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情報技術を活用した効果的なコミュ ニケーション能力を育む指導方法等

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情報技術を活用した効果的なコミュ ニケーション能力を育む指導方法等
国立教育政策研究所教育課程センター
平成 25 年度教育課程研究指定校事業
研究成果報告書
情報技術を活用した効果的なコミュ
ニケーション能力を育む指導方法等
の工夫改善についての研究
平成 26 年 4 月 30 日
大阪府立東百舌鳥高等学校
研究主担者
稲川
0
孝司
はじめに
本研究成果報告書は、大阪府立東百舌鳥高等学校が国立教育政策研究所教育
課程センターの平成 25 年度教育課程研究指定校事業に共通教科情報で指定さ
れ、研究課題である「情報技術を活用した効果的なコミュニケーション能力を
育む指導方法等の工夫改善についての研究」を 1 年間研究した報告書である。
平成 18 年に教育基本法が約 60 年ぶりに全面改定され、21 世紀を切り拓く
心豊かでたくましい日本人の育成を目指すという観点からこれからの教育の新
しい理念が定められ、それを受けて学校教育法や学習指導要領が改訂された。
本校が文部科学省から研究指定を受けた平成 25 年というのは、新高等学校学
習指導要領が学年進行で実施される初年に当たる。
平成 20 年 1 月の中央教育審議会答申で、情報教育は高等学校の各教科に共
通するということで教科情報は「共通教科情報」という言い方になっている。
答申の中で、情報教育のあり方については次のように示されている。
(情報教育)
○ 急速に進展する社会の情報化により,ICTを活用して誰でも膨大な情報を収集する
ことが可能となるとともに,様々な情報の編集や表現,発信などが容易にできるように
なった。学校においては,ICTは調べ学習や発表など多様な学習のための重要な手段
の一つとして活用されている。学習のためにICTを効果的に活用することの重要性を
理解させるとともに,情報教育が目指している情報活用能力をはぐくむことは,基礎的・
基本的な知識・技能の確実な定着とともに,発表,記録,要約,報告といった知識・技
能を活用して行う言語活動の基盤となるものである。
○ 他方,こうした情報化の光の部分のほか,情報化の影の部分も子どもたちに大きな影
響を与えている。インターネット上の「掲示板」への書き込みによる誹謗中傷やいじめ,
個人情報の流出やプライバシーの侵害,インターネット犯罪や有害情報,ウィルス被害
に巻き込まれるなど様々な問題が挙げられる。これらの問題への対応については,家庭
の果たすべき役割も大きく,学校では家庭と連携しながら,情報モラルの育成,情報安
全等に関する知識の習得などについて指導することが重要である。
高等学校学習指導要領第1章総則第5款5の(10)に「各教科・科目等の指導
に当たっては,生徒が情報モラルを身に付け,
(中略)情報手段を適切かつ実践
的,主体的に活用できるようにするための学習活動を充実する」とあるように、
高等学校段階においてもあらゆる教育の機会を通して情報活用能力を身に付け
させる教育のより一層の充実が求められている。このことを受けて、各教科・
科目の内容の取扱いなどに情報手段の活用が明記されている。また、高等学校
学習指導要領解説情報編では、共通教科情報の目標は、
「情報及び情報技術を活
用するための知識と技能を習得させ,情報に関する科学的な見方や考え方を養
1
うとともに,社会の中で情報及び情報技術が果たしている役割や影響を理解さ
せ,社会の情報化の進展に主体的に対応できる能力と態度を育てる。」としてい
る。
高等学校学習指導要領解説情報編第 3 章第 1 節において「指導計画の作成に
当たって、情報科での学習が他の各教科・科目等の学習に役立つよう、他の各
教科・科目等との連携を図ること」と記述してあることから、本校では今まで
情報科を中心として ICT 機器を活用した教科横断型の授業を多く実践してきた。
特に英語科との教科横断型の授業では、協働学習やプレゼンテーション等のコ
ミュニケーション能力を育む学習活動に関して、情報端末を中心とする ICT 機
器を効果的に活用した授業を行い、成果をあげてきた。
今回、平成 25 年度から新学習指導要領に基づく授業が新たに始まるのにあわ
せて、全ての教科で教員の ICT 活用指導力の向上や生徒の情報活用能力の育成
を図り、ICT を活用した授業が継続的・発展的に取り組めるように、情報科を
中心に教科横断型の授業における指導の内容や連携方法等について研究しよう
と、
「情報技術を活用した効果的なコミュニケーション能力を育む指導方法等の
工夫改善についての研究」で文部科学省国立教育政策研究所教育課程センター
の平成 25 年度教育課程研究指定校事業に応募することにした。
次頁以降には、この 1 年間の研究経過と、研究成果、教員に対する研修内容、
そして大阪府教育委員会ならびに文部科学省に提出した資料を添えてある。
2
1.研究経過
研究指定校事業に関する研究経過を時系列で以下に記載する。
平成 24 年 12 月 14 日
教育課程研究指定校希望書を提出
平成 25 年 2 月 13 日
文部科学省より研究指定校内定通知
平成 25 年 2 月 28 日
教育課程研究指定校連絡協議会(新規指定)年間指導計画提出
平成 25 年 3 月 21 日
研究委員会設立
平成 25 年 3 月 22 日
教育課程研究指定校連絡協議会(文部科学省会議室)出席
平成 25 年 4 月 5 日
教員向け研修(はじめての電子黒板セミナー)実施
平成 25 年 4 月 26 日
実施計画書・経費積算見込書提出
平成 25 年 5 月 28 日
文部科学省より研究指定校委嘱
平成 25 年 5 月 31 日
平成 24 年度文部科学省委託「国内の ICT 活用好事例の収集・
普及・促進に関する調査研究事業」事例集に本校の実践が掲載
平成 25 年 6 月 3 日
経費積算見込書 1 次修正提出
平成 25 年 7 月 2 日
教員向け研修(はじめての PowerPoint)
平成 25 年 7 月 2 日
京都府立山城高等学校から学校視察
平成 25 年 8 月 16 日
教員向け研修(ICT の活用方法と iBookAuthor)
平成 25 年 9 月 1 日
数研出版 CHART NETWORK No.71 に実践研究論文が掲載
平成 25 年 9 月 25 日
大阪府教育委員会教育振興室指導主事重松良之先生授業見学
平成 25 年 10 月 23 日
教員向け研修(iPad+AppleTV を使った授業実践方法講習会)
平成 25 年 11 月 15 日
ICT を活用した理科の研究授業
平成 25 年 11 月 19 日
ICT を活用した英語の研究授業
平成 25 年 11 月 19 日
ICT を活用した古典の研究授業
平成 25 年 11 月 22 日
ICT を活用した情報の研究授業
平成 25 年 11 月 26 日
ICT を活用した英語の研究授業
平成 25 年 11 月 27 日
ICT を活用した数学の研究授業
平成 25 年 11 月 27 日
ICT を活用した情報の研究授業
平成 25 年 11 月 30 日
情報コミュニケーション学会(園田学園女子大学)で研究発表
平成 25 年 12 月 7 日
第 8 回デジタル教科書勉強会(内田洋行大阪)で研究成果発表
平成 25 年 12 月 24 日
研究協議会資料原稿提出
平成 26 年 1 月 22 日
文部科学省初等中等教育局視学官永井克昇先生授業視察
平成 26 年 1 月 31 日
平成 25 年度大阪府学校情報ネットワーク活用推進実践事例発
表会で「全ての教科で推進する情報教育」を発表
平成 26 年 2 月 7 日
国立教育政策研究所教育課程研究センター関係指定事業研究
協議会(会場:航空会館(東京))で発表・研究協議
平成 26 年 3 月 14 日
研究成果報告書を提出
平成 26 年 3 月 20 日
福岡県立小倉南高等学校から学校視察
平成 26 年 4 月 30 日
研究成果報告書を Web にアップ
3
2.研究成果
4
5
高等学校
大阪府立東百舌鳥高等学校
音楽 作曲とアレンジ
2年
●個別学習
■同時進行型
石松 千咲/稲川 孝司
実践タイトル PCを使って自分の作品を聴きアレンジ
本時のねらい
音
教育用プログラミング言語「ドリトル」を使って作曲のデータを入力し、自分のイメージに合った楽器や速度に変え、和音や伴奏などを追加し
て演奏する。楽器を思うままに演奏するには多くの時間が必要であり、他の楽器も演奏できるようになるには、さらに多くの時間がかかる。し
かし、PCでは楽器名を指定するだけで演奏が可能になる。
楽
主に活用したICT機器・教材・コンテンツ等とそのねらい
・楽器の演奏技術の習熟度によらず音が出せる。
・楽器の種類や演奏速度を変えたり、さまざまな楽器を同時に演奏したり、和音や伴奏も追加できる。
PC
・日本語でプログラムを作成できるので、文法や作成方法などの説明時間がほとんど不要である。
・MIDI音源を使った楽器演奏ができるので、作曲した曲を入力してすぐに演奏し、自分のイメージを持って試行錯誤す
ることができる。
PC教材
参考にしてほしいポイント
特別な機器を使わずにPCの内部音源と無償で入手できるソフトウェアで曲を演奏できる。
授業では、生徒が作曲した主旋律を、さまざまな楽器で演奏したりテンポを変えたりして、同じ旋律でも表現の変化が生まれることが分かるよ
うにしている。また、あらかじめ教師が作成した伴奏(リズムパタン)と組み合わせることで簡単に雰囲気が変わるように工夫してある。
学習の流れ(分)
本
導 入
○利用するPC教材(ドリトル)について知る。(写真1)
(資料を見ながら使い方を学習する)
・提示用モニターとスクリーン
・PC教材(説明用自作スライド)
・PC教材(ドリトル)
・伴奏のサンプル(MIDI音源:教師作成)
45
○説明を聞きながら自分の作品を入力する。(写真2)
(自分の作品を単音で入力し、コードの伴奏にのせて聴いてみる)
○音色・速度の変更方法を知る。
○作品をアレンジする。
○自分の曲を聴く。
(写真3)
○他人の曲を聴く。
(相互鑑賞)
(周囲の人の音楽を聴き、感想を書く)
50
○作品に題名と副題を付けてプリントを提出
(自由な発想で題名を付けさせる)
時
0
5
の 展
展 開
開
まとめ
ICT機器・教材、コンテンツ等
主な学習活動と内容
写真1:提示用モニターとスクリーンで説明を
聞く
写真2:作曲したデータをドリトルを使って入力
写真3:楽器やテンポ、伴奏を変更しながら
鑑賞
児童生徒の反応
事前にリズムやコードネームなどの作曲の技法について学んだ後、作曲した自分の作品をプログラミングして音を出すことができるので、演奏
技術がなくても自分が作曲した曲が演奏できているという実感がわき、そこから自信と意欲につながった。また、同じ曲でも伴奏を変えると曲
のイメージが変わることが実感できた。
活用効果
評価の観点
芸術的な感受や表現の工夫
具体的変容
作曲した作品を楽器の音色や音楽を形づくっている要素を変えて演奏することで、作品の表情の変化が生まれることを感じ、
イメージを持って創作できた。
実践の手応え
プログラムは日本語で記述されているため分かりやすく、データを入力して動かすと音楽が鳴り、楽器や伴奏、速度などを簡単に変更して自分
のイメージをつくることができるので、学習意欲の向上が図れた。
52
6
高等学校
大阪府立東百舌鳥高等学校
外国語 (総合英語)プレゼンテーション
3年
●協働学習
■児童生徒発表型
橋 本 昌 代
実践タイトル 英語による海外旅行提案コンテスト
本時のねらい
旅行代理店員に扮した生徒がおすすめの独自ツアーを英語で提案するにあたり、タブレットPCの可搬性を生かして画像を相手に見せながら、ペ
ア・グループワーク、全体への発表などさまざまな形態で、状況や相手に応じてリアルタイムにプレゼンテーションを行う。
主に活用したICT機器・教材・コンテンツ等とそのねらい
外国語
タブレットPC
タブレットPCの内蔵カメラ機能を使って、常に英語の発音を録画・録音して学習の成果を記録することで、後日にその
履歴を再生して、自己評価ならびに教員による評価ができる。タブレットPCの可搬性と画面の大きさを生かしてペアワ
ークとグループワークでプレゼンテーションが行える。個人のタブレットPCを無線セットトップボックスを経由してプ
ロジェクターに接続し、どこからでも全体発表を行うことができる。
Web教材
英語で書かれたWebサイトのデータから必要な情報を得て、自分のプレゼンテーション資料として加工して活用する(英
語による情報収集と英語による資料作成)。
参考にしてほしいポイント
海外旅行提案という内容が生徒の興味関心を引き、3分の制限時間内でお勧めポイントを効率よく英語で発表できた。タブレットPCの可搬性を
生かして、ソフトウェアの取り扱いについて生徒同士や生徒と先生の協働学習ができ、ビジネス現場でも通用するような、効果的なプレゼンテ
ーションを行えた。また、無線による画像転送でのプロジェクター接続で全体への発表が可能になった。
学習の流れ(分)
ICT機器・教材、コンテンツ等
主な学習活動と内容
・タブレットPC・マイク付きヘッドホン・録画ソフト
(自分の顔、特に口元を映すこと)
5
○本日の活動、趣旨、ルールの英語による説明
○記録用にプレゼン用原稿をタブレットPCに録画・録音(写真1)
(以前に録音した時より、上手に発音できるよう留意する)
・タブレットPC・プレゼンテーション用データ
(コミュニケーションの道具として画像データをタイミ
ングよく活用する)
35
○ペアワーク(写真2)
(他の旅行代理店(生徒)を見つけ、タブレットPCの画面を目の前
で見せながら英語で自分の旅行を提案する。聞いている者は提案の
ポイントを書き取り、発表内容を評価する)
○グループワーク
(各代理店内で、一人ずつ発表していき、相互評価に基づき代理店代
表者を決定する)
○相互評価、グループ評価の合計での最優秀者決定
・各班の最優秀者による発表(写真3)
・タブレットPC・セットトップボックス・プロジェクター
(発表する者だけがミラーリングをONにすること)
0
本
導 入
時
の 展
展 開
開
まとめ
50
写真1:個人の発音を録音中の生徒
写真2:ペアワーク活動での発表
写真3:最優秀者による全体発表
児童生徒の反応
継続的にタブレットPCに音声を録音することで、発音の上達状況を自分で確認でき、生徒たちは自信がついた。「この表現は、ドリルで100回
練習しても覚えなかったと思う」と言いながら現在完了構文を駆使した英文で発表した生徒もいた。英語で話すだけでなく映像も使うことで、
効果的にプレゼンテーションができた。
活用効果
評価の観点
コミュニケーションへの関心・意欲・態度、表現の能力、理解の能力、外国語や文化についての知識・理解
具体的変容
意欲的に、自ら相手を見つけ、その相手に効果的なプレゼンテーションが行えるよう、英語のスクリプトと映像をうまく組み
合わせて、分かりやすく表現することができた。相手のプレゼンテーション内容を正確に聞き取り、その上で評価する力が付き、
諸外国の歴史・文化についての知識・理解が深まった。
実践の手応え
英語で3分間の「旅行の提案」のプレゼンテーションをすることに対し、当初生徒は不安を抱えていたが、取り組み後の自己評価は高く、多く
の生徒が英語力の飛躍的向上を実感し、提案内容と連携した画像をタブレットPCで順次提示しながら、ビジネスの場で行われているような英語
でのプレゼンテーションができた。
インターネットを利用して、紹介する国について英語で書かれた資料を読むことで、初見の英文から必要な情報を読み取る力が養われた。紹介
したい内容を、ALTの助けを得ながら英語にすることで、意欲的に英作文に取り組めた。教員や他の生徒が発表する内容を聞いてワークシート
に記す作業を通して、ポイントを聞きとる力がついた。
54
7
数研出版 CHART NETWORK No.71
iPad を活用した
英語による海外旅行提案コンテスト
橋本
昌代
/ 稲川
孝司
(2) 4技能(読む・書く・聞く・話す)の向上
4技能をバランス良く伸長させる.
(3) 国際的視野を広げる
トピックを「海外旅行提案」として,広く諸外国の
文化や歴史に生徒の目を向けさせる.
(4) 協働学習力の育成
生徒同士の相互評価を通して,共通の目標に向かっ
てグループ内で協力しながら学ぶ姿勢を育てる.
1.はじめに
大阪府立東百舌鳥高等学校は,2011 年に大阪府教
育委員会から English Frontier High School (以後
EFHS)に指定された.大阪府内の 24 校が 3 年間研究
校として指定された EFHS は,国際社会や今後の時
代を見据えた上で,確かな学力を育むことに加え,将
来,社会の中で自立できる力や態度を身につけさせる
ことを目標にしている.
研究校においては,高校生の英語コミュニケーショ
ン能力のさらなる向上を図るために,指導法の研究,
学習機器の活用,英語ルームの整備,英語特設レッス
ンの開設,外国人英語講師派遣,話せる英語が使える
教材作り,などを研究し,成果を発信し共有する
Osaka English Forum を開催している.
読む・書く・聞く・話すの4技能を伸ばす試みとし
て,
「実用英語」の授業において EFHS の予算で導入
された iPad を使用して,2012 年 4 月から授業を開始
し 6 月に研究授業を実践した.
研究授業では4つの旅行代理店を作り,それぞれの
代理店社員に扮した各生徒が,iPad 上の Keynote を
活用して3分間の「お勧め海外旅行」をプレゼンテー
ション(以後プレゼン)する.生徒達は良いプレゼン
を目指して努力することに加えグループとして互い
に協力し,授業の最後に他の旅行代理店より魅力的な
プレゼンを多く行った代理店及び最優秀プレゼンタ
ーを表彰することとした.
3.準備
3.1 事前準備
「お勧め海外旅行」と言っても,当初,外国の都市
名・国名・所在地や特色がわからない生徒が多いため,
国際的視野を広めるため背景知識の獲得から始めた.
また,発表で用いる表現や発表形式を体得させるため,
教員によるデモンストレーション&プレゼンテーシ
ョンの内容を暗唱させ,発表力・表現力の向上を目指
した.
以下に事前準備で行った活動を示す.
(1) 世界各地の国名と首都名を地図上で確認後,グル
ープで国名と首都名・地図上の位置を一致させるカ
ードゲームをし,それらを覚える
(2) iPad の使い方の学習
(3) 地図上で確認した国々について,iPad 上で写真や
動画で確認
(4) 読解力・リスニング力の強化を図るため,教員に
よる模範プレゼン「Let’s go to Hawaii」で
①プレゼン内容把握のための英問英答
②ディクテーション
③ピクチャー並べ替えゲーム(話の流れ順に
写真の順番を並べ替える)
(5)「Let’s go to Hawaii」の発音練習と iPad を利用し
た録音(話す力の強化)
(6)「Let’s go to Hawaii」の暗誦発表会(表現力の強
化)と相互評価
2.授業のねらい
英語でのコミュニケーション力養成が「実用英語」
の第一目標であるが,研究授業実施に向けて,以下の
4つのねらいを掲げて授業を組み立てた.
(1) 発表力・表現力の向上
iPad の可搬性を生かして,実社会で通用するプレ
ゼンテーション能力を育成する.
8
数研出版 CHART NETWORK No.71
つのお勧めポイント)をワークシート(図 1)に書き
取る.ワークシート記入後,リスナーは,プレゼンの
内容に応じて,1$(東百舌鳥$)または2$(東百舌
鳥$)をプレゼンターに渡す(3分以内にプレゼンが
終わらなければ何も渡さない)
.プレゼンの内容を正
しく聞き取っていた場合,プレゼンターは,リスナー
に,1$渡してペアと別れる(正しく聞き取れていな
い場合は,何も渡さない)
.3 分後に教員の指示に従
って,次のペアを探す.
各生徒は,旅行代理店社員として,より多くの東百
舌鳥$獲得にむけてプレゼンに励んだ.
3.2 発表準備
(1) 興味がある外国について iPad で情報収集
(2) 旅行代理店社員として,お勧めする国(都市)と,
その国を勧める3つのポイントを決定
(3) 日本語で発表内容を作成
(4) 英語による発表原稿を作成
(5)ALTによる英語原稿のチェックと発音指導 iPad
を用いた録音(練習前と練習後の伸びを計るため)
(6) iPad 上の Keynote を用いてスライドを作成
(7) グループワーク(グループ内での相互評価・及び
意見交換)
4.研究授業
生徒は4つの旅行代理店に分かれ,その社員として
一人3分で夏の海外旅行を提案した.個人として最優
秀プレゼンターを目指すとともに,グループとして,
最優秀代理店の座を目指して競い合った.
当日の流れを,以下に示す.
(1) iPad を用いて発表原稿の録音(5分)
[初回録音時と比較し,上達度を自己評価するとと
もに,ALTにもその伸びを評価してもらうため]
写真2 ペアワークでプレゼンする生徒達
(3) グループワーク(15 分)
次に,代理店毎にグループを作り,グループ内で一
人ずつ順番に iPad を操作しながら再度プレゼンする.
メンバーは,評価シート(図 2)に評価を記入.グル
ープ全員の発表終了後,評価シートに基づき,話し合
いでグループの代表者を決定する.
写真 1 プレゼン内容の録音中の生徒
(2) ペアワーク(15 分)
ペアワークでは,自分の旅行代理店メンバー以外の
生徒にプレゼンをして,より多くの現金(東百舌鳥$)
を得ようと励んだ.
各自 iPad を持ってペアワークの相手(他の代理店
の社員)を探し,ジャンケンをする.勝った方が,プ
レゼンター,負けた者がリスナーとなる.プレゼンタ
ーは,iPad を操作しながら「お勧め旅行」のプレゼ
ンをする.リスナーは,プレゼンを聞き,その内容(3
写真 3 代理店でのグループワーク
9
数研出版 CHART NETWORK No.71
(4) コンテスト(15 分)
各代理店の代表者は,教室前部の発表席に移動し,
iPad を手元で操作し,スクリーンに画像を映し出し
ながら,演台でマイクを用いて一人ずつ発表する.こ
こでは iPad と Apple TV による画像転送機能を用い
て,発表する生徒が無線で自分の画像をプロジェクタ
に映している.全発表終了後に,iPad から moodle
サーバーの投票システムを使って最も良かったと思
う発表者に投票し集計した.
(5) 表彰
ここでも,代表者が1票獲得する毎に各旅行代理店
が1$獲得する.ペアワークで獲得した額($)と合計
し,最も多額の東百舌鳥$を獲得した代理店が最優秀
代理店となり,表彰される.
さらに,全体で最も多く得票した生徒は,最優秀プ
レゼンターとして表彰される.
写真4 最優秀者によるプレゼンテーション
5.振り返り
研究授業の次の時間の授業では,研究授業当日グル
ープ代表に選ばれなかった生徒に一人ずつ前に出て発
表させ,相互評価した.
また,この取り組みを始めて最初に録音した自分のプ
レゼンテーションと,最後に録音したプレゼンテーション
を比較し,各生徒が自己評価した.そして,プレゼンに向
けた取り組み全体を振り返り,「読む」「書く」「聞く」「話
す」の4技能の伸長を自己評価した.
最後に,日本人教員とALTから,今回の取り組みにつ
いてコメントした.
6.まとめ
3分間の英語「お勧め旅行」プレゼンテーションを
10
公開授業で実施する事に対し,生徒は当初かなり大き
な不安を抱えていたことが,コンテスト後にとったア
ンケートからも分かった.しかし,取り組み後の自己
評価は高く,4技能全てにおいて,英語力の飛躍的向
上を殆どの生徒が実感していた.
iPad の録音機能を用い,練習前と練習後の自分の
成長を確認出来たことも自信につながった.
また iPad
の可搬性とプレゼンテーション機能を利用し,実際に
ビジネスの場で行われているような英語でのプレゼ
ンが出来た.
以下,最初に設定した4つの目標の検証をする.
(1) 発表力・表現力の向上
暗唱した教員作成プレゼンテーションを土台に,自
分で作成した英文を,暗唱・発表した.あらかじめモ
デル原稿を暗唱していたことで,自力で発表英文を作
成する事ができた.
「この表現は,ドリルで 100 回練
習しても覚えなかったと思う」と言いながら,現在完
了構文を駆使した英文で発表した生徒もいた.
研究授業に至るまでに,モデル原稿の暗唱発表→相
互評価→自作原稿のグループ内での発表→相互評価
と意見交換→全体に向けての発表,という手順を踏む
ことで,より効果的な発表が出来るようになった.ま
た,自分が言いたいことを,自分の英語で発表するこ
とで,心のこもった発表となった.
(2) 技能(読む・書く・聞く・話す)の向上
教員のモデル原稿を用いての活動(リスニング練習
「聞く力育成」
・内容のスキャニング練習「読む力育
成」
,原稿の暗唱「話す力の育成」
)が良いウォーミン
グアップとなり,その後の活動をスムーズに進めるこ
とが出来た.
インターネットを利用して,紹介する国について英
語で書かれた資料を読むことで,初見の英文から必要
な情報を読み取る力が養われた.
紹介したい内容を,ALTの助けを得ながら英語に
することで,意欲的に英作文に取り組め,書く力が向
上した.
他の生徒が発表する内容を聞き,ワークシートに記
す作業を通して,ポイントを聞きとる力がついた.
iPad に録音することで,発音の上達を自分で確認
出来た.ALT に発音指導を何度かしてもらい,グル
ープ内で互いにチェックし合うことで,積極的に発音
練習に取り組む姿勢が育った.ペアワークでは,リス
ナーは,発表者に内容について英語でコメントしなけ
ればならない,というタスクを課したこともあり,自
分の言葉で意見を表現しようと懸命に取り組んだ.
(3) 国際的視野を広げる
数研出版 CHART NETWORK No.71
「お勧めの海外旅行を提案する」ために,広く海外
に目を向け,その国の魅力について調べることで,日
本とは異なる文化・歴史・自然についての理解が深ま
った.
(4) 協働学習力の育成
グループ毎に着席し,iPad の使い方から Keynote
での発表内容に至るまで,互いに相談し,教え合いな
がら学習を進めた.特に,グループ優勝を勝ち取ると
いう共通目標に向かって,互いに評価し問題点を改善
することで,グループ構成員全員の発表力が向上した.
写真に見られるように楽しくプレゼンを行っていた.
また,短時間で iPad の Keynote をプレゼンの補助ツ
ールとして使いこなしていた.
1年間の実用英語授業を終えた感想をアンケート
に書いてもらったところ,
「お勧め旅行」プレゼンの
取り組みは,
「大変だったが,この発表をすることで
英語力が大きく伸びた」
,
「英語を話す自信がついた」
等の声が多数寄せられた.うち一人は,自身の力で留
学先を手配し,単身カナダに渡り勉学に励んでおり,
「授業でしたことが大変役に立っている」と嬉しい声
を寄せてくれている.
7.取り組みを終えて
研究授業当日は 40 名を超える先生方や報道関係者
が見学しており,生徒は緊張した雰囲気であったが,
Worksheet
(大阪府立東百舌鳥高等学校 教諭)
Name [
]
When you find your partner, please start a conversation with “Hello, I’m _____________ from __________.”
Play janken. The winner makes a presentation and the loser fills in the table below. When the presentation
finishes, the loser asks the presenter, “Are these answers all correct?” The loser can get one note of paper
money if they have the right answers on their worksheet. The loser then gives the winner notes according to
the winner’s presentation. (If the presentation was very good, the loser will give two notes saying, for example,
“Your topic on sports was really interesting.” If the presentation was so-so, the loser will give one note, just
saying “Thank you for the presentation.” ) If the presentation didn’t finish within 3 minutes, the loser gives
nothing to the presenter, and the loser can get one note from the presenter. After saying good-bye, you try to
find a new partner.
company
name
country/city
Higamo
Travel
Hashimoto Hawaii
appealing point ①
appealing point ②
appealing point ③
Hotel
Shopping
marine sports
図 1 ペアワークでのワークシート
Evaluation Sheet
Name
Voice
(0. 1. 2. )
Content
(0. 1. 2. )
Memorization
(0. 1. 2. )
図 2 グループワークでの評価シート
11
Eye Contact
(0. 1. 2. )
Slides
(0. 1. 2 )
Total
情報コミュニケーション学会 第9回情報教育特別委員会(2013.11.30)
情報科と英語科の連携から英語科単独のプレゼンテーション授業へ
稲川孝司*
Takashi INAGAWA
竹房祐花*
Yuka TAKEFUSA
*大阪府立東百舌鳥高等学校
Osaka Prefectural Higashimozu High School
あらまし:
「情報科での学習が他の教科・科目等の学習に役立つよう、他の教科・科目等の連携を図ること」
と高等学校学習指導要領に記述してあることから、情報科が英語科と連携して生徒による英語プレゼンテー
ション授業を実施してきた。教科が連携することで、生徒達は情報の授業で身に付けた能力を他教科での学
習で積極的に活用でき、教員の ICT 活用指導力の向上にも結び付いている。新学習指導要領に基づく授業で
教育課程が変更になったのを契機に、英語プレゼンテーション授業が英語科単独での授業になり、さらに他
の教科でもプレゼンテーション授業が始まり、教科指導における ICT 活用が一歩進んだ。
キーワード:プレゼンテーション 連携授業 英語科 ICT 活用 教育の情報化
1 はじめに
一斉授業で同じ知識の伝達を主にする授業に比べ、
教科指導における ICT 活用の必要性については、高
プレゼンテーション授業で自分の興味ある内容を作成
等学校学習指導要領の総則[1、p23]に「各教科・科目
して生徒同士が教えあい学びあう協働的な学びの場に
の指導に当たっては、生徒が情報モラルを身につけ、
なってきたと、担当の英語の教師は感じている。
コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段
新学習指導要領に基づく授業が始まって校内の教
を適切かつ実用的・主体的に活用できるようにするた
育課程が変更になり、本校では 2 年生で行ってきた情
めの学習活動を充実するとともに、これらの情報手段
報の授業が 1 年生に移り、英語科単独でプレゼンテー
に加え視聴覚教材や教育機器などの教材教具の適切な
ション授業を OCI で継続していくことになった。さら
活用を図ること」と記述されている。
に他の教科でもプレゼンテーション授業が始まり、教
また、教育の情報化ビジョン[2、p46」では、教科で
育の情報化が進んでいる、と考えている。
ICT を推進するための具体的な活用例として「学習指
導の準備と評価のための教員による ICT 活用、授業で
2 プレゼンテーション授業
の教員の ICT 活用、生徒児童による ICT 活用」の3つ
2.1 情報科での授業
を示し、全ての教科で ICT を有効かつ適切に活用した
文部科学省の「体系的な情報教育の実施に向けて」
授業を行うことを推奨している。
[4]の第 2 章では情報教育の目標として「(1)課題や目的
しかし、高等学校においては教科書を使った講義中
に応じて情報手段を適切に活用することを含めて、必
心の授業が広く行われており、情報科を除けば ICT を
要な情報を主体的に収集・判断・表現・処理・創造し、
活用した授業があまり行われていない。高等学校学習
受け手の状況などを踏まえて発信・伝達する能力」を
指導要領第 10 節[1、p128]で「情報科での学習が他の
育成することを提案している。このことを踏まえて、
教科・科目等の学習に役立つよう、他の教科・科目等
教科情報が始まった 2003 年度当初から、
情報を収集し、
の連携を図ること」と記述され、情報科の授業で身に
加工して、発表するという一連の流れ全体を学習する
付けた能力を他教科での学習で活用できるよう、情報
授業が情報科の授業では重要だと考えて、プレゼンテ
科が積極的に連携していくことが求められている。
ーションの授業を行ってきた。
そこで、ICT を活用した授業を全ての教科で少しず
2.2 2009 年度の情報科と英語科の連携授業
つ広めようと、情報科と英語科が連携し、英語による
2009 年に、情報科と英語科が連携して英語によるプ
プレゼンテーションの授業を2 年生の情報 Aとオーラ
レゼンテーションを教科横断型授業として実施する計
ルコミュニケーションI(以後、
「OCI」という。
)の
画を建てた。どの科目でいつどのように ICT を活用す
教科横断型授業で実践した[3]。
れば効果的かを打ち合わせて 3 学期に授業を行った。
12
情報コミュニケーション学会 第9回情報教育特別委員会(2013.11.30)
本校の生徒は自ら英語を話せるだけの自信のない生徒
ョンができた。
が多く、英語の授業において声が小さい。そこで、大
問題点は、日本の休日というテーマのため、選択枝
きな声を出して英語で話し、相手の話を聞くことが大
が狭められて全く同じ内容の発表者がいたことと、50
切だということから、OCI で英語によるプレゼンテー
分の授業で生徒 40 名が発表することになり、
交代時間
ション授業をすることにした。
を含めて各自 1 分以内の発表では持ち時間が短く、自
授業は「My Favorite Holiday」というテーマで、自分
分の意見を十分述べられなかったことである。
の好きな休日についての理由と関連した写真を使った
英語による自己紹介プレゼンテーションである。
授業の流れ(2009年度)
情報科
英語科
情報科と英語科のスケジュール打ち合わせ
日本の休日についての学習
ワークシートの下書き作成
ワークシートの作成
写真1 「正月について」の発表中の生徒
リハーサル
英語によるプレゼンテーション
2.3 2010 年度の情報科と英語科の連携授業
確認テスト
そこで、2010 年度は、持ち時間を一人 2 分として、
図1 2009 年度授業計画
それぞれの生徒が異なる内容になるよう「My Favorite
Place」というテーマを設定した。自分の行った場所で
図1に 2009 年度の授業計画を示す。
左側は情報科の
印象に残っている所を写真で紹介し、その理由を英語
授業で、右側が英語科の授業である。同時進行の形で
で説明する自己紹介プレゼンテーションの授業である。
授業を行っているので進度の遅い生徒のフォローが必
昨年度と異なる点は、話す内容を考えて、発表用スク
要となり、情報の授業の中で英語の指導をしたり、英
リプトを書く作業を取り入れたことである。
語の授業の中でプレゼンテーションの内容をチェック
したりすることもあった。
授業の流れ(2010年度)
はじめに ALT によるデモを見せて、ワークシートの
情報科
下書きを考えさせた。次に、情報の授業でパワーポイ
英語科
情報科と英語科のスケジュール打ち合わせ
ントに写真や図を貼り付け、自分で操作できるよう発
ワークシートの下書き作成
表のリハーサルをしてから本番の発表に望んだ。
ワークシートの作成
スクリプトを書く
本番の発表場所は、発表用に特別に準備した社会科
リハーサル
教室とした。また、生徒の発表用データはグループ共
本番の発表
有フォルダ内に提出させ、社会科教室にあるコンピュ
確認テスト
ータからネットワークを通じて、各自がそれぞれのフ
ァイルにアクセスして発表するようにした。
図2 2010 年度授業計画
一般に音声だけの英語自己紹介では、名前や出身地、
趣味などを伝えるだけの Pattern Practice になりやすい
2010 年度の授業計画を図2に示す。はじめに全体の
という問題点があるが、この授業では補助的に画像を
スケジュールを打ち合わせたあと、OCI の授業(1 時
活用することで、他人と異なる内容で自分の思いを伝
間)で、自分が行って楽しかった場所についてのプレ
えることができ、スムーズな自己紹介プレゼンテーシ
ゼンテーション用ワークシートの下書きを作成させた。
13
情報コミュニケーション学会 第9回情報教育特別委員会(2013.11.30)
生徒に発表のイメージを持たせるために ALT のデモ
2.3 英語科単独の授業
を生徒に見せて、ワークシート用紙に、組番氏名・自
分の住んでいる町名・トピックのタイトル・行って楽
2011 年に、本校は大阪府教育委員会から English
しかった場面を手書きで記入させた。図3に示すよう
Frontier High School に指定され、高校生の英語コミ
に、スライドは最低 6 枚を作成するものとし、各自の
ュニケーション能力のさらなる向上を図るために、英
判断でさらに増やしても良いとした。
語ルームを整備し、指導法の研究、学習機器の活用、
Slide1:
Silde2:
Slide3:
Slide4:
Slide5:
Slide6:
話せる英語が使える教材作り、などを研究することに
Title, Class & Name
My Home Town
Favorite Place
Famous Sights
What to Buy
End
なった。
そこで、英語科単独の授業として学校設定科目「実
用英語」で iPad を使ったプレゼンテーション授業を行
うことにした。内容は「お勧め海外旅行提案」コンテ
ストである。生徒は興味のある外国について iPad で情
報収集して、
お勧めポイントを探し、
写真を取り込む。
そしてプレゼンテーション用ソフトのKeyNote に写真
図3 発表スライド内容例
を貼りつけ、文章を入力して資料を完成させる。最後
情報 A の授業(1時間)では、前時に作成したワー
に、旅行代理店の店員として他の生徒にその国を紹介
クシートの下書きに沿って、
英語のタイトルを入れて、
して旅行に来てもらうよう英語でプレゼンテーション
自宅付近の地図や事前に用意した写真やイラストなど
を行い、その優秀者を決めるという授業である。
この授業では ICT 機器の扱い
(iPad の操作ならびに
をパワーポイント上に貼り付け、さらに、プレゼン用
ソフトの使い方)については、教師も生徒も初心者で
配布資料を印刷する。
次の英語の授業(1 時間)では、プレゼン用資料を
あるため、理解できたものが全員に説明し、教えあい
もとに英語で話す内容を考え、発表原稿のスクリプト
ながら授業を進めた。この時、AppleTV の AirPlay 機
を作成して、ALT に内容を確認・添削してもらう。授
能を使って iPad から無線でプロジェクターに映すこ
業中に完成できない箇所は、放課後や休み時間に各自
とで効果的に授業を進めることができた。
発表当日は、授業の始めに iPad の録画・録音機能
が ALT と英語で直接会話をして、自分の言いたいこと
を使って自分の発音の様子を録音し、ペアワークで誰
を正しい英語表現に直してもらうようにした。
リハーサル(2時間)では、発表者の横に次の演者
かと組んで自分のプレゼンテーションを行い、相手は
を座らせ、適度な緊張感を保って発表練習をさせた。
その内容を聞き、
発表者に英語でコメントする。
また、
内容や表現方法ならびに操作方法のチェックを行い、
グループで互いにプレゼンテーションして優秀者を決
必要なアドバイスを行った。他人のプレゼンテーショ
めた。ペアワークやグループワークでは iPad の可搬性
ンを見ることで、自分の発表の問題点がわかり、どの
を生かして、持ったままスムーズにプレゼンテーショ
ように工夫すればよいか理解できるからである。
ンができた。
そして、資料を修正させてから本番のプレゼンテー
ション(2時間)に臨んだ。本番は、Greeting から始
めて、
持ち時間は一人 1 分 15 秒で交代時間とソフトウ
ェアの立ち上げと終了時間を含め 2 分として実施し、
教師による内容の評価と生徒による相互評価を加えて
発表の成績を算出した。自分の発表時以外は他人の発
表の様子を相互評価表に記入することとし、どのよう
な発表をしたかを要約する欄も設けて、その内容を平
写真2 ペアでのプレゼンテーション
常点として成績に加えた[5]。
14
情報コミュニケーション学会 第9回情報教育特別委員会(2013.11.30)
に綿密な計画を立てて互いの進路を確認しながら進め
る必要があり、授業の展開方法の調整に多くの時間が
必要であった。また、2年生8クラスすべてを同時進
行で実施するにあたり、授業内容の微調整や欠席者の
フォローなど内容の連続性の部分がスムーズにいかな
いこともあり、情報の先生は英語を、英語の先生は情
報を教えることもあった。
このような困難があるにもかかわらず、生徒はコミ
ュニケーションの授業にプレゼンテーションを併用す
写真 3 グループでのプレゼンテーション
ることで、意欲的に授業に取り組み、英語でのコミュ
ニケーション能力の向上を図ることができた。また、
iPad はその可搬性を生かして、個人やグループで調
ICT を活用したプレゼンテーションをしたことがない
べたり、ペアワークやグループワークでのコミュニケ
英語教師がほとんどだったが、この授業を通して自分
ーションの補助ツールとして使えるので、英語の授業
でプレゼンテーション資料を作って発表できるように
で十分活用できることが分かってきた。問題点は複数
なり、授業での教員の ICT 活用と生徒による ICT 活用
ユーザが同一機を利用することが想定されていないた
の面で、教科の情報化を推進できた。
め、学校のような場所では使いにくいことである。
そして、プレゼンテーション授業が英語科単独の授
そこで、いままで行ってきた全クラスを対象にした
業になり、情報科は機器の整備やソフトの使い方など
英語プレゼンテーションは、従来の Windows パソコン
を支援することで、英語科における ICT 活用をさらに
を使って授業を行っている。
進めることになった。同様の取り組みは「選択日本史」
今年度、新学習指導要領に基づく授業が始まって校
でのプレゼンテーション授業や、家庭科や保健体育の
内の教育課程が変更になり、本校では 2 年生で行って
調べ学習等でも始まり、学校全体の ICT 活用が普及し
きた情報の授業が 1 年生に移り、プレゼンテーション
始めている。
授業は英語科単独で継続していくことになった。
引用・参考文献
[1] 文部科学省、
『高等学校学習指導要領』
、東山書房、
2009 年.
[2] 文部科学省、
『教育の情報化に関する手引き』
、開
隆堂出版株式会社、2011 年.
[3] 稲川孝司、田中映子、Jennifer Lomas、
“ICT を活用
したオーラルコミュニケーション” CHART
NEWORK、No.65、pp.6-9、2011 年 9 月.
[4] 文部科学省、
“体系的な情報教育の実施に向けて
写真 4 電子黒板を使ったプレゼンテーション
(平成9年10月3日)(情報化の進展に対応し
た初等中等教育における情報教育の推進等に関す
3 まとめ
る 調 査 研 究 協 力 者 会 議 「 第 1 次 報 告 」)”
教育の情報化を推進するために、ICT を活用した授
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/0
業を全ての教科で少しずつ広めようと、情報科と英語
02/toushin/971001.htm、2013 年 11 月 1 日アクセス.
科が連携して英語によるプレゼンテーションの授業を
[5] 橋本昌代、稲川孝司、
“iPad を活用した英語による
2 年生の情報 A と OCI で教科横断型授業を始めた。
海外旅行提案コンテスト” CHART NEWORK、
教科を横断する授業を円滑に進めるためには、事前
No.71、pp.14-17、2013 年 9 月
15
2013/12/7
第8回デジタル教科書勉強会
橋本 昌代
2013.12.7 会場:内田洋行大阪(大阪ユビキタス協創広場)
A ________ to make
electricity
First Name.
Masayo.
.............................Good luck
Last Name.
Hashimoto
Bridge
16
1
2013/12/7
第8回デジタル教科書勉強会
戸山 康司
2013.12.7 会場:内田洋行大阪(大阪ユビキタス協創広場)
iPad を活用した授業の実践
英語のディベート授業
発音確認用自分撮り
英語でCM作成
古典の授業で教材提示
音楽での活用
数学での活用
発音確認の為の自分撮り
英語の小テスト
英語の小テスト
iPad
iPad
moodle
moodle
HotPotatoes
HotPotatoes
選択問題
選択問題
空白充填問題
空白充填問題
採点&フィードバック
採点&フィードバック
集計&履歴
集計&履歴
17
2
2013/12/7
英語の小テスト
英語の小テスト
iPad
iPad
moodle
moodle
HotPotatoes
HotPotatoes
選択問題
選択問題
空白充填問題
空白充填問題
採点&フィードバック
採点&フィードバック
集計&履歴
集計&履歴
英語の小テスト
iPad
moodle
HotPotatoes
選択問題
空白充填問題
採点&フィードバック
集計&履歴
英語の小テスト
iPad
moodle
HotPotatoes
選択問題
空白充填問題
採点&フィードバック
集計&履歴
18
3
2013/12/7
Real-time LMS の紹介 - Real-time LMS
https://sites.google.com/site/realtimelms/
19
4
2013/12/7
コンテンツ作製法の比較
Moodle とHotPotatoes
Hot PotatoesとMoodle
HotPotatoes(カナダのビクトリア大学で開発された問題作成ソフト)
問題の作成
【Moodleオリジナルの作成法】 1つの空白に対し
{1:SHORTANSWER・・・・}と決まった形式のコマンドの入力が求められる。
問題の実行・管理
空白充填問題
選択問題 etc.
担当教員の感想①
Hot PotatoesとMoodle
【Hot Potatoesでの作成法】 空
白にしたい部分をマウスで指定
すれば正解が自動設定される。
さらにフィードバックを指定する
ことができる。
○
使用状況 2学期中の毎時間、授業最初の15分間を使って、即戦ゼミ8(桐原書店)の基
本熟語350から50問ずつの4択問題を課した。40問以上を合格点として、平常点に加点した。
○
iPadについて Moodleを使った単純な選択問題だったので操作上のトラブルはほとん
どなかった。一度実施すると生徒はすぐに操作を覚え、2回目以降からは、紙で小テストするよ
りはずっと真剣に集中して取り組んでいた
担当教員の感想②
生徒のアンケートから①
iPadが操作し易い、と相関関
係がはっきりある
A
○ Moodle について 問題をつくるのに多少の手間はかかるが、いったんできあがると、
後の学年でも使える。必須単語、基本熟語、基本構文を覚えさせるのに有効と思われる。
また、たとえ予習していなくても、クイズ感覚でその場では集中してできるので、生徒には極
めて好評であった。
C
C
①Moodleの小テストは、受験し易かったですか?
②紙の方が良い←単語は手でかいて覚
えているので
A とても受験しやすい
A
○
成果と課題 生徒は集中して取り組み、毎回15分間取り組むだけでかなり力がつい
た。350問中80%以上を覚えた生徒は40名中32名であった。 今回は音声や絵を使わな
い単純なものであったが、今後は発音のチェックが自分でできるものや、視覚をとおして理解
力や表現力を養えるものが必要と思われる。
小テストしかしていないクラスで
あるが
20
A
D
B
52%
B
D
B 受験しやすい
B
5
2013/12/7
iPadとmoodleの環境
ブラウザ
無線
アクセスポイント
iPadの運用の為に
iPad
の
管理・運用
Dropするだけ
サーバ
iPadの運用の為に
iPadの管理・運用
iPad
と
授 業
iPad(個人用デバイス)を共有
iPadの設定
iPad内のファイル
設定(キーボード等)が使う
度に変る
保存されている個人情報
(写真等・ブラウザの履歴)
をだれでも見れる
アクセスポイント、充電、iPadのカバー,保管庫、ソフトの購入etc
使用毎の初
期化
個人用デバイスの共有
モラルに期待
個
人
情
報
保
護
条
例
個人の作品が削除・改竄さ
れる可能性がある
server
21
個
人
情
報
保
護
条
例
6
2013/12/7
moodleサーバの設置
LMS
ラーニング・マネージメント・システム
iPadは
ターゲットマシン
授業(コース)開設
課題の配布・提出
生徒の個人の管理
etc
windowsではXAMPP
生徒
Included programs & libraries
•Apache HTTP Server 2.2.22
•PHP 5.2.17
•PHP 5.3.14 (MAMP PRO only)
•PHP 5.4.4
•MySQL 5.5.25
•phpMyAdmin 3.5.1
•SQLiteManager 1.2.4
•Alternative PHP Cache (APC) 3.1.9
•curl 7.24.0
•eAccelerator 0.9.6.1
•Expat XML Parser 2.0.1
•FreeType 2.4.8
•gettext 0.18.1.1
•jpeg 8d
•libiconv 1.14
•Libidn 1.17
•libmcrypt 2.6.8
•libpng 1.5.7
•libxml2 2.7.8
•libxslt 1.1.26
•Sablotron XML processor 1.0.3
•t1lib 5.1.2
•XCache 1.2.2
•XCache 1.3.2
•Xdebug 2.2.0
•PHP/YAZ 1.0.14
•YAZ 4.0.1
iPadからmoodleへのアップロード
アカウントの
管理
iPadのWebブラウザ経由ではファイルをmoodleにアップロードできない。
iPadのmoodle専用APP、『moodlEZ』等を利用する。
ログオン
22
7
2014/1/31
平成25年度大阪府学校情報ネットワーク活用推進実践事例発表会 発表資料
何の教科?
授業スタイルの改善
• ○○で適切かつ効果的に表現する
能力を育成し,伝え合う力を高める
とともに,思考力や想像力を伸ばし,
言語感覚を磨き,進んで表現するこ
とによって○○の向上や社会生活
の充実を図る態度を育てる。
全ての教科で推進する
情報教育
国語表現
府立東百舌鳥高等学校
稲川 孝司
何の教科?
1.教科指導におけるICT活用の重要性
• ○○を通じて,積極的にコミュニケー
ションを図ろうとする態度を育成する
とともに,情報や考えなどを的確に理
解したり適切に伝えたりする能力を
伸ばす。
各教科・科目等の指導に当たっては,生
徒が情報モラルを身に付け,コンピュー
タや情報通信ネットワークなどの情報手
段を適切かつ実践的,主体的に活用で
きるようにするための学習活動を充実す
るとともに,これらの情報手段に加え視
聴覚教材や教育機器などの教材・教具
の適切な活用を図ること。
(高等学校学習指導要領 総則 第5款) P23
コミュニケーション英語Ⅱ
2.情報科の目標
3.情報科の果たす役割
(高等学校学習指導要領 第2章第10節)p128
(高等学校学習指導要領 第2章第10節情報) P125
• 情報及び情報技術を活用するための知識と
技能を習得させ,
• 情報に関する科学的な見方や考え方を養う
とともに,
• 社会の中で情報及び情報技術が果たして
いる役割や影響を理解させ,
• 社会の情報化の進展に主体的に対応でき
る能力と態度を育てる。
指導計画の作成に当たっての配慮事項
(1) 中学校における情報教育の成果を踏
まえ,情報科での学習が他の各教
科・科目等の学習に役立つよう,他の
各教科・科目等との連携を図ること。
23
1
2014/1/31
平成25年度大阪府学校情報ネットワーク活用推進実践事例発表会 発表資料
教
育
の
情
報
化
ビ
ジ
ョ
ン
教育の情報化ビジョン
学習
協働学習
個別学習
一斉授業
観点別評価
反転学習
言語活動
の充実
言語活動の充実に関する
指導事例集【高等学校版】
問題解決学習
www.mext.go.jp/a_menu/shotou/n
ew-cs/gengo/1322283.htm
24
2
2014/1/31
平成25年度大阪府学校情報ネットワーク活用推進実践事例発表会 発表資料
言語活動の充実に関する
指導事例集【高等学校版】
言語活動の充実に関する
指導事例集【高等学校版】
www.mext.go.jp/a_menu/shotou/n
ew-cs/gengo/1322283.htm
www.mext.go.jp/a_menu/shotou/n
ew-cs/gengo/1322283.htm
教育の効果
本校のICT環境
購入
iMac
Mac mini server
1.電子黒板
2.大判プリンタ
3.ドキュメントスキャナ
4.書画カメラ
5.短焦点プロジェクター
AppleTV
25
3
2014/1/31
平成25年度大阪府学校情報ネットワーク活用推進実践事例発表会 発表資料
フューチャー・クラスルーム
iPad 54台
2010年
大阪府教育委員会より
「校長マネジメント推進
事業中期計画推進費」
で367万円をかけて整備
接続方法
マルチメディアルーム
wifi
AppleTV
wifi
HDMI
wifi
2011年
English Frontier
High Schools
(大阪府) に指定
iPad
接続方法2
接続方法1
wifi
A:RGB
B:AppleTV
LAN
RGB
AppleTV
wifi
HDMI
A:RGB
B:AppleTV
USB
wifi
iPad
2013.4.5
26
4
2014/1/31
平成25年度大阪府学校情報ネットワーク活用推進実践事例発表会 発表資料
教員による利用
本校における
実践例
(JAPET IT授業 実践ナビより)
古典(漢文)の研究授業(会議室)
古典の研究授業
机間巡視
しながら
教材を提示
(2013.11.19)
教材を
提示
左に問題提示
右に解答表示
数学の研究授業(会議室)
理科総合の授業
(2013.11.27)
教材を
提示
教材を
提示
27
5
2014/1/31
平成25年度大阪府学校情報ネットワーク活用推進実践事例発表会 発表資料
英語科 教材提示
家庭科 実習事前学習
電子黒板と
音声教材
実習動画を
撮影・編集
生徒による利用
ファイルを
サーバにup
英語科 プレゼンテーション
(JAPET IT授業 実践ナビより)
教科横断から単独へ
情報科
英語科
英語の研究授業(LLルーム)
(2013.11.19)
私の好きな
場所
情報科と英語科のスケジュール打ち合わせ
ワークシートの下書き作成
ワークシートの作成
スクリプトを書く
リハーサル
英語によるプレゼンテーション本番
確認テスト
28
6
2014/1/31
平成25年度大阪府学校情報ネットワーク活用推進実践事例発表会 発表資料
合唱の様子をiPadで撮影し
他のクラスと比較
音楽科 作曲支援
ドリトルを使った演奏
作曲した作品を楽器の音
色や音楽を形作っている
要素を変えることで、作
品の表情の変化が生ま
れることを感じ、イメージ
を持って創作できた。
動画を見る/ 答えを表示する
動画をグループ
のペースで再生
日本史演習 プレゼンテーション
良い解答を撮影
して提示する
テーマを決めて
スライドを使って
説明
動画遅延装置とプロジェクター
体育館での短焦点プロジェクター
29
7
2014/1/31
平成25年度大阪府学校情報ネットワーク活用推進実践事例発表会 発表資料
Moodleを使った小テスト
英語でCM作り
修学旅行文集
修学旅行 文集例
デジタルサイネージ
2013年度教員向け講習
•
•
•
•
4.05 電子黒板セミナー
7.02 PowerPoint講習
8.16 iBookAuthor利用セミナー
10.23 iPad+AppleTVによる授業セミナー
ICTミニ講習
30
8
2014/1/31
平成25年度大阪府学校情報ネットワーク活用推進実践事例発表会 発表資料
まとめ
ICTをよく知っている先生方が
リーダーシップを発揮して
教科の情報化を推進する。
31
9
3.研修資料
32
2013 年 4 月 5 日
電子黒板セミナー
4 月から新学習指導要領に基づく授業が始まるにあわせて、情報科だけでなく多くの他教科で
も ICT を活用した授業をしようと、4 月 5 日に学校内で電子黒板のセミナーが行われた。
年度当初の忙しい中、校長先生をはじめ 21 名の先生方が熱心に参加!
33
7 月2日
はじめての PowerPoint
今年、新学習指導要領に基づく授業が始まりました。
電子黒板を使ったり、教科書をプロジェクタで見せたり、
PowerPoint で作った資料を見せたりすることが、生徒の興
味関心を引き出す 1 つのツールになります
これからICTを活用してみようという先生を対象に
PowerPoint の作り方を最初から説明します。
日時:7 月 2 日(火)13:00~
場所:特別棟 4 階 LAN 教室
担当:稲川孝司
34
8 月 16 日
iPad+iBookAutor を使った授業実践方法講習会
猛暑が続いている 8/16 に、プロジェクタ&書画カメラ、AppleTV、iPad などのハードウェアがそろ
っている4B 教室において、橋本昌代先生が教室の使い方と iBookAuther を使った授業についての
先生向け講習を行いました。
35
10 月 23 日 iPad+AppleTV 講習
現在、学校には 56 台の iPad と 4 台の AppleTV があるのですが、wifi を授業の中でど
のように活用したら便利かを知ってもらうために、講習をしました。原理と実際に接続する
方法を学び、11 月に行われる研究授業で活用してもらえればと思っています。
36
4.報告資料
37
様式3-4
平成25度教育課程研究指定校事業希望調書
― 高等学校 ―
都道府県番号(27)都道府県名( 大阪府
)
公立・私立・国立(○で囲む)
【学校の概要】
ふりがな
学 校 名
大阪府立
校長名
ひがしもずこうとうがっこう
東百舌鳥高等学校
〒
599-8234
高橋
賢一
大阪府堺市中区土塔町 2377-5
所 在 地
電話 072-235-3781
設置する課程
(H.25.4.1 見込み)
FAX
072-235-6950
普通科全日制
学 科
生
名
徒
e-mail
[email protected]
(H.25.4.1 見込み)
教員数 64 名
数
(H.25.4.1 見込み)
1年 2年 3年 4年
計
320 322 316
958
※枠は適宜設定してください。
特記事項
【研究計画】
公募課題番号
4
公募課題4を選
情報
択した場合の教
科等名
学 校 に お け る 情報技術を活用した効果的なコミュニケーション能力を育む指導方法等の工夫改善につい
研究主題
ての研究
本校では、今まで情報科を中心として ICT を活用した教科横断型の授業を多く実践して
研究目的・内容 きた。特に英語科との横断授業では、協働学習やプレゼンテーション等のコミュニケーシ
ョン能力を必要とする教育活動に関して、携帯端末を中心とする ICT 機器を効果的に活用
した授業を行い、成果をあげてきた。平成 25 年からの新学習指導要領に基づく授業におい
ては教員の ICT 活用指導力の向上や生徒の情報活用能力の育成を図ることが求められてお
り、教科横断型の授業で多くの教科において ICT を活用した授業が継続的・発展的に取り
組めるように、共通教科情報を中心に指導の内容や教科の連携等を研究する予定である。
【具体的取り組みの内容】
研究計画・方法
①ICT を活用して教科の目標を達成するために、より効果的な方法を研究する必要があると考える。
そこで、情報科の教員を中心に他教科や総合的な学習の時間と連携して、教科横断型の授業を実践し
ながら効果的な ICT 活用を模索し検討していく。
②プレゼンテーション等で取り組み
共通教科情報で、生徒のコミュニケーション能力の高めるためのICT機器の活用能力や、情報ネッ
トワークを主体的に活用する能力を養えるよう授業を計画する。
これを受けて、他教科でもICT機器を活用したプレゼンテーション授業を行う。
プレゼンテーション学習においては、主体的に情報を発信でき、また双方向のコミュニケーションの
ために、自己評価と生徒同士が相互評価できる環境を整える。
③情報と情報手段を活用した問題の発見と解決に関する知識と技術を習得させ問題解決を行えるよ
う、協働学習形式での問題解決学習を行う。
38
【スケジュール】
平成24年度3月まで
研究委員会(首席、情報科・英語科教員等)を組織し、平成25年度の1年時の授業計画を立案する。
並行して、26年度以降の授業計画に関して協議を行い、高校3年間を見通した計画とする。
平成25年度の予定
[1学期]
・生徒の教科「情報」に関する、スキル、意識、態度の調査を行う。
・情報モラル、特に個人情報や著作権等の情報発信で不可欠な知識を学習する。
・協働学習(アンプラグド学習等)での問題解決学習を行う。
・情報科が協力して他教科での ICT を活用した授業を行う
[2学期]
・アルゴリズムを用いた問題解決学習を行い、成果を発表・相互評価を行う。
・発表を主体としたプレゼンテーション授業を計画する。
「私のおすすめ」(自己紹介と自分の身近な事柄についてのプレゼンテーション)
・情報科での校内プレゼンテーション大会を行う。
各クラスで相互評価し、代表者を選出する。
学年全体で代表者によるプレゼンテーション大会を開催し、優秀者を選出する。
プレゼンテーションの内容や技術を生徒間で共有する。
・2 年生・3 年生では英語によるプレゼンを実践する。
英語版のプレゼンのスクリプトは AET の協力で作成する。
プレゼンのデータ作成は情報科が協力する。
・社会科でグループによる発表並びに個人の課題研究でプレゼン実習を実施する。
・公開授業を行う。
・中間報告
[3学期]
・ICT 機器を活用し、身近な事例の情報を収集・分析し、考察を加え発表する授業を計画する。
・報告書の作成。
【効果の測定】グループによる協働学習(アンプラグド学習等)や、校内プレゼンテーションの大会
等を通じ、グループおよび個人での発表機会を持ちその評価を得る工夫を行う。また授業での活動に
対し、その取り組みと効果をアンケートや個人のプロフィールを作成することで、測定できる環境を
整える。毎月行う研究員会で、授業の進度および授業に対する評価を測定・検証する。
【普及方法】研究授業(公開授業)を適宜行う。学校 Web や学会(情報コミュニケーション学会・
日本情報科教育学会)等で発表する。
過 去 の 研 究 実 ・英語でプレゼン「自己紹介」、実践事例アイディア集 Vol.19、日本教育工学振興会
・普通教室におけるタブレット型 PC(iPad)活用法の研究、第 37 回研究助成、パナソニック教育財団
績等
・使える英語プロジェクト(3 カ年)指定校、大阪府教育委員会
・校長マネジメント事業「ICT を活用した東百舌鳥フューチャースクール」、大阪府教育委員会
・教育の情報化に向けて、平成 23 年度教育研究集録、日本教育公務員弘済会大阪支部
・平成 23 年度文部科学省「国内の ICT 教育活用好事例集の収集・普及・促進に関する調査研究事業」
・地域連携と教育の情報化による学校作り、第 61 回読売教育賞学校作り部門最優秀賞、読売新聞社
・平成 24 年度文部科学省「国内の ICT 教育活用好事例集の収集・普及・促進に関する調査研究事業」
39
【新規】
様式3-4
教育課程研究指定校事業実施計画書(平成25年度)
― 研究課題4
高等学校―
27
都道府県・指定都市番号
都道府県・指定都市名
大阪府
公立 ・ 私立 ・ 国立
(○で囲む)
1 研究指定校の概要
ふ り が な
おおさかふりつ
ひがしもず
学 校 名
大阪府立東百舌鳥高等学校
ふ
り
が
な
たか はし
校長氏名
けんいち
髙橋 賢一
〒599-8234
堺市中区土塔町 2377-5
電話:072-235-3781 FAX:072-235-6950
所 在 地
設置する
課程
(H25.4.1 現在。臨時的任用の者は常勤の者のみ含む)
全日制普通科
教員数 59名
(H25.4.1 現在)
生
学 科 名
普通科
1年
322
[調査研究にかかわる教科等の教員数]
徒 数(H25.4.1 現在)
2年
316
3年
303
4年
計
941
10名
特記事項
2 研究主題
教科等名
学校におけ
共通教科情報科
教科課題番号等
④
情報技術を活用した効果的なコミュニケーション能力を育む教科横断型授業の研究
る研究主題
研究主題
設定の理
由
本校では、今まで情報科を中心として ICT 機器を活用した教科横断型の授業を多く実践し
てきた。特に英語科との教科横断型の授業では、協働学習やプレゼンテーション等のコミュニ
ケーション能力を育む学習活動に関して、情報端末を中心とする ICT 機器を効果的に活用し
た授業を行い、成果をあげてきた。平成 25 年度に全面実施された新しい高等学校学習指導要
領に基づく授業においては、教員の ICT 活用指導力の向上や生徒の情報活用能力の育成を一
層図ることが求められている。
そこで、他教科において ICT を活用した授業が継続的・発展的に取り組めるように、情報
科を中心に教科横断型の授業における指導の内容や連携方法等について研究する。
研究の内
容や方法
等
① ICT 機器を活用した、教材の準備を進めるに当たり、情報通信ネットワークの活用方法に
係る講習や研究協議を行い、その課題を明確化し、その解決を図る。
② 情報科で ICT 機器や情報ネットワークを主体的に活用する能力を養う授業に取り組む。
③ ②のノウハウを生かして、他教科で「わかる授業」をめざして、ICT 機器を活用した教科
横断型の学習指導を取り入れる。
④ 全ての教員が ICT 活用指導力を高めるよう、教員研修を定期的に実施する。
成果の検
証方法等
・ICT を活用した教科横断型授業の実施(回数←?)
・生徒や教員の意識の変容を把握するためにアンケートを実施
・研究課題ごとに教員や生徒の意識を把握するためのアンケートを実施する。
40
3 研究体制等
・研究委員会(委員構成:教頭、首席教諭、情報科教諭英語教諭等)を平成 25 年 3 月に設立。
・月 1 回の研究委員会を開催する。
・研究指定校事業終了後も引き続き、研究委員会を中心に授業計画について協議を行う。
4 研究計画
実施時期
研究内容,研究方法,成果の公開等
・入学時の生徒の実態を把握するために、生徒の情報活用能
力に係る調査を行う。
・情報科の授業で、協働学習(アンプラグド学習等)での問
題解決学習を行う。
・研究協議を開き、教員が必要とする ICT 活用指導力を検
証し、その力を身に付けるための講習会を実施する。
・無線 LAN アクセスポイントを増設し、ICT 活用のための
環境を整備する。
・情報科が協力して、他教科での ICT を活用した授業を行
う。
期待される成果等
①ICT を活用した授業の
増加。
②生徒の授業理解度の向
上。
③教員の ICT 活用指導力
の向上。
④環境整備による授業内
容の充実。
2 学期
・情報科の授業で、アルゴリズムを用いた問題解決学習を行
い、成果を発表及び相互評価を行う。
・情報科の授業で、プレゼンテーション授業「私のおすすめ」
(自己紹介と自分の身近な事柄についてのプレゼンテー
ション)を実施し、校内プレゼンテーション大会を行う(各
クラスで相互評価し、代表者を選出、学年全体で代表者に
よるプレゼンテーション大会を開催し、優秀者を選出)。
・2 年生・3 年生では英語によるプレゼンテーションを実践
(英語版のプレゼンテーションのスクリプトは ALT の協
力で作成し、プレゼンテーションのデータ作成は情報科が
協力)
・他教科でグループによる発表並びに個人の課題研究でプレ
ゼンテーション実習を実施し、公開授業を行う。
・1 学期同様に、研究協議会を開き、教員が必要とする ICT
活用指導力を検証し、その能力を身に付けるための講習会
を実施する。
①授業満足度の向上。
②情報科・他教科ともに言
語活動の充実に向けた
授業内容の向上。
③ICT 機器を効果的に活
用する等、情報リテラシ
ーの育成。
④教員の ICT 活用指導力
の向上。
3 学期
・最終の報告書作成。
①他教科・科目と連携を図
・研究成果をまとめ、大阪府高等学校情報教育研究会及び、
り、次年度に向けた適切
情報コミュニケーション学会、日本情報科教育学会等で研
な学習目標の設定がで
究成果を発表する。
きる。
・ICT 講習会・研究協議を開き、事業の総括的な検証を行う。 ②教員の ICT 活用指導力
の検証。
1 学期
5 研究のまとめや成果の普及方法等の見通し
・研究授業・公開授業を開催する。
・学校 Web ページに研究成果を掲載する。
・大阪府高等学校情報教育研究会及び、情報コミュニケーション学会、日本情報科教育学会等で研究成果
を発表する。
41
平成25年度研究協議会資料[研究課題番号:4高等学校]
都道府県・指定都市番号 2 7
ふ
り
が
おおさかふりつ
な
学校名
大阪府立
都道府県・指定都市名 大 阪 府
ひがしもず
こうとうがっこう
東百舌鳥
(生徒数)
高等学校
940人 (平成25年5月1日現在)
(本研究に係る問い合わせ先)
所在地:〒599-8234 堺市中区土塔 町 2377-5
電話番号:072-235-3781 FAX:072-235-6950
学 校 の URL: http://www.osaka-c.ed.jp/higashimozu/
【研究成果のポイント】
○研究のキーワード:教科横断,ICT 活用,情報通信ネットワーク,環境整備,協働学習
○研究成果のポイント:
ICT 活 用 研 修 を 4 回 実 施 し て , ICT 活 用 の 必 要 性 を 教 員 が 理 解 し , 実 習 を し て 実
際 に 操 作 で き る よ う に な っ た 。 ま た , 教 科 情 報 で の 生 徒 の ICT 活 用 の 学 習 状 況 を 知
り , 各 教 科 で 実 施 で き る ICT 活 用 の 授 業 設 計 を し た 。 委 嘱 経 費 で 購 入 し た 物 品 を 使
い , 7 名 の ICT 活 用 公 開 授 業 を 実 施 し た 。 そ れ を 見 学 し た 教 員 の 多 く は , タ ブ レ ッ
ト 型 パ ソ コ ン を 使 っ た 協 働 学 習 の イ メ ー ジ を 持 つ こ と が で き た 。 校 内 に Moodle の
サ ー バ を 立 て て ,e-lear ning に よ る 個 別 学 習 の シ ス テ ム を 構 築 で き た 。学 会 や 研 究
会 な ど で ICT 活 用 の 実 践 を 報 告 し た 。
【研究の目的,研究内容】
(1)研究主題
情報技術を活用した効果的なコミュニケーション能力を育む教科横断型授業の研究
(2)研究主題設定の理由
本校では,情報科を中心として ICT 機器を活用した教科横断型の授業を 今まで多く実践
してきた。特に英語科との教科横断型の授業では,協働学習やプレゼンテーション等のコ
ミュニケーション能力を育む学習活動に関して,ICT 機器を効果的に活用し た授業を行い,
成果をあげてきた。
平成 25 年度からの高等学校学習指導要領に基づく授業においては,教員の ICT 活用指導
力の向上や生徒の情報活用能力の育成を一層図ることが求められている。そこで ,各教科
において ICT を活用した授業が継続 的・発展的に取り組めるように,情報科が中心になり
環境を整備し,教員研修をしながら教科横断型の授業における指導の内容や連携方法,情
報端末を活用した個別学習や協働学習の在り方等について研究することにした。
(3) 研究体制
研究委員会
国語
社会
数学
理科
保健体育
芸術
英語
(4)1年間の主な取組の経過
平 3 月 21日
成 4 月 5日
25 7 月 2日
研究委員会設立
ICT教 員 研 修 ( 電 子 黒 板 セ ミ ナ ー )
ICT研 修 ( PowerPoint作 成 セ ミ ナ ー )
42
家庭
情報
年 7 月 2日 学 校 来 校 ( 京 都 府 立 山 城 高 等 学 校 よ り 2名 )
度 8 月 16日 ICT教 員 研 修 ( iBooks Autho rの 取 扱 い セ ミ ナ ー )
9 月 1日 数 研 出 版 CHART NEWTWORK No.71 に 実 践 研 究 論 文 掲 載
9 月 18日 委 嘱 経 費 に よ る 物 品 購 入 (AirMac Extremeベ ー ス ス テ ー シ ョ ン )
9 月 25日 公 開 授 業 ・ 研 究 協 議 ( 大 阪 府 教 育 委 員 会 教 育 振 興 室 指 導 主 事 来 校 )
10月 23日 ICT教 員 研 修 ( iPad+ AppleTVの 使 い 方 セ ミ ナ ー )
11月 30日 情 報 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 学 会 で 研 究 発 表
12月 7日 第 8回 デ ジ タ ル 教 科 書 勉 強 会 で 発 表
(5)具体的な研究内容・方法,研究を進める上での工夫点等
「情報科での学習が他の教科・科目等の学習に役立つよう ,他の教科・科目等の連携を図
ること」と高等学校学習指導要領に記述してあることから ,情報科が他教科と連携して ICT
活用の授業を実施できるよう研修会や環境整備を行った。生徒達が情報の授業で身に付け
た情報活用能力を他教科の先生に知ってもらい,他教科での学習で効果的に活用できるよ
う研修などを計画した。特に,タブレット型パソコンを使った協働学習のための ICT 活用
実践についてそのイメージを持ってもらえるよう研修を行い ,各教科における ICT 授業の
サポートを行った。
【研究成果とその意義等】
(1)研究成果
学習指導要領の総則に記述されている「教科指導における ICT 活用の必要性 」について
講習を通じて先生方に周知できた。教 科 で ICT を 活 用 す る た め に 「 授業での教員の ICT
活用,生徒児童による ICT 活用」 を 区 別 し て , 具 体 的 に 先 生 方 に 理 解 し て も ら え た 。
9 月 に 英 語 科 で の 実 践 「 iPad を 活 用 し た 英 語 に よ る 海 外 旅 行 提 案 コ ン テ ス ト 」 を ま
とめて,数研出版の情報誌に掲載してもらった。ワークショップ形式の教員研修を
実 施 し ,先 生 方 に ICT を 活 用 し た 授 業 を イ メ ー ジ し て も ら え た 。そ の 結 果 ,11 月 に
I CT を 活 用 し た 公 開 研 究 授 業 を 7 名 が 実 施 し た 。 ま た , 情 報 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 学
会で「情報科と英語科の連携から英語科単独のプレゼンテーション授業へ 」を発表
し た 。12 月 に は デ ジ タ ル 教 科 書 勉 強 会 で ,
「 iPad を 使 っ た 英 語 プ レ ゼ ン 」と「 Moodle
活 用 英 語 小 テ ス ト 」 の 実 践 発 表 を 行 っ た 。 英語 プレ ゼ ン テー シ ョン 授業 が 情 報科 と 英
語科の教科横断授業から英語科単独での授業になり,さらに国語や社会でもプレゼンテー
ション授業が始まった。特に音楽では他のクラスの合唱の様子を動画に撮り ,相互に批評
することにより自分たちの合唱に生かしている。このように教科指導における ICT 活用が
一歩も二歩も進んだ。情報科が導入した e-learning システムは英語科が個別 学習の問題を
作成し,協力して効果を検証中である。
(2)研究成果の意義等
教育の情報化が叫ばれている中,現場の学校には「教科指導における ICT 活用の必要性」
が浸透していない。特に高等学校では,伝統的に講義形式の一斉授業が主で,ICT を活用
した協働学習のイメージはほとんどの教員は持ち合わせていないのが現状である。若い人
や先駆者的に ICT 活用している教員の実践例を実際に見ることで,教育の情報化の普及・
啓発,啓蒙から次のステップである生徒の「情報活用能力」の育成に向けて各教科で何が
できるかを教員は考えることができている。その意味で,研究指定校として実施してきた
ことが多くの教員の資質アップに結びついている。
(3)指定期間終了後の取組
生徒の「情報活用能力」育成をめざし ,各教科で ICT を活用した授業が さらに普及する
よう,年2回の授業見学を企画し,学校全体で研究体制を組んで継続して取り組んでいく。
43
平成25年度 研究成果 報告書《 平成 25 年度教育課 程研究指 定校事業》
都道府県・指 定都市番 号 27
ふ
り
が
都道府県・指 定都市名 大阪府
おおさかふりつひがしもずこうとうがっこう
な
学校名
大阪府立東百舌鳥高等学校 (940 人)
(生徒数)
(本研究に係 る問い合 わせ先)
所在地:〒599-8234 堺 市中区土 塔 町 2377-5
電話番号:072-235-3781 FAX:072-235-6950
学 校 の URL: http://www.osaka-c.ed.jp/higashimozu/
【研究成果のポイント】
○研究課題番号:4高等学校
○研究対象教科等:情報
○研究のキーワード:教科横断,ICT 活用,情報通信ネットワーク,環境整備,協働学習
○研究成果のポイント:
校 内 研 修 を 通 し て , 多 く の 教 員 が ICT 活 用 の 必 要 性 を 理 解 し 実 習 し な が ら 機 器 の
操 作 が で き る よ う に な っ た 。ま た ,教 科 情 報 で の 生 徒 の I C T 活 用 の 学 習 状 況 を 知 り ,
各 教 科 で の 授 業 設 計 を 考 え る 研 修 を 実 施 で き ,7 名 の ICT 活 用 公 開 授 業 が 実 施 で き
た 。教 員 の 多 く は タ ブ レ ッ ト 型 パ ソ コ ン を 使 っ た 協 働 学 習 の イ メ ー ジ を 持 つ こ と が
で き た 。 校 内 に e-learning に よ る 個 別 学 習 シ ス テ ム を 構 築 で き た 。
【研究の目的,研究内容】
(1)研究主 題
情報技術を活 用した効 果的なコ ミュ ニケーション 能力を育 む教科横 断型 授業の研究
(2)研究主 題設定の 理由
本校では,情報科と英語 科の教科 横断型の授業 で,協働学習 やプレゼ ン テーション等 の
コミュニケー ション能 力を育む 学習 活動に関して , ICT 機 器を効果的 に活 用し成果をあ げ
てきた。平成 25 年度か らの高等 学校 学習指導要領 に基づく 授業にお いて は,教員の ICT
活用指導力の 向上や生 徒の情報 活用 能力の育成を 一層図る ことが求 めら れている こと か
ら,各教科に おいて ICT を活用 した 授業が継続的 ・発展的 に取り組 める ように,情報 科が
中心になり環 境を整備 し,教員 研修 をしながら教 科横断型 の授業に おけ る指導の内容 や連
携方法,情報 端末を活 用した個別 学習 や協働学習の 在り方 等 について 研究 する ことにし た。
(3) 研究体 制
研究委員会
国語
社会
数学
理科
保健体育
芸術
英語
家庭
(4)1年間 の主な取 組の経過
3月 21日 研 究 委 員 会 設 立
4月 5日 ICT教 員 研 修 ( 電 子 黒 板 セ ミ ナ ー )
平 7月 2日 ICT研 修 ( PowerPoint作 成 セ ミ ナ ー )
成 7月 2日 学 校 視 察 ( 京 都 府 立 山 城 高 等 学 校 よ り 2名 )
25 8月 16日 ICT 教 員 研 修 ( iBooks Author の 取 扱 い セ ミ ナ ー )
44
情報
年 9月 1日 数 研 出 版 CHART NEWTWORK No.71 に 実 践 研 究 論 文 掲 載
度 9月 18日 委 嘱 経 費 に よ る 物 品 購 入 (AirMacExtremeベ ー ス ス テ ー シ ョ ン )
9月 25日 公 開 授 業 ・ 研 究 協 議 ( 大 阪 府 教 育 委 員 会 教 育 振 興 室 指 導 主 事 来 校 )
10月 23日 ICT教 員 研 修 ( iPad+ AppleTVの 使 い 方 セ ミ ナ ー )
11月 30日 情 報 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 学 会 で 研 究 発 表
12月 7日 第 8 回 デ ジ タ ル 教 科 書 勉 強 会 で 発 表
1月 31日 大 阪 府 学校情報ネットワ ーク活用推進 実践事例 発表会で 研究 発表
2月7日 平成 25年度関 係指定授 業研 究協議会で発 表・研究 協議
3月20日 学 校 視 察 ( 福岡県立小倉南 高等学校より 1名)
(5)具体的 な研究内 容・方法 ,研 究を進める上 での工夫 点等
高等学校学習 指導要領 に「情報 科での 学習が他の教 科・科目 等の学習 に役立 つよう,他の
教科・科目等 の連携を 図ること」と記 述してあるこ とから,情報科が 他教科 と連携して ICT
活用の授業を 実施でき るよう研 修会 や環境整備を 行った。 生徒達が 情報 の授業で身に 付け
た情報活用能 力を他教 科の学習 で効 果的に活用で き るよう ,また教 員の ICT 活用指導力 の
向上に結び付 くよう, 研修など を計 画した。特に ,タブレ ット型パ ソコ ンを使った協 働学
習のための ICT 活用実 践につい て, 授業イメージ が得られ るよう研 修を 行った。数名 が集
まる小規模な 研修が特 に効果的 であ った 。
【研究成果とその意義等】
(1)研究成 果
学習指導要領 の総則に 記述され てい る「教科指導 における ICT 活用 の必 要性」につい て
講習を通じて 先生方に 周知でき た。 教 科 で ICT を 活 用 す る た め に 「 授業での教員の ICT
活用,生徒児 童による ICT 活用」を 区 別 し て ,具 体 的 に 先 生 方 に 理 解 し て も ら え た 。9
月 に 英 語 科 で の 実 践「 iPad を 活 用 し た 英 語 に よ る 海 外 旅 行 提 案 コ ン テ ス ト 」を ま と
めて ,数研出 版の情報誌 に掲載しても らった。ワークショ ップ形式の教 員研修を 実
施 し , 先 生 方 に ICT を 活 用 し た 授 業 を イ メ ー ジ し て も ら え た 。 そ の 結 果 , 1 1 月 に
I CT を 活 用 し た 公 開 研 究 授 業 を 7 名 が 実 施 し た 。 ま た , 情 報 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 学
会で「情報科 と英語科の 連携から英語 科単独の プレゼン テーショ ン授業 へ」を発 表
し た 。12 月 に は デ ジ タ ル 教 科 書 勉 強 会 で ,「 iPad を 使 っ た 英 語 プ レ ゼ ン 」と「 Moodle
活 用 英 語 小 テ ス ト 」 の 実 践 発 表 を 行 っ た 。 英 語プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン 授業 が 教 科 横 断 か
ら英語科単独 での授業 になり, さら に国語や社会 でもプレ ゼンテー ショ ン授業が始ま り,
教科指導にお ける ICT 活用が一 歩進 んだ。e-learning によ る個別学 習の 問題を他教科 に作
成してもらい,そ の有効性 を認識 し て もらった。大阪府 教育セン タでの 大 阪 府 学校情報ネ
ットワーク活 用推進実 践事例発 表会 で研究成果を 発表した 。
(2)研究成 果の意義 等
教育の情報化 が叫ばれ ている中,現場 の学校には「 教科指導 における ICT 活 用の必要性」
が浸透してい ない。特 に高等学 校で は,伝統的に 講義形式 の一斉授 業が 主で, ICT を 活用
した協働学習 のイメー ジはほと んど の教員は持ち 合わせて いないの が現 状である。若 い人
や先駆者的に ICT 活用 している 教員 の実践例を実 際に見る ことで, 教育 の情報化の普 及・
啓発,啓蒙か ら次のス テップで ある 生徒の「情報 活用能力 」の 育成 に向 けて各教科で 何が
できるかを教 員は考え ることが でき ている。その 意味で, 研究指定 校と して実施して きた
ことが多くの 教員の資 質アップ に結 びついている 。
(3)指定期 間終了後 の取組
生徒の「情 報活用能 力」育成 をめざ し,各教科で ICT を活 用した授 業が さらに普及す る
よう,学校全 体で研究 体制を組 んで 継続して取り 組んでい く。
45
Fly UP