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高岡の発展を支える福祉 社会福祉法人 恩賜財団済生会理事長
基調講演 「高 岡市 の発 展 を支 え る福祉 」 講 師 :社 会福祉 法人 恩賜財 団済生会 理 事長 ソー シ ャル フ ァー ム ジ ャパ ン理事 長 炭谷 茂 氏 講 師 プ ロフ ィール 】 【 炭谷 茂 (す み た に 1946年 しげ る) 富 山県 高 岡市 生 まれ 。 南星 中学 、高 岡高校 で 学 ぶ 。 1969年 東 京 大学法 学部 卒業後厚 生 省 (当 時 )に 入 る。厚 生 省 国 立 病 院部長 、厚 生 省 社 会 ・ 援護 局長 、環境省 官房 長 等 を経 て 、 2003年 7月 環境 事務 次官 に就任 、 20 06年 9月 退 任 。 現在 、恩 賜財 団済 生 会理 事長 、 日本 障害者 リハ ビ リテ ー シ ョ ン協会 会長 、 ソー シ ャル フ ァー ム ジ ャパ ン理 事長 、 マ ク ドナル ド・ハ ウス財 団 理事 、朝 日新 聞厚 生文 化 事業 団理 事等 を務 め る。 主 な著書 に 「私 の人権行政論 」 (解 放 出版社 2007年 )、 「環境福祉 学 の理論 と実 践 」 (編 著 、環境新 聞社 、 2006年 )、 「社 会福 祉 の 言論 と課題 」 (社 会保 険研 究所 、 2004年 )、 「社 会福祉 基礎構 造 改革 の 視座― 改革推進 者 た ち の 記 録 」 (編 著 、 ぎ ょ うせ い 2003年 ) -5- 高岡市 の発展 を支 える福祉 ∼ 効 果 的 な 処 方 箋 を考 え る ∼ 恩賜財団済生会理事長 ソー シャル ファームジャパ ン理事長 炭谷 茂 1 遠 くか ら見る高岡市象 (1)昔 のままの姿 を保 つ ① 良いこ と 落ち着 いた雰囲気。暖 かい人間の触れ合 い。歴史 と文化を伝 えてい る 欠点 まちの発展 が見 られない。駅前 のシャッター通 り。人 口の高齢化 ② 2 ① 高岡市観光大使 として得 た出身者以外 の人 の反応 は ? 高岡市 を知 つてい る人によく出会 う 北海道帯広市 の人 の先祖 は、大半が高岡市及び周辺 の出身者 配偶者は高岡出身 の人 も多い オペ ラ作曲家石多エ ドワー ド 高山右近 の関係 で高岡に関心 高岡市を全 く知 らない人 も多いの も事実 高田市 と混同してい る ② (3)高 岡市 の活性化 の兆 し 高橋正樹市長 による積極的な市政 の推進 新幹線 の乗 り入れ 福祉 の見地 か ら地方都市 の問題 を見る 日本 の地方都市 は全般的に衰退傾 向 → 解決 を しなければ 日本国が亡 ぶ この危機意識 が安倍内閣による地方創生事業ヘ ヨー ロ ッパ の都市 も同様な事情。 しか し対策を重′ 点的に講 じている (高 齢化、ス ラム化、外国人・ 障害者等弱者 の排撃、薬物依存等) (1)人 口の減少、少子高齢社会、貧困層 の増加等 の経済 0社 会構造 の変化 増 田寛也元岩手県知事 らの消滅都市予測 の衝撃 地域格差 の拡大 -6- (2)福 祉 を支えてきた基盤 の弱化 → 社会的弱者 の社会的排除 と孤立 家族規模 の縮小、地域社会 の相互扶助 の減衰 情報化社会 の進展により他人 との 「淡 い関係 _を 選択す る傾向 (3)財 源難 による自治体 の活動 の制約 福祉 ニーズは増嵩す る一方だが対応 してい ないこ 専門職員 の確保難 (4)社 会福祉事業者 の姿勢 制度 の枠内に留 ま ってい ないか 政治、企業、研究者か ら社会福祉法人 に対す る賓三_il=ま こ 3 まず仕事づ くりか ら始めよ う (1)孤 立 し、社会 か らツト除 され る人たちの状況 ① 適切 な仕事 に恵まれない多数 の人 たち 障害者、高齢者、難病患者、長期 の弓:き 二trえ ニー ミ 著者 、刊務 「 所出所者 など多数 の存在 2,000万 人以上になる ② 仕事 に就 けないためにこれ らの人 たち│ま 、 二[‐ ■■■1・ を■ .、 孤立 し、泥沼に入 る ⇔ 就労 の場 がない 社会 か ら二三・L妻 ■‐七■昨 障害者 の社会参加 1、 刑務所出所者 の再犯 (2)仕 事 の現状 ① 公的職場 障害者 には障害者 自立支援法に基づ く童設 定員、給料、仕事 の種類などに問題 高齢者、一般 の若者、刑務所出所者等二 ま三貢ti■ ② 一般企 業 法律による障害者雇用率 も未達成 ③ 第 3の 職場づ くり=社 会的企 業 を進 める ョー ロ ッパ では進んでい るが、 日本 で│ま 天 発≡ 4 その一つ として ソー シャル ファームが有効性 で,こ (1)1970年 代北イタ リア、 トリエステで生ままlこ -7- ドイ ツ、 ギ リシャ、イ ギ リス、ス ウエーデ ン等へ と拡大 1万 社 の存在 (2)日 本 に 2千 社 の設置を呼び掛ける ソー シャルジ ャパ ンを設 立 (理 事長 炭谷茂) 商品開発、販路 の拡大 の助言、 ロゴマー ク、外国 との交流 20年 12月 (3)ソ ー シャル ファームは狭隆な稜線 一般企 業 と競争 しな ければな らない 公的援助を前提 としない 障害者等労働能力 に差がある者、資本力、技術 の蓄積、販売力等 の不 足 (4)生 きがいを感 じる働 き方 の追及 給料、仕事 の内容、管理 「太陽の家 オ ムロンエ場」 の事例 イギ リス 「レンプロイエ場」 の衰退 の理由 5 ソーシャル ファームの成功 のポイ ン ト (1)3Rが 最 も有望 ① 八王子市 の 「い ちょう企画」 知 的 障害者 に よる古本 の販 売。 ゆ つ く りと仕事 をする (障 害者 の特性 を活用 ) 本 は、協力者 か ら寄付 (住 民 の協力 )。 イ ンターネ ット販売 リス クを少 な く。 ② 富山県高岡市の 「アルハイテック」 廃 アル ミの リサイクル 水素(電 力)、 パルプ、A重 油、水酸化 アル ミニ ウムを製造 廃 アル ミ処分収入。 世界 でただ一つ(独 自性)。 収益性 が高い 大企業 の出資。地域社会、大学 の協力 (産 学官民 の協力) 高齢者、障害者 の就労 の場 に ③ イギ リス 「バイク ワー クス」 元受刑者、障害者等 が 中古 自転車 の リサイクル。修理技術 の教授 ロン ドンオ ッリンピック、 ツール ドフランス、健康 ブームが追 い風 に 銀行、警察な どの支援 (企 業、行政 の支援 ) ④ イギ リス 「ブ リス トル・ トギャザー」 -8- 刑余者、元 ホーム レスが 古家 の修理、販売 (独 自性 ) イギ リスの国民性。需要 の存在 (ニ ーズがある) 独 自のビジネ スモデル ⑤ ドイ ツ 「イ ンテグラ」 障害者 がパーテ ィ用品の レンタル 競合企業 はベル リンで 40社 あって、競争 が激 しい (競 争力) (2)生 物多様性 の利用 大阪市大国町の 「緑 の風 西川」 障害者、刑余者 がエ ゾシカの皮 でハ ン ドバ ック製造 (社 会的意義) 高級なハ ン ドバ ック。十分 な訓練。高度な製造技術 (ブ ラン ドカ) マ タギプ ロジェク トを発足 (3)農 業、酪農 ① NPO「 たんぽぽ」の例 精神障害者、長期失業者 が 固定種 による自然農業(独 自性) イタリア レス トランの経営 (高 い不可知) 除草な どの作業 耕作放棄地 の活用、駅前市街 地空洞化対策 (地 域社会 の支援 ) 愛南町御荘病院 の 「なん ぐん市場」の例 長野院長 の努力 アボカ ド、 しいたけ、お茶な どの栽培、 ドッグラン、 レス トラン経 営 (チ ャ レンジ精神 ) 町 の雇用 に貢献 (地 域 との一体性) ② ③ ④│ 新得町 「共働学舎」 の例 70名 のハ ンデキャップを有 した職員 によるチーズ作 り 2億 円の売 り上げに → 生乳 の 10倍 の価格 に (高 付加価値) 性) さくらブ ラン ドにより日本 一 に (ブ ラン ド′ イギ リス 「リーバーサイ ド マーケ ッ ト ガーデ ン」 の例 カージフで有機農法 周辺住民 に 200家 庭 に販売 資金 は地元従民 120人 が 出資 マー ケ ッ トで販売す る ことによるまちの活性化 (地 域住民 とのつ な が り) (4)サ ービス業 ① ベル リンの 「グレンツファルホテル」 -9- 教会 が所有者。経営は専門業者 27名 の従業員 の うち 21名 が重度 の障害者 サー ビスの水準は極 めて高い(高 い競争力)。 利用者 の 75%は 、特別なホテルだ とは気が付かない。 消費税 の違 いで助成 (一 般 は 19%で あるが、このホテル の支援) ② 7%)(行 政 東京都豊島区の豊芯会 の宅配弁 当 高齢者 向け。精神障害者 が従事(特 色を生かす) 民間業者 との激 しい競争 6 ま ち も活 ′ 性化 され る (1)経 済効 果 新 しい地 域産 業 の誕 生 ソー シ ャル フ ァー ム が ベ ンチ ャー 企 業 に (2)中 心 市街 地 の 空洞 化 対策 に 人通 りが戻 る。 コ ンノくク トシテ ィ (3)何 よ りも人 と人 との結 び つ き の形成 多様 な人 た ちが参加 。 ソー シ ャル イ ンクル ー ジ ョンの推進 7 高 岡 で も多数 の ソー シ ャル フ ァー ムの設 置 がで き る (1)商 品・ サ ー ビスの 開発 高 岡 の 資源 を活用す る 皆 で 考 えれ ば良 い 知恵 がで あ る (2) オーガナイザーが重要 企業 のOB (3) 住民 の参加 、協力 就労、ボランテ ィア、出資、寄付、購買。異質 な人たちも。 ソーシャル ファイナ ンス (4) 高岡市 の支援 立 ち上が りの資金、技術支援 (5)国 際協力 もあれ ば大 き く発 展 先進 国 イ ギ リス 、 ドイ ツ 、イ タ リア 、 フ ラ ンス な どと 途上国 -10- 今 年 9月 17日 8 東京 サ ン ライ ズ で ドイ ツの報 告会 (参 加 歓 迎 ) 活気 あ るま ちづ く りに発 展す る (1)20世 紀 の福祉 は所得 再分配 が主 た る手段 高齢社 会 は乗 り切 れ な い (2)21世 紀 は、す べ て の 人 が参加 す る社会 就 労 、教 育 、遊 び 、 生活 新 しい 「市 民社会 」 の形成 が先進 国共通 の課題 英 国 キ ャメ ロン政権 「大 きな社 会 」 (3)高 岡市 が 日本 の 地方都 市 の先端 を い くべ き 人 、経 済 、社 会 、文化 、環境 が豊 か に (了 ) -11-