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PRTR化学物質の排出削減に関する取組み ~実施企業による事例
1 トヨタにおける 化学物質の管理・低減への取組み 2009年11月16日 トヨタ自動車株式会社 プラント・エンジニアリング部 樋口 正裕 2 本日の講演内容 1.トヨタの概要 2.化学物質の管理 ・環境保全事前検討制度 ・環境影響評価・排出量管理 3.化学物質の排出量削減 4.PRTR情報の公開とコミュニケーション 5.グループ会社支援 3 1.トヨタの概要 4 会社概要 〒471-8571 本社所在地: 愛知県 豊田市 トヨタ町 1 創立: 1937年 8月 操業開始: 1938年11月 本社工場(旧:挙母工場) 従業員数: 71,100人 生産品目: 自動車、住宅等 08年 生産台数: (国内)4,012千台 (海外)4,198千台 生産拠点: (国内)トヨタ自動車(株)12工場 岐阜県 長野県 名古屋市 豊田市 ・トヨタ自動車九州(株) ・トヨタ自動車北海道(株) ・トヨタ自動車東北(株) (海外)53会社 三重県 静岡県 本社 5 生産拠点 世界26ヶ国/53海外生産拠点 TMUK TMMR TMMC TMMP TMIP TMMF TPCA CAPTIN FTCE TFTM TTME IMS SFTM TMMT BODINE TFAP TTFC TABC 日本 GTMC TMV TMMI NUMMI TMMBC 国瑞 TMMK TMMWV TMMAL TMMTX TDV TKM TMT ASSB TSAM TMP TDB TMMIN TMCA 地域 生産拠点 従業員数 日本 22 178,214 北米 10 33,548 欧州 8 20,943 25 31,488 9 21,784 海 外 アジア その他 TASA トータルクリーンへの挑戦 ライフサイクル全体 にかかわり影響 使用 ●温暖化(CO2) ●化学物質(大気汚染) ●酸性雨 ●資源(燃料) ●騒音 ■局地的な問題 ■広域的な問題 ■地球的規模の問題 生産 ●温暖化(CO2) ●化学物質 (大気汚染、水質汚濁、土壌・地下水汚染) ●廃棄物・資源 ●騒音・振動、臭気 廃棄 ●温暖化(HFC) ●廃棄物(シュレッダーダスト) ●有害化学物質 6 7 2.化学物質の管理 8 トヨタの化学物質管理 84年度 94 97 【法制度】 ● PRTRパイロット事業開始 99 00 01 ● 02 ● PRTR法制定 排出量管理 公開 【トヨタ】 環境保全事前検討制度 ・材料の排水処理性等評価 ・使用禁止物質チェック(464物質) 有機塩素系溶剤 の全廃 環境影響評価・排出量管理 トルエン、キシレン、ニッケル等の排出量削減 リスクコミュニケーション 情報システム化 【グループ会社対応】 エコ・リサーチ社設立 9 環境保全事前検討制度 環境保全事前検討制度 10 概要と目的 含有化学物質 のチェック 新規予定 原材料・副資材 臭気 のチェック 禁止物質 排水処理性 のチェック 河川 大気排出 製品 排水 廃棄物 廃棄物処理 処分の指示 排水処理場 新規原材料・副資材の導入前の事前チェックによる 環境保全(未然防止) 環境保全事前検討制度 11 事前検討業務の手順 ①情報提供 トヨタ自動車 材料仕入先 ②事前検討 依頼 成分報告書 MSDS 試験結果 (臭気・排水) 計画部署 ③事前検討 回答 ④購入依頼 事前検討 部署 ⑥発注 調達部 ⑦納入 生産管理部 ⑤品番登録 工場 事前検討許可品以外は使用(品番登録)出来ない 環境保全事前検討制度 12 トヨタ管理物質と使用禁止物質 トヨタ管理物質 3,518物質 日本規制物質 海外規制物質 ・PRTR法 ・化審法 ・水質汚濁防止法 ・大気汚染防止法 等 ・米国 Clean Air Act Clean Water Act ・北米・欧州 PRTR法 ・EU 76/769指令 等 各国環境関係機関 毒性情報データベース (未規制物質) ・吸入・慢性毒性 WHO・USEPA ・発がん性 IARC ・変異原生 等 使用禁止物質 464物質 ・化審法 (第1・2種特定化学物質) ・水質汚濁防止法 (環境基準・排水基準・要監視項目に該当する有機塩素系化合物・農薬) ・大気汚染防止法 (指定物質) ・オゾン層保護法 等 国内外の環境動向を踏まえ管理・禁止物質を選定 環境保全事前検討制度 13 管理対象の原材料・副資材 その他の代表例 ・切削・研削・プレス・鍛造・焼入・防錆油 ・洗浄・脱脂剤 ・排水処理剤 ・半導体 ・自動車用・生産用燃料など 鋳造用副資材 2% 潤滑・作動油 3% 表面処理剤 4% その他 27% 全品番数 約10,000製品 (08年) 樹脂原料 4% 接着剤 試薬 5% 薬品類 8% 塗料 + シンナー 47% 環境保全事前検討制度 14 導入による効果 型潤滑剤 COD(mg/L) 基準値 洗浄剤 COD(mg/L) COD(mg/L) 切削油 基準値 基準値 導入前 導入後 導入前 導入後 導入前 仕入先と一体となった活動で 環境負荷の小さい副資材を採用 導入後 15 環境影響評価・排出量管理 環境影響評価・排出量管理 16 環境影響評価の考え方 <水域> <大気> 工場排水の濃度が河川で10倍希釈さ れると仮定 ⇒10倍希釈値と基準値※を比較 (水質汚濁防止法と同じ考え方) 拡散シミュレーションで算出した 最大着地濃度と基準値※を比較 大気排出量 拡散シミュレーション 最大着地濃度 排水濃度 10倍希釈 河川での濃度 ※ 環境基準値・想定環境基準値(国内指針値、海外法規基準値等) =人の健康を保護するため維持される事が望ましい基準 環境影響評価・排出量管理 17 大気拡散シミュレーションデータの収集 ◆場所 : モデル工場 ◆時期 : 1995年12月∼ ◆観測項目: ・風向 ・風速 ・日射量 ・示差放射量 気象観測(全景) データ解析装置 環境影響評価・排出量管理 18 想定環境基準値の考え方 従来の規制物質の環境基準値設定と同じ考え方を採用 WHO、USEPA ACGIH 慢性毒性データ、発ガン性データ 算出 作業環境許容濃度 算出方法適用 算出 WHOガイドライン値、USEPAクライテリア 参照 採用 《日本規制物質》 《日本未規制物質》 環境基準値 想定環境基準値 環境影響評価・排出量管理 19 排出物質の影響評価(例) 大 気 基準値との比 1 環境 基準値 水 域 想定環境基準値 環境 基準値 07年度 想定環境 基準値 08年度 0.75 0.5 0.25 0 日本環境基準 想定環境基準 (海外環境基準等) ≒0 ≒0 ≒0 ≒0 ≒0 ≒0 0.01 0.01 0.08 ベンゼン キシレン トルエン ホウ素 化合物 亜鉛 化合物 ≒0 ● ● WHO ガイドライン ACGIH, 産業衛生学会 ACGIH, 産業衛生学会 20 3.化学物質の排出量削減 PRTR排出量の概要 1,3,5-トリメチル ベンゼン 8% その他 7% 4物質 93% エチルベンゼン 18% トルエン 38% キシレン 29% トルエン・キシレン等4物質を中心に削減を実施 21 トルエン・キシレン等4物質の削減 22 <取組み内容> 材料変更 ①塗料中トルエン・キシレンの代替化 ②塗料水性化によるVOC削減 使用量低減 ③塗着効率向上による塗料削減 ④色替ロス低減による塗料・洗浄シンナー 削減 ⑤設備の手拭清掃による洗浄シンナー削減 再利用 ⑥洗浄シンナーの回収・リサイクル 23 ①塗料中トルエン・キシレンの代替化 1 作業環境許容濃度 高 ×1,000 25 有害性 20 ● (主に希釈シンナー) 15 ● キシレン 10 5 低 トルエン ● 酢酸ブチル 0 1,000 10,000 (主に洗浄シンナー) ● 酢酸エチル 100,000 1,000,000 日本国内取扱い量(トン/年) 有害性の低い物質への代替化を実施 ②塗料水性化によるVOC削減 100 含有量︵%︶ 80 顔料、樹脂 顔料、樹脂 60 40 VOC 水 20 VOC 0 溶剤塗料 水性塗料 24 ③塗着効率向上による塗料削減 自動塗装機:静電ベル塗装導入 <従来塗装> <ベル塗装> 回転吹付のため 反射量少ない 直線吹付のため 反射量多い 回転ベル 手吹塗装:静電ガン導入 塗料に電荷を 負荷することにより 塗着性を高める + - + + + + + + + + + 25 26 ④色替ロス低減による 塗料・洗浄シンナー削減 色替洗浄シンナー配管の短縮(改善) 80cm 色替バルブ 約10m 色替バルブ ロボット ロボット 塗料タンク 塗料タンク 配管内残存の塗料・洗浄シンナーの低減 1400cc ⇒ 140cc ④色替ロス低減による 塗料・洗浄シンナー削減 27 カートリッジ色替え方式導入(革新技術) 塗料充填装置 カートリッジ カートリッジ 搬送ロボット 塗装ロボット ロボット 色替え塗料ロス ≒ ゼロ 洗浄シンナー使用量 ≒ ゼロ カートリッジ 28 ⑤設備の手拭清掃による洗浄シンナー削減 ⑥洗浄シンナーの回収・リサイクル (現場での活動) シンナー吹付洗浄から ウエスによる拭き取りに変更 洗浄シンナー回収量を管理 塗装設備 洗浄 スペース 回収缶 29 トルエン・キシレン等4物質の削減実績 (Kg/台) トルエン キシレン等排出量 8 トルエン・キシレン の成分代替化 6 ・洗浄シンナーの使用量低減 ・塗料水性化 ・ 4 82%減 2 0 98年度 04年度 05年度 06年度 07年度 08年度 30 4.PRTR情報の公開と コミュニケーション サステイナビリティー・レポート 毎年8月発行 各工場のPRTR情報等 環境データを報告 31 地域懇談会によるコミュニケーション ◆体制 環境担当行政 (豊田市・三好町) 工場 ・工務部長 ・総務/環境担当 懇談会 地域 ・議員・区長など ◆工夫点 ・従来の地域懇談会に合わせて実施 ・工場見学で理解を深める 32 地域懇談会の議題(例) 33 1.環境保全体制 2.異常・苦情発生状況 3.地域への環境保全活動(美化活動等) 4.環境保全への取り組み ①騒音・振動 敷地境界での測定データ、対策事例と効果・コスト ②臭気 同上 ③大気 施設毎の排出濃度データと取組事例 ④水質 排水処理データと取組事例 ⑤廃棄物 ゼロエミッション活動 ⑥省エネルギー活動 ⑦化学物質管理と地域環境影響評価結果、及び削減計画・実績 34 5.グループ会社支援 PRTR法対応支援事業 35 エコ・リサーチ社の設立 ◆狙い インターネットを利用した ・PRTR集計システムの提供 ・環境影響評価(自主管理) ・エコ材料紹介 企業への 化学物質管理の技術支援 ◆出資・提携会社 トヨタ・デンソー 化学物質管理のノウハウ エコ・リサーチ 日立 インターネットシステム技術 関西ペイント 日本パーカ ユシロ化学 化学物質ノウハウ ダイセキ エコ・リサーチ社のサービス ステップ 化学物質管理 削減 情報公開 ・基準値比較 ・代替化 ・他社比較 ・後処理対策 ・設備対応 ・排出・移動量データ ・リスク評価結果 ・削減計画・実績 大気 製品 化学物質 内容 水域 成分報告書 実施 事項 廃棄物 土壌 成分情報 排出・移動量 環境影響 入手 把握 評価 (削減要否) エコ・リサーチのサービス 削減 ・届出書提出 ・環境報告書発行 ・地域との コミュニケーション実施 各社が実施 36 37 エコ・リサーチ社のPRTR集計システム エコ・リサーチ社 事業者 集計システム 管理物質 MSDS インターネット 各種データベース 材料使用量、 工程情報入力 報告書出力 材料メーカー 成分情報入力 排出係数 関連法規 まとめ 1.化学物質の管理 ・環境保全事前検討制度: 新規原材料・副資材の 導入前の事前チェックによる環境保全(未然防止)を実施 ・環境影響評価による排出量管理・削減要否確認 2.化学物質の排出量削減 技術開発、現場での活動により、トルエン・キシレン等 を中心に排出量削減を実施 3.PRTR情報の公開とコミュニケーション 地域、環境担当行政、工場でコミュニケーションを実施 4.グループ会社支援 エコ・リサーチ社による管理・集計の支援 38 39 END