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PDF - 島根大学医学部
第76回島根画像診断研究会
2015年11月12日(木)
ホテル宍道湖
症例1
松江赤十字病院 放射線科
提示
第76回島根画像診断研究会_2015年11月12日(木)_ホテル宍道湖
10歳代 男性
主訴: 左膝痛
現病歴:運動中に、左膝の疼痛が
出現、近医受診となる。
左膝単純X線正面像
単純CT
MRI
T1WI
T2WI
Proton FS
考えられる疾患は?
解説
画像診断のまとめ
単純X線
脛骨近位骨端に硬化縁を伴う類円形の透亮像あり。
CT
病変の内部に淡い石灰化を認める。
MRI
病変は、T1WIで低信号、T2WIで低信号と高信が
混在、辺縁に硬化縁と考えるT1WI T2WI低信号を
認める。周囲骨髄に、僅かな浮腫性変化あり。
線維軟骨様成分を含むchondroid成分と細胞密度の高い成分(切れ込みや
くびれが目立つ核に好酸性胞体を有する単核細胞からなり、
一部多核巨細胞やヘモジデリン沈着細胞が見られる)が確認される。
一部、単核細胞を取り囲むchicken-wire様の石灰化が見られる。
病理診断
軟骨芽細胞腫
chondroblastoma
軟骨芽細胞腫
小児の長管骨骨端部に好発する
軟骨形成性の良性骨腫瘍である。
組織学的には破骨細胞型多核巨細胞と
円形または多角形の軟骨芽細胞様細胞で
構成される細胞密度の高い比較的未分化
な組織を特徴とし、石灰化巣を伴った
軟骨性の間質を伴う腫瘍と定義される。
軟骨芽細胞腫
全骨腫瘍の約0.2%
好発年齢は、10~20歳代 男女比は2:1
多発性は10%
約7割が長管骨 骨端部に発生
大腿骨遠位または近位、脛骨近位、上腕骨近位
距骨、踵骨、膝蓋骨に起こることもある。
無症状のこともあるが、局所の疼痛 腫脹 圧痛を
きたす。
軟骨芽細胞腫
画像診断
● 単純X線、CT
•硬化縁を伴う類円形の骨破壊像
•石灰化(25%程度)小点状の石灰化像
•骨膜反応をきたすことがある。
悪性腫瘍で見られる不規則性なし。
軟骨芽細胞腫
画像診断
MRI
●
T1WI: 低信号
T2WI: 低信号と高信号が混在する不均一な信号
内部に嚢胞変化を認めることも多い。
嚢胞変性に出血を伴い、液面形成を呈することもある。
周囲の骨髄や軟部組織の反応性浮腫を伴う。
関節液貯留や滑膜肥厚を伴うことがある。
症例2
松江市立病院 放射線科
提示
第76回島根画像診断研究会_2015年11月12日(木)_ホテル宍道湖
主訴:腹痛
• 10歳代 女性
• 手術予定であったが、急な腹痛があり受診。
• WGC11800、CRP陰性。他の血液検査の異
常なし。
• MRIは、CTの9日前実施。
腹痛前
腹痛時
考えられる疾患は?
解説
比較:左
・信号強度と脂肪の濃度
・Palm tree appearance
・大きい嚢胞と小嚢胞の位置が上下逆転
比較:右
・位置の移動
・球形から楕円形
・水の信号から液面形成
・大きい嚢胞と小嚢胞の位置は同じ
画像所見のまとめ
• 左は,典型的な成熟奇形腫の所見.腹痛の
前後で奇形腫と卵巣本来の組織の上下関係
が逆転している.
• 右は,嚢胞内容が変化し,形も変形.緊張感
が低下している.
手術所見
•
術前診断:左卵巣腫瘍(皮様のう腫の疑い)、左卵巣嚢腫茎捻転の疑い
術後診断:左卵巣腫瘍(皮様のう腫)、左卵巣嚢腫茎捻転、右卵巣出血
術式:開腹左卵巣嚢腫摘出術
手術時間:1時間
•
出血量:60g
術中所見:
下腹部に3cmのPfannnenstiel横切開をおき開腹した。
左卵巣は5cm大に腫大し、時計回りに180度捻転していた。一部浮腫状で鬱血
を認めたが、明らかな壊死所見はないため、嚢腫摘出とした。右卵巣には黄体を
認め、表面に1cm程度の裂傷があり同部位から出血していたため、これを縫合結
紮し止血した。
診断
• 左卵巣:成熟嚢胞性奇形腫の茎捻転
• 右卵巣出血
*mature teratoma,dermoid cyst ,皮様のう腫も正解です.
*ただし,茎捻転,卵巣出血(卵巣破裂)も必須です.
症例3
島根大学 放射線科
提示
第76回島根画像診断研究会_2015年11月12日(木)_ホテル宍道湖
島根大学 症例
主訴:腹痛
現病歴:昼食後より腹痛が出現し嘔吐。徐々に増
悪したため受診。
既往歴:特記事項なし。
採血結果: 白血球数 14490/㎕, CRP 0.06,血
液ガス分析 乳酸
42.0 (正常範囲 4.5~
13.5 mg/dl)
考えられる疾患は?
解説
内ヘルニア
• 内ヘルニアとは、腹腔内の大きな陥没部、嚢
状部、裂孔に腸管など腹腔内臓器が陥入し
た状態である。
• 腸間膜や大網にできた異常裂孔へ陥入する
異常裂孔ヘルニアと腹膜窩を通じて後腹膜
へ入り込んだり、窩や嚢状部へ陥入する腹膜
窩ヘルニアに大きく分類される。
今日の臨床サポ-トより
内ヘルニアの分類
1. 傍十二指腸窩(53%)
2. 盲腸窩(13%)
3. Winslow孔(8%)
4. 腸間膜裂孔(8%)
5. S状結腸間膜窩(6%)
6. 後吻合部(5%)など
頻度はまれで、closed loop obstructionが特徴
である
http://www.jikeirad.jp/syourei/kensyui
/201211up/201210_2_TK.pdf
右傍十二指腸ヘルニア
による絞扼性イレウス
http://www.jikeirad.jp/syourei/kensyui
/201211up/201210_2_TK.pdf
http://www.jikeirad.jp/syourei/kensyui
/201211up/201210_2_TK.pdf
123-126
Winslow孔ヘルニア
本症例
手術所見
• 回盲部から105cmの回腸が、胃結腸間膜の
裂孔を通り、胃の後面から小網裂孔(裂孔サ
イズ15mm)を通って45cm長、脱出していた。
• 脱出腸管は暗赤色、壊死しており切除。
• 裂孔は閉鎖。
日臨外会誌65(5),1392-1396,2004
診断
小網裂孔ヘルニア(II型)
症例4
島根県立中央病院 放射線科
提示
第76回島根画像診断研究会_2015年11月12日(木)_ホテル宍道湖
• 1か月前より便秘傾向となり、近医で腹部腫
瘤を指摘されたため当院紹介受診した。
単純CT
造影CT 早期相
In phase
opossed phase
T1WI 脂肪抑制
拡散強調像
T1WI造影
造影CT 後期相
T1WI造影
T2WI
ADC
↑今回の腹部CT
今回のMRI (3.0T)
9年前の 造影CT
考えられる疾患は?
解説
症例
• 60歳代 男性
• 主訴 腹部腫瘤
• 現病歴 1か月前より便秘傾向となり、近医で腹
部腫瘤を指摘されたため当院紹介受診した。
• 血液検査 高血糖の他に特記すべき異常なし
• 腫瘍マーカー 陰性
• 既往歴 20年前:重症急性膵炎でドレナージ術
(9年前まで膵仮性嚢胞をフォローされていた)
• 家族歴 特になし
11年前の CT・MRCP
9年前の CT
今回の CT
今回の MRI
In phase
opossed phase
T1WI 脂肪抑制
T1WI造影
T1WI造影
T2WI
病理
病理との対比
T1WI造影
壊死組織
血管腔と新しい血腫
繊維性被膜
病理診断
Suggestive of hemorrhagic pseudocyst of the
panceras with cavernous hemangioma-like change
診断
Chronic expanding hematoma
(慢性拡張性血腫)
Chronic expanding hematoma
慢性拡張性血腫
• 1980年 Reidらにより定義された
• 慢性硬膜下血腫と同じ機序
• 皮下・胸腔・後腹膜・心嚢など
• 中心部の古い血液、外層に小血管に富む肉
芽、最外層に被膜
• 特異的な病理所見はない
• 後腹膜 10例程度 術後・外傷後・不明
Chronic expanding hematoma
慢性拡張性血腫
• CTで漸増する辺縁造影効果、石灰化+
• MRI T2強調像で不均一なモザイクパターン
Intrapelvic Chronic Expanding Hematoma:Magnetic
Resonance Imaging Findings with Pathological
Correlation
Sakurai et al.
Magn Reson Med Sci,Vol.9,No2,p81-84,2010
後腹膜血管腫
•
•
•
•
•
後腹膜腫瘍の1-3%
性差はなく、年齢は様々
発見時の平均10cm以上と大きい
内部~全体が乏血性のものが多い
外科手術
鑑別診断
•
•
•
•
•
•
•
•
•
慢性拡張性血腫
血管腫
陳旧性血腫
悪性線維性組織球症
横紋筋肉腫
傍神経節腫
Castleman病
血管周皮腫
多血性腫瘍の転移
正解
• 慢性拡張性血腫
• 血管腫
症例5
出雲市立総合医療センター 放射線科
提示
第76回島根画像診断研究会_2015年11月12日(木)_ホテル宍道湖
症例
: 50歳代 女性
主訴
: 下腹部膨満感
閉経
: 6年前
MRI
T2強調矢状断像
T2強調横断像
脂肪抑制T1強調像
ダイナミックMRI
pre
30sec
90sec
210sec
考えられる疾患は?
解説
症例 : 50歳代 女性
主訴 : 下腹部膨満感
現病歴:1ヶ月前より下腹部膨満感あり。当院産婦人科受
診。
閉経 : 6年前
妊娠分娩歴:G0P0
既往歴:子宮筋腫(開腹 筋腫核出 30歳代)
血液生化学所見:特記すべきことなし
ほr
ホルモン値および腫瘍マーカー
LH
FSH
E2
CEA
CA125
23.3 mIU/ml →
93.5 mIU/ml →
41
pg/ml →
2.8
18
ng/ml →
U/ml →
超音波像
骨盤内に12cmの多房性嚢胞性腫瘤および子宮内膜肥厚を認めた
MRI
T2強調矢状断像
T2強調横断像
脂肪抑制T1強調像
ダイナミックMRI
pre
30sec
90sec
210sec
ステンドグラス腫瘍の鑑別診断
脂肪成分
yes
成熟嚢胞性奇形腫
(粘液性腫瘍、甲状腺腫
との合併を含む)
T2WIでの低信号部分
の増強効果
yes
no
チョコレート嚢胞
yes
shading
yes
早期濃染
子宮との連続性
no
エストロゲン活性
(子宮内膜の肥厚、
明瞭なzonal anatomy)
no
yes
no
no
変性子宮筋腫
no
被膜隔壁の肥厚
T1WIで高信号嚢胞
yes
消化管壁の肥厚
yes
no
転移性卵巣腫瘍
粘液性嚢胞腺癌
no
粘液性嚢胞腺腫
no
Brenner腫瘍
yes
yes
no
男性化
yes
yes
卵巣甲状腺腫
顆粒膜細胞腫
線維腫
セルトリ細胞腫
今岡いずみ、田中優美子. 画像診断別冊 婦人科MRIアトラス,P147,2004.
子宮内膜ポリープのMRI所見
・ T2WIで正常内膜より低信号、体癌に比べると高信号を示す内膜肥厚
・ 多数の嚢胞構造(拡張した腺腔)
・ T2WIで索状の低信号(fibrous core) ← 特徴的所見
fibrous coreが同定できない場合は内膜増殖症との鑑別は困難
1. 左付属器嚢腫:展開後の大きさ=17x10cm
多房性の嚢胞です。壁の肥厚した部分はありますが,充実性部分はありません。
組織学的には,粘液の豊富な上皮で構成された粘液嚢胞腺腫で,そのsubtype
は胃腸管型に相当します。境界悪性以上の所見はありません。
2. 子宮:86g, 106.5cm
4.5x2.5cm大の内膜ポリープを見ます。これは,組織学的にも内膜ポリープで,拡張
気味の軽度核重積を示す内膜腺の増生が間質の細胞とともに見られ,ポリープを形
成しています。明らかな悪性所見はありません。
病理組織学的診断
1. Mucinous cystadenoma, gastro-intestinal type, lt ovary
2. Endometrial polyp, uterus.
正解
粘液性
粘液性嚢胞腺腫
および
子宮内膜ポリープ or 子宮内膜増殖症
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