...

第14回きみっしょん実施報告書

by user

on
Category: Documents
83

views

Report

Comments

Transcript

第14回きみっしょん実施報告書
平成 27 年度
高校生向け体験学習プログラム
第 14 回 君が作る宇宙ミッション
実施報告書
主 催
国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構
宇宙教育センター
宇宙科学研究所
はじめに
連日 35℃を超える猛暑の中,「第 14 回 君が作る宇宙ミッション」(通称「きみっしょん」)が,
2015 年 8 月 3 日〜7 日の 5 日間 JAXA 相模原キャンパスに於いて開催されました.今年も課題作
文による選考を経て,全国から 25 名の高校生がきみっしょんに参加しました.昨年に引き続き女
子が半数を超えています.自己紹介によれば,JAXA や NASA の職員,あるいは天文学者を将来
の進路として目指すという高校生が約半数,宇宙への興味を通じて自分の将来を展開したいという
人たちが半分,というところでしょうか.
きみっしょんは,「自ら考え,自ら決定し,自ら作業する」を理念とし,自分たちの宇宙ミッシ
ョンを立案することを目標として,高校生が自分たちで問題を見つけ,徹底的に調べ,考え,議論
することで,プロの研究者が行っている「研究活動」のプロセスを体験することを目指しています.
きみっしょんの 5 日間は,
「研究活動」を知らない高校生たちにとっては相当ハードな体験です.
しかし,5 日間は短く,この間に出来たことも,彼らにとって満足のいくものではなかったかもし
れません.しかし,厳密な科学的思考と議論を積み重ね,チームで協力してミッションを検討して
いくなかで,彼らは「研究する態度」という貴重な財産を得ました.この経験を発展させ,各自の
将来ミッションにつなげて欲しい.それこそがきみっしょんの本質だと思います.
きみっしょんは,高校生の教育の場であるだけでなく,宇宙科学研究所で学ぶ大学院生の自主鍛
錬の場でもあります.大学院生たちの自主的組織が運営の主体となって,ほぼ一年前から研究の傍
ら議論を重ねて計画を練り上げ,また当日は素晴らしいチームワークで運営を進めました.肉体的
にも,精神的にもハードな本番の一週間を経て,彼らも大きく成長したことと思います.また,き
みっしょんの活動を通じて,学年・研究室を越えた大学院生間の交流が進み,各自の研究に良いフ
ィードバックをもたらしていると信じます.
本報告書は,第 14 回きみっしょんの記録であるとともに,運営経験を蓄積し,次回以降へ引き
継ぐための資料でもあります.例年もそうですが,特に今年のきみっしょんチームは,指導・運営
にあたって明確な目標を設定し,選考課題の設定から班分け・当日のプログラムなどに一貫して反
映させてきました.その過程と評価は本編を読んでいただくとして,これは「いかに高校生の自主
性を重んじながら,科学的に高度な議論・検討をさせるか」という,きみっしょんの永遠の課題に
対する一つの研究報告とも言えるでしょう.良かったこと,反省点,すべての経験を是非ポジティ
ブな形で次回につないで欲しいと思います.過去に学びつつ,新しいスタッフによって,向上と変
化の意志が維持され,きみっしょんがますます良いものになっていくことを心より願います.
スタッフの皆さん,お疲れさまでした.また,きみっしょんを温かく支えて頂いた食堂,生協,
守衛のみなさま,そして職員・研究員の皆様に篤くお礼申し上げます.
第 14 回「君が作る宇宙ミッション」職員世話人代表
山村 一誠(宇宙物理学研究系)
(きみっしょん,本報告書へのご意見は [email protected] へ)
― i ―
― ii ―
目次
はじめに ............................................................................................................................i
「君が作る宇宙ミッション」とは................................................................................... iv
本報告書の目的 ................................................................................................................ v
沿革 ................................................................................................................................. vi
1.
2015 年度活動報告 .................................................................................................. 1
1.1.
活動概要 ........................................................................................................................ 3
1.2.
課題作文 ........................................................................................................................ 4
1.3.
期間中のスケジュール ................................................................................................... 5
1.4.
最終発表会資料 .............................................................................................................. 6
1.5.
最終報告書 ................................................................................................................... 15
1.6.
フォトアルバム ............................................................................................................ 28
1.7.
各種アンケート ............................................................................................................ 36
2.
2015 年度運営記録 ................................................................................................ 51
2.1.
スタッフの組織構成 ..................................................................................................... 53
2.2.
コンセプト・指導方針 ................................................................................................. 55
2.3.
事前準備から本番までの流れ ....................................................................................... 57
2.4.
スタッフ会議まとめ ..................................................................................................... 59
2.5.
各役職仕事まとめ ........................................................................................................ 63
2.6.
スタッフ講習会 ............................................................................................................ 80
2.7.
運営の評価と反省 ........................................................................................................ 81
2.8.
総括 ............................................................................................................................. 82
3.
付録資料 ................................................................................................................ 83
3.1.
関係者一覧 ................................................................................................................... 85
3.2.
募集要項 ...................................................................................................................... 89
3.3.
広報資料 ...................................................................................................................... 93
3.4.
しおり .......................................................................................................................... 97
謝辞 .............................................................................................................................. 112
― iii ―
「君が作る宇宙ミッション」とは
君が作る宇宙ミッション(通称:きみっしょん)は,全国から応募し選考された 20 数名の高校
生が,4 泊 5 日で JAXA 宇宙科学研究所に合宿し,宇宙ミッションを仲間と協力して自分たちで作
り上げる高校生向けの体験学習プログラムである.JAXA 宇宙科学研究所と宇宙教育センターの協
力のもと,宇宙科学研究所で研究している大学院生が中心となって運営と高校生のサポートを行う.
毎年夏休みの時期に開催され,2015 年度で第 14 回目を数える.
「きみっしょん」では,
「自ら考え,自ら決定し,自ら作業する」をその理念としている.これ
は研究者が日夜行っているプロセスであり,研究活動に限らず何かを企画しやり遂げる際には必須
の能力である.しかしながら,高等教育においては教師と生徒という明確な分類がなされ,教師の
「指導」のもと解決策を学ぶ点に焦点がおかれるため,このプロセスの習得を求めるには限界があ
る.
「きみっしょん」では,大学院生スタッフはあくまでサポートに徹し,「答え」を教えるという
行為は行わない.議論の主導権を高校生に委ね,自ら仮説と検証を繰り返しつつ議論を進めてもら
う.スタッフは高校生の自主性を限りなく尊重したうえで,問いかけによって彼らの思考・検証を
手助けし,議論の活発化と方向性の修正をする.高校生には,自ら問題を解決していく過程で,主
体性や思考力,チームワークの構築を学んでもらう.また,そのような環境において,高校生は各々
の能力を限界まで駆使すると共に,仲間と協力して 1 人では到底為し得ない成果を挙げる喜びを体
験することができる.
学校の授業では好奇心を満たしきれない高校生や,学校で勉強することが社会ではどのように役
に立っているのかわからない高校生にとって,「きみっしょん」が新しい発見と出会える機会とな
ることを期待している.また,最先端の宇宙科学研究拠点である宇宙科学研究所において日々研究
を行う職員,研究員,大学院生と触れ合うことが,将来を考え始める高校生たちにとって良い刺激
となることを期待している.
― iv ―
本報告書の目的
本報告書では,2015 年 8 月に実施された「第 14 回 君が作る宇宙ミッション」の活動成果を報
告する.今年度の実施内容を述べ,参加した高校生が期間中に作成したミッションをまとめる.さ
らに,きみっしょんへの参加の前と後で高校生に回答してもらったアンケートの結果をまとめ,今
年度のきみっしょんについてどのような感想が寄せられたか,きみっしょんの前後で高校生の意識
がどう変化したのかを示す.
また,この報告書は,今年度の大学院生スタッフによる運営の記録でもある.今年度のきみっし
ょんで掲げられたコンセプトや,当日までの準備の流れをまとめている.この記録が今後のきみっ
しょんをより良いものにするための資料となることを期待する.
― v ―
沿革
2003 年 春
文部科学省宇宙科学研究所の主催で「第 1 回 君が作る宇宙ミッション」を開
催.
2003 年 夏
独立行政法人 宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究本部(以下,宇宙研)の
主催で「第 2 回 君が作る宇宙ミッション」を開催.
2004 年 夏
宇宙研および総合研究大学院大学の共催で「第 3 回 君が作る宇宙ミッション」
を開催.
2005 年 夏
宇宙研および総合研究大学院大学の共催で「第 4 回 君が作る宇宙ミッション」
を開催.
2006 年 春
「第 4 回 君が作る宇宙ミッション」の参加者が「日本天文学会 春季年会」
ジュニアセッションに参加(口頭発表およびポスター発表)
.
2006 年 夏
宇宙研および同機構 宇宙教育センターの共催で「第 5 回 君が作る宇宙ミッ
ション」を開催.
2007 年 春
「第 5 回 君が作る宇宙ミッション」の参加者が「日本天文学会 春季年会」
ジュニアセッションに参加(口頭発表およびポスター発表)
.
2007 年 夏
宇宙研および同機構 宇宙教育センターの共催で「第 6 回 君が作る宇宙ミッ
ション」を開催.
2008 年 春
「第 6 回 君が作る宇宙ミッション」の参加者が「日本天文学会 春季年会」
ジュニアセッションに参加(口頭発表およびポスター発表)
.
2008 年 夏
宇宙研および同機構 宇宙教育センターの共催で「第 7 回 君が作る宇宙ミッ
ション」を開催.
2009 年 春
「第 7 回 君が作る宇宙ミッション」の参加者が「日本天文学会 春季年会」
ジュニアセッションに参加(口頭発表およびポスター発表)
.
2009 年 夏
宇宙研および同機構 宇宙教育センターの共催で「第 8 回 君が作る宇宙ミッ
ション」を開催.
2010 年 春
「第 8 回 君が作る宇宙ミッション」の参加者が「日本天文学会 春季年会」
ジュニアセッションに参加(口頭発表およびポスター発表)
.
2010 年 夏
宇宙研および同機構 宇宙教育センターの共催で「第 9 回 君が作る宇宙ミッ
ション」を開催.
2011 年 春
「第 9 回 君が作る宇宙ミッション」の参加者が「日本天文学会 春季年会」
ジュニアセッションに参加(口頭発表およびポスター発表)
.
*東日本大震災の影響により天文学会は中止となり,ジュニアセッションは Web 上での発表に変更.
― vi ―
2011 年 夏
宇宙研および同機構 宇宙教育センターの共催で「第 10 回 君が作る宇宙ミッ
ション」を開催.
2012 年 春
「第 10 回 君が作る宇宙ミッション」の参加者が「日本天文学会 春季年会」
ジュニアセッションに参加(口頭発表およびポスター発表)
.
2012 年 夏
宇宙研および同機構 宇宙教育センターの共催で「第 11 回 君が作る宇宙ミッ
ション」を開催.
2013 年 春
「第 11 回 君が作る宇宙ミッション」の参加者が「日本天文学会 春季年会」
ジュニアセッションに参加(口頭発表およびポスター発表)
.
2013 年 夏
宇宙研および同機構 宇宙教育センターの共催で「第 12 回 君が作る宇宙ミッ
ション」を開催.
2014 年 春
「第 12 回 君が作る宇宙ミッション」の参加者が「日本天文学会 春季年会」
ジュニアセッションに参加(口頭発表およびポスター発表)
.
2014 年 夏
宇宙研および同機構 宇宙教育センターの共催で「第 13 回 君が作る宇宙ミッ
ション」を開催.
2015 年 春
「第 13 回 君が作る宇宙ミッション」の参加者が「日本天文学会 春季年会」
ジュニアセッションに参加(口頭発表およびポスター発表)
.
2015 年 夏
宇宙研および同機構 宇宙教育センターの共催で「第 14 回 君が作る宇宙ミッ
ション」を開催.
― vii ―
― viii ―
1. 2015 年度活動報告
― 1 ―
― 2 ―
1.1. 活動概要
【開催期間】 2015 年 8 月 3 日(月)~7 日(金)
【会場】
国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構 相模原キャンパス
(神奈川県相模原市中央区由野台 3-1-1)
【対象者】
高校生,3 年次までの高専生,高校生相当年齢の方
【定員】
20 名程度(応募者多数の場合は作文による選考を行う)
【申込締切】 2015 年 6 月 1 日(月)
課題作文により選考された 25 名(男性 11 名,女性 14 名)の高校生が,相模原キャンパスにて
4 泊 5 日の合宿を行い,4 つの班(ASTRO 班・MUSES 班・PLANET 班・SOLAR 班)に分かれ,
大学院生スタッフのサポートを受けながら,独自の宇宙ミッションを立案・検討し,宇宙科学研究
所の職員および学生に向けて発表した.
― 3 ―
1.2. 課題作文
きみっしょんでは例年,定員以上の応募があるため,課題作文による参加者の選考を行っている.
今年度は,以下の設問について,A4 用紙 2 枚以内で解答してもらった.
国際宇宙ステーション(ISS)に、高校生が自由に使える実験棟が新設さ
れることになったとします。あなたなら、どのような実験を提案しますか。
その計画を説明してください。独創的なアイデアを期待しています。
実験計画は、他の人が読んでも分かるように、「実験のタイトル」、「目的」、「方法」、「実
験に必要なもの」を明確に書いてください。図表を入れても構いません。さらに、「実験の
背景」、
「予想される結果とその理由」、
「参考文献」なども、必要に応じて書いてください。
ただし,期間中に取り組むミッションは各チームで議論のうえ決定するので,この課題作文の内
容は期間中のミッションとは必ずしも関連しない.
この課題作文をもとに,25 名の参加者を選考した.男女の内訳は,男性 11 名,女性 14 名であ
る.
― 4 ―
1.3. 期間中のスケジュール
きみっしょん本番(8 月 3 日~7 日)は,以下のスケジュールで進行した.
8/3 (Mon)
8/4 (Tue)
8/5 (Wed)
9:00
11:00
12:00
院生ミニ講義
9:00~10:30
第14回
きみっしょん
スケジュール
ミッション作成
9:00~12:00
所内見学
16:00
17:00
18:00
19:00
20:00
21:00
14:30~15:30
ミッション作成
15:30~18:00
歓迎会
18:00~19:30
ミッション作成
19:30~22:00
報告書作成
9:00~11:00
修了式
11:00~12:00
全体写真撮影
昼食
12:00~13:00
特別演習
13:00~14:30
淵野辺駅集合
13:30
全体オリエンテーション
15:00
ミッション作成
9:00~12:00
10:30~11:30
13:00
14:00
8/7 (Fri)
朝食
8:00~9:00
8:00
10:00
8/6 (Thu)
ミッション作成
13:00~17:00
淵野辺駅にて解散
14:30頃
最終発表会の準備
ミッション作成
14:30~18:00
中間発表
17:00~18:00
夕食
18:00~19:00
中間発表
18:00~19:00
特別講義
19:00~20:00
夕食
19:00~20:00
ミッション作成
20:00~22:00
ミッション作成
20:00~22:00
22:00
ミッション作成
13:00~17:00
最終発表会!
17:00~19:00
お疲れ様会
19:00~21:00
座談会
就寝
22:00
1 日目の初めに全体オリエンテーションでスタッフから「ミッションとは何か」の説明を受けて
から,高校生は事前に通知された班に分かれ,ミッション作成を開始した.(高校生の班分けの方
法については,2.4 節「スタッフ会議まとめ」参照)
期間中,計 3 回のミッション発表会があった.2 日目の夕方に最初の中間発表会があり,高校生
は,各班のミッション作成状況を報告し合い,質疑応答を行った.3 日目の夕方に行われた 2 回目
の中間発表会では,資料を用意して本格的なプレゼンテーションを行った.この発表会の様子は,
Ustream を利用してインターネット上で生配信された.4 日目の夕方に,宇宙科学研究所に所属す
る職員・学生の前で,ミッションの最終発表会を行った.この最終発表会の様子も,前日と同様に,
Ustream により生配信された.
ミッション作成以外にも,様々なイベントが行われた.「院生ミニ講義」では,大学院生による
研究活動の例として,また発表の仕方の見本として,大学院生スタッフ 3 名が自分の研究内容を講
演した.「所内見学」では,宇宙科学研究所の普段の見学では入ることのできない,イオンエンジ
ン実験室,キュレーション設備,管制室を見学した.「特別講義」では,
「はやぶさ 2」プロジェク
トマネージャである津田雄一先生に,宇宙ミッションを作り方について講演していただいた.「特
別演習」では,ミッション作成とは異なる班に分かれ,限られた材料を用いて生卵を割らずに高い
ところから着地させる「エッグランダー」という競技に取り組んだ.「座談会」では,高校生と大
学院生スタッフが,ミッションに限らない自由な会話をした.高校生同士では各々の興味の語り合
いなどが,高校生と大学院生スタッフの間では進路相談や研究内容の詳しい説明が行われた.
― 5 ―
1.4. 最終発表会資料
各班が最終発表会で用いた資料を掲載する.それぞれに,各班のミッションがまとめられている.
 ASTRO 班
1
2
背景(事前知識)
まだ見ぬ星を求めて
ワード
~銀河系ハロー内のPopⅡ星観測で探る
PopⅢ星の質量分布~
銀河系ハロー・・・
球状星団・・・
種族Ⅱ星(以後PopⅡ星)・・・種族Ⅲ星の子供にあたる星
種族Ⅲ星(以後PopⅢ星)・・・宇宙初期に生まれた星
測光・・・光度・輝度などを簡単に測定する方法
分光・・・光度・輝度などを波長ごとに分け、
精密に測定する方法
ASTRO班
Mone つかD 師匠 ざっきー まる はるか
3
4
背景
PopⅡを観測することでPopⅢがわかる
PopⅢの超新星爆発により生まれた重元素をもとに
PopⅡができた
現在PopⅢ星について、
実際に観測された例はない。
超新星爆発で新たな
PopⅡ
PopⅢ
重元素が生まれる
観測可能なPopⅡ星の元素組成から
PopⅢ星の質量に関する情報を得たい
5
PopⅡの重元素質量を求めることにより重元素を生み
出したPopⅢの質量がわかる
6
目的
手段 ~流れ~
・PopⅡ星の観測からPopⅢ星の質量を
求める
・PopⅡ星の観測方法の確立
観測
シミュレーション
球状星団の測光観測を行う
↓
PopⅡ星を見つける
↓
PopⅡ星を分光観測を行い、
重元素の組成比を得る
様々な質量のPopⅢ星を作成
し、超新星爆発を起こし、
重元素の組成比を求める
PopⅢ星の質量の観測的検証
二つの結果を照らし合わせ、
それぞれの親となるPopⅢ星の質量を求める
↓
質量分布を求める
― 6 ―
7
8
手段 ~観測~
新たな観測衛星を打ち上げる
[搭載する望遠鏡]
①可視~近赤外線望遠鏡
②紫外線望遠鏡
[観測方法]
サーベイにより、より多くのPopⅡ星を測定する
手段 ~望遠鏡~
①可視~近赤外線望遠鏡 (測光観測)
・球状星団内の星の温度を推定し、
PopⅡ星の候補を探す
・PopⅡ星と考えられる恒星の重元素組成比を
推定する(Ba、Sr、Cr、Ti)
②紫外線望遠鏡 (分光観測)
・PopⅡ星と考えられる恒星の重元素組成比を
推定する(Ni、Cu、Cr、Ti)
9
まとめ
背景
現在PopⅢ星について実際に観測された例はない
目的
PopⅢ星の質量分布を知る
手段
PopⅡ星の天文衛星による観測とシミュレーションと
の比較によって、PopⅢ星の質量を推定
― 7 ―
 MUSES 班
1
2
背景
火星移住を見据えた
① 人類の存在領域を地球外の太陽系へと拡大
・人間の拡散本能
・自給自足レベルの向上
・地球で活用
アンチレゴリスーツ
② 火星に行きたい!住みたい!
MUSES班
神山友里 岡本咲華 竹﨑碧 田渕宏太朗
小林寧々 平山龍一 池谷蓮
3
③ 月で実証実験をする必要がある
・月は身近である程度探査が進んでいる
・実証実験をすることで火星移住した時のリスクを減らせる
4
発表の概要
レゴリスについて
問題点
レゴリスによる健康被害
月と火星のレゴリスについて
<レゴリスの定義>
天体の表面に存在する団結していない物質の総称
→この中の20 μm以下の「ダスト」に注目した。
<月と火星のレゴリスの形の違い>
月→角ばっている
火星→風化で丸みを帯びている
<月と火星のレゴリスの共通点>
静電気を帯びている。
1 mm
解決策
アンチレゴリスーツの開発
成果予測
火星でのレゴリスによる健康被害がなくなる
5
6
問題点
<過去にあった被害>
• 花粉症に似た症状を引き起こす。
(アポロ計画でエアロック内で宇宙服を脱ぐときに
吸引)
<他に起こると予想される被害>
・ 皮膚や目への刺激やリンパ系、心循環器系等
への健康被害を引き起こし、最悪死に至る。
解決策①
アンチレゴリスーツとは
• 目的
居住空間にダストを持ち込まないため
• 詳細
宇宙服の上に、一度ダストが付着すると自然に
離れないような材質に導電性のある物質を
混ぜたもので作ったスーツを着用する。
そうすることで、エアロック内でのダスト吸引を
防げる。
― 8 ―
7
8
解決策②
表面のひだにダストが付着。
このひだによりダストが
落ちないので、その後
エアロック内で、
アンチレゴリスーツを脱いだ
際に、付着したダストが漂い人が
吸ってしまうリスクをなくせる。
解決策③
ひだ
アンチレゴリスーツ:宇宙服の
上に着用し、居住空間内に
ダストを落とさないようにする。
レゴリス
9
ひだ:ダストを吸着する。
10
解決策④
成果予測
ダストは摩擦により静電気を帯びているので、
取り除きにくい。
→アンチレゴリスーツの洗浄法
①エアロック内で脱いだものを右図の
引きだしの様に洗浄装置に入れる。
②正負両方の電圧をかける
ことにより帯電しているダストを
吹き飛ばしながら気圧差に
より吸い取る。
月でも火星でも付着するダストはいずれも小さい
ので、アンチレゴリスーツによりダストが体内に入
ることを防ぐことができる。
→火星移住において、レゴリスによる健康被害
がなくなる
なお船外活動が安全かつ円滑に行われれば、
船外活動の効率化により、
火星移住の早期実現につながり得る。
― 9 ―
 PLANET 班
1
2
1.背景
バス部同一多段モジュール型人工衛星
のための修理システム
デリバリー衛星 「でまえ」
PLANET班
うどん, ジャッキー, なかむー,
たっちゃん, ふかっつー, ぱら
3
人工衛星の数は増え続けていく
故障する度に何度も打ち上げなおす
コストがかかり、環境にも悪い
4
衛星が軌道上で故障する要因
目次
1.背景
2.目的
3.手段
4.将来展望
●以外はバス部
軌道上で発生した故障の原因
(1968年~2014年までのデータを集計)
※
東京海上日動火災保険株式会社の TOPICS より
5
6
このグラフから電力系のトラブルが多い
例) バッテリー
回路
太陽電池パネル など
2.目的
修理衛星を用いて
バス部を同一にした衛星の部品交換を行う
使命を果さずに終わってしまう衛星がある
燃料燃焼による有毒ガスの発生を減らす
電力の使用の減少
騒音・振動問題の解消
コスト削減
壊れた部分を交換したい!
― 10 ―
7
8
低コスト化について
環境について
一番金がかかる:燃料モジュールの交換
仮定:GPS衛星 必要燃料500㎏
→三辺が1m、700㎏のモジュールが必要になる
修理をするなら10回の打ち上げを2回に削減す
ることができる
ドラゴン宇宙船と契約した場合、1回あたり26億円
修理衛星一式で350億円 (10回使用で35億円)
よって61億円
新しい衛星を打ち上げる場合は300億円
このことから5分の1の費用にできる
9
有毒ガスをまき散らすことを削減できるため、環
境保全につながる
10
3.手段
1)設計・地上実験
ロードマップ
今回実証する
1
2
1
3
2
1
近未来的
4
3
2
1
①設計
ⅰ)各モジュールの設
計をする
ⅱ)接合部を設計する
ⅲ)配線をする
1)多段モジュール型人工衛星を設計、地上実験
2)多段モジュール型人工衛星を宇宙で運用
3)母体、調査衛星、修理衛星を設計。地上実験、宇宙で運用
4)企業が打ち上げる衛星のスタンダードなモデルとして普及
11
12
2)宇宙での実証実験
②地上での動作確認
Ⅰ. モジュール単体の動作確認
Ⅱ.1つ1つのモジュールをつなげて全体の動作確
認をする
Ⅲ.モジュールの交換をして全体の動作確認をする
I. モジュール単体で正常に動作しているか
→衛星から送られてくる数値データを正常時の
データと比較
Ⅱ.ミッション機器が正常に動作しているのか
(例)GPS衛星
→一つの位置情報に対して、今回打ち上げる4つの
GPS衛星と今まで打ち上げられている他のGPS衛
星のデータと比較
→バス部が正常に機能しているかどうか確認
Ⅲ.モジュール交換
→ロボットアームで交換ができるのか
→できたらその後、Ⅰ・Ⅱを実証
― 11 ―
13
14
②調査衛星、修理衛星
3)母船(ISS)、調査衛星、修理衛星の設計
ⅰ)母船(ISS)から壊れた衛星へ調査衛星を飛ばす
ⅱ)調査衛星が事故原因を調べる
ⅲ)事故原因がわかる
ⅳ)母船(ISS)から新しいモジュールを載せた修理
衛星を飛ばす
ⅴ)修理衛星が壊れたモジュールを持って帰還する
①母船(ISS)
全体の流れ...
修理衛星が発進→ミッション帰還、着陸→モ
ジュール分解→モジュール修理、格納→モジュー
ル合体→修理衛星発進
※事故原因がわかっている場合はⅳから
使用するもの...
目視用カメラ、サーモグラフィー、ロボットアーム、
工具、部品等
15
16
4)企業の衛星として普及
技術が確立し、低コストかつエコロジーな人工衛星
としてうけいれられると考えられる
(例)農業、災害時の通信、GPS 等
17
18
4.将来展望
電力・推進系のモジュール以外のモジュールを取
り換え可能にし、より長く衛星を使えるようにする
(例)ソーラーパネル、姿勢制御、熱処理、通信、コ
ンピュータ(データ処理)
ご清聴ありがとうございました!
修理の技術を確立、修理可能なモジュールの規格
を採用したコスト的環境的にメリットの多い衛星を
多数採用してもらい、宇宙開発、ひいては社会全
体の利益につなげる
― 12 ―
 SOLAR 班
1
2
目的
GOHSE-G
糖から探す
地球外生命体
SOLAR班
生命がいるかいないか発見したい
理由
・科学の大きな疑問の一つを解決したいから。
・人間の未来に役立つ情報を得たいから。
岩間結子、 麦踏松秀、 月岡みなみ
仁木いずみ、 法堂可奈子、 大野匠
3
4
「生命が存在している」とは
「生命が存在している」とは
「生命が存在している」ことを調べるためには
★生命だと思われる有機物を探す
a. エネルギー源となる物質
b. 排出物
エネルギー源を吸収
物質を排出
物質・エネルギーを吸収して、
排出することを調べればよい。
一連の流れを「生命が存在している」と考えた。
5
6
「生命が存在している」とは
生命が物質・エネルギーを吸収して排出する方法
⇒解糖に絞って考える
解糖の化学反応式
C6H12O6 + H2S → E +CH4
検出対象
・注目した物質
グルコース、硫化水素、メタン
・物質ごとの検出方法
グルコース・・・採取してベネジクト液で検出
硫化水素・・・波長3.8μmの近赤外線による分光
メタン・・・波長1.67µmの近赤外線による分光
― 13 ―
7
8
観測機器
観測機器
メタン、硫化水素
生命
蛍光色素を用いて細胞を染色し、蛍光顕微鏡で観
察する。
いぶきに搭載された
近赤外分光計「TANSO」
の技術を用いる
採取
染色
観測
観測技術衛星「いぶき」
9
10
ミッションシーケンス
探査対象天体候補
候補として、以下のような熱水噴出孔のある天体
・エウロパ
・エンケラドス が挙げられる
地球を出発
目標天体に接近
分光計起動
硫化水素とメタンが濃い?
No
Yes
目標地点を決定し、着陸・採取
その理由は、
・解糖に必要となる物質
・解糖の反応に必要な熱
・水
が存在する可能性が高いからである。
11
まとめ
・生命の生存した定義として、
エネルギー源と排出物が存在している
・グルコースと硫化水素、メタンに注目した。
・それぞれの物質の観測手法を検討した。
・対象天体は熱・水・物質があると考えられる氷衛
星を考えている。
― 14 ―
1.5. 最終報告書
各班が作成したミッション内容の報告書を掲載する.
【ASTRO 班】
【最終報告書】
まだ見ぬ星を求めて
~銀河系ハロー内の PopⅡ星観測で探る PopⅢ星の質量分布~
川原 はるか(高3)【神奈川県立瀬谷高等学校】、佐藤 知寧(中等4)【千代田区立九段中等教育学校】
佐野 文哉(高2)【神奈川県立神奈川総合高等学校】、塚田 悠衣(高2)【京都市立紫野高等学校】
野﨑 信吾(高1)【岡山県立倉敷天城高等学校】、丸田 祥輝(高2)【神奈川県立厚木高等学校】
1.背景
宇宙初期に生まれた重元素を持たない星を PopⅢ星と呼ぶ。また、銀河と同時期に
生まれた重元素を少しだけ持つ星を PopⅡ星と呼ぶ。現在多様な元素が宇宙に存在
しているため、多様な方法でエネルギー放射を行うことができ、星の形成時に冷却が
活発に行われる。しかし、初期宇宙では元素がほぼ水素とヘリウムに限られるため、
現在の宇宙の冷却と比べると、効果は低くなってしまう。したがって、星の温度が高く
なる、つまり内部の圧力が大きくなるので、重力がなければ星の形が保たれない。よ
って、PopⅢ星の質量は大きくなる。この理論を実際に確認するため、本ミッションで
は「質量」に焦点を当てることにした。ただ、PopⅢ星について、実際に観測された例
はない。そこで、私たちは観測可能な PopⅡ星の元素組成比から、PopⅢ星の質量に
関する情報を得たいと考えた。それによって、初期宇宙の星の形成を解明することが
でき、現在ある星々のもつ元素がどのようにしてできたのか、また、なぜできたのかが
分かる。宇宙の謎の解明につながるのではないかと期待している。
2.目的
私たちの目的は、PopⅢ星の質量を観測的検証によって解明し、その質量分布を
作成することである。そのためには、PopⅡ星の観測によって、PopⅢ星の質量を知
ることや、その観測方法を確立する必要がある。
3.手段:PopⅢ星の質量の推定方法
PopⅢ星の質量を推定する方法の一つに、その PopⅢ星の超新星爆発によってま
き散らされた元素からなる PopⅡ星の重元素組成比を知るというものがある。銀河系
ハロー内には、銀河系と同時期に形成されたとされる、年齢が古い PopⅡ星が多く存
在していることが知られている。そして、それらは主に銀河系ハローに存在する球状
星団の中に含まれると考えられるので、我々は球状星団に着目した。また、PopⅢ星
の典型的な質量を知ることが目的であるため、一方向に限らず、様々な方向の
PopⅡ星を観測して、多くの PopⅢ星の質量を求める必要がある。
― 15 ―
その重元素組成比を求めるためには、分光観測によって、PopⅡ星のスペクトル中
に現れる重元素の吸収線の強度比を求める必要がある。その吸収線が現れる波長
域は、可視光・紫外線域であるため、可視光望遠鏡と紫外線望遠鏡を搭載した天文
衛星を打ち上げる。しかし、分光観測は、無作為に選別した多天体を対象とすると多
大な時間を要する。そのため、まず球状星団内でも特に PopⅡ星である可能性が高
い、表面温度が低い星をあらかじめ特定しておく必要がある。表面温度が低い星を特
定するためには、球状星団の測光観測を、可視光・近赤外線望遠鏡によって行えば
十分であると考えられる。従って、観測衛星には近赤外線望遠鏡を加える。
上記の手段で絞り込まれた星と、既に PopⅡ星と考えられている星を、同じく搭載し
た可視光・近赤外線望遠鏡及び紫外線望遠鏡で鉄より重いとされるいくつかの元素
の量を測定するため、分光観測する。
分光観測の結果から、PopⅡ星の重元素組成比を導出する。
続いて、様々な質量の星の超新星爆発を予測する既存のシミュレーションを用いて、
生成される重元素の組成比を推定する。星の質量によって、超新星爆発によって生
成される重元素の組成比は異なることが知られている。このシミュレーションによって
求めた組成比と観測によって導出された組成比を比較する。これによって PopⅢ星の
質量が推定される。
この手法を空の広範囲で行うことによって PopⅢ星の質量分布を求める。
4.まとめ
本ミッションでは、銀河系ハロー内のPopⅡ星の観測によるPopⅢ星の質量の解明
を目的として以下の手段を用いる。まず、測光観測により球状星団の恒星の中からP
opⅡ星を絞り込み、既知のPopⅡ星も含め分光観測を行う。それによって、得られる
重元素組成比とシミュレーションによって得られる重元素組成比を比較し、PopⅡ星
の親星となるPopⅢ星の質量を求める。そして、多くのPopⅢ星の質量のサンプルを
集めることで、PopⅢ星の質量分布を作成したいと考えている。
― 16 ―
【MUSES 班】
【最終報告書】
火星移住を見据えたアンチレゴリスーツ
岡本 咲華(高 1)【日本大学第三高等学校】、小林 寧々(高 2)【法政大学女子高等学校】
竹﨑 碧(高 1)【広島県立広島高等学校】、神山 友里(高 1)【洗足学園高等学校】、池谷 蓮(高 2)
【大阪府立豊中高等学校】、田渕 宏太朗(高 1)【南山高等学校男子部】、平山 龍一(高 2)【高輪高
等学校】
1.背景
古来より我々人類は存在領域を拡大させてきた。これは人類の拡散本能とも言うべ
きものであり、今や地球のみならず月へ向かい、今後は火星をも目標としている。火
星移住に伴い必要となる諸技術の中には地球で活用できるものがあるが、火星で新
しい技術を用いるにあたり、地球との環境の違いにより生命に危機が及んだり、機器
が誤作動を起こす可能性もある。そのため、火星移住の際に考えられるリスクが再現
でき、探査がより進んでいる月で実証実験をすることにより実際に移住した際のリス
クを減らすことができる。
2.問題点
火星移住に伴い様々なリスクが考えられる。アポロ 17 号では、ハリソン・シュミット
飛行士がレゴリスを吸引したことで花粉症のような症状を引き起こした[1]。アポロ計
画では一時的な滞在にとどまっていたが、今回見据える火星移住は長期的なものと
なる。そのため吸引し続けた※レゴリスが蓄積することにより、皮膚や目への刺激や
リンパ系、心循環器系等への健康被害を引き起こし、また塵肺症の悪化により最悪
死に至るということも大いに考えられている[1]。
※レゴリスとは
天体の表面に存在する団結していない物質の総称[2]であり、今回はこの中の
20 μ m以下の「ダスト」に注目した(図1)。月のレゴリスは大気がないため角ばって
おり、火星のレゴリスは大気があるので風化により丸みを帯びているという特徴があ
る。また、火星と月のレゴリスは静電気を帯びている[1][3]という共通点を持つ。
図 1:レゴリスの顕微鏡写真
図 2:アンチレゴリスーツの表面
― 17 ―
図 3:アンチレゴリスーツ
3.解決策
3.1. アンチレゴリスーツとは
アンチレゴリスーツの目的は、居住空間にダストを持ち込まないことである。宇宙服
(現在開発中のバイオスーツの着用を前提とする[4])の上に、一度ダストが付着する
と自然に離れないような材質に導電性のある物質を混ぜたもので作ったスーツを着
用する。こうすることで、エアロック内でのダスト吸引を防げる。(図3)
3.2.アンチレゴリスーツの詳細
表面のひだにダストが付着(図2)。このひだによりダストが落ちないので、その後エア
ロック内で、アンチレゴリスーツを脱いだ際に付着したダストが漂い、人が吸ってしまう
リスクをなくせる。
3.3.アンチレゴリスーツの洗浄法
ダストは摩擦により静電気を帯びでいるので、取り除きにく
い[3]。そのために独自で洗浄法を考えた。まず、エアロッ
ク内で脱いだものを引き出しのような洗浄装置にいれる
( 図 4)。次に、正負両方の電圧をかけることにより、帯電し
ているダストを吹き飛ばしながら気圧差により吸い取る。
図 4:洗浄装置
4.成果予測
月でも火星でも宇宙服に付着するダストは小さいので、アンチレゴリスーツによりダス
トが体内に入ることを防ぐことができる。従って火星移住において、レゴリスによる健
康被害 がなくなる。また、精密機器や宇宙服への悪影響も防ぐことができる。
5.今後の展望
今後の月や火星でのミッションにおいて船外活動の機会が増えると思われるので船
外活動が安全かつ円滑に行われれば、船外活動の効率化により、火星移住の早期
実現につながり得る。レゴリスの資源活用も検討できる。
6.参考文献
[1]月面の環境 (レゴリスを中心に):http://edu.jaxa.jp/himawari/pdf/2_moon.pdf
[2]清水建設宇宙開発部:月へ、ふたたび (1999)
[3]NASA Cracking Planet:
http://science.nasa.gov/science-news/science-at-nasa/2005/10aug_crackling/
[4]バイオスーツ:http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/4206/
― 18 ―
【PLANET 班】
【最終報告書】
バス部同一多段モジュール型人工衛星のための修理システム
デリバリー衛星 「でまえ」
中村 藍(高2)【北海道札幌南高等学校】、市川 豪士(高 2)【三重県立四日市南高等学校】
中村 祐太(高2)【私立八千代松陰高等学校】、並木 達郎(高2)【私立新島学園高等学校】
深津 美薫(高2)【埼玉県立浦和第一女子高等学校】、山下 薫(高2)【福岡県立明善高等学校】
1、はじめに
現在世界では、人工衛星の数は増加傾向にある(※1)。そして、図 1 のグラフが示すように今後はさら
に衛星の数が増加することが予想されている(※2)。
衛星が増えれば、故障する衛星も増えると予想される。
過去の衛星の故障の原因としては図2のようである。
図2から見て分かるように、ペイロードの部分以外はバス部(衛星自体の運用に必要な部分)である。
よって、ミッション部に異常がないにも関わらず、運用を終了せざるを得ない衛星も存在するとわかる。
2、目的
衛星のバス部を同一にすることで、人工衛星の修理(3 章にて後述)を容易にし、運用期間を延ばす。
また、修理をすることでコスト面、環境面の2点も改善させる。その手段として、修理をミッションとする修
理衛星の運用を行う。
3、方法
(図3 「でまえ」プロジェクトロードマップ)
― 19 ―
1)多段モジュール型人工衛星を設計、地上実験
(Ⅰ)設計をする
①各モジュールを作る
②接合部を決める
ISS の船外プラットホームに使われている装置交換機構(PIU)を用いる。
③全体の大きさを決める
(Ⅱ)地上での実験をする
①モジュールごとの動作確認をする
現在単体として作られているものの試験基準を用いて性能を確認する
②モジュールをつなげて全体として機能するかを確認する
地上実験用の試験機を1つ作り、モジュールを連結させて作動し、全体の動作確認をする
その際現在行われている試験(振動試験など)を行い、人工衛星として機能するか調べる
③モジュールの交換ができるのかを確認する
まず始めに人が交換してみて交換自体が可能か確認する
次に宇宙での交換実証を見据えてロボットアームでの交換が可能か確認する
④宇宙環境での実証を見据えて水中で動作を確認する
2)多段モジュール型人工衛星を宇宙で運用
(Ⅰ)宇宙での実証実験をする
①モジュール単体が正常に作動しているかを試験する
衛星から送られてくる数値データを正常時のデータと比較して正常に動作しているかを実証する
②ミッション機器が正常に動作しているのか確認する
(例)GPS 衛星
1つの位置情報に対して、今回打ち上げた4つの衛星と、他の現在打ち上げられている衛星との
データを比較して誤差から外れない範囲で一致するかを考える。
その結果正常にデータがとれているとしたら、バス部が正常に作動しているものと考える。
③モジュール交換について実証する
ロボットアームがモジュール交換できるのか実証する
実証できたらその後①②を実証する
3)母艦、調査衛星、修理衛星を設計、地上実験、宇宙で運用
(Ⅰ)母艦、調査衛星、修理衛星の設計をする
①母艦…新しいモジュール、工具、部品の貯蓄をしておく貯蓄スペース、修理を行う修理スペース、
発艦・着艦を行う発着スペースなどを確保する。
②調査衛星…調査モジュールをミッション部として、機能を故障原因の調査に限定させることで、
ミッション部の小型化をはかる。同時に、バス部の小型化もはかる。
推進剤などが少なくて済むので、コストを抑えられる。
③修理衛星…修理モジュールをミッション部として、修理に行く際に新しいモジュールを取り付ける
部分(交換したあとは壊れたモジュールを保持しておく部分となる)を装着する。
(Ⅱ)母艦、調査衛星、修理衛星の地上実験を行う
(Ⅲ)宇宙で修理システムの実証実験を行う
― 20 ―
ⅰ)全体の流れ
(図4 全体の流れ)
①(故障原因がわからない場合)故障原因の調査を行う調査衛星が母艦(ISS を想定)から発進する
②調査衛星が故障原因を調査する調査ミッションを行う
③(故障原因がわかったら)修理衛星が母艦から壊れているモジュールを運ぶ
④修理衛星が壊れているモジュールと新しいモジュールを交換する修理ミッションを行う
⑤修理衛星が壊れたモジュールを持って母艦に帰還する
⑥母艦の内部で修理衛星本体と壊れたモジュールを分解する
⑦修理モジュールはそのまま、壊れたモジュールは治してから格納する
(※事故原因が分かっている場合は③からの手順を踏む)
ⅱ)母艦について
交換用モジュールと、修理用部品を用意する。
モジュールの種類は、推進、燃料タンク、電力、ソーラーパネル、姿勢制御、熱処理、通信、
データ処理、の8種類。
ⅲ)調査衛星について
接近用カメラ、接触用カメラ、サーモグラフィー、調査用カメラ、テスター、ロボットアームを搭載。
・接近・接触方法(※修理衛星も同様)
(図5 接近・捕獲方法)
― 21 ―
ⅳ)修理衛星について
接近用カメラ、接触用カメラ、ドライバー、修理用カメラ、サーモグラフィー、テスター、コンピュータ
診断関係、ロボットアーム、新しいモジュール(母艦に帰還する際は壊れたモジュール)を搭載する。
4)企業が打ち上げる衛星のスタンダードなモデルとして普及
修理可能な衛星を、企業などをターゲットに広めていく。
4、このシステムの利点
Ⅰ)コスト
【GPS 衛星の燃料タンク交換とした場合】
GPS 衛星の運営に必要な燃料の量は 500kg と仮定し、重さと体積の関係から 0.5 ㎥、つまり直径1m
の球形燃料タンクが必要であると考えられる。そのため、3辺1m でその他のシステムも合わせて 700kg
となる。
ドラゴン輸送船と契約したとすると、700kg なら 44 億円で打ち上げることが可能である。(※3)
修理衛星の大きさを「みちびき」程度とすると、「みちびき」の開発費用は 300 億円であることから、衛星
の大きさと開発費用が比例すると仮定した場合、修理衛星の開発費は 300 億円。調査衛星の開発費は、
ミッション部の機能の限定による小型化で、大きさが「みちびき」の 1/6 程度の大きさになるとすると、単
純計算で 50 億円程度となる。
調査衛星は、ミッション部の機能の限定により、開発費用は 50 億円程度であるため、修理衛星が 300
億円、調査衛星が 50 億円なので、合わせて 350 億円となる。
これを 50 回使うと仮定して 1 回あたり7億円、打ち上げ費用と合わせて、51 億円で修理可能である。
【新しい衛星の打ち上げを考えた場合】
新しい衛星を H-ⅡA ロケットで打ち上げるならば、120 億円かかる。
【比較】
再打ち上げと比べて 43%の金額で修理可能である。(人件費、衛星運用費は考慮に入れていない)
Ⅱ)環境
現在、ロケットの打ち上げ回数は日本に限ればそれほど多くはないのが現状であるが、世界的にみる
と 2014 年では総計で 92 回と、4 日に 1 回のペースでロケットを打ち上げていることがわかる。(※4)
また、1章で述べた通り、衛星打ち上げ回数は増えるということを考えたうえで環境面を考えると、ロケ
ットの打ち上げによる二酸化炭素や毒性の強いガスの拡散の影響が大きくなると考えられる。
実際に日本で使われているH-ⅡAロケットのSRB-A やイプシロンの第 1 段に利用されているコンポ
ジット推進薬は、燃焼時に大量の塩化水素が生じるためにロケット発射後に大量の毒性の強いガスが
拡散するという問題を抱えている。そのほかにも環境に悪影響を及ぼすものが多く利用されている。
今後、これらを利用して多くの衛星を打ち上げるとなると、環境への負荷も無視することができなくなるの
ではないかと考えられる。
また、これから先、多くの国がロケットを持つと考えると、経済的に豊かな国はロケットの技術が進歩し
てより環境に負荷がないロケット技術がうまれるかもしれないが、経済的に豊かでない国は、経済的に
豊かな国が利用しなくなった環境に大きな負荷がかかるロケットを利用して、衛星を打ち上げることも考
えられる。そうなると、結果的には環境への負荷を減らすことはできないだろう。
このような観点から考えると、人工衛星を宇宙空間で修理をしてロケットの打ち上げ回数を減らす方が、
環境への負荷はかからないと考えられる。
― 22 ―
5、将来展望
人工衛星のモジュールの修理の技術を確立する。
修理可能なモジュールの規格を採用した衛星を宇宙開発機関や企業に多数採用してもらい、コスト面・
環境面でメリットの多い人工衛星を普及させ、宇宙開発、さらには社会全体の利益につなげる。
また、これから先の有人宇宙飛行の際にも、宇宙船をモジュール化することで、もし宇宙船が故障して
も、修理することにより、人命救助やミッション続行を可能にすることもできると考える。
6、参考文献
・(※1)富士経済予測お役立ち情報 月刊 FK 通信
(http://www.group.fuji-keizai.co.jp/mgz/mg1401/1401b2.html) より
・(※2)東京海上日動火災保険株式会社 TOPICS
(http://www.sjac.or.jp/common/pdf/kaihou/201503/20150302.pdf) より
・(※3) 岩日誌 ドラゴン宇宙船と HTV「こうのとり」比較
(http://d.hatena.ne.jp/iwamototuka/touch/20120528/p2) より
・(※4) 科学技術動向 2015 年 1・2 月号
(http://www.nistep.go.jp/wp/wp-content/uploads/NISTEP-STT148J.pdf) より
7、謝辞
「君がつくる宇宙ミッション」でミッション製作を手助けしていただいた院生スタッフのみなさん、アドバイ
スなどをしていただいた山村先生をはじめとするJAXAの研究者の方々に、この場をお借りして感謝申し
上げます。
― 23 ―
【SOLAR 班】
【最終報告書】
GOHSE-G
~糖から探す地球外生命体~
岩間 結子(高2)【大阪府立大手前高等学校】、大野 匠(高3)【埼玉県立所沢高等学校】
月岡 みなみ(高2)【神戸海星女子学院高等学校】、仁木 いずみ(高2)【山手学院高等学校】
法堂 可奈子(高2)【福山市立福山高等学校】、麦踏 松秀(高2)【兵庫県立龍野高等学校】
1. 目的
本ミッションの最大の目的は地球外生命の存在を確認することである。ここでいう「生
命が存在している」とは、生命体がエネルギー源を吸収し物質を排出する一連の流れが
存在している、と定義した。本ミッションでは生命活動に最低限必要であると考えられる
物質や生命活動の結果排出されると考えられる物質を探す。
2. ミッションコンセプト
我々は、科学の大きな疑問のひとつである地球外生命体が存在するかどうかを解明
することを目的としている。さらに、地球外生命体が存在するかどうかの情報から、宇宙
分野のみならず分野を越えて、他の学問の領域を広げる等、他の分野に大きな影響を
与えられる可能性があると考えた。
本ミッションでの「生命」とは、体の中と外を区切る仕切りの役割を持つ膜を持ち、外か
ら物質を取り込み、化学反応でエネルギーを得て、物質を排出するものである。地球上
においても、メタン菌など多様な生命活動 (エネルギーを得る活動) を行っている生命は
多いが、特にわれわれ人間など高等生命は、効率の良い生命活動を行っているため長
く繁栄している。広大な宇宙空間で生命探査を行うためには、存在期間の長い生命活
動に着目すべきである。
「生命が存在している」ことを調べるには、まず、生命だと思われる有機物を探す必要
がある。しかし、それだけでは生物が生きていたという確証が得られない。そのため、生
きていたというサイクルを示すために、生命活動に必要な解糖に着目した。解糖は地球
上の生命が行う高等生命が物質・エネルギーを吸収し排出する生命維持プロセスの一
― 24 ―
つである。エネルギーを得る手段としては呼吸・光合成・解糖が存在しているが、大部分
の惑星・衛星は太陽光と酸素に乏しいため、呼吸と光合成が行われることは想像しにく
い.よって解糖サイクルに必要な物質を同じ場所で発見することができれば地球外に生
命が生きていたことが証明できる。
3. 手法
生命が物質を吸収し、エネルギーを得て、物質を排出する方法はいくつかあるが、
我々は解糖に注目した。解糖のプロセスは数多く存在するが、我々は下記の反応に注
目した。
C6H12O6 + H2S → CH4 + (他の化学物質)
地球上において、この解糖反応は熱水噴出孔の周辺に生息する生物にみられるもの
である。ここで C6H12O6 はグルコースという物質である。グルコースを選んだ理由はエネ
ルギー効率がよく、地球上で発展している高等生物はグルコースをエネルギー源にして
いるものが多いからである。
我々はグルコースの分解に酸素を用いている。しかし、太陽系内の惑星において地球
のように酸素が気体として普遍的に存在している環境は稀である。そこで、地球海底の
熱水噴出孔に注目した。地球における熱水噴出孔では、酸素ではなく H2S をエネルギ
ー反応に利用する生物が存在している。そこで我々は、太陽系内の氷惑星に存在する
と考えられている熱水噴出孔でも同じような生物が存在する可能性があると考えた。
①検出対象
具体的に我々が注目した物質は、上記の化学反応式のとおりグルコース・硫化水素・
メタンの 3 つである。それぞれの検出方法は以下のとおりである。
グルコース・・・直接サンプルを採取してベネジクト液で検出
硫化水素・・・波長 3.8µm の近赤外線による分光
メタン・・・波長 1.67µm の近赤外線による分光
②観測方法
生命そのものの検出は、まずサンプルを採取し、蛍光色素を用いて細胞を染色し、蛍
光顕微鏡で観察する。メタンと硫化水素は、温室効果ガス観測技術衛星『いぶき』に搭
載された近赤外線分光計「TANSO」の技術を用いる。
― 25 ―
③対象天体候補
対象天体には、熱水噴出孔の存在が必要であると考えている。その理由は、地球上
の熱水噴出孔には生物を育む環境を持っていて、熱水噴出孔があると考えられている
天体でもその可能性があるためである。熱水噴出孔があると考えられている太陽系内
天体は以下のようなものがあげられる。探査天体は技術的な制約により、太陽系内の
天体とする。
・木星の衛星エウロパ
・土星の衛星エンケラドス
その理由として、熱水噴出孔には、
・化学反応場としての十分な水
・解糖に必要となる物質(硫化水素)
・解糖の反応を起こすに十分な熱
が揃っていることが挙げられる。
7. ミッションシークエンス
①探査機を地球から出発させる。
②探査機、目標天体到着。
③全球サーベイによるグローバマッピングを行い、硫化水素、メタンの相対濃度を調べ
る。
④グローバルマッピングによって、硫化水素とメタンの相対濃度が高い地点を候補地点
とし、試料を採取する。
⑤蛍光顕微鏡で観察し、染色した試料の発光の様子により、生命らしきものがいるか調
べる。
⑥生命らしきものがいれば、その試料をベネジクト溶液と反応させ、グルコースを検出す
る。⑦③の結果と、⑥の結果から判断して、前述の生命らしきものが生命として存在して
いるかであるか判断する。
― 26 ―
8. まとめ
我々は生命の生存した定義として、エネルギー源と排出物が存在していると考えた。
そこで、エネルギー源としてグルコースと硫化水素、排出物としてメタンに注目し、それぞ
れの物質の観測手法を検討した。
対象天体は、化学反応が起こるための適度な熱・化学反応の溶媒となる水・観測すべ
き物質の 3 つが存在する氷衛星を考えている。
9. 今後の検討課題
・探査する天体の決定
・詳細な探査方法
・サンプルの採取方法
・探査機の詳細な仕様
・試料とベネジクト溶液をどう反応させるか
― 27 ―
1.6. フォトアルバム
 ASTRO 班
― 28 ―
― 29 ―
 MUSES 班
― 30 ―
― 31 ―
 PLANET 班
― 32 ―
― 33 ―
 SOLAR 班
― 34 ―
― 35 ―
1.7. 各種アンケート
きみっしょんでは例年,応募者・参加者に対してアンケートを行っている.これには,応募の状
況や,きみっしょんが高校生に与えた影響を調査することで,今年度のきみっしょんを評価し,次
年度に向けての改善点を模索するという目的がある.
高校生に配布したアンケートには,申込用紙に記載した応募時アンケート,きみっしょんに参加
する前に記入する(郵送でのやり取り)参加前アンケート,きみっしょん本番の最終日に記入する
参加後アンケートの 3 つがある.応募時アンケートの目的は,きみっしょんを知ったきっかけや応
募理由を調査し,広報活動の効果を検証することである.事前アンケートの目的は,班分けの判断
材料と高校生のきみっしょん参加前の意識調査であり,事後アンケートの目的は,高校生のきみっ
しょん参加後の意識調査である.参加後アンケートでは,きみっしょんに参加して感じたことに関
する質問に加えて,参加前アンケートと同じ質問を設けている.今年度のきみっしょんの実施内容
を評価するため,きみっしょんに参加したことで高校生の意識がどう変わったか調査できるように
した.
今年度は,アンケートをより有意義なものとするため,過去のきみっしょんで行われたアンケー
トから質問内容の選別・変更を行った.特に,きみっしょん最終日に実施する事後アンケートは記
入時間が限られてしまうので,質問の数を減らし,1 つ 1 つの質問に対して記述を多く書いてもら
えるように変更した.
以下,応募時アンケート,参加前アンケート,参加後アンケートの結果を示す.
 応募時アンケート
1. 「君が作る宇宙ミッション」を知ったきっかけ
(一つを選択してください)
2. 「君が作る宇宙ミッション」に応募した理由
(複数回答可)
項目
割合
項目
割合
 JAXA のウェブサイト
25%
 宇宙に興味があるから
93%
 参加者募集ポスター
25%
 将来宇宙に関わる仕事をしたいから
83%
 家族・親戚
11%
 周りの人に勧められたから
9%
 きみっしょん Twitter
8%
 先生
8%
 友達・先輩後輩
7%
 宇宙好きの友達を作りたかったから
 JAXA 事業所の公開イベント
5%
 研究者や大学院生について
 フリーペーパー
5%
 新聞・雑誌
5%
 学校の活動の一環で(部活動など)
3%
 日本天文学会ジュニアセッション
0%
 その他
7%
 その他
0%
※他の宇宙イベントの具体名では,JAXA 特別公開,1 日
※フリーペーパーの具体名では,TELSTAR,宇宙のとび
宇宙記者,スペースキャンプ,銀河学校,国立天文台野
ら,新聞・雑誌の具体名では Newton の回答があった.
 他の宇宙イベントに参加してみて
楽しかったから
知りたかったから
辺山の見学,宇宙博などの回答があった.
― 36 ―
19%
55%
48%
 きみっしょん参加前アンケート
2. 以下のアンケートの回答は,「きみっしょん」当
日の活動に影響しませんので,正直に回答してく
1. 宇宙科学や宇宙開発について,興味のあるキーワ
ださい.
(括弧の中の数字は回答した人数)
ードを最大 6 つまで記入してください.
(括弧の
中の数字は回答した人数)
①現在,将来の進路をどれほど具体的に考えていま
すか?
人工衛星(7),宇宙ステーション(7),
a. 具体的に考えている
13 人
宇宙エレベータ(7),ロケット(5),探査機(5),
b. 何となく考えている
12 人
はやぶさ 2 (4),地球外生命体(4),はやぶさ(3),
c. あまり考えていない
0人
火星(3),移住(3),暗黒物質(3),月(2),
d. 全く考えていない
0人
月面基地(2),HTV(2),有人宇宙開発(2),
スペースデブリ(2),宇宙太陽光発電(2),
②将来あなたが就きたい職業は何ですか?
ブラックホール(2),超新星爆発(2),宇宙望遠鏡(2),
 科学者・研究者(JAXA 職員,宇宙開発など)
(8)
暗黒時代(2),航空宇宙工学(2),若田光一(2),
 技術開発(ロケット,人工衛星,JAXA 職員,
素粒子,ニュートリノ,重力波,相対性理論,
無のゆらぎ,ビッグバン,銀河系,太陽系の歴史,
宇宙関連)(4)
宇宙の歴史と未来,宇宙生命探査,惑星探査,
 宇宙飛行士(3)
宇宙飛行士,有人宇宙探査,惑星間の有人飛行,
 医師(2)
有人月面探査,火星の有人探査,火星基地,
 獣医師
火星移住計画,マーズワン,宇宙船,恒星間飛行,
 看護師
天文,天体観測,電波,冥王星,エウロパ,
 エンジニア
食変光星,連星,トランジット観測,イプシロン,
 宇宙工学関係もしくはゲームのプログラマー
ASTRO–H,イカロス,太陽帆推進,
 管制官
イオンエンジン,流体力学,誘導制御,自動航行,
 宇宙法の研究や整備
人工知能,ロボット,ローバー,発電,圧電素子,
 未定,考え中,迷っている(4)
宇宙医学,無重力,宇宙メダカ,商業利用,
宇宙旅行,宇宙植物工場,きぼう,宇宙日本食,
③将来のために身につけたい能力があれば教えてく
宇宙法,糸川英夫,ガガーリン,NASA,
ださい.
(括弧の中の数字は回答した人数)
ボイジャー1・2 号の漂流,宇宙ヤバイ
 コミュニケーション・対人関係能力(11)
 英語力(6)
 プレゼンテーション能力(4)
 物事を幅広く捉える能力
 英語などの国際的コミュニケーション能力(2)
 柔軟な思考力(3)
 学力(3)
 体力(2)
 創造力(2)
 理解力(2)
 判断力・決断力(2)
― 37 ―
 プログラミング能力(2)
 大人で,すごい研究してて,頭が良いイメージ
 知識(2)
です.
 自動車の免許
 自分の研究を究めている人物
 分析力
 研究に没頭している人たち
 ポジティブな思考力
 研究に追われている.でもそれを楽しんでいる.
 問題解決能力
 自分の知りたいことや研究したいことをとこ
 論理力
とんつきつめている人
 独創性(2)
 専門的な分野のプロ,研究に没頭している
 発想力(2)
 専門的なことをよく知っていて,毎日研究には
 情報処理能力
げんでいる.
 理科的なものの考え方
 本やインターネットでは分からないような最
 専門的能力
先端の研究をしているイメージ.
 人前で堂々と話せる力
 好奇心と探究心をたくさん持っている人.
 集中力
 大学に残って研究がしたかった人
 効率よく動く力
 若い研究者
 文章力
 研究者のタマゴ
 将来に向けて研究スキルを磨いているイメー
④宇宙に関連した研究や仕事に興味はありますか?
ジ.
宙に関連した仕事に興味はありますか?
 やさしくて真面目なかんじ
a. とても興味がある
 自分の専門分野について徹夜で語ってくれそ
23 人
b. 少し興味がある
1人
c. あまり興味が無い
0人
d. 全く興味が無い
0人
無記入
1人
う.
⑥「研究者」についてのイメージを教えてください.
 未知の世界に挑戦する人
 新しいことを発見する人
⑤「大学院生」についてのイメージを教えてくださ
 誰よりもその研究分野が好きで,真理を追究し
い.
続ける人.
 勉強することがとても好きである.
 自分の興味のあることに対して正面から向き
 より深く勉強していて,とても真面目
合える最高の仕事.
 学びの高みを目指している方々
 自分の好きなことに徹底的に取り組める
 頭がいい
 自分のしたい研究ができて,楽しそうだけど,
 頭がよさそう
すごく大変で忙しいイメージです
 すごく頭がいい
 寝ることをも惜しんで最先端の研究に没頭し
 専門的知識にも優れ,頭の良い人.
ているイメージ.
 知識が深そう.マニアック.
 忙しそう,かっこいい
 大学生の上位互換・とても賢い
 研究に没頭している人たち
 頭が良く,日々努力をしているお兄さん,お姉
 良い意味でヲタク.
さん
 物事を長い時間かけて追求し続け,絶対に諦め
ない根気強い人.
― 38 ―
 一つの仮説を証明するために,100 の仮説を検
 宇宙物理学(2)
 天文学(2)
証する人.
 地道に裏で努力し続けている方々
 宇宙(2)
 私達の生活に役立つ(かもしれない)現象の解
 量子力学
 素粒子物理学
明や技術の開発をしている方々
 何をしているか分からないが,人に役に立つこ
 宇宙の誕生
 太陽系外縁
とを調べている
 自分の好奇心+世界にどのように貢献してい
 機械工学系
 ロケット工学
るのかを考えていける人
 頑固そう
 力学
 少し気難しい,自分の世界を持っている,面白
 流体力学
 材料工学
い
 大学院生より知識・経験のある学術界のエリー
 制御工学
 放射光学
ト
 大学院生よりも,もっとくわしく調べている.
 音
 真面目そうで,白衣のイメージ.
 応用化学
 かっこいい.白衣.徹夜.「君」っていう.一
 宇宙生物学
 地球外生命
匹狼.
 頭がよくて,話がおもしろいイメージ
 遺伝学
 熱い人がたくさんいそう
 人体
 自分に厳しそう.他人にも厳しそう.たくさん
 植物ホルモン
 生物が環境の変化によって受ける影響
読書をしていそう.
 地質
⑦科学全般に関して,
「楽しい」あるいは「面白い」
 交通
 映像系
と思いますか?
a. とてもそう思う
22 人
b. 少しはそう思う
2人
c. あまりそう思わない
1人
d .全くそう思わない
0人
a もしくは b を選んだ方は,特にどのような分野
に興味があるか教えてください.
(括弧の中の数字は回答した人数)
 航空宇宙工学(8)
 物理学(7)
 化学(4)
 生物学(3)
 地学(3)
― 39 ―
⑧「きみっしょん」の参加にあたって楽しみなこと,
【心配なこと】
 心配なのは,すぐうちとけられるかということ
もしくは心配なことを教えてください.
です.
【楽しみなこと】
 じぶんがついていけるか不安.
 宇宙に関して,グループという形で本格的に学
 みんなのレベルについていけるか心配です.
 話についていけるか分からない
ぶことができること.
 宇宙好きで,同じ方向を見て頑張っている仲間
 楽しみですが,ミッションなどついていけるか
を作れること.学校では学べないことを学べる
少し心配です
 皆の会話についていけるかどうか
ことなどが楽しみです.
 たくさんのことが学べることが楽しみです.
 難しい専門用語がわからないので話について
 宇宙好きの人達と出会うことが楽しみです.
いけるか不安
 全て.同年代の仲間と様々な意見を交わすこと
 知識量が少なく,会話についていけるか心配.
 こんな企画に参加できるのはうれしいが,まわ
で,より自分の考えを発展させたい.
 宇宙に興味のある友人を多く作りたい
りの足を引っぱらないか心配
 どれだけすごい人に会えるかとても楽しみ
 周りが理系の人ばかりだったら,ついていける
 皆さんにお会いすることです.
か心配です.
 同じ趣味を持つ同年代の仲間と交流するのが
楽しみ.大学院生の方からも色々なことを聞き
⑨「きみっしょん」の課題作文を書くのに,どの
たい.
くらいの時間を使いましたか?
 宇宙好きの仲間と話すことが楽しみです.
 1 日以内(6)
 同じようなことが好きな人たちと友だちにな
 2 日~6 日(9)
 1 週間程度(4)
って,たくさん話すのがたのしみです!
 宇宙が好きな同世代の方からの刺激.
 2 週間程度(2)
 似たような興味の人と会えること,一流の体験
 3 週間程度(1)
 1 ヶ月程度(3)
ができること
 宇宙好きの高校生と一緒にミッションを作る
こと
 宇宙大好きのみなさんに会えること.ミッショ
ンにチャレンジすることが楽しみです.
 どんな人たちが参加しているのか,どんなこと
をするのかが楽しみ
 どのようなミッションになるのかが楽しみで
す.
 JAXA で生活できることが楽しみ.
 五日間も JAXA の施設にいる中で,皆とミッシ
ョンを考えることができること
 宇宙に興味がある同年代の人たちとミッショ
ンを考えることが楽しみであり,不安でもある
― 40 ―
 きみっしょん参加後アンケート
【内訳】
A. 総合
1. きみっしょんに参加してどう感じましたか?
a. 非常に楽しかった
22 人
b. 楽しかった
1人
c. つまらなかった
0人
d. 非常につまらなかった
0人
回答無し
2人
2. きみっしょんのなかで,あなたが感じた満足度
B. きみっしょんでのミッション作り
を教えてください.(満足 4・3・2・1 不満)
1. あなたのミッション作りの満足度を 100 点満
【平均値】
点で採点するとしたら何点ですか?
a. スタッフの対応
4.00
b. 班内の高校生との交流
3.84
c. 他班の高校生との交流
3.30
d. 会場設備
3.88
e. 食事
3.52
f. 宿泊
3.60
g. ミッション作り
3.84
h. 歓迎会
3.96
i. 院生ミニ講義
3.80
j. 所内見学
3.92
k. 津田先生の特別講義
4.00
l. エッグランダー
3.64
m. 研究発表会
3.92
n. お疲れ様会
3.92
 みんなで頑張って作り上げられたから.(100)
o. 座談会
4.00
 とにかく収穫が多く,とても楽しかったからで
p. 報告書作成
3.64
平均: 69.6 点
★理由を聞かせてください.
(括弧内は回答者自身の採点)
す!!(100)
 時間があと少しあれば完璧なものが出来たか
ら.(95)
 とても楽しかったけど,ミッションの完成度に
納得がいかないから.(90)
 −8: アンチレゴリスーツにはまだ詰めが甘い
点が残る. −6: 質疑応答のとき,調べていた
ことが出来なかった.(86)
― 41 ―
 初めてミッションを作ってみてとても有意義
 きみっしょんの満足度は 100%だけれど,ミッ
で充実した時間を過ごせたし,何よりも楽しか
ションはまだまだこの SOLAR 班で良くしてい
ったからです.残りの 15 点分,これからもこ
けると思ったから!(50)
 上出来っ!だけどまだまだー!!これから 100 点
のミッションを続けていきたいです.(85)
 最終的にはいいものができたが,もっと議論し
にする(50)
たらもっといいものができたと思うから.(84)
 論理的なミッション作りをすることは出来た
 3 日目から体調が崩れ始め,本調子でミッショ
と思うけど,細かいところを詰めることが出来
ン作成に挑むことができず,後悔が残ってしま
ったから.4 日目のミッション作成がとても楽
なかったから.(50)
 過程はとても濃くて楽しいだけじゃなく,凄く
"いい"ものだったけど,発表をもっと良い物に
しかった.(80)
 もっと調べて発言したかった(80)
したかった!!(50)
 もう少しミッション検討で抜けていた部分を
 あまり自分の意見を言えなかった.(30)
 あまり自分の意見を言えなかった.(25)
どうにかしたかったから.(80)
 不十分であったり,いくつか穴もあったけれど,
結果として初期宇宙という難解なテーマをも
2. ジュニアセッションに向けて,今回作成したミ
とに最先端の研究を用いたミッションを作成
ッションの検討を続けたいですか?
することができ良かった.(80)
 最終的には良い物が出来たけれど,もう少し話
a. 絶対に続けたい
22 人
をつめればもっと良い物が出来たと思うから.
b. 出来れば続けたい
(75)
c. あまり続けたくない 0 人
 あいまいな部分が残ってしまったり,思ったこ
3人
d. 絶対に続けたくない 0 人
とをすぐに言えなかったりした.後のは自分の
★理由を聞かせてください.
反省点です.(70)
 まだやりきれていないと思うから.自分は具体
的な意見をあまり言えなかったから.(70)
【a. 絶対に続けたい】
 一応形になったということで満足はしたが,ま
だまだ考えるべきことがたくさんあるなと思
 これからも,この仲間と話がしたいから
 もっと深くやっていけるし,このメンバーでの
ったから.(70)
議論がとても楽しかった.
 もう少し具体的に作りたかった(65)
 みんなで 0 から組み立てた思い出深いミッシ
 かなり頑張ったが,まだまだの所がいっぱいあ
ョンだから.
 愛着が湧いてきたから
るから.(60)
 期間が短いため,細部までつきつめたミッショ
 もっともっとみんなでがんばりたい!もっと
ン作成ができなかった.手際よく作業ができた
らもっと濃い内容に仕上がったと思うから.
宇宙について考えたい!
 もっとミッションの完成度を上げたいなと思
(60)
ったから.
 テーマが 3 つに割れたとき少し強引に決めな
 もっともっと調べたいし,もっともっとみんな
くてはいけなかったので,時間の関係で妥協も
と話し合いたい.天文学会に出られるなんてチ
多かったので, システムが少し SF に近かっ
ャンスを逃したくないっていうのもある.
たので(60)
― 42 ―
 最終発表会でもミッションの詰めの甘さを感
3. 可能であればジュニアセッションに参加した
じたから.また,もっとたくさん知りたい!考
いですか?
えたい!
 現時点で不十分な所がたくさんあるから.
a. 絶対に参加したい
 完結したミッションではないため.
b. 出来れば参加したい
4人
 完璧ではないから
c. あまり参加したくない
0人
 まだ完璧でないのにここで終われないから!
d. 絶対に参加したくない
0人
 まだ完成しとらんから.
回答なし
1人
20 人
 中途半端だったから.
 まだまだミッションが不十分だと思うから.工
4. あなたが感じた難易度を評価してください.
(難 4・3・2・1 易)
学系のところをもっと詰めたいから.
 課題が多く残っているから.最後まで作りたい
と思うから.
【平均値】
 問題点が多すぎて諦める,というのは嫌だから.
a. きみっしょん全体
3.58
これまで作ってきたミッションに完全に満足
b. 課題作文
2.72
しているわけではないから
c. 宿題
2.34
d. 班内でのディスカッション
3.48
こまでやったからには完璧なものにしていき
e. プレゼンテーション
3.42
たい.
f. 論理的な検討
3.80
g. 調べ学習
3.22
h. パソコン操作
2.28
 せっかくのきみっしょんへの参加の機会を得
i. 発表準備
3.40
たので,もっとこれを広げていきたいと強く思
j. 質疑応答
3.76
 まだ詰めが甘く,色々な改善点があるため.こ
 自分ではもっとミッションを良くしていきた
いから.
ったから.
 気になる!
【内訳】
【b.出来れば続けたい】
 自分たちのミッションをさらに考えていくこ
とができたら嬉しいし,他の高校生たちはどん
なことを考えているか知りたい.
 今よりももっと勉強して実現可能なミッショ
ンを作りたいから
 班員がどう考えているかによるから.
― 43 ―
5. ミッション作りで苦労した事は何でしたか?
 「現実的」ということに凝り固まってしまい,
 議論を論理的に進めること.
案をしっかり出せなかった.
 論理的になっているかわからなかったので考
 「宇宙を知る」という大きいテーマを元に,オ
えること.
リジナルのアイディアを用いた一つのミッシ
 全てのことに苦労しました.論理的に物事を考
ョンを作ること.
 知識を入れること!!暗記すること
えてまとめることが難しかった.
 ミッションづくりの基となる下調べのところ
 調べ学習のとき,その情報をどこまで信頼して
6. ミッション作りは始めやすかったですか?
いいのかということ.自分の意見や考えや疑問
a. 非常にそう思う
を人に伝えるとき,なかなかわかってもらえな
b. ややそう思う
かったことがあった.
c. あまりそう思わない 4.5 人
 データ集めです.まだ研究が進められていない
d. 全くそう思わない
4人
14.5 人
2人
(1 名が「b と c の中間」と回答)
分野に関して,度の本にも書いていなかったり,
ネットに出ているものでも信頼性に欠けるな
ど,確信のもてるデータを集めるのは難しかっ
★理由を聞かせてください.
たです.
 やることが難しいから,調べることに時間を取
【a. 非常にそう思う】
 班の中で多くの意見が出たから.
られて発表が満足できなかった.
 グループ内での情報の共有
 班のメンバー全員のやりたいこと,目指す場所
 班内でみんなの考えを共有すること.
がすぐに一致したから.
 難しい理学的なものをきちんと理解すること.
 院生さんたちのサポートがとても良かったか
全員で共通の認識を持つこと.
ら.
 意思疎通
 班長のまーくんが三行革命を示してくれたこ
 班の人に自分の言いたいことがあまり伝わら
とでミッション作成を具体的に考えることが
なかった.
できたから.
 班でまとまること
 意見がまとまらないこと
【b. ややそう思う】
 みんなが同じ方向にむいて,人の意見も取り入
 みんな意見を出し合える人たちだったから.
 工学実証ということがかなりアバウトだった
れて議論すること.
 主張が違う人との意見のすり合わせ
ので大変だった.
 問題意識をもつこと, 全体を見ること
 ちょっとあんまり覚えてないです!ごめんな
 議論がなかなか進まない.
さい
 3 日目くらいまでは凄く焦ったし大変だったと
 班長・院生が上手く誘導してくれたから
思います.次から次へと問題が出てきてそのた
 ブレストである程度方向性を決められたから.
びに議論を重ねること.
 院生さんがきちんと説明にアドバイスなども
 議論
たくさんくれたから.
 もやもやとわかっているけれど文字にできな
 最初にまーくんから三行革命等の話があって,
いとき
どんな風にミッションを作っていったら良い
のかがはっきりとわかったから.
― 44 ―
 道があってやることがきまっていたから.
C.きみっしょんの影響
 始めにブレストを行ったのは良かった.
 テーマ設定は難しかったけれど,班長を中心に
1. きみっしょんに参加したことはあなたの将来
的確に先導してくれたため.
に影響すると思いますか?
 課題があったのは良かった.自分の案を持って
a. 非常にそう思う
くるところまで寛大でも良かったのでは?
 院生さんたちの雰囲気が良くて始めやすかっ
b. ややそう思う
23 人
1人
c. あまりそう思わない 0 人
た!!
 班長が最初に段取りを示してくれたから.色々
d. 全くそう思わない
0人
アドバイスをくれたから.
 院生さんたちがサポートしてくださったので
★理由を聞かせてください.
楽しく始められました.
 自分の本来の思いを再確認するとともに,ミッ
【c. あまりそう思わない】
ション作りという普段経験することのない経
 テーマを決めるのに時間がかかった
験をすることができたため.
 初めから難易度が高かった!
 将来の夢を諦めたくないと思ったから.
 どれをするかで検討するので長い時間を考え
 全てを順序付けて考えることが出来るように
ているから.
なったと感じ,自分で将来研究をする時に影響
 予備知識が少なかったので,何から始めればよ
いか分からなかった.
すると思う.
 人に自分の意見を分かりやすく伝える練習が
できたことが凄くいい経験になった.あとプレ
【d. 全くそう思わない】
 事前知識がなかったから.
ゼンのやり方の勉強ができたことが良かった.
 直接的に,宇宙に関する職業に興味をもったか
 (自分の)個性が強すぎるのかな…?
ら.間接的にここで鍛えられた論理的思考は将
来に影響すると思うから.
 宇宙初期について興味をもった.いろいろな研
究があることが知れた.
 宇宙好きの仲間と沢山出会えたから
 仲間から刺激を受けたから,院生さんの話をた
くさんきいたから
 大学院の方々の研究を知って驚くことが多か
ったから.
 今回のきみっしょんで全く別の分野について
の他の班の発表を聞いたり,院生さんの研究の
ことを聞くなどして,関心の幅が大きく広がっ
たから.
 元々宇宙系の進路を考えていたが,院生さんと
の交流により,どうすればいいかが具体的にな
ったから.
― 45 ―
 素晴らしい院生さん方に出会えたからです.
 有人飛行の新しいシステム開発
 最後の座談会でたくさん話した.総研大にきた
 エンジン開発(イオンエンジン)
 宇宙エレベータ開発
い!
 座談会でいろいろな話がきけて.(進路など)
 工学ミッション研究
 いろんな人から進路について聞けたから.
 生命繁殖が宇宙空間でどの程度出来るのかに
 進路やさらに具体的な夢がみえてきたから!
ついて調べたい
 大学についてある程度決まってきたから.
 管制官
 進路が定まってきたから.
 宇宙法の法律家
 色々な人がいて,色々な選択肢が見えた.
 学部選択が揺らぎました.
4. 大学院生や研究者に対するイメージは変わり
 JAXA の人と話ができるから
ましたか?
 JAXA 宇宙研内部のイメージが湧いたから
a. 非常にそう思う
 とても貴重な体験だったから
b. ややそう思う
 知らないところで知らない人たちと話をする
c. あまりそう思わない 4 人
d. 全くそう思わない
ところ?
2. きみっしょんを通じて,あなたの将来の進路の
15 人
6人
0人
★(a もしくは b と答えた方は)どのように
変わったのか教えて下さい.
イメージは深まりましたか?
19 人
 今まで閉じこもって研究ばかりしているイメ
5人
ージだったけれど,様々な分野の人同士のつな
c. あまりそう思わない 1 人
がりが強く,協力しあっているのだなと思いま
d. 全くそう思わない
した.
a. 非常にそう思う
b. ややそう思う
0人
 研究者は 1 つの仮定を証明するために 100 の仮
3. 宇宙に関連した仕事に興味はありますか?
a. 非常にそう思う
b. ややそう思う
定を否定するものと思っていたが,実際はそれ
24 人
だけでなく,一つ一つ順序立てて考える人でも
1人
あると感じた.
 すごく真面目だと思っていたが意外と親しみ
c. あまりそう思わない 0 人
d. 全くそう思わない
0人
やすかった.
 もっと気難しい人ばかりだと思ってたけど面
★具体的に興味のある仕事があれば教えて
下さい.
(括弧の中の数字は回答した人数)
白い人が多かった.
 大学院生や研究者と聞くと真面目でおかたい
 研究者(JAXA,国立天文台,大学教授)(5)
イメージがあったけど,実際は全然そんなこと
 JAXA 職員(4)
無くて,面白い人が沢山いました.
 ロケット開発(4)
 元々は気難しい方々だと思っていたけれど,思
 宇宙飛行士(3)
 工学・エンジニア(3)
っていたよりも親しみやすい方々だった.
 雲の上の存在のイメージだったのが,より身近
 人工衛星開発(2)
 国立天文台(2)
に感じられるようになった.
 まじめ, 頭いい→それぞれ個性的でおもしろ
 制御工学
い
― 46 ―
 めがね,まじめ, 白衣→楽しそう
 宇宙建築
 みんなおもしろい
 有人計画
楽しい
やさしい
 具体的な研究内容を知って,熱心にやっている
 生命繁殖を宇宙空間でどの程度出来るのかに
のを知って,熱い人が多いのかなと思った.冷
静なクールな人が多いというイメージだった.
 もっとこわいかと思っていた, 院生の知識の
ついて
 宇宙論
 宇宙の始まり
 遠くの宇宙
多さに驚いた.
 もっと院生の人が細かい研究をしているのだ
 ブラックホール
 星の一生
と思った
 研究は自分で全部決めてしなくてはいけない
 惑星探査
 量子力学
こと.
 研究室では所属する大学院の異なる院生たち
 とにかく宇宙研に来たい!
が関わっていることなどが色々とわかった.
 気さくなんが多いことがわかった.
6. きみっしょんに参加して,自分の将来に向けて
 もっと話しやすいと思った.
必要だと感じた能力があれば教えて下さい.
 とてもおもしろくて話がわかりやすかったか
(括弧の中の数字は回答した人数)
 自分の考えを人に伝える力,コミュニケーショ
ら.
 私がわからないところを丁寧に教えてくれて,
ン能力(10)
 論理的に考える力(3)
優しい人ばっかりやん!って思いました.
 とても宇宙について詳しくて尊敬です.
 プレゼンテーション能力(3)
 根性,粘り強さ(2)
5. 大学や大学院で宇宙に関わる研究をしたいと
 英語力(2)
思いますか?
a. 非常にそう思う
b. ややそう思う
 知識(2)
 言語力,文章力(2)
21 人
 協調性(2)
3人
c. あまりそう思わない 1 人
 学力(2)
d. 全くそう思わない
 リーダーシップ
0人
 人と素早く仲良くなれる能力
★具体的に興味のある分野があれば教えて
下さい.
(括弧の中の数字は回答した人数)
 積極性
 記憶力
 ロケット(5)
 発想力
 工学(2)
 広い視野
 制御(ロケットや衛星システムなど) (2)
 集中力
 衛星関連(2)
 体力
 航空宇宙工学
 問題意識
 電波通信
 データ収集能力
 探査機
 まとめる力
 エンジン
 言葉で人を納得させる能力
 電気推進
 人前で堂々と話せる能力
― 47 ―
 強いメンタル
 みんな思ったより宇宙が好き!
 自分の夢に対しての真剣さ
 ぜんぶ!
 漢字
D. パソコン関連
7. 他の高校生から刺激を受けましたか?
a. 非常にそう思う
b. ややそう思う
22 人
1. スマートフォンを持っていますか?
3人
a. はい
c. あまりそう思わない 0 人
d. 全くそう思わない
b. いいえ
21 人
4人
0人
2. 家にパソコンを操作できる環境はあります
★具体的な内容があれば教えて下さい.
か?
 個性的な人が多く,考え方も違う人が多かった
a. はい
b. いいえ
から.
25 人
0人
 他の高校生が,どんなことを考えているか知り,
3. (2 で「いいえ」と答えた方は)家以外にパソ
とても良かったです.
 自分の全く知らない知識を持つ人,全く違う視
コンを操作できる環境がありますか?
点を持つ人と話すことで,宇宙に対する意識を
(該当者無し)
変えることが出来た.
 同じ分野に関心のある人,違う分野に関心があ
4. (2 もしくは 3 で「はい」と答えた方は)家庭
る人,様々な人と話せて視野が広がりました.
内でパソコン利用のルールがあれば教えて下
 1 人 1 人が個性的で考え方の違いをみんなでフ
さい.
 親が仕事で使っている間は使えない.使うとき
ォローしあう姿勢に影響を受けました.
 自分が考えていないことをしている人がおも
は妹 2 人と交代制.
 夜遅くに使用しない.研究のまとめ以外にむや
しろかった.
 面白い方々が沢山いて盛り上がった.
みに使わない.
 みんな宇宙が好きでたくさん話ができたから.
 インターネットに繋ぐ際は,親にひと声かける
 自分なんかより知識がある人,議論の進め方が
 時間を浪費しない.
上手い人,発表がうまい人など憧れるようなん
が多かった.
 みんなとても宇宙のことについて知っている
から.
 みんな本当に凄かった.宇宙の知識も人前でし
ゃべる度胸に驚いた.
 知識量の違い
 知識量の差を感じた.
 知識の量の差を知ったから
 論理的な考え方
 話をしていて,なにか見えないものを感じたか
ら.
― 48 ―
 本当に有意義な 5 日間で,将来のことを考える
E. その他
きっかけ?にもなりました.きみっしょんが大
1. ミッション作り以外の点で(例えば食事,宿泊
変だったから勉強が楽になりそう.来年,きみ
施設等),こうしたら良いという提案や要望な
っしょんに応募できないのが悲しい.友達がで
どあれば教えてください.
きて幸せです.
 まず参加させて下さりありがとうございまし
(括弧の中の数字は回答した人数)
 グループのパネルを金太郎飴化(MUSES 班よ
た!とても楽しかったし,絶対にまた戻ってき
り 4 名)
ます.これからも何かあったら宜しくお願いし
 院生ともっと話したかった!
ます.「きみっしょん大好き!!」
 日数を増やしてほしい(2)
 すっごくたのしい充実した 5 日間でした!本
 揚げ物を減らして欲しい(2)
当に帰りたくない.
 1 人部屋と 4 人部屋など複数人の部屋は,どち
 ミッションを検討する時間がもっと欲しかっ
らが良いかの希望をとって欲しかった.
たというのが今思う一番のことです.また発表
の前にきつい質問が欲しかった.(元々想定し
2. 感想を自由にどうぞ!
ていたきついので答えられないものもあった
 JAXA に帰ってきます!
けど)
 楽しかったです.
 楽しくてたまりませんでした.
 真面目に,来て自分の人生に関わる出来事だっ
 院生さんから他の高校生からたくさんのこと
たなと思いました.最高ー!
を学ぶことが出来て凄く良かったです.ミッシ
 辛かったけど楽しかったです
ョン作りは,楽しいことだけではなかったけれ
 本当に恵まれた環境で 5 日間宇宙の事ばかり
ども最終的にはすごく楽しかったです.
 先生方,院生さん,本当にありがとうございま
考えて過ごせて楽しかったです!
 今は自分で研究を行っていますが,一人でして
した!!勉強になりました.これからも学び,
いるため,グループで調べるということをしま
そして楽しみ続けます.
せんでした.また,色々なコンクールでポスタ
 楽しかったです!来て本当に良かった!
ー発表をしていますが,グループで発表したこ
 げんがーさんありがとうございました!
とで今後プレゼンテーションをする時にどん
 本当に本当に充実した 5 日間でした.自分の足
な風に流れを作れば良いかも勉強出来ました.
りないことがよく分かったことも,宇宙につい
きみっしょんに参加する機会をくださってあ
てもっと知れたことも,友達ができたことも,
りがとうございました.
最高です.有り難うございました.
 どんな形でも将来宇宙に関わる仕事に就きた
 ずっと悩んでいた進路が何となく見えてきま
いと思いました!
した.ありがとうございました.
 ミッションづくりの時間がもっとほしい
 楽しかった!!ありがとうございました!!
 他の 24 人中,7 人ほど全く絡めずに終わった
人がいたが,これから(?)頑張りたい.それ
では皆さんまた会う日まで.
― 49 ―
― 50 ―
2. 2015 年度運営記録
― 51 ―
― 52 ―
2.1. スタッフの組織構成
きみっしょんの運営と期間中の高校生の指導は,宇宙科学研究所に所属している大学院生および
大学生が主体となり行っている.
今年度のスタッフの組織構成は,基本的に昨年度までのものを踏襲している.第 14 回きみっし
ょんスタッフの組織構成を次ページに示す.
事務局長 1 名と副事務局長 2 名から成る事務局は,きみっしょんの今年度のコンセプトと指導方
針を設定し,運営全体を総括した.コンセプト・指導方針の具体的な内容は次節で述べる.
スタッフ各自の研究に支障が出ないよう,仕事量が大きく偏らないように仕事を配分した.当日
の高校生の指導は,ASTRO 班,MUSES 班,PLANET 班,SOLAR 班ごとに専属のスタッフを就
けて行った.当日の指導以外の仕事は,係を分け,内容ごとに分担して進めた.各班スタッフのリ
ーダーを「班長」
,各係のリーダーを「チーフ」と呼んでいる.事務局と班長を除いた残りのスタ
ッフは,「班」と「係」の両方に配属されている.班長は,具体的な指導方針の設定や 5 日間のス
ケジュールの作成など,当日の指導の準備に時間をかけるため,係には属していない.
事務局,各班長,各係チーフは,前年度以前のきみっしょんに参加したスタッフが務めており,
これらの役職をまとめてコアスタッフと呼んでいる.コアスタッフは,運営や指導の細かい方針な
どを協議・決定した.また,コアスタッフは,初参加が大半である他の一般スタッフを指揮する役
割も担った.コアスタッフによる会議の内容を,2.4 節にまとめている.
各班のスタッフは,班長が決めた指導方針に則って,自分の班の高校生のサポートを行った.班
長は,ミッションを作成するうえで基本となる,高校生同士での議論の進め方やアイディアの出し
方などを指導した.他のスタッフは,班長のサポート役として,ミッション作成のアドバイスをす
るほか,調べ学習や発表資料作りなどの技術的な補助も行った.
係の内訳は,総務係,広報係,記録係,生活サポート係,サーバー管理係である.各係のスタッ
フが行った仕事内容は,2.5 節にて詳しく説明する.
― 53 ―
第 14 回きみっしょん組織図
運営
コアスタッフ
事務局
顧問
局長
副1
班長
総務
事務担当職員
宇宙研教職員
副2
広報
記録
生活サポート
サーバー
一般スタッフ
*局長:事務局長
*副 1,2:副事務局長
*サーバー:サーバー管理
*生活サポート:生活サポートチーフ,会計
*公式サイトの管理は,技術を持つ一部スタッフが兼任
当日の指導
事務局
SOLAR班
班長
PLANET班
班長
ASTRO班
班長
MUSES班
班長
一般スタッフ
一般スタッフ
一般スタッフ
一般スタッフ
高校生
高校生
高校生
高校生
― 54 ―
2.2. コンセプト・指導方針
2015 年度「きみっしょん」では,毎年引き継がれてきた理念である「自ら考え,自ら決定し,
自ら作業する」の理念を踏まえたうえで,次のコンセプトを掲げている.
高校生に将来を考えるための 2 つのきっかけ,すなわち
① 将来の進路・仕事を想像するきっかけ
② 将来必要な能力を考えるきっかけ
を与える.
ミッション作成過程には,興味や科学的意義から目的を定め,様々な情報を調べ,目的の必要性
を支持する背景をまとめる段階と,実際にその目的達成のための手段を考える段階がある.例年の
「きみっしょん」では,その一連の流れを全て体験させると同時に,ミッション自体の完成度・専
門性を求め,そのために指導方針と時間の使い方を試行錯誤してきた.前提として,「きみっしょ
ん」は 5 日間のプログラムであり,短期間で如何に効果的な指導を行うかが大きな課題である.今
回,この限られた時間の中で,
「きみっしょん」が提供できるもの,すべきことは何か?というこ
とを改めて議論し,今年度のコンセプトを検討した.そして得られたのが上で述べた「高校生に将
来を考えるための 2 つのきっかけを与える」というものである.
その「2 つのきっかけ」について詳しく述べる.
① 将来の進路・仕事を想像するきっかけ
高校生には,「きみっしょん」を通して,宇宙を共通項とする他の高校生・大学院生・研究者と
交流してもらい,その過程で彼らの「人となり・考え方・生活」を知ってもらう.それをきっかけ
にして,自分の将来の進路や仕事を想像してもらう.
② 将来必要な能力を考えるきっかけ
ここで掲げている必要な能力とは,
「論理的な思考」・「建設的な議論」・
「効果的な発表」の 3 つ
である.これらは,分野によらず,大学やそれ以降で求められる能力である.期間中は,この 3 点
を意識して宇宙ミッション作成の課題に取り組んでもらうよう,高校生を指導する.高校生には,
「きみっしょん」を通して 3 つの能力を知ってもらい,またそれらを今後身につけていく必要性に
ついても気付いてもらう.
今年度はこれらの目標を達成すべく,具体的な指導方法を検討した.その中でも,例年と異なる
取り組みとして,以下のものが挙げられる.
― 55 ―

1 日目に実例を用いて宇宙ミッションの検討過程・基本構造を高校生に学んでもらう.これ
まで指導してきた「背景・目的・手段」の関係に加え,発想から検討・実現に至る時間的な
プロセス,ミッション内での研究者・関係者の役割や他ミッションとの関係についても学ん
でもらう.その中で,高校生自身がきみっしょん 5 日間で行うことを理解してもらう.

本やインターネットによる「調べ学習」の時間を例年より減らし,自分達の今持っている知
識・情報・経験を駆使し,論理的に組み立てる練習により多くの時間を割く.

ミッション検討以外で大学院生・研究者との交流の時間を設ける.大学院生・研究者の興味
や研究内容,経歴,生活について,彼らが高校生に直接発信する時間を設ける.

発表資料の準備,発表方法の指導,発表練習に十分時間を取る.これまでの「議論・検討さ
れていたが,時間が足りないために発表内容には反映されていない」という状況を無くす.
スライドを使ったプレゼンテーション以外の発表方法についても検討する.
― 56 ―
2.3. 事前準備から本番までの流れ
2014 年 9 月
・事務局ミーティング始動(上旬)
2015 年度の事務局メンバーが決定し,事務局ミーティングが始動した.
「きみっしょんの開催
時期」
,
「指導方針」,
「コアスタッフへの参加を打診するメンバー」などについて検討を開始し
た.
2014 年 11 月
・相談会開催(中旬)
翌年の就職活動が後ろ倒しで 8 月開始となることを受けて,2016 年卒業予定である大学院生
のきみっしょんへの関わり方を模索するための会を開いた.
2014 年 12 月
・コアスタッフメンバー決定(下旬)
2015 年 1 月
・コアミーティング始動(上旬)
きみっしょんへ参加する高校生に望むもの,どのような経験をさせたいかを議論し,意識を共
有する会議を行った.
・係引き継ぎ
前年度および本年度のチーフ間で係の仕事の引き継ぎを行った.
2015 年 2 月
・課題作文の内容の検討開始(中旬)
2015 年 3 月
・宣伝記事の掲載決定
Newton,天文月報,神奈川新聞【H!P】に,本年度のきみっしょんの宣伝記事を掲載した.
・課題作文の内容および文面の決定(初旬)
2015 年 4 月
・きみっしょん参加者募集
全国の高校生に向けて Web や雑誌での募集,Twitter での告知を行った.また,過去に参加者
がいる高校や SSH・SPP 指定校,スタッフ出身校には募集要項とポスターを送付した.
・きみっしょんスタッフ募集
宇宙研の新入生ガイダンスにおけるきみっしょんの紹介(4 月 16 日)
,きみっしょん主催の宇
宙研新入生歓迎会(4 月 17 日)
,およびスタッフ募集ガイダンスを 4 月下旬から 5 月上旬にか
けて計 5 回行い,新スタッフを勧誘した.
― 57 ―
2015 年 5 月
・スタッフ全体会議始動(中旬)
スケジュールや準備の確認を行うためのスタッフ全体会議を開始した.この時期から各スタッ
フを係に配属し,事前準備を開始した.
・応募者への通知書類検討(中旬)
合格者へのアンケート内容の検討を開始した.
2015 年 6 月
・参加者募集締め切り,課題作文による選抜,選抜結果の送付
応募者の個人情報は全て伏せた状態で課題作文の評価を行った.全ての作文をコアスタッフが
一次審査し,その後全スタッフによる二次審査を行った.合格ラインの作文の当落をコアスタ
ッフで合議し,合格者 25 名を決定した.
・スタッフ講習会(初旬)
きみっしょん本番に向けてスタッフが宇宙科学に関する知識向上のために,総合研究大学院大
学の「夏の体験入学」に参加した.
・おれっしょん(中旬)
きみっしょんでの具体的なミッション作成の流れを新スタッフに理解してもらうこと,および
各班のスタッフがファシリテーションの実践を行う場として,「俺たちが作る宇宙ミッション
(おれっしょん)
」を設けた.ここでは,経験者スタッフが当日の大学院生の立場,新スタッ
フが高校生の立場となりミッション作成のロールプレイングを行った.
2015 年 7 月
・スタッフの班配属決定(初旬)
スタッフの専門分野などを考慮して各班への配属が決定した.各班では本番までに数回ずつの
ミーティングを行い,高校生をサポートするための方針の共有などを行った.
・参加者の班分けの決定(初旬)
事前に送付したアンケートの回答結果を参考にして参加者の班分けを行った.
・参加者へしおりおよび Kimission アカウントを送付(下旬)
2015 年 8 月
・きみっしょん本番(8 月 3 日~8 月 7 日)
・終了後,班・係ごとに反省会を実施
2015 年 9 月
・コアスタッフ反省会の実施
2015 年 10 月~
・実施報告書作成開始
・日本天文学会ジュニアセッション(2016 年 3 月)参加に向けた準備を開始
― 58 ―
2.4. スタッフ会議まとめ
 参加高校生の選考
参加希望者には課題作文の提出を課し,大学院生スタッフによる課題作文の審査を経て,参加
者を決定した.作文の課題は,その年の教育理念・指導方針に沿って,毎年異なる.今年度の課
題作文と選考方法について以下にまとめる.
課題作文の決定
課題作文の内容は,以下の点を考慮して決定した.
1. 参加者がきみっしょん当日に課題作文で自分の考えたミッションに固執することがない
2. 宇宙を題材としながらも,様々な分野に渡る解答が期待できる
3. 解答の独創性と論理性を評価することができる
1 を考慮したのは,過去に「自由に宇宙ミッションを考える」課題作文を課したとき,作文の
ミッションに対する思い入れが強く,当日の班でのミッション作成にすぐに気持ちを切り替えら
れないという参加者が少なくなかったためである.2 を考慮したのは,昨年度の課題作文(火星
のオリンポス山の噴火を利用したミッションを考える)で似たような解答が頻出し,選考が難航
したためである.3 で挙げた独創性と論理性は,きみっしょん当日のファシリテーションと高校
生同士での議論を円滑に進めるために必要であり,今回の指導方針に沿った能力である.これら
の能力を測るために 3 を考慮した.
これらの点を満たすようにコアスタッフで意見を出し合った結果,2015 年度の課題作文は以
下のものとなった.
国際宇宙ステーション(ISS)に、高校生が自由に使える実験棟が新設されることにな
ったとします。あなたなら、どのような実験を提案しますか。その計画を説明してくださ
い。独創的なアイデアを期待しています。
実験計画は、他の人が読んでも分かるように、「実験のタイトル」・
「目的」
・「方法」
・「実験に必
要なもの」を明確に書いてください。図表を入れても構いません。さらに、
「実験の背景」
・「予想
される結果とその理由」
・「参考文献」なども、必要に応じて書いてください。
作文の選考方法
作文の選考は,以下の点に注意して行った.
1.
きみっしょんに関わる全スタッフが審査に関わる
2.
一人一人のスタッフが課題作文を十分な時間をかけて読む
3.
公平に選考を行う
一貫した基準で作文を審査するため,以下の 2 点で作文を評価するようスタッフに依頼した.
1.
発想力,独創性はあるか
2.
論理的に書かれているか
スタッフの評価を集計し,高い評価を受けた作文から参加者を決定した.
― 59 ―
参加高校生の班分け方法
参加高校生の班分けでは,以下の 2 点を考慮した.
1.
高校生が自分たちの興味に基づいたミッション作成に取り組めること
2.
班分けに使用する材料が当日の議論に大きく影響を与えないこと
1 は参加高校生にきみっしょんを楽しんでもらうためである.2 を考慮したのは,過去に課題
作文の内容を材料として班分けを行った結果,当日の議論において参加者同士が自分の課題作文
内容に関連したミッションを作成したいと主張し合った末に,ミッションの妥当性の評価や手法
の検討など,我々が期待する議論の時間が大幅に削られてしまった経験を受けてのことである.
これらを踏まえ,参加高校生に対して以下の様なアンケートを行い,回答されたキーワードを
重視して興味のある分野が近い高校生が集まるように班分けを行った.
------------------------------------------------------------------------------------1. 宇宙科学や宇宙開発について、興味のあるキーワードを最大 6 つまで記入してください。
(※ 記入されたキーワードは、
「きみっしょん」当日の班分けの参考としますが、議論するミッションの
内容とは必ずしも関係ありません)
------------------------------------------------------------------------------------回答されたキーワードを
・太陽系内の天体および探査
・宇宙物理や太陽系外における天文現象
・ロケットや人工衛星,探査機などの宇宙機に用いられる工学技術
・有人宇宙開発や宇宙利用
に分類し,性別や学年も加味して班分けを行った.
まとめ
今年度の課題作文では,ISS での実験テーマという,昨年度の課題(火星のオリンポス山が噴
火したと仮定し,それを利用した調査内容を提案する)よりも自由度の高い題材を扱った.その
ため,作文の独創性の評価を行いやすくなった.提出された実験テーマは医学・化学・工学など
様々な分野にわたり,部活や恋愛など高校生独自の視点から考えられたものも見られた.TV や
インターネットなどを通じてこれまでの ISS での実験を目にしている高校生も多く,応募者にと
って内容をイメージしやすい題材であったと考えられる.
選考方法についても,十分な時間をかけ全てのスタッフで作文を評価することで,公正な審査
を行うことができた.評価の基準も,今年度のコンセプトに沿った適切なものであった.
高校生の班分けでは,興味のあるキーワードを高校生自身に考えてもらうことで自由度を持た
せると同時に,興味の似通ったメンバーを同じ班に集め,当日のミッション作成が円滑になるこ
とを目指した.各班が実際にきみっしょん本番で作成したミッションの内容を見ても,妥当な班
分けけができたと考えられる.ただし,回答されたキーワードが,「人工衛星」,「ロケット」な
どの一般的な言葉から,
「連星」,
「圧電素子」などの専門用語にまでおよんだため(きみっしょ
ん参加前アンケート参考)
,班分けの議論には時間がかかった.
― 60 ―
 当日の指導内容
今年度のきみっしょんのコンセプトを実現するためには,高校生のミッション作成の指導方法
の検討と大学院生スタッフの事前研修が重要であると考えた.そこで,班テーマの設定について
検討し,「おれっしょん」と班ミーティングを実施した.また,手法の議論の時間を確保するた
め,ミッションの方針をいつまでに決定するのか,班ごとに目標を定めた.
班テーマの設定
昨年度は,ミッションの具体的なテーマを班ごとに事前に設定した.これは,(a)スタッフを専
門分野とミッション内容が合うように班分けし,より強力に高校生をサポートできるようにする
ため,(b)当日の議論を円滑に始められるようにするため,(c)ミッションの方針決定を早め定量
的な手法の検討に時間をかけられるようにするため,である.テーマはそれぞれ「宇宙での天体
観測」,
「宇宙基地でのサービス施設」
,
「長期有人宇宙航行」
,
「宇宙での生命探査」であり,各班
は当日,これらのテーマに沿ってミッションを作成した.
しかし本来きみっしょんは「君が作る宇宙ミッション」であり,高校生自身が主体的に宇宙ミ
ッションを立案することが望ましい.提示されたテーマがミッション作成の制約になってしまっ
てはいけない.昨年度の参加後アンケートでは,「自分達の作るミッションのテーマが決められ
ているとは思わなかった」
,
「班テーマの制約が厳しく感じた」などの感想が寄せられた.
そこで今年度は,事前に設定するのはテーマの大枠までにとどめ,昨年度の狙いを踏襲しつつ
も高校生を束縛しないように工夫した.テーマの大枠の設定とスタッフの班分けは,班ミーティ
ングの期間を確保するため,合格者が決定するより前に,過去のきみっしょん参加者の興味の傾
向をもとにして行ったが,実際に参加者の興味を調べた後で再調整できるようにした.ただし実
際には,アンケート結果が概ね最初に予想した通りのものだったため,再調整は行われなかった.
各班のテーマは,
「当日のミッション作成の制約にならず」,「高校生の興味に沿う」ように注
意して設定した.また,これらを満たす範囲で,できるだけ各班長の意向を取り入れた.
なお,このようにテーマを設定したが,高校生の議論の中で班テーマから逸れたミッションが
提案された場合には,積極的に許容することとした.
おれっしょんの実施
当日の指導の準備の一環として,
「俺たちが作る宇宙ミッション」(おれっしょん)と銘打ち,
スタッフ自身がきみっしょんを模擬体験した.
おれっしょんの主な目的は以下の 4 つである.
1.
新スタッフに向けて,当日のミッション作成の流れを説明すること
2.
スタッフにブレインストーミングやグループディスカッションを実践してもらうこと
3.
班長にファシリテーションの予行練習をしてもらうこと(特に,ミッションの方針を決
定するまでの議論の流れを練習することを重視)
おれっしょんでは,一般スタッフが高校生役,コアスタッフがスタッフ役となった.コアスタ
ッフの班分けは,きみっしょん本番と同じである.一般スタッフは,高校生と同様に,宇宙に関
する興味を基準に班分けした.
おれっしょんで得られた反省点は,当日の指導計画へフィードバックされた.
― 61 ―
班ミーティングの実施
各班の指導を担当する大学院生スタッフは,それぞれの班長の主導で事前に班ミーティングを
行った.班ミーティングの目的は以下の 3 つである.
1.
スタッフ間のチームワークを高める
2.
班の指導方針,当日のファシリテーションの流れを議論,検討する
3.
スタッフが自身の役割を理解し,適切な指導が行えるように準備する
きみっしょん本番までに,どの班も 5 回程度の班ミーティングを実施した.
ミッションの方針決定に対する時間的目標の設定
今年度のコンセプトを達成するためには,ミッションの手法の議論と発表の準備に十分な時間
を確保しなければならない.そのためには,できるだけ早くミッションの方針を決めることが必
要である.過去のきみっしょんでは,行いたいミッションについて班の高校生同士で意見が複数
出され,どのミッションを行うのか決めかねているまま時間が過ぎてしまう,という状況が発生
していた.
そこで今年度は,ミッションの方針決定に対し,各班で締め切りを定めてもらった.これまで
のきみっしょんでも期間中のスケジュールは立てられていたのだが,あくまで班ごとの計画であ
り,班長の判断でミッションの方針決定が後ろ倒しになることがあった.今年度は,事務局から
締め切りの設定を班長に要請することで,ミッションの方針決定のスケジュールにより厳密なも
のにした.
評価と反省
班テーマの設定を昨年より緩やかにし,参加高校生の興味を踏まえて設定したことで,班テー
マに制約されないミッション作りを行うことができた.おれっしょんによって当日の予行練習を
行ったことで,より綿密に指導計画を立てることができた.具体的な高校生の指導の方針とファ
シリテーションの方法は各班の班長に任せたが,それらを班スタッフ全員で共有するのは班ミー
ティングのみでは難しかった.事務局の示したコンセプトを,5 日間のイベントや高校生の選抜・
班テーマの設定には反映できたものの,具体的な指導方法にまで落し込めていない部分があった
と考えられる.コンセプトに沿った指導方法の検討は,今後のきみっしょんにおける課題である.
ミッションの方針決定に厳密な締め切りを設けたことで,狙い通り,興味に基づいたミッション
選びと手法の具体的な議論の両方を,高校生にバランス良く行ってもらえた.
― 62 ―
2.5. 各役職仕事まとめ
今年度のきみっしょんにおける,事務局・班長・各係の仕事内容を,時系列に沿ってまとめる.
 事務局
事務局は,今年度の運営全体を総括した.
9 月~12 月
・2015 年度きみっしょんで掲げる教育理念・高校生の指導の方針を構想した
・日本経済団体連合会の決定によって 2016 年卒の就職活動は後ろ倒しになり,会社説明会の解
禁が 2015 年 3 月,採用選考が 2015 年 8 月開始となった.このため,就職活動をする修士課
程 2 年次の大学院生にとっては,きみっしょんスタッフへの参加が難しくなった.この事情を
鑑みて,きみっしょんの開催時期を 8 月から変更することを検討した.最終的に,コアスタッ
フを,就職活動をしない(または,就職活動と両立できる)スタッフだけで構成できる見通し
が立ったため,例年通り 8 月上旬に実施すると決定した
・コアスタッフを決定した
・新旧の係チーフの間で仕事の引継ぎを行うように指示した
1月
【上旬】
・第 1 回コアミーティング(1 月 9 日)
- コアスタッフの顔合わせを行った
- 教育理念・指導方針を述べ,当日のミッション作成で重視して欲しい点を説明した
- 課題作文の案を作成するようにコアスタッフに依頼した
2月
【中旬】
・第 2 回コアミーティング(2 月 17 日)
- 各係の時期ごとの仕事内容,必要なスタッフの人数,昨年度からの変更点を確認した
- 各自が作成した課題作文案を整理した
・コアスタッフから出た意見をまとめ,事務局内で課題作文の案を 3 つ作成
3月
【上旬】
・第 3 回コアミーティング(3 月 2 日)
- 3 つの課題作文の案から 1 つを選び,文面のブラッシュアップを行った
・第 4 回コアミーティング(3 月 5 日)
- 文面まで含めて,課題作文を最終決定した
― 63 ―
【中旬】
・募集要項の原稿を作成した
・参加者募集用のポスターを作成した
【下旬】
・第 5 回コアミーティング(3 月 27 日)
- 募集要項と参加者募集ポスターの最終確認を行い,印刷を発注した
4月
【上旬】
・募集要項を開示した(4 月 1 日)
・第 6 回コアミーティング(4 月 8 日)
- スタッフ募集関連の日程を確認した
- スタッフ講習会における講演者を検討した
・新スタッフ募集用のポスターを作成し,所内各所に掲示した
【中旬】
・スタッフを募集するため,宇宙科学研究所新入生ガイダンスにて,きみっしょんの紹介を行っ
た(4 月 16 日)
・新入生の歓迎会を行った(4 月 17 日)
【下旬】
・スタッフを募集するため,きみっしょんについての説明会を実施した(4 月 20, 21, 22, 30 日,
5 月 1 日)
・参加者募集ポスターを全国の高校や科学館などに送付した
・第 7 回コアミーティング(4 月 21 日)
- 第 1 回スタッフ全体会議とおれっしょんの日程を調整した
- 今年度のコンセプトを実現するための企画を検討した(院生ミニ講義や座談会など)
- 相模原キャンパス特別公開における展示の担当者を決定した
5月
【上旬】
・第 8 回コアミーティング(5 月 8 日)
- 参加者に送るアンケートを作成した
- 作文の評価方法と参加者の班分けの方法を決めた
- 前回に引き続き今年度のコンセプトを実現するための企画を検討した
【中旬】
・第 1 回スタッフ全体会議(5 月 13 日)
- きみっしょんの理念と今年度のコンセプトを一般スタッフに説明した
- 一般スタッフに対し,各係の仕事内容を説明し,配属の希望についてアンケートを行った
- スタッフとして参加するにあたっての注意事項を説明した
― 64 ―
・第 9 回コアミーティング(5 月 20 日)
- 特別演習・特別講演・所内見学・院生ミニ講義・座談会の実施方針を決定した
- 一般スタッフの係配属を決定した
6月
【上旬】
・参加募集の締め切り(6 月 1 日)
・スタッフ講習会を実施した(6 月 4, 5, 6 日)
・第 10 回コアミーティング(6 月 8 日)
- 今年度の応募状況,作文の確認を行った
・第 2 回スタッフ全体会議(6 月 10 日)
- スタッフ全員に応募された課題作文を配布し,評価方法について説明した
- 一般スタッフの係配属を発表し,各係の顔合わせを行った
- スタッフの班分けの参考にするため,当日のシフトの希望を調査した(1 回目)
【中旬】
・第 11 回コアミーティング(6 月 16 日)
- 合格者を決定した
- 合否通知書類の確認を行った
- 係チーフの班分けを行った
【下旬】
・おれっしょんを実施した(6 月 21 日)
・第 12 回コアミーティング(6 月 23 日)
- おれっしょんの反省点を議論した
- 全スタッフの班分けを決定した
7月
【上旬】
・第 3 回スタッフ全体会議(7 月 1 日)
- 合格者を発表した
- 全スタッフの班分けを発表した
・第 13 回コアミーティング(7 月 7 日)
- 高校生の班分けを決定した
【中旬】
・特別講演の講師である津田雄一先生と打ち合わせを行った
・シフト希望の最終的な調査を行った
【下旬】
・第 14 回コアミーティング(7 月 22 日)
- 各班・係の準備に問題が無いかを確認した
- 特別公開への出展について,準備の流れを確認した
― 65 ―
・きみっしょんのしおりや班長からの手紙などの事前資料を参加者へ送付した
・相模原キャンパス特別公開にて,きみっしょんの企画概要の説明と,第 13 回きみっしょんの
実施報告を行った(7 月 24, 25 日)
・第 15 回コアミーティング(7 月 30 日)
- 各班・係の準備に問題が無いかを確認した
- 各種マニュアルと当日の詳細なスケジュールを確認した
- 当日最初に行う全体オリエンテーションの内容をチェックした
・第 4 回スタッフ全体会議(7 月 31 日)
- きみっしょんの理念と今年度のコンセプトを再確認した
- 当日の詳細なスケジュールと仕事内容を再確認した
- 会場の設営を行った(ネットワーク環境や机の配置)
8月
【きみっしょん当日】
・各発表会・企画における司会進行を行った
・院生ミニ講義の発表を行った
【きみっしょん終了後】
・反省会を行った
【下旬】
・事後アンケートを集計した
・各班・係に反省会を行うよう指示した
・最終報告書の締切(8 月中)
9月
【中旬】
・第 16 回コアミーティング(9 月 16 日)
- 今年度のきみっしょんの反省会を行った
10 月以降
・各班・係に,仕事内容と来年度への引き継ぎ資料をまとめるよう指示した
・実施報告書の作成を始めた
・日本天文学会ジュニアセッション(2016 年 3 月)に向けての準備を始めた
― 66 ―
 班長
班長は,それぞれの班の指導計画を立て,大学院生スタッフによる高校生の指導を指揮した.
4月
【上旬】
・過去のミッションテーマを参考にし,当日のミッションテーマについて議論
@班長ミーティング(4 月 14 日)
【下旬】
・ミッションテーマや,設定するミッションテーマをどれほど具体的にするかについて議論
@コアミーティング(4 月 21 日)
5月
【上旬】
・参加者の事前アンケート結果(宇宙科学や宇宙開発について興味のあるキーワードについて)
によりミッションテーマを決めることを確定 @コアミーティング(5 月 8 日)
【下旬】
・どのようにミッション作成を開始させるかについて議論 @コアミーティング(5 月 20 日)
6月
【上旬】
・大学院生スタッフに対して行われた,宇宙科学や宇宙開発に関して興味のあるキーワードのア
ンケートに基づき,おれっしょんでのミッションテーマについて検討
【中旬】
・上記の大学院生スタッフへのアンケートをもとにして,おれっしょんのミッションテーマ・班
員・ミッション作成の開始方法を決定 @班長ミーティング(6 月 19 日)
【下旬】
・おれっしょん実施(6 月 21 日)
各班のミッションテーマ
井辻班:工学実証ミッション
小山班:理学ミッション
出口班:有人宇宙航行
仲内班:宇宙探査
・おれっしょんを踏まえて,大学院生スタッフの班分け @コアミーティング(6 月 23 日)
班分けのときに特に重視した要素
・男女のバランス
・記録係
・理工のバランス
・学年
・経験者,オブザーバー
― 67 ―
7月
【上旬】
・班ミーティング
【中旬】
・班ミーティング
・参加高校生への手紙の作成(7 月 22 日締切)
【下旬】
・班ミーティング
8月
【きみっしょん当日】
・班ミーティングで決定した指導方針に基づき,参加高校生のミッション作成サポート
【下旬】
・班反省会の実施
- 当日の反省(時間配分,議論への介入具合など)
- 来年のきみっしょんで改善すべき点(ミッションテーマは適切だったかなど)
・各班の参加高校生のきみっしょん最終報告書作成のサポート
9月
【中旬】
・反省会の実施 @コアミーティング(9 月 16 日)
10 月以降
・日本天文学会ジュニアセッションに向けての参加高校生のサポート
― 68 ―
 総務係
総務係は,当日使用する備品の作成や,参考図書の管理を行った.
6月
【上旬】
・各作業の担当者を決定
しおり+名札 3 人
修了証+表彰状+班パネル 1 人
きみっしょんパネル 1 人
図書+T シャツ 2 人
【中旬】
・しおり表紙,名札,T シャツのデザイン担当者(外部)と打合せ
【下旬】
・修了証,表彰状,班パネル,きみっしょんパネルの作成開始
・しおり,名札に載せる大学院生スタッフの情報(氏名,専門分野など)のアンケートを取り,
しおり,名札に入力
7月
【上旬】
・職員用のアンケートを取り,しおり,名札に入力
・高校生からのアンケート回答(氏名,学校名など)をしおり,名札に入力
・T シャツのデザインとサイズの希望調査
【中旬】
・自分のしおりの記述が正しいか院生に確認
・コアスタッフ内でしおりの内容を確認
・しおりの印刷,製本
・大学院生スタッフに向け,きみっしょん期間中に貸出可能な本を募集
・きみっしょん図書の在庫確認
・T シャツを業者に発注
【下旬】
・高校生の名札の記述が正しいかを班長が確認
・自分の名札の記述が正しいかをスタッフが確認
・名札を印刷
・しおりを高校生に郵送
・全体会議で院生にしおり,名札,T シャツを配布
― 69 ―
8月
【きみっしょん当日】
・班パネル,きみっしょんパネルを設置
・高校生の名札を準備
・修了証,表彰状を印刷
・きみっしょん図書の設置,図書管理システムの動作確認
― 70 ―
 広報係
広報係は,きみっしょん実施の宣伝,ウェブ上での情報の発信,所内見学の計画立案を行った.
1月
【下旬】
・2014 年度広報チーフより各種引き継ぎ
2月
【下旬】
・きみっしょんの募集案内を依頼(各雑誌により時期は異なる)
○Newton:募集要項を掲載
○神奈川新聞:募集要項を掲載.読者プレゼントを提供(JAXA 文房具セット 3 名分)
○日経サイエンス:募集要項を掲載
○天文月報:募集要項を掲載
○TELSTAR:募集要項(ポスター)を掲載
○科学技術新聞
以下の募集要項を各社へ送付(除く,TELSTAR)
2015 年度きみっしょん概要
タイトル:
宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙教育センター・宇宙科学研究所主催
体験学習プログラム「第 14 回 君が作る宇宙ミッション」募集要項
内容:
宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、高校生(および相当年齢の方)を対象とした体験学習プログラム「君
が作る宇宙ミッション」の参加者を募集しています。JAXA 相模原キャンパスに 4 泊 5 日の合宿形式で滞在
しながら、数人のチームごとに宇宙ミッションを立案・研究し、最終日に発表を行います。期間中は多くの
研究者を交えた意見交換により、本格的な知識を得ることができます。宇宙科学の最前線を体験できる、
JAXA ならではの魅力的なプログラムとなっています。
期間:
2015 年 8 月 3 日(月)~ 8 月 7 日(金)
会場:
JAXA 相模原キャンパス(相模原市中央区由野台 3-1-1)
対象:
高校生、あるいは相当年齢の方(高専は 3 年次まで)
定員:
20 名程度(応募者多数の場合は作文による選考)
参加費用:
会場までの交通費、5 日間の食事代
(保険料は JAXA 負担.JAXA 宿泊施設を利用する場合は宿泊費無料)
詳細はホームページの募集要項に記載されていますので、そちらをご覧ください.
応募方法:
ホームページの募集要項をよく読み、指示に従って申し込んでください。
応募者多数の場合は、作文により選考を行ないます。
ホームページ URL:
http://www.isas.jaxa.jp/kimission/
締切日:
6 月 1 日(月)必着
応募結果:
6 月下旬までに本人宛に郵送
問合せ先:
「君が作る宇宙ミッション」事務局
TEL 050(3362)4662 平日 9:30-17:30、土日祝日を除く
FAX 042(759)8612
E-mail: [email protected]
※状況により、日程、定員、参加費用などに変更の可能性があります。詳しくはホームページをご覧ください。
― 71 ―
4月
【上旬】
・募集要項の公開(ホームページ担当者)
・2015 年度ブログ記事投稿開始
Access / 人
ブログ記事の閲覧数
400 (1)
350
300
250
200
150
100
50
0
2015/4/1
(4)
(2)
(5)
(3)
2015/5/1
2015/6/1
2015/7/1
2015/8/1
DAYS
(1) 執筆開始
(2) 過去の参加者
(3) コアスタッフ自己紹介
(4) 審査終了
(5) 課題作文総評
・Twitter 投稿開始
ブログ投稿時に投稿
5月
【上旬】
・
「過去の参加者の声」という企画により,2014 年度のきみっしょん参加者の感想をブログに掲
載
・その後各係チーフの自己紹介をブログに掲載
6月
【上旬】
・特別公開用リーフレットの更新(特別公開の会議に都度参加)
・所内見学先の選定
【中旬】
・ブログでスタッフの自己紹介を開始(週ごとに各係スタッフの自己紹介を投稿)
7月
【上旬】
・所内見学候補との調整
→イオンエンジン,キュレーション,管制室に決定
【下旬】
・特別公開対応
― 72 ―
8月
【きみっしょん当日】
8 月 3 日(月)きみっしょん開始の Tweet
8 月 4 日(火)広報活動は特になし
8 月 5 日(水)
・中間発表会に向けての Ustream 配信環境設定
・中間発表会の Ustream 配信
8 月 6 日(木)
・最終発表の会場設営
・Ustream 配信環境の構築
・発表用のパソコンと配信用のパソコンをリモート環境で操作出来るように設定
・きみっしょん Twitter,Ustream 配信用カメラ映像,テロップ,高校生の発表用パワー
ポイントの 4 画面をライブ配信出来るようにテストを行った
・最終発表会の Ustream 配信
8 月 7 日(金)広報活動は特になし
【下旬】
・班長による総括および事務局による総括をブログに投稿
― 73 ―
 記録係
記録係は,期間中の写真・動画の撮影,撮影データの管理,最終発表会で上映するきみっしょん
PV の編集を行った.
1月
【上旬】
・前年度記録係チーフとの引き継ぎミーティング
2 月〜4 月
特に記すべきことなし
5月
【下旬】
・記録係メンバー決定
6月
【上旬】
・スタッフ講習会(兼,総研大体験入学)の動画撮影
・上記動画のきみっしょんスタッフに向けた公開
【中旬】
・第1回記録係ミーティング(顔合わせ,役割分担の決定)
7月
【上旬】
・ビデオカメラの借用申請
【中旬】
・ビデオカメラの借用開始
・最終発表会 Ustream 中継のための動画配信リハーサル @2 階大会議場,2 階 A 会議室
・第 2 回記録係ミーティング(スケジュール確認,Picasa のアップロード方法説明)
【下旬】
・各班のカメラ担当者がシフトに入れない時間帯の代理カメラマン決定
・(ビデオマイクが用意できなかったため)ハンディカムビデオカメラの集音範囲の確認
・PV 作成やデータ公開のために撮影してほしいシーンのリストアップ(写真,動画共)
・第 3 回記録係ミーティング(上記シーンリストの確認,当日の動きの最終確認)
― 74 ―
8月
【きみっしょん当日】
・写真,動画撮影
・ブログ用写真の Picasa へのアップロード
・最終発表会で上映する PV の作成
・きみっしょん用ネットワークアタッチトストレージ(kiminas)への写真および動画のアップ
ロード
・ビデオカメラの返却
【中旬】
・所内見学の写真・動画を高校生に公開することに対して,キュレーション施設責任者の安部先
生に承認の有無を伺う
【下旬】
・記録係反省会
9月
【上旬】
・高校生へ公開すべきでない写真,動画の削除(各班カメラ担当者およびビデオ担当者)
【中旬】
・動画配信についての反省会(広報・サーバー管理合同)
【下旬】
・高校生へ公開する写真,動画の確認(記録係チーフ)
10 月
【上旬】
・高校生へ公開する写真の公開用 Picasa へのアップロード
【中旬】
・高校生へ公開する動画の選別および公開用 Picasa へのアップロード
【下旬】
・高校生への写真および動画データ公開
・PV 引き継ぎ資料作成
― 75 ―
 生活サポート係
生活サポート係は,きみっしょん会場の設営・備品管理,期間中の食事の手配,各種レクリエー
ションの企画・運営を行った.
5月
【下旬】
・生活サポート係メンバー決定
6月
【上旬】
・生活サポート係メンバー顔合わせ
【中旬】
・きみっしょん備品(C 棟宇宙教育センター倉庫内)確認
・おれっしょん会場準備
【下旬】
・きみっしょん会場設営用備品確認、追加備品購入検討
・電源、会場内サーバー・ネットワーク関連会議
・きみっしょん会場レイアウト検討
・きみっしょん期間中の食堂使用願い,業者との打合せ
・きみっしょん期間中の朝食代・夕食代決定
・エッグランダー備品確認、追加備品購入検討
7月
【上旬】
・きみっしょん備品リストアップ
・動画配信用レンタル備品確認
・きみっしょんお疲れ様会見積もり取得
・きみっしょん期間中の昼食発注先決定
【中旬】
・動画配信機材動作確認、動画配信リハーサル (2 回)
・きみっしょん高校生歓迎会会場設営案決定
・きみっしょん用飲料水見積もり取得
・きみっしょん用飲料水発注
・きみっしょん用飲料水納品(8F きみっしょん部屋へ)
・きみっしょん期間中の食堂使用見積もり取得
・きみっしょん会場レイアウト・配線図決定
・所内各所から借用する備品を予約
― 76 ―
【下旬】
・きみっしょんスタッフ飲食等経費徴収
・きみっしょん用備品最終確認
・きみっしょん期間中の食堂使用申請
・きみっしょん会場電源・ネットワーク設営
・きみっしょん歓迎会タイムテーブル,アイスブレイク企画決定
・きみっしょんスタッフ宿泊施設清掃
8月
【きみっしょん当日】
・きみっしょん会場設営・撤収
・きみっしょん運営用備品管理
・参加高校生歓送迎会企画
・エッグランダー企画
・昼食発注・受け取り
9月
【上旬】
・生活サポート係反省会
・きみっしょん備品整理
― 77 ―
 サーバー管理係
サーバー管理係は,きみっしょんで使用するネットワーク環境全般の立ち上げ・管理を行った.
2月
【上旬】
・翌年度の係 Google ドライブの準備
3月
【上旬】
・翌年度継続して参加するスタッフの確認
【中旬】
・共用アカウントのパスワード変更
【下旬】
・停電対策として,ネットワークアタッチトストレージ(kiminas)をシャットダウン
4月
【上旬】
・卒業したスタッフのアカウント整理
・きみっしょんホームページの更新補助 (募集要項)
【中旬】
・ブログの開設
【下旬】
・全スタッフの Google アカウントのパスワード変更
5月
【上旬】
・スタッフ用 Wiki の編集
・新スタッフ用登録ページ作成
【中旬】
・新スタッフ用 Google アカウントの作成
【下旬】
・おれっしょん用ネットワークの申請
6月
【上旬】
・期間中に使用するレンタル PC の申請
・期間中や動画配信リハーサルに使用するネットワークの申請
【下旬】
・班メーリングリストの作成
― 78 ―
7月
【中旬】
・高校生用 Google アカウントの作成
・高校生用 Wiki の編集
・動画配信リハーサル
・ネットワーク設営リハーサル
【下旬】
・高校生用メーリングリストの作成
・期間中の写真アップロード環境の整備
・レンタル PC のセットアップ
・ネットワーク設営
8月
【きみっしょん当日】
・PC 環境の整備
・PC トラブル対応
【中旬】
・レンタル PC の返却
【下旬】
・停電対策のため kiminas をシャットダウン
9月
【下旬】
・係反省会
10 月
【中旬】
・動画配信マニュアルの作成
11 月
【上旬】
・翌年度の事務局メーリングリストの作成
・翌年度の事務局用 Google ドライブの作成
・翌年度の kiminas フォルダ作成
12 月
【上旬】
・翌年度のコアメーリングリストの作成
― 79 ―
2.6. スタッフ講習会
きみっしょん本番での高校生への指導にむけて,大学院生スタッフの宇宙科学に関する知識向上
を図るためのスタッフ講習会を行った.各講習会には十数名のスタッフが参加した.本講習会は過
去には自主的に行っていたが,2008 年より総合研究大学院大学の実施する「夏の体験入学」に参
加する形になっている.
【講義内容】
2015 年 6 月 4 日(木)
16:30~ 『宇宙機を操る制御の力 ~航法誘導制御のご紹介~』
坂井 真一郎 准教授
17:45~ 『はやぶさとはやぶさ2』
安部 正真 准教授
2015 年 6 月 5 日(金)
16:30~ 『微小重力を利用したダストプラズマ物理研究の現状と将来』
足立 聡 准教授
17:45~ 『大気突入の科学 ~原理から紐解く「はやぶさカプセル」,惑星突入~』
山崎 敦 助教
2015 年 6 月 6 日(土)
10:00~ 『宇宙探査と軌道設計』
津田 雄一 准教授
11:15~ 『赤外線の目で見る宇宙: 宇宙の誕生から太陽系外惑星まで』
吉川 真 准教授
― 80 ―
2.7. 運営の評価と反省
 応募状況
広報に力を入れたものの,全体の応募数に変化は見られなかった.Twitter やブログなどでの投
稿数,記事数を増やしたものの,きみっしょんを既に知っている高校生を対象とした広報となって
いたと考えられる.応募者のアンケートの回答によると,きみっしょんを知ったきっかけは例年通
りポスターが多く,広報媒体の検討が必要である.
 応募作文内容
提出された作文の内容は,極端に文章量の少ないものは無く,応募作文全体のレベルは上がった
と感じられる.また,提出された ISS での実験テーマは「人工重力」,
「医療」,
「生物学」など多く
の分野に渡り,その他にも「人の記憶・感情」,
「宇宙広報」のような面白いアイディアが見られた.
これは,課題決定時に期待したものであり,狙い通り様々なパターンの解答が得られた.
 ミッション内容
論理性
4 班とも全体的に,
「背景・目的・手段」の対応のとれた,論理的なミッションが提案されたと
評価できる.手法の具体的な定量的評価には至っていないものの,科学的に意義のあるミッショ
ンの提案ができた.
最終発表スライドには,
「背景・目的・手段」が明確に示されており,突飛な設定や論理の飛
躍がなく,理解しやすい発表となっていた.また,質疑応答の際には,単に「今後の検討課題と
する」と答えるのではなく,5 日間で自分達の検討したことを示し,それを踏まえて検討すべき
課題について議論ができていた班が多かった.全体オリエンテーションにおける「宇宙ミッショ
ンとは何か」の説明,事務局による「院生ミニ講義」,津田雄一先生による「特別講義」を通じ
て,重点的に以下の 3 点を高校生に示したことが,効果的であったと考えれれる.
①ミッションとは,背景・目的・手段から成り,それぞれが対応していなければならない
②高校生は,きみっしょんの 5 日間で,ミッションの立案というプロセスを行う
③ミッション提案の際は,その科学的意義について,論理的に説明するべきである
テーマ
各班のミッションは「火星移住に向けた技術実証」,
「宇宙での生命探査」,
「軌道上衛星の修理
システム」
,
「天文衛星による初期宇宙の恒星観測」と,最終的には当初の班テーマに沿ったもの
となった.しかし,バラエティーに富み,高校生の興味に基づいた内容となっていた.
ただし,中間発表まで複数のミッション案が並行して検討され,そこからミッションの方針を
1 つに絞り込む過程で苦労した班も見られた.これは今後のファシリテーションの課題の 1 つで
ある.
― 81 ―
2.8. 総括
今年度のきみっしょんのコンセプトである,「将来の進路・仕事を想像する」,「将来必要な能力
を知る」の 2 点について総括する.
将来の進路・仕事を想像する
今年度は,
「院生ミニ講義」や「座談会」など,大学院生スタッフが研究や学生生活について
参加高校生へ発信する時間を新たに設けた.参加後アンケートでは,大学院生に対するイメージ
が変わったかという質問に対して,
「真面目で気難しいと思っていたが,親しみやすく面白い人
が多かった」
,
「より身近に感じられた」などの回答が多くされており,期待した通りの効果があ
ったと思われる.
特に「座談会」の満足度が 4.00 点と最大で,
「院生の研究に触れ,進路選択・将来の夢につい
て具体的に考えるきっかけになった」とのアンケート回答があり,今年度のコンセプトに合った
有意義な時間を提供できたことがわかった.
また,
「他の高校生から刺激を受けたか」との問いに,
「非常にそう思う」と回答した高校生が
22 名おり,高校生と大学院生との間だけではなく,高校生同士でも効果的な交流を持てたこと
が分かった.しかし,
「班内の高校生との交流」の満足度が 3.84 点であるのに比べ,「他班の高
校生との交流」の満足度は 3.30 点と,満足度を調べた項目の中で最低であった.来年度以降,
他班の高校生同士の交流を促す時間の作り方を,改めて検討すべきだろう.
将来必要な能力を知る
参加前アンケートの「将来に向けて身に付けたい能力」と,参加後アンケートの「将来に向け
て必要だと感じた能力」との間にはあまり違いが見られず,共に「コミュニケーション能力」,
「プ
レゼンテーション能力」の回答が多数だった.しかし,参加後アンケートにおける「必要な能力
と感じている」という回答は,きみっしょん 5 日間の経験に基づいた実感であると考えられる.
参加後アンケートで尋ねた「ミッション作りで苦労した点」として,「論理的に考えること」,
「情報・理解を共有すること」,
「すり合わせ・まとめること」が挙げられている.また,項目ご
とに感じた難易度を回答する設問でも,回答された難易度の平均値が高い項目は,上から順に「論
理的な検討」
(3.80 点),
「質疑応答」
(3.76 点)
,
「班内でのディスカッション」
(3.48 点),
「プレ
ゼンテーション」
(3.42 点)となっている.これらのアンケート結果から,コンセプトで掲げた
「論理的な思考」
,
「建設的な議論」
,
「効果的な発表」がまさに,参加した高校生が 5 日間で苦労
しながら挑んだ点であったのだと分かる.きみっしょんで経験した苦労と挑戦を通して,参加高
校生にこれらの能力の必要性を実感してもらえたと言えるだろう.
― 82 ―
3. 付録資料
― 83 ―
― 84 ―
3.1. 関係者一覧
参加者
氏名
学校名
学年
性別
班
川原
はるか
神奈川県立瀬谷高等学校
3
女
ASTRO
佐藤
知寧
千代田区立九段中等教育学校
4*
女
ASTRO
佐野
文哉
神奈川県立神奈川総合高等学校
2
男
ASTRO
塚田
悠衣
京都市立紫野高等学校
2
女
ASTRO
野﨑
信吾
岡山県立倉敷天城高等学校
1
男
ASTRO
丸田
祥輝
神奈川県立厚木高等学校
2
男
ASTRO
池谷
蓮
大阪府立豊中高等学校
2
男
MUSES
岡本
咲華
日本大学第三高等学校
1
女
MUSES
神山
友里
洗足学園高等学校
1
女
MUSES
小林
寧々
法政大学女子高等学校
2
女
MUSES
竹﨑
碧
広島県立広島高等学校
1
女
MUSES
田渕
宏太朗
南山高等学校 男子部
1
男
MUSES
平山
龍一
高輪高等学校
2
男
MUSES
市川
豪士
三重県立四日市南高等学校
2
男
PLANET
中村
藍
北海道札幌南高等学校
2
女
PLANET
中村
祐太
八千代松陰高等学校
2
男
PLANET
並木
達郎
新島学園高等学校
2
男
PLANET
深津
美薫
埼玉県立浦和第一女子高等学校
2
女
PLANET
山下
薫
福岡県立明善高等学校
2
女
PLANET
岩間
結子
大阪府立大手前高等学校
2
女
SOLAR
大野
匠
埼玉県立所沢高等学校
3
男
SOLAR
月岡
みなみ
神戸海星女子学院高等学校
2
女
SOLAR
仁木
いずみ
山手学院高等学校
2
女
SOLAR
法堂
可奈子
福山市立福山高等学校
2
女
SOLAR
麦踏
松秀
兵庫県立龍野高等学校
2
男
SOLAR
*中高一貫生 4 年.高校 1 年生相当
― 85 ―
コアスタッフ
事務局
氏名
役職
所属大学
学年
外岡
学志
事務局長
総合研究大学院大学
博士課程
馬場
俊介
副事務局長
東京大学
博士課程
増田
紘士
副事務局長
東京大学
博士課程
役職
所属大学
学年
担当チーフ/班長
氏名
小山
舜平
ASTRO 班 班長
東京工業大学
博士課程
出口
雅也
MUSES 班 班長
東京大学
修士課程
井辻
宏章
PLANET 班 班長
東京大学
博士課程
仲内
悠祐
SOLAR 班 班長
総合研究大学院大学
博士課程
佐野
圭
総務チーフ
東京大学
博士課程
田中
康平
広報チーフ
総合研究大学院大学
博士課程
岩崎
祥大
生活サポートチーフ
総合研究大学院大学
修士課程
吉田
航己
生活サポートサブチーフ
東京大学
修士課程
高橋
葵
記録チーフ
総合研究大学院大学
修士課程
盛本
真史
サーバー管理
東京大学
修士課程
柴田
拓馬
会計
総合研究大学院大学
修士課程
職員世話人(顧問)
氏名
所属
役職
山村
一誠
宇宙物理学研究系
准教授
黒谷
明美
学際科学研究系/宇宙教育推進室
准教授
所属
役職
宇宙教育推進室
事務支援
事務補佐
氏名
花輪
香代子
― 86 ―
一般スタッフ
ASTRO 班
氏名
担当
所属大学
学年
大津
恭平
オブザーバー
東京大学
博士課程
金澤
孝昭
広報
首都大学東京
修士課程
加納
龍一
総務
東京大学
修士課程
小西
慎吾
生活サポート
東京大学
修士課程
下川
真弘
総務
東京大学
修士課程
滝沢
耕平
サーバー管理
東京都市大学
学部生
眞下
泰輝
記録
東京大学
修士課程
村松
はるか
広報
東京大学
修士課程
担当
所属大学
学年
MUSES 班
氏名
青柳
祐基
サーバー管理
東京大学
修士課程
上田
紘己
生活サポート
東京大学
修士課程
優介
記録
東京大学
修士課程
小美野 将之
総務
東京大学
修士課程
小島
舜介
総務
東京大学
修士課程
須藤
雄志
生活サポート
東京大学
修士課程
松木
康裕
広報
東京大学
修士課程
和田
紗希
広報
東京大学
修士課程
担当
所属大学
学年
生活サポート
東京大学
修士課程
狩谷和季
生活サポート
総合研究大学院大学
修士課程
楠
サーバー管理
東京大学
修士課程
岡
PLANET 班
氏名
石川
聡一
絵莉子
黒田
祐馬
総務
東京大学
修士課程
神田
大樹
オブザーバー
東京大学
博士課程
東口
紳太郎
記録
東京大学
修士課程
長谷川 稜
広報
東京大学
修士課程
深見
サーバー管理
東京大学
博士課程
友也
― 87 ―
SOLAR 班
氏名
担当
所属大学
学年
井出
舜一郎
広報
東京大学
修士課程
小倉
聡司
記録
東京大学
修士課程
小島
拓也
総務
東京大学
修士課程
道井
亮介
総務
東京大学
修士課程
中原
聡美
記録
総合研究大学院大学
博士課程
西山
万里
広報
東京大学
修士課程
Ferran Gonzalez Franquesa
記録
東京大学
修士課程
真吉
生活サポート
東京大学
修士課程
寛
アドバイザー
氏名
所属
役職
足立
聡
学際科学研究系
准教授
安部
正真
太陽系科学研究系
准教授
大久保 倫子
宇宙教育推進室
主任
國方
則和
宇宙教育推進室
主任
坂井
真一郎
宇宙機応用工学研究系
准教授
佐々木 薫
宇宙教育推進室
計画マネージャ
曽根
理嗣
宇宙機応用工学研究系
准教授
竹前
俊昭
宇宙飛翔工学研究系
助教
津田
雄一
宇宙飛翔工学研究系
准教授
細田
聡史
宇宙探査イノベーションハブ
研究員
松原
英雄
宇宙物理学研究系
教授
山田
哲哉
宇宙飛翔工学研究系
准教授
吉川
真
宇宙機応用工学研究系
准教授
(50 音順 2015 年 10 月現在)
― 88 ―
3.2. 募集要項
 募集要項
― 89 ―
 申込用紙
― 90 ―
― 91 ―
― 92 ―
3.3. 広報資料
 参加者募集用ポスター
― 93 ―
 スタッフ募集用チラシ
― 94 ―
 JAXA 相模原キャンパス 特別公開用ポスター
― 95 ―
 宇宙科学シンポジウムポスター
― 96 ―
3.4. しおり
― 97 ―
1.
JAXA
JAXA
4
5
JAXA
JAXA
ISAS
1955
23cm
1.8c
60km
1964
1970
1981
2003
L-4S
ISAS
10
3
NAL
JAXA
NASDA
ISAS
JAXA
http://www.isas.jaxa.jp/j/about/what/index.shtml
http://www.isas.jaxa.jp/j/about/history/index.shtml
3
― 98 ―
― 99 ―
― 100 ―
― 101 ―
― 102 ―
― 103 ―
― 104 ―
― 105 ―
5.2
A
A
11
― 106 ―
12
― 107 ―
― 108 ―
― 109 ―
― 110 ―
― 111 ―
謝辞
「第 14 回 君が作る宇宙ミッション」は,多くの方々のご協力のもと,無事に終えることが出来
ました.この実施報告書をまとめる中で,きみっしょんを通じた高校生の成長を実感すると共に,
運営に携わった関係者の皆様のご尽力を噛み締めております.最後に,お世話になりました全ての
皆様に,感謝申し上げます.
世話人を務めてくださった山村一誠先生と黒谷明美先生,事務補佐の花輪香代子さんには,心よ
り感謝を申し上げます.先生方は,我々スタッフを信じて高校生の指導と運営を任せてくださり,
最後まで温かく見守ってくださりました.スタッフの議論にも辛抱強くお付き合い頂き,指導方針
の検討が難航したときや運営で問題が生じたときなど,幾多の場面で的確なご助言を頂きました.
花輪香代子さんには,関係者および高校生との事務対応だけでなく,我々事務局をはじめとする全
てのスタッフの様々な仕事のフォローをして頂き,本当にあらゆる面でお世話になりました.お三
方のご助力無くして,今年度のきみっしょんはあり得ませんでした.
他にも多くの関係者の方々から,多方面でご支援を頂きました.津田雄一先生は,期間中の講演
に快くご協力してくださりました.安部正真先生,細田聡史さんには,所内見学において大変お世
話になりました.TELSTAR の山田千晶さんには,きみっしょんのしおりと名札のデザインでご協
力いただきました.他にも多くの宇宙科学研究所職員の方々に,スタッフ講習,高校生との議論な
どでご協力頂きました.特に最終発表会においては,数多くの宇宙科学研究所職員の方々がご参加
くださり,高校生に対して有益なご質問・ご提案をしてくださりました.今年度のきみっしょんに
協力してくださった全ての方々に,深く感謝致します.
そしてもちろん,きみっしょんを実施できたのは,力を貸してくれた多くの大学院生スタッフが
いたからです.副事務局長の馬場俊介氏,増田紘士氏には,最大限の感謝を致します.頼りない事
務局長を常に何手も先回りして助けてくれたこの二人がいなければ,またこの二人でなければ,今
年度のきみっしょんが成功しなかったのは明らかです.本当に有り難うございました.班長の井辻
宏章氏,小山舜平氏,出口雅也氏,仲内悠佑氏は,高校生指導に最前列で向き合うと同時に,班員
をまとめ上げ,リーダーシップを発揮してくださりました.最終日のそれぞれの班の様子を見て,
彼らが如何に素晴らしい班を作り上げてくれたかが良く分かりました.係チーフの岩崎祥大氏,佐
野圭氏,高橋葵氏,田中康平氏,盛本真史氏,吉田航己氏,会計管理をしてくれた柴田拓馬氏は,
素晴らしいチームワークできみっしょんの運営を成功に導いてくださりました.一般スタッフの皆
様も,班長やチーフをサポートし,高校生のために精力的に活動してくださりました.また,前年
度事務局長の宮崎兼治氏とも,きみっしょんの役割について,忌憚なく議論させて頂きました.高
校生の指導に真摯に取り組んで頂きました全ての大学院生スタッフの皆様に,感謝を申し上げます.
最後になりましたが,第 14 回きみっしょんに参加してくれた高校生に,心から感謝を申し上げ
ます.きみっしょんに対し真正面から真剣に取り組んでくださった皆様の熱意には,指導する立場
の私も感銘を受けました.皆様のミッション作成を支えることができ,そして,きみっしょんをき
っかけにして思い描くそれぞれの将来に向けて走り出す後姿を見ることができ,本当に光栄です.
きみっしょんに携わったことは,私にとってもかけがえの無い経験となりました.きみっしょん
に感謝する共に,これからのきみっしょんのさらなる飛躍を信じております.
第 14 回 君が作る宇宙ミッション 事務局長
― 112 ―
外岡学志
Fly UP