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区役所へ向けた提言 地域とともに歩む
地域とともに歩む 区役所へ向けた提言 とりまとめ素案 地域を支える区役所の役割等検討懇談会 報告書 平成 21 年3月 2 はじめに この報告書は、地域で実際にさまざまな活動をしていらっしゃる方々の声を聞きながらまとめ たものであることが、何よりの特徴になっています。 地域での活動が、市民を主体とするものであることはいうまでもありませんが、そこに区役所 がどのようにかかわっていけばよいのか、この懇談会に集まっていただいた“活動する市民”の 声から見出された発見を盛り込んだのが、この報告書です。 懇談会では「地域の現場で汗を流している市民の皆さんから学ぼう」の姿勢を徹底してつらぬ き、現場の活動での経験に基づいた、気づき・知恵・工夫を積み上げながらの議論、その結果が まとめられています。 私たちが発見したことはたくさんあります。その中には、改めて言うまでもない“あたりま え”のこともありました。しかし、その“あたりまえ”をもう一度確認することが大切なことで はないでしょうか。 たとえば、懇談の場で、繰り返し言われてきたことは、「顔と顔の見える関係」の大切さでした。 市民同士、市民と区役所の関係を考えるとき、「顔と顔の見える関係」をつくること、そこから生 まれてくる信頼関係が大切だということにあらためて気づかされました。 そして、その信頼関係を生み出すためには、お互いに徹底的に話しをすること、つまりコミュ ニケーションが大切なのだということも、“あたりまえ”ですが、あらためて気がついたことです。 お互いに自分が考えていることを話し、相手が考えていることを聞くという“思い”のやりとり から、信頼関係が生まれ、人と人とのつながりが強固になっていくのだということです。 そうして、そういうやりとりのできる機会や場もこれまで以上に必要なのです。さらに、こう したコミュニケーションが活発になるためには、地域にかかわるさまざまな関係をこれまでのよ うなタテの関係ではなくヨコの関係に組み替えていくことが大切です。 ですから、地域の皆さんから見た区役所への課題・期待は、はからずも、「行政のコミュニティ 参加」という、従来からよく行政で言われる「(行政への)区民参加」というものとは逆の発想に 立った結論につながりました。区役所も地域で活動する主体のひとつとして、地域の現場の中で 一緒に語りあえる、「地域とともに歩む区役所」を市民は期待しています。 横浜市は「協働」を長年うたい文句にしてきており、実績もつみあげてきています。しかし、 真に「協働」という関係を築いていくためには、ともすると、長年培われてきた役所的な文化、 地域に流れる習わしといったものを変えていく努力が、行政にも市民にも必要になってきます。 タテからヨコへと簡単に言いますが、「文化」という身についたものを変えねばならないので、行 政にとっても市民にとっても、結構大変なことに違いありません。 それを「地域」という現場レベルで、どう実現していくかを、この懇談会は地域で活動してい る方々の知恵をいただきながら、考えてきたと改めて思います。 これから地域に関わる区役所職員の皆さん、そして、地域で活動に関わる方々、あるいはこれ から地域に関わろうと思う皆さんの、語りあいの営みの一助として、本懇談会の提言がいかされ ていくことを願ってやみません。 地域を支える区役所の役割等検討懇談会 江上 3 渉(立教大学 座長 社会学部教授) 目 次 1 懇談会による検討の趣旨と課題背景・・・・・ 2 懇談からみえてきたこと ・・・・・・・・・・・・・ ~これからの横浜の地域と区役所 (1) 横浜がいつまでも住みよいまちであるために 5 ・・・・・・・ 7 ~地域の望ましい姿とは (2) 地域との協働のパートナーとして期待される区役所の役割とは (3) 地域との協働のパートナーとしての区役所に求められる基本姿勢 3 地域と“ともに歩む”区役所へ向けた提言 ・・・・・・・・・・・・・・・ 13 その1 地域に関わる区職員が身につけるべき仕事の進め方 (1) 地域に出向く仕事のスタイルを身につけよう! (2) 地域と顔と顔のみえるコミュニケーションを意識しよう! (3) 地域の横つなぎに向けて一肌脱ごう! ☆ 地域とともに歩むポイント!地域活動のリーダーが考える「地域活動を進める工夫・知恵・コツ」 その2 区役所の地域支援に向けて構築していくべき仕組み、制度 地域に関わる職員を育てよう! (2) 地域に学ぼう! (3) 地域の資源を活かそう! 4 (1) 区役所職員の人材育成と人事制度 地域の情報を蓄積する・共有する仕組み 地域のチャレンジを受け止める・はぐくむ仕組み 地域を“支える”でなく、地域と“ともに歩む”区役所へ ・・・・・・・・ 20 ・・・語り合いの空間からうまれる、「コーディネート型の地域づくり」 <参考資料>懇談の背景となった資料など ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ○ 検討の背景 ○ 先進事例に学ぶ:地域を活かす・つなぐ ○ 横浜市の区役所の概要と区機能強化の取組の変遷 ○ 横浜市における「パートナーシップ型行政」の変遷 ○ 地域を支える区役所の役割等検討懇談会 ○ 地域を支える区役所の役割等検討懇談会要綱 4 25 ~地域づくりにおける既往の取組事例 委員名簿 1 懇談会による検討の趣旨と課題背景 エピソード 横浜市の南西部郊外にある、昭和 40 年代後半に開発された、 約 2300 戸のとある団地では、高齢化率は、入居当時の昭和 50 年は 1.9%でしたが、平成 27 年には 43.1%に上り、高齢者の中 でも、後期高齢者の割合が非常に高くなることが予測されています。 一方、横浜市内の人口の増減を小地域の単位でみてみると、人口が増加している北 部の区にも、人口が減少している地域があったり、人口が減少している南部の区の中 でも、人口が増えている地域が点在していたりと、地域の様相がまだら模様であるこ とがうかがえます。 ■ 急速に進む少子高齢化 ~横浜の少子高齢化は地域ごとにまだら模様にやってくる 横浜市の将来人口推計によると、2025 年(平成 35 年)には、65 歳以上の人口が 100 万 人に達し、高齢化率は 26.8%になります。 また、市街地形成の時期や鉄道駅からの距離によって地域の様相は様々で、数年で急速 に少子高齢化が進む地域があったり、大規模マンションの開発によって人口が急増する地 域があったりと、地域ごとに状況が異なり、横浜の少子高齢化は、地域ごとに“まだら模 様”にすすんでいきます。 このように、地域ごとに状況が異なり、課題も多様化していることから、区よりもさら に小さい単位の地域ごとのまちづくりを考え、それぞれの地域にあった解決方法が、必要 となってきています。 ■ 地域力への期待と、期待されても厳しい地域の状況 ~持続可能な社会へ向けた、新たな公共の担い手への期待と課題 横浜市では、すでに、自治会町内会をはじめ、様々な市民の主体的な活動が行われ、ご み減量化に向けた G30 の推進などにもみられるよう、市民の力が課題解決に結実した多く の蓄積があります。今後、前述したような地域ごとに異なる課題状況をきめ細かくとらえ ていくには、地域社会における多様な人材と活発な市民活動の力を活かし、人と人とのつ ながりが育むマンパワーが期待されます。 一方、地域の状況に目をうつすと、たとえば、自治会町内会においては、8割以上の自 治会町内会から「役員のなり手がない」「特定の人しか参加しない」といった「担い手の 不足」が問題視され*、このままでは“期待されても厳しい”地域の状況も伺えます。 地域に眠る、あるいは点在する様々な資源をきめ細かくとらえながら、地域における多 様な人と人とのつながりが生み出すマンパワーをはぐくみ、地域の持つ底力、すなわち “地域力”を育んでいくことが、これからの地域づくりには欠かせない課題となります。 * 5 :「横浜市自治会町内会アンケート」(平成 16 年度)から ■ 懇談会での議論:市民主体の地域運営を支える区役所に向けて ~これからの地域コミュニティと区役所はどうあるべき? 横浜市中期計画(平成 18 年度~平成 22 年度)では、市民力の発揮に向け、様々な担い 手が連携し、市民主体の地域運営が進むよう、地域のさまざまな活動を支援する総合的な 区行政の推進に向けて、「市民主体の地域運営を支える区役所」としての機能強化を掲げ ています。 本懇談会では、日頃地域で活動をされている市民の方々や地域の取組に詳しい有識者の 方々により、日常の活動の中での実体験をもとに、これからの地域コミュニティや区役所 がどのようにあるとよいと考えるか、懇談しました。 地域を支える区役所の役割等検討懇談会 開催概要 期間:平成 20 年 7 月~平成 21 年 3 月 委員:12 人 ■座長:江上 □副座長:内海 渉 立教大学 宏 社会学部教授 (株)地域計画研究所 代表取締役 ◇岡野 富茂子 港南台生き生きプレイパーク 代表 ◇岡部 忠男 緑区市民活動支援センター運営委員会 会長 ◇小林 由美子 地域発子どもを守る安全プロジェクト 代表 ◇清水 靖枝 横浜市長屋門公園歴史体験ゾーン 事務局長 ◇竹谷 康生 湘南桂台地区まちづくり委員会 代表 ◇時任 和子 特定非営利活動法人 夢・コミュニティ・ネットワーク 代表 ◇永井 正彦 西区環境事業推進委員連絡協議会 会長 ◇中村 香織 (社)横浜市社会福祉協議会 事務局長 ◇長谷川 正義 横浜市民生委員児童委員協議会 会長 ◇横井 正巳 横浜市町内会連合会 副会長(金沢区町内会連合会 会長) (敬称略、50音順) 開催経過 《第 1 回》平成 20 年 7 月 14 日 懇談会の趣旨/検討の背景・論点の共有 《第2回》平成 20 年 8 月 26 日 地域活動の推進について 《第3回》平成 20 年 11 月 10 日 区役所に求められる役割の考察 《第4回》平成 20 年 12 月 8 日 地域を横につなぐ ~地域づくりにおける区役所の役割について 《第5回》平成 21 年 2 月 19 日 地域を横につなぐ ~コーディネート型の地域づくり 《第6回》平成 21 年 3 月 24 日 とりまとめに向けて 6 2 懇談からみえてきたこと ~これからの横浜の地域と区役所 瀬谷区にある長屋門公園。古き良き古民家は、地域のボランテ エピソード ィアの方たちに支えられ、世代を超えたコミュニティの場になっ ています。 母屋のいろりを囲んでの語らい、懐かしい伝承行事を通した異世代交流。自然に囲 まれた心地よい空間は、地域における人と人、人と活動、人とふるさとをつなげる場 として、息づいています。 3 年前からは、地域の団塊の世代の“おやじ”たちの地域デビューも。やれる人 が、やれるときに、やれるだけ。語らいの中から、様々な活動がうまれ、ゆるやかに 地域のつながりをはぐくむこの空間は、まさに、地域の“居場所づくり”として、こ れからの地域や地域施設のあるべき姿を考えさせられる空間となっています。 (1)横浜がいつまでも住みよいまちであるために ■ ・・・地域の望ましい姿とは 地域住民の夢や想いをつなぎ広げていく地域に 横浜がいつまでも住みよいまちであるために、豊かな地域づくりに向けて欠かせないこ と。それは、地域に暮らすひとりひとりの「想い」や「願い」が語り合いながらつながっ ていくことのようです。 地域での気づき、こうしたいという想いや、こうあってほしいという願いが結びつくこ とで、新たな力につながる。その営みが、地域力の向上には欠かせません。 地域社会が、住民の夢や想いをつなぎ広げていくことができる力を身につけることで、 地域で起きている先端的な課題に対応していくことができます。 地域には何でもあります。しかしながら、その資源が活かし切れていません。 ■ 地域社会に好ましい人と人の関係を 地域での活動を広げる・つなげるには“顔と顔のみえる関係”が基本となるようです。 お互いのことがわからないと、なかなかきっかけにもなりません。 望ましい地域社会では、そこで暮らす住民の間に 顔と顔の見える関係 対等・平等の関係 対話が行われる関係 想いが共有できる関係 ■ といった好ましい関係が欠かせないようです。 「横つながり」の関係をつくる ところが、市民ニーズは多様化し、行政は何をしたら市民が満足するか判断に迷い、市 民もまた合意に至るところが難しいところもあります。そもそも、どこに誰がいるか、地 域でどんな活動が行われているかもよく分からない状況に陥っています。 7 地域の底力をひきだすには、地域で“顔と顔のみえるような関係”を築いていくことが コツのようです。 そうした状況から、自治会町内会、各種市民活動団体などあらゆる主体が、“信頼関係 に基づき、緩やかに結ばれている”という「横つながり」の関係を強化することが地域力 向上の要となります。 *地域における「横つながり」意識の芽生え 横浜の地域では、今、横つながりへ少しずつ変わってきており、ネットワーク型で相互 の得意を発揮しながら、地域づくりがすすめられている状況が見えてきています。 委員の意見から 地区連合町内会と地区社会福祉 自治会町内会の役員は当番制なの 協議会とが一堂に会することで、 でなかなか継続的・意欲的な取組が 地域の担い手同士が知りあうきっ 難しい。 かけとなると同時に、地域の中で そこで、やりたい人、継続的に関 お互いどのような位置づけで動い われるグループなどをボランティア たらいいのか、役割分担をしなが 的に募り、やがて NPO へと発展さ ら進められるようになった。 せていって、地域の中でつながりを うみだす試みが行われている。 多様で個別な課題を発見してい 意欲のある人たちに、自治会町内 くためには、地域の人たちがコミ 会が側面的に支援することで、場や ュニケーションをしていかないと 取組につながるような事例が、いく わからない。 つか市内でも出てきている。 人と人、団体と団体、活動と活 フットワークのよい人たちがまわ 動などいろんなコミュニケーショ りにいて、そういう人たちを、連合 ンがなされる必要があって、同じ 町内会長さんや地区社協の会長さん 地域にいながら相手の活動を知ら たちが、うまくコーディネートして ない、ということが案外多い。 いくようなことが広がっていくとよ い。 地域には自治会・町内会だけではなく、市民活動にも属さない一般市 民がたくさんいる。そうした市民に如何に入ってもらうか、そして活躍 していただくといいかを常に考えている。そうした市民は次の市民活動 に携わっていく礎(いしずえ)となり、つながりになっていく。 8 (2)地域との協働のパートナーとして期待される区役所の役割とは これからの地域と区役所の関係について、基本は「イーブンであり、両輪である」こと が不可欠です。 地域づくりを考えていく上では、お互いに地域に対する関心と共感を持ちながら、区役 所が決めたことを地域がやるのでなく、「地域の“こうしたい”を支えるのが区役所」と いう関係でありたい。 そのためには、まず、地域と区役所が「顔と顔の見える関係」となり、お互いの信頼関 係を築いていくこと。そこからはじめてお互いにどのような役割を果たしていくべきかが 見えてくるようです。 協働型の地域づくりにおける 地域と区役所の関係イメージ図 協働型の地域づくり 地域 多様な主体が 信頼関係のあるネットワーク でゆるやかに結ばれている 区役所 ともに 協働のパートナーとして 地域の取組を支援 このとき、地域との協働のパートナーとしての区役所に期待したい役割として、次の通 り整理しました。 1 2 地域の横つなぎの支え、機会の提供 ◌ 自治会町内会と市民活動団体など、団体同士の情報提供や仲介 ◌ 異質な活動同士が交流できるような場・機会づくり ◌ 活動が隘路(あいろ)に陥っているときの相談役(他の事例の紹介など) 地域が取り組んでいくためのきっかけづくり、関心のはぐくみ ◌ 地域の近未来の状況をみせながら、地域の人たちに関心を持ってもらえるような問 題提起型の情報提供 3 ◌ 活動をうながすようなきっかけづくり ◌ 地域の取組が進めやすくなるような、支援策や制度の検討 市民の想い、地域の発意を、公的なものへと広げ、位置づけていく ◌ 個々の市民の想いや地域からの発意を、公的な取組へと広げていくための 投げかけや工夫 ◌ 地域の課題について、公的なものとして捉え、考えていくための政策提案や局との 調整 9 委員の意見から 明るい豊かなまちづくりのために 住民側も、自分たちのまちは自分 は、地域と行政がともに手をつなが たちでよくしていこう、と考えてい なければできないと思っている。 くことが大事であり、そして行政は 区役所で出来きれないことでも、 我々区民がなんとかしていけるもの 何をフォローできるのか、と考えて いくようでありたい。 もあると思う。 市民と行政はイーブンでありなが ら、両輪であり、互いに持てるチカ ラを出し合っていけるとよい。 市民活動団体と自治会町内会が うまくつながるために、区役所が 一肌脱ぐと良いのではないか。 そういう関わり方をすることに 行政の果たしていくべき役割とし より、地域の課題に対して、地域 て、市民からの提案を“公共性”のあ 団体や市民活動がつながり、場合 るものへとしかけていく、そういう積 によってそこから新たな活動が生 み重ねが大事では。 まれるというようなことが、横浜 ならできると思う。 地域の取組について、公共性が高いと判断したものは、地域の成り行きにまか せるのではなく、もう少し、地域課題としてどう解決していくといいかといった 視点から、区役所の関わりがあってもいいのではないか。 10 (3)地域との協働のパートナーとしての区役所に求められる基本姿勢 地域の時間の流れはゆっくりです。地域に携わる区役所の職員 エピソード は、だいたい2~3年と短期間で異動していなくなってしまいま すが、地域の人たちはずっとその地で暮らしを営んでいきます。 区役所の職員の皆さん、ちょっと地域の時間軸、地域の人たちの目線を意識した仕 事の仕方を考えてみませんか。 懇談の中で、こんな意見がありました。「行政担当者と住民のコミュニケーションが しっかりとれていて、共感や信頼といった良い関係がとれれば、細かいことはさほど 問題にならない。お互いの大変さを理解しあえていれば、ハードルも小さなものにな る。」 地域が横つながりのネットワーク型で様々な取組をすすめていくために、区役所が前述 したような役割を果たしていくには、次のような基本的姿勢が求められると考えます。 それは、「行政職員のコミュニティ参加」といった、区役所が新たに培うべき意識であ り、風土であり、文化というべきものです。 地域支援の仕組みはこれまでにもたくさん作られてきました。しかし、単に仕組みがあ ればよい、ということでなく、いつまでも有効に機能させるためには、仕組みに魂を吹き 込む、使いこなす行政職員に魂がないといけないのです。 地域に出向き、想いを共感しながら、仕組みに魂をふきこむ。 区役所に求める基本姿勢として、従来の“区民(の行政への)参加”でなく、“行政職 員のコミュニティ参加”という逆の発想を、本懇談会では提案します。 ○現場性 地域づくりを進めるためには、行政は現場レベルに出ていかないといけません。現場レ ベルとは、区民や行政職員が手足を動かし、知恵を出し合っている場所を言います。 その広がりは、区では大きすぎます。向こう三軒両隣といった小さな単位を大切にしな ければなりません。区民生活に密着した小さな単位でものを考えるような姿勢とシステム づくりを期待します。 ○主体性 行政から、地域づくりへの想いをさらに強く発露してほしい。地域住民とともに何とか しなければ、という意識が感じられるようであってほしいのです。 「市民が主役」は当然のこと。地域づくりの現場では行政も主体性を持たなければなり ません。その上で、行政として何をすべきか探っていく姿勢を心がけてください。 ○継続性(展開性) 各事業を完結的にとらえるのではなく、少しずつ見え始めた意識の変化や成果を踏まえ て、さらに次から次へと住民や異なる部局などを巻き込み、次の取組へと展開していく意 11 識の継続性を求めます。 そのためには、人事異動などで担当者が変わると、またイチからはじまるようなことで は困ります。また、刻々と変化する状況への即応性のある対応、時代の変化へと対応する 柔軟性なども必要となります。 ○対等性(協働性) 地域と行政は協働のパートナーとして次の意識を保つことが大切です。 ・地域と行政はイーブンであり、地域づくりの両輪であること ・地域に対する関心と共感をもち、地域の「こうしたい」を支えること ・お上意識、 「やらしてやる」的意識を排除すること ○多様性(固有性・独自性) 一つとして同じ地域はありません。地域のまとまり具合も、街並みの成り立ちや地域組 織のあり方によって異なります。 一つの仕組みで全て対応するのではなく、区によって仕組みが異なっても良いでしょう。 地域の固有性に応じて仕組みを運用していく臨機応変さも求められます。 委員の意見から 区役所の職員には、区民の顔が見 我々住民は長くいるのだが、区 える位置にいてほしい。区役所の中 長をはじめ区の職員は 2 年 3 年 にいては区民の顔は見えない。市役 でかわっていってしまう。 所が大きすぎるので、せめて区役所 書類等では残っているのだろう は、組織上は縦割りであっても、心 が、来た人の思いつきで取り組ま 情としては、垣根をこえてフラット れてしまいがちだ。 であってほしい。 市が考えていても、区民一人 ひとりには届かない。区でも大 「想い」についてだが、行政内の きすぎる。向こう三軒両隣とい 人事異動の際、仕事の引き継ぎはあ った小さな単位を大切にしなけ っても、「想いの引き継ぎ」がなされ ればならない。あまり大きな単 ていない。想いというのは、痛みや 位ではなく、足下の小さな単位 熱意といったアナログな値で、なか でものを考えるようなシステム なか記録に書かれないものでもある づくりを願いたい。 が、地域の経過を知るには大事なこ とだ。 12 3 地域と“ともに歩む”区役所へ向けた提言 地域が望ましい姿となるために、区役所は何をなすべきか。そのために必要な取組につ いて、本懇談会では、地域で活動する市民からの視点で、以下のとおり提言します。 その1 地域に関わる区職員が身につけるべき仕事の進め方 (1) 地域に出向く仕事のスタイルを身につけよう! 目標:地域を知る 区職員は、区民の顔が見える位置にいてほしい。区役所の中にいては区民の顔は見えま せん。地域に出向いても、視察の域を出なければ、地域を真に理解することはできません。 活動をしている人とふれあうこと、一緒に汗を流してみること、一緒に体験するような仕 事のスタイルが必要ではないでしょうか。 地域にはそれぞれ様々な問題があります。住民一人ひとりにも多様な意思があります。 区職員はそれを自分のこととしてとらえ、その多様な状況を把握していないと、なぜ地域 からそのような意見が出てくるのか、理解できないものです。 (2) 地域と顔と顔のみえるコミュニケーションを意識しよう! 目標:地域と共感する 本当の意味で住民と区職員の気持ちが響き合う関係、コミュニケーションが生まれるに はどうすれば良いでしょうか。その部分がしっかりして、共感や信頼といった良い関係が 築ければ、細かいことは問題になりません。 基本は「顔と顔を合わせる」コミュニケーションです。区職員は、地域の中に身を置き、 市民の想いを共感してください。 そして、一緒に地域課題を解決しようという目的を共有できれば、良い関係を築くこと ができるのではないでしょうか。 (3) 地域の横つなぎに向けて一肌脱ごう! 目標:地域をコーディネートする 地域住民同士の関係を築き、合意を形成することは、ともすると住民だけに任せておい ても中々うまくいきません。公共性を背景とした説得が必要な場合などは、地域住民だけ では今ひとつ調整が滞るところがあります。 ある事例では、区が積極的に関わることでNPOと連合町内会が良い関係を持てるよう になったことがあります。縦割りの市役所内部をつなぐ必要のある調整も区役所が力を発 揮すべき事柄です。 実際にコーディネートをする人は、地域にいたり、まちづくりコーディネーターといっ たアドバイザーが担う場合もありますが、異なる主体間を取り持ち、双方の意思疎通を図 るために一肌脱ぐといった意識、調整力の発揮を期待します。 13 地域とともに歩むポイント! 地域活動のリーダーが考える「地域活動を進める工夫・知恵・コツ」 いきいきとした姿を見せつつある地域では、地域活動のリーダーたちは次のようなポイン トを意識して活動を展開しています。 地域に関わる区役所職員も、地域に学び、同様のポイントを意識しておくと、仕事のヒン トになるのではないでしょうか。 住んでいる人から、「ああしてくれ、こうしてくれ」と言われる前に、まず自分 で動くようにしている。「地域をよくしよう」という想いがあるので、そのために 努力し動くということを心がけている。 地域をつなぐ活動をしている中で、心がけたことは、急がないこと。まず挨拶が できる人を増やすなど、あせらずコツコツと仲良くなることから始めた。 できることを、できるときに、できるだけ。皆の意見をできるだけ聞き、やりた いと思う人が自分の力でやろうと思えること。 “若い人が参加しない”となげく前に、世代ごとに生活の優先順位があることを 理解する。 相手の話を聞くこと。気負いがあるので、どうしても自分たちのことを話して進 めていきたくなるが、地域のテンポはすごくゆっくりとしており、そのリズムを心 がけること。 リーダーは動く広告塔であれ。行動が具体的な形であらわれると、活動が社会に とけこみ、まさに“山が動いた”感になる。 運営から実働まですべてまかせるような過大な負担はかけず、指導だけ、実働だ け、運営だけと、できるところに関われるように工夫している。 良い意味で派閥をつくろう。例えばPTA経験者を捜してお願いする、同じ趣味の グループ活動などからお願いするなどもうまくいきやすい。顔合わせから一歩進ん だところで、「何か共通するもの」が、つながりのコツになる。 活動のきっかけは「言われたから」でもよい。ボランティアの方たちの自主性を 尊重しながら、大事なのは、ちょっとだけ肩を押してあげることだ。 夢や想いは“語り続ける”ことが大事。あちこちに出向き、語り続けること で、あの人なら・・・といつか信頼につながる。 ~ 懇談会で語られた、地域で活動をすすめる上での知恵・工夫・ヒントから 14 ~ その2 区役所の地域支援に向けて構築していくべき仕組み、制度 (1) 地域に関わる職員を育てよう! 区役所職員の人材育成と人事制度 地域において様々な活動や地域組織などをコーディネートすることを担当する区職員を さらに育成し、配置することが必要です。また、こうした職員の職務期間は比較的長くし て、じっくりと「横つながり」を作り上げていけることが重要です。 ① 地域に向き合う知識や技術を持つ職員を育成する 協働事業の仕組みを知らない区職員が多いと感じます。例えば、「横浜コード」 とは何かを知らない職員では協働事業をスムーズに行うことは難しいでしょう。 地域と関わっていく時に意識すべき姿勢、地域と向き合うための知識や技術な どを身につけた職員を育成する研修を充実し、地域支援のプロ的な職員の育成を 期待します。 ② 人事異動があっても「想い」を継続する仕組みを整える 地域の側から見ると行政職員の人事異動のサイクルが短く、継続的な地域対応 がなされていないと感じています。 仮に人事異動のサイクルは現在のままで致し方ない面があるとしても、引き継 ぎの際、地域への「想いの引き継ぎ」ができるような工夫が必要です。 また、ある地域に関わってきた区職員が一斉に異動するような人事は控え、少 しずつずらしながらの人事異動を行うように考慮することも必要です。 ③ 職員の想いが生かせる人事を行う 職員が地域への想いを持って仕事に取り組んでいくには、そのような想いや適 性を持った人材の配置が重要であると考えます。そうした人材を適材適所に登用 する人事制度が必要です。 ④“地域担当”の考えを持つ 現在でも各区の工夫で防災拠点単位や地区連合単位などの地区担当を設置して いますが、単なる連絡業務を超え、地域に向き合う意識を持った、地区毎の担当 者を配置することが必要です。 その際、地区担当の業務が専任でなく本来業務との兼務となる場合であっても、 地区担当として、積極的・主体的に地域に関われるよう、工夫・知恵を出しなが ら、区役所内で調整を行っていくことが大事なのではないでしょうか。 ⑤ 庁内で成果目標を共有化する 分野ごとの縦割り的な行政の仕組みの中で、狭い縦割りの範囲での成果主義に 陥っていないでしょうか。地域で取り組む事業の趣旨や成果目標が、区と局の間 でずれていることがないでしょうか。さらには事業の趣旨そのものが地域にきち 15 んと伝わってこない場合もあります。 区と局が求める事業成果の目標を一体的なものにした上で、その趣旨を明確に 伝えるなど、地域への対応を行うことが必要と考えます。 ⑥ 長い目で課題を解決していく仕組みとその評価を確立する 今はできないが、5~10 年で解決していきたい課題もあります。地域の課題を、 少し長い目で見つつ解決していく仕組みの構築が必要です。そのためには、事業 評価においても、長い目で見ることが必要となります。 また、地域活動には数値化できるものは少ないものです。すなわち、人数、回 数といった定量的な要求ではなく、質的なものを求め、評価するといった、新し い評価軸が大事だと考えます。 ⑦ 地域の積み重ねを意識する 行政には「新しいことを始めたい、求める」傾向があるように思います。区長 が変わるなど、区役所も新たな体制になると、それまでと異なる新しい提案をし がちです。しかし、こうした対応は、既に何らかの地域活動をしている住民にと っては、行政の継続性に疑問を感じることになります。地域活動は積み重ねの上 に成立しています。新たな提案とともに、既にある取組・活動などを活かすこと も考えてください。 委員の意見から 地域と関わる仕事に取り組む意欲 行政職員が地域の課題を、課題だ のある職員を区に意識的に配置す と真剣にとらえているかどうか。 自分たちがなぜ活動を始めている る、取り組んでいる最中にはむやみ かといえば、なんとかしなくてはと と異動させない、といった人事上の いう課題認識があったりするのだ 配慮も必要ではないだろうか。 が、「楽しいから、達成感を得たい から自主的な活動を行っている」、 区役所の人事異動はやむを得な と行政側が思っているうちは、なか いのだろうが、「全取っ替え」的な なか協働はすすまないのではない 人事はさすがに困る。 か。 ずらしながらの異動を行うこと で、ある程度知っている人を残し ながら、地域との継続性を担保し 縦割り行政の中で、職員が狭い範囲 での成果主義に陥りがちだ。 もう少し地域の視点で仕事を大きく とらえることが必要ではないか。 16 ていってほしい。 (2)地域に学ぼう! 地域の情報を蓄積する・共有する仕組み ① 地区カルテを蓄積する 地域の情報が区役所の中にきちんとストックされていません。特に、他地区と 比較しつつ自分の地区の位置を客観的に知ることのできる情報は、地域の主体的 な取組には有効です。 また、各セクションの施策や市民活動の経緯などの情報の把握・記録に努める ことは、行政内で横のつながりをつくる上でも有効です。 ② 課を超えて地域の情報を共有する 例えば「子育て環境」についても、複数の部局(課)がそれぞれの立場や視点 から考えていくことで、課題は総合的に解決されていくことになります。 地域に対しての対応をある課が行う場合でも、その情報を複数の課が共有した り、共同で対応策を提案したりする仕組みを求めます。 委員の意見から 地域に関心を向ける手立てとし 近年各地域で実施された事業や施 て、地域の人たちに、自分の地域は 策、データ、経緯などが区役所内で こういう位置にいるんだ、というこ 課を超えて共有されると、行政の横 とを他の地区と比較しながら客観的 のつながりをつくる上で有効だ。 に知ることができる情報が有用だっ 地域で何かアクションをするとい う時に、地域の大枠の情報を持っ たようだ。 地域情報の共有が、地域のことは て、地域に関わることができる。現 地域で取り組むんだ、という意識の 場性を身に付ける一つの方法ではな 醸成につながると実感した。 いか。 “地区カルテ”のように、地域の様々なことが、カルテ的に記録されていることは 大事ではないか。区役所の中には、地域の情報が意外にストックされていない。 “地区カルテ”については、すでに各区でも様々な地域分析情報を持ってい たりしますが、地域と関わっていくうえで特に“有用”な情報として、次のよ うな情報があげられました。 ① 地 域 で どのよう な活 動 がど のく ら いなさ れ、人材、ニーズ、場があるのか、といっ た地域資源に関する動向の把握 ② 地域でどのような動き、意見、想いがある のか、行政がどのような働きかけを行った かという、経緯の記録 ③ 将来人口推計など、地域の近未来の姿を示 すような、問題提起型・意識醸成型の情報 提供 17 (3)地域の資源を活かそう! 地域のチャレンジを受け止める・はぐくむ仕組み ① 地域活動を発掘し、啓発する 地域の中から潜在的な地域づくりの活動を発掘し、それらの活動を啓発してい くことが、地域の主体的な取組を育てることにつながるように思います。 課題に対し、手あげ方式で助成していく試みがはじまっていますが、このよう な取組の推進により、異種団体間の連携促進など、副次的効果もあるようです。 また、「データにないもの」や「イレギュラーなもの」に対しても、固定概念に とらわれずに取り上げる勇気を期待します。 任意の地域活動に対して行政がかかわることで、その活動には公的位置づけが 与えられることになります。それだけで、活動を行っている人にとっては力強い 後ろ盾を感じます。 ② 地域課題解決のための活動資金等を支援する 地域活動に対して、活動資金等の支援を行う事業は、各区で特色を出しながら、 色々と充実してきています。 しかしながら、これらの多くは活動初期におけるきっかけづくり的な段階での 支援に偏っています。今後はさらに、活動をステップアップさせる段階での支援 も求められます。 先進事例に学ぶ :地域を活かす・つなぐ 港北ふるさとサポート事業(平成 17 年度~ 港北区役所) 「港北ふるさとサポート事業(愛称“ふるサポ”)」は、港北区に「住んでいてよかったな」、「ずっと住み続 けたい」と思うことができる“ふるさと”港北づくりのため、地域住民の方々と行政との信頼関係を築きつつ、 地域課題の解決や地域の魅力づくりを行う活動、これらを 新たに始めようとする活動などが、自立・継続して地域へ 根付いていくことができるようサポートする事業です。 ③ 地域にアドバイスできる専門家を派遣する 地域住民だけではなかなか今までのやり方以外の、新たな取組方法などに思い 至らない場合があります。また、行政と住民とが相対していると、かえって対立 構造を生み出してしまう場合もあります。 必ずしも区役所だけが地域のコーディネート役を担うだけでなく、こうしたこ とが予想される場合には、客観的な立場から様々なアドバイスとコーディネート 力を発揮できる地域づくりの専門家を派遣し、第 3 者も交え話し合いをすること で、膠着しがちな局面を打開したり、さらに地域づくりを展開する企画力や戦略 18 的な展開力を発揮してもらうことが可能になったりします。 ④ 既存の地域施設を地域づくり拠点化する 地域づくりのための拠点を設ける場合、場所や人などの面で「屋上屋を重ね る」ことにならないよう注意しなければなりません。そうならないために、既に ある施設を、もっと地域の施設として活用すべきです。 ところが、地域施設と地域活動がなかなかうまく結びつかない状況も目につき ます。その意味で、既存の地域施設の柔軟化も大切です。 ⑤ 地域施設間が交流・ネットワークする 地域施設も縦割りの仕組みの中で、それぞれが独立的に存在しています。この 状態を、地域支援の視点からみて、横つながりにしていくための交流・ネットワ ーク型の活動を生み出すことが必要と考えます。 委員の意見から 行政はとかくデータやこれまでの 中間支援の場やネットワークを 活動歴など実績をみて判断する傾向 している場などに、行政の職員が がある。 参加し、それぞれの団体や施設の 行政には一人でも、少数でも意見 人の発言を聞くなどすると、どう を聞いてほしい。また、チャレンジ いう団体がどういう意識で取り組 するような、立ち上げ事業に対して んでいるかといったことが肌身に もアシストをしてほしい。 わかり、個別にまわらなくても効 そうでないとなかなか新たな試 果的に把握できて、有用ではない み、活力にはつながらないのでは。 か。 既存の地域施設について、もっと柔軟性を持って、地域の中での交流の場とい った機能を果たせるとよい。また、民間で、このような思いで取り組んでいる人 たちがやりやすくなるような支援をすることも必要だろう。 公的施設で行っている人たちと、民間で取り組んでいる人たちが相互に情報交 換し、刺激し合う場としての交流・ネットワークの場も大切と思う。 地域における支えあい、互助の精神で、横のつながりの取組を進める中では、 行政の縦割り的なやり方は非常にやりにくいところがある。 地区センターや地域ケアプラザなども、より地域に密着した施設としてその役 割を考えていくべき。 19 4 地域を“支える”でなく、地域と“ともに歩む”区役所へ ・・・語り合いの空間からうまれる、「コーディネート型の地域づくり」 地域における「横つながり」の関係は「社会関係資本(ソーシャルキャピタル)」と呼 ばれますが、それがどれだけ蓄えられているかが「地域力」を測る尺度となります。 地域力を高めるためには、地域活動の団体はもとより、区役所を始め地域にかかわる行 政組織や公的地域施設が「横つながり」の関係の一角をなすとともに、こうした関係を強 化するために積極的に調整・支援していくことが求められます。 そのような、多様な地域の主体がゆるやかにつながるために欠かせないのが、「地域活 動をコーディネートできる場」です。 今は市民一人ひとりが多様化してきている時代であり、そういう時代において、お互い にわかりあって、地域をつくっていくにはどうしたらいいのか。地域のニーズが一様では ない中、まちを歩き回っていても、簡単に課題がみつかるものではありません。 そこで、地域に暮らす人たちの個々の「こうしたい」「こうあったらいい」という思い を語り、心を開いてコミュニケーションすることで、「気づき」がうまれ、具体的に何を どうしたらいいかが、見えてくることが多いようです。 そのためには、何も決められたスペースが必要ということではなく、語りあえる空間、 想いや悩みをうちあけられる場が大事であり、既存の取組に語り合いの営みをプラスして いくようなことも考えられます。 このような語りあいの空間から、地域で何をしていくのか、区役所は、あるいは行政は どのような力を発揮していくかを考え、それぞれの持てる力を持ち寄りながらすすめてい く地域づくりを、本懇談会では、コーディネート型の地域づくりとして、イメージしま した。 (1)語り合いの空間から生み出される、コーディネート型の地域づくりに向けて ■ 「コーディネート型の地域づくり」とは 地域コミュニテイの活動を コーディネートする場 ◇対話と共感の場 ◇顔と顔のみえる関係 ◇横つなぎの空間・営み 多様な主体が、コミュ ニケーションによりそれ ぞれの持てる力を発揮し ながら、ゆるやかにつな がって地域づくりに関わ る。 20 市民も、地域で活動する様々な団体も、そして区役所も、多様な主体が、コミュニケー ションによりそれぞれの持てる力を発揮しながら、ゆるやかにつながって地域づくりに関 わっていく。 さまざまな地域住民が横につながりの関係になっている場に行政も参加し、それぞれの 得意を発揮しながら「新しい公共」を担っていく。それが「コーディネート型の地域づく り」のイメージです。 「コーディネート型の地域づくり」の場ではまず、社会的背景の異なる人々が十分なコ ミュニケーションを通じて相互の信頼感を作り上げつつ、場の運営といった基盤的活動が 得意、特定の分野で具体的な技術を発揮することが得意、この分野は興味や関心があって 得意、などといった、それぞれの主体が持つ特性を、適材適所に発揮するものと考えられ ます。 先進事例に学ぶ :地域を活かす・つなぐ 港南台タウンカフェ(港南区) ■ カフェから始まる横つなぎの事例 《団体プロフィール》 「cafe から始まるまちづくり」をテーマに、2005 年 10 月にオープンしたコミ ュニティーカフェ。「株式会社イータウン」 、「横浜港南台商店会」、市民活動団体 「まちづくりフォーラム港南」の 3 者で運営されています。港南台連合自治会を はじめ、多くの団体や地域の商店・企業、市民ボランティアなどが連携、協力し ています。 地域の市民参加で小箱ショップや港南台テント村の 運営、かわら版発行などを行っています。 <主な取組> *地域情報ホームページ「e-town」や かわら版「港南台タウンカフェ通信」の企画運営発行 *まちづくり交流イベントの企画運営 *常設のカフェサロンにおける交流スペースやレンタル棚「小箱ショップ」の運営 *ミーティングやセミナー等の提供 ※2008 年 8 月から、港南区民活動支援センターのブランチ(サブ拠点)としても活動しています。 21 (2)「コーディネート型の地域づくり」の場を創るポイント 「コーディネート型の地域づくり」を進める場は、次の諸点に留意して形づくられるこ とが大切です。 ■ 地域が共感できる具体的な地域課題を設定する 一般論や総論ではなく、異なる立場を越えて共感できる具体的な地域課題を設定するこ とが大切です。 例えば、高齢者や子育てを別個に考えるのではなく「多世代が共存できる地域づくり」 から課題を見いだすことが、立場を越えた視点となります。 ■ 緩やかな枠組みづくりから入る 組織づくりを先行させるよりも、活動を迎えるための、緩やかで弾力性のある枠組みづ くりから入り、徐々に取組体制を築いていくことが大切です。 最初に役割や規約等がしっかりした強固な枠組みを作ってしまうと、組織は硬直化して しまいがちになるものです。 ■ 意欲的な個人を徐々に巻き込む 義務感によって参加した人だけでは活動の幅は広がりません。縁の下の力持ち的活動が 得意な人、新しいことを始めるのが得意な人、など色々な人が属することで活動は広がり ます。 市民活動団体には属していない一般市民の中にも意欲的な人はたくさんいます。こうし た個人はもとより、地域づくりについての色々なノウハウを持つNPO、大学、企業、な どに属する人々を徐々に巻き込んでいくことが大切です。 ■ コーディネート役が大切 場をコーディネートしていく人が必要です。コーディネート役を果たせる人は、地域組 織の代表者の中だけに限らず、色々な所にいる可能性がありますから、決めつけないこと が大切です。場合によっては第三者のコーディネーターを交えるとうまくいくこともあり ます。 区役所側も、行政内を調整していく要となるコーディネーターを徐々に決めていく必要 があります。 ■ 創造的な議論ができる場を設定する 検討が深まらないうちから成果を設定して、何とかそこに たどり着こうとすると、議論も形だけに陥りがちとなります。 一方、夢のある前向きな提案が付け加わるなど、創造的な 議論ができると、次への展開力が生まれます。そうした場を 実現するためには、ちょっと違う立場から意見できる第三者 のコーディネーターの活用が大切です。 22 ■ 地域の自立性を確保する 行政が設定した枠組みの中だけで地域住民が活動する状態では、主体的なやる気は起き づらいものです。 まさに「地域の活動」となるためには、事務局、活動資金、等の地域側での自立性を確 保することが大切です。 ***** 「コーディネート型の地域づくり」の取組を進める上でのさらなる課題 ***** 本懇談会では結論的に議論するまでは至りませんでしたが、コーディネート型の地域 づくりをすすめていくために、次のような取組についても、今後さらなる検討を進めてい くことが必要との提案がありました。 ○ 地域における協働的な取組事例の収集と評価 例えば、自治会町内会が地域づくりのテーマを絞って企画・提案力を発揮するような、 NPO的な取組を行っていくようなケースが散見されるようになってきています。 このような、新しい発想の活動、運営上の様々な工夫をこらした活動などの事例を収集 するとともに、評価し、従来の取組の中でいきづまっているような地域組織や地域活動に 対して、わかりやすく紹介し、組織や活動の活性化に取り組んでいくことが求められてい ます。 ○ 地域づくりにおける資金循環システムの再構築 地域づくりを考えていくときには、その地域づくりの場にどういうお金が投入されてい て、どのように運用されているか、ということがわかりやすくなっていることが大事です。 地域には、行政からの多種多様な補助金が、目的ごとに、あるいは団体別に細かく支出 されていたりします。一方、新たに取り組むNPO等の市民活動団体には、安定的な活動 資金を得られている所は少なく、模索中の段階です。こうした状況から、「コーディネー ト型の地域づくり」を考えていく時には、地域における資金循環がどうあるとよいか、あ わせて検討していくことも大切なことと考えます。 ○ 地域組織と行政の対等なパートナーシップに基づく「協働契約」方式の導入 地域で活動をすすめていく場合、組織と行政の契約関係は、地方自治法上では「委託契 約」か「補助(助成)」しかありません。そのためなかなか対等なパートナーとしての関 係を結びづらい状況にあります。そこで、地域と行政が協働で取り組んでいくような取組 については、第3の契約方式といった「協働契約」的な契約方式について、考えていく必 要があるのではないでしょうか。 (「政策の創造と協働のための横浜会議」では平成 20 年度に研究対象として採択され、 検討が進められています。) 23 終わりに 委員の皆さんの語り合いの中では、何度も「横つながりの大切さ」「顔と顔の見える関 係」が強調されました。市民も行政も、ともに“汗をかく”ことで、このような「コーデ ィネート型の地域づくり」の営みが、地域に点在している様々な力を引き出し、地域の担 い手の広がりにつながるのではないか、と考えます。 そして、そのような営みが、本懇談会の最初の課題認識であった、「持続可能な地域 社会における新たな公共の担い手の広がり」につながっていくことを、願ってやみませ ん。 * 当初、本懇談会は、「地域を支える区役所」としての役割について検討する、という ことではじまりました。しかし、実際の地域での取組が委員の皆さんから語られる中で、 区役所がともすると、一歩引いた位置で傍観者的に地域にかかわりがちであること(中 には、市民が主役だから行政は介入してはいけないのだと、あえて一歩引こうといった 意識からくるものもあるようですが)、地域への想いや愛着を区職員も一緒に感じられ ないと、区役所は、地域と協働してよりよい地域コミュニティづくりのための役割を果 たせない、との共通認識に至りました。 地域と区役所の関係について、イーブンであり両輪であり、お互いに地域への想いや 共感、目的などのビジョンを共有しながら、地域づくりに取り組んでいくことが問われ てきています。 そこで、本懇談会の提言のテーマを、「地域と“ともに歩む”区役所」として、これ からの地域づくりに地域と区役所が想いを共有しながら取り組んでいくこと、そのため の区役所の「地域に向き合う姿勢」が何よりも大事であることをメッセージとし、本懇 談会の提言のしめくくりとします。 協働型の地域づくり 地域 区役所 多様な主体が 信頼関係のあるネットワーク でゆるやかに結ばれている 協働のパートナーとして 地域の取組を支援 ともに 24 <参考資料> 懇談の背景となった資料など ○ 検討の背景 ○ 先進事例に学ぶ:地域を活かす・つなぐ ○ 横浜市の区役所の概要と区機能強化の取組の変遷 ○ 横浜市における「パートナーシップ型行政」の変遷 ○ 地域を支える区役所の役割等検討懇談会 ○ 地域を支える区役所の役割等検討懇談会要綱 25 ~地域づくりにおける既往の取組事例 委員名簿 ● ■ 横浜をめぐる状況 ■ 地域力への期待 検討の背景 26 ● ■ 期待されても厳しいコミュニティの状況 ■ 横浜市の方向性~市民主体の地域運営 横浜市中期計画(H18 年度~H22 年度)では、市民生活の満足度の向上を目指して、 様々な担い手が連携し、市民主体の地域運営が進むよう、様々な主体による協働や、地域 資源のネットワーク化など、市民や地域の活動を支える機能の充実を掲げています。 27 ■ 地域の状況と、区役所との関係における課題 (第 3 回懇談会資料から) ■ 職員が考える課題認識 (第 3 回懇談会資料から) 28 ● 先進事例に学ぶ:地域を活かす・つなぐ ~地域づくりにおける既往の取組事例 ● ■ 自治会から活動団体を生み出し、地域での継続性・活性化につなげている事例 ◎ ■ 下和泉住宅自治会(泉区) 区からの補助金の活用により、従来の活動の枠をこえた取組につながった事例 ◎ ユートピア本郷の会(栄区) ≪団体プロフィール≫ ユートピア本郷の会は、子ども達が自由に集まり、活動できる場を提供 することで、自らが考え、判断し、行動できるよう、自立心を持った子ど も達の育成を目的に活動している、地域の人達によるボランティア団体で す。 地域の公園などを利用して、子どもたちの自主企画によるイベントを通 して、地域ぐるみの交流に取り組んでいます。 主な活動内容としては、野菜づくり、花壇づくり、草刈り等の公園整 備、また、サバイバル術の習得や食べられる野草を食材とした野外料理、 乾パンを使ったハンバーガー作り等の大規模災害時の復旧対策にも役立つ メニューもあります。 29 ■ 区役所における地域支援の取組事例 ◎ 地域支援オフィス(瀬谷区役所) 12 地区連合単位を基準に展開している区役所内の各地域支援体制を結びつけ、地区支援推進 会議と地区カルテによる情報共有や連携強化をはかっています。地域の状況に関する情報は、「地 域の今を知る集い」で地域と共有し、担い手同士の意見交換につなげています。 ◎ 地区担当制(泉区役所) 泉区では、地域支援を充実させるために、平成16年5月から区役所組織の中に地区担当 制を導入し、より身近な区役所づくりをすすめています。 体制 ○地域振興課 係長・職員 ○サービス課 課長・係長・職員 取組 庁内連携の取組 区内を地区連合数に合わせて12地 区に区割りし、各担当を決め、地域 のまちづくりや福祉保健計画の行動 計画の支援を実施。 地域の課題を、地区担当者と所 管課で情報を共有化する場を設 け、解決に向けての取組を実施。 ※ほかにも、地域防災拠点や地区連合単位など、全 16 区役所で、管理職等による地域担当 性を実施。 30 ● ■ ■ 横浜市の区役所の概要と区機能強化の取組の変遷 18 区の概要 区機能強化の変遷 31 ● ● 横浜市における「パートナーシップ型行政」の変遷について ● 横浜における協働(パートナーシップ)については、おおよそ 20 年間の蓄積があり、 市民、行政とも少しずつ成果、実績を積み上げてきています。 1. 「協働推進の基本指針」 (平成 16 年 7 月策定)とそれを踏まえた協働事業の試みを通 して、NPO や自治会・町内会の企画・提案力が向上してきています。 ◇ 協働事業提案制度 ◇ 政策の創造と協働のための横浜会議 ◇ 環境まちづくり協働事業 ◇ ヨコハマ市民まち普請事業 など 2. 区役所の経営機能、地域行政機能は近年徐々に拡大、強化されてきており、地域づく りの機能を高めてきています。 ◇ 個性ある区づくり推進費 ◇ 区長庁内公募制 ◇ 保育所・土木事務所の移管 ◇ 学校との地域連携、資源化推進、まちのルールづくりに関する相談 等の機能強化 3. 区役所を中心とした地域・市民活動支援は、区ごとの創意工夫で、分野・テーマを横 断(横つなぎ)する仕組みにシフトしはじめています。 ◇ テーマ横断的な手上げ式の活動助成 ◇ プロジェクト形式やチーム制で地域課題に取り組む試み など 4. 区レベルで NPO、生涯学習グループ、自治会・町内会、企業等が立場を超えてつなが る場・機会が増えてきており、そこでの関わりは地域に波及するケースも出てきてい ます。 ◇ 戸塚区“とつかお結びフォーラム” ◇ 港北区“地産地消フォーラム” ◇ 地域福祉保健計画の推進に向けたフォーラム ◇ 活動助成審査における公開プレゼン など 5. 「市民主体の地域運営」の試行を通して、地域による地域課題解決、政策提案等の認 識が拡がりを見せ始めています。 ◇ 身近な地域・元気づくりモデル事業 32 (H19 年度~ 現在 7 区 13 地区で展開) ■ 横浜市での地域まちづくりと市民参加・協働の系譜 ■ 横浜市における市民活動との協働に関する基本方針(横浜コード) 横浜コードでは“協働の6原則”として、次のように明文化されている。 3 協働の原則 市民活動と行政が協働するにあたっては、次の6つの原則を尊重して進める。 (1) 対等の原則(市民活動と行政は対等の立場に立つこと) (2) 自主性尊重の原則(市民活動が自主的に行われることを尊重すること) (3) 自立化の原則(市民活動が自立化する方向で協働をすすめること) (4) 相互理解の原則(市民活動と行政がそれぞれの長所、短所や立場を理解し合うこ と) (5) 目的共有の原則(協働に関して市民活動と行政がその活動の全体または一部につい て目的を共有すること) (6) 公開の原則(市民活動と行政の基本的事項と関係が公開されていること)」 (横浜市市民活動推進検討委員会報告書 33 平成 11 年 3 月 より抜粋) ● 氏 名 地域を支える区役所の役割等検討懇談会 委員名簿 ふりがな ● 所 属 等 内海 宏 うつみ ひろし (株)地域計画研究所 代表取締役 江上 渉 えがみ わたる 立教大学社会学部教授 岡野 富茂子 おかの ともこ 港南台生き生きプレイパーク 代表 岡部 忠男 おかべ ただお 緑区市民活動支援センター運営委員会 会長 小林 由美子 こばやし ゆみこ 地域発子どもを守る安全プロジェクト 代表 清水 靖枝 しみず やすえ 横浜市長屋門公園歴史体験ゾーン 事務局長 竹谷 康生 たけや やすお 湘南桂台地区まちづくり委員会 代表 時任 和子 ときとう かずこ 特定非営利活動法人 夢・コミュニティ・ネットワーク 代表 永井 正彦 ながい まさひこ 西区環境事業推進委員連絡協議会 中村 香織 なかむら かおり (社)横浜市社会福祉協議会 事務局長 長谷川 正義 はせがわ まさよし 横井 正巳 よこい まさみ 会長 横浜市民生委員児童委員協議会 会長 横浜市町内会連合会 副会長 (金沢区町内会連合会 会長) (敬称略、50音順) ○ 行政側出席者 6人 港北区担当理事、港北区福祉保健センター担当部長、都市経営局政策部長、健康福祉 局地域福祉保健部長、市民活力推進局市民協働推進部長、区政支援部長 34 ● 地域を支える区役所の役割等検討懇談会要綱 制定 平成 20 年 5 月 27 日 ● 市区第 92 号(局長決裁) (設置) 第1条 区民主体や協働による地域づくりを進めるにあたり、地域を支える区役所の役割等について 検討するため、地域を支える区役所の役割等検討懇談会(以下「懇談会」という。)を設置する。 (所掌事務) 第2条 懇談会は、次の各号に掲げる事項について検討を行う。 (1) 地域コミュニティや区における様々な取組の現状と課題 (2) 区民主体や協働による地域づくり推進のために区役所に求められる機能 (3) 区民の意見を反映させた区政運営の仕組み (4) その他目的達成のために必要な事項 (組織) 第3条 懇談会は、委員 12 人以内をもって組織する。 2 懇談会の委員は、次の各号に掲げる者のうちから、市長が委嘱する。 (1) 学識経験のある者 (2) 横浜市町内会連合会から選出された者 (3) 横浜市社会福祉協議会から選出された者 (4) 前3号に掲げる者のほか、市長が必要と認める者 3 懇談会の委員の任期は、平成 21 年 3 月 31 日までとする。 (座長) 第4条 懇談会に座長 1 名、副座長1名を置き、それぞれ委員の互選によりこれを定める。 2 座長は、懇談会を代表し、会務を総理する。 3 副座長は、座長を補佐し、座長に事故があるときには、その職務を代理する。 (会議) 第5条 懇談会は、座長が招集する。 2 懇談会の進行は、座長が行う。 3 座長は、必要があると認めるときは、懇談会に関係者の出席を求め、その意見又は説明を聴くこ とができる。 (会議の公開) 第6条 会議は、公開とする。ただし、懇談会が認めた場合、会議の一部または全部を非公開とする ことができる。 (事務局) 第7条 懇談会の事務局は、市民活力推進局区連絡調整課区機能強化担当に置く。 (委任) 第8条 この要綱に定めるもののほか、懇談会の運営に関し必要な事項は、座長が懇談会に諮って定 める。 附 則 (施行期日) 1 この要綱は、決裁日から施行する。 (経過措置) 2 第5条の規定にかかわらず、この要綱の施行後、最初の懇談会は、事務局が招集する。 35 地域を支える区役所の役割等検討懇談会 事務局 横浜市市民活力推進局区連絡調整課区機能強化担当 平成 21 年 3 月発行 〒231-0017 横浜市港町1-1 電話 045(671)2728 FAX 045(664)5295 横浜市広報印刷物登録第 ○○○ 号 類別・分類 ○○○ 編集協力:山路 清貴((株)山路商事 都市・建築設計室長) ※本報告書で、特に注意書きのないものについては、懇談会事務局である横浜市市民活力推進局区連絡調整課区 機能強化担当及び編集協力者である山路清貴氏の取材・調べに基づき作成・編集しており、その内容に関する責 務はすべて本懇談会事務局に帰すものであることをおことわりいたします。 36