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日常生活における身体活動レベルの違いが中高齢女性の 免疫機能に

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日常生活における身体活動レベルの違いが中高齢女性の 免疫機能に
第 ML 回健康医科学研究助成論文集
平成 := 年度 RR9<A∼>;(M;;=9A)
日常生活における身体活動レベルの違いが中高齢女性の
免疫機能に及ぼす影響
清 水 和 弘*,**
秋 本 崇 之***,****河 野 一 郎**
赤 間 高 雄*
ÁÂÃÄÃÅÅÃÆÁÇÄÈÅÄÉÊÅÅÃËÃÌÆÃÇÄÈÅÄÅËÃÃÍÎÊÏÊÌÄÉÊÎÄÂÇÊÆÎ
ÆÁÊÏÊÁÄÈÌÄÊÌÃÄÅÌÆÁÊÈÌÄÊÌÄÅÃÎÃÄÃÎÉÃËÎÄÃÈÎÃ
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)/2)(&)!/6*/6$9
早稲田大学スポーツ科学学術院 I(6&$20&(/)(/1!S1/*+)7/1&$!& !T0)9
筑波大学大学院人間総合科学研究科 U*&/(62J 0//)17/V )(/)(/1!+)7/1&$2"1#B!'B#!T0)9
東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センター FB&$2-/8/)/&7/,/*(6E)8)//)8!J/)&/2K1/1/H68$)*')&/8&7/
,/*()/!U*&/(62,/*()/!"#$+)7/1&$!"#$!T0)9
****
早稲田大学先端科学・健康医療融合研究機構 ')1&&&/2H /*(6E)8)//)8J)16*&/*-/1/(')1&&&/2%*7)(/*(/)(/)* ,/*(6J/!S1/*+)7/1&$!"#$!T0)9
* ** *** (<L)
い な い " 細胞(JKMN)66" 細胞)は、自己免疫疾
緒 言
患患者において確認されており >)、また JKMN 発
加齢とともに免疫機能は低下し、感染症や悪性
現の低下によって -"' に対する易感染性が示さ
腫瘍、自己免疫疾患等の疾患を招くと考えられて
れている L)。加齢に伴う " 細胞や JKMN 発現 "
い る M:)。特 に、カ ゼ や 肺 炎 な ど は 気 道 感 染 症
細胞の減少は、中高齢者において頻発する -"'
(-/10&$&(&)2/(&);-"')と呼ばれ、中高
や自己免疫疾患の罹患の原因として考えられる。
齢者において一般的かつ深刻な疾患とされてい
近年、身体活動が免疫系に及ぼす影響について
る =)。肺炎による死亡者数は <; 歳代以降の中高
多くの関心が寄せられており、特に身体活動の強
:M)
齢層より急増することが報告されており 、中高
度や時間の違いが免疫機能や感染症罹患に対して
齢者における感染症への抵抗力は、若齢者と比べ
異なる影響を及ぼすことが報告されている MA)。
て低いと考えられる。
W/ )/&69M;!M:)は、運動習慣のない者と比較し
免疫系は、局所粘膜免疫能と全身免疫能に大別
て、中等度強度・適度な運動習慣のある者の感染
される。主な働きとして、局所粘膜免疫能は病原
症罹患リスクは低く、一方で高強度・長時間の高
体の粘膜下への侵入を防ぐ機能を示し、全身免疫
レベルの運動習慣のある者の罹患リスクは高いと
能は免疫系の調節と侵入した病原体の排除に機能
いう“X510/* モデル”を提唱している。この身
する。
体活動と感染症罹患の関係は、他の先行研究にお
唾 液 中 に 存 在 す る 分 泌 型 免 疫 グ ロ ブ リ ン %
いても示されている :A!:N!M;)。先行研究において、
)86B6)%;'8%)は、口 腔 内
中等度の複合トレーニング(バイク運動+自重負
の局所粘膜免疫能における主要なエフェクターで
荷運動)による中高齢者の唾液 '8% レベルの増
あり、病原体の粘膜下への侵入を防ぐ役割をも
加 :!M!M>)、血 中 " 細 胞 や JKMN 発 現 " 細 胞 の 増
つ :<)。したがって、'8% レベルの低下は病原体
加 MN)が示されている。また、A か月間の中等度
の侵入を容易にし、-"' への罹患リスクが高まる
ウォーキング(N;%O" 強度)の介入によっても
(/(/&$
と考えられている 。唾液 '8% 分泌は加齢とと
中高齢者の '8% レベルが増加することが示され
もに低下すると報告されており :=!A;)、このことが
ている ::)。これより、エアロバイクやウォーキン
中高齢者における -"' への易感染性の原因の :
グによる持久性トレーニングや自重負荷による抵
つとして考えられている。
抗性トレーニング等によって中高齢者の口腔内局
" 細胞は全身免疫能の中心的役割を果たしてお
所粘膜免疫能および全身免疫能が高まる可能性が
り、ヘルパー "("5/60/;")細胞と細胞傷害
考えられる。
N)
性 "("5($&&4(;"()細 胞 の サ ブ セ ッ ト を も
ウォーキングのような歩行活動は、簡便でポ
つ。主な働きとして、" 細胞は免疫応答の調節、
ピュラーな身体活動であり、目標値の設定が容易
"( 細胞は異物の排除に機能する。しかし、加齢
で、その目標値に対する達成度の把握も容易であ
とともに " 細胞および "( 細胞において細胞数
る。アメリカスポーツ医学会("/% /()J65
。" 細
6/8/20&1,/*()/;%J,)とアメリカ疾病
胞機能の加齢現象として最も顕著な変化の : つ
対策センター(J/)&/12K1/1/J)&6)*Y/5
に、JKMN 受容体発現 の 減少 が あ げ ら れ る AA)。
7/)&);JKJ)は身体活動のガイドラインとし
JKMN は " 細胞表面上に恒常的に発現し、抗原提
て、: 日 A; 分以上の中等度レベルの運動を勧め
示細胞からの共刺激シグナルを " 細胞に伝えて
ており MM)、この運動量は、中高齢者において約
サイトカイン産生を亢進させ、" 細胞の活性化を
AL;;1&/0 に相当することが示されている A:)。更に
。活性化した " 細胞は、
健康・体力づくり事業財団は、>; 歳以上の高齢
の減少や機能の低下が報告されている
誘導する役割をもつ
AM!AA)
@!:>)
分化・増殖し、病原体に対して機能する。しか
者に対する歩数のガイドラインとして : 日当たり
し、加 齢 に 伴 い JKMN 発 現 は 減 少 す る こ と か
男性 <>;;1&/0D*$ 以上、女性 @=;;1&/0D*$ 以上を
ら 、加齢により " 細胞の活性能が低下すると考
提示している AL)。我々の先行研究において、中高
えられている。先行研究では、JKMN が発現して
齢者の免疫機能に有効な身体活動量を検討するた
AA)
(<@)
め、平均年齢 >; 歳の高齢者を対象として日常生
(%F'OE""E,E-"EK 社,ドイツ)を <; 秒間
活における身体活動(意識的な運動以外にも家事
に <; 回咀嚼し、分泌された唾液を滅菌綿に吸収
や仕事等において生じる活動量も含む)と唾液中
させ、A;;;0
' 8 % の 関 係 を 調 べ た。そ の 結 果、: 日 約
させることで唾液を回収した。唾液サンプルは、
>;;;1&/0D*$ を 維 持 す る 中 高 齢 者 は : 日 約
容量を測定した後に−L;°
J で凍結保存した。唾
A;;;1&/0D*$ を維持する中高齢者に比べて '8%
液 '8% 濃 度 は、先 行 研 究 :!M)に 従 い、E)$ /5
レベルが高いことが示された M<)。これより、中高
6)#/*
齢者の口腔内局所粘膜免疫能の改善に有効な身体
測定した。'8% 分泌速度(: 分間当たりの '8%
活動量 と し て : 日約 >;;; 歩 と い う 値 が 示 さ れ
分泌量:Z8D ))は、唾液分泌速度(: 分間当た
で @ 分間遠心して滅菌綿から分離
)1B/)&11$(EF'%)法 に よ っ て
た 。しかしながら、先行研究では男女別に分け
りの唾液分泌量: 6D ))と '8% 濃度(Z8D 6)
られていないこと、身体活動レベルの低い対象の
の積より算出した。
免疫機能のプロフィールが不明であること、そし
M.血液採取およびリンパ球分画測定
て日常身体活動と全身免疫能との関係については
血液は、座位安静の状態で肘正中静脈より L
M<)
不明である。これらを明らかにすることによっ
6 採取 し た。採取 し た 血液 を M 本 の EK"%5M
て、免疫機能の改善に有効な身体活動のガイドラ
加採血管(M 6 用)に M
インの設定に役立つと考えられる。
て保存した。そのうち : 本(M 6)を㈱三菱化学
したがって本研究では、中高齢女性を対象とし
メ デ ィ エ ン ス に 依 頼 し、多 項 目 血 球 分 析 装 置
て、日常の身体活動量の違いが口腔内粘膜免疫能
(E5=;;;,シスメックス社,神戸)を用いた白血
および全身免疫能に及ぼす影響を検討することを
球数および白血球分画の測定に使用した。もう :
目的とした。
本の血液サンプル(M 6)は、I6/1(/)(/(&5
方 法
A.対象
6 ずつ分注し、L°J に
7&/*(/661&/(I%J,I%JJ6B,HKH1(5
/)(/1 社,+%)によるリンパ球分画の分析に使
用した。全血染色法によるリンパ球分画の測定に
健康な中高齢女性 :;: 名を対象とした(<=9>±
は、A 種 の 蛍光標識(I6/1(/)1&($)&/;
;9= 歳,@A∼=< 歳)。対象者 の な か に、服薬、喫
I'"J,Y$(/$&);YE,%660$(($));%YJ)
煙および過度な飲酒習慣、測定日 A か月以内にお
のモノクローナル抗体を用いた MN)。モノクローナ
ける感染症罹患をもつ者はいなかった。対象者に
ル抗体は、JKA(I'"J,クローン:+JV":,K5
対して、事前に研究の趣旨、実験方法、起こりう
#J$& &) 社,デ ン マ ー ク)、JKL(%YJ,ク
る危険性および参加の任意性について説明し、文
ロ ー ン::AHN9M,'
書による参加の同意を得た。本研究は「ヘルシン
JKN(YE,ク ロ ー ン:KM@,K#J$& &)
キ宣言」の趣旨に従い、かつ「筑波大学大学院人
社)
、JKMN(I'"J,クローン:JKMN9M,HKH5
間総合科学研究科研究倫理審査委員会」の承認を
、
1(/)(/1 社)を 用 い て、JKA + 細 胞(" 細 胞)
得て実施した。
JKL + 細 胞(" 細 胞)、JKN + 細 胞("( 細 胞)、
B.測定の手順および測定項目
)&/( 社,フ ラ ン ス)、
、JKMN+JKN+
JKMN+JKL+ 細 胞(JKMN+" 細 胞)
唾液および血液の採取は、朝 N 時 A; 分∼= 時
細胞(JKMN+"( 細胞)とした。アイソタイプコ
A; 分の間に行った。対象者は、前日の運動およ
ン ト ロ ー ル は、マ ウ ス '8U:(ク ロ ー ン:K%5
び夜 = 時以降の飲食を避け、測定当日は朝食を摂
UP:,K#J$& &) 社)を 用 い た。全 血 染 色
取せずに測定に参加した。
法は,先行研究 MN)において用いられている方法
:.唾液採取および '8% 測定
に従った。全血 :;;Z6 に各抗体を M Z6 ずつ分注混
において用いられた
和し、室温にて :@ 分間暗所静置した。F$1)815
方法を実施した。対象者は座位安静の状態で、蒸
6&)(;9:@, WV L J6,:; , VJP A,;9: ,
留水を用いて口腔内を A; 秒間×A 回すすぎ、@ 分
EK"%5MW): 6 を加えて転倒混和し、更に室温
間座位姿勢にて安静をとった。その後、滅菌綿
に て :; 分間暗所静置 し た。M;°
J、A;;;0
唾液採取は、先行研究
:!M)
で@
(<<)
分間遠心後、上清を取り除いた。;9:%H%D;9:%
歳 の 運 動 強 度 に つ い て F8&5)&/)1&$::9<∼
WWADYH を :
A9:,E"1、,*/&/5)&/)1&$:A9M∼L9>,E"1、
6 を 加 え て 洗 浄 後、;9:%H%D
;9:%WWADYH を A;;Z6 加え、チューブに分注し
O815)&/)1&$:>L9N,E"1 と示している。こ
た。リンパ球分画の計測には、I%J を用いた。
れに基づいて、本研究では活動レベルを,不活
: サンプル当たり :;;;; 個の細胞数をカウント
動:')(&7/(<:9N,E"1)、低強度:F8&(:9N∼
し、得られたデータを、ソフトウエア(JEFF5
M 9 = , E " 1)
、中 等 度 強 度:, * / & /(M 9 =∼
[/1&,HKH1(/)(/1 社)を用いて解析した。リ
@9M,E"1)および高強度:O81(>@9M,E"1)
ンパ球分画の各細胞の絶対値は、リンパ球の絶対
の L 段階に分けた :L!M<)。得られたデータから、 :
値((/661DZ6)と各分画の陽性細胞率(%)との積
日当たりの平均歩数(1&/0D*$)
、エネルギー消費
で算出した。
量(#(6D*$)および L 段階の活動レベル(')(5
&7/,F8&,,*/&/,O81)に お け る 活 動
C.身体活動量測定
身 体 活 動 量 の 評 価 に は、簡 易 活 動 量 測 定 器
(/)F2/(*/,ス ズ ケ ン 社,名古屋)を 用 い
時間( )D*$)を算出した。
D.統計解析
た。先行研究において、この測定器における歩数
各測定値は、平均値±標準誤差で示した。対象
のカウントの正確性 ML)およびエネルギー消費量
について、計測した歩数を階層化し、A 分位数
が示されている。対象者は、:L
(&/&6/:全対象者を AA9A および <<9< の 0/(/)&6/
日間連続して、入浴と就寝の時間を除いたすべて
値 に よ っ て A 等 分 す る)を も っ て A 群(&/&6/
評価の有効性
:L)
の時間に測定器をウエスト部に装着した。簡易活
: ;":,&/&6/ M;"M,&/&6/ A;"A)に 分 け
動量測定器は、鉛直方向(\ 軸)の加速度を測定
た M<!A:)。すべての測定値における群間比較は、年
し、L 秒ごとに計測した最大振動を加速値とし
齢を共変量とした共分散分析を用いて行った。す
た。活動レベルは、加速値の大きさによって ::
べての検定において有意水準は @%未満とした。
段階(;9;,;9@,:9;∼=9;)にクラス分けされ、エ
結 果
ネルギー消費量(#(6)を算出するアルゴリズム
を用いて変換し、,/&B6(/C76/)&1(,E"1)
と し て 算出 し た
:L!M<)
A)
。%J, に よ る と、<@∼>=
A.体組成
対象者の身体組成を表 : に示した。"M および
表 :.日常身体活動量による A 分位値によって分けた対象者の年齢補正後の身体組成および日常身体活動量の比較
"B6/:9%( 01)28/5*^1&/*0$1(6((&/1&(1)**6$7/8/120/* /&/5*/&/ )/*7B6/1(11&/5
&6/120/* /&/5*/&/ )/* B6&$(&7&$9
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O6/1//40/11/*1 /)1±E9H,'GB*$ 11)*/4!EEG/)/8$/40/)*&/9
8)2()&*22//)(/1?_?Q<;9;@719":!`?Q<;9;@719"M9
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Q76/
g;9;@
;9>AA
g;9;@
g;9;@
g;9;@
g;9;@
g;9;@
g;9;@
g;9;@
g;9;@
(<>)
"A に比べて、": 群の年齢は有意に高値を示し
(Q<;9;@)、体重および H,' は低値を示した(Q
意な差は認められなかったが、"A は "M に比べて
有意に高値を示した(Q<;9;@)
。
C.唾液 SIgA 分泌量
<;9;@)。
表 M に各群の唾液分泌速度、'8% 濃度および
B.身体活動量
対象者の身体活動に関するデータを表 : に示し
'8% 分泌速度を示した。唾液分泌速度、'8% 濃
た。活動量測定器によって得られた身体活動量か
度および '8% 分泌速度について、A 群間に統計
ら 対 象 を ":(≦ L:AL1&/0D*$)、"M(L:A@∼
的な有意差は認められなかった。
<@@<1&/0D*$)お よ び "A(≧<@@>1&/0D*$)に A
D.白血球分画
群化した。エネルギー消費量は &/&6/ が高い群
白血球に関する結果を表 A に示した。白血球
(歩数が多い群)になるほど有意に高値を示し
数、リンパ球数、好中球および単球において、 A
(Q<;9;@)、群内差は統計的に有意であった(Q<
群間に統計的な有意差は認められなかった。
;9;@)
。強度ごとの活動時間について、')(&7/ の
E.リンパ球分画
活動時間は &/&6/ が高い群ほど低値を示した(Q
リンパ球サブセットの各細胞数に関する結果を
<;9;@)。一方、F8& および ,*/&/ の活動時間
表 A に 示 し た。JKA + 細 胞 数、JKL + 細 胞 数、
は &/&6/ が高まるほど高値を示した(Q<;9;@)。
JKN+細 胞 数、JKMN+JKL+細 胞 数 お よ び JKMN+
O81 の活動時間において、": と "M の間に有
JKN+細胞数について、A 群間に統計的な有意差
表 M.日常身体活動量による A 分位値によって分けた対象者の年齢補正後の唾液データの比較
"B6/M9%( 01)28/5*^1&/*167$*&(11&/&6/120/* /&/5*/&/ )/* B6&$(&7&$9
"/&6/12Y/* /&/5K/&/ )/*% B6&$%(&7&$
OB6/
":
a)bALc
"M
a)bAAc
"A
a)bALc
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167263&/a 6D )c
'8%()(/)&&)aZ8D 6c
'8%1/(/&)&/aZ8D )c
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AM9<dL9:
AN9:d@9=
:9M>d;9::
AN9>dA9L
L>9<d@9;
:9MMd;9::
A=9@dA9L
LA9:d@9;
;9<<>
;9L@<
;9@::
O6/1//40/11/*1 /)1±E9
"/&6/121&/05()&2/6*/6$1B^/(&13//!":?<=L:AL!"M?L:A@ 5 <@@<!)*"A?>=<@@>1&/0D*$9
表 A .日常身体活動量による A 分位値によって分けた対象者の年齢補正後の白血球サブセットおよび
リンパ球サブセットの比較
"B6/A9%( 01)28/5*^1&/*6/#($&/1B006&)1)*6$ 0($&/1B006&)1(11&/&6/1
20/* /&/5*/&/ )/* B6&$(&7&$9
"/&6/12Y/* /&/5K/&/ )/*% B6&$%(&7&$
OB6/
F/#($&/a(/661DZ6c
F$ 0($&/a(/661DZ6c
W/&06a(/661DZ6c
,)($&/a(/661DZ6c
JKAi(/66a(/661DZ6c
JKLi(/66a(/661DZ6c
JKNi(/66a(/661DZ6c
JKMNiJKLi(/66a(/661DZ6c
JKMNiJKNi(/66a(/661DZ6c
":
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"M
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"A
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@:L=dM<;
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>AMd@;
LA>dL;
>;Ld@:
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;9::L
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;9:=M
;9=@=
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"/&6/121&/05()&2/6*/6$1B^/(&13//!":?<=L:AL!"M?L:A@ 5 <@@<!)*"A?>=<@@>1&/0D*$9
(<N)
象としたが、対象者数は :;: 名と少数であり、こ
は認められなかった。
のことが結果を明確に示せなかった原因の : つと
考 察
して考えられる。今後は更に幅広い年齢層で多く
本研究では、日常における身体活動が中高齢女
の中高齢者を対象として検討することで、身体活
性の口腔内局所粘膜免疫能および全身免疫能に及
動が免疫系に及ぼす影響について明示することが
ぼす影響について検討した。その結果、'8% 分
できると考えられる。
泌量および " 細胞の各サブセットにおいて身体
JKMN は " 細胞表面において恒常的に発現する
活動レベルによる影響の違いは認められなかっ
受容体であり、" 細胞活性にかかわる重要な役割
た。
をもつ :>)。加齢による JKMN 発現の減少は " 細胞
本 研 究 に お い て、": 群 の : 日 平 均 歩 数 は
活性能の低下を意味することから、" 細胞によ
MN=;1&/0D*$、"M 群は @:<M1&/0D*$ であり、": 群
る免疫系の調節機能の低下に関連する AA)。本研究
は "M 群に比べて明らかに低い身体活動量を維持
において、JKMN 発現 " 細胞数と年齢との間に
していた。厚生労働省によると、日本人 <; 歳代
は、有意ではないが弱い負の相関関係が認められ
女性の : 日平均歩数は <>>>1&/0D*$ と報告されて
た(Q=;9;>,=−;9:N,*&)&13))。これま
おり、"M 群の歩数は <; 歳代の平均歩数にやや近
で、JKMN 発現と日常身体活動量の関係を示した
似した 。また、": 群の歩数は一般に比べても
研究は : 例しかない。高レベルの身体活動量を維
低い値であった。この理由として、": 群の平均
持することによって JKMN 発現 " 細胞が低値を
年齢は >>9M 歳であり、他の M 群に比べて :; 歳ほ
示すことが報告されている M=)。本研究において、
ど高かったことが考えられる。しかし、厚生労働
JKMN 発現 " 細胞数に統計的な群間差は認めら
省の報告では >; 歳以上の女性の : 日平均歩数は
れなかった。また、JKMN 発現 "( 細胞において
:;)
L;NN 歩であり 、加齢の影響を考慮したとして
も同様に有意な群間差は認められなかった。これ
も、": 群の歩数は一般の値に比べて少なく、身
より、JKMN 発現と日常の身体活動量の間に関係
体活動量の低い対象であったと考えられる。
がない可能性が考えられる。しかし先行研究にお
唾液 '8% は口腔内粘膜免疫系における主要な
いて、中等度の運動トレーニングを行うことで中
エフェクターであり、感染の初期防御に対して機
高齢者の JKMN 発現 " 細胞が増加することが示
能する :<)。唾液 '8% 分泌は加齢とともに低下す
されている MN)。したがって、JKMN 発現や " 細胞
ることが示されており :=!A;)、加齢の影響が予想さ
機能についても、更に対象を追加して検討するこ
れる。本研究においても、年齢と唾液 '8% 分泌
とで身体活動とのかかわりが明らかになると考え
速度の間に弱いながらも有意な負の相関関係が認
られる。
められたことから(Q<;9;@,=−;9MA,*&)&
免疫機能は身体活動の他にも、摂取栄養素によ
13))、唾液 '8% 分泌について年齢による補正
る影響を受けることが知られている M@)。ビタミン
を行った。その結果、唾液 '8% 分泌については
% は、ウイルス感染に対する '8% 応答を高める
身体活動レベルの違いによる群間差は認められな
役割が報告され <)、鉄欠乏は " 細胞の JKMN 発現
か っ た。し か し 我 々 の 先 行 研 究 に お い て、約
を低下させ、" 細胞活性の低下を引き起こすこと
>;;;1&/0D*$ の身体活動量を維持する >; 歳代の
が確認されている :@)。本研究において、身体活動
:;)
高齢者は約 A;;;1&/0D*$ の高齢者に比べて '8%
量と各免疫学的指標との間に関係が認められな
レベルが高いことが示されている M<)。また、約
かったのは、日常の摂取栄養素の違いが影響して
:@<;;1&/0D*$ の身体活動量を維持する <; 歳代の
いる可能性も考えられる。今回は摂取栄養素の調
中高齢者 は 約 <<;;1&/0D*$ の 中高齢者 に 比 べ て
査を行っていないが、今後は摂取栄養素、身体活
'8% レベルが低いことが示されている 。した
動量および免疫機能の関係を検討する必要があ
がって、日常の身体活動量は口腔内粘膜免疫能に
る。これらの関係を明らかにすることは、免疫機
影響を及ぼす可能性が考えられる。本研究では、
能の改善により有効なプログラムの策定に役立つ
@; 歳代∼=; 歳代と幅広い年齢層の中高齢者を対
と考えられる。
M=)
(<=)
TF!I(#/Y%!J6)($-F(:===)?67$'8%6/7/61
総 括
)*)2/(&)1#)/6&/13
本研究では、日常における身体活動が中高齢女
性の口腔内局所粘膜免疫能および全身免疫能に及
ぼす影響について検討した。その結果、口腔内局
所粘膜免疫能および全身免疫能に対して日常身体
活動量の影響は認められなかった。
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')&/),/*!nsl!M:=;5M:=@9
:;)健康・栄養情報研究会編(M;;N):国民健康・栄養の
現状―平成 :> 年厚生労働省国民健康・栄養調査報告
謝 辞
より―.:5:=>,第一出版,東京.
本研究を遂行するにあたり、多大なご協力をいただいた
::) I! !%# "!%# &"!)!
参加者の皆様に御礼申し上げます。また、多大な助成を賜
)'(M;;<)?"//22/(&1236#)8/4/(1/&))8)
りました財団法人明治安田厚生事業団に深く感謝申し上げ
ます。
t!@;N5@:L9
)//10)1/)/6*/6$1B^/(&19')&T0&V/6&(!
:M)厚生労働省大臣官房統計情報編(M;;<):人口動態統
参 考 文 献
計 M;;L.MAN5MA=,財団法人厚生統計協会,東京.
:)赤間高雄,木村文律,小泉佳右,清水和弘,秋本崇
:A)1&#"!H/&/E!F(T!H))/2$,(M;;;)?
之,久野譜也,河野一郎(M;;@):LM ヶ月間の運動継
"/1$ 0& &68$200//10&$&(&)2/(&)1
続による中高年の唾液分泌型免疫グロブリン % の変
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L<5@:9
化.スポーツ科学研究,j,:MM5:M>.
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M=)清水和弘,木村文律,田辺 匠,小林大祐,秋本崇
之,赤間高雄,河野一郎(M;;N):日常生活における
高レベルの身体活動が中高齢者の免疫機能に及ぼす影
響.スポーツ科学研究,s,:=5AA.
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)6-/7!jms!:@N5:<=9
AL)財団法人健康・体力づくり事業財団(M;;M):健康日
本 M:(M: 世紀における国民健康づくり運動につい
て).:5::>,太陽美術,東京.
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