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21 世紀に向けての生活排水処理技術の課題と展望

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21 世紀に向けての生活排水処理技術の課題と展望
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21世紀に向けての生活排水処理技術の課題と展望
井上, 雄三; 河村, 清史; 西村, 和之; 田中, 勝; 眞柄, 泰基
衛生工学シンポジウム論文集, 1: 250-257
1993-11-01
DOI
Doc URL
http://hdl.handle.net/2115/7460
Right
Type
bulletin
Additional
Information
File
Information
1-7-1_p250-257.pdf
Instructions for use
Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP
北海道大学衛生工学シンポジウム
1
9
9
3
.
1
1北海道大学学術交流会館
7- 1
21世 紀 に 向 け て の 生 活 排 水 処 理 技 術 の 課 題 と 展 望
井上雄三、荷村清史、西村和之、問中
異栴泰基(国立公衆衛生院)
勝
1. はじめに
下水道をはじめし尿処理・浄化槽が公共水域の水質保全に果たしている役割は櫨めて大きい。
しかし、これらを合わせた生活排水処理の普及率では、 56%に遺しているに退ぎない(1998年
末で下水道普及率の約 40%とし尿処理および浄化槽の処理率を加えた値) 1)。その結果、わが臨
の公共水域の水質は、ここ数年にわたってそれほど改善が見られない。それどころか都市近郊
の中小河川、内海内湾、湖沼などの水質はむしろ悪化の傾向を恭している 2) 。また、生活排水
0
"
'
7
7
%
3
)を占めている水域も少なくない。生活排水の大部分は、下水道未
が全汚溝負荷量の 5
整備端域や合併処理浄化槽未設置地域において未処理で流される生活雑排水(し尿以外の排
水)である。生活水準の向上と生活様式の変化は、排出汚濁負荷量と排水量の増加を招くとと
もに、生活排水処理整備地域の増加率の遅れから現段階でも BOD汚濁が主要な水嚢悪化の原
閣となっている。一方、 BOD汚濁が改善されてきている地域においては、水域の富栄養化が
水道水源、親水域あるいは水産資糠水域に対して多くの社会的損失をっくり出している。その
結果、新たな高度浄水処理技術の開発を刺激し、雑用水道あるい処理水による親水公園整備な
どの新しい水利用システムを作り出す結果となった。
このような状況の中、厳しくなる放流水質基準と相まって施設の信頼性が高く、維持管理が
し易い等、技術およびコストパフォーマンスの高いものが要求されるようになり、これらが推
進力となって生活排水処理技術は著しく前進した。本報告では生活排水処理技術の進歩と現状
を概説し、併せて 2
1世紀に向けての課題と展望を述べる。ここでは特に、昭和 6
1年度より
ヒューマンサイエンス基礎研究事業官民共間プロジェクトとして研究が進められた、 「微生物
利用による存審物質の分離技術等の開発 J4,5
)からし探処理における膜利用技術研究班の第 2期
研究・開発結果を基に、し尿処理技術開発から引き出された成果を紹介し、生活排水処理技術
の課題と展望を述べることにする。
2. 生活排水処理施設の普及の背景と処理方式
生活排水処理施設事業に関する現行制度
は、表 1のようにまとめられる。ここでは、
輸送システム(し尿あるいは生活雑排水を
居住空間から排除し、処理施設に運ぶ)を
持っているか、あるいは藍結しているかに
よって、個別処施設地域と集合処理施設と
に大別した。下水道は建設省、浄化槽、コミ
ニティフ。ラント、雑排水処理施設、 し尿処理施設
は淳生省、農業集落排水は農林水産省が所
管の範屈で事業を推進しおり、それぞれ独
自の役割を果たしている。鴎 1は生活排水
処理に関する普及率の推移を恭したもので
)。下水道と浄化槽の普及率がほぼ同
ある 6
率で延びており、浄化措が我国の水洗化に
大きな寄与をしていることを示している。
平成 2年疫においては水洗トイレ普及率は
6
5
.
9
弘で、その内訳は下水道:38.7話、沖化
8
.
槽 :27.2覧である(し尿の衛生処理率:9
5
弘)。これは、 1
9
6
0
年代半ばになって生活
水準の向上に伴い、都市を中心に快適な生
表 1 生活排水処理施設事業の種類
名
偲
}
j
j
l
称
実施対象/区域
し尿鞠虫浄化槽 し尿単独
焼
模
5人以上
処
耳
霊
施
設
(し尿+生活雑排水)/伎
合併処理浄化槽 居敷地内
5
1人以上では法制化
地
流域下水道
域
集
"
公共下水道
下水(し尿+生活雑排水
第一穏:1
0万人以上
+工場排水)/複数市町
第二種:3-10
万人
村区域
下水(し尿+生活雑排水
+ヱ場排水)/都市区域
コ
ミ
ニ
テ
ィ7
.ラント線設 (し尿+生活雑排水)/地 1
0
1人以上
域単位
メ
ロ
k
処
理
施
設
(し尿÷生活雑排水)/主
特別環境保全公
婆差是山村、自然公閤区 l 千 ~1 万人
共下水道
域内水域周辺
農 業 集 落 排 水 処 (し尿+生活雑排水)/幾 1
千人稜皮
業集落
君主施設
し尿処理施設
し尿単独/水洗トイレ
未整備地区
雑排水処理施設 生活雑排水単独/合併 1
0
0人以上
処理古仮設未援備地区
-250-
表
2 生活排水処理技術の変遷
排水の名称
生活排水
-1945
対象排水
し尿
し尿
生活雑排水
し尿
生活雑排水
施設名称
し深処理施設
し濠単独浄化槽
雑排水単独処理
合併処濠浄化槽
M
3
3汚物掃除法
T
lO水穏便所取締規民日 改良便所
大正便所、
水槽使所
汚物処遜槽
S
2
5建築基準法:浄化
槽の構造基準
基本型,特殊型
N切]{
急速な工業化と公害
1
9
6
0年代 の激発、公共用水域
の汚濁激化
務掃法
1
1
3浄化槽構造基準
1
9
7
0
年代 水質汚濁防止法
流域下水道
下水道法に公共用水
域の保全
COD
総蚤規制
0
N
,P
総量規制
湖沼法 :
水
し民工場排水
生活雑排水
下水処理場
9
2
)
標準散水ろ床法(19
散気式活性汚泥法
標
法準 活 性 汚 泥 法 の 各 種 変 i
各種好気性消化法
焼却処理法
?毘式酸化法
全酸化法等生物処理各種
変法
{居希釈ニ段活性汚泥法
(標準脱変索泥法)
高度処理法
腐敗タン夕方式
童文水ろ沫,平面曝気
単純爆気
長時間曝気方式
分離/非分離曝気
長時間諜気
標準活性汚泥法
接触曝気
散水ろ床
長時間帯義気
循環水路曝気
標準活性汚泥法
長特潤時毒気
長時間曝気
接触爆気
標準活性汚泥法
標準活性汚泥法 接触曝気
料シテ.ーシz
ンヂィチ
生物脱窒索機構の解明
硝化促進活性汚泥法の実
用化
標準活性汚泥法
低希釈二段活性汚泥法
J
凝集荷j
添加活性汚泥法
高度処理法の採用
浄 化 槽 法 ( 新 構 造 基 膜分離高負荷脱窒素法
1
9
8
0年代 主務)
高度処理法
分離母語気
分臨機蝕曝気
散水ろ床
1
9
9
0
年代 新廃掃法
長時間曝気
接触曝気
土漆浄化法
簡易沈殿方式
接触曝気
接触媒気
長時間曝気
長時間曝気
標準活性汚泥法
標準活性汚泥法
回転板接触法
回転板接触法
E
見愛奈プロセス, n
見土壌浄化法
Pン毒事の高度処理プ
ロセス
標準活性汚泥法
長特照爆気
1
キシデーシ2ンヂイ 9
7
接触曝気
回転板接触法
0
覧
N, Pの i
珠玉径はそ BO
D20-60mg/L B 0 D ;2
0
3
0B 0 D
B 0 D ,N , P 1
0,BOD除去率8
/
L,
怒g
/
L
1
0, 1 時 /
L程 度 の 処 N, Pの除去は期待でき れ ほ ど 期 待 で き な N, P除去のできる 怒 g
理気技術に到達
」 一
し尿
し尿
生活雑排水
生活雑排水
農業集港排水処 コ
ミ
ニ
テ
.
f
7ラント処理
理施設
嫌気性消化法
(散水ろ床法,活性汚泥法)
化学処理
1
9
5
0年代
除去機能
下
性竺一
、
b
施設
標準活性汚泥法
脱蜜索活性汚泥法
{循環脱委棄法)
高度処理プロセスの採用
2
0
3
0BOD:2
0昭 /
L以下
窒索、ヲン徐去の試み
1
2
1
活環境を求めて高まった水洗トイレの要望、
が、下水道の普及率の増加を大幅に上回っ子
8
0
たところに安価な F
RP
製浄化槽が開発された盗 A T
R
ために起こったものである 7
)。
ぎ5 お
しかし、初期のし尿沖化槽は構造上あるいさ盤 4
0
は維持管理上浄化機能が定格通りに発揮さ同蜘語
れないものも見受けられ、技術的ζ
lも 制 度 量
l
y
上も多くの見直しが必要とされた。これが、副
6
9 7
17
37
57
77
98
18
3 8587 8
9
合併処理浄化槽の法制度化8)につながったが、
年度
1990年でも合併沖化槽普及率は浄化槽の中
閣 1 処理人口および水洗化率の経年変化
の6
.開に過ぎない9
)。
M
3. 生活排水処理技術の変遷とその要因
表 2に各処理擁設のプロセス開発あるいは導入の推移とその要因を示す。表は基本的には、
次の 4期に分けて示されている。即ち、 (
1
)戦前 (
1
9
4
5
)
1
9
5
0
年代半ば:衛生学的安全の確保、
(
2
)1950
年代半ば1
9
6
0
年代:浄化槽、し尿処理、下水道によるし尿の衛生処理の確保、水洗化
および公共水域の有機汚濁の前減、 (
3
)1970
年代:水洗化率の拡大および公共水域の有機汚濁の
削減、 (
4
)1980
年代 現在:閉鎖水域におけるリン、窒素および有機汚濁の削減、水洗化率の一
層の拡大の 4期である。これらは、 1、 2期における消化器系伝染病の消長 10)、 3識における
閉鎖水域、中小都市罵辺の小河川の汚濁、 4期における隣鎖水域における富栄養化、河川水の
繰り返し利用システムにおける難分解性存機物質と TOX問題に対応している。したがって、
生活排水処理の観点からは 2期がし尿の衛生処理、 3期が B O D除去プロセス、 4期が N,P
除去およひ。難分解性有機物質の i
除去プロ汀セス問題として捉えることができる。以上の処理技術
と処理性能をまとめると、表 2最下段のようになる。
4. 膜分離を用いたし尿処理技術
(1)し尿処理技術の推移
いままで生活排水処理技術の変遷に関して概要を述べてきたが、ここで公衆衛生院と民間お
よび大学で 1996以来共同研究を行っている fし尿処理における膜利用技術j に関する研究成果
(
第 2期分) 4,5,6
)を基に、し尿処理技術の推移について考察する。なお、第 1期分については
巽柄によって詳細な報告 11,12)がなされている。
し尿処理者上述の底分で分けると、 1期:衛生処理とは異なるが農地還元や梅洋処分による
都市からの速やかな排除(衛生環境の確
保)、 2期:日本独自のし尿処理システ
4000
ムの構築と嫌気性消化法、好気性消化法、
化学処理法などの i次処理と散水ろ床や
3500
活性汚泥法等の 2次処理による B O D除
3000
去と寄生虫とその卵、病原性微生物の死
下¥
:
s
22500
滅化、 3期:好気性沼化法の発展等によ
る効率的な一次処理と悪臭などの 2次公
錨 2000
害の防止、 4期:生物学的脱窓素処理法
襲 1500
(標準脱窒素法および高負荷脱窒素処理
時 1000
法)の開発と高度処理法による窓素、リ
500
ンおよび色度等難分解性有機物の除去、
:
a
沈殿池を持たない膜分離法の実用化、と
なる
4期になり、し尿処理技術(有機物と
窒棄の同時除去一高負荷処理ー低希釈処理
O
86
0
87
醐膜分離高負荷
高負荷脱憲索
一高度処理)が膜分離技術の導入によっ
てほぼ完成し、最も進んだ生活排水処
図2
88
89
90
9
1
92
年度璽標準脱議索
脳選その他
し尿処理施設事業規模の推移
nL
qh
理技術として評価されている 13,14)。膜分離プロセスの導入は、従来沈澱油の管理上越流水面を
観察する必要があったものが、全くその必要性がなくなり、ここにし尿処理施設は密閉型にす
ることができた。また、液体側からは摸を透通できないサイズの粒子は余剰汚泥として引き抜
く以外には全く隅離された施設にすることが可能となった。このことは衛生学上極めて重要な
展開といえる。
(2) 膜分離し尿処理施設の運転特性と処理性能
し尿処理に膜分離が実用
表 3 膜分離プロセスの操作条件
化されたのは 1986年であり、
メ}カ} 微生物濃
シeユ
日j
レ 操作圧カ 膜否流速 F
分商 モ
l
u
x(
m
/ 洗I
争回数
既に 7年が経過しようとして
度 (
g
/
L
) 分子量
(
k
P
a
)
隠
(/
5
)
d
)
(@]/月)
名
形状
いる。この間、図 2に示した
A
20
2
.
5
0
.
5
T
2
4
5
1
.3
*
ように膜分離高負梼方式は着
す
B
1
2
1
.5
1
殴/
3ヶ
.
F
J
2
.
0
2
0,
0
0
0
1
9
6
実に事業件数を延ばしており、
0
0
.
5
1
5
2
0 2
2
4
52
9
4 2
.
0
2
.
3
C
1
.2
0,
0
0
0
T
1
9
9
2
年度末における総事業件
2
.
0
D
1
5
1
.0
2
.
5
2
9
4
5件
、 2,
573kL/dに及ん
数は 4
* ?
T
0
.
5
E
1
5
2
0,
0
0
0
3
8
2
2.9
1
.2
でいる。このような伸びを示
F
1
5
T
1
.2
0
.
5
3
.
1
2
0,
0
0
0
1
7
6
すのは、上述の理由によるも
1
7
2
1
.
5
G
3
6
5
4
0
2 2.0-2.7 1
.2
7
-1
.4
3
2
.
0
0
0
0
T
2
0,
のである ことは疑い。
1
7
2
4
2
4
53
3
3 1
1
7
.
5
F
.9
2
.4 1
.0
:
2
.3
そこで、ここでは稼働中の膜
*
日
1
5
F
1
9
6
2.0
2
.
1
l
図/
6ヶ月
分離し尿処理施設の運転実績
*
を示し、本方式の特徴を述べ*:分額分子盤が不明 T:チユ}プラi1l'l, F:平板型
同
十
“
l
同
る。表 3は膜分離プロセスの操作条件を表 4は除去性能をまとめたものである。使用されてい
0,
0
0
0程
る限外ろ過膜は、チューブ型が多いが、最近は平膜型も使われている。分間分子量は 2
度であるが、もっと大きな限外限外ろ過膜が使われはじめている。運転条件は恐らく投入し尿
の質(浄化槽汚泥の混入割合)、希釈倍率
表 4 膜分離高負荷し尿施設の処理性能
によって異なるものと患われるが、 2倍
程度の縮で瀧っている。しかし、ブラッ
上天草
潟町
伊東市
峡南
絡設名
クスや洗浄回数の違いが操作条件による
7
.
6
pH
8
.1
7
.
2
6
.
3
ものであるかどうかは、もう少し運転実
BOD(
m
g
/
L
) 5,500 6,600 4,700 4,700
績件数が増えた上で調査をして見なけれ
COD(
m
g
/
L
) 2,200 3,680 3,307 5,300
m
g
/
L
) 3,
,
700
徐軽量し尿 88 (
980 8,
3
9
0 8,
3
4
5 6
ば判断できない。現段階ではこれらの違 i
T-N(mg/L) 2,
370 2
,
300
6
8
3 2
,
5
0
0
いは、維持管理費用や運転管理の容易さ
T~ P(
m
g
/
L
)
2
2
0
2
1
6
5
6
等には若干の違いがでてくるものと思わ
(g
/
L
)
,
900
C1 翻
1
,
5
6
0
2
5
9 1
7
.
1
pH
7
.
3
6
.
6
7
.
2
れる。水質的な違いは、投入し尿の質の
BOD(mg/L)
7
.
2
2
.
6
1
3
.
7
1
<
違いによるもので、伊東市クリーンセン
COD(g
/
L
)
5
3
.
8
3
3
0
1
2
4
2
2
6
ターのようにほとんど浄化槽持泥のもの 生物処理水 88 (
悶
宮/
L
)
N
D
1
0
.1
2
<
1
<
T-N(
佃g
/
L
)
5
.
1
2
9
2
1
4
7
もある。浄化槽汚混の多少は生物処理水
T-P(
m
g
/
L
)
7
3
90
1
3
.
3
の C O Dに影響を与えるが、希釈倍率の
m
g
/
L
)
1
,
440
,
400
3
2
9 1
Cl (
違いも影響する。膜分離プロセスとその
pH
6
.
3
5
.
7
6
.
8
4
.
6
BOD(
悶g
/
L
)
4
.7
1
<
1
<
他の汚泥分離プロセスとの大きな違いは、
COD(mg/L)
6
7
6
2
1
1
2
1
8
.
4
s濃度である。膜分離し尿処 凝集処理水 88 羽(g/L) 1< ND ND 2<
処理水の s
理施設の場合、凝集プロセスの後にも分
T-N(mg/L)
1
2
3
7
1
3
T-P
(
m
g
/
L
)
0
.
5
0
.
6
0
.
4
0
.
1
<
離膜が利用されているのが一般的である。
m
g
/
L
)
2
,
580
,000
3
1
1 2
C1 (
(3) 外ろ過膜の物質阻止性
雑賭水道の利用や排水処理水を利用した親水公園磐の整備は、従来以上に水系感染性微生物
による健藤リスクに対する関心を高めている 15)。膜分離技術の排水処理への応用は途についた
ばかりであるが、上述のように膜ろ過はその機能として膜盟サイズ以上の粒径物質の透過阻止
がある。歯 3はワイノレス代替微生物のファージを用いた眼外ろ過膜の組止特性を示したもので
ある。これから得られる結論は、(1)限外ろ過膜のファージ阻止性は、サイズ数十ナノメータの
c
ol
ip
h
a
g
e T1と Q
sでは、膜の排i
徐分子量が数十万程度であれば、完全である。 (
2
)排除分
子量がそれ以上であつでもケーキ層を形成すればほぽ完全に阻止可能である(図はろ過条件①摸
隠
qL
wb
lm 門叫
伽{丁吋
¥F
に戸山
l
-
一¥斗
1
0
0
.
0
0
0
9
9
.
9
9
8
8
koa
yay
。
調9
e
g
得
a
w
J
合
フ
aツawJ
絡
aフ ぬ 歩
gs-鮒吋圏@戸隠盟申凪
言
F
9
9
.
9
9
8
一¥町一ト山間
門
⋮
1
0
0
.
0
0
0
"
8 99.992 ト 開trationme伽
9
9
.
9
9
2
9
9
.
9
9
0
9
9
.
9
9
0
1
0?
1
06
dl
1
0?
1
06
ω
}
徐除分子最 (
主審除分子量(四)
図 3 限外ろ過膜の排除分子量と c
o
l
iphageおよび
Qs阻止率との関係 15,16)
ろ過(ファージ懸濁液のみ)、②混合ろ過(フア}ジ滋合活性持斑)、③ケ}キ層ろ過(活性汚斑液
1
8
)ことが知られ
をろ過後、ファ…ジ懸濁液をろ過))。一方、活性汚泥はワイルスを吸着する 17,
ており、闇液分離と適切な汚泥処理が生活排水処理水の感染性ウイルスに関する健康リスクの
低減化に寄与していることは確かであろう。しかし、西村は健康リスク(発病率)をゆ5
程度にと
ると、生活排水の十分な浄化と懸濁物質の十分な除去およびその後に十分な塩素殺菌が必要と
なるとしている 16)。限外ろ過膜を導入することによる健康リスクの低減化が極めて大きいこと
が納得できるであろう。
1
0
0
5
.,課題と展望
8
0
(1)小型合併処理浄化槽の処理性能の向上
官頭に述べたように生活排水の処理人霊 6
0
口普及率は、 1988段階で 56%に過ぎない。員
現殺でも恐らく 60%を 少 し 越 え た 程 度 で 首 相
あろう。残りは、未処理のまま生活環境, i "
^
小河川に流されている。図 4は1991年 度 硝
o
末における人口別下水道普及率を吊した
5030105-10
ものである 19)。人口 1
0
0万人以上の大都市
5く
100~
50
30
100
以外の普及率は 60%未満で、人口 5万未
人口線模{万人}
満の地方市町村は 10%に満たない状態で
図 4 人口規模別下水道普及率
ある(ただし、これは B O Dベ}スの数値
で、憲素やリンとなるとこの数値の半分程度であろう)。このうち人口 5万人未満の規模別人口
は、表 4のようになる。人口 8千"
"
'
2万人が一番多く、 3
8
.
.
7
拡を占めて川る o このことは、今後
整備される生活排水処理事業がほとんど小規模施設、特に合併処理浄化槽の規模になることを
恭している。表 3 に示したように小競模施設の場合、 BOD 除去率は 70~90見程度であるが、窓
索、リンの除去率は単独処理浄化槽:, 1
2,2
5
弘,合併処理時化槽:2
7,
3
7
弘と現状では除去率が機
めて低く 20)、何らかの技締的対策が必要となる。技術的には表 3に示すような窓素よリンの除
去技術が開発されているので、既設浄化槽においても何らかの改良技術の検討が必要となろう。
特に議素に関しではリ
ン除去に比べて経済的
表 5 5万人未満の市町村の人口規模別割合
にも十分可能であり、
多くの生物脱窒素プロ
セスが開発されており、
条件に応じて選択でき
2
2
)等新しいプロ
るであろう。しかし、循環法では議素除去率に上限が生じ、今後持気性脱蜜21,
セス開発が必要となる。また、完全混合反応槽の場合ではあるが、硝化・脱窒素反応のコント
ロール技術としてファジ…制御等の制御方法23)も生活排水処理技術に応用され、より 信頼のお
f
254-
ける脱蜜素処理技術の発展が望まれている。一方、水域によっては難分解性有機物の除去のた
めに高度処理擁設の導入が必要なところもある。
(
2
)衛生学的に安全な処理水
ウイルス性疾病のりスク抵減化
我国における水利用の増加は、一過型の水利用システムからカスケード型利用システムへの
変化を余儀なくしできたが、雑用水道、 親水公掴への利用等新たな水利用システムが導入され
てきている。
比較的大きな規模の生活排水処理施設からの処理水は、生活環境から比較的離れた地域外に
放流されることになるが、小規模施設からの処理水は、小南)1等の生活圏内に放流されるケー
スが多くなる。現在、生活圏内小問)1は未処理あるいは不十分な処理のまま放流されているた
めに、汚濁が激しくレクレーションエリアとしての機能を失った状態となっている。しかし、
現在の生活排水の処理状況が改善され、都市小河川がかつてのレクレーションエリアとしでの
機能を再び取り戻すことを地域住誌は切望しているし、これこそ真の意味での親水環境といえ
る
。 21世紀には生活空間をこのような潤いのある環境にすることが重要である。
このような状況になると、地域住民は生活小河川の流水との接触の機会が飛擢的に増え、告
常的になってくるものと思われる。
以上のような状況は、先に述べたように従来以上に水系感染性微生物による健康リスクにた
いする配麗が必要になってくるであろう。
表 6および表 7はそれぞれ下水道系および浄化槽放流水に見いだされた腸管系ワイノレスであ
1
表 6 下水道系における腸管系ワイルス 24)
ウイノレス濃度
国
下
名
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水
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表 7 浄化槽放流水の腸管系ワイノレス 24)
国 名
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ウイルス濃度
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る24)。下水中には腸管系ワイノレスが高濃度に存症しており、ワイルス系疾病が起こる危険性が
高い。この腸管系ワイルスは活性汚泥処理プロセスによってかなりの部分が活性汚泥に吸着さ
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れ、ウイノレス感染倍が低減されることが報告されている 18)が
、 それでも 103偲オーダで生存し
3
ている。驚くべきことには壌棄殺菌処理を経ても 10倒の太一ダで生存している。 j
争化槽放流水
6
においては 10個のオーダの僚が報告されている。このように感染価を持った腸管系ワイルスが
殺菌処理を行っても放流水中に存在することは、上述の健康リスクを増加させるものであり、
何らかの技術的対策が必要になる。線外ろ過膜の生活排水への導入は、ウイルスの処理水への
移行組止という局面からも、特に殺菌処理プロセスの信頼性に開題の残る合併処理浄化摺など
小規模施設や家庭向け合併持化槽に対して必要となってくるであろう。
(
3
)膜分離高度処理法の開発
隈外ろ過膜を生物処理法に導入することによ Jって、生物の脱窒素能力を大きく増大させるこ
とが可能となり、さらにはむ O D,リンを高度に削減できる処理装置が可能となったが、現段
階では浄化槽に用いるには、コストなどいくつかの間題点を克服しなければならない。表 8に
膜分離生物処理法の特徴を示す。長所のいくつかは従来!の生物処理法の欠点を完全に克服でき
るものである。既に合併処理滞化槽の実施設に対して膜分離プロセスが導入され、実績を挙げ
つつある 2
5
)。これらの施設では高度処理設備を付けずに B O D, C O D, T-N.: 10 mg/L 以
下の処理水質が得られることが報告されている。
表 8 膜分離生物処理法の特徴
長
所
短
所
短所に対する対策
-微生物の高濃度保持 (
2
0
3
0
g
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)
→蕗動洗浄技術,汚れ、お
-操作性が煩雑
-反応槽のコンパクト化
2怒程度の膜面流 i
車
詰まりに強い旗開発
(完全混合裂反応槽による制御性の拡大)
維持、膜洗浄
-パノレキング、ブリー固液分離
→省エネ膜園流速維持技術
-維持管理費が割高
.SRT制御性拡大
麟宙流速維持のた
の開発,
-脱窒素反応のためのひ O制御性の拡大
低毘ろ通技術の開発
めの動力費、洗浄
薬品代
-汚泥発生量の減少
-撰集剤添加によるリン除去
-膜接震が高価
→市場開発により低コスト
-ウイノレス等健康リスクの削減
己
イ
-遺伝子操作微生物の利用
6. おわりに
生活排水の処理技術に関して、歴史的に技術の推移を見た。その中で浄化槽およびし尿処理
の果たしてきた役割を考察した。また、し尿処理技術の発展で、特に近年の膜分離高負荷脱窒
棄処理技術について、その機能、特徴を考察した。その結果、膜分離プロセスが 21世紀にお
ける生活排水処理技術として、特に浄化槽等の小規模処理技術として大きな展望を持っている
ことを示した。
髪室主盤
1)中西:生活排水処理の課題と展望、都市清婦, 43,N
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.1
7
4
,
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p
.21-26(
19
8
9
)
2
) 度環境自書(平成 3年度)
3
) 榔下:水質環境保全とじての富栄養化妨止と蜜著者・リン規制、資源環境対策
(
1
9
9
3
)
29,No.8,p
p
.718-727
4
) 民柄:微生物利用による有害物質の除去時術等の開発、ヒューマンサイエンス基礎研究事業官民共掲
プロジェクト研究報告、第 1分野,平成元年度, pp.414-426(1990)
5
) 民柄:微生物利用による有害物質の除去時術等の開発、ヒユ}マンサイエンス基礎研究事業官民共同
プロジェクト研究報告、第 1分野,平成 2年度, pp.448-463(1991)
6
) 翼柄:微生物利用による有害物質の除去時術等の開発、ヒュ}マンサイエンス基礎研究事業官民共同
p
.404-419(
19
9
2
)
プロジェクト研究報告、第 1分野,平成 3年度, p
7
) 武藤:浄化槽の課題と展望、都市清掃, 40,N
o
.1
5
6,p
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.1
9
2
5(
1
9
8
7
)
8
) 松本:浄化槽及びし尿処理施設における高度処理の現状と今後、水環境学会誌, 81,No.8, pp.545549(
1
9
9
3
)
9
)石渡:生活排水対策としての合併処理浄化槽の普及、都市清掃, 41
.
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6
6,p
p
:441~447 (
1
9
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)
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)異柄:し成・排水処理における新技術、都市清掃, 40,No.156,p
p
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2
6
3
4
(
1
9
8
7
)
1
1
)翼柄、田中、伊藤:膜分離技術を利用したし尿処理鋳の課題と展望、京都大学環境衛生工学研究会第 l
1
田シンポジウム講演論文集, p
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)桜井:し尿処理技術の現状と今後の動向、都市清掃, 4
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)
0,No.157,p
p
.
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)
1
4
)辻:最近の水処理技術の動向について、都市清掃, 4
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p
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.
1
5
)金子:下水処理水活用の衛生学的課題一主としてウイルスの側面より一、下水道協会誌, 2
4
5
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3(
1
9
8
7
)
1
6
)西村、河村、針生、翼柄:活性汚縄共脊下における大腸菌ファージの限外ろ温による阻止性,第27問
日本水環境学会年金講演集、 p
p
.2
3
0
2
3
1(
19
9
3
)
1
7
)西村、河村、民柄:活性汚泥懸調液の線外ろ過におけるファージ阻止性、水環境学会誌投稿
1
8
)丘依枢:ウイルスと水処理 (V),水質汚濁研究, 4
(
3
),p
p
.
1
7
5
1
8
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(
1
9
8
1
)
1
9
)金台東、本問、白神、矢野、海野:活性汚斑混合液中のウイルス感染価の低減について,水環境学会
誌
, 1
6
(
5
),
p
p
.3
3
9
3
4
5(
1
9
9
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)
2
0
)中小市町村の下水道普及にあたっての技術課題(その1) I
麗談会,月刊下水道, 1
6(
6
),
p
.5
2(
19
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)来官:好気性脱蜜菌の検索と反応器の開発、 H 5年 度 膜 処 理 研 究 計 画 第 3斑 研 究 会 議 資 料 (
93.9)
2
3
)青井、岡庭、萩原、先村:高負帯単一槽硝化脱蜜法へのファジィ制御の適用, 28th
衛生工学研究討論
p
.
1
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1
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2
)
会論文集, p
2
4
)金子訳:上下水のウイルスと消毒、関際シンポジウム講演集、7.k中微生物研究会 (
1
9
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3
)
2
9,
2
5
)清水、山田、和泉、師:膜分離を組み込んだ高濃度活性汚泥法による高度処理、資源環境対策
No.8,p
p
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7
5
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