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日本語の象徴語の語源-特に南島話語に問達して

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日本語の象徴語の語源-特に南島話語に問達して
奈良教育大学紀要 第25巻 第1号(人文.村会)昭和51年
Bull.Nara Univ.Eduo. Vol.25,No. l,(cult.& soc.) 1976
日本語の象徴語の語源-特に南島話語に問達して
(そ の 3)
川 本 崇 雄
(英語学教室)
(昭和51年4月15日受理)
ま え が さ
これは同じ題名の論文(その2) [本紀要第24巻第1号所収]の続きであって、前回までに掲
げた語源表の残りを sobo から zyoo までまとめ、追加分を付け足した上で、全体のしめく
く りをした。
sobo soboro, sobo-huri, syobo-syobo (OJp. sofo-futi)雨が静かに降る、 zyobo-zyobo,
zyoo-zyoo 砂地などに小便などが落ちる音 -PJp.sopu 《細かい雨≫
PAN sebu煙が出る:Tg. subo 煮え立つ、Tb. sobu 火に灰をかぶせる: PEO (n)sepu:
Fi. zovu-laza 水のホース, zeγu 水を撒く, Ha. ehu 波しぶき、 ehuehu 湯気、Tm.(i)
ehu 波立つ、 puehu 水がはねる、 p瓦ehu 波がうち寄せて砕ける、Ma. ehu カヌーから
水をかき出す、Ro. jとhu (雨が)静かに降る、 To. afu (波が)しぶきを飛ばす、(柄
が)細かい水滴となって降る、 ahuahu 小雨が降り続くo
sOFO 小雨 - sobo
soko ほとんど - koto IV
soku 歩く - zaku
soso 急ぐ - curu II
soyo soyo-soyo, soyo-kaze 微風 <・*iyo [逆同] , cf. OJp. si, ti 風:-pjp.
TIYU 《風≫
PAN tiyup 吹く: PPN tin 風神、北風 Ho. tsiuka 強軟風
subu 穴の口などが)狭い - Fora
suga 滞りがない - suka I
sugo 失望 - zugu
sugu 真直 - suku
suka I suka-suka, suQkari (日ポsukari)滞りなく事がはこぶ、苦もなく行く、すきまの
ある、OJp. suga-suga物がつかえず滞りがない、抵抗や障害もなく思い立つ -PJp. su(7})KA
《障害がない≫
PIN d)Iugga[r]密でない: Ml. lorjgar 弛い、ばらばらの、ぐらぐらの、広い、自由な余
裕のある;PAN lu(g)kas 空いている:Tg. InkAs 開いた、 BtJi)lukkas 空いている,
Ul.(1)lukaぜ こじあける、Lau luga, luka 弛める、 Lo.d'luTjga-taini 許す、開放する、
So.d)luka 竃を開ける
suka II suQkari 全部、全く、OJp. sugara 初めから終りまで、夜スガラ;ついでに、同時
に、道スガラ; [関連] kari一 仮、一時的の、が)ソメ(初)、カリ潅、カリ屋 pjp.
o(rj)KARKA), KARl ≪一度≫ [#'J (仮)は7m (借)の転とするのは軽卒ではないか]
17
Il1本」-]--- 駄
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PIN kali 回、度 PAN sa/se 1: Ml. se-kali 一度;非常に、スッカリ(腹を立て
る)、同時に、ついでに、 se-kali-an 全部、同時、 se-kali-gus 一辺に、一時に全部,
se-kali-kali 全く、非常に、そっくり、ひたすら
suku suku-suku (-OJp.子供がよく育つ、 suko-yaka (OJp. suku-yaka)健康、 sugi (OJp.
sug'i < *sugui )杉、 sugu まっすぐ、 cuku-cuku あちこちで立つ、まっすぐのびる、 cukusi (OJp. tuku-tuku-si)土筆、 mimi-zuku みみずく(-耳が立つ) < *-tuku; nyoki-nyoki,
nyoQkiri (細長いものが)勢よく出てくる、延びる、立つ、 nuQku 毅然として立つ; OJp.
yuku-yuku 植物が)ずんずん延びる < *ntuku-nluku); OJp. toko 土台(-立つ所) :PJp. (N)T(7])KU,NUKU《直立、上へ延びる〉 ; cf. syaki I
PAN zegzeg 足を踏みしめる、直立する: Ja. jejeg 直立する、 Ml. jejak足跡、足音、歩
み、 ber-jejak 踏む、歩む、jejek 直立した Fi. sozo すね PIN zeij 足場、 PIN
zeg-zei}立つ‥ Bt. jorjjorj 立つ、 Ja. jenjer]気根
supa I 機敏 - zuba I
supa II 切断 - zuba II
supo supo-supo, supoQ, suQporiぴったりはまる、ぴったりはまっていたものが抜ける; [多
分関連] OJp. tubu-to ずれや隙間などのないさま、物をすっかり覆うさま、スッポリ: pjp.
sUPo 《隙間なくはまる〉
PIN sumpel 栓: Tg. sumpal, Bt. suppol, Ml. sempal 栓
sum I suru-suru (草木など棒状・帯状のものが)勢よく延びる、 [関連curu (OJp.turu)
蔓、 cuzura(OJp. tudura)葛 < *tutura(重複形, OJp. tura 蔓 <? *turura: PJp.
TURU. TUTURA 《つる性植物≫
PAN sulur 若芽: Ml. sulur 若芽、 me刊yulur (植物が)這い上る、巻きつく、
sulur-an つる性植物[Ml. suluran に対応する PJp turura があって、その第1のr
がtに同化して *tuluraになったとも考えられる]
suru II 抜ける - curu
sum III 順調に進む - zuru II
syaki I syaki-syaki, syakiQ 老人が)背筋を伸した、元気そうな、 syaokin 直立する、人
の姿がしっかりしている; [関連] laka 高、 take <*taka-i 丈、 naga 長; [対応B]
tate < *tata-i 縦(OJp. tata-sa 縦)、 tada 真直、 tac^u(OJp.tai-u)藍動効立:--pjp.
SAKI,TAKA直立、高、 NAGA 長 TA(N)T(A)直立; cf. suku
PIN zagzag 足を踏みしめる: Tb. jakjak 直立する、 Ja. jajag しっかり立つ、 Da.
ba-jajak 踏む; PIN zag: PIN an-zaり PIN pan-zaり Bt. gan-jar/, Ml. Ian-jar),
Da. lan-jari 高い、長い; PIN zak: PIN i(n)zak, PIN ki(n)zak, PIN pizak, PIN
[t]i(n)zak 台の上に)立つ、踏む、踊る
syaki II syaki-syaki 歯切れよく噛む、 zyaki-zyaki 砂を噛んだような不愉快な歯ごたえ、
saku-saku噛む音、鑑日ポ》sacusacuto梨・柿のような堅い物が歯でこわれる・切れる: PJp.
SAKU《噛む〉
PIN ca(ij)kup 喰いつく: Tg. sakop 含んだ、 Ja. cakup一掴み、 Ml. cakup 噛みつ
く、 Da. ba-cakop (-ba-sakop)喰い意地の張った、 Ho. tsaku 噛む
syaki III syaki-syaki 気持よく切り刻む書、 zya.ki-zya.ki 鉄で切る、 saku-saku, zaku-zaku
日本語の象徴語の語源-特に南島諸語に関連して
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野菜など刻む音、鍬・鋤で耕す音 -PJp. sAKU 《気持よく切る〉
PIN cagkul: Ja. carjkol, Da. sarjkul, Ml carjkul 凱 men-car/kul-i 耕す
syana 柔軟 - sina
syobo I 雨 - sobo
syobo II 元気がない - sio
tabi tabi-tabi 度々Jabi, laNbi 度、 [関連] sabi烏帽子のしわ; nami朋mi 普通、並々、
nami 並、横に凹凸なく並んだ列、顔のしわ、波(-海のしわ tatami 畳、重ねた物 く
tamiの重複、OJp. taFira 平 く *tapi-ra:一一一pjp. TAIM)PI. NAMl《平らな層、折重なり≫
PIN la(m)pis 平らかな層'.Ml. lapis 折重なり、ひだ、しわ、(山などの)列、dua lapis
2・重、 Tg. lapis 石畳、 Da. lapis 層、平ら、 Ho. lampi 平らを大石、床の敷石
tabu I 汲む - dabu I
tabu II 緩い - dabu II
tabu III 大量 - dabu III
taka taQtaka laQtaka (PIN-sa??)兵隊が歩いて行く、 toko-toko, toQtoko, teku-teku{PW -su7j)
ある程度の早さである場所を目指して歩く noko-柁Oko 出て行かない方がよい所へ出て行く;
yuku-yuku yukurika 遠慮のない、思いがけない; [関連¥yuku 《動jl行、進行が目標に向って持
続する、susumu駁動》進、susamu 勢のままにふるまう; [多分関連]saka 逆 -PIN 叩):
-PJp. TAKA, TOKO, NOKO 《向って行く〉 ; NSUKU, SUSAM-, SUSUM-《勢に乗って進む≫
PIN supSaりsugsui)向って行く:Ml. sur]sar} 逆行、さかさま; Tg. surisoT)風に向っ
て進む、Bt suTJSUTj 戦を支える、MI sOT]SOT]向う、立ち向う、歓迎する
tama I ゆとり - dabu II
tama II 大量 → dabu III
tapu 十分 - dabu II
tara. I 連続 - dara I
tara II 滴る → doro I
tawa OJp. tawa-tawa, tawawa, tawo-tawo 枝がたわみしなう、 tawo-yaka, tawaya刊e,
tawoya欄e 手弱女; [関連] yawa-yawa(OJp. yara-yaFa), yaNwari 柔軟、 OJp. yaFara
柔ら、ふんわり、静かに、 yawora 静かに:I- PJp. (N)TAWA/O 《たわむ≫
PIN lawlaw 弱い・Tg. laolao たるんだ、Ja. lolo 嘆く
tayo 弱い - nayo
teka tekaQ, teka-teka 光る cikaQ, cika-cika 強く断続的に光る、 [多分関連1 niko一花iko,
niokori 感じのよい微笑、 cf. nita: -PJp. TIKA 《瞬間的な光≫
PAN sigaR 光:Da. sir/ah たいまつ、Fi. sirja 太陽、Sa. sirjesir/e (星が)光る、tsir/e
日、To. her/iheりi早朝 < *ser/i < *sirje < *sirja, Sm. serta-serja 黄色い < りa
teki きっと → cyoki
teku 歩く - yuku I
ten 小太鼓 - cin I
tera tera-tera 油膜が光を反射するような、つやのある; [関連] tera-su (東 tora-su)
《動》照 -PJp. TORA 《照る≫
PIN terag 照る:Tg. tal叩 朝やけ、Bt. lornり 明るくなる、Ml. teraり明るい、照
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川 本 崇 雄
る、輝く;PIN celak 光る:Ml. celak 眼険の塗粉、Ho. tselaka ひらめく、きらめく
tobo I £obo-tobo 疲れて元気なく歩く、 yobo-yobo 老衰 < (n)lorapo, yowa-yowa,
yowa (-OJp.)弱、 OJp. y'6-ybm-u C動)曲がる、かたむく、よぼよぼになる < ntd-nt'dm-:
-PJp. (N)TOM(P)O 《老い・疲れ》 、 NTOMPA 《弱い≫
PIN rempak, repuk 砕く:PPN?rofa, rl血, rufi, ruruh: Ma. rowhea, ruwha, ruha疲
れた、すり切れた、 ruhi 弱い、疲れた、 ruruhi 老女、 rorohi 眼がくらむ、 Ta. roha
気が遠くなる、疲れた、よろめく、 ruhi 眠い、 ruhi-ruhi 年とった、 rufa, rufa-ruja(衣
類など)よれよれの、 Ha. lohelau 年とった、疲れた、 Iuhi 疲れた;悩ます、 Iuhi-luhi
しきりに悩ます、 Iuluhi 疲れきった、ひどく埠い、 Tm. rohirohi疲れきった、元気をな
くした、 ruha, rufa (衣類・敷物・篭など)すり切れた、 ruharuha, rufarufa ぼろぼろの、
年とってしわだらけの、 ruhe 疲れた、睡眠不足の、 ruheruhe 眠い、疲れきった、 ruhi
弱い、疲れた、 ruhiruhi 弱り切った
tobo II 薄暗い - topu
toko 歩く - yuku I
ton 叩く - don I
topu I toQpuri, {方言)zuQpuri日がすっかり沈む、tobo-tobo薄暗い、dobo-dob0-goro日の暮
れかかる噴、 [関連] OJp.yuFU夕; [対応B] (動》盗< *nusup- < *susup-:
PJp. (N)TU(M)PU紺馴 susUP- 《かくれる≫
PAN subsub 落ちこむ:Ml. susup 這い込む、もぐり込む、 (ナイフなどを)かくし持つ、
・a. susu 月が)沈む、 suu(日が)沈む、水にもぐる、 Fぶ、死ぬ、Lau suu 天体が)
沈む、 Lo. 太陽が)沈む、 So. susu 月が)沈む、 suu(日・月が)沈む、 cf. Fi.
sobu, Tm. uho 下方- [同意語の PAN sibsib に対して PEO (n)sipo 《下方-≫
があることから、 PAN subsub に対して PEO (n)supo が当然推定される; - sio]
topu II toQpuri, doQpuri, zuQpuri,液体の中に十分に漬かる、 dobu-dobu色目ポ)液体がゆ
れ動く、酒を注ぐ音; (方言)泥の中に足を踏み入れて歩く zubu-zubu, zuburi, zubuQ (OJp.
tubu-tubu, tubu)水中.・泥などにはまり込む zubu刊ure ズブ濡れ:-PJp. TOPU, TU(M)Pu
《液体に入る≫
PAN lubuk 水の深み:Ho. luγuka 泥沼、 Fi. luγu 水に沈む; PAN lebleb- To. lolo
水に漬ける、もぐる、雨がはげしく降る、溢れる; PIN lebuR:Tg. lubbg沈んだ。
toro I 粘液 - doro I
toro II 曇 - doyo
toro III toro-toro, toroN, torori 眠い、浅い眠り、 [関連] OJp. ma-doro刊u (動)微睡:
-PJp. (MA)TORO 《微睡≫
PAN tuDuR: Tg. tulog, Ja. turn, Ho. turi, Sa. me朝ru < *ma-turu, Mt. ma-
luru 眠る
toro IV 瀞 - cuku I
toro v toro-toro粘液状のものがたれ落ちる、藍源平盛衰記》 「よだれをとろとろと垂らして」
; (方言) tororo つらら(-凍った水滴)、 [多分関連] OJp. tuyu 露 水滴、_涙、< *tunru:
PJp. TU(N)RU 《滴》
PAN tu(n)Duq 滴る:Tg. tulo 滴る、Fi. turn 涙、 Sa. udru 滴る < *tunDuq,
日本語の象徴語の語源-特に南島諸語に関連して
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toro vI torori 油のような液体が滑っている、 toroo 脂こい食物・柔かい食物が口の中で
美味しい、 toro {名》鮪などの脚方の多い部分: -pjp. 《脂肪・美味≫
PPN lolo: To. JoJo 油、油のような味、Ma. roro 髄、 Sm. JoJoJo 豚の脂肪、 Ta.
roro 脳みそ、 Mg. roro 原乳、 roro-roro 柔らかく美味
tubu I 粒 - cubu I
tubu II 胸さわざ - dobu I
tubu III OJp. tubu-tubu, tubura まるまる、 tubusi 腿、くるぶし、ひざがしら(-脹れ
た部分)、 tubu-Fusi くるぶし、 tuburi 頭: -PJp. TU(M)BU ≪脹らみ、丸み≫
PAN tu(m)buq 成長する、大きくなる'蝣MI. tumbuh 発育する、太る、Sa. upu 脹ら
む、Tin. tupu 成長する;頭の頂、To. tupu 成長する、大きくなる、脹らむ
tubu IV 隙間がない - supo
tubu v 充満 - zuba III
tubu vI 突き刺す - zubu III
tuku I 静止 - cuku I
tuku II 直立 - suku
ucu ぼんやり - mucu
uka 不注意 - buka II
uko uNko [ko については - mako]、 uN.-tl 大便、 uN-UN 幼児に大便をさせるとき[cf.
sii; [関連] kuso 糞 < *kosu, kuzu, (方言 gozu 役に立たないもの、 kasu 残った不
純物・不用物、 kusa 臭 <? *kasu :-PJp.uN,KUSO, KUSA 《臭いもの、排継物≫
PIN u(n)tut 尻、 elnltut 尻、悪息、 ke(n)tut 尿
un 大便 - uko
une 屈曲 - gunya I
ura OJp. ura湖ra, urara 春の日光が美しくのどかに照る < *wura: PJp. ≪春
の日光》
PAN bulan 月^Tg. buwan, Bt. bulan, Ja. wulan, Ml. bulan, Ho. vulana 月 Fi.
γula 月, γula-vula 明るい、白い、Mo. γula 月、So. hura 月、Fl. pura 白い、 Sa.
hule 満月; Sm. pura 輝く、黄色い、 Tm. pura (星が)またたく、ko-pura-rja 日の出
uta 屠眠 bosa
uto 居眠り - mucu
uwa uwa-uwa (< *ura<iFa), uwa-cuku 《動》落着かない、気がほかへそれている、 [関連]
uwa-ki (< *uFa-ki)浮気(-心が他に向く)、 OJp. uha朋ri 第2夫人(-他の女) [胡ari
は PAN taji: Ml. tadi 《年下の身寄りの者≫ と関連すると思う] : pjp. ≪他≫
PIN ubaq, ibaq 他・変化・Ml. her竹bah 風向き・天候・心などが)変る、心が正常で
ない、 der-uba-uba 移り気の; Da. iwa刊(< *ibaq-)女性にとっての義理の姉妹(-もう
一人の女性)
uyo 虫の群 -→ muzu
uzyo 虫の群 - muzu
waa waa-waa, waaQ, waaN 大声で騒いだり・泣いたり、言葉にならない騒音 pjp.
wAA 《不明瞭な大声≫
川 本 蝣!蝣:雄
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PPN waa: To. γa (2人以上が)大声で笑う、 Ha. 云 遠方の大声、大音響、 wa-大
騒ぎする、大声でしゃべる、大声で言いあう、 Ma. waw云 不明瞭な大きな騒音を立てる
wada 振える - pata IV
wana 振える - pata IV
wara 落葉 - bara I
wasa I さわやか - saba I
wasa II 騒ぎ - zabu II
wasyo 叫び - zabu II
yaFa 柔軟 - tawa
yama 大量 - dabu III
yawa 柔軟 - tawa
yo OJp. yoyo はげしく泣く、 yoyo-yoyo はやし詞:-pjp. 伽昌える≫
PPN rotu: Ma. rotu 呪文を唱えること、To. lotu 祈り、 Iolotu 嘆く、Ta. ho-roturotu涙を流して嘆く、Mg. aka-rotu-rotuすすり泣く、Ha. lokuloku, lokuku (< lotulotu,
・lolotu)はげしく泣く
yobo 老衰 - sio, tobo I
yore yore-yore 着古してよじれた、 (衣類など)しわだらけの; yoro-yoro 脚力が衰えた、
疲れた、うまく歩けない、足取りが不確か、 [関連 yoru藍動》緩: pjp, NTORE, NTORO
≪ねじる〉
PPN ? rora, roro, rore, rori: Ma. r∂ra 無力な、 rore-rore 衰弱する、もつれる、
ron もつれた、困惑した、 tu-rori, hu-rori よろめく、 rori ねじれた、よろめく、ronrori 千鳥足、 Ha. lolia 居眠りする人が体を左右に倒す、 Iola 元気のない、麻捧した、
Iolb 麻捧した、 Tm. rora よろめく、それる、ya-rori よろめく、 y云-ron-ron 病気ま
たは酔って)よろよろしながら歩く、ron-ron よろめく、 l元-rori 疲労などで)足どりの
不安定な、 roro 輪を画くように動く、 t元-roro (アーチ・木の枝などが)曲線をなす、 tか
roro-roro よZl、めさ進む
yoro よろめく -→ yore
yota よろめく - zuta
yowa 弱 -→ tobo I
yu OJp. yuyusi, yu一 療、神聖な、清浄な、 suzusl 涼、さわやか、すがすがしい、清い[そ
れぞれ *yusi, *susi の重複形]、 [関連] susu-ku 洗い流す、清める -PJp. (N)SUSl
《清浄・神聖〉
PIN su(n)ci 清浄:Ml. 椅麗な、清浄な、神聖な、神々しい、清める、洗い清める、
Bt. sutsi 衣服を洗う
yuku I 無遠慮 - taka
yuku II 動揺 - yura I
yuku III ゆとり - yuru
yuku IV 生長 - suku
yura I yura, yura-yura (-OJp.), yurari揺れる、軽く振り動かす、MJp. yur&FU 《平家》
ためらう、 OJp. yuru藍動》揺、 yurugu 同(-PAN nDuDug); OJp. yuku-yuku, yukura,
日本語の象徴語の語源-特に南島諸語に関連して
TA
yukuraka 動揺(-PAN nDug) :-PJp. NTURA, NTURUK-, NTUKU 《揺れる≫
PAN DugDug: PEO dudu ゆれる:Ma. rure ゆれる、振る、 rure-rure 武器など)振
りまわす、 :<*Dug) KDれる、地震、 ruru 握手して)手を振る、 (衣類など)振って
境を掃う、Ha. lule(太った人の肉が)ゆれる、 Iuli ふるえる、 Iu 振る、 Iulu 境など)
振り梯う、 (こぶLを)ふるう、 haa-lulu 恐怖などで)ふるえる、 Sm. lulu 振る、 Ta.
ruru 振える、 To lulu 振る、 Iulu-lulu ふるわす、Tm. ru 振る、揺れる(風で木が、
地震で地面が)、 ruru 揺れ続ける、 rue ふるえる、 rja-rue 海面など)ゆれる、 rja-ruerue 地震、 Sa. 鼻音代償] (地が)揺れる、 (柱が)ぐらつく
yura II OJp. yura (玉が触れ合って)鳴る、yuraku i動》音を立てる -pjp. NTURA《鳴る≫
PIN lulug :Ml. lolorj(動物が)吠える; ct. Ma. ha-ruru ごろごろ鳴る、 rure-rure 歌う、
run 歌、 run-run 歌う、 Ta. 楽器の一種、 rure-rure 女の泣声の形容、 Tm. naruru (大波が)号音を立てる、 rja-ruru-ruru ごうごうと波が寄せる、 ha-ruru 反響する、
鳴りひびく
yuru OJp. yuru-yuru, yuru-ruka, yuru-raka, yururi穏・緩、ゆとり、くつろぎ; yuQkuri
(OJp. yukura)緩; nuru刊uru 動きがにぷい、のんびり.I-PJp. N(T)URU N(T)UKU ≪ゆとり≫
→ cuku I
PAN DukDuk: PPN ruru: Ha. lulu 静かな所、避難所、To. ma-lulu 風などが)凪ぐ、
mo-lu 柔らかい、優しい、柔軟な、たるんだ、 (痛が)和らぐ、 Ha. hoo-lule 緩い、 ma・
Me 柔軟な
zaa 俄か雨 zabu II
zabu I zabu-za.hu, zyabu-zyabu 洗濯の音:一一PJp. SAMPU 《洗濯≫
PAN basuq 洗う:Fi. γu-i(< *sabu < *basu)カヌーを洗う
zabu II zaNbu, zabuN, zaburi, zabuQ 大量の水が堅い物と勢よくぶつかる、 zaa-zaa, zaaQ,
zyaa-zyaa, zyaaq 大量の水が勢よく流れる、降る cyapuでyapu 雨だれの音・'一一pjp.
sA(M)pU 《水の当る音≫
PEO (n)sapu 落下する水iTo. afu (< *nsapu) (波・雨などが)細かい飛沫をとばす、
hafu (< *sapu)滴たる、 (よだれなど)垂れる、hafe 流れ落ちる、滴たる(cf. tafe 流
れる)、 hafu-hafu びしょ濡れ、 Sm. afu 発汗、 Tm. ahu 湯気、 m-ahu 湯気、霧、雲、
p-a.hu 暴風雨
zaku zaku-zaku, saku-saku 砂・じやり・霜の上を歩く音、 soku-soku 静かにゆっくり歩く、
砂などを踏んで歩く:-PJp. SAKU, SOKU 《砂の上を歩く〉
Ml ger-sak 落葉・じゃりを踏む音、ger-sek砂・じゃり;砂を踏む音、ker-sek砂・じゃり
zara zara-zara, zaraQ, zarari 触った感じが荒い、 -PJp. sARA 《荒い手触り≫
PPN tala: To. tala とげ、剛毛、 tala-tala ちくちくする、 (男の顔が)髭のこわい、
Ha. kala さめの皮など)ざらざらの、 < *tala)、 kala-kala ぎざぎざの、とげとげの、
Ma. tara 尖端、とげ、鳥はだ、 tara-tara 刺だらけの、ざらざらの
zi I 見つめる - ziro
21 II 不動 - ziku II
ziku I にじむ - siku I
川 本 崇 雄
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ziku II ziakuri 時間に制約されず、念を入れ、腰をすえ、落着いて、 ZIQ, zllQ 状態をそ
のまま保つ: -pjp. TIKU《落着く≫
PIN Digkul, Degkul, Dugkul膝など体の曲る部分; PIN Dikiq小さい、pinDik背が低い;
Deku, [t]un[D]uk しゃがむ、 zugkuk 背中を丸めてうずくまる; pu(n)Duk, Duk住居、
PAN DukDuk坐る、 [以上の例から抽出される語根Dik,Dek,Duk,zuk は元来 《東洋
式に坐る意味であったと考えられる、日本語のジックリはこの中の mk に対応する]
ziri I ziri-ziri 心がいらだつ、平静を失う:-PJp. TIRI 《怒≫
PPN Mi: Ma. riri, Sm. lili 怒る、 faa-lili いじめる、じらせる; Ta. riri 怒、不
快、 rinri 怒った、妬む、nri-riri 怒ってばかりいる、Ha. lili嫉妬する、憎む、 To. lili
怒、 faka-lili いらいらさせる cf. Fi. rere叩aha 恐れる、 didi-vaka 不正に憤慨する
ziri II ziri-ziri 少しずつ力強く押し迫る、押されて少しずつ下がる:-PJp. TIRI 《少し
ずつ圧倒する≫
PPN sili: Ma. hihiri 精力的な、忍耐力のある、 sili 最善の、最高の;過ぎる、越える、
To. hili (時間が)過ぎる、 hihili (質的に)少し勝る、 ma-hili 僅かに過ぎる、少し上出る、僅かに勝る
ziri III ziri-ziri ベルが鳴る、 ciriN-ciriN 鈴が鳴る(< tiri < didi); cf. dorodoro,
doroN-doroN 太鼓の音 < dudu) - cin, don
ziro ziro-ziro, ziroQ, zirori 好奇の・疑いの・険しい・鋭い目つきで、無遠慮に見つめる;
nir唱mu (動)眺、 iro-iro 色々、種類の多い(OJp. 色、顔 < yird < ntiro);
[多分関連] zio, ziio (<? ti{ro) ), mazi欄azi(<? ma-ti J) )見つめる:-pjp.
(N)TIRO, MR-, MATI ≪呪む≫
PEO ti(n)do 鏡を見る、呪む、色を添える:To. sio`i覗く、批判的に見る、無遠慮に見
る、 Ha. kilo (<*tilo)星を眺める人;鏡、 makilo (< ma-tilo)もの欲しげに見る、
Sm. tilo-tilo 覗く、 ilo-ilo (< ntiloっitHo)見る、調べる、 Ma. tiro見る、見る、 titiro
吟味する、 tiro-tiro きょろきょろ見る
zoku zoku-zoku, zokuQ 体が震えるほど寒い:-PJp・ SOKU ≪体の震え≫
PAN DegDeg;DugDug叩く、足を踏み鳴らす・PPN lulu震える:-Tm. ruru寒さに震える
zoro 多勢続く - curu II
zu后& I zuba-zuba, zubaq, zubari, supaQ, suqpari (OJp. suFa-suFa)思い切ってやる: PJp- su(M)pA ≪決断》
PAN cepat 機敏:Ml. cepat 速かな、急ぐ、てきぱきした、瞬時の、 ber-cepal-cepat あ
わてる、 Sa. toha 上気嫌
zuba II zuba-zuba 容赦なく切り込む、 zubaa 矢や槍などが突きささる、 zubari ためらわ
ず一度に断ち切る、 supa-supa 連続して気持よく切って行く、 supaQ, supan 一気に切る: [関
連] OJp. tuFa-mdrid 武器: -pjp. 《刃物≫
PIN [t]ebas, tebag 切り倒す:Ml. tebas (小さい木を)刈り取る、切り梯う、 Iebaり
(大木を)切り倒す、 cf. PAN tebek 刺す、貫通する:Ml. tebak 斧で)切る、削る
zuba III zuba 器などに一杯になっている、藍日ポ》 ミズガ zzubato ゴザル;MJp. tubu 充
満、ツブと煙みちた'); 多分関連1 zubu 全くの、ズブの素人:I-PJp. TUPU,TUPA《充満≫
PIN tebel 緊密な、厚い:Ml. tebal 厚い、 (霧などが)濃い、 (信心が)強い、 (活
日本語の象徴語の語源-特に南島諸語に関連して
25
字などが)太い、Bt. tobal 密集した、Ja. tebel 凝固した
zubu I 水に入る -→ topu II
zubu II 全くの - zuba III
zubu HI zubu-zubu, zuburi, zubuQ (OJp. tubu, tubu-tubu)、突き刺す:- pjp.
PIN tu(m)buk, tebek 刺す、突き通す蝣Tg. tumbok 刺し傷を受ける、Ml. tumbu'突く、
Ho. tumbuka 穴のあいた - zuba II
zUgU zuNguri, zuNguri刊uQkuri, zuokori背が低く太っている、sugo-sugo元気がない月日ポ》
sugosugoto 失望落胆; [関連] sukumu 《動》身を縮めて小さくなる、 《日ポ》 ヒトノマエデ
sucunde,萎縮; cf. OJp. sukuna 少:-PJp.su(のKU 《身を縮める》
PIN zugkuk 身を曲げる'.Ja. zur/k-r-u'背を丸めて坐る、 Ml. jorjkok Lゃがむ うず
くまる、 Ho. dzukuka`かがむ -→ ziku II
zuka 平気 - cuka
zuke 無慮遠 - cuka
zuki zuki-zuki, zukiN-zukiN 頭・傷口・内臓など)連続的・断続的に痛む; ciku-ciku, cikuN
cikuQ, cikuri針の先で刺す、それに似た痛み、 siku-siku (腹など)あまり強くなく痛む: [関
連 OJp. tuku 《動》突く; doki-doki : PJp. TUKI,TIKU ≪突く≫
PIN. zu(ij)ki 切り込む'Tg. dukit 刻まれた、 Bt. d'ukkit 切開する:cf. PPN suki:
Ma. huki (羽などを)髪に刺す、 huki-huki 串、 Sm. su`i 針仕事、 su`l-SU`i 足がちくち
く痛む、To. huki 刺して穴をあける、huhuki ちくりと刺す、 huhukia 足の裏がちくちく
する、 Tm. huki 針など尖ったもので)刺す、穴をあける、 (串などに)刺し込む、陣痛
を感じる、こむらがえr上 けいれん、ちくちくする痛み、Ta. hui 突き刺す、 hui-hui 血
管の脈拍、 Ha. hui 痛み
zupu I 日没 一詛 topu I
zupu II 漬ける - topu II
zura zura-zura, zuraQ, zurari 一列になって、並んで、 OJp. turara 列をなして、 turaraku
《動》列をなす、 tura 列・連、 ture 仲間・類;に従って"C tura-i, luru-bu/mu《動》連
・交尾Juru 《動》連、 tura刊u駁動》並ぶ、伴う、前の句に付ける、 Iura-naru藍動》揃う,列席
する、一緒になる、参加する、 [多分関連1 ma-turu 《動》 祭・奉、 ma-tura-Fu 《動遜服従、 Fetura-Fu 《動》 追従 -PJp. TURA, TURU《ついて行く≫ [参考:uCu-uCa の対をなす同義
語がいくつかある、 sura-sura-suru-suru 《順調≫Jubara-tubu-tubu 《詳≫、 nura.-nura.-numnuru 《粘≫、 guta-guta-gutu-gutu 《煮〉、 huka-huka-huku-huku ≪脹〉、 tura-turu 《蔓≫など]
PIN tuRut 伴う、従う:Bt. turut それに従って、に合わせて、Ja. tut, turut 従う、
a一花ut, nu刊ul 同伴する、 Ml. turut 参加する、一緒に行く、ついて行く、服従する、分担
する、 ber-turut (-turut)続けて、連続して、一気に、 me刊urut 従う;に応じて;模倣す
る、 me刊urut-i 追う、承認する、 pe側rut 従者、従順な者、従順な
zuru I ほどける - curu
zuru II zuru-zuru押されたり・引かれたりして進む、誘惑に負ける suru-suru (-MJp.)物
事が順調に進む、 sura-sura, zura-zura 滞りなく進行する:pjp. SURU, SURA 《推進〉
PIN surug 押し出す:Tg. sulorj 前進! 、 Bt. sururj 優位、 Ja. suruj)推された、
Ml. sororj 押し進める、引きずる、買収する、 ter-sororj 余儀なくされる
川 本 崇 雄
26
zuru III zuru-zuru 汁・液体を吸う、鼻汁をすする; [関連] OJp. susuru 《動》噴、音を立て
て汁などを吸う( suru の重複形) :-pjp. 《すする〉
PIN siRup:Bt. sirup, Da. surup ずるずるすする、 [ススリ泣キのススリは別起源と
考える.PAN se[dD]u 《しゃくり上げる≫は日本語に*suru として現われ得る・この
重複形 susuru の連用形が susuriであろう.PAN se[dD]u は Ml.sedu となり、
しかもこの重複形に強調の接頭辞 ter- を付けて Ml. tarjis ter-sedu-sedu ≪すすり泣く〉
のような表現がある.この tarjis《泣く≫の鼻代 narjis はJp. naki《泣き≫に音韻的
に正確に対応するから、日本語 ススリ泣ク は Ml. tarjis tersedusedu と全く同源の成
句なのである]
zuru IV zuru-mimi, dara刊imi やに耳: PJp. TURU, TARA ≪粘液≫
PAN duRuq, [dD]aRaq 粘液[ - doro I ]; cf. PAN tuli 耳あか
zuru v zuru-zuru 《方言》火が盛に燃える; [多分関連 norosi 娘煙:-pjp. SURU,NURU
《燃える〉
PAN suluq: Tg. sulb'たいまつ、Ja. suloh 光、Ml. suluh 松明、焚火、お視の大筆火、
Ho. tsulu 点火する、 Ma. huru 朝焼け < *sulu), Sm. hulu 松明 < *nsulu),
susulu 天体・火の)光、 To. hulu(朴で)明るくする < sulu), huhulu(日・松明
など)明るい、輝く
zuta zuta-zuta 細かく・小さく・短く、切ったり・切れたり・裂いたり・裂けたり、鑑方言効
挙動がぐずぐずしている、 《日ポ》 zzuda-zzuda-tcuda-tcuda, OJp. tuda-tuda 寸々.段々
, [多分関連] OJp. tuta朋Si 《形》拙;比較-tuda-tuda 段. tuta-nasi 拙 - kida-kida
段・kita^nasi 汚[この kita は kuta≪砕≫の異形か] ; yota-yota (< ntota)足どりが
危ない PJp. (N)TOTA ≪きざむ≫
PAN Re[t]as: Tg. 'agtas 空いている、Ml. retas こわす、割る、砕く、破る、ちぎる、
Da. retah - retas 小さなひび割れ、 Sa. lo'a 砕けた[ ≪裂く≫と ≪足どりが危ない≫
との関係は、タダク《砕く≫とクタクタ《疲労≫との関係と同じである、- kuta]
zyaa 大量の水 -→ zabu II
zyabu 洗濯 - zabu I
zyaka 三味線 - ciga
zyaki 鉄で切る - syaki, cyoki
zyobo 小便 - sobo
zyoki zyoki-zyoki 銀で切る [zyaki-zyaki はこの母音交代形?]
zyoo 小便 - sobo
追 加
#
^
K
j
>
cika IT
一寸 teka
- HI
1
°
s
.
㌍
即
H
一
m
否否
ciri IT
l
日本語の象徴語の語源-特に南島諸語に関連して
27
lya iya-iya しぶしぶ、 OJp. iya-iya 否、 Iyamu藍動》嫌う < i刊sam-; OJp. ina-ina,
iふa 否、 inabu 《動》辞 < i-namp-; OJp. Asa 否定的な応答、 isaFu《動》叱る、 isamu
《動》禁じる、isame禁制・神保の禁止、訓戒 < i-sap-, i-sam- [OJp. inabu, isaFu, isamu
のアクセントはすべて○○e)で同一である] : PJp. I(ff)SAM-. ISAP-, INAMP-i禁制〉
PEO tampu タブー、禁制 Fi. tabu, To.,Sm., Ma tapu; Tin. tapu禁止する;禁制;
前兆、犠牲、警
nami I nami-nami 液体が容器に満ちる < namu (*lapu の鼻音形) - dabu I
nam II 並 → tabi
niko 微笑 - teka
nita nita^nita, nitari, niyamiya, niyari 感じの悪い微笑、 cf.吃首里》 tiida 太陽、 OJp.
sada, 《東》 sida 時:--pjp. NITA, NIYA 《微笑≫
PAN silak, siyan, daDag, tara, PIN zelag 光る、明るい:Ml. siarj 日、星間; Sa.
lala 輝くJa. sa-tara 雨季中の晴れ間、 Tm. tara 星の名了PAN [t]ala[q]天体:Tg.
tala 星、 Da. pa^nala 月、Sa. ma-drala (< 刊tala)明けの明星[母音間で PAN 1,
(r),d,D,R はJp. r となるのが普通であるが、まれにJp.t,dで現われる、例:PAN
または PIN 以下略) qa(n)dai)攻撃態勢、 Jp ata.帆; dilaq, Jp. sita 舌; benDul,
Jp. FutO 太; qiDup 成長、 Jp. ide 出、 itu 成長; quDip・族、 Jp. udi 氏; kamuDi,
Jp. kadi (< kamti)舵; gaDay, Jp. kata 抵当; tu(n)Duq, Jp. siduku 雫 DemDem,
Jp. todomu 留; dibdib, Jp. titi 乳; baRu 新, Jp. Fatu 初]
raya 微笑 - nita
H
saku III 刻む - syaki
k
saku II 噛む - syaki
z
saku I 砂上を歩く
u
r
uu
y
a
nuru II 動きがにぷい
m
あ と が き
始め予想した400余りが、終って見ると550以上になった。ただし、同一-語根の異形と言えるも
のも含まれている。関連の可能性のあるものをすべて集めたわけであるから、全部が正しい語源
であるなどと主張するつもりは毛頭ないが、日本語の象徴語の多数が南島語起源あるいは南島語
と同源であることは確実となったと言ってもよかろう。
象徴語というものは人の口から自然にあるいは偶然に発せられて成立した、と考える人がいま
だにいるかも知れない。そのような人にとって、私のしたことは全く理解できない馬鹿げたこと
としか映らないだろう。静岡県のある開業医の方がマレー語と日本語の擬態語との類似性に気付
き、その例を集めているという話が、昨年ある新聞の地方版に出た。フイリッピンやインドネシ
アを旅していると、日本語の擬態語がその土地の人たちに不思議なほど通じることがある、とい
う話を聞いたことがある。今までに日本語と南島語とのこの種類の語を通じてのつながりに気付
いた人は、恐らく2、 3にとどまらないだろう。しかしわれわれは今日まで、少くとも結果的に
はそれを無視してきた。専門家は知らず知らずの中に狭いわくに閉じ込もりがちで、その結果必
ずいくつかの盲点を残す、素人の自由な考えをときおり参考にする必要があるのではなかろうか。
象徴語は始めに述べた通り日本語の中核の一部であり、これが南島語と密接な関係をもつとい
川 本 崇 雄
28
う事実は、南島語が日本語の基層にすぎないと今なお主張する人たちの見解とは、どうしても相
容れないものである。その人たちは語順などの文法特性の方が、系統論的には基礎語菜よりもあ
くまでも重要であると思い続けるのかも知れない。なかには長年多くのエリートが取り組んで果
せなかったことが、そうやすやすと解決できるはずがない、解決したようなことを言うのは身のほ
ど知らずのおっちょこちょいかエセ言語学者だと考える人もいるに違いない。筆者自身ときどき
ふっとそう思うことがあるくらいだから、しかたがない。しかし最も痛烈なのは学会の指導的立
場にある人の「言語系統の探究には節度がなくてはならない」 (2)という批判である。しかも拙論
の誤りや欠陥についての具体的な指摘は一切行われないのである。頭の悪い筆者はその真意が理
解できず途方に暮れたり、学者のはしくれと自負していたのに結局は大きな罪を犯しただけだっ
たのかと、すっかり自信を失ってしまう。
とにかくここに何とかまとめたのは、新しい手段による言語系統の探究の粗雑な試案にすぎな
い。色々な欠陥に満ち満ちているに違いない。筆者が気付いたものだけでも、例えば音韻対応の
法則が不充分であるし、 aとb'の交代現象も除外すべきではなかったし、種々の言語の表記法に
も不統一があり、いずれ整理しなくてはならない. 「象徴語」という名称自体もどうもしっくり
しない。むしろ「心理語」あるいは「情緒語」と言った方がいいかも知れない。その他多くの改
めるべき点について、各方面のご教示を心から願うものである。もしも専門家であろうとなかろ
うと、純粋な気持でこの種類の研究に本格的に手をつけられる方が一人でも現われるならば、筆
者にとって望外の喜びである。
注
(1)略号追加 Bt.-Toba Batak, Da.-NgD., Lo.-Longgu, Mg.-Mangarevan, Mo.-Mota,
Mq.-Marquesan, Mt.-Motu, So.-Marau Sound, Tra.-Tuamotuan, Ul.-Ulawa.
(2)泉井1975, p.237
文 献 追 加
泉井久之助1975マライ-ポリネシア諸語--比較と系統、弘文堂
川本崇雄1976 日本語の動詞活用体系の成立と起源、季刊人類学6 - 1
村山七郎1975国語学の限界、弘文堂
Stimson, J.Frank, 1964 A dictionary of some Tuamotuan dialects of the Polynesian
languages, The Hague, Martinus Nijhoff.
An
Etymological
with
Special
Study
of
Reference
to
Japanese
the
Takao
Department
This
of
is
symbolic
Topu
<
Foreign
the
final
Languages,
(Received
part
of
words,
which
includes
I '.toQpuri,
(dialect)
tupo
<
subo
PAN
subsub
'(of
uho
Topu
(<
subo)
II
'.toQpuri,
PAN
SoFo:
doQpuri,
lebleb,
PIN
zaNbu,
into
PEO
Nami
I
PAN
Nami
'(of
fall
Education,
Nara,
Japan
Japanese
imitative
or
of
such
goes
as the
following:
down)
completely'
down,'
cf.
Fiji
<*topu
sobu,
Tuamotuan
'(of
splash'
tabu
water'
water,
mud)'
<
topu
<
lebu
water'
Xoi
rain)
rain)
fall
fall
lightly'
< *sbpu
<
heavily,
(of
something
heavy)
fall
tabu-tabu
'id.'
sapu
water'
'draw
liquid,
nami-nami
wave (=
into
(into
lightly'
zaburi
a
'(of
wrinkle,
go
'deep
sink
sapu
'falling
'.nami^nami
;
moon)
zuQpuri
rain)
with
II
of
etymologies
pairs
sun
'(the
the
s'dFo-Furu)
zabuN,
water
University
15, 1976)
of
striking
zuQpuri
lebur
(OJp.
sopu
Zabll:
Kawamoto
list
sun,
Languages-3
'down'
sobo-huru
PEO
the
29
Words
Austronesian
Nara
April
the
Symbolic
fil )
'ordinary';
wrinkle
of
the
to
the
nami
'a
brim,'
row
sea),'
nasal
of
nasal
form
people,
form
of
houses,
oftabi
trees,
'time,'
hills;
tabi-tabi
'often'
PIN
Toro
la(m)pis
I : toro-toro,
PAN
Toro
'layer':
II:
torori
tu(n)Duq
toro-toro
of the
interest
writer
Japanese
in this
lapis
'(of
thick
'fold,
wrinkle,
liquid)
dripping'
a
row (of
hills)'
drip'
'(of
PAN tuDuR
The
Ml.
sleep)
light';
cf. ma-doro-mu
'sleep
lightly'
'sleep"
believes
that
this
little
language,
and
important
category
sincerely
survey
hopes
of words
is
on the
that
which
some
has
right
track
linguists
been
neglected
toward
will
the
take
too
origin
serious
long.
Fly UP