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平成27年度 研究紀要(pdf)

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平成27年度 研究紀要(pdf)
平成27年度
研 究 紀 要
研
究
主
題
主体的に学び、確かな学力を
身に付ける生徒の育成
~「つなげ・広げ・深める」協同的な学習を通して~
渋 川 市 立 子 持 中 学 校
は
じ
め
に
校内研修で協同的な学習を取り上げて、全職員で取り組むようになってから2年が経ちました。
4人グループで学習している生徒の側に寄り添って、彼らの表情や話し合いの内容等を授業中ず
うっと聞き続ける取り組み、本校では「学習を見る会」と呼びますが、これを先生方も2年間、
続けています。恥ずかしい話ですが、拙生は今年、ようやく子どもが学んでいる様子を見取れる
ようになりました。子どもの目が輝いているとき、曇っているとき、喜びにあふれているとき、
表情とともに学びを深めている様子はとても新鮮です。グループで各々の考えを話し合い、友の
考えを参考に自分の考えを広げ、深めている場面になると、不安そうな表情をしたり、にこやか
な表情になったり生徒が生き生きと学習している様子を見取れるようになってきました。そんな
生徒と一緒にいると、自分も一緒に学びを深めているような感覚になって、とても新鮮な気分で、
学習を見る会に参加するのが楽しみになりました。
一方、今年は他校の公開授業研究会にもたくさん参加させていただきました。教室に30名位の
先生が参観している研究授業で5名の生徒が居眠りをした授業。講堂で100名以上の先生が見守
る中、汗をかきながら必死に授業を進めている先生をよそ目に、ちゃっかり居眠りをする生徒も
見つけました。また、生徒がつまらなそうに指でペン回しをしている授業も拝見しました。先生
が一生懸命に教えているのに、なぜ居眠りやペン回しをしてしまうのでしょうか。
本校では、公開授業後に行う授業研究会のことを「学習を語る会」と呼んでいます。放課後、
学習を見る会に参加した先生方、主に同学年と管理職の先生方が集まり、生徒がどんな話し合い
をして、どのように学びをつなげ、広げ、深めていたのか、について協議します。授業者は、先
生方の話を聞きながら本時の授業を振り返り、生徒の反応を基に、自分の教材解釈や指導の在り
方、授業の展開、教材・教具の活用等について省察しています。自分で自分の授業を振り返り考
察する力がないと、先生方の見取った生徒の姿も授業者にはプラスになりません。というか、授
業者自身の力量に応じて解釈を深め、自己の指導力の向上が図れている様子が、拙生の目からは
とても微笑ましくも頼もしくも感じています。
これらの取組を一人一授業以上を公開して、全職員で取り組んでいます。その成果として、本
年度、本校の生徒は、まず部活動で好成績を上げました。サッカー部の全国大会出場をはじめ、
野球部・ソフトテニス部・柔道部等の団体競技で県ベスト8、ここぞというときに自分たちの気
持ちを合わせて学んだ知識や技能を発揮できました。また、生徒会活動も活発になり、子持中ネ
ット使用のルールやあいさつ運動などを自分たちで策定して、自治的な活動に進んで取り組むよ
うになりました。当たり前のように、毎授業では、本時のめあてをもち、グループで知恵を出し
合い、ふり返りをする授業を積み上げてきた成果が現在の生徒の姿であって、主体的に学び、確
かな学力を身に付けた子持中の生徒です。まだまだ課題は山積みのようにありますが、全職員で
力を合わせて一つ一つ課題を解決していこうと思います。
本紀要は、教師の指導に目を向けた研究ではなく、生徒の学習に目を向けた一人一授業の実践
をまとめたものです。稚拙な部分は多々ありますが、学習の主体者である生徒の学びに視点を当
てています。本紀要をご覧いただき、忌憚のないご意見やご感想をいただければ幸いです。
末筆ではございますが、ご指導ご助言をいただいた群馬大学教育学部准教授
濵田秀行先生を
はじめ、渋川市教育委員会指導主事や関係各機関のみなさまには心より感謝を申し上げるととも
に、今後とも変わらぬご指導ご鞭撻をお願いいたします。
校
長
上原
志之夫
目
次
◎はじめに
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
1
研究主題及び主題設定の理由
2
研究のねらい
3
研究の内容
(1) 目指す生徒像 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(2) 協同的な学習について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(3) 「つなげ・広げ・深める」ことについて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(4) 研究構想図 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(5) 学習を見る会 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(6) 学習を語る会 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
2
2
3
3
5
4
研究組織
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
5
5
研究経過
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
6
実践の概要
(1) 第1学年
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(2)
第2学年
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
(3)
第3学年
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35
6
7
7
生徒へのアンケート・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
50
8
まとめ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
51
◎おわりに
研究主題
主体的に学び、確かな学力を身に付ける生徒の育成
~「つなげ・広げ・深める」協同的な学習を通して~
1
主題設定の理由
文部科学省より示された学習指導要領では、「『生きる力』という理念のもと、基礎
的な知識・技能を習得し、それらを活用して、自ら考え、判断し、表現することにより、
様々な問題に積極的に対応し、解決する力を育成する」ことが示されている。また、群
馬県学校教育の指針の中には、「たくましく生きる力をはぐくむ~自ら学び、自ら考え
る力を~」とし、知識・技能を活用する力を伸ばす授業の充実が示されている。さらに
渋川市では、「考えを広げたり深めたりする子どもの育成」とし、交流活動の推進が示
されている。これらを受けて本校では、昨年度『自ら学ぶ意欲を持ち、確かな学力を身
に付ける生徒の育成』を主題として校内研修を進めてきた。
昨年度の成果としては、協同的な学習を取り入れることにより、「何度も理解できる
まで聞ける雰囲気が作れた。」「多様な考えが出やすくなり、グループの友達の意見を
聞くことで自分の中に取り入れながら考えたり、理解したりすることができた。」「授
業を語る会で出された生徒の様子を聞くことによって、生徒がどのような活動をしてい
るか細かく把握でき、生徒理解や授業改善の参考になった。」などが挙げられた。
昨年度の課題としては、「グループ同士をつなげたり、学級全体に広めたり、深めた
りするには、どのような手だてが必要か。」「なかなか活動や話し合いに参加できない
生徒への働きかけや考えが広がらなかったり、深まらなかったりしているグループへの
支援が必要である。」「協同的な学習を取り入れるにあたり、どのような課題を設定す
れば、生徒がより主体的に活動できるか。」などが挙げられた。
これらの成果や課題を受けて、本年度は、「めあてを持って、自ら学習活動に取り組
む生徒」を主体的に学ぶ姿とし、「人の話や発言をよく聞くとともに自分の考えや疑問
を言葉で表現して学び合える生徒」「学んだ知識や技能を活用できる生徒」を「確かな
学力を身に付ける姿」として、本年度の主題を『主体的に学び、確かな学力を身に付け
る生徒の育成』とした。また、協同的な学習を取り入れる中で、生徒・教材・教師がそ
れぞれつながり、他と学びをつなげることによって考えや知識などを広げ、自分の考え
を深めることで、言語活動を活発にし、生徒が主体的に学習に取り組むであろうという
視点により、副主題を~「つなげ・広げ・深める」協同的な学習を通して~とした。
2
研究のねらい
生徒がお互い考えをつなげ、広げ、深めるように協同的な学習を取り入れることで、
主体的に学び、確かな学力を身に付ける生徒を育成する。
-1-
3
研究の内容
(1)目指す生徒像
○主体的に学ぶ生徒:
「目的意識を持ち、学んだ知識や技能を活かして、自ら学習に取り組む生徒」
○確かな学力を身に付けた生徒:
「学んだ知識や技能を活用して自分で課題を見つけることや、仲間と協力してより
よく問題解決する資質や能力を身に付けた生徒」
(2)協同的な学習について
本研究で取り上げた「協同的な学習」は、少人数グループ(男女混合4人班を基本と
する)で取り組む集団学習である。相互において、「対等性と平等性」が生まれやすい
人数であるという観点から4人グループを基本としている。人数の多いグループや集団
ではリーダーとフォロアーが生まれやすく、いい影響も与えることもあるが、やがて役
割が固定してしまうこともある。上下関係を生むことなく、どの生徒も意見を出しやす
いという観点において、4人グループを基本としている。ペア学習やクラス全体での学
び合いも時には必要であり、あくまでも次のような集団学習の展開を目的としている。
○お互いに顔を合わせて語り合い、協同作業をする学習。
○生徒が持っている考えや知識・力・スキルなどを出し合う学習。
○自己の考えや力を広げたり深めたりする学習。
○分からないことを聞くことができ、安心して学び合える学習。
グループで話し合いや情報交換等をすることで、生徒が持っている考えや知識・力・ス
キルなどを出し合ったり意見交流をしたりすることで、自己の考えを広げ、深める集団学
習を目指す。
(3)「つなげ・広げ・深める」ことについて
「つなげ・広げ・深める」とは「生徒・教材・教師がそれぞれつながり」、「他の考
えを学ぶことによって、考えや知識などを広げ」、「自分の考えを深める」ことと考え
る。いろいろな考えに触れることにより、知識が増え、物の見方や考え方が広がり、深
まっていく。協同的な学習を取り入れることにより「つなげ、広げ、深める」プロセス
を通して、生徒が「思考力・判断力・表現力」を主体的に身に付けていくことを基本と
する。
○「つなぐ」とは
・相反する考えや似た考えを比較・検討すること
・分からないことや分かっていることなどを共有すること
○「広げる」とは
・自分の考えを確かめ、他の考えを取り入れることで、見方・考え方を広げること
・多様な思考をすること
-2-
○「深める」とは
・発展的な課題に挑戦したり、学んだことを日常生活に活かしたりすること
・新たな考え方や疑問が生み出されること
(4)研究構想図
主体的に学び、確かな学力を
身に付ける生徒
4人グループを
基本とした
学び合い
・聞き合える関係
・仲間意識の醸成
・自己存在感
・自己有用感
・居場所
目指す生徒の具体像
めあてをもって問題解決に取り組める生徒
自分で考え、表現して学び合える生徒
学んだ知識や技能を活用できる生徒
教科特有の
言語活動
・めあてと振り返り
・課題設定の工夫
・既習事項の確認
・学び合える場の
設定と工夫
・教科部会の充実
つなげ・広げ・深めることに
生徒が考えを
視点をあてながら、
つなげ、広げ、深めている
目指す生徒像にせまる
様子をみとる
(5)学習を見る会(研究授業)
本校では、研究主題を達成するために、学びの構想シートを作成して、教師全員が一人
最低一授業実践を行っている。本研究では、学年担当教員が生徒の学習活動の様子を参観
するスタイルで授業参観を行い、この研究授業のことを「学習を見る会」と呼んでいる。
「学習を見る会」を運営する上でのポイントは、次のとおりである。
<参観者>
○授業者が所属する担当学年の教員は全員参観する。
○教科指導内容を見るのではなく、生徒の学習活動や変容の様子を見る。
○授業者の指導方法の良し悪しを見るのではなく、生徒の反応や発言の内容を聴き取る。
○教室の前や横から生徒の学習活動を観察して、生徒の生き生きした表情を見る。
○1単位時間全ての参観でもよいし、協同的な学習を展開している部分だけの参観でも
よい。
-3-
○参観者は、授業参観しながら学びの構想シートに生徒の学びの様子や活動への取組、
生徒同士の会話、つぶやきなどを記入する。
○学びの様子とは、①教材に向き合ってる様子、②先生と関わっている様子、③生徒同
士で関わり合っている様子である。
○これらの様子をメモして、学習を語る会(授業検討会)で授業者に伝達できるように
する。
○グループごとに担当教員を決め、抽出生徒の様子を観察する。
<授業者>
○授業者は、学びの構想シートを作成して前日までに全職員に配付する。
○学びの構想シートには、本時のねらい、本時の視点等を記入する。また、主な学習活
動と授業における手立てや留意点を記入し、授業の流れが分かるようにする。
○学習を語る会終了後、参観者が記入した学びの構想シートを集めて、授業の振り返り
や授業改善に活用する。
-4-
(6)学習を語る会(授業検討会)
学習を見る会を実施した放課後(原則として当日)には、その授業検討会を開催する。
その会のことを「学習を語る会」と呼んでいる。教師の指導について上手くいったところ
や計画通りに進まなかったところを 検討したり批判したりするのではなく、学習を見る会で
見取った生徒の学習活動や学びの様子等について 語り合う中で、教師が学び合い、お互いに
気づきを得ながら、授業改善をはかるものである。生徒は4人グループで学習しているの
で、その様子について誰がどんな発言をして、その発言に対して誰がどんな反応をしてい
たのか、生徒の学びの様子が報告される。授業者はその話を聞きながら授業を振り返り、
生徒の姿から主体的な学習活動が展開されていたか、内省的に検証を深めて授業改善に活
かしていくのである。
「学習を語る会」を運営する上でのポイントは、次のとおりである。
○教師の指導方法に着目するのではなく、生徒の学習活動の様子について意見を述べる。
○生徒のつぶやきや発言、表情等について参観者の見取りを報告する。
○生徒が頑張ったところや苦労したところなど、生徒の学習活動を語る。
○参観者は一回以上、必ず発言する。良いところを褒め合うようにする。
○生徒の良いところを褒めるようにして、授業者や指導方法に関する批判は行わない。
○授業者は話を聞きながら必要に応じて指導の意図等について述べる。
○司会者(研究推進委員の先生)が参加者の発言内容をつなげるように進行する。
○年に3回、学習を見る会・語る会に群馬大学濱田秀行准教授を招き、全体会で研修を
深める。
4
研究組織
校長
教頭
研修推進委員会
全体会
校長・教頭・教務主任・
全教員
研修主任・
月1回
各学年研修推進委員
月曜日
放課後
毎木曜日第2校時に開催
・原案の作成と検討
・全体会の司会、記録
・研究紀要企画、執筆、分担
-5-
に開催
第1学年部会
第2学年部会
第3学年部会
教科部会
5
研究経過
(1)全体会
第1回全体会
4月20日(月)
テーマ・研究組織の決定
第2回全体会
5月25日(月)
指導案の形式、協同的な学習の進め方
5月28日(木)
総合訪問
6月
保健
第3回全体会
1日(月)
蘇生法の研修
15日(月)
子持地区ブロック研修会
23日(火)
坂口先生代表授業(群大:濱田先生来校)
第4回全体会
8月31日(月)
計画訪問
第5回全体会
9月15日(火)
中野先生代表授業(群大:濱田先生来校)
24日(木)
指導案検討
計画訪問A・保健
国語・数学・音楽・美術・技家+保健室
第6回全体会
10月19日(月)
実践報告
研究紀要に関する確認・検討①
第7回全体会
11月30日(月)
実践報告
研究紀要に関する確認・検討②
第8回全体会
1月19日(火)
松岡先生代表授業(群大:濱田先生来校)
第9回全体会
2月
今年度の振り返り・次年度の方向性の確認
1日(月)
【実践計画】
学年
1
1
教諭名
坂口
田中
日 時
曜日
校時
クラス
教科
場所
延弘
6 月 23 日
火
5
1年3組
数学
1年3組
学
6 月 29 日
月
1
1年1組
国語
1年1組
2
大久保純夫
7月2日
木
5
2年3組
美術
美術室
2
田部井孝行
9 月 15 日
火
5
2年4組
理科
第2理科室
3
中野
礼子
9 月 15 日
火
4
3年2組
英語
3年2組
忍
9 月 16 日
水
2
2年2組
英語
2年2組
2
唐澤
1
北田小夜子
10 月 14 日
水
5
1年1組
英語
1年1組
3
山﨑ひとみ
10 月 21 日
水
1
3年2組
音楽
音楽室
浩
10 月 22 日
木
3
2年3組
国語
2年3組
佑磨
10 月 23 日
金
1
3年3組
国語
3年3組
歩
10 月 27 日
火
2
1年1、2組
体育
体育館
2
3
1
清水
都丸
倉澤
2
川端
浩美
10 月 27 日
火
6
2年4組
数学
2年4組
3
小林
東洋
10 月 27 日
火
3
3年1組
数学
3年1組
3
原田
諭
11 月 4 日
水
1
3年1組
社会
3年1組
2
松林
達浩
11 月 13 日
金
1
2年1組
技術
2年1組
1
塩谷
敏昭
11 月 20 日
金
3
こもちね
生活
調理室
3
河合
真志
12 月 3 日
木
2
3年2組
理科
第1理科室
悟
12 月 4 日
金
3
1年1、2組
体育
体育館
1
星野
3
橋本
瑞希
12 月 16 日
水
3
3年2組
家庭
3年2組
2
松岡
大樹
1 月 19 日
火
5
2年1組
社会
2年1組
-6-
6
実践の概要
第1学年
①
授業日 6月23日(火)
5校時
1-3
(場所;1-3教室) 授業者
坂口
延弘
1
学習を見る会
数学科
単元・題材名 文字と式
全16時間中の1時間目
本時のねらい
数量を文字を使った式で表し、文字を使った式のよさを理解する。
本時の視点
マグネットの個数を求める場面で、変数の部分を色分けする手立てを入れることで、変数の
部分を文字に置き換えると、どんな個数になっても全体の個数を求めることができるという文
字のよさを生徒が理解する様子を見て下さい。
主な学習活動
時間
教師の活動・指導上の留意点等
学びの様子
めあて
文字を使うことで、どんな個数でも求められるという文字のよさが分かる
<導入>
5
・本時のめあてと課題を
・ノートにめあてを書かせ、課題 ・すぐに答えを書き出す生
つかむ。
を提示する。
徒が見られた。
(課題)V 字にマグネ
・どんな数でも求めることができ
ットを並べた時、マグ
るように■の部分を生徒に決め
ネットの1辺が■個
させる。
の場合の全体の個数を
いろいろな方法で求め
よう。
<展開>
35
①グループごとに課題を
・グループごとに A3 の紙を配り、 ・二つ目の解法を考える生
解決する(例 ABCD)
図や説明を文字の大きさに気をつ 徒がいたが、一つ目の解き
けて分かりやすく書くよう伝える。 方を A3 の紙に書くことに
A
B
C
D
夢中になっている生徒もい
た。
5+5-1
2×4+1
+2+1
5+4+3
=n+n- 1
= 2 ×(n - 1) =(n - 1)× 2
-(3 + 2 + 1)
= 2n - 1
+1
+1
= 2n - 1
= 2n - 1
=5+4
4×2+1
・A の解法が考えられた生
徒がいたが、周りの子は理
解できなかった。
・C の解法から A の解法を
思いついた生徒がいた。
= n +(n - 1)
=2n - 1
・A3 の紙に図や説明を
書く。
②クラス全体で考えを広
げ、違う考えや似た考え
を比較・検討する。
・グループから出た考え
を他のグループが考え
る。
③文字で表しておくと、
どんな数になっても全体
の個数を求められるとい
うことについて理解す
る。
・後で■の部分を文字に置き換
えるために必ず■の数字を式に
使うように伝える。
・それぞれの解き方で、似ている
部分、違っている部分という視点
を与えて分類させる。
・似たような考えが出た場合、ど
の考え方と似ているかグループを
超えて全体で考えさせる。
・変数の数字の部分を色分けをし
ておくことで、まとめの時に文字
に置き換えやすくしておく。
・小学校では□を使った式で表し
たが、今後は□どうしが計算でき、
-7-
・グループ内で、あまり作
業が進まない子に声をかけ
る場面が見られた。
・似ている考え方、違う考
え方など、生徒が自分たち
の考えと比べている様子が
見られた。
・図を与えると式が書ける
生徒が見られた。
・■の部分にいろいろ
一つの式にまとめることができる
な数字を入れて計算す
ことに触れる。
・■の部分にいろいろな
る。
10
数字を入れて式を作り、計
<終末>
算ができる生徒が多かった。
まとめ
文字を使うと一つの式に
まとめることができ、文字の部分に数字を入れるだけで答えが出せる
・まとめをノートに書
・一般化した式に数字を入
く。
れて計算する生徒も見られ
振り返り
たが、一般化した式ではな
・文字の部分に好きな数
・文字の部分に数字を入れるだけ く、自分たちで最初に考え
字を入れて計算する。
で答えが出るということを実感さ た式に数字を入れて計算す
せるために、いろいろな数字を文 る生徒も見られた。
字のところに入れて計算させる。
2 学習を語る会
・一つ目の解き方を A3 の紙に書く人と次の解法を考える人などグループで分担できるようにな
れるとよい。そのためには、分担して問題解決できるように協同的な学習に慣れさせる必要があ
ると感じた。
・図を与えると式が書ける生徒が見られたので、クラス全体で生徒たちが考えを広げる場面にお
いて、全く解法が見つからない場合には、教師がヒント的な視点を与えてもよいのではとの意見
もいただけた。
・A の解法が考えられた生徒がいたが、周りの子は理解できなかった場面が見られたので、説明
する力や周りが質問したり、確認したりする場面を増やしていく必要がある。
・C の解法から A の解法を思いついた生徒がいたことから、「広げる」「深める」という本年度
のテーマに即した展開ができた。
・本時の学習の内容を教科書で確認し、学習内容の定着を図っていく。
3 成果と課題
【 成 果 】
・グループ内で、あまり作業が進まない子に声をかける場面が見られたので、日頃からこうした
場面をその場で取り上げて賞賛していくことで、こうした雰囲気をクラスの中に広げていくこと
が必要であると感じた。また、周りに声をかけられるのを待つのではなく、自分から声をかけて
いけるよう、声かけを継続していきたい。
【 課 題 】
・すぐに答えを書き出す生徒が見られたことから、もう少し難しい課題を提示した方がよかった。
・一般化した式に数字を入れて計算する生徒も見られたが、一般化した式ではなく、自分たちで
最初に考えた式に数字を入れて計算する生徒も見られたので、まとめを十分におこなってから、
本時のまとめの練習問題をしたり、何問かまとめの練習問題をしたりするようにしていきたい。
4 まとめ
・まとめの部分では、生徒の言葉で今日は何が自分自身で学んだのかをもとにまとめをしていく
とよいと感じた。
・自分の考えを言い、友達の考えを聞いて、比べることができるようになってきたが、それぞれ
の考えについてさらに深めるところまでには、まだまだ到達していないことが多い。グループ活
動から学級全体へどうつなげ、広げ、深めていくか、ここの部分を充実させればもっと共同的な
学習への深まりが出てくる。
-8-
②
授業日 6月29日(月)
1校時
1-1
(場所;1-1教室) 授業者
田中
学
1
学習を見る会
国語科
単元・題材名 「ちょっと立ち止まって」
全5時間中の1時間目
本時のねらい
指示語や接続語、繰り返される語に着目することで、文章の構成がわかることを理解する。
本時の視点
文章の構成(意味段落や順序など)を考える場面で、教科書本文の段落の順序を入れ換えた
文章を用いる手だてを入れることで、生徒が指示語や接続語、繰り返される語や関連する語を
意識するようになり、文章の構成を理解していく様子を見てください。
主な学習活動
時間
教師の活動・指導上の留意点等
学びの様子
めあて
どのような語に着眼すると文章の構成がわかりやくなるか考えよう。
<導入>
・本時のめあてと課題を 5 ・ノートにめあてを書くよう指示
つかむ。
する。
・課題を提示し、本時の活動を説
(課題)本文の段落の順
明する。
序を入れ換えた文章を
・本文の段落の順序を入れ換えた
もとの順序に戻そう。
プリントを配付する。
・まとまり→順序、の順で考える
<展開>
方がよいことを説明する。
① 個 人 で 課 題 を 解 決 す 10 ・ノートにもとの本文のまとまり
る。
と順序を書かせる。
・なぜそのようなまとまり・順序
になったのか理由も書かせる。
②グループで考えを交流 15 ・班ごとに段落番号を書いた付箋
し、理由を話しながら班
とA3版の紙を配付し、班で順序
で1つの意見にまとめ
を考える。
る。
・理由を交流させ、自分の意見と
異なる場合にはノートに書かせる。
③班の考えを発表する。 10 ・A3版の紙を黒板に貼らせる。
・他の班を見てどうしてそのよう
な順序になったのか質問したり、
説明したりさせ、考えを交流させ
る。
・生徒どうしで意見が交流できる
よう、教師は司会程度にする。
・交流が進まないようであれば、
<終末>
班を指名し説明させ、発言を促す。
まとめ
・課題・説明を聞き、課題
に取り組もうとしていた。
・多くの生徒はノートに自
分なりに工夫してメモした
り、図を書いたりしながら
考えていた。
・課題に取り組めない(自
分の考えを持てない)生徒
が数名いた。
・ほとんどの班で意見交換
が活発に行われている。
・個人では課題が進められ
なかった生徒も、班員の意
見を聞き確かめながら考え
ていた。
・「 ど う し て 」 と い う 問 い
が班の中でよく発せられて
おり、それをもとに話し合
いがなされていた。
指示語や接続語、繰り返されている語に着眼すると文章の構成がわかりやくなる。
④どのような語に着目す 5 ・これまでの活動で気付いたこと
ると、文章の構成がわか
を個人でノートにまとめさせる。
りやすくなるのか、個人
で気付いたことをまとめ
る。
⑤隣の人とまとめた内容 3 ・隣の人とまとめた内容を交流さ
を交流し、まとめた内容
せる。交互に1つずつ言わせる。
を発表する。
・気付いたことがなくなったら、
ペアに質問し、ヒントを出しても
(まとまり)・指示語
らい、考える。
・繰り返しの語
・どのような語に着目するとわか
・関連する語
りやすくなるのか考えを黒板にま
(順序)
とめる。このとき、生徒には黒板
・指示語・接続語
を写すのでなく、人の意見を聞い
てノートに書くように促す。
振り返り
⑦まとめで出された語を
色分けしながら
で囲
み、本時の内容を確認す
る。
・本時の学習内容を定着させるよ
うにする。
・本時の授業を家で復習するよう
伝える。
-9-
・1人で考えているときは
なかなかまとめられなかっ
た生徒もいたが、聞き合う
中で考えがまとまっていっ
た。
・文章に着目してまとめら
れるようになってきている。
2 学習を語る会
・1人で課題を解決することが難しい生徒も、班活動でおこなうと「なぜ?」の言葉が発しやす
くなり、それをもとに生徒が考え、説明できていた。
・段落ごとに短冊にし、班で並べ替えさせてもよかった。
・班で1つのワークシートで、また、全体の本文が見られるものでもよかった。
・生徒が話し合いをしているとき、残り時間を知らせ、焦らせるようなことはしない方が良い。
・ずっと黙っていた生徒も、最後には自分の考えをつたえることをしていた。
3 成果と課題
【 成 果 】
・一斉授業では発言できない生徒もグループにすることで意見を述べられることができた。
・班という自分の意見を確かめる場所があるため、話し合われた後は自信を持って発言している
ようだった。
男
女
男
女
・班を
女
男
男
女
→
(研修授業時)
(研修授業後)
とすることで、同性同士で話をすることが多かったが、班全
体に広がるようになり、男女の壁がなくなった。
・一斉授業で教師の発問や課題に対し挙手して答えていた授業より、班での話し合う場面を設け
ることで、発問や課題に対して自分の意見を再考できるため、班の話し合いで「広げる」「深
める」ということができる場面もあった。
【 課 題 】
・その時間の「めあて」を提示したが、話し合いの方向がずれていくこともあり、途中で説明を
し直し、再び話し合わせることがあった。話し合いをする焦点を絞ることも必要であるときが
あった。
・その授業の中で話し合いが完結できず、まとめが不十分になってしまうことがあった。
4
まとめ
研修のサブタイトルにもある、「つなげ・広げ・深める」協同的な学習、は本校の学習スタイ
ルは有効であると思われる。しかし、(教師はなるべく司会でありたいとかんがえていたが、)
生徒同士で話を進めるのはまだ難しく、また、授業時間が延びがちなため、課題のバランスと、
発展的な課題の内容、教師による発問、支援が効果的なものでなければならない。教師が、授業
の流れ、生徒の思考の流れを予想・把握し、タイミング良く支援していく必要がある。
さらに、班別での話し合いの内容の把握も教師の課題である。TTという方法もあるが、でき
れば、生徒自身が話し合いの中で発せられる、さりげない「つぶやき」に気付き、そこから広げ
られるようにしていきたい。現在は、
①メモを取りながら話し合いをする。
②さりげない言葉にふとした考えがあることが多いので、じっくり考えて発した意見だけ
でなく、ふとした言葉を聞き逃さない。
ことを生徒に伝え、話し合い活動を進めるようにしている。
今後、生徒が班員の意見を拾い、練り上げ、考え、伝え、授業が作りあげられるような工夫・
支援を考え続けていきたい。
- 10 -
③
授業日 10月14日(水)
2校時
1-1
授業者
T1:北田
小夜子
T2:クリスタル・ランプティ
1
学習を見る会
英語科
単元・題材名 Lesson 5 Review
全 9時間中の 9時間目
Ms. Hall's family ホール先生の家族
本時のねらい
主語が三人称単数のときの動詞の変化を理解し、正しい文章を書くことができる。
本時の視点
*文章を書く場面で、グループ活動を入れることで、生徒が動詞の変化を理解し、互いに
協力し合って文章を書いている様子を見てください。
主な学習活動
時間
めあて 今まで習ったこ
とを使って文章を書こ
う。
教師の活動・指導上の留意点等
学びの様子
<導入>
5
○挨拶
○歌(Good Time)を歌う
・歌うことができる部分は自信を
持って楽しく歌う。
・歌える部分を自信を持っ
て大きな声で歌えていた。
・サビを楽しそうに歌って
いた。
10 ・前時の復習として 5C(教科書
p.60-61)の本文を音読する。
・つまずきやすい単語や読みづら
い単語に考慮して語・句単位で読
む練習を入れる。
・ペアで音読するときは互いに協
力し合って読むようにする。
・ペア音読では、英語が得
意な生徒が苦手な生徒に対
して教科書の本文を指さし
ながら、読み方を教えてい
た。
・自然に向き合ってペアで
音読ができていた。
○ 5C 音読練習
<展開>
○ Lesson 5 Review
① sentence revision
② picture description
10 ・文章の間違いを探して、正しい ・疑 問文では動詞 have を
単語に直す活動をグループで行う。 has に直すべきかどうかで
・全体で正しい文章を確認する。
話し合っていた。
15 ・絵を見て、その絵について表す
文章を書く活動をグループ行う。
・必要に応じて、文章を書くとき
に必要な動詞(原形)を黒板に掲示
する。
・グループのメンバー全員が参加
し、文章を考えることができるよ
うに文章を分担する。
・書けたら全員で確認するように
指示する。
・主語が三人称単数のときに動詞
に-s または-es を付けて文章を書く
ことができているか見る。
・誰がどの絵に対する文章
を書くか確認してから作業
をしていた。
・「ピザをまわすって英語で
何て言うの?」という発言が
あった。
・文章を書いている生徒に
対してグループのメンバー
が「何をしているところ?」
とヒントを与えながら進め
ていた。
・動詞のスペルや-s の付け
方を全員で確認しながら進
めていた。
・早く活動が終わったグル
ープは先生役として終わっ
ていないグループを教えに
行った。
<終末>
5
まとめ
○完成した文章を発表す
る。
・7つ文章を用意したので、全グ
ループが文章を発表する。
・他のグループと違う表現をい使
って文章を説明できているグルー
プがあれば、全体に伝える。
・文章の発表に備えて、書
き 終 わ っ た あ と に 「 He
watches TV.」などのような
発表練習をしていた。
振り返り
○どれくらい文章を書く 5
ことができていたかグル
ープで確認する。
・文法的なポイントや本時のねら
いである動詞の変化を再確認する。
・間違いがあった場合は何が違う
のか気付かせるような問いかけを
する。
・次時の予告をする。
・答え合わせの中で、主語
が三人称単数(he, she)など
のときは動詞が変化するこ
とが個人や書くグループで
理解することができた。
- 11 -
2
学習を語る会
授業研究会では、参観していただいた先生方に生徒の様子や各グループの学び合いの様子をよ
く見ていただき、教えていただいた。グループ活動では、なかなか授業者一人では生徒の発言や
表情などを十分に観察することは難しいが、今回見ていただいたことでよくわかった。
普段は自ら挙手や発言をすることがなかなかできず、英語に対する苦手意識がある生徒でも、
今回のグループでのライティング活動では活躍している様子がわかった。グループの生徒と協力
し合いながら、文章を書き上げた際には、とても嬉しそうな表情をしていて喜んでいたことがわ
かった。
本時では、文章の間違いを見つける活動と絵を見て文章を書く活動の2つを4人組のグループ
形態で行った。前者の活動では生徒全員にワークシートを配布し、後者の活動では1枚の大きな
用紙を配布した。1つのワークシートを全員で共有しながら、意見や重要文法事項を話し合った
り、書き方を教え合いながら、活動を行った方が生徒同士の学び合いは深まったように感じられ
た。活動の内容によって、ワークシートや問題提示の仕方など考えながら授業を進めていくこと
が大切だということが理解できた。
3 成果と課題
【 成 果 】
・教科書本文の音読では、発音や読み方がわからない単語を教え合
いながら、進めることができた。普段からペアで音読活動を行って
いるため、スムーズに始めることができた。
・文章の間違いを探す活動では、動詞の変形は必要かどうかなど全
員が答えに対して納得するまで話し合いができたようである。
・展開部分の主要な活動である絵を見て文章を書くグループ活動で
は、一人だけが文章を書き続けるのではなく、全員が協力し合いな
がら取り組むことができた。書き始める前にどの文章を書くか、順
番や役割を決めてから活動に取り組めた。
・英語を苦手としている生徒も、同じグループの生徒と協力して文
章を完成させることができた。単語のスペルがわからないときは、
確認しながら進められた。
・本時のねらいである「主語が三人称単数のときの動詞変化」をグル
ープで意見や知恵を出し合い、ライティング活動を進めていた。study のような子音字+ y で終
わる単語は、y を i に変えて-es を付ける、have は形そのものが変わって has になるなど、前時ま
でのポイントを共有しながら活動に取り組むことができた。
・He plays soccer.と He plays the piano.という文章を用意したため、既習事項である楽器の前には
the を付けることも文章を書く中で確認できた。
【 課 題 】
・絵を見て文章を書く活動で、文章を書く上のヒントとし
て動詞の原形を板書したが、どこまでをヒントとして生徒
に示すか考えなければいけない。各グループで同様の動詞
を使用したため、どのグループもほぼ同じ文章を書いた。
「このような言い方もあるのか」と生徒が新たな気付きを
得るためには、こちらからはヒントを提示せず、グループ
内の活動を通して得た動詞を基に文章を書いた方が学び合
いになると思った。そのようにすることで、完成した文章
を各グループで発表するときに、他のグループの発表をよ
り注意深く聞くことができると感じたので、改善していき
たい。
・授業者が想定していなかった新たな発見や疑問が各生徒、各グループの中であったことが学習
を語る会の中でわかった。その疑問をどのように全体に広げていくか、見取りや手段を考える必
要がある。
・グループによって、作業に差があった。授業において作業に個人差が現れることは多々ある。
本時では、早く文章を書き終えたグループの生徒は先生役として他のグループの手助けをしたが、
活動時間を有効に使うための手立てをより深く考えて、実践していくことが課題である。
4
まとめ
協同的な学習を取り入れて授業を進めるにあたって、「どの活動をグループで行うか」、「グル
ープ活動にするねらいは何か」をよく考えて授業を行う必要があると感じた。
本時の展開部分であるライティング活動は一人でもできる活動である。しかし、グループで作
業をすることで一人では文章を完成させることが難しくても、重要な文法事項を確認しながら書
いたり、どのような英語表現があるか話し合ったりすることができた。グループでまとまった内
容を全体に共有できるように、発問や発表の仕方などを工夫していきたい。
- 12 -
④
授業日 10月27日(火)
2校時
1-1・2
(場所;体育館)
授業者
倉澤
歩
1 学習を見る会
保健体育科 単元・題材名
ダンス・現代的なリズムのダンス
全10時間中の5時間目
本時のねらい
小グループ出し合った案を、親グループで共有し、ダンスを創ることができる
本時の視点
案を出し合う場面で小グループになりブレインストーミングしながら表現を考え、互いの案
をつなげていく様子を、音に合わせダンスを創り上げていく場面では親グループになって案を
共有し、表現を広げダンスを楽しんで踊る様子を見て下さい。
主な学習活動
<導入>
○集合・挨拶
○8421体操をする
時間
教師の活動・指導上の留意点等
10 ・生徒間を周りながら、大きな声
と大きな動きでリズムにのって体
操させ、心と身体のウォーミング
アップをさせる
ステップ組み合わせて、アレンジしよう
<展開>
○前時までのステップの 30 ・グループごとに集合させて確認
確認を親グループでをす
させる(「Shake it off」/Taylor Swift
る
を1回流す)
○ダンス用語・アレンジ
の仕方について学ぶ
・シンメトリー(左右対称)、ア
シンメトリー(左右非対称)、ユ
ニゾン(同じ振りを全員で踊る)
カノン(同じ振りを拍をずらして
踊る)、ソロダンス、ペアダンス
などについて映像を用いて説明す
る
○小グループで考えたス
テップにアレンジ案をブ
レインストーミングする
・小グループでアレンジ案を考え
させる。
・思いつかないで動きが止まって
いる班には、ヒントを思い出させ
るような声かけをする
○アレンジに名前をつけ
る(ネーミング)
・ネーミングしたら、メモを取ら
せるようにする。
○親グループ
(7~8人)
になり、互いの案を組み
合わせたり、どちらがよ
いか選んだりして、ダン
スを創る
・小グループで考えた案を親グル
ープで共有して、全体のダンスを
創らせる
・今回の音楽には同じ曲調が繰り
返されるので、繰り返しも可とす
る。
・組み合わせたり、取捨選択させ
ながら全員の案がダンスに反映さ
れるように説明する。
<終末>
10
振り返り
・自分の考えた案と仲間が考えた
○本時の取り組みを自己
案を選んだり、組み合わせたりす
評価する
ることで、グループの個性がある
ダンスが創り上げられていくこと
○よかったところ
(成果)
を理解できるようにする
と課題を学習プリントに
記述する
・互いに認め合えるような言葉が
けができるようにする
・発表会(11/18)のことを話し、
それに向けて、班で一つの作品を
創り上げていくという見通しを持
たせる。
- 13 -
学びの様子
・リズムにのって生徒が笑顔
で体操できていた。
(1 班)プリントを見つめて
話し合いをしていた
(2 班)音楽に合わせて動き
を確認していた
(3 班)プリントを見ながら
動きの確認をしていた
(4 班)中心になって踊りを
提案する生徒がいた。回数
を重ねていくと真似をして、
踊り出す生徒が増えていっ
た。
・ビデオを真剣に見つめ、感
心していた
・考えながら動くことができ
る班と、プリントをずっと
見つめて動かない班があっ
た
・班ごとに共有の仕方も異な
った
(1 班)プリントを見ながら
動かずに考えいてた。意見
を言い合うが、まとまらず、
動きにまで発展しない
(2 班)動きはほとんど決ま
っており、隊形まで考えて
いた
(3 班)互いに見せ合い考え
ていた
(4 班)プリントの裏面の白
紙にダンスの振り付けを絵
を使って整理していた。
・生徒が主体的に楽しそう
に踊る様子が見られた。
・笑顔が多く見られ、運動
が苦手でもダンスが好きそ
う。
2
学習を語る会
・グループの人数を初めは 4 人(小グループ)で、その後 8 人(親グループ)にすること
を試みたが、親グループになるとイニシアチブを取る生徒が出てきて、受け身になってい
る生徒が生まれてしまっていた。そこで、4 人のままの創作活動の方が意見が出やすいの
ではないかという意見もいただいたが、ダンスでは 4 人だと『円』や『2列』を表現しよ
うとしても、すべて『四角』にしか見えなかったり、隊形のバリエーションを増やすこと
ができなかったりして、表現に制限ができてしまうという難点がでてきた。体育では、そ
れぞれの運動種目の特性やルールがあるので、メインのゲームや発表会を控えた練習では、
人数を必要とする種目にはリーダーシップを取る生徒の存在が欠かせない。そういった種
目で、協同的な学び合いを求めるとすれば、アイデアを出し合う場面や、技術を習得する
部分練習や段階練習、振り返りの場面などにおいて、4 人グループにすると生徒が互いに
意見を出し合うことができそうだという話になった。
3
成果と課題
【 成 果 】
・単元導入時、生徒は、「できない」「わからない」と
いう言葉をあまり言うことができない様子が見受けら
れた。そうすると、運動が苦手な生徒は受け身になり、
グループで意見を言いづらくなってしまう。そこで、
「仲間が出したアイデアについて難しすぎる振り付け
であれば、「『わからない』『できないから教えて』ということも一つの意見です。一授業、
一意見は必ず言うようにしましょう。」と生徒には伝えたところ、それまで黙っていた生徒
が考えてくるようになったり、ステップができない生徒ができる生徒に気軽に聞いて、一
緒にステップを踏む姿が見られたりして、グループでの意見交換や創作活動が活発になっ
た。あるグループでは、美術部の生徒が中心になり、学習プリントの裏に絵を描き、振り
付けについてまとめている様子を伺うことができ、このような関わり方もあるということ
を生徒から学んだ。
【 課 題 】
・今回の授業では、親グループ(7~8人)に戻すタイミングが早すぎたため、自分の意
見を持つことができず、受け身となってしまう生徒がいた。また、リーダーという役職を
与えずに行ったが、大人数になるとイニシアチブを取る生徒が自然と出てきた。
・ダンスを実際に動いてみながら創るのではなく、まずは紙面上で考えてから出ないと踊
ることができないグループがあった。
4
まとめ
・グループの全員が関わり合うためには、隊形変化の案を4人のグループで出し合った後、
各グループでそれにあった振りについてを小グループ(4人)で分担して考えていき、親
グループで案をつなぎ、深めていくという構成の流れを与えるという代案も考えられた。
・自分の考えを言い、友達の考えを聞いて、ダンスの構成を考えられるようになってきた
が、さらに工夫を加えて、アレンジをしようとするような深めるところまでは、まだ到達
していない。2年次のダンスの学習の際には、今回の反省をもとに生徒が活発に意見を出
し合い、工夫のあふれる創作ができるよう、学び合いの場面を授業に取り入れていきたい。
- 14 -
⑤
授業日 11月20日(金)
3校時
こもちね
(場所;調理室)
授業者
塩谷
敏昭
1
学習を見る会
生活単元
単元・題材名
こもちね・ひまわりレストランを開こう
全10時間中の7時間目
本時のねらい
お客さんとやりとりをし、注文を正しく受け、計算を間違わずに会計処理できるようになる。
本時の視点
係の仕事を繰り返し、わからないことは自分から質問することにより、仕事のやり方を身に
つける様子を見て下さい。
主な学習活動
時間
教師の活動・指導上の留意点等
学びの様子
めあて
<導入>
○模擬レストランの準備
・しっかりとした心構えでお客さ
・看板・レジ・メニュー
んを迎えさせる。
・模擬貨幣を所定の位置
・自分達の製作した物を丁寧に扱
に設置する。
わせる。
<展開>
○身支度をととのえ、手
を洗う。
○役割分担をする。
・案内係(注文受け)
・配膳係
・レジ係
(手順)
①お客さんを案内する。
(案内係)
②注文を受ける。(案内
係)
③食材を準備する。(配
膳係)
④品物を運び伝票を渡
す。(配膳係)
⑤会計の処理をする。
(レジ係)
<終末>
まとめ
○レストランを実施して
気がついたことをメモす
る。
振り返り
○レストランを実施して
気がついたことを発表す
る。
・前時に学習した接客の言葉を思
い出させる。
・清潔さに気をつけさせる。
・落ち着いてレジ操作等をするよ
う助言する。
*係は 30 分毎にローテーションす
る。
*ローテーションの表を作り、レ
ジ係を最低 5 回は体験できるよう
にする。
・言葉づかいを丁寧にするよう助
言する。
・衛生面に気をつけさせる。
・支援員に補助してもらう。
・はじめは、案内するのが
ぎこちなかった。
・何人か案内するうちに、
スムーズに案内できるよう
になったようだ。
・係は3つあるが、生徒が
二人なのでかけ持ちで大変
そうであった。
・言葉づかいは最初ぎこち
なかったが、だんだん慣れ
るにしたがって、ていねい
な言葉遣いができるように
なった。
・レジを使って計算してい
たが、キーの押し間違いや
項目を飛ばしてしまうなど
があったようだ。
・数字をしっかりと書かないとわ
かりづらいことや、レジの機械を
使うと、おつりの計算がうまくい
くことに気づかせる。
- 15 -
・注文用紙の使い方などで
生徒が話し合っている姿が
見られた。
2 学習を語る会
・はじめは、案内するのにどこへ案内したらいいか迷っているようでぎこちなかった。しかし、
何人か案内するうちに、スムーズに案内できるようになったようだ。
・係は3つあるが、生徒が二人なのでかけ持ちで大変そうであった。
・言葉遣いは最初ぎこちなかったが、だんだん慣れるにしたがって、ていねいな言葉遣いができ
るようになった。
・レジを使って計算していたが、キーの押し間違いや項目を飛ばしてしまうなどがあったようだ。
・注文用紙の使い方などで生徒が話し合っていた。
3 成果と課題
【 成 果 】
・中心となる生徒が 1 年生で、はじめての実践的な体験であったので、すこし戸惑いがちであっ
た。しかし、時間がたつにつれて慣れ、行動がスムーズになってきた。
・ていねいな言葉遣いを、事前に学習していても、実際にお客さんを相手にその場にあった言葉
遣いをするのは難しかった。しかし、回数を重ねることでその場にあった言葉遣いができるよう
になってきた。
・わからないことがあったら教師に聞く事が多いが、今回の授業では注文用紙の使い方等につい
て、話し合っている姿が見られた。
【 課 題 】
・レジの使い方について、事前に練習はしていたが、キーの押し間違いや項目を見落としてしま
うことがあったが、なかなか本人自身で気づくことはできなかった。
・生徒二人でレストランを運営する授業であったので、たくさんの仕事があり一つの仕事に集中
させることが難しかった。
真剣な表情でレジを打つ
二人で学び合い
まとめ
「こもちね・ひまわりレストランを開こう」は、約半年をかけて学習する生活単元の最終段階
の場面である。畑を耕し、野菜の種をまき、苗を植え、水やりをし、害虫取りや雑草取りをして
収穫する。さらに、収穫した野菜を調理する。お客さんに来ていただくためには、一人ひとりに
招待状を出す。メニューを作る。レジでの計算の仕方を練習する。このような様々な過程の中で、
計算力や文を作る力・デザインする力等を実生活に役立つ形で身に付けていくことができる。
今回の授業では、二人という少人数でのレストランの運営となったため、盛りつけを教師側で
するというような簡略化を図らざるを得なかった。そのような中で、招待状をもらい、客として
試食に来てくれた各先生が、その都度気のついたことを生徒に指導してくれたり、料理のおいし
さや態度を評価してくれたりしたので、生徒は充実感をもって学習することができた。
また、注文用紙に記入
する場面で、わからない
ことを二人で検討し合う
姿が見られた。今後、こ
のような互いに検討し合
う場面を工夫することに
より、学習を生徒達が互
いを認め、高め合えるよ
うなものにしていきたい。
ナス苗を支柱に固定
レストランの招待状制作
4
- 16 -
⑥
1
授業日12月10日(木)
2校時
1-3 (場所;体育館)授業者
星野
悟
学習を見る会
保健体育科
単元・題材名
器械運動(マット運動)
全10時間中の6時間目
本時のねらい
既習の技を組み合わせて、模範動画や技の条件を活用しながら連続技の完成度を高めること
ができる。
本時の視点
連続する技の完成度を向上させる場面で、模範動画や技の条件を活用することや、仲間の動
きを観察し、互いに教え合いながら練習していく活動を入れることで、生徒が連続技の技能を
向上させていく様子を見て下さい。
主な学習活動
時間
教師の活動・指導上の留意点等
学びの様子
めあて
連続技の完成度を高める
<導入>
○集合・挨拶・健康観察
・見学者には、友達のアドバイス
をするように指示する。
○準備運動・補強運動
8 ・マット運動に適した準備運動と
補強運動を行う。
○必修技の練習
・「前転」「後転」」を合格の条件
・手の着き方や回転のスピ
を意識しながら行う。
ードなどをアドバイスする
○本時のめあてを知る
・ホワイトボードに示してある共
様子が見られた。
○安全確認をする
通のめあて、学習方法、注意事項
を確認する。
<展開>
学び合いを通して以下の
課題に取り組む
○新しい技に挑戦する
・模範画像や学習カードの合格の
・「 手 の 着 き 方 」 や 「 膝 の
8 条件を参考にしながら、お互いに
曲げ方」など具体的にアド
アドバイスし合い練習や評価を行
バイスができる様子が見ら
う。
れた。
○連続技の完成度を高め
・学習カードに記入してある各自
・細かいアドバイスをしな
るための練習を行う
の連続技を確認し合う。
がら、技を向上させていく
・練習の中で分かった課題を教え
様子が見られた。
20 合い、練習に生かしていく。
・連続技の構成にも着目させ、よ
・模範動画を参考に、連続
り良い構成についてもお互い教え
技の構成を班で考える場面
合い、必要に応じて修正していく
が見られた。
ようにする。
・学び合う場面では、相手がわか
- 17 -
りやすいように工夫して教えるよ
うにさせる。
<終末>
まとめ
○連続技の完成度を確認 9 ・各班ごとに連続技の発表会を行
・班員の演技を見ることで、
し合う
い、お互いの成果や次時への課題
自分のことが考えられてい
を確認し合う。
る様子が見られた。
・連続技の完成度を高めるための
・一つひとつの技や連続技
振り返り
○本時の成果や次時への
課題、練習方法を振り返 5 課題やめあてについて考える。
のつなぎなどについて振り
る
返ることができていた。
2
学習を語る会
・学習規律やけじめがしっかりできている。
・適切な指示のもと、生徒は自信を持って安心して運動ができている。
・めあてである「連続技の完成度」について、より具体的な表現の方がわかりやすい。
・身長を考慮して班編制編成ができていて、補助などが効果的に行うことができていた。
・班で学習した成果をクラス全体で確認することで、学習をより深めることができる。
・班の活動の中で、具体的なアドバイスができていて、連続技の完成度を高めることができてい
た。
・振り返りを発表させる場面では、あらかじめ生徒が書いた内容を確認し、指名することも必要。
3
成果と課題
【成
果】
・学習カードや模範画像、実技資料等を活用することで、効
果的に基本的な動きを身に付けることや協同的な学習の中で
適切なアドバイスができていた。
・身長を考慮して班編制を行っていることで、無理なく補助
ができていた。
・班で学習した成果を、発表会で確認することで、本時の成果 (技の構成について考えを出し合う)
や次時への課題を明確にすることができた。
【課
題】
・各班で学習した成果をクラス全体で確認し合うことによって、学習課題を深めることができる。
4
まとめ
今回の学習では、班での練習の中で、互いに適切なアドバイスをしながら課題解決的な学習を
展開することができた。しかし、校内研修のサブテーマである「広げる」「深める」では、やや
不十分な点があった。班で学習した成果を全員で見せ合い、気付いたことなどを発表させること
でより学習を深めることができたと思う。今後の学習の中で、班での学習の成果をどのように深
めていくかを、各単元ごとに考え、実践していきたい。
- 18 -
第1学年のまとめ
第1学年における研究の成果と今後の課題
1学年では、先に例示した数学科、国語科、英語科、保健体育科の実践をもとに、学習を見る
会ではグループで協力して問題解決に取り組んでいるか、学習を語る会では生徒が自分の考えを
発言し他の生徒の発言を聞いて学んでいる様子がどのように見られたか、ということに視点を当
てて研究に取り組んだ。その結果、次のような成果と課題が挙げられた。
1
研究の成果
○主体的に学ぶ生徒の姿
・本時のめあてを示すことで、学習に向かう目的意識を持たせることができた。
・「ここが分からない。ここはどういうことだろう。」など、分からないことや分かってい
ることを確認する発言があり、学び合おうとする姿が見られるようになった。
・普段の生活においても生徒同士で、注意し合ったり、声を掛け合ったりする場面が見られ
るようになった。
○確かな学力を身に付けた生徒の姿
・自分で疑問に思ったことを辞書で調べたり、友達と疑問を共有したり、資料集を見て、友
達同士で話し合ったりしながら、自分で課題を解決しようとする様子が多く見られた。ま
た、分かっていることや何をどのように考えていけばよいか、既習事項の確認をしながら
協同的な学習に取り組み、思考を深めている様子が見られた。
2
今後の課題
生徒同士が学び合うことにより、基礎基本をしっかりと身に付け、それらを活用して問題
解決をしていくような授業構想を工夫していくことが必要である。そのためには、今まで身
に付けた知識や技能を、どんな場面で、どのように活用していけばよいか授業構想を工夫し、
年間指導計画に意図的に位置づけていく必要がある。
また、自分の考えを伝え、友達の考え
を聞いて、比べることができるようにな
ってきたが、それらの考えをさらに深め
ていくことに課題が見られた。生徒の疑
問点や生徒が見付けたことをつなげて、
学級全体で出し合いながら、グループで
の学びを学級全体に広げることで生徒の
思考力・判断力・表現力を発揮させて問
題解決ができるように授業改善に取り組
みたい。
- 19 -
6
実践の概要
第2学年
①
授業日 7月2日(木)
5校時
2-3
(場所;美術室)
授業者
大久保
純夫
1
学習を見る会
美術科
単元・題材名 浮世絵を鑑賞しよう 「神奈川沖浪裏」
全 1 時間
本時のねらい
いろいろな観点から表現の工夫を見付けることを通じて浮世絵のよさを感じ取る
本時の視点
北斎がこの作品に込めた工夫を生徒が見付けるにあたり、メンバーを交代しながら(ワール
ドカフェ形式)いろいろな観点(雰囲気・色・描き方・構図など)で話し合いを重ねる。
その後、話し合われた内容を学級全体で知り合うことで、いろいろな見方があることを生徒
が実感し、教師の進行による学級全体での意見交換を通じて、作品に込められた工夫について
関心が深まる生徒の様子や記述が見られたら、授業のねらいが達成できたものとする。
主な学習活動
時間
教師の活動・指導上の留意点等
学びの様子
<導入>
・題材名と作品名等を掲示してお
○複製画を見て、教師の
く。浮世絵を鑑賞しよう
話を聞き、浮世絵につ
神奈川沖浪裏 葛飾北斎
いて知る。 【一斉】
富嶽三十六景
・数枚の浮世絵を間近で見せ、サ
イズや表現の繊細さを感じとら
せ、表現方法を考えさせる。
・浮世絵は多色刷の木版画である ・全員テレビモニターに写
ことや、絵師と彫り師・刷り師
した画像に注目していた。
の分業による作品であること、
細部まで緻密に表現され
浮世絵は販売され、庶民に身近
ているのが木彫による版
なものであったことを説明する。
画であることを知って驚
○本時のめあてをつかむ 8 ・本時の流れ(個人→グループ①
いた様子であった。
めあて
②③→全体)を簡単に説明し、 ・作品の題名は知らなかっ
「北斎がこの作品に込
活動の見通しをもたせる。
たがテレビや印刷物で見
めた工夫を見付けよう」
・いろいろな観点から表現の工夫
たことがあるという生徒
を見付けられるように、「色調」
が多かった。
「構図」等、鑑賞の観点(既習
事項)を示す。
<展開>
・話し合いに先立ってまず自分な
○図版を見て「気付いた
りに見付けた表現の工夫をワー
こと」をワークシート 5
クシートに書くように促す。
にできる限りたくさん
後に書く友達の考えと区別出来
記述する。 【個人】
るように、マーカー等で自分の
記述に印をつけさせる。
・全員集中して記述してい
たが、記述量には違いが
あり、2つ3つ以上書い
た後に止まってしまい、
他の生徒の記述を見て書
き加えている生徒がいた。
・「波が富士山よりも髙い」」
「舟に人がしがみついてい
る 」「 波 の 先 端 が 手 の よ
うだ」というふうに、波
や舟など、事物に関する
記述が多かった。
○北斎が作品に込めた工
・お互いの考えをつなげたり広げ
夫だと思うことを 4 人
たりできるようにするために、
グループで、メンバー
グループのメンバーを複数回入
を変えて話し合いを重
れ換えてお互いの考えを知り合
ね、自他の考えを広め 20
うようにする。(ワールドカフ
る。
ェ形式)一人だけ元のグループ
【グループ】
に残り、前のグループで挙がっ
た考えが書かれた模造紙を見せ
・グループのメンバーを交
代して表現の工夫を見付
ける活動にすすんで取り
組んでいた。
・「 波 が 落 ち て く る 位 置 に
富士山を描いて、波の迫
力 を 表 し て い る」「 も り
上がる波を画面左半分い
- 20 -
ながらその内容を新たなメンバ
ーに説明するようにする。
・新たに挙がった意見は模造紙に
追加記述するように促す。
・グループ交代は2回行い、3つ
のグループで話し合えるように
する。(5分×3)
っぱいに入れて迫力を出
している」など、どのグ
ループでも作品の特徴か
ら気付いた表現の工夫が
いろいろ挙げていたが発
言回数には個人差が見ら
れた。
<終末>
・各グループの模造紙を全員の前 ・教師が紹介する、各グル
まとめ
で教師が紹介したり新たな着目
ープから挙がった作者の
○各グループで挙がった
点で考えるように促したりする
工夫の内容に、大多数の
意見を知り合うことで
ことで生徒が考えを深められる
生徒が関心をもって聞い
自他の考えをつなぎ、、
ようにする。
ている様子だった。
教師との問答によって 17 ・鷹の爪のような波の先端描写
・予想していたこと(左記)
北斎が作品に込めた工
や、画面の左半分に大きな波を
のうち、波や三艘の舟の
夫について理解を深め
描き、落下点に富士山を配した
配置によって連続感を感
る。
【一斉】
構図、波や三艘の舟の配置によ
じさせている工夫につい
って連続感を感じさせる点など
ては生徒から挙がらなか
の工夫が挙がらない場合、これ
った。この工夫に気付か
らに気付けるように、手がかり
せるための教師の投げか
となる言葉を与えたり説明した
けに対して、手元の画像
りする。
をじっくりと見て考えて
振り返り
いる生徒の姿が見られた。
○ワークシートを見て宿
・今日の家庭学習(宿題)で「振 ・浮世絵のよさを感じたこ
題のめあてをもつ。
り返り日記」を書くように促す。
とや、友達の考えを知っ
て一人では気付かなかっ
た工夫がわかったという
内容の記述が多かった。
2 学習を語る会
・自ら北斎の表現の工夫を述べたり友達の話を聞いたりして考えを知り合っていた。ワールドカ
フェ形式は旧グループ内に一人だけが残り、新グループに他の3人が加わった後、旧グループ
の生徒が自分や他の生徒の発言や記述について説明する形式であるので、生徒同士で主体的に
いろいろな考えを知り合うことができた。一方、発言する生徒にやや偏りがあった。
3 成果と課題
【 成 果 】
・「北斎の表現の工夫を見付ける」に絞ったことで学習課題が明確になり、生徒の主体的な思考
を促すことができた。作品に込められた工夫を自ら見付けて伝えたり友達から知ったりして、
交流することでそれぞれの考えがつながり、広がった。
【 課 題 】
・グループを変えて考えを交流させる際、一部の生徒に発言が偏らないようにする工夫や、一人
だけであっても深い考えがあった場合、それを確実に全員が知ることができるようにする工夫
が必要である。
4 まとめ
・生徒の考えを広げつなげるためにグループのメンバーを変えて交流するのは有効であるが、さ
らに考えを深めるためには、教師が取り上げて全員で意見交換する必要がある。
- 21 -
②
授業日 9月 15日(火)
1 学習を見る会
理科
単元・題材名
5校時
2-4 (場所:第二理科室)
動物のからだのつくりとはたらき
授業者
田部井
孝行
全16時間中の12時間目
本時のねらい
動物が刺激をどこで受け取り、その後、どのような反応示すのか、例を提示しながら考える
ことで、動物の刺激の受容と行動の関連について説明できるようにする。
本時の視点
生物の刺激に対する反応を予想しながら考える場面で、メダカの入った丸形水槽の周囲を、
縦縞の模様を回転させるとメダカはどのような反応を示すか、グループ内で話し合い活動を行
うことで、生徒が生物の刺激に対する反応に関して、科学的に思考していく様子を見て下さい。
主な学習活動
時間
教師の活動・指導上の留意点等
学びの様子
<導入>
10
・グループ学習を取り入
・グループ内の一人が問題を作成 ・理解度の高い生徒にとっ
れ、前時までの復習を行
し、他のメンバーが答えるように ては有意義な時間であった
う。
指示する。
が、成績下位群の生徒にと
・教科書を用いて、刺激、
・ライオンとシマウマの例を挙げ、 っては、答えを考える術が
反応、感覚器官 とは何
教師が生徒に質問をしていく形式 無く、学びの姿勢が感じら
かを確認する。
で行う。
れない時間であった。
めあて:外からの刺激に対する反応を調べてみよう
<展開>
30
①ひとみの大きさが刺激
・強い光を目に入れすぎないよう
に反応して変化する様子
に注意する。
を観察する。
・どんな刺激をどこで受け取りど
んな反応を示したのか、グループ
で話し合いをさせ、説明させる。
②《ジャンプ1》メダカ
の入った水槽内に水流を
つくるとメダカはどのよ
うな反応を示すか、予想
を立て、観察する。
③《ジャンプ2》メダカ
の入った丸形水槽の周囲
を、縦縞の模様を回転さ
せるとメダカはどのよう
な反応を示すか、予想を
立て、観察する。
・楽しそうにお互いの瞳を
観察しあっていた。
・分からなかった生徒にと
っては、もっと十分に時間
をとって欲しかったようだ。
・グループで予想を立てる時間を
設け、その後観察させる。
・実物投影機を用いて、メダカの
動きが観察しやすいように配慮す
る。
・どんな刺激をどこで受け取りど
んな反応を示したのか、グループ
で話し合いをさせ、説明させる。
・実物のメダカの様子を教
卓まで見に来た生徒は 10 名
程で、メダカの動きを大変
興味深く観察していた。
・グループで予想を立てる時間を
設け、その後観察させる。
・どうしてこのような結果になっ
たのか、グループで考察を行う。
・考えに行き詰まっている場合は、
ヒントととして、前の実験結果が
関係していることを伝える。
・どんな刺激をどこで受け取りど
んな反応を示したのか、グループ
で話し合いをさせ、説明させる。
・多くの生徒が回転すると
答えた。しかし、根拠をも
って予想を立てていた生徒
は少なかった。
・話し合い活動は活発に行
われていた。思考力が高い
生徒が班のメンバーに一生
懸命説明している様子を見
ることができた。
・教師が用意した錯覚を利
用した動画には、多くの生
徒が興味深げに観察し考え
を発言する場面が見られた。
- 22 -
・話し合いは積極的に行わ
れていた。科学的に説明で
きる生徒も多かった。
<終末>
10
まとめ:動物は、様々な刺激を特定の感覚器官で受け取り、それに対して、脳で判断し反応
している
・教科書の図などを用い
て、本時のまとめを行う。
・教科書の「話し合おう」
を用いて、本時の学習の
振り返りを行う。
・それぞれの感覚器官については、
次時に詳しく説明する。
・本時の活動を振り返りながら、
学習内容の定着を図る。
・次時の予告を行う。
2 学習を語る会
・メダカの動きを観察しているときなど、生徒がいきいきと観察している様子が見ていて伝わっ
てきた。
・メダカが錯覚を起こして動き出すということを班で話し合う際に、生徒Aが考え方が分からな
かった生徒Bに対して、文房具などを上手に用いて根気強く説明している場面があり、とても良
かったと感じる。
・生徒が考察を発表する場面では、学級のほとんどが発表者のほうを向いて発表を聞くことがで
き、そのような態度が身に付いていて良かったと思う。
・ジャンプ問題が 2 つ設定されており、思考力の高い生徒もすぐには答えが出せない仕組みとな
っていた。生徒たちは、班のメンバーと意見を交わしながら、最後まで一生懸命考えている様子
を見ることができた。
3 成果と課題
【成果】
・考察の際に、考え方の分からなかった生徒に別の生
徒が一生懸命説明している場面が見られ、こうした場
面を授業の中でも賞賛し、グループ内での話し合い活
動がより活発になっていければと考える。また、ジャ
ンプ問題を盛り込むことで、思考力の高い生徒でも飽
きずに最後まで意見を出し合いながら、考察を深める
場面が見られた。生徒は既習事項や自身の生活体験か
ら考えることができており、興味・関心の高い生徒が
多かった。
【課題】
・授業の冒頭にグループ間で問題を出し合う場面では、成績下位郡生徒にとって考える時間や手
立てが不足しており、ただ時間を浪費するだけの時間となってしまった。発問を 3 つ用意したが、
発問 2 と発問 3 のつながりを意識して考察できた生徒が少なく、事前の教師の意識付けがもっと
必要であったと考える。全体で意見を発表し考えを深める場面では、意図的指名をしながら徐々
に答えに近付きたいのに反し、一人の意見で概ね全体が理解できたという雰囲気になってしまい、
考えを深められたかというと疑問が残る。
4 まとめ
・学校全体での取り組みにより、生徒たちはグループで話し合い活動をし考察していくことを抵
抗なく行えるようになってきた。しかし、他者の考えを自分の考えと照らし合わせ、考えを深め
ていくことができているかというと疑問が残る。意図的指名を有効に使い、生徒自身が自身の言
葉で本時のまとめを行うような授業の終末を日頃から訓練し取り組んでいくことで、一人一人が
クラス全体の意見から自身の考えを深めていくことができるようになっていくと考える。
- 23 -
③
授業日 9月16日(水)2校時 2-2(場所;2-2教室) 授業者:T1;唐澤 忍T2;クリスタル・ランプティ(ALT)
1
学習を見る会
英語科
単元・題材名
Lesson 4
Taku in the U.K
全 10時間中の5時間目
本時のねらい:
自分の理解度を振り返り、積極的にグループでの学び合い活動に参加して「依頼する」、「申し出る」、「許可を求め
る」構文を使った文を使い、会話文をつくる。
本時の視点:
「依頼する」、「申し出る」、「許可を求める」というコミュニケーションをする上でよく使われる文の理解を深め、その構
文を使用する活動をするのに、身近で興味のある場面を設定し、少人数で会話文を作ることで、生徒が英
文に親しみを感じながら活発に会話作りに取り組む様子が見られたらと思う
主な学習活動
時間
めあて:「依頼」、「申し
出」、「許可」の英文を使っ
て東京班別学習の打ち合
わせをしよう!
<導入>
教師の活動・指導上の留意点等
5
○あいさつ
・英語であいさつをする。
○歌を歌う。
・身体を使って英語に親しむ。
<展開>
○前時までに学習してき
た依頼する、申し出る、許
可 を求 め る構 文 を 使 って
東京班別学習の打ち合わ
せを英語で行う会話文を
作ることを知らせる。
○ワークシートを配る。
学びの様子
・生徒が興味を持ちそうな内容にす
る。
・ALTと二人で本日の活動の説明をす
る。
・モデルを示す。
・全体と意図的に生徒を指名をして、
35 理解度を確認する。
・歌うことが好きな生徒が
多いので、英語学習の意欲
にもつながっている。
・生の英語での会話モデル
は生徒の興味を惹きつける。
言葉の説明だけでは興味な
さそうに振る舞う生徒でも
食いつきが良い。
・自然に辞書に手を伸ばす
生徒が多い。
○基本的に3人のグルー
プになり、会話文の全体構
想、各人の役割を決める。
○ 3人 の英 文を合わせた
り、付け加えてストーリーの
ある会話文を組み立てて
いく。
・最初に行く場所と役割を決める。
・次にマップを使ってなるべく英語だけ
で構想を練ることを伝える。
・自分のセリフは基本的に自分で英語
を考えるようさせる。
・自然な話し合いの会話になるように
楽しみながら英文に親しませたい。
<終末>
・グループ内では解決できなかった表
まとめ
振り返り
現があるか尋ね、全体に投げかけ、あ
○わからなかった表現を確
れば、その解決方法を全体に投げか
認する。
10 ける。
○1~2班の会話を聞く。
○内容が理解できたか本
時の活動の振り返りをさせ
る。
・完成度が低くても良い。ボランティアの
範を募る。
・内容がどの程度理解できたか、全
体、または意図的に生徒を指名して
確認をする。
・条件の3つの構文をどこで使用して
いたか確認をする。
- 24 -
・マインドマップが文構成
の役に立っている模様。
・マインドマップを活用す
る例を黒板に掲示している
ので、困ると自然に黒板ま
で見に来る生徒もいる。
・まだ習っていない構文(比
較)を文に入れたい班の生
徒が挙手。以前に暗唱で先
の比較の入ったレッスンを
覚えた生徒が「これからや
るところ」だと発言すると、
一斉に教科書を探す生徒た
ち。
○次時は全部の班が会話
を完成することを伝える。
2
・しっかりと気持ちを伝えるように練習
をすることを伝えたい。
学習を語る会
・なんでも言ってもいいんだというクラスの雰囲気がある。自然に拍手がおこる。
・全体に広げるときは、発言者の方を向かせる姿勢が良い。
3
成果と課題
【 成 果 】
・これから東京に出かける生徒たちにとって、タイムリーなトピックであったと思う。
・マインドマップやモデルが手助けとなり、自分たちで正しい文章を作ってみようという意欲が
感じられた。
【 課 題 】
・どうしても時間との闘いになり、振り返りの時間が十分にとれない。
・全体に広げようとした時に指示を誤り、秩序が乱れそうになった時があった。すぐに、新たな
支持でまた、集中して課題に取組み出したので良かった。
4
まとめ
・全体に広げる場面で教師のタイミングを見計らう洞察力と指示の仕方次第で良い方にも、悪い
方にも転ぶ可能性の怖さを感じた。今後はその点の向上を研鑽していきたい。
参照:スキットの例とマインドマップの例
完成した生徒作のスキットの例
生徒作成用のワークシート(裏面)
- 25 -
④
授業日 11月5日(木)
3校時
2-3
(場所;2-3教室) 授業者
1
清水
浩
学習を見る会
国語科
単元・題材名 「扇の的」
全9時間中の8時間目
本時のねらい
心情を表す語句などに注意して、登場人物の気持ちや場面の雰囲気などを想像しながら効果
的に群読の台本を作ることができる。
[読むこと(1)ア][伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項(1)ア(ア)(イ)]
本時の視点
群読の台本作りの班活動で、生徒達が場面の様子を想像したり、登場人物の心情を考慮する
ことで、表現方法を工夫して台本を考えていく様子を見て下さい。
主な学習活動
時間
教師の活動・指導上の留意点等
学びの様子(主なもの)
めあて
○心情や場面の様子にふさ
わしい表現となるよう考
<導入>
5 ・本時は、登場人物の気持ちや場
えられていた。
本時のねらいをつかむ。 分
面をに応じた表現の工夫を考え ○読み手の特徴も考慮して
ながら班ごとに群読の台本作り
いた。
をすることを確認する。
○必要に応じて一部分音読
・自分達の作った台本で他班が発
もしていた。
表し、他班の作った台本で自分 <1班>
達が発表することを確認する。
・声が大きいから
・群読についても確認をする。
・声が小さいから
・一文が長いから
<展開>
30 ・本文を3つに分け、各班に割り
→3人で読んで試す
班に分かれて群読の台本 分
当てて、分担して台本作りをさ ・初めから大きい声で入る
作りをする。
せる。
→よくない
・各川を3班に分け、自分の川の
→一番大きく読む所を考
他の2班に群読をさせるような
えよう
台本を作る。
→大きく読むのは全員が
・1,4,7 班の台本を「A台本」、2,5,8
いいのじゃないか
班の台本を「B台本」、3,6,9 班 ・男女の順でよいか
の台本を「C台本」とする。
・大きいと重なるから早く
・読み手の特徴なども考慮して台
読む
本を考えさせる。
・変じゃない?など検討し
・読み手の特徴を知るために、必
ながら
要に応じて一部分音読をさせた <9班>
りしてもよい。
・ストーリー性があるから
・登場人物の心情や場面の様子を
流れるように読む
表すのにふさわしい表現方法や ・女子がよいのでは
読み手の割り振りを考えさせる。 ・強調したい所だから一人
・台本は、群読をする人数分書き
で読んだ方がよい
写して用意させる。
・「 か ぶ ら ~ 」 は 盛 り 上 げ
たいので、だんだん声を
10 ・台本が仕上がったら、群読をす
大きくしていくとよい
台本に従って群読の練習 分
る生徒全員に配布させ、自分の <4班>
をする。
分担箇所を確認させる。
・ここははっきりものが言
・自分の分担箇所の音読練習をす
える人がよい
る。
・こんなに読ませると愚痴
・班で読み合い、読み方のアドバ
りそう
イスをし合う。
<5班>
・時間があれば、「A台本」「B台 ・おかしくね?
本」「C台本」を使って順に2 ・ソロを入れた方が
- 26 -
班合同の通し練習をする。
<終末>
まとめ
5 ・群読について確認し、自分達の
群読につて確認し、次時 分
発表の工夫につなげられるよう
の発表へとつなげる。
に促す。
・声の感じが違う
・「 ひ や う 」 だ け で 割 り 当
ててよい
<8班>
・ノートで意味をチェック
して考えている
振り返り
登場人物の気持ちや場面
に応じた表現を工夫して
台本作りができたか、自
分達の台本作りについて
振り返る。
話し合い←→学び合い
↑
2班
・ここは初めだから大
きくてはっきり言え
る人がいい
・自分達の台本作りが、登場人物
の気持ちや場面の様子などを考
慮しながらキャストの割り振り
や表現の工夫ができていたかを
振り返らせる。
2 学習を語る会
・なかなか話し合いが始まらない班もあったが、話し合いに入ったら、「ここは初めだから大き
くはっきり言える人がいい」等意見が出だした。
・自分達で実際に声を出して読んでみながら工夫をできていた。
・自分達の班が群読するのではなく、他班のメンバーにさせるということで、客観的にとらえる
ことができ、群読の工夫を考えることができていた。
・読む人の特徴までも考慮に入れて台本作りをすることができていた。
・登場人物の気持ちや場面の雰囲気を考えながら、どう読ませたらよいかを工夫することができ
ていた。
・話し合いにとどまっていた感がある。学び合いに高められるような助言があるとよい。
3 成果と課題
【 成 果 】
・班での話し合いには、だいぶ慣れてきた感があり、班活動を授業のどの段階で取り入れてもす
んなりと活動に入ることができるようになった。また、司会や記録といった役割分担など一切
考慮しなくていいので、教師側も気軽に班活動へと移行させることができる。
・話合いの様子も、意見交換が活発でない班でも、一人が口火を切ると連鎖して意見が続くよう
になってきたので、学び合いとしての生徒の素地はかなりできあがってきたように感じる。
【 課 題 】
・登場人物の心情や場面の様子を押さえながら台本作りに取り組むことができていたが、心情を
表す語句に特に着目して考えるという様子はあまり見られなかった。国語科の学習であるので、
表現に即して考えるということをもう少し押さえられるとよい。
・話し合いから学び合いへとつながっていくような課題や発問・助言などを考えていくことが大
切であろう。
4
まとめ
生徒同士の話合いという点では、お互いに活発に意見を述べ合うことができるようになり、効
果もあがっているように感じる。その点では、「つなぐ・広げる」協同学習としての素地がかな
りできあがってきたと考える。しかし、「深める」という点では今一歩と感じる。学び合いとい
う観点で、課題の出し方や発問・助言の仕方などにさらなる工夫の余地があると考える。
国語科の目標は、「適切に表現し理解する能力や伝え合う力を高める」ことであり、協同的な
学習の根幹となる力の育成がうたわれている。そのため、研修主題に取り組むことは国語教育の
目標とも合致している。協同的な学習を支える教科として、充実させていくことが大切であると
考える。
- 27 -
⑤
1
授業日 10月27日(火)
6校時
2-4
(場所;2-4教室)
授業者
川端
浩美
学習を見る会
数学科
単元・題材名
平行線と角
全8時間中の5時間目
本時のねらい
既習の平行線の性質や三角形の内角と外角の性質を使って、やじり形の性質を説明する。
本時の視点
やじり形の性質を確認する場面で、小集団で説明に使う補助線から考え、等しい角やその根
拠を記入させたことで、生徒が図形の性質への理解を深める様子を見て下さい。
主な学習活動
時間
教師の活動・指導上の留意点等
めあて
やじり形の性質を説明す
る。
<導入>
本時のめあてと課題をつ
・新出である「やじり形」につい
かむ。
て説明する。
課題
・実際にやじり形の頂角と凹角を
次の図のやじり形で、
分度器で測定し、3つの頂角の和
∠d=∠ a +∠b+∠c 5 と凹角の大きさが等しいことを確
であることを説明しなさ 分 認する。
い。
<展開>
・やじり形の性質の説明
に使う既習の性質を確認
する。
・やじり形の性質が成り
立つことを説明する。
・他の班の説明を聞き、
多様な考えを知る。
・本時の説明で使う、平行線の性
質、三角形の内角と外角の性質を
確認する。
・3~4人の小集団で課題解決に
取り組ませる。
・どの性質を使うかは、班に選択
37 させ、補助線を引いて説明させる。
分 ・等しい角とその根拠となる性質
名を記入させ、証明の授業へとつ
なげる。
・補助線が引けない班には、その
性質を使うためにはどんな線(図
形)が必要か考えさせる。
学びの様子
・分度器で測定した結果か
ら、やじり形の性質を推測
できていた。
<2・3・4・6・9班>
<1・9班>
・補助線の種類ごとに、自分の興
味に応じて、できている班に説明
を聞きに行かせる。
<5班>
<終末>
3
まとめ
分
やじり形の性質をまとめ
・やじり形の性質をまとめる際に、
る。
やじり形は凹四角形であることに
触れる。
<7班>
振り返り
5
やじり形を使った練習問 分 ・やじり形の頂角や凹角の大きさ
題を解く。
を、やじり形の性質を使って求め
させる。
・分からない場合は、周囲の生徒
に質問するよう声かけをする。
・早くできた生徒に板書をさせる。
- 28 -
2 学習を語る会
・よくグループで話し合い、協力して取り組んでいた。
・既習事項を使うために、よく考えて補助線をひけていた。
・多様な考え方が出て良かった。
3 成果と課題
【 成 果 】
・実際に角度を測り、∠ ADC が 3 つの頂角の和になっていることを確認したことで、課題に取
り組みやすくなった。
・説明に使う性質を「平行線の性質」と「三角形の内角と外角の性質」に絞ったことで、それぞ
れの性質を使うために必要な補助線のイメージがしやすくなった。
・
「半直線 BD をひく」方法は出なかったものの、上図のように4通りと多様な意見が出た。
・既習の性質の使い方を、前時のノートで確認しながら、班でよく話し合って進められていた。
・協同学習の際は、班員全員が説明できるようになるよう、話し合っていた。
・流動的なグループ化の①では、自分の聞きやすい友人の所に行くことができ、数学が苦手な生
徒にも取り組みやすい雰囲気になっていた。②では、黒板に掲示してあるそれぞれの班の補助線
の中から、自分の興味のある補助線のひき方をしている班に聞きに行ったり、自分の聞きやすい
友人の所に行ったりすることができていた。
<生徒の活動の様子>
【 課 題 】
・流動的なグループ化の時間をもっと確保することで、さらに生徒の思考が深まったと思う。
・班によって課題解決までの時間や班員全員が理解できるまでの時間の差が大きかった。
4 まとめ
・最後に時間がなく、練習問題を解く時間が確保できなかったが、やじり形の性質をよく理解す
ることができていたように思う。今後は、生徒自身のことばでまとめをする時間を確保していく
ことで、より授業内容の理解を深めさせたい。
・小集団での活動にも慣れ、4人で協力して取り組めるようになってきたが、座席によって活動
内容やスピードにどうしても差がでてしまう。その解決策として、今回座席から離れ、自由に移
動して小集団を形成する「流動的なグループ化」を2回取り入れて見た。生徒の人間関係もある
ので、配慮すべき点は多々あるが、今後も座席での小集団と、流動的な小集団と織り交ぜていき
たい。
- 29 -
⑥
1
授業日 11月13日(金)
1校時
2-1
(場所;技術室) 授業者
松林
達浩
学習を見る会
技術家庭科
単元・題材名
生活に役立つ物の製作(製作)
全7時間中の3時間目
本時のねらい
製作図と部品図を利用して、加工が効率的できる材料取り図を作成する。
本時の視点
材料取り図を作成する場面で、組接ぎを使った作品でグループ内で意見交換しながら材料取
り図を作成することで、材料取り図の学びが広がり生徒が自分自身の作品の材料取り図の作成
する時にポイントを明確にして取り組んでいる様子を見て下さい。
主な学習活動
時間
教師の活動・指導上の留意点等
学びの様子
めあて
材料取り図を作成しよう
<導入>
5
既習の製作図と部品図を
確認し、本時のめあてを
確認する。
・生徒に作品の製作図と部品図の
プリントを用意させ、製作図と部
品図だけでは、木材から材料取り
が難しいことに気付かせる。
<展開>
5
材料取り図について確認
する。
15
課題1
(グループ共通課題)
組接ぎを使った鉛筆立て
の製作図と部品図から材
料取り図を完成させる。
・各グループの代表が材
料取りのポイントを発表
する。
・教科書 P55 を使い、材料取りに
は、材料取り寸法線と仕上がり寸
法線があり、部品と部品の間は幅 4
㎜程度離して書くことを指示する。
・材料と部品の繊維方向を考慮さ
せる。
・各グループに教師が用意した、
組接ぎを使った鉛筆立ての製作図
と部品図を配布する。
・加工する手順を少なくすること、
同じ大きさ・形の部品は揃えるこ
と、材料の余りは、ほかの物に利
用できることを意識させ材料取り
をさせる。
・他のグループの意見を
聞き、材料取りのポイン 15
トを確認する。
・同じとり方をしたグループをま
とめ、各班に材料取りのポイント
課題2
を発表させる。
(グループ個別課題)
・課題1を基に自分の作品の材料
自分が作成する製作図と
取り図を作成させる。
部品図から材料取り図を 5 ・グループで作成することで、聴
完成させる。
き合える環境を作る。
<終末>
まとめ
振り返り
・まとめプリントを配布し、本時
を振り返りさせ、材料取り図から
木材にけがきをることを確認する。
材料取り図のポイントを
- 30 -
生徒からの質問
・「なぜ 4mm なのですか。」
・「 木 目 は 関 係 な い の で す
か。」
・「 切 る 時 の こ と も 考 え た
ほうが良いですか。」
自分たちで材料取り図につ
いて気付くことができた。
・各グループの発表を聞き、
材料取り図を書く時の注意
点を確認できていた。
プリントを使ってまとめ
る。
材料取り図から、木材の
部品を加工することを確
認する。
2 学習を語る会
・課題1では、グループ全員で一つの課題に取り組みグループ全員で話し合い材料取り図を完成
していった。
・課題2ではグループのメンバーそれぞれが別の課題に取り組み、分からない所をグループのメ
ンバーに聞きながら答えを出していった。
・課題1では、組接ぎを使うことで自分たちが製作する作品より、難しい課題を考えることで、
答えが分かった人が分からない人を教えるのではなく、メンバー同士で意見を出し合い、メンバ
ーの意見を聞いて「そうか」「なるほど」などの自分の考えを広げることにつながった。
・課題2では、個々の課題をグループで行うことで、自分が分からない所が出てきたら、メンバ
ーにやり方などを聞く環境を作ることによって、メンバーの考え方を取り入れて、自分の考えを
深め発展していった。
3 成果と課題
【 成 果 】
・グループの話し合いにおいて、課題設定を簡単な課題や難し過ぎる課題を設定するのではなく、
自分たちが製作する作品より、少し難しい作品を取り上げて課題にすることによって、グループ
内で分かる子が分からない子を一方的に教え合うと関係から、メンバーの意見を聞き合いながら
課題を解いていくことになり、そのことによって自分の考えかたを広げることにつながっていっ
た。
・個々の作業や課題をやっている時に、作業のやり方や課題の解き方が分からない生徒が、分か
らないことをそのままにするのではなく、グループで聞き合える環境を作ることによって、分か
らない生徒が自らグループのメンバーに聞くことで、メンバーの考え方を取り入れて自分の考え
方を深めることにつながっていった。
【 課 題 】
・グループで1つの課題に対して、話し合う時は学級全体につなげることができるが、個々の作
業や課題を行う時、学級全体でつながようとすることは難しかった。これからの研修で考えてい
きたい。
・グループで話し合ったことを、学級全体につなげようと考えた時に、グループで話し合ったこ
と発表させて、その内容から自分のグループで話し合ったことにどのように活かせていけるかを
考えさせていったが、それだと時間がかかり過ぎてしまう。週に1回しかない技術科にとっては
別のやり方が必要である。
4 まとめ
・グループでの話し合いでは、課題の設定や環境作りを工夫することで学び合いを成立するこ
とができるが、グループから学級全体へ「つなげ、広げ、深めていく」ことをこれから研修で考
えていく必要がある。
- 31 -
⑦
授業日 1月19日(火)
4校時
2-1 (場所;2-1教室)
授業者
松岡
大樹
1
学習を見る会
社会科
単元・題材名 明治維新 自由民権運動の高まり
全7時間中の6時間目
本時のねらい
自由民権運動はなぜ起こったのか、明治政府の諸政策をもとにして理解することができる
本時の視点
明治の人々が国会開設を要求した理由を考える場面で、グループ活動を取り入れ、これまで
の政府の諸政策が人々にとってどのような影響を与えたのか、当時の人々の視点らか整理する
ことで、国会開設を求めるまでにいたった過程にせまっていく様子を見てください。
主な学習活動
時間
教師の活動・指導上の留意点等
学びの様子
<導入>
○前時までの明治政府の
・学制、徴兵令、地租改正、
・生徒は集中して見ていた
政策について振り返る。
解放令、殖産興業などの既習事 が、主体的な学習になって
項について ITC を用いて確認す いなかった。
る。
10
○「民撰議院設立建白書」
・「民撰議院設立建白書」を掲示
・下線部の読み取りはでき
の内容について考えるこ
し内容について生徒の意見を引 ていた。内容についても生
とで、当時の人々が国会
き出しながら内容について確認 徒が意見を発表し全体で確
開設を要求したことを知
していく。
認することができた。
る。
めあて
自由民権運動はなぜ起こったのだろう
<展開>
○グループになり、これ
・4 人グループを作り、ワークシ
までの明治政府の政策に
ートの「国民の不満につながる」
ついて、近代化を目指す
というキーワードに対し、これ
中で人々の批判をまねい
までの政府の政策の結果や当時
てしまったことをワーク
の人々の心情を整理しながら書
シートに整理をしながら
き込ませる。活動の前に、やり
まとめていく。
20
方を一度示してから実際にグル
ープ活動を行う。
・必要に応じ、これまでのワーク
シートのまとめや資料集等を使
用させる。
・作業の進まない班に対しては
助言を行う。
・やり方を示してから活動
を始めたので、例示にそっ
て考えている様子が見られ
た。
・教科書やノートを見て確
認し合いながらワークシー
トに書いているグループが
あった。
・ある生徒が中心としてす
すめながら役割分担をして
いるグループもあった。
・話し合いの中で疑問に思
ったことをグループのメン
バーに尋ねている姿が見ら
れた。
・全体的に自分なりの役割
を持ってそれぞれの生徒が
活動に参加することができ
ていた。
○ワークシートの内容を
・各班の意見をつなげられるよう
もとに「なぜ国会を作る
に、机間指導の際にそれぞれの
よう要求したのか」グル
意見を確認しておく。
ープの意見をまとめ、そ
・各班の意見をもとにして、明治
の後、各班の意見を全体
政府の政策のマイナス面を整理
で共有する。
10
し、それが自由民権運動(国会開
設要求)へとつながったことを確
認する。その際、各班の意見を
もとに学級全体で考えを共有で
きるようにする。
<終末>
まとめ
○まとめた内容をもと
・全体で共有した意見をもとに、
その後政府がどういった対応を
- 32 -
・他のグループの発表を聞
きながら自分のグループの
まとめと比較している様子
が見られた。
・発表者の方をしっかりと
振り向いて、内容を聞けて
いる生徒が見られた。
・ICT のまとめを見ながら
確認していた。
に、その後、この要求が
政府に与えた影響につい 10
て考える。
振り返り
○学んだことを振り返り
ながら、ワークシートに
書き込む。
とったのか、資料を解決のヒン
トとして掲示しながら確認する。
・本時で分かったことを、ワーク
シートに記入し、個人の振り返
りをさせる。
・それぞれがワークシート
にしっかりと書けていたが、
どうしてもばらつきが見ら
れた。
2 学習を語る会
・各グループともそれぞれが役割分担を行いながら活動できていた。グループによって形態はさ
まざまであったが、進行をする、教科書で調べる、ノートで探すなど自分ができることを探して
活動に参加している様子が見られた。
・明治政府の政策が「不満につながった」という活動
の際に、当時の人々の心情を考えながら取り組むこと
は理解を深めるという点で良かった。
・全体での振り返りの際に自分のグループの意見と照
らし合わせながら確認している様子が見られた。そう
いった意味では広がりはあったと思われるが、それを
さらに深めていくところまでいかなかったという意見
もあった。
・最後の個人の振り返りをする時間は必要であるが、
生徒によってばらつきもあった。もう少し書く視点を
はっきりと提示することで、個人の中での振り返りが
深まるとの意見があった。
・振り返りの内容をいかして次時につなげていくかが
重要である。
3 成果と課題
【 成 果 】
・グループ内で、それぞれが自然と役割分担をし作業をすすめることができていた。これまでの
協同学習の積み重ねの成果であり、さらに作業が進まない子に声をかけたり、疑問に思ったこと
を質問し合う姿が見られたので、研修の成果が出始めていると思われる。
【 課 題 】
・各グループでの協同学習は次第に結果として出てき
ているが、全体での意見の共有が今後の課題である。
つまり「広げ」「深める」場面でどうしてもテスト的発問
になってしまうので、生徒から出てきた意見をさらに
洗練化させていくことで深まりを持たせたい。例えば、
生徒のつまずきを取り出し、いかに活用していくか、
また、そのつまずきをグループに戻すことでつながり
を持たせていくなどの工夫を行っていきたい。
・学習した成果をどう自分の今後にいかに生かしてい
くのか。それも社会科としての課題である。例えば今回
の内容では選挙権の年齢が引き下げられたことによっ
て 18 歳から投票できるようになった自分のこととして
置き換えていくなどするとさらに学習が深まっていく
ので、そういう視点を大切にしていきたい。
4 まとめ
・グループでの協同学習は繰り返し行うことでできるようになってきたが、それぞれの考えにつ
いてさらに深めるところまでには、まだまだ到達していないことが多い。グループから学級全体
へつなげ、広げ、深めていく部分を生徒のつまずきを探しながら全体で共有し合うことで深まり
は出てくるのだと思われる。
・最後の個人の振り返りについては、その授業の感想を書かせるのではなく、振り返りの視点を
はっきりと提示することで生徒の中でのつまずきの発見につながると思う。そのつまずきを次の
授業でいかしていくことで学習の効果も上がるのではないかと思う。そういった意味でも今後も
授業後の個人の振り返りの時間を取り入れながら授業改善にいかしていきたい。
- 33 -
第2学年のまとめ
第2学年における研究の成果と今後の課題
2学年では、先に例示した理科、英語科、国語科、数学科、技術・家庭科、社会科の実践をも
とに、学習を見る会ではグループから学級全体へと協同的な学習を展開できているか、学習を語
る会では生徒の発言をもとに内容につながりや広がりが見られたか、ということに視点を当てて
研究に取り組んだ。その結果、次のような成果と課題が挙げられた。
1
研究の成果
○主体的に学ぶ生徒の姿
・授業のめあてや師範を示すことで、生徒が目的意識を持ち授業の中で学んだことを活かして、
グループ学習の中で多くの生徒が自主的に意見を発表する姿が見られた。
・必要に応じて資料集や辞書など使用する、主体的な姿勢が見られた。
・普段はあまり意見を言えない生徒の意見が発端となり、内容を深める場面も見られた。その
生徒に対する賞賛もあり、生徒の自ら学ぼうとする意欲が高まった。
○確かな学力を身につけた生徒の姿
・グループ学習を継続して取り入れてきたことで、特に指示をしなくても自然と意見交流がす
すみ、意見や疑問を共有することができるようになった。
・友達の考えを聞いてそれをヒントに他の生徒が結論を導き出すなど、新たな気づきを得るこ
とができる生徒も見られるようになってきた。
2
今後の課題
発展的な課題を取り入れるようにしてきたが、それが授業の流れの中で論理的につながって
いないこともあったので、課題の設定に配慮していく必要がある。
また、グループ学習に時間が割かれてしまい、課題に対して学級全体で確認する時間がとれ
ずにつなげ、広げるところまでいかないことがあった。ピックアップしたグループが意見を発
表し、それについて学級全体で協同的な学習を展開できるように授業構想を工夫したい。
そ
して、授業の終末で個人の振り返りの活動を入れることによって、書くことなどの言語活動か
ら自分の考えを確かめ、新たな気づき
を得ることにつながるのではないかという
意見もあがった。自分自身で書いてまとめ
る振り返りを継続して取り入れていきたい。
そのためには、ただ授業の感想を書くので
はなく、授業者が振り返りをするための適
切な条件を設定する必要がある。
これらのことを「つなげ・広げ・深める」
ための授業改善に活かしていきたい。
- 34 -
6
実践の概要
第3学年
①
授業日
9月15日(火)
4校時
3-2
(場所;3-2教室) 授業者
中野
礼子
1
学習を見る会
英語科
単元・題材名 Chapter2 Projectインタビューをしよう
全3時間中の2時間目
本時のねらい
インタビューをするためのまとまりのある質問文を書く。
本時の視点
インタビューのための文を書く場面で、グループ活動を取り入れ、生徒の興味に合わせた文
作りをすることで、生徒が活発に文作りに取り組む様子を見て下さい。
主な学習活動
時間
教師の活動・指導上の留意点等
学びの様子
めあて
<導入>
本時のねらいをつかむ。 10
・Warm-up
・前時のページを、ペアで会話す
Easy Questions のプリン
る。
トで疑問文の復習
・本時のページの疑問文の発音練 ・プリントを見ながらペア
習および答えの準備をする。
で協力して問答する。相手
を見ることができない生徒
が多い。
<展開>
・教科書 P.44,45 を復習
・教科書のインタビュー内容を確
認する。
5
・「会話でよく使う表現」は気持
ちを込めて、感情を入れて練習で
きるようにする。
・ALT のあとについて元気
に発音練習をしている。
・疑問詞・疑問文の文型のポイン
トを全体で確認する。
何について尋ねるかをグ
ループで決める。
5
・4 人グループを作り、自分たち
のグループのトピックを決める。
トピックを決め、インタ
ビューの英文をグループ
で考える。
・「インタビュー事前アンケート」
を参考にグループでインタビュー
の英文を考える。
20 ・必要に応じて辞書を使用させる。 ・進んで辞書を持ってきて
参加している生徒がいた。
・なるべく既習の文型で質問文を ・アイディアを出し合い、
つくる工夫をさせる。
英文作りを協力して行って
いた。
・質問文から、さらに発展した質 ・英文を書く用紙を回して、
問も考えておく。
作業を分担制にしている班
もあった。
インタビュー時の役割分
・グループのメンバー全員に役割
担をする。
をもたせる。
(質問文をメンバーで分担する。) ・できた質問文を確認し、
発音練習をする中で、発音
- 35 -
・時間があれば、インタビュー練 を教え合っていた。
習をする。
<終末>
まとめ
・英文作りに困っている班があれ
インタビュー内容を学級 10 ば、学級全体で考える。
で確認する。
・できたインタビュー内容を確認
振り返り
自分の班のインタビュ
ー文作成を振り返る。
する。
・活動を振り返り、次時の予告を
する。
2
学習を語る会
学習を語る会では生徒の学びの様子を丁寧に多くの先
生方に見ていただき、授業者としては分からない面を多
く気づくことができた。主に次のような意見が出された。
・問答形式のペアワークの時に、生徒同士向かい合って
会話ができるとよかった。プリントを見ているだけはペ
アで行っていることが生かされていない。
・グループでの活動時間がもっと欲しかった。授業初め
の復習時間を減らす必要があった。
・グループでは、互いに意見を交換する姿が多くみられ
た。英語が苦手な生徒も日本語で考えを出し、英文作り
をグループで行っていた。
・グループの中で自主的に辞書の担当となり、単語をよく調べている姿が見られた。
・英文作りで困っていることを学級全体で考える時間がほしかった。
・振り返りを個人で行う場面が欲しかった。
3 成果と課題
【 成 果 】
・生徒は4人グループでの学習に慣れてきて、協力するをする姿勢ができてきた。特に自己表現
活動では日本語でアイディアを出し合う場面で、英語が不得意の生徒も積極的に参加し、グルー
プで英文作りを行っていた。正確な英文でなくても、グループで英文を作ろうと頑張る姿が見ら
れた。また辞書を引いたり、文法を確認するために教科書を開いたり、自分でできることを行っ
てグループに協力し、学習していた。
【 課 題 】
・コミュニケーションが苦手な生徒が同じグループに集まっていて、活動が進まない班があった。
日々の人間関係作りを大切にしたり、また逆に活動を通して人間関係づくりを行えるような課題
を工夫していく必要がある。
・振り返りが必要であるが、教師がまとめる形で行ったので、生徒自身が振り返るための有効な
振り返りを考える必要がある。
4 まとめ
・生徒は4人グループで一斉授業の時よりもよく活動している。一人ひとりの活動を必要とする
課題を設定することで、自分の存在感を意識し、意欲的に取り組んでいる。教師指導で教える内
容、4人グループでの学習、学級全体の学習で、どのように、つながり、広がり、深める内容を
計画を立てることが必要である。
- 36 -
②
授業日10月21 日(水) 1校時 3-2
1 学習を見る会
音楽科
単元・題材名
(場所;音楽室) 授業者
「合唱を楽しもう」
山崎ひとみ
全8時間中の8時間目
本時のねらい
歌詞や曲想を感じ取って表現の工夫を行い、合唱の楽しさを味わうことできる。
本時の視点
パートごとに表現の工夫の確認をすることで、生徒がより自分たちが求めている合唱に近
づく様子を見て下さい。
主な学習活動
めあて
時間
教師の活動・指導上の留意点等
・「校歌」を伸び伸びと元気に歌い、楽しく学習す
る雰囲気をつくるようにする。
<導入>
5 ・次に歌う曲につなげていけるような声の出し方を
○既習曲を歌
考えて歌うように言葉をかける。
う。
・指揮は生徒が行い、意気を高める。
・「校歌」
・曲のイメージをもって歌うことによって、本時の
学習への意欲を高めるようにする。・パートリーダ
<展開>
ーから前時のよかったところ、最終的にチェックす
○曲の特徴や持
べきところを発表し、本番に最高の合唱ができるよ
ち味をとらえ
うに意識づける。
る。
・曲全体のニュアンスを感じながら歌うに投げかけ
・「 YELL」 10 る。
を歌う。
・本時がまとめであることを意識をさせて歌うよう
・表現の方法を
に伝える。
確認する。
・「語るような表現」・「訴えかけるような表現」・
「なめらかで世界が広がっていくような表現」・「訴
えかける表現」などの曲のイメージしながら表現の
工夫の確認をする。
・パートリーダーと指揮者、伴奏者から、よかった
点や課
題を発表することを伝え、全員でそれらの共通理解
をする。 ・「曲で 1 番強調したいところ」、「自分た
◎パートごと
ちのパートや他のパートの主旋律であるメロディー
に、表現方法や
ラインが生かされるような役割を感じて強弱の配
テンポ感、バラ
慮」などの確認を各パートごとにする。
ンスや響きなど
・情景を思い浮かべたり、歌詞の意味を感じ取りな
の表現の工夫の
がら、歌うにはどうしたらよいかを考えるように投
確認をする。
げかける。
・イメージを音楽で表すには、強弱記号や演奏方法
を書いた言葉の確認をして表現することを伝える。
・お互いの音が聴き合えるように、活動のしやすい
場の設定をする。
30 ・表現したいことが聴き手に伝わるようにしっかり
と発表できるように助言する。
・観点を挙げて、友達の発表のよさや工夫に気づく
ように聴き合い、コーラス大会にむけて、さらによ
りよい合唱につなげていけるように、感じたことを
発表しあうことを伝える。
・工夫したことが合唱でいかされるように思い切り
- 37 -
学びの様子
・表情もつけて歌っ
ていた。
・強弱をつけて歌っ
ていた。
・先生の指示を生か
そうとしっかりメモ
していた。
○男子
・表現の工夫の意見
をどんどん出してい
た。教師の確認で自
身にもつながってい
た。
・音の処理(伸ばす
長さ)の確認をして
いた。
・決められた時間の
中で結論を出そうと
努力していた。
・他のパートの意見
もきちんと聞けてい
た。
・意見を出さない生
徒もメモをしっかり
取っていたり、うな
ずいて確認してい
た。・
○女子
・指揮の工夫を促し
ていた。パートの話
し合いを聞きながら
皆の意見を大事にし
ながら進めていた。
・教師から広げても
らったアドバイスを
皆で意見を出し合っ
ていた。
・パートリーダーで
ありなが持ち場を離
・全員で混声合
唱を楽しむ。
表現するように伝える。
曲のイメージを膨らませて表現の工夫をしよ
としている
自分たちの思いを表現するために意欲的に活
動している
・指揮者から、よかった点や課題を発表することを
伝え、学級での練習に生かせるように助言する。
・コーラス大会の本番にむけて最終チェックを行
い、、クラスが団結して練習の成果を発揮してくる
よう言葉かけを行い、自信をもたせる。
<終末>
まとめ
・今日が本番の
つもりで緊張感 5
をもって歌う。
振り返り
・本時の授業がコーラス大会で発揮できるように伝
・実践した練習
える。
を継続する。
れ話がまとまらない
生徒もいた。
○全体
・クラス全体で自分
の意見を伝えられる
と同時に他の意見を
聞く雰囲気がある。
・提案、確認があっ
たことをメモをする
習慣ができている。
2 学習を語る会
・パートごとのみだけでなく、パート間の連携が
もてたことで表現の工夫がさらに深まっていった
のが感じられ、生徒が表現の工夫の意見をどんど
ん出していた。また、パートの話し合いを聞きな
がら皆の意見を大事にしながら進めていたのも大
事なことである。さらに教師から広げてもらった
アドバイスを皆で意見を出し合っており、教師の
確認で自信にもつながっていた。
・決められた時間の中で結論を出そうと努力しな
がら話し合い活動を進めていた。
3 成果と課題
【成 果】
・グループ活動は今までも意欲的に行えていたが、特に合唱におけるパートの話し合いが更なる
深まりを感じられるようになってきた。仲間のつぶやきを聞きながら皆の意見を大事にしながら
進めることができたり、提案・確認があったことや先生の指示を生かそうとしっかりとメモをす
る習慣ができていた。他のパートの意見もきちんと聞けていた。
・意見を出さない生徒もメモをしっかり取っていたり、うなずいて確認していた。
・話し合い活動が合唱の表現を高め、伸ばすことにつながってきている。
【課 題】
・仲間の意見を表現することができる生徒は多くなったが、限られた生徒ではあるがまだ自分の
意見が出せない生徒もいて、「つなげ・広げ・深める」ことが学級全体で全部の生徒ができてい
るわけではない。このことは特に「つなげ」の部分において携われないことを意味するのではな
いかと思う。
4 まとめ
・全員の生徒が1つの楽曲に対して少なくても1度は、自分の考えを発表できることが理想であ
る。この課題を目指すためには温かい学級の雰囲気作りや教師が環境作りである場の設定をしっ
かりと計画的に作らなくてはならないとさらに感じ、今回の経験を大切にし今後の指導に生かし
ていきたいと思った。
- 38 -
③
授業日10月23日(金)
1校時
3-3
(場所;3-3教室) 授業者
都丸
佑磨
1
学習を見る会
国語科
単元・題材名
夏草 「奥の細道」から
全6時間中の4時間目
本時のねらい
地の文の読み取りを通して、俳句に込めた作者の思いに迫らせる
本時の視点
作者の思いを考える場面で、視点をもって話し合いを行うことで、生徒達の作者の思いを
考える幅が広がる様子を見て下さい。
主な学習活動
時間
教師の活動・指導上の留意点等
学びの様子
めあて
地の文をもとに、俳句に込めた
芭蕉の思いを読み取ろう。
<導入>
○めあての確認をする。
・現代語訳を書いた、前時のワー
クシートを準備させる。
・地の文をもとにして、俳句の内
5 容を読み取り、芭蕉になったつも
りで、俳句を書いたときの気持ち
を考えていくことを伝える。
○「平泉」前半部分を音
読する。
・読点毎に区切って丁寧に読ませ
る。
○俳句の読み取りのポイ
ントを確認する。
[俳句の読み取りポイント]
①芭蕉がいる場所・実際に見てい
るもの・心の目で見ているものを
見つける。
②地の文の言葉を当てはめて想像
する。
③俳句を言い換えた文を地の文か
ら見つける。
④芭蕉になりきって想像する。
<展開>
○読み取りポイント①を
考える。
・「実際に見ているもの」→「夏草」、 ・自信が無く、発言が少な
「心の目で見ているもの」→「兵ど い。
もが夢の跡」と俳句の言葉で示さ
せ、芭蕉がいる場所を確認する。
○読み取りポイント②を
・俳句から見つけたものに当ては
考える。
3 まる言葉を地の文から見つけさせ
5 る。「夏草」、「兵ども」が、地の
文で具体的にどんなことを表して
いるのか確認し、イメージをもた
せる。
○読み取りポイント③を
・俳句全体を具体的に言い換えた
考える。
文(義臣~となる)を見つけさせ、
地の文の中に俳句の読み取りのヒ
ントとなる文があることに気付か
せる。
○「なぜ芭蕉は涙を流し
・「時の移るまで涙を流し」に注
たのか」についてグルー
目させる。
プで話し合わせ、俳句に
・「④芭蕉になりきって想像する。」
込めた芭蕉の思いを文章
を意識させ、文章を書かせる。
化する。
<終末>
・指名して発表させ、芭蕉の思い
- 39 -
・生徒Aと生徒Bは、2人
で考えを言い合いながら、
「夏草」が表す言葉を探して
いた。
・生徒Cが生徒Dに意見を
言うことで自分の考えをま
とめ、答えに結びつけよう
と努力していた。
・内容が把握できず、グル
ープで話し合いに参加でき
ない友だちへ、声をかけプ
リントを用いて説明しよう
とする姿が見られた。
まとめ
について考えたことを全体で共有
○ 芭 蕉 の 思 い を 発 表 す 1 させる。
る。
0
振り返り
○地の文→俳句への思
い、という流れを次の時
・次時の予告をする。
間でも行うということを
知る。
2 学習を語る会
・グループ内の生徒A、Bが話を進める。Aが
Bに自分の考えについて話し、Bの返答によっ
て、自分の中の考えをまとめ、グループ内で説
明する。グループ内で話しの中心になる人が、
自分の考えをみんなに話すことで、考えを整理
している様子が見られた。
・話し合うための資料が少なかったように思わ
れる。話し合わなくてはいけないという気持ち
はあるのだが、地の文の内容が理解不十分で、
話し合いが進まないといった様子が見られた。
・グループの中で上位層の人が出した意見に対
し、みんなすぐに納得し、深まりが見られなか
ったように見える。
・グループでの協同学習に入るまでの時間が長くなり、協同学習の時間が短く、ふり返りの時間
がとれなかったので、とれると良かった。
3 成果と課題
【 成 果 】
・グループ内で、疑問に思ったことに対して質問し合う姿が見られた。
・話し合う中で、グループの考えが広がるようなつぶやきが見られた。
・グループ内で、作業が進まない子に対して声をかける等のつながりが見られた。
【 課 題 】
・グループでの協同学習において、話し合いを深めるために必要な資料や既習事項、そして具体
的な主要発問の検討。
・グループでの協同学習が効果的に行われるような授業計画作成。
・クラス全体での意見の共有、個人でのふり返りの具体的方策。
4
まとめ
グループでの学び合いがまだまだ不十分だった。原因として、話し合うための資料の準備が不
十分だったこと、また資料のどの点に焦点を当てるかについての具体的な案が足りなかったこと
が考えられる。学んだことを生かして、グループでの協同学習が行われるような課題設定や授業
計画を考えていかなければならない。今回の授業では、「地の文」の読み取りが足りなかったこ
とと、「なぜ芭蕉が涙を流したのか」という主発問へ至るまでの流れが、話し合いの停滞につな
がった。校内研修のサブテーマである、「つなげ・広げ・深める」ところまでいけなかったが、
グループでの協同学習が活発に行われ、グループごとの言葉の違いについて細かく取り上げ、ク
ラス全体で共有、深化できるよう改善していきたい。
- 40 -
④
授業日 10月27日(火)
3校時
3-1(場所;3-1教室)
授業者
T1:小林 東洋
T2:坂口 延弘
1
学習を見る会
数学科
単元・題材名 関数 y=ax2
全15時間中の13時間目
本時のねらい
移動するものの様子を表、式、グラフからとらえることができる。
本時の視点
ジャンプ課題を解決する場面で、表をもとに、式やグラフを求める活動を取り入れることで、
生徒自らがどのような関数と関連する課題なのかを明らかにしていく様子を見て下さい。
主な学習活動
時間
教師の活動・指導上の留意点等
めあて
移動するものの様子を、
表、式、グラフからとら 5
えよう。
ワークシートを配布し、本時のめ
<導入>
分 あてと、課題内容を伝える。
本時のめあてを知る。
課題把握しやすいよう、課題内容
課題をつかむ。
に合った図を黒板に示す。
<展開>
学び合いのなかで、以下
のことを追求する。
①から順に求めなくてもよいこと
を伝え、表、式、グラフを相互に
関連づけながら、T さんと S さん
の進行の様子が明らかにできるよ
うにする。
①与えられた表から T
さんと S さんの進行
の様子がどのような関
数と関わりがあるか考 40 追求が行き詰まったグループは、
察する。
他のグループから必要な情報を集
めてもよいことを伝える。
② T さんと S さんの進
行の様子を式に表す。
必要な情報が得られたら、自分の
班に戻り、その内容を伝達させ、
③ T さんと S さんの進
自分の班の学習を深めるさせる。
行の様子をグラフに表
伝達する際、他の班に行った別の
す。
生徒を一度班に戻すことをルール
とする。
①~③を手がかりに、T
さんと S さんの位置が 分 班の全員が与えられた課題をどの
等しくなる時間と地点を
ように求めればよいかわかったら、
求める。
班を解体し、各自で答えを求めて
よいこととする。
解体した班から一人を指名し、ど
のような手順で、課題を解決した
か、振り返らせ、課題解決の手順
をクラス全体で共有する。
学びの様子
H君、G君とYさん気軽に
話せている雰囲気。G君は
H君を頼りにしている様子。
G君は伝えるのが好きな様
子。H君は困ったら先生に
聞こうというのが、基本ス
タンスの様子。
xの値が出てからyの値を
求めるのが難しかった。
HさんとN君は確認しなが
ら解決の筋道を探っている
様子。そこにK君が関わる
が、うまく解けない部分が
多い。HさんはK君に教え
ており、K君は疑問に思う
部分を素直に聞き返してい
る。
T君はO君、S君、Mさん
が静かに解く様子を見守り、
時々アドバイスをする。こ
のような場面が連続してみ
られた。O君、S君、Mさ
んはアドバイスを受けると、
うなずきながら答を導くこ
とができた。
他の班から情報を得る場面
は少なかった。
- 41 -
<終末>
まとめ
1次関数で表される S さんの式で
表だけでは解決できない
は、xの係数が S さんの秒速を表
事象も、式やグラフを相
すことを確認する。
互に関連づけることで、
課題解決につながること
がある。
5
等しく加速する運動は、
y=ax2 と関連している
分
振り返り
自分なりに、今日の学習
で最も有効であった情報
を振り返る。
自ら学べたと実感できた情報を赤
で囲むよう指示する。
2 学習を語る会
・ジャンプ課題であったが、気軽に話し合う様子が見られた。
・学びの様子を見ると、次(ア~エ)のような様子が見られた。
ア 伝えることが好きな A が B を頼りに話しかけ、2 人または班全員で A の話をもとに解決
の筋道を見いだそうとする(結論に自信が持てない場合は、教師に質問する班もあった)。
イ 課題をじっくり眺め、個々で解決→行き詰まったら班の友達にどうなったか聞く。
ウ スモールティーチャーのような役割を果たす友達が、自分がわかっていることを数学が苦
手な生徒に質問しながら教える。一人の生徒が中心となって班の共通理解を広げている。
エ 比較的数学が得意な生徒2名以上の生徒が先に解き方の確認をし、あまり得意でない生徒
にその内容を伝える。その際、伝えられた生徒は自分の意見・疑問をきちんと伝えている。
・「自分の班だけでは解決できないことがあったら、他の班に聞きに行ってもよい」という教師
の投げかけで動き出した班もあったが、何とか自分たちで解決しようとがんばっている班が多
かった。
・解決の手がかりが見いだせた班が、全体に考え方の一端を発表する場面があり、班相互の考え
がつながり、広がる様子が見られた。
3 成果と課題
【 成 果 】
・教え合う姿勢は多く見られ、それが気軽に聞き合え
る関係につながっているように見える。
・発言の内容が正しいか否かに関わらず、友達の発言
がきっかけとなって学び合いが深まっていく様子が
見られた。
・学び合うことで充実した、と感想を寄せた生徒がい
た。
【 課 題 】
・生徒や班相互の考えをつなげるタイミングを想定していなかった。どの内容を全体に広げるか、
事前に想定しておくと、「深める」活動も充実したと思う。
・同じ課題による授業でも、クラスによって支援等が異なる。対応策を立てるのが難しい。
4 まとめ
・ジャンプ課題をもとに生徒の力を高める学習は、課題設定や「つなぐ・広げる・深める」場面
想定など、まだ課題はあるが、実践を積み重ねることで生徒、教師それぞれが授業を楽しめる
ようになるのだろうと感じた。
- 42 -
⑤
1
授業日 11月4日(水)
5校時
3-1
(場所;3-1教室) 授業者
原田
諭
学習を見る会
社会科
単元・題材名
わたしたちくらしと経済
わたしたちの消費支出
全5時間中の
1
時間目
本時のねらい
将来の家計を予測し、検討することで、収支と支出のバランスとかしこい消費生活のあり方について
考える。
本時の視点
1か月の消費行動を考える場面で、具体的な金額を割り振らせることで、生徒が意見交換を
しながら消費の内容を工夫する様子を見て下さい。
主な学習活動
時間
教師の活動・指導上の留意点等
学びの様子
今日の気になったニュ 5
ースを書く。
めあて
かしこい消費生活のあり
方を考えよう
<導入>
本時のめあてを確認する 5
学習内容を確認する
<展開>
将 来 の 生 活 設 計 を 考 え 30 ・貯蓄のことを考えている生徒の
・どうしたら安い金額で消
る。1か月の消費行動を
内容を発表させ、貯蓄も大切なこ
費行動を抑える事ができる
考える。
とであることを確認させる。考え
か、話し合い考えながら金
(一人で5分程度)
ている生徒がいない場合は、教師
額を書き込んでいた生徒が
側から問いかけを行う。
いた。
グループで意見交換を行
・住居の項目に「家賃」の考えが
・貯蓄と消費支出のバラン
い、よりよい消費行動を
ない生徒に、投げかけを行う。
スをとることが難しい生徒
考える。
・教科書P 109 で全国の平均を見
が多く見られた。
て、自分のたてた消費行動と比べ
・既習事項を思い出しなが
させる。
ら、生活を安定させるには
・優先順位をつけ消費行動を行う
どのようにしたらよいのか、
ことが大切であることを確認する。 話し合い考えていた。
<終末>
まとめ
消費支出について確認を 5 ・資料集P 86 で消費支出の項目や
・以外とお金がかかってい
する。
内容を確認する。
ることに驚いている生徒が
一生にいくら消費してい
・資料集P 86 で確認する。
多かった。
るのかを確認する。
・親のやりくりの大変さや
振り返り
難しさに気付き、感謝の気
授業の感想を書く
5
持ちが出ていた生徒もいた。
- 43 -
2
学習を語る会
・生徒は、実際どの項目にどれくらいのお金をかけて生
活しているのかがよく分からず、収入を分配するのが難
しそうであった。特に、どの項目を削って貯蓄を生み出
すべきなのか、生徒せれぞれの意見があり、聞いていて
面白いグループもあった。
・まわりの友達の意見を聞きながら何か意見を言おうと
している様子であるが、声が小さくて聞き取りにくい生
徒もいた。声は大きくなくてもよいので、はっきりと発
言する習慣をつけさせた方がよいのではないか。
3
成果と課題
【 成 果 】
・生徒の学びの様子を先生方に確認していただいたので、生徒がどのような発言や会話をしなが
ら、課題に取り組んでいるのかが分かり、今後の授業改善の参考になった。
・グループで活動することがスムーズに行えるようになった。聞いているだけの生徒も、自分の
考えや意見を発表できるようになり、話し合いに参加できるようになってきた。そして、まわり
の意見に耳を傾けることが自然とできるようになった。相づちを入れながら意見を聞くことがで
きる生徒が増え、話し合いが盛り上がるようになってきた。
・友達の意見を聞きながら、多様な考えがあることを知り、共感することができる生徒が増えて
きた。
【 課 題 】
・まだまだ、話し合いの域をこえていかない。グループ内でも「つなげ・広げ・深める」学習を
展開するのは、うまくいかない。つなげ・広げることはグループ内では、少しずつではできるよ
うになってきているが、深めるまでいかない。生徒たちが深めるところまで行く前に課題が終了
したと感じている。ここで、教師側が何か手を打つ必要がある。どの場面でどのような手段を講
じたよいか、これからの研修の課題にしていきたい。
・学級全体で「つなげ・広げ・深める」ことができていない。生徒の意見をうまく活用できず、
全体で共有することができない。共有できたとしても、考えを深めるまで達することができない。
深めさせようとすると、教師主導の展開にどうしてもなってしまう。なので、友達の意見や考え
から、自分の意見を再考したり新たな気づきを得たりすることができていない。
4
まとめ
・課題設定の重要性を改めて実感した。社会科においては、どの場面でも協同的な学習が展開で
きるとは限らないと考えている。協同的な学習が効果がより出やすい課題を厳選していく必要が
ある。先生方に生徒の学びの様子を見ていただき、ご意見をもらうことができる貴重な機会なの
で、学習を見る会を有効活用していきたい。自分自身の授業改善の参考にしていきたい。
- 44 -
⑥
授業日12月3日(木)
2校時
3-2
(場所;理科室) 授業者
1
河合
真志
学習を見る会
理 科
単元・題材名 地球と宇宙
全8時間中の5時間目
本時のねらい
公転モデルを用いて、1年間の星座の見え方を、時刻と方位を関連づけながら理解することができる。
本時の視点
月ごとの12星座の見える時刻と方位の関係を考える場面で、地球の公転モデルを用いて、
俯瞰的に太陽と地球、星座の関係を4人グループで調べることで、生徒が学んだ知識を活用し、
月ごとの時刻や方位を関連づけて、見える星座を見つける様子を見て下さい。
主な学習活動
時間
教師の活動・指導上の留意点等
学びの様子
<導入>○前時までの、 5 ・地球の自転による、太陽や星座 ・復習内容についてよくプ
復習する。
の日周運動について学習したこと リントに書き込んでいる。
【めあて】地球の公転モデ
を振り返る。
・方位の決め方についてよ
ルを使って、1年間の星座
・北極の方向が北になることから、 く話を聞いている。
の見え方を調べる。
反対向きが南、南を向いて左手が
東ということを復習する。
○季節ごとの真夜中に南 5 ・教室の中央に太陽、季節の代表 ・既習事項を活かして課題
中する星座や時刻につい
的な4つの星座を壁に掲示し、生 に取り組んでいる。
て、クラスで考える。
徒が地球に見立てた半球をもって、
地球に立っている視点で、正午、
夕方、真夜中、明け方の時刻のと
<展開・ジャンプ課題>
きの向きを確認する。
○地球の公転モデルを用 20 ・12星座を用いた地球の公転モ ・班のリーダー的存在の人
いて、12星座の月ごと
デルの使用方法を確認する。(虫ピ を中心にして、役割分担を
に見える星座を、時刻や
ン・地球の白い部分が太陽の光の している。
方位と関連づけて4人グ
当たっている部分、誕生月の星座 ・指で方位を確認しながら、
ループで調べる。
は誕生月に太陽の方向にあること) 見える星座について考える。
・方位について南を向いたときに 班員と確認しながら、法則
左手の方向が東、時刻は正午、夕 性を見つけることができる。
方、真夜中、明け方の4つで考え ・生徒の中で多様な思考が
ることを確認する。
ある。
・誕生星座が太陽と同じ方向にあ ・なかなか答えにたどり着
るときに真夜中、南中する星座を かないグループが多く、ジ
代表生徒のものを例にクラス全体 ャンプ課題に意欲的に取り
で考えることで、習熟度を確認す 組んでいる。
る。
・モデルを用いて、地球を
・公転による月ごとの地球の場所 動かす班と、星座を動かす
と時刻や方位を関連付けながら、 班がある。
12月の星座の見え方や、しし座 ・自分でモデルを使って確
の見え方を4人グループで考えさ 認し、班員の言ったことを
せる。
聞き、安心して書いている。
○意見を出し合い、明け 15 ・生徒の意見を引き出しながら、 ・プリント上の図や、モデ
方、しし座が西の空に見
しし座が明け方に西の空に見える ルを用いて考えている。
えるのは何月かを考え
位置に虫ピンを置かせ、時刻と方
る。
位を関連づけながら解決させる。
<終末>まとめ
○季節や時刻によって、
・地球が公転し、地球上のいる場
各方位に見える星座が変 5 所が時刻で変わることで、星座の
わることを理解する。
見え方を変わることを理解する。
2
学習を語る会
- 45 -
生徒は興味をもって、演示の説明やモデル
を用いた実習を行っていた。教科書の実習と
同じモデルを作成して行ったため、興味をも
って考えることができた。また、教科者やプ
リントで確認をしながら実習を進めることが
できた。
1年間の星座の見え方を、時刻と方位を関
連付けながら理解する場面では、既習事項を
活かして星座の見える方位を考えることがで
きた。その際、班のリーダー的存在の人を中
心にして、役割分担をしている班が多かった。
指で方位を確認している生徒も自分なりの答
えがでると友達に確認をしていた。しかし、
リーダー的存在の班員が、答えにたどり着く
まで、黙っていて頷いている生徒も見られた。
「明け方、しし座が西の空に見えるのは何
月かを考える」という場面では、内容が高度
であったため、ジャンプ問題としても適切で
あったと考えられる。協同的に聞き合う活動
を取り入れることで、正解までたどり着く班
もあった。ただし、理解が不十分な生徒もまだ
多いので、生徒の理解した順序に沿って、振り返りをしていく必要がある。
3 成果と課題
【 成 果 】
・協同的に話し合うことで、自分の考えだけでは理解できなかった星座の見え方を理解できた。
・既習事項を振り返り、班員の考えを聞くことで、考える着目点を把握することができた。
・考えたことを発表できる雰囲気づくりをすることで、多様な考えをもつことができた。
【 課 題 】
・よい意見や考えの深まりがあっても教師がそれを把握するのが難しかったため、子どもの変容
を見取る手立てを考えていきたい。
・リーダー的な存在の人に任せる時間が多くなってしまう班員がいる。
4
まとめ
協同的な学習をすることにより、生徒は自分の考えを安心して発言できるようになる。わから
ないところを友達同士で聞き合い、これからの学び合いに活かしていきたい。また、話し合いが
活発になると、1 つの考えに対して深く考えることができたり、対立した意見のそれぞれの考え
を聞き合ったりできるようになる。今後は問題解決的な学習を取り入れて、生徒の考えをゆさぶ
る発問や実験を心がけていく必要がある。
- 46 -
⑦
授業日12月16日(水)
3校時
3-2
(場所;3-2教室) 授業者
橋本瑞希
1 学習を見る会
技術家庭科 単元・題材名 これからのわたしと家族
全3時間中の1時間目
本時のねらい
家族との会話の例の意図や受け取り方を考える活動を通して、家族の一員としてのより良いあり方を
工夫することができる。
本時の視点
*家族との会話の受け答えを「肯定的」「否定的」のふたつの側面から考え、グループで意
見を共有し合う活動を通して、生徒が家族とより良い関係を築いていくために、自分のあ
り方を創造していく様子を見て下さい。
主な学習活動
時間
めあて
家族の一員として、よ
り良いあり方を考えよ
う。
教師の活動・指導上の留意点等
学びの様子
<導入>
2
・学習の流れをつかむ。 分 ・ワークシートを配布し、今後の
・本時のめあて知る。
家庭科の学習の予定と、本時の
めあてを伝える。
・家族に日頃言われて
・進学や成長に伴って、家族に支
「うれしい気持ち」
「い 5
えてもらったこと、今後自分も
やな気持ち」になるの 分
家族を形成していくという面か
はどのような言葉か考
ら、家族とより良い関係を築い
える。
ていくことの大切さを伝える。
<展開>
○家庭で起こりうる問題
の事例に対し、
「肯定的」
「否定的」の二つの見
方で受け答えやその後
の気持ち、行動を考え
る。
・自分のことに置き換えて
考えている生徒が多かっ
た。
・グループで意見を共有す
る前に個人で考えていた。
・「肯定的」「否定的」の二つの側 ・なかなか書けない生徒が
面からどのようにとらえるか考
多い。
えられるように、日常生活で起
こりうる問題の事例を二つ示す。 ・4人がそれぞれの意見を
(自分の考えを持てるよう、個
発表しているが、それに
人で考える時間を設ける)
対して他の生徒はプリン
2
トに書いているが、それ
0 ・「肯定的」「否定的」にとらえる
だけで終わっていた。し
分
と自分はどのような気持ちや行
か し 、「 ど ん な ふ う に 答
動をとるか予想させ、グループ
えたらいいと思う?」と
で話し合い、互いの考えを共有
いう教師の声がけから意
できるようにする。
見交換が始まった。
・自分の気持ちだけではなく、ど
うしてそのようなことを言った
のか家族側の気持ちも考えられ
るように声がけをする。
・自分の体験について話を
して、共感したり、反対
に意見を言い合う姿が見
られた。
・他の人の考えは青ペンで書き足
すように伝える。
・「 肯 定 的 」 な 考 え 方 に つ
いて書けなかった生徒も、
他のグループの意見を聞
き、自分の考えを書き始
めた。
・ひとりひとり考えが違っても良
いということを確認する。
○他のグループの考えを 1 ・生徒が考えたことから、家族と
聞き、自分の考えを深 5
の関係をより良くしていくこと
める。
分
が自分の生活の基盤を豊かにし
ていくことを確認する。
・互いに理解し合うこと、協力し
ていくことの大切さに気付くこ
とができるようにする。
- 47 -
・発表者の意見を静かに聞い
ていた。
・「 否 定 的 」 に 対 す る 考 え
の発表があった際に、ま
たグループに戻って話し
合う(盛り上がる)様子
がみられた。
・「バッドアンサー」と「ベ
ストアンサー」をクラス
全体で共有し、まとめに
つなげた。
<終末>
まとめ 振り返り
8 ・次回以降の「家事行程表づくり」
・今後、家族に対し、自 分
に家族の中での協力、かかわり ・ひとりひとり授業の振り
分はどのようなあり方
方としてつなげていけるように
返りができていた。
で生活していくべきか
言葉がけをする。
考える。
2
学習を語る会
学習を語る会では、参観していただいた先生方に、普段は見取ることのできない生徒の様子を
細やかに教えていただいた。生徒は身近な内容ということもあり、積極的に学習に参加していた
様子だった。「肯定的」と「否定的」、どちらかの側面からしか書けない生徒もいたが、他の生
徒の考えを聞いたり、話し合ったりするうちに自分なりの考えを持つことができていた。また、
親と自分、肯定と否定という四つの側面から考えることにより、多様な思考ができ、意見共有が
活発になったようだった。しかし、検討すべき点として、他のグループの考えを聞き、クラス全
体で共有し合う場面で授業のまとめが教師主体になっていたことがあげられた。「お互いを理解
する、思いやる」という授業のまとめは、生徒から出させたかった、生徒が出すことができたと
いう意見もいただいた。
3 成果と課題
【 成 果 】
身近な課題を設定し、グループでの活動時間を多くとったことで、生徒が実体験や今までの経
験をもとに、積極的に学ぶことができた。また、グループ内で相反する意見があった際に、自分
の考えをしっかりと述べる姿が見られた。 課題が生徒の生活に関わる身近な内容であったこと
から、グループでイニシアチブをとる生徒もなく、どの生徒も同じ立場で学び合う様子が見られ
た。
【 課 題 】
授業では課題として示す問題の事例を二つ提示したが、限られた時間の中で生徒が考えを深め
ていくためには、提示する問題の数も検討していかなければいけない。課題の難易度や場面設定
も、よりねらいに近づき、学びが深まるよう工夫・検討が必要であると感じた。
クラス全体で生徒が考えを共有する時間は、生徒が疑問に思ったことやつまづきを広げていけ
るよう、教師の発話をよく考え、研修していきたい。また、今回の授業では個人で振り返る時間
が十分にとれなかった。振り返りを充実させ、自分の授業改善や生徒の学びを見取ることができ
るようにしていきたい。
4
まとめ
協同的な学びを授業に取り入れるにあたって、教師の準備、教材研究が重要である。教具やワ
ークシート・教師の発問は、生徒の学びを引き出すためにはまだまだ不十分であった。今後も生
徒主体の学習を展開し、自ら生活に関する問題を発見し、解決していけるよう、研修と通して学
んでいきたい。
- 48 -
第3学年のまとめ
第3学年における研究の成果と今後の課題
3学年では、先に例示した美術科、英語科、音楽科、国語科、数学科、社会科、理科、技術・
家庭科の実践をもとに、学習を見る会では、課題に対し、グループ学習で一人一人がどのような
学びができているかを、学習を語る会では、課題に対して生徒の考えや意見がどのようにつなが
り広がっていっているかということに視点を当てて研究に取り組んだ。その結果、次のような成
果と課題が挙げられた。
1
研究の成果
○主体的に学ぶ生徒の姿
・グループ学習で、それぞれが自分ができることを考え、辞書や資料を使って、自分達で課
題を解決しようとする姿が見られた。
・グループ学習や全体での共有場面で、自分の意見を自信をもって伝える姿や、他の意見を
うなずきながら聞く姿が見られた。
・自分の意見を出せない生徒も、メモをしっかり取っていたり、うなずいていたりして、学
びを深めている姿が見られた。
○確かな学力を身に付けた生徒の姿
・グループ学習で、相互に意見を交換することで、自分の理解が確認できたり、考えを整理
して意見を言えたりする姿が見られた。
・グループ学習で、友だちの発言がきっかけとなり、意見が出せなかった生徒も自分の疑問
や考えを出せるようになった場面が見られた。また、解決の手がかりを見いだせたグルー
プが、考えの一端を学級全体に発表し、他のグループが解決の方向へ向かう様子も見られ
た。
2
今後の課題
学び合いを進めていく上で核となるグループ学習で、話し合いが発展していかないグルー
プが見られた。考えが広がらない生徒やグループに対して、教師がどう関わっていくかが課
題である。そして、各教科の特質を生かした課題設定という点で、既習事項をどう生かして
いくかを考え、協同的な学習の効果が期待される授業構想を工夫していかなければならない。
また、学び合いが成立するために生徒にとってやや高め
の課題設定を考えていく必要がある。
学習のまとめでは、本時を振り返り、本時で学んだ
ことを整理することが大切である。そのために、生徒の
意見を上手く活用し、生徒自身が本時の学びを自分の言
葉でまとめていけるように工夫していきたい。
- 49 -
7
生徒へのアンケート
全校生徒に、授業に取り組む様子について、次のようなアンケート調査を実施した。
その結果は以下の通りである。
①
②
③
④
⑤
⑥
わ た し は ,今 日 何 を わ た し は ,ペ ア 学 習 わ た し は , 学 ん だ こ わたしは,授業中,友 わ た し は , グ ル ー プ グ ル ー プ 学 習 で , メ
学ぶか目的意識を やグループ学習に と を 学 習 に 活 か し 達の話や発言をよ 学 習 で い ろ い ろ な ン バ ー の 意 見 を も
も っ て 授 業 に 取 り 積 極 的 に 取 り 組 ん ている。
く聞いて考えを深め 考 え を 知 っ て 自 分 と に , 自 分 の 考 え を
組んでいる。
ている。
でいる。
の考えを深めること つなげたり広げたり
ができた。
深 めたりできました
か。
選択肢1
14%
24%
15%
21%
21%
25%
選択肢2
69%
58%
63%
62%
59%
53%
選択肢3
16%
17%
21%
15%
18%
18%
選択肢4
1%
1%
1%
2%
2%
4%
⑦
⑧
⑨
⑩
⑪
⑫
グ ル ー プ 学 習 を し グ ル ー プ で 学 習 す わたしは,授業中,自 わ た し は ,人 の 考 え わ た し は , 授 業 中 、 グ ル ー プ 学 習 で 話
て よ か っ た と 思 う こ る と , メ ン バ ー の 意 分 か ら 分 か ら な い と 自 分 の 考 え を 比 自 分 の 考 え を 発 表 し合ったことを,学級
とがありますか。
見 が 参 考 に な り ま こ と を 友 達 に 聞 い べ て 考 え な が ら 授 した り,表 現 した りし 全 体 で さ ら に , つ な
したか。
た り , 先 生 に 聞 い た 業 に 取 り 組 ん で い ている。
げたり広げたり深
りしている。
めたりできました
る。
か。
選択肢1
38%
43%
22%
14%
13%
18%
選択肢2
46%
45%
48%
56%
38%
55%
選択肢3
13%
9%
28%
28%
39%
22%
選択肢4
3%
3%
2%
2%
10%
6%
回答数
選 択 肢 1 : よ く で き て い る ,何 度 も 思 う 。
322名 ( 回 答 率 9 6 % )
選 択 肢 2 : ま あ ま あ で き て い る ,時 々 思 う
選 択 肢 3 : あ ま り で き て い な い ,あ ま り 思 わ な い 。
選 択 肢 4 : 全 く で き て い な い ,思 わ な い 。
アンケート項目①②③から、約8割の生徒が目的意識を持ったりペア学習や
グループ学習に積極的に取り組んだりしている。アンケート項目④⑤⑥から、
協同的な学習において、互いに自分の考えと人の考えを比べながら、学びを深
めている様子がうかがえる。また、アンケート項目⑦⑧から、グループ学習に
満足感を持ち、他の生徒の意見を参考に学び合っている様子がうかがえる。こ
れらのことから、グループ学習で生徒が主体的に学んでいる様子が伺える。
しかし、アンケート項目⑨⑩から、分からないことを聞けない、他の生徒の
意見と自分の意見を比較できないという生徒が3割いることが分かった。アン
- 50 -
ケート項目⑪⑫から、約半分の生徒が自分の考えを表現していないと回答して
おり、約3割の生徒がグループで話し合ったことを学級全体でさらにつなげた
り広げたり深めたりできていないことが分かった。
8
まとめ
昨年度の研究において、4人グループを基本に協同的な学習を進め、本年度
は、さらにその学び合いをどうつなげ、広げ、深めていくかということに視点
をあてて研修をしてきた。学習を見る会、語る会や生徒へのアンケートを通し
て、以下のような成果と課題が挙げられる。
1
研究の成果
○主体的に学ぶ生徒の姿では、以下のような様子が見られた。
・本時のめあてを示すことで、学習に向かう目的意識を持たせることが
でき
た。
・生徒が今まで学んだことを確認しながら、教科書や辞書、資料集など
を活
用して、学ぶ姿が見られるようになった。
・協同的な学習を継続して取り入れてきたことで、生徒が自分から発表
したり、学び合おうとする主体的な姿が見られるようになった。
○ 確 か な 学 力 を 身 に 付 け た 生 徒 の 姿 で は 、以 下 の よ う な 様 子 が 見 ら れ た 。
・自分で疑問に思ったことを何ページを見ればよいか、友達同士で話し
合っって課題を明確にする姿が見られるようになってきた。
・自分の考えを言うだけの発表会ではなく、友達の考えを聞いて、自分
の考えと比べ、さらによりよい解決方法はないかグループで考える様
子が見られた。
・分からないことや疑問に思うことを出し合いながら、仲間と協力し合
って考えを深め合う様子が見られた。
2
研究の課題
本年度の課題として、グループ学習では発言ができても、全体では発
言ができないという生徒が見られ、グループ学習での学び合いが、学級
全体につなげ、広げ、深まっていくところまではあまり見られないこと
が挙げられる。同様に、ワークシートによいことが書いてあってもそれ
を交流するということが苦手な生徒が見られる。生徒が疑問に思うこと
や分からないことを出し合い、身に付けた知識や技能を活用して、課題
を自分たちで解決することができるようにさらに単元の位置づけや本時
の学び合いの授業構想を工夫していきたい。
- 51 -
お
わ
り
に
教育目標「自ら学び、自ら考える力を持ち、知・徳・体の調和のとれた子持の生徒を育成す
る」(〔自主〕自ら進んで学習できる生徒、〔協力〕豊かな心をもち協力できる生徒、〔根気〕責
任を持ってやり抜く生徒、〔気力〕たくましい気力を持ち進んで体を鍛える生徒)の具現化のた
め、本校では、研究主題「主体的に学び、確かな学力を身につける生徒の育成」、副題-「つな
げ・広げ・深める」協同的な学習を通して-として取り組んできました。
昨年度から、協同的な学習に取り組み、本年度は二年目になりました。昨年度の内容をさら
に進化・統合し、グループ内で課題を確認したり、課題解決に向けて考えを聞き合ったりしな
がら、学び合いを深めてきました。
研究の成果と課題は紀要にまとめられている通りですが、来年度は、今年度の研修を引き継
ぎ、グループでの学び合いを学級全体にどうつなげ、広げ、深めるか、また、学んだことをど
う活用させていくかについて研修していきたいと考えています。
最後になりますが、本研究を進めるにあたりご指導いただきました群馬大学教育学部
濱田
秀行先生、、渋川市教育委員会をはじめ、ご支援ご協力をいただきました多くの皆様に心より感
謝申し上げます。
研 究 に 携 わ っ た 職 員
校
長
上原
志之夫
3年職員
中野
礼子(英)
主幹事務長代理
岸
教
頭
村山
聡
〃
小林
東洋(数)
養護教諭
髙山
妙子
教務主任
大久保純夫(美)
〃
河合
真志(理)
栄 養 士
萩原
幸江
研究主任
坂口
延弘(数)
〃
都丸
佑磨(国)
技 術 員
佐藤
弘之
1年職員
星野
悟
(体)
〃
原田
諭
〃
上村
雄一
〃
田中
学
(国)
〃
橋本
瑞希(家)
図書補助
山田
耐子
〃
倉澤
歩
(体)
こもちね
塩谷
敏昭(特)
カウンセラー
柳澤
一子
〃
北田小夜子(英)
ひまわり
山崎ひとみ(特)
支 援 員
小幡美代子
A L T
クリスタル ランプティ
2年職員
清水
浩
(国)
〃
田部井孝行(理)
〃
唐澤
忍
〃
松岡
大樹(社)
〃
川端
浩美(数)
〃
松林
達浩(技)
〃
福田
華子(体)
(英)
(社)
紀子
長 期 研 修 員 大須賀光洋(英)
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