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第9号 - Osaka University

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第9号 - Osaka University
CND News No. 9
ニュ
ース
CN
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ンロ
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ジ
w
u.ac
Jan 2013
Institute for NanoScience Design
w
.jp/c .cmp.sa
nd/c
n
ndn ken.os
a
ews
.htm kal
ナノマテリアル・
ナノデバイスデザイン学
大阪大学ナノサイエンスデザイン教育研究センター
CND (Newsは講師と聴講
生との連携を強め、かつ
社会との結びつきを目指
したコミュニケーション
今後のHPCI計画推進のあり方
誌で、左のホームページ
からダウンロードする形
で配布します。
この間、「京」が動き出したと思ったら、もう次期機種のこと
トピックス
が話題となる。開発する立場からは当然のことである。「エクサ
スケール」へ向けた取り組みが始められなければ発展というもの
がないだろう。ただしこれまでのように右肩上がりにというわけ
ヘッドラインニュース
にはいかないのではないか。もはや「京」を超える計算機は国家
HCPI関連記事
Continued on Page 1
予算的な規模に達し、その開発においては一民間企業が請け負う
範囲をとっくに超えている。そして今回の業種仕分けでもわかる
通り、科学者がいくらその必要性を説いても国会が許可してくれ
るとは限らないのである。そうなると開発者だけでなく、我々
海外交流
ユーザー側もきちんとした展望なしで次期機種が自動的にふって
フィリピンとの学術交流
湧いてくれると思ったら大きな誤りである。
笠井秀明
このような状況の中で、HPCIの方から、主要大学の計算機セン
Continued on Page 6
ターに「将来のスーパーコンピュータについて」のアンケートが
回ってきた。正確に述べると、HPCIコンソーシアムにおける意見
CMDワークショップの案内
Continued on Page 11
国際会議
日仏共同セミナー
白井光雲
Continued on Page 12
京速コンピュータのある計算科学研究機構の
ホームページより
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集約を念頭に置き、文部科学省の委
問題の質問「計算科学技術振興の
や附置研、独立行政法人の計算セン
託により、理研の計算科学研究機構
ための計算資源のあり方」とは何
ターといった大学や公的研究機関の
( A I C S ) に 将 来 の スー パ ー コ ン
か、ともかくもそれが問題であるの
スーパーコンピュータを第2階層と
ピューティングの体制の在り方に関
で原文のまま掲載する。
し、さらに研究室レベルのシステム
が裾野を支えるピラミッド型の計算
するWGが設置され、そのWGから今
後計算科学技術推進体制に関する考
1.計算科学技術振興のための計算
資源構造による利用環境を実現すべ
え方を整理するための調査が廻って
資源のあり方
きであると考えています。
きたということである。できるだけ
我が国の計算科学技術の振興を図
広く意見を集約するという性格から
るためには、計算資源の維持・拡充
して、このアンケートの内容は内部
を図ることにより様々なユーザニーズ
我が国の計算科学技術振興のため
機密情報というものではなく(また
に応えることが必要であり、利用を
には、世界トップの性能維持よりも
そうであってはならない)以下に引
支えるネットワーク環境のもと、①
様々な利用方法に最適化された中小
用させていただく。
多様な計算資源の提供、②計算資源
規模の計算能力を有する計算機を数
主要には3点についての意見聴取
間の連携利用、③先進的な計算資源
多く配置すべきとの考え方もありま
であるが、ここでは1番目の質問
へのゲートウエイ機能の実現を図る
す。ここでは、圧倒的な性能を有す
「計算科学技術振興のための計算資
ことが重要と考えています。
る最先端マシンによって計算科学技
【論点1】計算資源整備の考え方
このためには、我が国の計算科学
術における様々な成果を先導し、そ
なお以下の意見は編集部(といっ
技術を先導し世界トップレベルの性
のアーキテクチャーを第2階層以下
ても白井だけであるが)の個人的意
能(※1)を有するシステムを頂点
の計算機が追従することにより、よ
見でコミュニティ全体を代表するも
に、(大学の情報基盤センターや附
り 多 くの 利 用 者 に 安 定 的 な シ ミ ュ
の で は な い こ とを お 断 わ り して お
置研、独立行政法人の計算センター
レーション環境が整うことが適当と
く。異論・反論は歓迎する。
など大学や公的研究機関が自律的に
いう案となっています。
源のあり方」について取り上げる。
(編集部)
整備するスーパーコンピュータを含
さらに、HPCIシステムの充実に
む ) そ の 性 能 を 補 完 す る シス テム
よってこのピラミッド型の計算資源
(※2)や大学の情報基盤センター
構造の維持、拡充を図り、計算科学
Conference on Computational Physics (CCP2012)における集合写真(2012年10月)
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技術振興の裾野を拡げることも可能
た。このような情勢ボケしている筆者
と考えた次第です。
を尻目に当委員会は迅速に「非」と
高エネルギー加速器研究機構
【論点2】将来に向けた計算資源の
いう意見を集約した。非とした理由
物質構造科学研究所教員公募
考え方
は
将来的な体制のあり方としては、大
学の情報基盤センターや附置研、独
今後の科学の発展を考えるとき、
法センターの連携等をさらに推進
分野によって必要とするアーキテク
し、複数の世界トップレベルの性能
チャーは異なります。そのため、圧
を有するシステム構成を頂点とする
倒的な計算能力を持つ頂点に立つシ
案 も 検 討 に 値 す る と 考 えて い ま す
ステムの「そのアーキテクチャーを
が、今回は、直近の次期システムを
第2階層以下の計算機が追従する」
含めて10年程度までを見越した計
と あ り ま す が 、 一 つ の アー キ テ ク
算資源のあり方についての考え方を
チャーに限定するのではなく、いく
提示しています。
つかの特徴を持った計算環境が整っ
ていることが理想的と考えます。こ
※1 世界トップレベルの性能
の多様性がトップダウンだけではな
ユーザが求める開発目的を達成す
く、基盤センター群を中心とするボ
るために必要な性能であり、利用コ
トムアップにもバランスをとりなが
ミュニティの要望等を踏まえ、国が
ら進んでいくことが重要だと思いま
戦略的に定めるもの
す。HPCIとしては、このようなガバ
※2 頂点に立つシステムを補完す
ナンスの取り方を模索していただき
るシステム
たく期待しております。
計算資源の利用の観点から、頂点
(意見Bとする)
に立つシステムを補完するものとし
て、国の戦略に基づいて厳選される
である。ああ「ピラミッド」という
特徴的なシステム
意味はそういうことかと漸く合点
(以下、この文を便宜上、意見Aと
する)
し、自分の行間を読む能力のなさを
恥じた次第である。どうもこういう
公募職種及び人員
特任助教 1名
研究(職務内容)
大学共同利用期間である物質構造
科学研究所では、放射光、中性
子、ミュオン、低速陽電子を利用
した物質・生命科学研究を推進し
ている。
本候補者は、同研究所構造物性研
究センターに所属し、中性子回
折・散乱と放射光X線回折・散乱
を総合的に利用した磁性材料の研
究を展開するとともに、元素戦略
プロジェクト・磁性材料研究拠点
に参画し、先端的研究を推進す
る。
公募締切
平成25年1月31日(木)必着
詳細は下記の公募要項をご参照く
ださい。
h t t p : / / w w w. k e k . j p / j a / J o b s /
ReseachingStaff/raim12-16j.pdf
文書はこれが出された背景を知らず
具体的な質問として、論点1と2を
に読むと場違いな解釈をしてしま。
踏まえ、「ピラミッド型の計算機資
こ の ア ンケ ー ト が 出 さ れ た 背 景 に
源構造の維持拡充により、我が国の
は、どうも今後のHPCI計画推進のあ
計算科学技術振興を図るという考え
り方に関する検討ワーキンググループ
方についての是非を問う」というも
で議論された問題意識から出された
のである。私も阪大のサイバーメディ
ようである。そのときの配付資料が
ア高性能計算機システム委員会メン
文部科学省のホームページに掲載さ
バーとして意見を求められたのであ
れている。ホームページに掲載される
るが、原文はこれよりはるかに長
くらいだから機密情報というもので
く、かつ「全機関が協力し合う」と
はなく、むしろ是非読んでくれとい
か 「 官 民 一 体 と な って 」 、 「 ユ ー
うものに違いないので引用させても
ザーの多様なニーズに応えて」とか紋
らう。この資料は全体で6節から成
切り型の文が続くため「まあ、もっ
り、1節は「国内外の(スーパーコン
ともなことかなぁ」くらいにしか受
ピュータをめぐる)動向」、2節は
け止めることができず、何について答
「計算科学の利用状況、今後の必要
えればよいのかさえ見えてこなかっ
性」を述べたものである。このあた
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りの状況は、読まなくても十分予測
やフレームワークの開発をしていくこ
されるものである。要は欧米諸国だ
とで、アプリケーションは高レベル
けでなく今や中国なども含めてスー
記述のまま性能を出せるようにして
パーコンピュータ開発がしのぎを削
いくことが必要。
り我が国としてもうかうかしておれな
○ 複数のリーディングマシンを開
いこと。また「今後の必要性」もま
発する場合であっても、予算のかけ
すますスーパーコンピュータが重要と
方についてはメリハリをつけるべき
なることばかりである。といったこ
ではないか。
とが述べたものである。ところが3
○ ソフトウェア開発が高度化、大
節の「将来の在り方」は少し違った
規 模 化 して い る の で、 ア プ リ ケ ー
色合いを感じた。それは「リーディン
ションが将来にわたって使えるよう
グマシン」の定義、在り方、必要性
にすることも、リーディングマシン
に関して、そこで交わされた具体的な
の開発整備にあたり考慮する必要が
意見を列挙している。以下がその例
あるのではないか。
である。
(意見Cとする)
http://www.mext.go.jp/b_menu/
○ 開発費も巨額になり、これまで
と同じように特定分野向けのスパコ
shingi/chousa/shinkou/028/shiryo/
1328849.htm
ン開発は理解が得られにくい。多く
の分野のユーザが利用可能なアーキ
これらの意見にしても、筆者はその
テクチャを2 台持つことが望まし
場にいないので、その意見が出され
い。
た背景を抜きに簡単に決めつけるこ
○ 大規模計算のニーズを満たし、
とは危険であるが、全体としてはか
効率的にリーディングマシンの役割
なり批判的な意見というべきだろ
を担うためには、汎用であることが
う。
必要である。
○ 計算資源の全体の需要としては
考えてみると上の答申Aの中で「我
コモディティからの流れが大きく、
が国の計算科学技術振興のために
ユーザがより高性能のマシンを容易
は、世界トップの性能維持よりも
に利用できるように、マシンの設置
様々な利用方法に最適化された中小
計画、開発を考える必要がある。特
規模の計算能力を有する計算機を数
殊なハードウェアに特化したプログ
多く配置すべきとの考え方もありま
ラミングでは先がない。
す」とわざわざ書かれていることは意
○ 分野により計算アルゴリズムが
味深である。機構側(主語が機構な
異なるため、一つのアーキテクチャ
のかWGなのか理研とすべきかは今
で全てを効率的に実行することは困
一つわかり難いが、主語がわからな
難であり、リーディングマシンは汎
いと議論ができないので、差し当た
用性の高いものになるとは限らな
り機構としておく)は、何を意図して
い。
いるのか?HPCIの検討委で出された
○ ソフトウェアを将来にわたって
使えることは重要だが、性能を出す
Cの意見(というより批判)をかなり
意識しているのではないか?
ためにはある程度コードの変更が必
よく政治家がするような玉虫色の
要になる。コンピュータサイエンス
答弁をするのであれば、批判Cに対し
の人がアーキテクチャ依存部分を自
て、「案は全体の方向性を示すもの
動的に生成できるようなコンパイラ
であり、第二階層にある組織の個別
セミナー案内
一般向けHPCセミナー
第2回チューニング技法編」
◆開催日:
2013年2月21日(木) 10:00-17:15
チューニング技法入門(「京」
見学会あり)
2013年2月22日(金) 9:30-17:45
並列プログラミング入門(MPI編)
◆開催場所:
理化学研究所 計算科学研究機構 1階セミナー室
〒650-0047 兵庫県神戸市中央
区港島南町7-1-26
http://www.aics.riken.jp/access/
◆参加費:
無料
◆申し込み手順:
下記のWebサイトにて詳細をご案
内しておりますので、ご確認の
上、Web上からお申込みくださ
い。
h t t p s : / / w w w. h p c i - o f fi c e. j p / k computer/seminar/
◆申込締切:
2013年2月19日(火) 17:00
※申込多数の場合、会場の都合に
より締切前に受付を終了させて頂
く場合があります。ご了承くださ
い。
◆セミナー資料について:
セミナー資料はWeb上に公開して
おりますので、事前にダウンロー
ドしてご持参ください。
◆お問い合わせ先:
登録施設利用促進機関
一般財団法人高度情報科学技術
研究機構(RIST)
講習会担当
[email protected]
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的な独立性を損なうものではない」
我々は農業分野とは違い、研究で
トップがこのような方向を目指し
と断わると思うが、わざわざそうい
は競争に勝ち抜くことは当然に期待
た国家計画をたて、超並列ばかりを
う意見と対比させながら「機構側と
されることであるから、「トップを
やると、研究者はそれにあったプロ
してはあれこれこういう案を取る」と
目指す」いうことは自体は結構なこ
グラミングをしなければならないこ
いっている以上、はっきり意見Cと
とであろう。しかしその目指し方が
とになる。研究者の要請にあったシ
違 う 道 を 進 む と 言 って い る の だ ろ
問題で、超並列を構成し「いくつま
ステムを構築していくと謳っている
う 。 そ う み る と 「 そ の アー キ テ ク
でCPUをあつめられたか」を競うよ
が、それは言葉だけで、現実はシス
チャーを第2階層以下の計算機が追
うなやり方には疑問がある。勿論こ
テムに合わせた研究をしなければな
従することにより」という部分は、
ういうものが必要な分野があること
らないことになる。
機構側が超並列アーキテクチャーを
は理解できるので、それをピラミッ
今回の「アンケート」というのはど
推進するので第2階層は積極的にそ
ド型のトップに据えるのは結構であ
ういう性格のものかよく分からない
の方向に行けといっていると解釈さ
る。問題はそれを下に押し付けるよ
が、国会対策のため、こういう国家
れる。
うなシステムであれば反対だ。
戦略があたかも国民のコンセンサス
意見Cが出されたのはどれくらいの
であるかのような雰囲気を作るため
範囲での意見なのか筆者にはわかり
筆者の理解では、今の世界を争う
ようがないが、筆者の推測ではHPCI
トップのスーパーコンピュータは、端
の委員会くらいで出てきたもので、
的にいっていかにCPUをたくさん搭
機構側としてはこれがどれくらい広範
載できるかで決まるようにみえる。
囲に存在する意見なのか図っている
「 京 」 に 使 わ れて い る 一 つ 一 つ の
のではないだろうか?これも筆者の
CPUはそれまでのものより明らかに
推測であるが、既に述べたように機
パフォーマンスが落ちている。開発
構や理研といった組織が実行する巨
者がいっていることだから確かと思
大なプロジェクトは、常に国会とい
うが「電源が不足するのでCPUのク
う国民の審査に晒される。そういう
ロックを下げるという逆転した発想
場では、科学的な価値観だけで判断
をとった」と自慢している有り様で
されるのではない。そのとき推進す
ある(本紙6号「京の開発物語」参
るプロジェクトがいかに構成員であ
照)。つまり一つのCPUの性能を犠
る科学者の一致した計画であるか、
牲にしても、総CPUの数が稼げれば
説明が求められる。「研究者はこれ
この世界では評価されるということ
を望んでいる」と国会で答弁しなが
だろう。並列にして早くなるという
ら、下の階層、研究者個人では違う
のはウソである。一つのCPUで10の
意見を持っていたのでは恰好がつか
仕事をしていたものを10個のCPUで
ない。機構側としては機構の進める
分けているだけだ。並列は「エコ」
方向性が大多数の研究者の一致した
であるというのもウソで、消費電力
意見ということにしなければならな
あたりでみたら原理的には直列計算
い、と考えるのではないか。
と同じで、現実は先に述べたような
CPUのパフォーマンスの低下や並列
これまでの機構側の議論を見てみ
度は100%でないことから、計算量当
る と 、 ど う も 政 治 と 似 て いて 「 グ
りでみると余分な消費電力がかかる
ローバル化、トップレベルをいく」
ことになる。このような電力の浪費
という旗印のもとでいまのピラミッ
型システムでは今回の事業仕分けで
ド型の構成を強力に進めることが唯
もみた通り、国会から反対され却下
一の「世界に残れる道」という雰囲
される可能性があることを忘れては
気を作らせているように感じる。
ならない。このような方向と心中して
のような気がする。
第12回アジア太平洋物理学会議
(APPC12:12th Asia Pacific
Physics Conference)
■主催:日本物理学会、応用物理
学会
■日時: 2013 年7月14日(日)-7月
19日(金)
■場所: 幕張メッセ国際会議場
■URL : http://www.jps.or.jp/
APPC12/index.html
■アブストラクト投稿締切(オンラ
イン):4月10日
■スコープ:物性・デバイス(半導
体、酸化物、カーボン系材料、ス
ピントロニクス、超伝導、低温物
理 、 量 子 情 報 ) 、 プ ラズマ、 素 粒
子、原子、宇宙、放射光・中性
子、物理教育、Woman in Physics
よいのだろうか。
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国際交流
大阪大学 フィリピンサテライトオフィス
海外パートナーシップとコラボレーションによる
垣根なき教育
笠井秀明(大阪大学工学研究科)
Osaka University satellite office
in the Philippines Borderless
education through partnership
and collaboration Key Words:
Osaka University satellite
office, De La Salle University,
Philippines, partnership,
research collaboration
Occasionally, when I deliver my talk
in conferences and workshops
abroad, I share to the audience a
popular haiku by Kobayashi Issa:
露の世は露の世ながらさりな
がら
The English translation by B.H.Blyth
goes:
This dewdrop world It maybe a dewdrop,
And yet- and yet is has vividly portrayed the reality
that life is fleeing and ephemeral as a
dewdrop. And yet, by making the best
of this short-lived and temporary
dewdrop, life would be long enough to
fulfill its profound purpose and
meaning.
As a university professor, I have
come to realize that one of my major
purposes in life is the advancement of
science and technology, not only in
Japan, but also in other countries,
especially those in the South East Asia.
Recently, I became fortunate enough to become the director of Osaka
University’s newly founded satellite
office in the Philippines. is is the
fruit of painstaking years of our
academic collaboration with the Philippines to strengthen and promote
a partnership between Osaka
University (OU) and De La Salle
University (DLSU) in the Philippines
which formally began in 2003.
Noble Cause
In my speech during the inauguration of the satellite office, I
emphasized the value of a borderless
education through partnership and
collaboration between institutions
and quoted a Bible verse: “How
good, how delightful it is to live as
brothers all together!”(Psalms 133:1).
Unlike most of the Japanese
universities which are equipped with
advanced technologies to conduct
cutting- edge research studies in
science, many of the Philippine
universities lack sufficient equipment
and facilities to be at par with the
international research institutions.
However, since Filipino students are
intellectually competitive, an active
partnership between Japan and
Philippines can lead to a venue where
both countries could help each other
find solutions to their problems.
I also stressed the promotion of a
knowledge networked Asia through
the active exchange of faculty and
students not only between Philippines
and Japan, but also in other
neighboring countries like Indonesia,
Vi e t n a m , a n d T h a i l a n d . B y
encouraging “brain circulation”
rather than “brain-drain” which is in
line with Osaka University’s slogan:
“Live locally, Grow globally”, the
developing south-east Asian countries
do not need to worry about losing the
intellectuals of their countries in
exchange of a greener pasture
abroad.
O s a k a U n i ve r s i t y p ro m o t e s
international linkages in a firm belief
that the fruits of academic re Osaka
University satellite office in the
Philippines Borderless education
through partnership and collaboration Key Words: Osaka University
satellite office, De La Salle University,
Philippines, partnership, research
collaboration search and educational
endeavors should benefit all of
mankind. As part of its proposed
model for strengthening international
outreach, it established overseas
education and research centers in San
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Fr a n c i s c o ( U S A ) , G r o n i n g e n
(Netherlands), Bangkok (Thailand),
and Shanghai (China). T hese
overseas centers serve the purposes of
(1) collecting and sharing information
in order to facilitate exchange among
re s e a rch e r s a n d s t u d e n t s, ( 2 )
supporting international exchange
overseas, (3) communicating research
results established by the university,
and (4) rapidly introducing research
results from overseas. Thus, it is a
g lobal commitment of Osaka
University to promote research
collaboration with scholars and
institutions overseas and share the
research results for the benefit of
global society. It also promotes
education that fosters transcultural
communicability and encourages
constructive and creative actions
through student exchange programs,
staff training and diversification, and
internationalization of educational
environment.
our laboratory in the Graduate Workshops and two (2) Emphatic
School of Engineering at Osaka C o m p u t i n g W o r k s h o p s .
University. A for mal exchange Establishment of the Satellite Office
agreement between the DLSUThe OU satellite office in the
College of Science and OU- P h i l i p p i n e s w a s i n i t i a l l y
Graduate School of Engineering was conceptualized in April of 2009
signed in 2003. Since then, the during the courtesy call of the then
linkage has expanded with the DLSU President Br. Armin Luistro,
participation of other departments who now holds a national position as
such as Chemistry, Biology, and the Secretary of the Philippines’
Information Science. Finally, a Department of Education, to the
university to
university
e x c h a n g e
agreement
between OU
and DLSU was
signed in 2006.
In a span of
more than ten
years, more than
twenty Filipino
students from
DLSU were sent
to OU to pursue
their graduate
Ribbon-cutting during the opening ceremony of the
Humble Beginnings
studies in areas
satellite office led by OU VP for International Affairs
The growing relationship between l i k e q u a n t u m
Prof. Akira Takahashi and current DLSU President Br.
the two universities started in 2000, e n g i n e e r i n g
Narciso Erguiza.
with the inception of a possible design, applied
academic exchange between the physics, chemiformer Osaka University President
Physics Department of DLSU and stry, medical science, and computer Prof. Kiyokazu Washida. In this visit,
s t u d i e s . the two presidents agreed upon the
A l o n g s i d e establishment of an OU office in
n u m e r o u s DLSU including subject accreditation
c o l l a b o r a t i v e for exchange students between the
paper s which two institutions. This also served as
were published an occasion for them to exchange
in highly-rated v i e w s a b o u t t h e i r r e s p e c t i v e
i n t e r n a t i o n a l universities, the challenges of
refereed jour- university leadership, and similar
nals, the active concerns. On a similar event in
c o l l a b o r a t i o n August of 2010, a Memorandum of
between the two A g r e e m e n t b e t w e e n t h e t w o
universities led universities was signed that will
to fifteen (15) materialize the satellite office.
joint academic
Then finally on February 3, 2012,
r e s e a r c h I led the inauguration of the satellite
symposia, four office at DLSU. The ceremony was
Inception of the Osaka University satellite office during
( 4 ) C o m p u t a - attended by Hon. Ambassador
the visit of the then DLSU President Br. Armin Luistro to
tional Materials To s h i n a o U r a b e ( J a p a n e s e
the former OU President Prof. Kiyokazu Washida.
Design (CMD)
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Ambassador to the Philippines), Hon.
Secretary Mario Montejo (Secretary
of the Department of Science and
Technology, Philippines), Prof. Akira
Takahashi (Vice-President for
Inter national Affairs, Osaka
University), and Br. Narciso Erguiza
(President and Chancellor, De La
Salle University-Manila).
To achieve its function as an
overseas center of Osaka University,
the satellite office at DLSU aims to
serve as the main information center
to advertise and promote the
programs of Osaka University to
DLSU and other universities in the
Philippines. Furthermore, the office
aims to be a center for academic and
research exchange between Osaka
University and DLSU through
activities such as lectures, seminars,
and meetings, utilizing videoconferencing as a useful medium for
information exchange. Finally, the
office also serves as a social lounge for
delegates from Osaka University and
OU alumni in DLSU.
On March 7, 2012, a workshop on
computational science and research
Group pictures with all the guests during the opening ceremony.
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CND News No. 9
was held at the satellite office. Two
delegates from the Graduate School
of Engineering of Osaka University
as well as participants from the
P h y s i c s , C h e m i s t r y, B i o l o g y,
Mathematics and Engineering
departments of DLSU attended this
workshop. This marked the first
successful academic and research
exchange activity held at the satellite
office.
Expanding Horizon
The OU satellite office in the
Philippines envisions to advance the
country in excellence and leadership
in both research and the academe. It
strives to contribute to the attainment
of the Philippines’ mission of
providing quality education that is
equitably accessible to all Filipinos
and laying the foundation for life-long
learning and service for the common
good. As such, its doors are open for
other universities and research
institutions in the country. Moreover,
since linkages and extension services
are among the major thrusts of
DLSU, it will crystallize the role of
the academe in sharing its knowledge
and resources to the wider
community through institutional
n e t w o r k i n g i n t h e i n d u s t r y,
government agencies, and nongovernment organizations.
Indeed, this endeavor is a
realization of my dream of
contributing to the advancement of
science and technology in Asia,
within the limit of Kobayashi Issa’s
dewdrop world.
Additional notes:
I wish to acknowledge the relevant
contributions of R.L. Arevalo, A.A.B.
Padama, J.L.V. Moreno, S. Sakai and
Dr. M.Y. David in the development of
this article. It is an honor to attend
the opening ceremony of Osaka
University’s Philippine Satellite
Jan 2013
Office, during the time when De La
Salle University and Osaka
University are commemorating their
100th and 80th anniversary,
respectively. Tears have unexpectedly
fallen from my eyes as the audience
sang a birthday song for my 60th
birthday. Certainly, life maybe a
dewdrop, and yet, and yet.
(Hideaki Kasai, Ph.D.
Director, of the Osaka University
Satellite Office in
De La Salle University
Professor of Osaka University)
電気通信大学教員公募
(共通教育物理系分野)
1.職名・募集人数 教授1名
2.担当学部・研究科等 情報理工
学部共通教育部
3.専門分野 材料・光・電子デバ
イスなどにおける広い意味での物性
物理的プロセスに対して、
主として理論的アプローチをされる方
4.担当科目等 全学の物理系基礎
科目の企画・運営と授業担当。併せ
て、先進理工学科・専攻の教育も兼
務し、同学科における卒業研究と同
専攻における大学院の研究指導を行
う。
5.応募資格 博士の学位を有す
る、またはそれと同等の能力を有す
る方。なお、学部教育の経験のある
方が望ましい。
6.勤務形態 常勤、任期なし(定
年制)
7.給与 国立大学法人電気通信大
学職員給与規程による。
8.採用予定日 平成25 年6 月1 日以
降のできるだけ早い時期
(以下略、連絡先のみを記す)
第2回CMSI神戸ハンズオン:
ALPSチュートリアル 開催要項
---------------------------------------------------------日 時: 平成25年3月6日
(水)13:00 - 18:00
場 所: CMSI神戸拠点 (理化
学研究所・計算科学研究機構・5
階R501室)
http://www.cms-initiative.jp/ja/
division/kobe
受講人数: 8名(2月8日(金)申込
締切 先着順)
講 師: 藤堂眞治 (東大物性
研)、松尾春彦 (RIST)、五十嵐亮
(東大物性研)
(1) 応募申請書の様式を下記よりダウン
ロードし、記入して下さい。
h t t p : / / w w w. u e c . a c . j p / a b o u t /
advertisement/pdf/oubo_sinseisyo.pdf
12.問い合わせ先電気通信大学情報
理工学部共通教育部教授鈴木勝
電話:042-443-5556 E-mail:
[email protected]
13.書類送付先〒182-8585 東京都調
布市調布ヶ丘1−5−1
電気通信大学情報理工学部共通教育部
鈴木勝宛
(封筒表面に「共通教育物理系分野教
員応募書類在中」と朱書きし
簡易書留で郵送のこと。併せて、発送
の旨を上記問い合わせ先へ
「応募書類送付」という件名でE-mail
によりお知らせ下さい。)
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CND News No. 9
名古屋大学大学院理学研究科物
質理学専攻(化学系)
物理化学研究室 助教 公募
1. 公募人員:助教1名
2. 所属部門:物質理学専攻(化学系)
物理化学研究室 篠原久典 教授
3. 専門分野:当研究室ではフラーレン、
カーボンナノチューブ、グラフェン、ナ
ノダイヤモンド関連物質を中心とする新
規ナノカーボン物質(研究室webpage:
http://nano.chem.nagoya-u.ac.jp/)
に関する研究 を行っています。現在す
Jan 2013
計算物質科学イニシアティブ:
計算物性物理学分野人事公募
「計算物質科学イニシアティブ」
( C M S I ) ( ホ ー ムペ ー ジ h t t p : / /
www.cms-initiative.jp/)
のプロジェクトに基づき、計算物
質科学研究を推進する方を公募す
る。CMSIの戦略課題「新量子相・
新物質の基礎科学」を構成する下
記のいずれかあるいは複数の研究
グループと協力して計算物質科学
研究を推進する。
でに、ナノカーボン分野(物理、応用物
理、化学、材料科学、電気電子の分野を
問いません)を研究している研究者を募
集します。新しいナノカーボン物質のナ
ノサイエンスとナノテクノロジーの開拓
に意欲がある方を募集します。
4. 着任時期:4月1日以降できるだけ
早い時期
5. 応募資格: 博士の学位を有するか、近
い将来取得見込みの方
6. 提出書類:
1) 履歴書
2) これまでの研究概略(2000字以
内)
3) 論文リスト
4) 主要論文別刷り3編以内
5) 研究計画書(1000字以内)
6) 本人について問い合わせ可能な方
2名の氏名と連絡先
7. 公募締切:2013年1月25日(金曜日)
必着
8. 書類送付先・問合せ先:
篠原久典
郵便番号 464-8602 名古屋市千種
区不老町 名古屋大学大学院理学研究科
物質理学専攻(化学系)物理化学研
究室
TEL:(052)789-2482、FAX:(052)
789-3661
Email: [email protected]
1.職名:
特任研究員(博士研究員) 1名
2.勤務地:相談の上、東京大学
大学院工学系研究科物理工学専攻
(本郷キャンパス)、東京大学物
性研究所(柏キャンパス)、京都
大学基礎物理学研究所のいずれか
3.雇用予定期間:決定後できる
だけ早い時期より、本戦略プログ
ラムの終了まで(平成28年3月を予
定)。更新は予算の状況、勤務成
績 の 評 価 に 基 づ いて 年 度 毎 に 行
う。
4.職務内容:
上記戦略課題「新量子相・新物質
7.給与:俸給(各大学規則によ
る): 経験・年齢に応じ決定す
る。年俸制。
8.提出書類:
(1)履歴書(写真添付)
例えば http://www.u-tokyo.ac.jp/
per01/r01_j.html
から取得。面接の連絡を行うた
め、確実に連絡がとれるメールア
ドレスを明記すること
(2)研究業績の要旨(A4で 2ペー
ジ程度まで)
(3)主要論文(3編程度まで)の写し
(4)研究業績一覧
(5)本人に関して意見を聞き得る
方の氏名、所属、連絡先
(6)今後の抱負(A4で1ページ程
度)
13.応募締め切り:適任者が見
つかり次第
14.書類送付先:〒113-8656 東
京都文京区本郷7−3−1
東京大学大学院工学系研究科物理
工学専攻 今田正俊
封筒表に「CMSI特任研究員応募」
の基礎科学」の中の重点課題「相
関の強い量子系の新量子相探求と
ダイナミックスの解明」(代表 今 田 正 俊 ) ( h t t p : / / w w w. c m s initiative.jp/ja/cmsi/objective/topic1/
focus1/topic-1 )に属して、構成す
る研究グループ(今田研究室(東
大工学系研究科物理工学専攻)、
川島研究室(東大物性研究所)、
遠山研究室(京都大学基礎物理学
研究所))の展開する強相関電子
と朱書
15.問い合わせ先:東京大学工
学系研究科物理工学専攻 今田正
俊
メール [email protected]
または、東京大学物性研究所 川
島直輝
メール [email protected]
16.選考方法:書類選考・面
接:書類選考を通過された方に
系に関する共同研究に参画する。
5.応募資格: 博士の資格を有
することまたは着任までに取得の
見込みがあること。
6.就業時間:専門業務型裁量労
働制
は、面接に関する連絡をいたしま
す。書類選考を通過されなかった
方へのご連絡は特にいたしませ
ん。また、選考経過に関する個別
のお問い合わせはご遠慮くださ
い。
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CND News No. 9
Jan 2013
第22回コンピュテーショナル・マテリアルズ・
デザイン (CMD®)ワークショップ
日時:2013年3月4日(月)− 3月8日(金)
場所:理化学研究所 計算科学研究機構 (AICS)
〒650-0047 兵庫県神戸市中央区港島南町7-1-26
ニチイ学館 神戸ポートアイランドセンター
〒650-0047 兵庫県神戸市中央区港島南町7-1-5
主催:大阪大学ナノサイエンスデザイン教育研究センター、大阪大
学大学院理学研究科物理学専攻、大阪大学サイバーメディアセ
ンター、東京理科大学、計算物質科学イニシアティブ(CMSI)、
独立行政法人日本学術振興会・研究拠点形成事業 A・先端拠
点形成型、大阪大学Quantum Engineering Design
先端事例講義
Research Initiative
柚木(理研)、笠井(阪大)、金田(富士通)
後援:理化学研究所 計算科学研究機構 (AICS)
特別講演
参加申し込み:http://ann.phys.sci.osaka-u.ac.jp/CMD/
北浦(神大)、平尾(理研)
申込期限:2013年1月27日(日)
連絡先:「コンピュテーショナル・マテリアルズ・デザイン
CMD®基金のご案内
(CMD®)ワークショップ」
今回のCMD®ワークショップにおきまして、計
実行委員長、赤井久純、 実行委員事務局、下司雅章
〒 560-8531 大阪府豊中市待兼山町1-3 大阪大学ナノサイ
エンスデザイン教育研究センター
http://www.insd.osaka-u.ac.jp
CMD担当: cmd[@mark]insd.osaka-u.ac.jp
TEL/FAX:06-6850-6342
算物質科学イニシアティブ(CMSI)の支援により
CMD®基金を設置し、学生に本ワークショップに
参加するための旅費を支援することとなりまし
た。
詳細は上記のホームページヘ
材料科学、物質科学は、21世紀においても社会の技
けることを目的としています。第17回からスーパーコ
術基盤の発展を支える中心的な役割を果たすと考えら
ンピューターコースを設置し、スーパーコンピューター
れていますが、これまでの経験的な組み合わせ論的新
を活用して大規模な系への適用についての実習も行っ
素材開発手法のみでは、新しい知見に到達するまでの
ています。 次世代スパコンプロジェクトが進行してい
研究の効率化と省資源化・環境調和性の実現について
る中、それを使いこなす人材の育成が急務です。 しか
の総合的検討の現代の必要性に対処できないと 考えら
し、F1マシンに例えられる次世代スパコンは容易に
れています。コンピュテーショナル・マテリアルズ・デ
使いこなせるものではありません。 そのためには、ま
ザイン(CMD ® )の手法は、このような状況におけるブ
ず現存するスーパーコンピューターを十分使いこなす
レークスルーとなる可能性が極めて高いと期待されて
人材を育成することから始める必要があります。 本
います。 このワークショップはコンピュテーショナ
ワークショップでは、ベクトル化や並列化といったテ
ル・マテリアルズ・デザインの可能性を展望するとと
クニカルな部分よりも、実際に計算して物質を設計す
もに、 その基本となる最先端の計算手法を学び、実際
る点に重点をおいて、5日間スパコンを自由に使って
にマテリアルズ・デザインを体験することにより、 物
実習を行います。
質科学の新しいパラダイムに対応できる基礎能力をつ
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CND News No. 9
Jan 2013
会議報告
日仏共同セミナー
Physics and Control of
Clustering Solids
白井光雲(阪大産研)
日本学振振興会(JSPS)とフラン
が見つけられない。そうした経緯で
もって投稿し、議論の方向性を示そ
スCNRSとの2国間共同セミナー事
clustering solidsという少し苦し紛れ
うと努力した。
業として、「クラスター固体の物理と
の名前にした。
以下、すべて敬称略。
その制御」と題したセミナーが20
名前はともかく、組織委員長として
12年11月5日ー7日、淡路夢舞
考えなければならない最大の仕事
台国際会議場で執り行われた。私は
は、いかに講演者を組織するかに尽
組 織 委 員 長 と して 本 セ ミ ナ ー の 計
きる。本セミナーの性格からいっ
クラスター固体の最大の特徴は、名
画、実行を務めさせていただいた。
て、JSPS-CNRSへの申請時のメン
前の示す通りクラスターが構造要素
その立場から本会議の模様を以下に
バー(日仏とも6−7名くらい)だ
である。そこにゲスト原子が入り、
報告したい。
けの閉じたものとするに問題はない
価電子制御が可能となる。しかし伝
が、やはりこれからの発展を考える
統的な半導体へのドープと異なり、
本会議は、ボロンやクラスレートを
と一般から広く参加者を求めたい。
何がホストで何がゲストかというこ
中心とした物質系に関した会議であ
しかし題名が示すようにあまりはっ
とがそれほど明らかではない。
る。この会議を組織するに当たって
きりした分野でないので単なる寄せ
Na8Si46ではNaサイトを置換した原子
まず考えなければなったことは、こ
集めになる可能性もある。学術研究
をゲスト原子と呼ぶが、Ba8Ga16Ge30
の漠然とした物質群をどのように名
というものは個人個人の方向性が
(BGGと略される)ではGaがゲスト
付けるかということである。簡単に
揃ったものではないので寄せ集めで
なのかBaそのものをゲストとみなす
いえば、複雑な構造の結晶というこ
悪いわけではないが、私の意図はパ
かだんだんわからなくなる。むしろ
とになるが、complicated crystalsと
ンチの効いた印象に残る会議にした
全体として3元系の合金とみるほう
したのでは全く漠然とし過ぎてい
いということである。そのためこの
が適切である場合もある。それは単
る。cluster solidsというのが次に来
物質を取り上げる目的を絞った。そ
なる定義の問題ではない。それによ
る名前であるが、世の中にはcluster
れは超伝導と熱電材料である。クラ
り 熱 伝 導 度 な どの 現 象 の 説 明 が 変
という名前のものがたくさんある。
スレート固体やボロンの応用として
わってくるのである。この系はいわ
分子性結晶はほとんどそれであるの
はいろいろなものが考えられそうい
ゆるrattlingというゲスト原子のつく
で、そんな名付け方をすると最初か
うものを排除する立場ではないが、
るふらふらした運動が熱伝導度の低
ら場違いのものとなる怖れがある。
当面する応用を絞ることで理論とし
さ、あるいはその温度依存性に効い
いわんとしていることは、クラスター
て何が必要か、電子構造で何が問題
てくるといわれているので、その概念
としての構造単位がある(この部分だ
か、あるいは物質合成で何が求めら
は重要である。西堀(理研)は、
けであればカゴ状結晶ということも
れているか、といった問題意識が明
BGG系で6cサイトに空孔があること
可能だが)、分子性結晶とは違い硬
確になる。そうすると講演候補者の
を放射光を使ったMEMにより明らか
く(それが超伝導で重要)、かつ価
人選にも筋が通る。自慢するほどの
にした。これは大きな前進で、従来
電子制御が可能である、そういうも
ことではないが、私自ら、以下に示
はクラスレート固体は原子数が多く
のであるが、それを一言で表す言葉
す 全 ての セ ッ シ ョ ン に ポ ス タ ー で
1. Structural study, nanostructures
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CND News No. 9
Jan 2013
てもstoichiometryを保ったものと考
ことが得意で、Charpentier (CEA
このお陰でα-boronの高圧における超
えられてきたので従来の認識を改める
S a c l a y ) が N M R を 解 析 す る ツ ール
伝導が発見された。またOganovのも
必要がある。久米(岐阜大)は、さ
(GIPAW)を開発しその紹介をし
のは、常圧での安定相として私のも
らに高圧で、ゲスト原子のoff-siteか
た。実験と理論の一致は印象的で、
のとは違いβとしている。どちらが正
らon-siteへの転移がいろいろな条件
二十面体の中に2個までの置き換え
で可逆・不可逆になることを示し
が起きていることが確信できる。
た。なぜということまで言及しな
かったが、私はそれはoff-siteからonsiteへの径路を内包するカゴの側面に
2. Crystal growth, Preparation,
High-pressure synthesis
6cサイトがあり、それが転移に対し
新しい物理は常に新しい物質から
てストッパーの役割を果たしているの
生じる。理論家は物質合成にほとん
ではないかというモデルを提案させ
ど興味を示さないことが多いが、私
ていただいた。占有されているかど
はこのセッションを最も重要視し
うかでゲスト原子の断熱ポテンシャ
た。理論から新しい物質合成を予測
ルに障壁ができたりできなかったり
し、新しい可能性を示すことが私の
するのではというアイデアである。
使命と思っているからである。この
一方、ボロンの場合は不純物とい
点でボロンは興味深い。ボロンは単
うより、はじめからホスト原子自体
体原子結晶のなかで唯一最近まで相
が格子間位置に入り欠陥を作りやす
図がなかった物質である。それを私
いことが知られている。この配置を
は初めて相図を計算し予測した。お
決定するのにNMRの方法が強力な武
陰でいろいろな発展があったと自負
器となる。フランスのグループ(Le
して い る 。 た だ ち に 様 々 な 高 圧 実
Polles, ENSC-Rennes)は実験的に強
験、作成が進められたし、またγ-orth
力に推し進め、ボロンカーバイトで
二十面体の中のBもCで置き換えが起
き、かつ2個までの置き換えが起き
ていることを示した。フランス側は
こういう解析に第一原理を活用する
という新しい構造のものが発見され
た。発見・同定したのはOganovのグ
ループで、そのため私の相図予測は
短命に終わることになったが、しか
し無駄にはならなかった。何よりも
しいか、最近のドイツのグループの実
験により基底状態の安定相はαである
ことが示されるに及んでいる。つま
り私の予測の方が正しいということ
になる。私の正しさは後で議論する
欠陥を考えると実は手放しには喜べ
ないものであるが、ともかくもどれ
が基底状態かの論争は一応終止符が
打たれた。
Godec (IMPMC)は実験でγ-orth
や、BC5といった新しい材料の開発に
かかわっており、フランス側の物質
合成の質の高さを示している。特に
BC5はダイヤモンド構造を取っている
といわれているが、謎の物質で、物性
がほとんどわかっていない。金属だ
といわれているが、むしろ半導体で
はないか?と私が切り出すと、それ
は否定できないと答えていた。
山中(広島大)はIV族クラスレー
ト化合物の合成で常にこの分野を
リードしている。次々と新しい物質
を合成し、さらに特筆されるべきは
いくつもの超伝導物質を発見してい
Japan-France Joint Seminar 2012
Physics and Control of Clustering Solids
5(Mon)-7(Wed) Nov. 2012, Awaji Yumebutai
Awaji Island, Hyogo, Japan
Categories and Keywords
1.
2.
3.
4.
5.
6.
Crystal growth, Preparation, High-pressure synthesis
Structural study, nanostructures
Phonons, Rattling, thermal properties
Electronic structure, electronic spectra, doping
Applications: Thermoelectric properties
Superconductivity
http://www.cmp.sanken.osaka-u.ac.jp/confs/jfsem12/
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CND News No. 9
る。まったく驚きである。私など
たった1つの物質の相図予測に何年
もかかっているが、山中はそんな計
算をしなくとも、簡単なvalence
Jan 2013
4. Phonons, Rattling, thermal
properties
熱電応的性質を研究するうえでフォ
ノンの性質は基本である。
かしながらこの物質系での最大の問
題はrattlingに代表される強い非調和
現象である。その場合には調和現象
からの摂動的な取り扱いではダメであ
countingの方法でどういう構造が安
フランス側はこのような計算が得
る。一番象徴的な現象は、rattlingで
定かということを予測し、かつ実証
意 で あ る 。 マ リ ー キ ュー リ ー 大 の
見 い だ さ れて い る 温 度 上 昇 に よ る
している。驚いたことに我々が長年
Lazzeriはフォノンのanharmonic
フォノン振動数の増加である(上の
掛けて示した欠陥配置などもクラス
coupling constantsを第一原理摂動理
グラファイトがこれと同じものに帰
レート固体に関してはほとんど正しく
論で計算し、熱伝導度を計算する壮
するとはとても思えない)。そもそ
言い当てていることである。こうい
大なアルゴリズムを紹介した。基本
もrattlingをフォノンの一種とみなす
う実験家のパワーを目の当たりにす
的なプログラムはできており、実証
ことがよいのかさえ決して自明でな
ると理論で予測することが虚しくみ
の段階のようである。anharmonic
い。これに関してはかなり研究が進
えてしまう。
coupling constantsは求まるが、それ
み、rattlingにもdispersionがある
がどれくらい正しいかの検証をする
が、それは非常に弱く、そのため
ことが大変なのである。分光学的な
ゾーン境界でacoustic modeと交差す
データがその検証として使われてい
ることが共通の性質であることが理
熱電応用はこの物質系で最も重要
る。しかし非調和現象はいろいろあ
解されている。そしてrattlingを行う
な応用である。すでにBGGで性能指
り、全てコンシステントにいくかわ
ゲスト原子が多くの場合off-enterで
数が1を上回るものが発見され、この
からない。彼の予測によると、グラ
あることが示されている。どのような
分野での可能性を証明している。赤
ファイトは熱膨張によりフォノンの
場合にoff-centerになり、どのような
井 ( 山 口 大 ) は 、 B G S 系 に お いて
ハードニングを起すらしい。そんな
場合にon-centerになるか?それに関
ドーピング種によりZTが改良される
バカなと思い質問すると、その機構
してもカゴの中の間隙の広さで決ま
実験事実を取り上げ、第一原理計算
はよくわからないという。往々にし
ることが実験により示された(広島
によりその増大機構を議論した。伝
てあることだが、第一原理計算は結
大の高畠、宇田川)。その間隙にあ
導度や熱電能の第一原理計算で結果
果を正しく予測かもしれないが、だ
るゲスト原子の占める割合をいかに
はでているが、ただどれが効いてい
からといってその機構が自動的にわ
して評価すべきかについては放射光を
るのかよくわからない。私自身ペロ
かるというものでもない。
使った素晴らしい研究が藤原
3. Applications: Thermoelectric
properties
ブスカイト構造のものでフェルミ面
熱伝導の計算は、電気伝導度の計
(SPring-8)から紹介された。谷垣
の特異的な構造からその熱電特性を
算と違い、各フォノンの寿命を計算
(東北大)は、低温比熱のデータか
解明したが、この方面での理論家の
できたらそれをゾーン全体で、ある状
らこのrattlingによる有効質量の増
なすべきことはまだ多いと感じた。
態密度を掛け合わせて積分すればよ
大、ひいては電子ー格子相互作用の
ボロン系ではクラスレートよりは
いというものではない。温度勾配が
大きさを見積もる試みが紹介され
ZTがよくない。森(NIMS)などに
あ る と き フ ォノ ン の 分 布 自 体 が 変
た。これにより超伝導のTc増加の機
よりボロン系における熱電材料の探
わってしまうことも効くことがいわ
構解明に期待がもたれる。
索の紹介がされた。特に複雑な構造
れている。Lazzeriのすごいところは
のボロンでは熱伝導度がかなり低い
この分布の変化も計算にとり入れて
が、その機構はまだよくわかってい
いることである。これは原理的には
この会議では超伝導のセッション
ない。その方向の研究を進める必要
変分原理で行えることでZimanの輸
はfocussed sessionとして特に外部か
がある。ボロンは熱電能や熱伝導度
送理論の教科書にも出ているが、原
らの招待講演を中心に集中した議論
に関してはよいのだが、その主な欠
理はともかくそれをやり遂げてしま
をおこなった。10年前までは半導
点は電気伝導度が不十分なことであ
うことがすごい。私はそれをモデル
体は超伝導にならないと考えられてき
ろう。その点を改良する努力が必要
計算でやろうとして途中で放り投げ
たが、今ではボロン、ダイヤモンドな
である。
た。
どで高圧あるいは十分な量のドーピ
5. Superconductivity
以上は、調和近似を出発点にした
ングさえなされれば超伝導となるこ
摂動計算であり、正攻法である。し
とは常識とさえなってきた。そして通
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CND News No. 9
Jan 2013
所のフォノン媒介による理論予測で
も、BC 5 やボロンカーバイトでは40
K前後のT c が予測されている。また私
もそれを信じている。しかし実験的
には、今世紀に入って始めの5年の
間に高濃度ドープダイヤモンドなどの
T cが10 Kくらいまでになったところ
でTcの上昇はストップしてしまってい
る。最近はボロンでも(α-boron)
ドープでき、かつ超伝導となること
が示されたが(兵藤、東京理科大)
やはりTcは5-6 Kくらいで余り高くな
らない。そのような状況に業を煮や
し 、 「 ど う して そ の よ う に 低 い の
か?」と秋光らに詰問される。理論
は高いものを予測しているのになぜ
実際は低いのかと。まず大きな問題
数の理論家が考えているB 12 (CBC)と
は、理論的に予言されている物質は
圧下あるいはドープしたボロンでTcが
いう構造ではないのだろうと私は考
低いのは、まだドーピング濃度(Li)
実際には理論通りの構造ではないこ
えて、いま構造探索を行っているとこ
が最適濃度にはほど遠いからであ
とが指摘される。BC5は未だに試料作
ろである。
る。むしろ今の濃度(0.1 at %)で超
成が再現されていない有り様だし、
ボロンカーバイトはその構造が大多
期待されるほどのTcではないが、と
伝導が出ていることの方が驚きであ
もかくも超伝導は示されている。高
る。Vast (Ecole Polytechnique)によ
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ると、高圧下のボロンではとても超
条件の下で「どうして高いTcが出たの
うような有効質量を求めると1.8くら
伝導がでるような濃度ではないとい
か?」ということが理論の課題であ
いになる。これを求めたのは30年く
う。にもかかわらず実験的には高圧
る。
らい前でそのときはSrTiO 3 の有効質
下のα-ボロンは超伝導を示す(清
低濃度キャリアにおける超伝導の
量はわかっていなかったが、今では
水、阪大)。この不一致をどうみる
可能性ははるか昔にM. Cohenにより
私も計算したがそれくらいの値であ
か ? Va s t は 自 分 の 計 算 に 自 信 を 持
議論され、ダイヤモンド構造ではキャ
り、ちゃんと合っている。このよう
ち、実験が間違っているのではない
リア密度が低くても、多谷散乱によ
な非常に通常でない条件での一致
かと清水らに詰め寄る。確かにα-ボ
る有効電子間相互作用の引力的な働
は、このモデルがかなり本質的なこ
ロンの結晶は作成が難しいだけあっ
きが増大するので超伝導が可能であ
とを突いている証拠と思う。
て、大半がβ-ボロンの試料の中でごく
わずかにかつ小さな粒子として存在す
るだけなのでその可能性は否定でき
ない。そのため清水らはα-ボロンの
るとされている。硬い半導体におけ
る超伝導が実現された今では、フェ
ルミレベルでの状態密度の小ささよ
りも、むしろフォノン振動数が高く
かつフェルミエネルギーが低いこと
6. Electronic structure, electronic
spectra, doping
最終日は、この物質系の電子的性
質が議論された。
超伝導の論文を発表した後でも、こ
で断熱近似が成り立たないというこ
ボロンの電子構造については、木
のα-ボロンとβ-ボロンの切り分けに注
との方が問題である。この問題も含
村(東大)からボロンの欠陥が自己
意を払いながら再実験をしたという
めてフラーレンでの経験について斎
補正効果として働き、ドーピングが困
が、結果は変わらない。
藤(東工大)が議論した。 T c の計算
難となっている状況が紹介された。
Vastの計算は、実際のところは私
ではむしろフラーレンの方が難しい
にもかかわらず実験から何とかしよ
のところにいた出倉君が行ったもの
らしい。また炭素系はグラフェンや
うとする努力が払われている。ボロ
であるから、その経過は私も知って
ナノチューブ以外にまだまだ構造探索
ン に 関 して は 、 こ の 欠 陥 は
いる。始めはT cは数Kくらいの値を出
する価値があり将来の発展が望め
stoichiometryからのずれとして現れ
していたためよいだろうと考えていた
る。低濃度キャリアといえばSrTiO 3
ているが、その本性は欠陥というよ
が、高圧でのα-ボロンのフェルミ面
は超伝導になる物質の中で低濃度の
りホストのintrinsic propertiesの一
はかなり小さくかつゾーンの中に幾つ
トップをいくものであろう。
部と認識すべきということが求(東
か顔を出すので、かなりkサンプリン
10 18 cm -3 という驚くべき低濃度でも
大 ) か ら 主 張 さ れ る 。 そ して そ の
グを取らないとダメである。始めは
超伝導となることが知られている。
「欠陥」はフラストレートの現れと
それをせずにそこそこのTcを出してい
したがってボロンでキャリア濃度が
して解釈されるという、これまで誰
たが、k点メッシュを細かくするにつ
低いこと自体、超伝導となることに
も考えてみなかった観点からの解釈
れT c は下がり、ついにはmK以下の値
反してはいないが、ではどうして超伝
が紹介された。全く同感で、この点
になったのである。結局、キャリア
導が出るかという答えにはならな
で、ボロンの「欠陥」は通常の半導
濃度が小さすぎる(10 20 cm -3 のオー
い。高田(東大)はこのSrTiO 3 の超
体における欠陥とは本質的に異な
ダー)という極めて常識的なことが一
伝導に触れ、この物質が高い誘電率
る。通常の半導体におけるようには
番の問題であることがわかった。し
を持つことが原因で有極性半導体に
濃度は制御できない。では、β-ボロン
たがって「なぜ低いのか」という秋
共通することとしている。高田の解
では価電子制御は不可能なのであろ
光の質問とは反対に、このような悪
析で T c の計算をおこない、実験に合
うか?そうともいえない。フラスト
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レート系では、縮退した状態を外場
る。私などはその典型である。それ
といった感想が多く寄せられたこと
の 導 入 と か の 方 法 で 何 と か して い
ゆえ、読者に、この私という色眼鏡
は組織委員長としての何よりの喜びで
る。我々はそのような先端例から学
を通した解釈を強要するつもりもな
あるのだから。
ばなければならないだろう。
い。ただ、多少、我田引水が入ろう
Sjakste (Ecole Polytechnique)は電
が会議の熱気が伝わればそれでよい
子ーフォノン相互作用の第一原理か
し、社交辞令が入るにせよ、参加者
らの計算をおこない、フォノンや電
からは「非常に密度の濃い会議だっ
子の寿命を計算している。基本的に
た」、「well organized meeting」
は線形応答理論の枠内で遷移のマト
リックス要素を計算することになる
が、それをシステマテックに行ってい
る。そして電気伝導度や熱起電力の
計算にまで到達している。
Lebègue (U. de Lorraine)はグラ
ファイトやインターカレーションなど
の計算に必要となるVdW力の第一原
理計算への移植について議論してい
る。セルフコンシステントな計算で
はなく、エネルギー汎関数に修正を
加える類いであるが、RPAに立脚した
ものとなっている。
以上、会議の報告をさせていただ
いた。人は自分のやったことを誇大
視して書く傾向があることを知ってい
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ナノマテリアル・ナノデバイス
大阪大学は、計算機に
デザイン学
よるマテリアルデザイ
ンを推進しておりま
す。これは第一原理計
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算による物理機構の演
繹という従来の研究に
加えて、仮想物質の予
測という理論指導の材
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料開発を目指すもの
で、実験と協力した予
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᳠チ
測の検証を行うこと
で、三位一体の材料開
発の研究機構を唱える
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ものである。
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将来の材料開発のあり方。性質の解明に基づき、新たな物質予測を行い、実証
を通じた、三位一体の研究アプローチ。
ア ド レス :
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nano@ n a n o .s
ig m a .e s.
o sa k a
-u .a c. jp
w .s ig m a. es
.o sa ka -u .a
c. jp /
pu b/ na no
/
大阪大学ナノサイエンスデザイン教育研究センター
編集部:
560-8531
大阪府豊中市待兼山1−3
白井光雲 (垣内美奈子)
大阪産業科学研究所
TEL: 06-6850-6398
FAX: 06-6850-6398
ナノテクノロジーセンター
567-0047
木市美穂ケ丘8−1
TEL: 06-6879-4302
FAX: 06-6879-8539
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