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沖縄経済・企業論入門 - 吉川研究室株式会社
沖縄経済・企業論入門 後期 『沖 縄 経 営 戦 略 』 (前期「沖縄新産業論」) 講義のスタンス “新しい経営学とは” 今や日本の経営学は一新しつつあります。経営の現場からの切実な問 いかけに真剣に答えようとする中から「新しい経営学」が生まれてきてます。 すなわち、個別企業の具体的な動きを客観化して経営を考えようとする 立場です。 沖縄の経営戦略に必要な6つのテーマを、地域、社会特性を反映させる べく沖縄第一線の経営者を特別講師に招きホットで、具体的な講義を展 開します。 6つのテーマ 重要な6つのテーマ Ⅰ.企業を起こす (起業) Ⅱ.沖縄型マーケティング Ⅲ.沖縄経営戦略 (ドメイン論) Ⅳ.生産・品質管理 Ⅴ.沖縄経営・産業組織論 Ⅵ.沖縄における企業のIT化戦略と課題 《 特 別 講 師》 ①企業を起こす(起業・創業論) ③沖縄企業の全国化戦略 ーレキオス航空の設立そして株式公開ー −沖縄特産・沖縄ブランドの活用ー レキオス航空社長 知念 公男 仲善社長 仲本 勝男 ②沖縄型マイクロビジネス論 ④沖縄型ビジネス(バリュー)・チェーンの展開 ーマチヤグヮーから2億円企業へー −沖縄の物づくりの弱点をカバー 富士家社長 大嶺 隆 日本月桃代表 安慶名・三輪 1 ◎ 今日の経営学の基礎 ◎ 戦後、日本企業のⅠ.E.(インダストリアル・エンジニアリング) 運動の原動力。 F.W.テーラー(Frederick W. Taylor,1856− 1915年) によって確立。 1880年 能率増進運動。 背景:企業間競争、労働争議、移民労働の管理∼能率増進運動と体系的管理運動が展 開され、この下でテーラー・システムが確立した。 1868年 全国労働連合設立 テーラーの成果『科学的管理法』1911年 モダンタイムス→チャプリン映画 『時間研究(Time Study)と動作研究(Motion Study)を中心に作業の標準化 をい、標準的な作業条件の下での、標準的な労働者が一日に果たす課業 (Task)測定と設定をした。』 差別出来高制、科学的管理法の確立 『職能的職長制度』→ライン&スタッフ 計画部門∼スタッフ職能 現場の管理部門 執行部門∼ライン職能 2 2.テーラーの後継者たち 標準化→最良の方法 工場作業一原価一経営全般 1)ギルブレス(Frank B.Gilbreth,1868−1924年) によるモーションスタディーの確立。 作業の標準化→最良の作業方法 ○サーブリンク(Therbling)の提案 動作を基本18要素に分類し記録 ○ストップ・ウォッチ→映画法 サイクル・グラフ(動作経路写真) 豆電球 2)エマーソン(Harrington Emerson,1853− 1931年) による標準原価(法)への発展。 ①作業完成後に算定する方法 ②作業実施前に算定する方法 ①と②との比率、Standard Cost/Actual Cost 「原価種頸」 材料費、労務費、資本費に分類 材料能率、労働能率、設備能率を設定、求めた。 3 3)パーソン(H.S.Person) によるテーラー・システムの技術的拡大とその総括。 ①作業場所 ④人事 ②工場 ⑤財務 ③マーケティング ⑥最高経営職能 4)マーシャル(Leon C. Marshall) による総合的「経営管理論」へ。 3.フォーディズムへの展開 へンリー・フォード(Henry Ford,1863−1947年) 科学的管理法の徹底的追及。生産の合理化と能率の増進。 1892年 自動車の試作品を完成 1903年 フォード自動車会社設立 1908年 T型フォード車完成(のみ生産、1,500万台) 1910年 フォード・システム(ベルトコンベアー・システム) (1928年、自動車の70%がT型フォード) 《経営の行動原理》 大衆にサービスを提供すること。 企業利潤は企業目的ではなく、経営活動の結果。 安価で堅牢で繰作容易な自動車の提供。 4 ◆フォードシステムとは (1)生産の標準化(→大量生産チー プ・コスト) ①製品の単純化 ②部品の規格化(互換性) ③工場の専門化 ④工具、機械の特殊化 ⑤作業者の単能化 (2)移動組立方式 人が仕事のあるところへ行くのではなく、仕 事を人のところへもってくる (←人は一歩以上動かない)。 作業進行の順に道具と人とを配置する生 産工程、ベルトコンベアー・システム 5 4.『人間関係論』の登場 メーヨー、レスリスバーガーによる人間関 係中心の理論 「ホーソン実験」によって解明 シカゴ郊外、ウエスタン・エレクトリック社 のホーソン工場での実験 ●福利施設等が完備しているにも係わら ず不満がみなぎっていた。 →問題点の解明 照明度の作業に及ぼす影響調査(1924−1927年) 第1グループ:照明一定・・・・・・・・→ 第2グループ:次第に明るく・・・・・→ (想定、暗く生産高上昇) いずれも 生産高上昇 6 第一段階 継電器の組立て(1927年−1932年) 2人の少女に好きな4人の少女を選ばせ作業(←チーム・イン フォーマル) 5年間作業条件を変える 平常の条件 2,400個/週 (←少女達と同意し 作業条件改善 上昇変化 作業条件を変える) もとの初期条件 3,000個/週 監督日ナシ 第二段階(1931年一1932年) 21,000名に面接 第三段階 配線作業 14名男子;12名作業員、2名検査員 生産高上昇せず ◆ホーソン実験の成果 働く人々が心理的状態、集団の社会存在に依存 ①情感によって作業能率が影響 ②人間関係(職場集団) ③インフォーマルな組織に依存 7 労働(者)のモラル(勤労意欲)は公式の組織よりもインフォーマル・ オーガニゼーションによる影響大、人間関係論 5.制度学派の誕生と専門経営学の登場 「人間関係論」の位置 労資の階級的対立関係を視野から取り除き(無視し)、社会的・心的 な関係を考察の対象。 制度学派は資本主義の経済的実体、現実の経済問題を「制度」的 に分析。 制度・・・・・人間の一般に共通する一定の思考習慣 発生の背景 「資本と経営の分離」 (企業の所有、一般、大衆株主∼専門経営者の発生) 「生産過程の複雑化、労資関係の先鋭化」 (専門的技術者としての経営者の発生) 株式会社(変化:最大の利潤) 株式の債権化、製品・サービスの提供、多くの人の働きの場。 ゴーイング・コンサーンとしての企業経営技術者理論 8 コモンズ(John R. Commons) 1919年『産業のグッド・ウィル』 資本と労働の対立(利害の抗争) 集団的利益の調整 生産的なグッド・ウィルの発生 好意の期待される人々によってなされる集団的意見 Collective Opinions バーナムの経営革命論 1941年『Mamagerial Revolution』 経営生産技術の専門家としての経営者論「資本家にかわっ て支配権をとるのは労働者ではなく、生産の技術的過程の管 理能力をもつところの経営者である。 9 6.夢の生活 ー マーケティングの興隆と人間関係学派 ー 『沖縄型マーケティング』『提案型マーケティング』と併せて後日、授 業をする。 7.日本的経営への注目 エドワーズ・デミングの(米国)での「再登場」 戦後の日本経済の復興の中心的役割を果たし、日本では有名であるが当は 欧米ではまったく無名。 NBCドキュメンタリー(1980.6.26放映)『日本にできて、何故われわれに出来 ないのか?』 メッセージ 「もし米国が生産性を改善させなければ、私達の子供は親より良い生活を送 ることができない最初の世代になる。」 ・エドワーズ・デミングにインタビュー デミングは米国のビジネスマンに改めて品質の基礎について、つぎのように 語った。 「検査では、品質は確立しない。品質は検討する前にすでにできあがってい る。」 「統計的手法を使えば、検査する必要はない。最初の時点で正しく作ること ができる。」 『では品質管理とは具体的にどのような手法か』 資料:「生産管理システム――生産現場と日本的生産システム(「科学的管 理」と「人間関係論」の統合)」 『品質管理』 10 トヨタのリーン・モデル(かんばん方式) ◇トヨタ本社ビルに掛かる3つの肖像画 一つは創業者、一つは現在の社長、そして最後の一つはデミング。 1997年、米国で最も売れた自動車はトヨタのカムリ。 トヨタの成功の背景にはデミングの存在とその実務的な応用。 これは「リーン生産」もしくは、トヨタ生産と呼ばれるものであるが、別に革命 的なものなど一つもなく、デミングの考え方を徹底して実践したものである。 1.ジャスト・イン・タイム、生産の原理で、自動車に限らず誰かが買うだろうと いった無計画の予測で生産するのは無駄が多い。無駄は悪である。 2.品質の責任は全員で負うものである。どんなものであろうと品質に欠陥が 見つかったら、すぐに直さなければならない。 3.バリュー・ストリーム、これは企業を商品やプロセスの関係の薄い集合体 として見るのではなく、供給者と同様に顧客をも含めた連続的で統一的な 流れとしてみるべき、という考え方。 (このリーン・モデルをIT(ビジネス・モデル)化したのが 「デル・ダイレクトモデル」) 『ではトヨタ方式とは具体的にどのような手法か』 資料:「トヨタ生産方式をトコトン理解する辞典」 11 8.戦略の理解 ードラッカーからマイケル・ポーターまでー 1.目的による管理、ピーター・フェルディナンド・ドラッカー 「経営管理者は、上司によってではなく、仕事の目標によって方向 づけされなければならない。」 マネジメントの5つの基本的役割、目標を設定すること、組織する こと、動機づけを行い、コミュニケーションを行うこと、評価測定する こと、部下を育成することである。 2.『戦略』という概念、チャンドラーとアンゾフ (「ビジネスウィーク」誌:ビジネスの歴史では紀元前(BC)とは Before Chandler のことである。) アルフレッド・チャンドラー 〇『戦略』とは「企業の長期目標と目的の決定、行動指針の採用、目 的を達成するために必要な資源配分」と定義した。 〇最良の戦略を開発すれば、企業はその戦略を達成するのに最もふ さわしい組織(構造)を決めることができる。(新たな挑戦が新たな 組 織を生む。規模の拡大と複雑性への挑戦→事業部制と分権制、さら 12 に連邦型組織「他企業連携」「バーチャル企業」) イゴール・アンゾフ 〇製品が陳腐化したり需要が飽和状態に達する恐れのないビジネスなどあり得ない。 企業は常に新たな機会を求めて、「製品と市場の環境を絶えず調査」しなければな らない。 〇意思決定を「戦略的(製品や市場に関すること)」、「管理的(組織構造や資源配分 に関すること)」、「運営的(予算や監督、統制に関すること)」に分けた。(チャンド ラー は戦略と組織を結びつけたが、アンゾフはこれにシステムを加えた) 〇「シナジー(効果)」(2+2=5、企業合併の説明)の導入 3.競争の戦略、マイケル・ポーター 〇『競争の戦略( Competitive Strategy )』でつぎの5つの競争要因を示した。 その企業の産業の特性(競争環境)の理解。 1)競争の新規参入(の可能性の有無) 2)代替品の脅威(の有無) 3)買い手の交渉力(の強弱) 4)供給業者の交渉力(の強弱) 5)既存業者間の敵対関係(の有無) 〇3つの基本戦略の提案(後にその著作に追加された) 1)「差別化」 2)「コスト面でのリーダーシップ」 3)「集中」 『では具体的に経営戦略とは 資料 : 「経営戦略のポイント」 9.ニューエコノミーの到来、第2次産業革命 (日本空白の10年を取り戻すために) これは最終講義でします。ここでは省略します。 13