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F男性
サインバルタカプセル
2.7.2 臨床薬理試験
サインバルタカプセル 20mg,同 30mg
― 線維筋痛症に伴う疼痛 ―
第 2 部 (モジュール 2) : CTD の概要 (サマリー)
2.7 臨床概要
2.7.2 臨床薬理試験
塩野義製薬株式会社
サインバルタカプセル
2.7.2 臨床薬理試験
目次
略号一覧表 ..................................................................................................................................................... 3
2.7.2 臨床薬理の概要 ................................................................................................................................. 4
2.7.2.1 背景及び概観 .................................................................................................................................. 4
2.7.2.2 個々の試験結果の要約 .................................................................................................................. 4
2.7.2.3 全試験を通しての結果の比較と解析 .......................................................................................... 5
2.7.2.3.1 母集団薬物動態解析 ............................................................................................................... 5
2.7.2.3.1.1 性別と喫煙の影響 ................................................................................................................ 6
2.7.2.3.1.2 投与量の影響 ........................................................................................................................ 7
2.7.2.3.1.3 年齢の影響 ............................................................................................................................ 8
2.7.2.3.1.4 民族の影響 ............................................................................................................................ 9
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2.7.2 臨床薬理試験
略号一覧表
Cav,ss
Cmax
CL/F
F
Ka
PPK
Tmax
V/F
定常状態の平均血漿中濃度 (Mean plasma concentration at steady state)
最高血漿中濃度 (Maximum plasma concentration)
見かけの全身クリアランス (Apparent total body clearance)
生物学的利用率 (Bioavailability)
吸収速度定数 (Absorption rate constant)
母集団薬物動態 (Population Pharmacokinetics)
最高血漿中濃度到達時間 (Time to maximum plasma concentration)
見かけの分布容積 (Apparent volume of distribution)
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2.7.2 臨床薬理試験
2.7.2 臨床薬理の概要
2.7.2.1 背景及び概観
線維筋痛症患者を対象とした海外第 3 相プラセボ対照試験 (Protocol No. HMEF) で,血漿中
デュロキセチン濃度を測定した.2.7.2 では,線維筋痛症患者,及び他の適応疾患患者を対象と
し た 各 臨床 試 験 で得 ら れた 血 漿中 デ ュ ロキ セ チン 濃 度 を基 に 実 施し た 母集 団 薬物 動 態
(Population Pharmacokinetics: PPK) 解析の結果を示した.
なお,糖尿病性神経障害に伴う疼痛を効能・効果とした製造販売承認申請時以降,新たな臨
床薬理試験は実施していない.健康成人被験者 (性別,年齢),肝機能障害患者,腎機能障害患
者,及び授乳婦を対象とした薬物動態の検討については,糖尿病性神経障害に伴う疼痛を効能・
効果とした製造販売承認申請資料 2.7.2 に示した.
2.7.2.2 個々の試験結果の要約
HMEF 試験は,観察期,27 週間の急性治療期,29 週間の継続期,2 週間の漸減期の 4 期で構
成された.観察期終了後,被験者をデュロキセチン群又はプラセボ群 (割付比 1:1) に無作為
に割り付けた.デュロキセチン群では,急性治療期の最初の 1 週間は 30 mg を,その後 12 週間
は 60 mg を 1 日 1 回投与し,定常状態における血漿中デュロキセチン濃度を測定するため,投
与開始後 4 週時と 8 週時に採血した.
デュロキセチン群 131 例から得た 235 点の血漿中デュロキセチン濃度推移を,図 2.7.2.2-1 に
示した.
図 2.7.2.2-1
線維筋痛症患者における血漿中デュロキセチン濃度推移
M5.3.5.1-05 Appendix 16.1.15.3 Figure 1 より引用.
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2.7.2 臨床薬理試験
2.7.2.3 全試験を通しての結果の比較と解析
2.7.2.3.1 母集団薬物動態解析
海外で線維筋痛症患者を対象とした HMEF 試験 (60 mg 1 日 1 回投与),大うつ病性障害患者
を対象とした HMAQ 試験 (20 mg から 60 mg まで漸増による 1 日 2 回投与),HMAU 試験 (20 mg,
40 mg 又は 60 mg 1 日 2 回投与),
糖尿病性神経障害に伴う疼痛患者を対象とした HMAVa 試験 (60
mg 1 日 1 回又は 1 日 2 回投与),腹圧性尿失禁患者を対象とした SAAW 試験 (20 mg 1 日 1 回,
20 mg 1 日 2 回又は 20 mg から 40 mg まで増減による 1 日 2 回投与) において,血漿中デュロキ
セチン濃度を測定し,全てのデータ (594 例,2002 点) を用いて PPK 解析を実施した.
経口 1-コンパートメントモデルを基本モデルとし,共変量候補として投与量,投与方法 (1
日 1 回又は 1 日 2 回),年齢,体重,性別,民族,喫煙習慣,試験 (疾患) の影響を検討した.
最終的に得られたモデルパラメータを表 2.7.2.3-1 に示した.
見かけの全身クリアランス (CL/F) 及び見かけの分布容積 (V/F) の個体間変動は各々58.9%
及び 96.6%と大きな値を示した.薬物動態に及ぼす試験間の違い (Protocol No. HMEF,HMAQ,
HMAU,HMAV,SAAW) による影響は有意なものではなく,同一用量のデュロキセチンを投与
した後の血漿中濃度は,線維筋痛症,糖尿病性神経障害に伴う疼痛,大うつ病性障害及び腹圧
性尿失禁の患者間で同程度であることが示唆された.また,体重及び投与方法は有意な共変量
ではなかった.一方,性別,喫煙習慣,年齢,民族及び投与量は有意な共変量となり,それら
の薬物動態に与える影響について 2.7.2.3.1.1~2.7.2.3.1.4 に示した.
なお,吸収速度定数 (Ka),CL/F,及び V/F は,民族間の影響を除き,うつ病・うつ状態を効
能・効果とした製造販売承認申請資料 2.7.2.3.6,及び糖尿病性神経障害に伴う疼痛を効能・効
果とした製造販売承認申請資料 2.7.2.3.6 に示した PPK 解析の結果と類似していた.
表 2.7.2.3-1
最終 PPK モデルパラメータ
パラメータ
推定値 (標準誤差)
個体間変動 (標準誤差)
Ka (hr-1)
0.168 (14.8%)
CL/F (L/hr)
45.1 (3.26%)
58.9% (8.39%)
CL/F に及ぼす 1 日投与量の影響 a
-0.00446 (20.3%)
CL/F に及ぼす年齢の影響 b
-0.00725 (31.7%)
V/F (L)
814 (13.3%)
96.6% (15.9%)
V/F に及ぼす民族の影響 c
1.02 (38.8)
F に及ぼす喫煙の影響 d
-0.298 (13.9%)
F に及ぼす性別の影響 e
-0.389 (9.13%)
相対誤差
30.8% (7.65%)
絶対誤差 (ng/mL)
5.17 (13.6%)
M5.3.5.3 Table 2.7.2.1.より引用.
a CL/F = 45.1 × exp (-0.00446 × 投与量).
b CL/F = 45.1 × [1-0.00725 × (Age-49)].
c V/F (ヒスパニック患者) = 814 × (1+1.02).
d F (喫煙者) = F (非喫煙者) × (1-0.298),F (非喫煙者) = 1.
e F (男性) = F (女性) × (1-0.389),F (女性) = 1.
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2.7.2 臨床薬理試験
2.7.2.3.1.1 性別と喫煙の影響
PPK モデルで予測される血漿中デュロキセチン濃度推移に及ぼす性別及び喫煙の影響を図
2.7.2.3-1 に示した.
生物学的利用率 (バイオアベイラビリティ,F) に性別と喫煙の影響が認められ,男性は女性
に比べ 38.9%低く,喫煙者は非喫煙者に比べ 29.8%低かった.また,同一用量のデュロキセチン
を投与した場合,女性は男性に比べ定常状態の平均血漿中濃度 (Cav,ss) が約 64%高く,非喫煙者
は喫煙者に比べ Cav,ss が約 43%高かった.しかし,図 2.7.2.3-1 で示した定常状態における血漿
中濃度のシミュレーションの範囲は大きく重なっており,デュロキセチンの血漿中濃度の変化
に及ぼす性別及び喫煙の影響は,血漿中濃度のばらつきに比べ大きくないと考えられた.
図 2.7.2.3-1
血漿中デュロキセチン濃度推移に及ぼす性別及び喫煙の影響
M5.3.5.3 Figure 2.7.2.1 より引用.
左上:非喫煙女性 (実線) 非喫煙男性 (破線).右上:喫煙女性 (実線) 喫煙男性 (破線).
左下:非喫煙女性 (実線) 喫煙女性 (破線).右下:非喫煙男性 (実線) 喫煙男性 (破線).
49 歳 (中央値) の患者に 60 mg 1 日 1 回投与した時の定常状態における濃度.
1000 回シミュレーションした時の濃度の中央値,5%値及び 95%値.
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2.7.2 臨床薬理試験
2.7.2.3.1.2 投与量の影響
PPK モデルで予測されるデュロキセチンの CL/F に及ぼす投与量の影響を図 2.7.2.3-2 に示し
た.
CL/F に 1 日投与量の影響が認められ,1 日投与量として 20 mg から 120 mg までの投与量の増
加に伴い CL/F が減少した.デュロキセチン投与量を 30 mg から 60 mg に増量した時の Cav,ss は
2.3 倍増大し,60 mg から 120 mg に増量した時では 2.6 倍増大した.投与量によるこれらの影響
の程度は,CL/F の個体間変動に比べ小さいと考えられ,1 日 120 mg までの用量変更でも,デュ
ロキセチンの薬物動態は用量比例性の範囲から大きく乖離していないと推定された.
図 2.7.2.3-2
デュロキセチンの見かけの全身クリアランスに及ぼす投与量の影響
M5.3.5.3 Figure 2.7.2.2.より引用.
49 歳 (中央値) 非喫煙女性の見かけの全身クリアランス.
10000 回シミュレーションした時の中央値,5%値及び 95%値.
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2.7.2 臨床薬理試験
2.7.2.3.1.3 年齢の影響
PPK モデルで予測される血漿中デュロキセチン濃度推移に及ぼす年齢の影響を図 2.7.2.3-3 に
示した.
CL/F に年齢の影響が認められ,19 歳から 84 歳まで,年齢が上がるにつれ CL/F が減少した.
29 歳 (5%値) から 69 歳 (95%値) まででは,CL/F は 25%減少した.しかし,49 歳 (中央値) に
比べ,29 歳の Cav,ss は 13%低く,69 歳の Cav,ss は 17%高い程度であり,デュロキセチンの血漿中
濃度の変化に及ぼす年齢の影響は血漿中濃度のばらつきに比べ小さいと考えられた.
図 2.7.2.3-3
血漿中デュロキセチン濃度推移に及ぼす年齢の影響
M5.3.5.3 Figure 2.7.2.3.より引用.
非喫煙女性の血漿中濃度推移.
各実線は解析データセットにおける年齢の最小値 (19 歳),5%値 (29 歳),中央値 (49 歳),95%値 (69 歳) 及び最
大値 (84 歳).
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2.7.2 臨床薬理試験
2.7.2.3.1.4 民族の影響
PPK モデルで予測される血漿中デュロキセチン濃度推移に及ぼす民族の影響を図 2.7.2.3-4 に
示した.
V/F に民族の影響が認められ,ヒスパニック患者の V/F (1644 L) は非ヒスパニック患者の V/F
(814 L) に比べて 2 倍高く,ヒスパニック患者の定常状態の最高血漿中濃度 (Cmax,89.1 ng/mL)
は非ヒスパニック患者 (80.2 ng/mL) に比べ 10%高かった.また,ヒスパニック患者の最高血漿
中濃度到達時間 (Tmax) は非ヒスパニック患者に比べ 1.5 時間遅延した.しかし,CL/F には民族
の影響は認められず,Cav,ss にも民族間に大きな差は認められなかったことから,民族の影響は
血漿中濃度のばらつきに比べ小さいと考えられた.
図 2.7.2.3-4
血漿中デュロキセチン濃度推移に及ぼす民族の影響
M5.3.5.3 Figure 2.7.2.4.より引用.
2.7.2.3.1.1~2.7.2.3.1.4 で検討した結果,性別,喫煙習慣,年齢,民族及び投与量は PPK 解析
において有意な共変量となったが,それらの影響は血漿中濃度のばらつきに比べ大きなもので
はなく,用量調節の必要はないと考えられた.
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