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資料2 北原教授講演資料(PDF:488KB)
1.公共交通(バス)の現状 青森県内でのバス利用者の減少 昭和50年 120,000,000人/年 平成20年 30,000,000人/年 公共交通に参加する!? 弘前大学 実車走行キロ(路線距離×便数) 昭和50年 4000万Km 平成20年 2600万Km バスよりも車が便利 → → 交通渋滞の悪化 → → バス経営の不振 → → バスよりも車が便利 北原啓司 車の利用が増加 バス利用者の減少 バスサービスの低下 → 車の利用が増加 → 『負のスパイラル』 2.これまではどう対応してきたのでしょう 3.それでも公共交通離れは続きます 交通渋滞を解消すれば、 きっとバス利用者は増える!? 利用可能人口が減少 ← 少子高齢化 通勤・通学に利用する人々が減少 ↓ では、どうやって、それに対応する? 〇市町村‥補助金を出す 〇事業者・・補助金をもらう 〇利用者・・路線存続をお願いする ※TDM(交通需要マネジメント) ①時差出勤 ②バス専用レーン ③パーク&ライド、キッス&ライド ④自動車利用の制限 ニューヨーク‥流入車から料金 パリ‥ナンバープレートの末尾制限 ロンドン‥混雑課金 中心部21k㎡(東京ドーム700個分) 1日5£(約1000円)→違反は80£ →利用者が公共交通に参加する!? 思い切ったことをやろうとしている事業者もいます 東急電鉄の試みをみてください! ★バス事業者の悲痛な叫び 首都圏は、それができるからいい でも、入内や大柳辺はそんな簡単じゃない! 人口が増えることは想定できない ↓ 利用者を増やすしかない ↓ そもそも、利用可能人口が少ない 運営 コスト 補助金 収入 5 補助金 運営 コスト 収入 4.では、どんな解決方法があるのでしょうか 小さいけれども確実な需要に対応する公共交通 (1)過疎地有償運送・福祉有償運送 地域組織や自治会、NPOなどがバス運営をする (1)過疎地有償運送・福祉有償運送 (2)乗り合いタクシー (3)コミュニティバス (4)デマンド交通 北上市口内地区 北上市から車で約15分の中山間地区 ・北上市人口 総計:93845人 ・口内町人口 総計:1883人 (平成20年4月) 通常であれば許可されないが、一般人が運転を することが認められる 先行事例を紹介しましょう 岩手県北上市口内地区 「NPO法人 くちない」の取り組み 口内の現状① 人口の減少 10年間で15%減 高齢化率上昇 10年間で10%増 このまま進行すれば 山村コミュニティの維持が困難に すでに起こっている課題 バス路線概況 北上駅~上野田線 1日6往復(平日) 北上駅からの距離 拠点:地区交流センター 9.9km 口内の現状② ≪事例1≫ 夫婦二人生活、運転免許証は夫が所有して いたが、その夫が入院することとなった。 夫の着替えを週1・2回持っていかなければな らないが、路線バスまでの距離が遠い。年金 生活でその都度タクシーを使う余裕はない。 親戚や近所の人に送迎してもらうことはある が毎回では気兼ねする。 放置山林 増加 放棄農地 増加 保育園 定員割れ 農協の 閉鎖 地域内で享受できる 社会サービスがさらなる縮小の恐れ 社会サービス低下による人口流出の加速 運転ができない高齢者世帯の生活の質の低下 口内の現状② ≪事例2≫ 交流センターで開催する教室・講座、講演会 に参加したいが距離が遠く、また、行く手段が ありません。 結果として、交流センターに近い住民より、遠 い住民は、生涯学習事業などに参加できる場 面が限られてきています。 目的 と 成果 交通システムから暮らしやすさを変える 社会サービスの 満足度の担保 地域全体で支えあう 新しい集落システム 地域に根ざした公共交通の構築 高齢者の 生活満足度向上 地域コミュニティの 活性化 人口の減少に歯止め・転入者の促進 さらなる展開 自然環境を活用した グループホーム 保育園と連携した 市街地からの預かり保育 輸送システムを活用 した産直ビジネス アクセス面の向上による グリーンツーリズム受入 実態調査① ★ボランティアドライバーの募集 ○募集 12名の応募(自治協からの要請も含む) ○実施までに 緊急時マニュアルの配布、内容確認のための会議 ドライバー講習会の実施(きたかみ自動車学校協力) 社会実験 2.社会実験の内容 ○住民説明 各区ごとおよび地域全体への説明会を実施(9~11月) ○住民への広報 市報配布にあわせて、口内町全戸へチラシの配布 ○実施期間 口内町内:10月27日(月)~11月7日(金) 市内通院:11月4日(火)~11月7日(金) ○予約方法 口内地区交流センターへ前日の15時までに電話 ★社会実験(平成20年10/27~11/7) 地区交流センターに前日15:00までに電話予約 社会実験 社会実験 ○利用者の声 ●現状 ・普段は、家族・近所に送られているが、時間が合わな かったり、毎回だと気兼ねする →住民による有償だと割り切ってお願いしやすい ・いつも歩いて行っているが、いつまで歩けるか・・・ →バス停まででも非常に助かる ・バスに乗って、降りたとしても、道路を渡るのが怖い →バスに乗れないので、通院にとても助かった ●利用意向 ・このサービスを有料でも利用したい(全員の意見) ・バス停まででもよいので、ぜひ実現してほしい ○ドライバーからのヒアリング ●よかったこと ・感謝されてよかった ・運転に対する不安などもなかった ・人生相談だなぁ… ●課題・問題 ・病院の待ち時間の対応 ・今後の継続性の問題(ドライバー確保、資金面) ・冬場の運転に関して (タクシーとの協働での実施の可能性も) →実績を積むことで、協力者・利用者とも増えてくる (2)乗り合いタクシー 自宅から目的地までを、あらかじめ登録済の会員の 予約により運行する 一回400円(福島県浪江町) 通院のための利用が半数以上を占める 地元商店街とのタイアップ等で効果が期待される とはいえ、なかなかうまくいっていない 予約運営システムの課題 利用者が限定されれば、むしろバス運行にすべき ★口内地区の有償運送成功のポイント 1.単独で事業の収支が黒字になることは 考えていない。他の事業との複合効果を 最初から想定している 『店っこくちない』 2.既存のバス路線の停留所と自宅との 運送を目的とすることで、バス業者との 連携もうまくいっている 過疎地有償運送→路線バスで通院 →路線バスで戻る→店っこくちないで買い物 →過疎地有償運送で帰宅 (3)コミュニティバス 地域公共交通の存続が困難な地域において、 市町村、地域住民、交通事業者の協力により 導入するバスシステム 地域公共交通会議 現在の需要を確保することを目的にするのでなく そこで始まる新たな価値を見出す ↓ 運行によって、新しいライフスタイルを提案する ★キララちゃんバス (茨城県土浦市) ・NPOが運営 ・商工会議所が連携 ・市がバックアップ 100円バスに乗って、街なかに出かける ↓ 当日乗車証明券をもらう ↓ 美容院に行って髪をセットして、証明券を渡す ↓ 地域通貨100キララをもらう(1000円以上) ↓ 帰りのバスで、100キララを使う バスに乗ってもらって、商店街も活性化させる ライフスタイルを変えることで、 バスに意味を持たせる! (4)デマンド交通 利用者の要求に対応して運行する形態のバス 迂回型バス:路線バスを迂回路線を経由して運行 利用者が通信手段(電話、ファックス、専用端末、 インターネットなど)により連絡をすると、バスに 情報が伝えられて、希望する停留所まで迂回 = オンデマンドバス エリア型バス:希望する場所へ迎えにいく 電話等による(複数の)利用者の希望するバス停 あるいは拠点施設に、必要な時刻に迎えに行く形 で運行する。乗り合い型で、どの利用者にも著しい 不便を与えることのない経路を選定する。 = フルデマンドバス 阪急バス 日本で初めてのデマンドバス(1972年~1997年) 大阪府能勢町(能勢デマンドバス) 京浜急行バス 鎌倉市山の上地区 1999年頃より 東急バス 東急コーチ 1975年12月24日~2001年 阪急バスに続いて三番目の導入事例、関東初 中村まちバス(四万十市) 2000年4月より試験運行、その後本格運行 弘南バス 黒石~温川線(平川市切明地区) 2001年12月~ 前日夜までに集落の世話役を通じて担当営業所 へ電話予約→切明経由で迂回運行 切明地区で降車する場合は乗務員に申告 ★本当に必要なバスの評価とは 黒字 環境・福祉・ 安心感・渋 滞改善など 支出 収入