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2006年9月 第372号のPDFをダウンロード(1.6MB)
News
JIKEN CENTER
自研センターニュース
9
September 2006
平成18年9月15日発行 毎月1回15日発行(通巻372号)
昭和51年5月27日 第三種郵便物認可
C
O
N
T
E
N
T
S
テクノセミナー ・・・・・・・・・・・・・・・・2
新型エスティマハイブリッド
(AHR20W)の
HVシステム紹介
リペアリポート ・・・・・・・・・・・・・・・・8
インストルメントパネル脱着と室内付属品
アウダネオ2活用塾 ・・・・・・・・・・・・・11
アウダネオⅡに表示される記号について
調査・研究報告 ・・・・・・・・・・・・・・・12
超高張力鋼板修理性調査〈その3〉
リペアインフォメーションS ・・・・・・・・・・14
ポイントはピアノ線の通し方
補修塗装指数の解説‐4‐ ・・・・・・・・・・・18
「構造調査シリーズ」新刊のご案内 ・・・・・・・19
リサーチング ザ スケルトンズ ・・・・・・・・・20
スバル ステラ
(RN1、2系)
お客様相談室レポート ・・・・・・・・・・・・・22
指数作成について
別冊 新型車情報
1 ∼□
12
1スバル ステラ(RN1、RN2) ・・・・・・・□
1 ∼□
12
2ホンダ ストリーム
(RN6、7、8、9型)・・・・・□
TECHNO SEMINAR
テクノセミナー
新型エスティマハイブリッド
(AHR20W)
のHVシステム紹介
2006年6月12日に新型のエスティマハイブリッド(AHR 20W)
(以下:エスティマHV)が発売されました。ガソ
リン車は先行発売しており、HVは約5ヶ月遅れての発売です。初代と比べ、ボデー構造が大幅に変わった所
など多々ありますが、ここでは主にハイブリッドシステムをピックアップして紹介していきます。
HVシステム構成全体は、従来と同様の構成ですがシステム内容に変更があり、THS−C+E−Fourシステム
から昇圧コンバータ、リダクションプラネタリギヤを採用したTHS−2+E−Fourシステムに変わりました。
これはクルーガー&ハリアーHVの構成をベースにしています。
THS−C+E-Fourシステム
(従来のエスティマハイブリッド)
THS−2+E-Fourシステム(新型エスティマハイブリッド)
エ
ン
ジ
ン
モータジェネレータ
動
力
分
配
機
構
エ
ン
ジ
ン
動
力
切
替
機
構
モータジェネレータ
ジェネレータ
減速機
イ
ン
バ
ー
タ
Super CVT
AC
HV
バ
ッ
テ
リ
変換
イ
ン
バ
ー
タ
モータ
DC
リダクション
プラネタリギヤ
AC
変換
コ昇
ン圧
バ
ー
タ
昇圧
DC
HV
バ
ッ
テ
リ
DC
直流電力
従来
新型
HVバッテリ
コンバータ付インバータ
スタータジェネレータ
エンジン
:2AZ-FXE
バッテリコンピュータ
ハイブリット用トランスアクスル
(リヤ)
:Q210型
オイルポンプ
HVコントロール
コンピュータ
HVコントロール
コンピュータ
ハイブリット用トランスアクスル
(フロント)
:P210型
エンジンコントロール
コンピュータ
従来
HVウォータポンプ
自研センターニュース 2006年 9月号
Q211型トランスアクスル(リヤ)
・リヤモータ
補機バッテリ
パワーコントロールユニット
・インバータ
・昇圧コンバータ
・モータジェネレータECU
エアコンプレッサ
・ACインバータ
2
HVバッテリ
・SMR(システムメインリレー)
・サービスプラグ
・電池監視ユニット
・DC-DCコンバータ
P311型トランスアクスル(フロント)
・フロントモータ
・フロントジェネレータ
・動力分割プラネタリギヤ
・リダクションプラネタリギヤ
・オイルポンプ
新型
TECHNO SEMINAR
それではHVシステムの主な構造を見ていきます。
1.アクスル
①フロントトランスアクスル(P311型)
発電用として作用するフロントジェネレータと、駆動用として作用するフロントモータの2つのモータを
内蔵しています。
他にエンジンの動力をモータとカウンタードライブギヤに分割する動力分割のプラネタリギヤ、フロント
モータを減速させるリダクションプラネタリギヤの2つのプラネタリギヤを主軸に、複合ギヤ、カウンタ
ドリブンギヤ、ファイナルギヤからなる3軸構造のギヤトレーンです。
フロントモータジェネレータ断面図
カウンタドライブキヤ
リダクションプラネタリギヤ
モータ
ジェネレータ部
インバータ
動力分割プラネタリギヤ
動力切替機構部
フロントジェネレータ
永久磁石
フロントモータ
主軸
回転センサ
ロータ
オイルポンプ
コイル
ステータ
第2軸
ファイナルドライブギヤ
C1クラッチ
B1ブレーキ
C2クラッチ
CVT機構部
カウンタドリブンギヤ
第3軸
ファイナルリングギヤ
従来
新型
②リヤトランスアクスル(Q211型)
従来のQ210型と同様でモータジェネレータとカ
ウンタギヤ、ファイナルギヤで構成され3軸構造
モータジェネレータ
カウンタドライブギヤ
サイドギヤ
シャフト
とすることで小型・軽量化が図られています。
後輪の動力源以外に減速時にはジェネレータと
して作動することでHVバッテリを充電します。
デファレンシャル
ドライブピニオンギヤ
カウンタ
ドリブンギヤ
左ドライブ
シャフトへ
右ドライブ
シャフトへ
ディファレンシャル
リングギヤ
駆動力の流れ
ディファレンシャル機構部
自研センターニュース 2006年 9月号
3
2.パワーコントロールユニット
パワーコントロールユニットは、インバータ部、昇圧コンバータ部、モータジェネレータECUで構成
されています。
インバータ部は高電圧直流電流とモータ・ジェネレータなどの交流電流の変換を行う電力変換装置です。
従来型はフロントモータ&ジェネレータ用、リヤモータジェネレータ用、オイルポンプ駆動用、スタータ
ジェネレータ用の4個のインバータで構成されていましたが、新型は、フロントモータ用、フロントジェネレータ
用、リヤジェネレータ用の3個のインバータで構成されています。
新型より昇圧コンバータを採用し、HVバッテリ電圧を最大650Vまで昇圧して、モータジェネレータを高電
圧で駆動することでモータの高出力化と電力損失の抑制を図っています。
モータジェネレータECUはHVコンピュータからの信号により、フロントモータジェネレータ、リヤモータ
ジェネレータ、昇圧コンバータの制御を行っています。
インバータカバーにはインタロック機構が設けられており、カバーを外すとインタロックスイッチがOFFと
なってシステムメインリレー
(SMR)
を遮断します。
・リヤインバータ
・リヤモータジェネレータECU
インバータカバー
(インタロックスイッチ付き)
カバー
サーキットブレーカセンサ
コンバータ付
インバータ
・フロントインバータ
・フロントモータジェネレータECU
・昇圧コンバータ
新型
従来
フロント
ジェネレータ
①インバータ制御
インバータは、HVコンピュータか
U V W
1PM
らの指令を受けたモータジェネレー
タECUにより、HVバッテリからの直
フロント
モータ
e
U V W
1PM
q
リヤモータ
ジェネレータ
U V W
1PM
w
モータ
ジェネレータ
ECU
昇圧
コンバータ
流電流をフロントモータジェネレー
e
タ、リヤモータジェネレータの駆動
HVコントロール
コンピュータ
パワーコントロールユニット
HVバッテリ
用交流電流に変換したり、回生ブレー
フロントジェネレータ
キによりフロントモータおよびリヤ
HVバッテリ
昇圧コンバータ
インバータ
フロントモータ
モータジェネレータで発電された交
DC244.8V
最大DC650Vまで昇圧
DCをACに変換
リヤモータジェネレータ
流電流や、エンジンのトルクによっ
直流電流
三相交流電流
q昇圧機能イメージ図
てフロントジェネレータで発電され
フロントジェネレータ
た交流電流をHVバッテリ充電のため
フロントモータ
インバータ
昇圧コンバータ
HVバッテリ
リヤモータジェネレータ
ACをDCに変換
HVバッテリ電圧まで降圧
DC244.8V
に直流電流に変換したりします。
三相交流電流
直流電流
w降圧機能イメージ図
フロントジェネレータ
エンジン動力により発電
三相交流電流
e電力供給機能イメージ図
4
自研センターニュース 2006年 9月号
フロントモータ
駆 動
リヤモータジェネレータ
駆 動
インバータ
TECHNO SEMINAR
3、HVバッテリパック
従来はサードシート下に設定され1段のバッテリモジュールでしたが、新型は運転席助手席の座席間セン
タコンソールボックス内にHVバッテリモジュールが2段でついており、HVバッテリモジュール、DC−DCコン
バータ、電池監視ユニット、ジャンクションブロックおよびクーリングファンで構成されています。
サービスプラグ
サービスプラグソケット
(ヒューズ内蔵)
ジャンクションブロック
・SMRB
・SMRG
車外排出
専用ダクト
インタロック
バッテリカバー
電池監視ユニット
排気ダクト
温度センサ
ブロア
ファン
排気ホース
HVバッテリモジュール
拘束パイプ
充電コネクター
カバー
拘束プレート
SMRカバー
バッテリ
コンピュータ
バスパ
モジュール
(リヤ)
レジスタ
クーリングファン
SMR×3
(システムメインリレー)
拘束プレート
電流センサ
拘束パイプ
HVバッテリモジュール
バスパモジュール
(フロント)
インタロック
ロワーケース
水素排気チューブ
従来
クーリングファン
新型
①HVバッテリモジュール
電池部分は、従来型は180セルを1列にして接続していましたが、新型では上段に12セルのモジュール
を9個(108セル)
、下段に8セルのモジュール12個(96セル)を直列に接続しています。
従来型は1モジュール1.2V×6セルでしたが、新型は1.2Vの出力は変わらずに12セルと倍にして1モジ
ュールあたりの出力向上を図っています。
旧型は合計180セルで216Vでしたが、1セルあたり1.2Vを出力し、合計204セルで244.8Vの高電圧を出
力します。
上段モジュール
下段モジュール
新型
1.2V×12セル=14.4V
14.4V×9モジュール=129.6V
1.2V×6セル=7.2V
角形バッテリモジュール
1.2V×8セル=9.6V
9.6V×12モジュール=115.2V
7.2V×30モジュール=216V
従来
上段+下段モジュール直列接続:129.6+115.2=244.8V
自研センターニュース 2006年 9月号
5
②システムメインリレー(SMR)
SMRはHVコントロールコンピュータの指令により、高電圧回路の電源接続・遮断を行うリレーです。
SMRB(メインリレー+側)
、SMRG(メインリレー−側)
、SMRP(プリチャージリレー)およびレジ
スタで構成され、SMRB、SMRGをHVバッテリ内のジャンクションブロックに、SMRP、レジスタを
DC−DCコンバータ内に配置しています。
また高電圧部が露出してしまう状態を検出して、システムメインリレーを自動的に遮断するインタロック
機構を、サービスプラグ、インバータカバー部および電動エアコン用コネクタ部に設定しています。
(図2)
高電圧システムの接続時には、まずSMRP、SMRBをONし、続いてSMRGをON、SMRPをOFFします。
これによりはじめにレジスタを経由した電流を流すことで、高電圧の突入電流から回路を保護します。
遮断時は、SMRG、SMRBをOFFします。
(図4)
SMRG
バッテリコンピュータ
SMRB
サービスプラグ
(インタロックスイッチ付き)
SMR1
DC-DCコンバータ
(SMRP、レジスタ
を内蔵)
レジスタ
電池監視ユニット
SMR3
(図1)
SMR2
従来
(図2)
新型
充電用コネクタ
バッテリモジュール
(7.2V×11)
ヒューズ
SMRB
SMR1
ヒューズ
サービス
プラグ
電流センサ
バッテリモジュール
(7.2V×19)
バッテリモジュール
SMR2
レジスタ
SMR3
車
両
パ
ワ
ー
ケ
ー
ブ
ル
へ
SMRP
DC-DC
コンバータ
電流センサ
サービス
プラグ
バッテリモジュール
SMRG
HVコントロール
コンピュータ
電池監視ユニット
HVコントロール
コンピュータ
エアバックECU
電動エアコン用コネクタ部
インタロックスイッチ
パワーソース
コントロール
コンピュータ
電
圧
電
圧
時間
プラス側
SMR1 OFF
SMR2 OFF
ON
OFF
OFF
ON
OFF
OFF
アース側
SMR3 OFF
ON
ON
OFF
時間
プラス側 SMRB OFF
ON
ON
OFF
アース側 SMRG OFF
SMRP OFF
OFF
ON
ON
OFF
OFF
OFF
(図4)
(図3) 従来
新型
システムメインリレーON−OFF条件
パワースイッチ(イグニッション)をOFFしたとき
エアバッグセンサが衝突を検知したとき
インタロック機構が作動したとき
12V電源が切離されたとき
システムOFFするようなシステムの異常を検知したとき
6
自研センターニュース 2006年 9月号
サービスプラグ部
インタロックスイッチ
インバータカバー部
インタロックスイッチ
シリアル通信
バッテリ
コンピュータ
レジスタ
ヒューズ
車
両
パ
ワ
ー
ケ
ー
ブ
ル
へ
システムメインリレーOFF
パワースイッチ
TECHNO SEMINAR
③衝突時の電源遮断
HVコンピュータが前面および側面からの衝突、または横転、転覆した場合などで、センタエアバッ
グセンサからエアバッグ点火信号を受信した場合に、システムメインリレーをOFFして高電圧電源を遮
断する機構になっています。
転 覆
側面衝突および転覆
センタ
エアバック
センサ
前面衝突
HVコントロール
コンピュータ
SMR OFF
衝突感知
④サービスプラグ
サービスプラグは点検整備時に取外すことで、HVバッテリの中間位置で高電圧を遮断し、作業安全
性を確保するものです。
サービスプラグ
サービスプラグ
ホールカバー
従来
新型
4、HVクーリングシステム
前モデルは1つのラジエータを、内部でエンジン冷却用とインバータ冷却用の2つに分割して使うタイ
プのものでしたが、新型モデルは10系プリウスのようにHV専用ラジエータによって別に冷却されるシ
ステムに改められました。
リサーバタンク
HVラジエータ
エンジン冷却水側
パワーコントロールユニット
クーリングファンコンピュータ
(注入口)
リザーバタンク
HVウォータポンプ
ハイブリッドシステム冷却水側
パワーコントロールユニット
フロントモータ・ジェネレータ
冷却水経路
HVラジエータ
従来
トランスアクスル用
(フロント)
オイルクーラ
新型
冷却水の流れ
HVウォータポンプ
フロントモータ・ジェネレータ
このように、ハイブリッドシステムもさらに効率のあるものへと進化しています。
地球環境問題が叫ばれている昨今、自動車に対する風あたりも強くなっており、ますますハイブリッ
ドカーなどの環境にやさしい車に注目が集まるものと予想されます。
皆さんも新型車が発表されたら最新メカニズムにも目を向け、どのように技術が進化しているかを旧
型車と見比べるのも良いのではないでしょうか。
(研修部/水上 聡)
参考文献:エスティマ(AHR10W)(AHR20W)新型車解説書
自研センターニュース 2006年 9月号
7
REPAIR REPORT
リペア リポート
インストルメントパネル脱着と室内付属品
1.はじめに
スバル ステラRN1、2(2006年6月発売)の、インストルメントパネル脱着作業を実際に行いました
ので紹介します。また、ダッシュパネル部内側の室内付属品も掲載しました。インストルメントパネル
の脱着作業が必要な事故車修復の参考にしてください。
2.作業方法
脱着作業はステアリングコラムAssy取外し状態からの作業としています。
①左右フロントピラーアッパトリム、左右フロン トピラーロアトリム、左右スピーカグリルを取 外した状態。
ステアリングホイールAssy
ステアリングホイールAssy
ドライバエアバックモジュールAssy
ドライバエアバックモジュールAssy
②ステアリングホイール、エアバッグモジュール、
ステアリングコラムAssy(電動)
を取外した状態。
コラムカバーAssy
コラムカバーAssy
ユニバーサルジョイントカバー
トカバー
ユニバーサルジョイン
ステアリングコラムAssy
ステアリングコラムAssy
インス
インストルメン
トルメントパネル
トパネル
ロア
ロアドライブカバー
ドライブカバー
③この状態からインストルメントパネルCOMPを
取外します。
8
自研センターニュース 2006年 9月号
REPAIR REPORT
④インストルメントパネルCOMPを取外した状態。
この状態からステアリングビームCOMPを取外 します。
ステアリングビームCOMP
トウボードインシュレータ
ガセットCOMP
エンジンコントロールユニット
⑤インストルメントパネルCOMPとステアリングビー
ムCOMPを取外した状態。
ヒータ
(クーリング)ユニット
ヒューズ&リレーボックス
インストルメントパネルCOMP
⑥取外したインストルメントパネルCOMPとステ
アリングビームCOMP。
インストルメントハーネス
ステアリングビームCOMP
セレクトレバー
自研センターニュース 2006年 9月号
9
REPAIR REPORT
インス
インストルメン
トルメントパネルフェースカバー
トパネルフェースカバー
オーディオ
オーディオ
ヒータコントロールAssy
トロールAssy
ヒータコン
コンビネーションメータAssy
コンビネーションメータAssy
⑦インストルメントパネルCOMP脱着時に取外し
た部品。
グローブボックス
グローブボックス
インストルメントパネルフェースカバー
センタコンソールアッパパネル
グローブボックスリッ
ッド
ド
グローブボックスリ
センタコンソールロアパネル
センタコンソールロアパネル
インストルメントパネルCOMP裏側
パッセンジャエアバックモジュール
パッセンジャエアバックモジュール
エアベン
エアベントダク
トダクト
ト
フロン
フロントスピーカ
トスピーカ
指数の前提条件とは異なりますが、インストルメ
ントパネルCOMPのみの脱着であれば、ステアリ
ングコラムAssyの取付けボルトを緩めることによ
ってステアリングを取外すことなく作業すること
が可能です。
(指数部/伊藤秀孝)
「構造調査シリーズ」新刊のご案内
No.
車 名
自研センターでは新型車について、損傷した場合の復元修理
446
ホンダ ゼスト
の立場から見た車両構造、部品の補給形態、指数項目とそ
447
BMW 323i
448
ニッサン モコ
449
BMW 545i
型 式
JE1・2系
VB23
の作業範囲、ボデー寸法図など諸データを掲載した「構造調
査シリーズ」を発刊しておりますが、今月は右記新刊をご案内
いたしますので、是非ご利用してください。定価は1,120円
です(税込み、送料別)
。ただし、J-447とJ-449は、2,160円
(税込み、送料別)です。
10
自研センターニュース 2006年 9月号
MG22S系
NB44
お申し込みは自研センター総務企画部までお願いします。
TEL
047-328-9111
FAX
047-327-6737
アウダネオⅡ
活用塾
最終回
アウダネオⅡに表示される記号について
アウダネオⅡの電子ワークシートとネオⅡで作成した見積書に表示される記号について紹介します。
【電子ワークシート】
1
部品名称No.の左に(*)
、
($)の記号
が記載されていてものがあります。
記号の意味
*=脱着取替指数が設定されている部品
$=アウダ社が独自に設定した参考数値が設定されている部品
指数テーブル表には【作業No.B191】片側フロント
ピラー取替の指数値が設定されていますが、電子ワーク
シートに($)の付いている理由は次の通りです。
3
【注意すべきケース】
2
Fアウタアッパピラーに($)記号がついていますが、
上記のFフェンダライナとは内容が違います。
【見積書の記号】
見積書の工賃欄の後に(#)
(@)
($)記号
が表示されるものがあります。
4
指数テーブルの摘要欄には
(含)作業および部品の脱着または取替
・片側カウルサイドパネル(フロントピラーインナ)
・必要範囲のトリム類
・片側フロントピラーリインホースメントアッパ
・付属品
・片側ロッカパネルアウタ
(リインホースメント)半裁
電子ワークシートの【Fアウタアッパピラー】
を単独で取
替える作業と指数テーブルが前提としている作業内容
は一致していないので($)が付きます。
記号の意味
#=工賃(工数)を手入力したもの
@=外板板金修正指数を用いて算出したもの
$=アウダ社が独自に設定した参考数値を基に積算した工賃
事例の見積作業内容の左Frフエンダ板金を取替または脱着に変
更すれば左Frフエンダライナ脱着工賃に表示されている($)
記号は消滅します。
アウダネオⅡは、部品単位に脱着、取替の工数を設定していますので、脱着取替指数テーブルで設定している
作業範囲とは一致しないケースが多く
($)
を付けて注意を喚起しています。脱着取替指数に準じた工賃を積算す
るには、ヘルプボタンを押して指数テーブルで前提としている作業範囲と実作業を比較検証することが重要です。
自研センターニュース 2006年 9月号
11
調査・研究報告
超高張力鋼板修理性調査(その3)
今回は実車における超高張力鋼板採用部位のスポット溶接切削作業結果を紹介します。
前回解説したようにドリルの材質・形状(シニング施工等)が決定し実際の切削作業を行うにあたっては、
作業姿勢の安定やドリル回転数に注意する必要があります。一般的にドリルの回転数は、ドリルの材質、径
(太さ)、切削物の硬さに応じて回転数を調整し、切削物の硬さが高いほど切削抵抗が大きくなるのでドリル
の過負荷および切削時の摩擦熱を防ぐためにドリルの回転数を下げる必要があります。つまり、超高張力鋼
板のスポット溶接部を切削する場合は、これまでの高張力鋼板スポット溶接部より低い回転数で作業すること
が有効な手段ということになります。
しかしながらエア工具の特徴として、回転数を下げるとトルクが不足して回転が止まりやすくなるため、
作業可能な程度に調整します。
実車確認作業
使用ドリル:コーティングスポットカッタ
(NACHI製)
10mm径 シンニング施工済
使用工具:SI−5700(信濃機板株式会社)
低回転高トルク型エアハンドドリル
切削部位:トヨタ プリウス(NHW20)
ダイハツ ムーブ・ラテ(L5#0S)
共にセンタピラーリインホース 板厚1.4mm 引張強度980MPa
プリウス
写真1
ムーブ・ラテ
写真2
写真3
使用工具
無負荷回転数
切削点数(平均)
SI−5700(信濃機販株式会社)
1500rpm
6.3点
既存エアハンドドリル
1800rpm
3.7点
上記結果の通り、切削時の回転数を下げること(シンニングドリル併用)で、切削点数が向上するこ
とが確認できました。
12
自研センターニュース 2006年 9月号
調査・研究報告
新スポットカッタ調査
自研センターでは従来の高張力鋼板切削点数(従来のスポットカッタ)を目標にスポットカッタメーカや
販売店にご協力頂き、新スポットカッタの評価・改善に取組んできましたが、現時点では目標を上回る
スポットカッタは確認されていません。しかしながら、その中でも比較的切削点数(寿命)や1点あたりの
切削時間が短い(切れ味が良い)スポットカッタについて紹介します。
コーティングスポットカッタ
DEILL BIT BTR *1
メーカ
NACHI
Wielander Schill
販売店
株式会社ダイイチ
株式会社ヤシマ
商品名
*1
材質が超硬のため耐久性は非常に高いが以下のような留意点があります。
・欠け易いので取扱いには注意が必要です。
・スポットカッタの全長が短い(45mm)ため専用のハンドドリルを使用します。
・切れ刃が3枚のため市販の再研摩機では行うことができません。
今後も自研センターでは、超高張力鋼板の修理技法の調査(新スポットカッタの評価・改善)を継続
的に進めていきます、自研センターニュースにおいても修理作業効率向上につながる作業方法、工具・
材料を紹介していきたいと思います。
追加解説 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
7月号の掲載記事に不備な点がありましたので追加解説させて頂きます。
溶接ワイヤの性能評価として引張強度試験の実施記事を掲載しました。その際「試験片の種類」を
「JIS
Z3121−1号試験片」と記載しましたが、JIS規格において「Z3121−1号試験片」とは図1に示した
形状及び寸法のものを指します。
図1
図2
今回我々が使用した試験片(図2)については、試験部位の幅Wは1号試験片に準じて40mmとしまし
たが、形状は1号試験片とは異なる長方形に加工し、かつ、試験方法は「JIS
Z3121」で規定されてい
る「突合せ溶接継手」の引張試験方法ではなく、自動車部品の中で多く施工されている「重ねすみ肉溶
接継手」により引張試験を実施し、得られた結果を報告したものです。多くの方々に誤解とご迷惑をお
かけしたことをお詫び申し上げます。
(技術調査部/松下正明)
自研センターニュース 2006年 9月号
13
REPAIR Information S
リペア インフォメーション S
ポイントはピアノ線の通し方
国産車にしろ、輸入車にしろフロントウィンドガラス、クォータガラス、バックドアガラスは、接着
式が主流となっています。
車体と接着されている部分には、ピンやコネクタ、はたまた配線も付いています。車体と切離すには、
専用カッタだけでなくピアノ線も利用します。
そこで今回は、国産車ではスバルレガシィのフロントウィンドガラスを、輸入車では、ベンツBクラ
スのクォータガラス、バックドアガラスでの作業事例を紹介します。
1.スバルレガシィ(BL5)フロントウィンドガラス取替要領
写真1
フロントウインドガラスにデアイサ(ワイパ凍
結防止機構)がある場合、その配線を切断しない
ように注意する必要があります。(写真1)
1)デアイサ配線コネクタは助手席側フロントピ
写真2
フロントピラー
ラー部(室内側)で縁切りすることが可能で
ガラス側
デアイサ配線
す(写真2左側)
2)ガラス側に取付いている配線はガラスとの一体
取外しとなります。配線はインストルメントパネル
内部に隠れており取外作業時確認しづらいため、
デアイサ配線
コネクタ
ピアノ線によって損傷させないように注意し、
作業を行います。
(写真2
右側)
写真3
3)フロントウインドガラス左右上部コーナ部に
はロケートピンがあるため、切断しないよう
に作業を行います。
(写真3)
(ロケートピン:単品補給設定有り)
14
自研センターニュース 2006年 9月号
ロケートピン
REPAIR Information S
<作業方法>
図1
必 要 範 囲 の 艤 装 品 を 取 外し 、
(ピラートリム、
カウルパネルetc)ガラス外周に接着されている
モールディング(再使用不可 補給設定有り)
を取外
します。
①ガラス下部中央部付近から室内側へピアノ線を
w運転席(右)側
ロケートピン手前まで
接着剤切断
eデアイサ配線
eデアイサ配線
手前まで接着剤切断
手前まで接着剤切断
貫通させます。(図1 ①)
②配線の無い運転席側の接着剤をロケートピン手
前まで切断します。(図1 ②)
qガラス下部中央
室内側へピアノ線貫通
③ピアノ線を中央まで戻し、助手席側(デアイサ配
図2
線位置手前)の接着剤を切断します。
(図1 ③)
④ピアノ線の一方を、再度ピラー側から室内へ貫
通させます。(図2 ④)この状態から室内側に
ピアノ線を引き込むように接着剤を切断するこ
配線を避けて再度室内側へ
ピアノ線を貫通させる
r
とで、デアイサ配線を損傷させることなく作業
することができます。
⑤左右上部のロケートピンも同様に、ピアノ線両
端部を室内側に引き込むように接着剤を切断す
デアイサ配線
ることで損傷させることなく作業することがで
図3
きます。
t
左右ロケートピンを
避けて接着剤を切断
ロケートピン
写真4
以上の作業方法で行った結果、デアイサ配線、
ロケートピン共に損傷させることなく取外すこと
ができました。
(写真4)
デアイサ配線
自研センターニュース 2006年 9月号
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2.ベンツBクラス クォータガラス脱着要領
ベンツBクラス
(CBA−245233)
クォータガラス脱
ガラス下部のモールは、はめ込みによって取付
着作業要領を紹介します。この車両のクォータガラ
いているため、上方に引上げることで取外すこと
スはモジュールガラスを採用しています。
(写真5)
ができます。(写真6)
写真5
写真6
上方に引き上げる
上方に引き上げる
モール側
モール側
ボデー側
ボデー側
<取外作業>
写真7
①室内側から作業可能な部位(車両後方と下側)
の接着剤をウインドシールドカッタで切断しま
す。
(写真7)
ウイン
ドシールドカッタ
ウインドシールドカッタ
ドシールドカッタ
②ウインドシールドカッタで作業不可能な部位
写真8
ピアノ線
ピアノ線
(車両前方)はピアノ線を使用して接着剤を切
断します。ピアノ線は接着剤を切断した部分か
ら室内側に通し、ピアノ線を室内側に引き込み
ながら接着剤を切断していきます。(車両外側
室内側ピアノ線を引く
のピアノ線は予めモール下に潜り込ませた状態
で作業を行います。
)(写真8)
切断方向
写真9
③最後に残った接着剤(前後下側コーナ部分)
をピ
アノ線で切断します。
(写真9)
ピアノ線の両端を室
内側へ通し、車両外側のピアノ線をモール下に潜
らせた状態から室内側へ引き切ります。
16
自研センターニュース 2006年 9月号
ピアノ線
ピアノ線
REPAIR Information S
写真10
以上の工程で取外作業を行ったところ、ガラス
取付位置と高さを決めるモールの凸部分6箇所の
内1箇所の破損で取外すことができました。
破損箇所
(写真10)
取付作業は破損したモールの凸部を一時的に接
着剤で固定し、(それ以外の凸部で位置決め可能
なため接着しなくても作業は可能)ガラス取付位
置を確認した上で取付けます。
写真11
3.ベンツBクラスバックドアガラス脱着要領
ベンツBクラス(CBA−245233)バックドアガ
ラス脱着作業要領を紹介します。
(写真11)
バックドアガラスとバックドアの隙間が3mm∼
5mmと狭く(写真12)、ウインドシールドカッタ
が挿入できないため、車両外側からウインドシー
ルドカッタ(L型カッタ)
(写真13)を使用した取
外し作業ができません。
写真12
写真13
ウインドシールドカッタ
約3mm
約5mm
刃幅5∼6mm
よって、車両内側からウインドシールドカッタで切断可能な部位の接着剤を切断します。(写真14
ガラス上下部位)ガラス左右の接着剤はピアノ線を使用し切断します。
(写真15
部)
このバックドアガラスには、モール、ダムラバー、位置決めクリップなどは無く、ガラスの取付高さ
調整用のゴムが上下左右(合計4箇所 写真15
の部分)にあるだけなので、取付前にはガラス位置を
充分確認してから作業を行います。
写真14
写真15
ウインドシールド
カッタ
作業可能部位
高さ調整用
ゴム
ピアノ線による
切断部位
(技術開発部/島田東一)
自研センターニュース 2006年 9月号
17
補修塗装指数の解説
―4―
8月号に引き続き、外板パネル補修塗装指数の「付加数値」について解説します。
(1)外板パネル補修塗装指数
q塗り数値
(2)樹脂バンパ
(3)内板骨格パネル
+
+
補修塗装指数 =
補修塗装指数 +
補修塗装指数
w加算基礎数値
+
今月の解説
e付加数値
外板パネル
樹脂バンパ
内板骨格
図1 補修塗装指数の算出方法
(5)低隠ぺい性塗色(下色塗装が必要な塗色)
低隠ぺい性塗色は、カラーベースの下に下色を塗装する必要がある外板パネルに適用します。この数
値に含まれる作業は、下色の調色および塗装時間などで、該当するパネル枚数に応じて数値が設定され
ています。
低隠ぺい性塗色は「車種共通編 指数テーブル」に各メーカ別の該当する塗色一覧表が記載されていま
す。なお、この一覧表は新色情報をもとに実作業で確認して決定しており、また定期的に追加をしています。
写真1は、ホンダのロイヤルルビーレッドパール
(カラーナンバー R522P)の補修塗膜構成を示し
た例です。この塗色では下色にグレー色が塗られ
ています。色および塗料メーカにより異なります
が、下色にはこのようなグレー系色が塗られる場
合と、カラーベースと同系色が塗られる場合が多
く見られます。
プラサフ
下 色
カラーベース
クリヤ
写真1 低隠ぺい性塗色の補修塗膜構成例
(6)2コートソリッド
ソリッド塗装+通常クリヤ塗装(2コートソリッド)
クリヤ
ソリッドのベースコートの上に通常のクリヤを塗装
ソリッド塗装(1コートソリッド)
する必要がある外板パネルに適用します。この数値
カラーベース
には、クリヤを塗装する時間などが含まれており、該
プラサフ
当するパネル枚数に応じて数値が設定されています。
図2 2コートソリッドの塗膜構成
(7)ブース加算
ブース加算は、プッシュプル型ブースで2K塗料の遅乾タイプのクリヤを使用してメタリック、2コート
パールを塗装した場合に適用します。
この数値に含まれる作業は、ブース内の清掃と車の出し入れなどに関する準備作業です。
それでは、3コートパールや高機能塗装などの場合にブース加算してはいけないのでしょうか? 結
論から言えば別途ブース加算をする必要はありません。これらの塗装ではブース使用が前提とされてお
り、3コートパールや高機能塗装の場合には加算基礎数値に、樹脂バンパ補修塗装塗装では数値の中に
ブース使用に関する準備時間が含まれているからです。
自研センターで前提としているブースの使用は、品質保持のために必要かまたは、塗装作業全体の作
18
自研センターニュース 2006年 9月号
業性が向上する場合としています。従って、プッシュプル型ブースの使用が不要な前提でプッシュプル
型ブースを使用した場合や、その反対の場合は、磨き時間に影響が出るため指数値をそのまま使用する
ことはできません。これらの場合は、作業実態に応じて指数を参考に個別判断してください。
(8)2トーン加算
2トーン加算は、ベース色(上部色)でモノトーン
塗装する場合と2トーン塗装する場合を比較して、
ベース色(上部色)
作業の増減する要素をとりまとめたものです。
下部色
ベース色の加算基礎数値に2トーン塗装するパネル
枚数に応じた数値を加算します。ただし、パネル枚
写真2 2トーン塗装車の例
数のカウントにぼかし塗装だけを行ったパネルは含
めません。
S/S
S/M・2P
S/3P
M・2P/S
M・2P/M・2P
M・2P/3P
3P/S
3P/M・2P
3P/3P
1枚
1.0
2.0
3.0
0.9
1.5
2.5
0.8
1.5
2.1
2枚
1.1
2.1
3.2
0.9
1.6
2.7
0.8
1.5
2.2
3枚
1.2
2.2
3.4
0.9
1.7
2.9
0.8
1.6
2.3
4枚
1.2
2.4
3.6
1.0
1.8
3.1
0.8
1.6
2.5
5枚
1.3
2.5
3.9
1.0
1.9
3.3
0.7
1.6
2.6
記号の意味
・塗膜の組合せ
○/△ =ベース色/下部色
・塗膜種類
S=ソリッド M=メタリック
2P=2コートパール 3P=3コートパール
表1 2トーン加算数値
表1に2トーン加算の数値を示します。この表の通り、枚数が増えると数値が増加する傾向にあります。
しかし、塗膜の組合せにより増加量が異なり、例外的に3P/Sのように枚数が増えても加算数値が減少
しているものがあります。
一般的には、枚数が増えると見切り用マスキングが増加するため、ほとんどの塗膜の組合せで数値が
増加します。ところが、3P/Sの場合は、枚数増加に伴う見切り用マスキングおよびソリッド塗装作業
の増加量よりも、枚数増加に伴う上部色(3P)の塗装範囲、みがき範囲等の減少量の方が大きくなるた
め、2トーン加算としては枚数が増えても数値が減少する場合があるのです。
運用上の注意点ですが、S/3P、M・2P/3Pの組合せの場合、ブース使用に関する時間が含まれていま
すので、別途ブース加算は適用しないでください。
以上、付加数値について解説してきました。個々の付加数値については今回掲載しておりませんので、
その詳細は「指数テーブルマニュアル」などで確認してください。
※指数の使用に当たり「指数テーブルマニュアル」をご理解しておくことは必須です。詳細につきまし
ては「指数テーブルマニュアル」を参考にしてください。
〈訂正とお詫び〉
自研センターニュースの8月号「補修塗装指数の解説 −3−」
(15頁)の図8の説明文に誤
りがありましたのでお詫びの上、以下の通り訂正いたします。
誤 図8 エアゾールによる防錆ワックス塗布作業事例
正 図8 スプレーガンによる防錆ワックス塗布作業事例
(指数部/藤野一郎)
自研センターニュース 2006年 9月号
19
Researching The Skeletons
リサーチング ザ スケルトンズ
スバル ステラ
(RN1、2系)
この「Researching The Skeletons」では外部からは確認することができないフロントサイドメンバおよびリヤサイドメンバ内側のリインホースメント等
の位置や板厚を分かり易く紹介していくもので、データは実際に自研センターで調査した内容をまとめたものです。
概要
②左右のフレームサイドフロントCOMPの先端に断面
主要骨格部位はR2と同様の構造が採用され、フ
ロントフレームとリヤフレームの位置を小型車と
形状8角形のラジエータサイドリーンフォースメント
が付きます。
同等の高さにすることにより自車より大きな小型
③フレームサイドフロント部には、左側にトラン
車と衝突しても効果的に衝撃を吸収できる構造と
スミッションのリヤブラケットCOMP取付部と
なっています。
トウボードCOMP部にリーンフォースメントを
590Mpa級以上のハイテンは、フロントピラー
配置し、右側にはエンジンマウントブラケット
部、ルーフサイド部、センタピラー部に使用して
とトウボードCOMP部にリーンフォースメント
います。
を配置しています。
フロント
④フレームサイドフロントはトウボードCOMP前
①ラジエータアッパパネルCOMPは溶接で取付けら
部で取替作業が可能です。
れ、ラジエータサイドパネルCOMPとラジエータ
⑤フレームサイドフロントはストレート形状で断面は
サイドリーンフォースメントの間に挟まれているた
先端部が8角形で後部が6角形になっています。
⑥フレームサイドフロントの半裁作業設定はあり
め単独での取替は困難です。
ません。
ラジエータアッパパネル
w
w
q
q
wラジエータサイドリーンフォースメント
アウタフレームサイドフロントCOMP右外側
w t:1.2
e t:1.4
e t:1.2
20
自研センターニュース 2006年 9月号
w
アウタフレームサイドフロントCOMP左外側
w t:1.2
w
e t:2.8
e t:1.4
e t:1.2
Researching The Skeletons
インナフレームサイドフロントCOMP右内側
インナフレームサイドフロントCOMP左内側
eエンジンマウント
ブラケット
e t:1.4
e t:1.4
e t:1.2
t6角形断面形状
t6角形断面形状
t6角形断面形状
t8角形断面形状
e t:1.2
t6角形断面形状
t6角形断面形状
t6角形断面形状
t8角形断面形状
r
r
リヤ
⑦リヤスカートCOMPは最後端部にあるため容易に取替作業が可能です。
⑧フロアサイドリヤフレームはリヤフロアリヤフレームCOMPの単体補給が設定されていますが、リヤ
サスペンションAssyとリヤフロアクロスメンバCOMPを取外してから作業を行います。
リヤスカートCOMP取付状態
リヤスカートCOMP取外し状態
uリヤスカートCOMP
リヤフロアリヤフレームCOMP部
リヤフロアリヤフレームCOMP部
リヤリヤフロアパンCOMP取付状態
リヤリヤフロアパンCOMP取外し状態
t:1.5
t:1.0
t:1.5
t:0.7
t:1.7
iリヤフロアリヤフレームCOMP
t:1.0
t:1.7
リヤ下側
リヤフロアクロスメンバCOMP
リヤフロアクロスメンバCOMP
リヤサスペンション
リヤサスペンション
クロスメンバ取付箇所
クロスメンバ取付箇所
(指数部/滝川陽一)
自研センターニュース 2006年 9月号
21
Customer Relations Department REPORT
お客様相談室レポート
指数作成について
最近、指数作成対象車種や項目・範囲などについての質問が多く寄せられています。今回はこの点
について説明します。
1.指数作成車種
指数は1980年に一部国内メーカの主要車種から作成を開始しました。現在のようにほとんどの国産
新型乗用車について指数を作成するようになったのは1993年以降のことです。しかし、現在でも構造
が特殊な車両は指数作成対象外としています。
また、国産乗用車の特別仕様車、限定車、マイナチェンジ車は毎年200車種近く発売されますが、そ
の頻度の多さや変更内容確認の困難さから、これら車種に対する指数は作成していません。
輸入車は国内販売台数が多い車種の内、指数作成ニーズが高い新型車を中心に毎年3∼4車種作成す
ることとしています。また、年間販売台数はさほど多くないものの指数作成ニーズが特に高い輸入車
につきましては、ボルト系主要外装部品やガラス、補修塗装など項目を限定した指数を毎年2車種程度
作成することとしています。
〈国産車指数作成対象車種〉
車種
普通・小型・軽四輪乗用車
指数作成対象
指数作成対象外
・新型車
・限定車、特別仕様車
・フルモデルチェンジ車
・マイナチェンジ車
・骨格構造に変更のある
・基表が使用できない乗用車
マイナチェンジ車
(大型・特殊構造など)
・新型車
小型トラック
(標準キャブ、2t車)
・標準ボデー以外は対象外
・フルモデルチェンジ車
(1ナンバは対象外)
(標準キャブ、2t車)
※中型・大型トラックは指数作成対象外
2.指数作成作業項目
1980年の指数作成当初は事故車修理において特に発生頻度が高い作業項目を中心にメカニカル作業
22項目、ボデー作業32項目、ガラス3項目の計57項目の指数を作成していました。その後、見積システ
ム普及に伴う業務効率化の観点から作業項目拡大ニーズが強まり、現在は約80項目(車種毎に異なる)
の指数を提供しています。
しかし、メーカの修理書で修理方法が確定していない作業や作業範囲の特定が困難なため指数化が
困難なエアバッグ取替など一部のメカニカル作業につきましては指数を作成していません。
3.指数作成作業項目の作業範囲
各作業項目に含まれる作業の範囲は事故車を前提に見積業務の効率化等を考慮して決定しています。
一方、
「除く作業」や「取外し状態」としている部品は、指数作成の前提条件として当該作業の必要性に
関係なく設定しています。
従って「除く作業」や「取外し状態」として掲載された部品は、事故車の損傷状況に応じて個別に
22
自研センターニュース 2006年 9月号
作業の必要性を判断いただく必要があります。
また、最近の乗用車ではASV(注)関連装置など多くの電子機器が使用されており、事故車修理に伴う
バッテリターミナル取外し、部品脱着・取替、配線縁切り等により、電子部品やシステムの再設定や
調整が必要になる場合があります。しかし、これらの作業は同一車種でも年式、グレード、オプショ
ン有無等によって必要性に差があり、複数の作業項目に重複して発生するケースもあるため指数には
含まれていません。
(注)ASVとは、先進安全自動車(Advanced Safety Vehicle)のことをいい、エレクトロニクス技術等の新技術により自動車を高
知能化して安全性を格段に高めるとともに高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport Systems)技術の自動車として
の受け皿(スマートカー)となるものです。
(国土交通省「先進安全自動車推進検討会」資料による)
(参考)
再設定・調整が必要なシステムの例
(1)バッテリターミナル取外しに伴い再設定が必要なシステム(例)
・スライディングルーフシステム
・パワーウインドウシステム
・オートスライドドアシステム
・オートドライブポジションシステム
・パワートランクリッドシステム 等
(各システムともメーカ、車種、年式によって再設定が不要な場合があります。但し、ドアガラスやサンル
ーフ等は一般的にバッテリターミナル取外し前にすべて締め切り状態とすることが基本です。)
(2)電子部品脱着・取替に伴い再設定・調整が必要なシステム(例)
・前方障害物衝突防止支援システム
・車線逸脱防止支援装置
・夜間前方歩行者情報提供装置 等
※ASVの詳細は自研センターニュース2005年8月号P12∼17を参照ください。
また、各システムの再設定・調整要領はカーメーカ発行の修理書等でご確認ください。
(例)トヨタ;各車種修理書及び修理書抜粋版「バッテリターミナル脱着/部品交換時の初期化設定
マニュアル」
(2005年11月発行、品番「Z0505」)
(指数部/森本 毅)
【訂正とお詫び】
自研センターニュース2006年7月号「輸入車インフォメーション」(5頁)および2006年8月号
「輸入車インフォメーション」
(5頁)の合成樹脂部品の補給形態情報に一部誤りがありましたの
でお詫びの上、以下の通り訂正いたします。
●2006年7月号
BMW323i(VB23)の合成樹脂部品の補給形態
赤字で塗装済と掲載されている部品は、全て未塗装になります。
●2006年8月号
BMW545i(NB44)の合成樹脂部品の補給形態
赤字で塗装済と掲載されている部品は、全て未塗装になります。
自研センターニュース 2006年 9月号
23
http://jikencenter.co.jp/
自研センターニュース 2006.9(通巻372号)平成18年9月15日発行 昭和51年5月27日 第三種郵便物認可 発行人/鈴木 稔 編集人/小林吉文 C 発行所/株式会社自研センター 〒272-0001 千葉県市川市二俣678-28 Tel(047)328-9111(代表) Fax(047)327-6737
⃝
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著作者の権利の侵害となりますので、その場合には予め、発行人あて、書面で許諾を求めてください。
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