミスによる申込みは無効となる
(民
法 95 条の錯誤無効のルールの修正)
。
(7)返品ルール
・返品条件の有無・内容を明示しない場合には、法定の返品制度が適用される(法 15 条の
2)
→消費者からの「商品」、
「指定権利」の売買契約の申込みの撤回・契約の解除を原則可
能とする(商品等受領日から8日間、送料は消費者負担)
事業者が通信販売の広告で、返品特約に関する記載を省令で定めたルールに従い行な
った場合は、その限りでない。
※通信販売のルールとして、取消権の規定は特定商取引法にはない。
→消費者契約法上の取消権による取消の可能性がある。*
民法の瑕疵担保責任、債務不履行責任の規定の適用がある。
民法の詐欺・錯誤の適用の可能性がある。
特定商取引法の見直しの議論において、通信販売の規律に、虚偽・誇大広告に関する
取消権の規定を導入することは見送られた。
* 消費者契約法における取消権については、
不特定多数の者に向けられたものが含まれ
るか否かについては議論があるところである。
(8)適用除外(法 26 条) …特定商取引法が適用されない。
①
営業のため、または営業として契約するもの
②
海外にいる人に対する契約
③
国、地方公共団体が行う販売または役務の提供
④
特別法に基づく組合、公務員の職員団体、労働組合がそれぞれの組合員に対
して行う販売または役務の提供
7
⑤
事業者がその従業員に対して行った販売または役務の提供の場合
⑥
株式会社以外が発行する新聞紙の販売
⑦
他の法令で消費者の利益を保護することができる等と認められるもの
(9)違反の効果
① 行政処分
・消費者庁、経済産業局、都道府県
・指示(法 14 条)
、業務停止命令(法 15 条)
・報告徴収・立入調査(法 66 条)
・合理的根拠資料の提出要求(法 12 条の2)
② 刑罰
・誇大広告
・前払式通信販売の承諾通知
③ 消費者団体による差止請求(法 58 条の 19)
→事業者が、通信販売における広告について、不特定かつ多数の者に誇大広告などを行
い、または行うおそれがあるときは、
「適格消費者団体」が、事業者に対し、行為の停
止もしくは予防、その他の必要な措置をとることが請求できる。
4.通信販売協会(法 30 条~32 条の2)
・公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)
→1983 年に設立、会員数 695 者(正会員 489 社)
オンラインマーク …適正な販売業者かどうかを判断する目安となるマーク
5.トラブル
(1)顧客とのトラブル
・トラブル対応
・裁判外紛争処理手続(ADR)
(2)差止訴訟
(3)行政による調査、指示・命令
(4)罰則の適用(刑事手続)
6.経済産業局
→「事業者の方からのご相談・法解釈に関するご質問(各経済産業局へ)」
(特定商取引法ガ
イド)<http://www.no-trouble.go.jp/advice/P0402001.html>
…近畿経済産業局消費経済課
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