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ニューズレター - 一般財団法人日本エネルギー経済研究所 中東研究

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ニューズレター - 一般財団法人日本エネルギー経済研究所 中東研究
- ニューズレター 20010330(財)中東経済研究所
― 中東・エネルギー情報 ―
ニューズレター
2001 年 3 月 30 日
Vol.15, No.23
目次
第 114 回 OPEC 総会で 100 万 b/d の追加減産を決定 ....................................... 2
100 万 b/d の追加減産を決定 .................................................................................................. 2
追加減産決定までの動き ....................................................................................................... 3
消費国側の動き ...................................................................................................................... 3
減産幅決定の背景 .................................................................................................................. 4
目標価格は「$25/b 以上」へ ................................................................................................. 4
減産決議に対する反応 ........................................................................................................... 4
OPEC 政策の特徴 .................................................................................................................... 5
高油価政策の課題 ................................................................................................................... 5
<トピックス>
アラブ首長国連邦:内閣が 2001 年予算案を承認 ................................................................. 7
イスラエル:景気は深刻な後退局面に .................................................................................. 7
イスラエル:シャロン首相が訪米 .......................................................................................... 7
イラク:欧州の主要企業に代わり中小石油企業の石油取引増大 ...................................... 8
イラク:米国がイラク反体制派への姿勢を修正 .................................................................. 8
イラン:ハタミ大統領のロシア訪問と米日の反応 .............................................................. 8
イラン:改革派への締め付け ................................................................................................ 10
カタル:国境問題が解決 ........................................................................................................ 10
カタル、アラブ首長国連邦:QP、UOG が Dolphin Project で
term sheet agreement を締結 .............. 11
クウェート:アラ石のクウェート権益更新は困難、石油相次官が発言 ........................ 11
サウジアラビア:工業都市に公益事業会社を設立 ............................................................ 12
トルコ:エネルギー自由化法案が成立 ................................................................................ 12
トルコ:緊急経済対策パッケージを発表 ............................................................................ 12
トルコ:イスタンブールでテクノロジー・フェアが開幕 .................................................. 13
トルコ:イラクとヨルダンへ通商代表団を派遣 ................................................................ 13
パレスチナ:アラブ諸国からの経済援助の動きが加速 .................................................... 14
ウズベキスタン:外相がアフガニスタンの「北部同盟」代表団と会談 ........................ 14
1
-ニューズレター20010330-
第 114 回 OPEC 総会で 100 万 b/d の追加減産を決定
100 万 b/d の追加減産を決定
OPEC は 2001 年 3 月 16 - 17 日の 2 日間にわたってウィーンで第 114 回定例総会を開催
し、イラクを除く OPEC10 カ国 (以下 OPEC10)の 4 月 1 日以降の生産枠を 100 万 b/d 引き
下げ 2420 万 b/d とする (各国とも一律 4% 程度の生産枠削減)ことで合意した (図表参照)。
減産決議は 1 月に続き今年 2 度目となり、今年に入ってからの減産幅は合計 250 万 b/d と
なった。
総会後に発表されたコミュニケの要旨は以下の通りである (コミュニケ全文につ
いては弊所ホームページ http://www.jime.or.jp「新着情報」参照)。
・現在の世界経済の悪化および第 2 四半期の需要減少を考慮し、OPEC10 は石油市場の
安定化のために 2001 年 4 月 1 日から 100 万 b/d の減産を実施する。
・OPECは市場安定化のために、非OPEC産油国に対しても生産調整の協力を要請する。
・OPEC 加盟国は、合意した協調減産を遵守することを約束する。
・OPEC は市場動向の監視を継続し、価格が許容範囲を逸脱した場合には直ちに対応す
る。
・市場の動向を確認するため、2001 年 6 月 5 - 6 日にウィーンで臨時総会を開催する。
・次回通常総会は 2001 年 9 月 26 日にウィーンで開催する。
図表 OPECの減産量と新生産枠
(単位:1,000b/d)
サウジアラビア
イラン
クウェート
UAE
カタル
ベネズエラ
ナイジェリア
インドネシア
リビア
アルジェリア
OPEC10カ国計
生産枠
減産量
生産枠
減産量
新生産枠
産油量
(00/11∼01/1)
(01/1合意)
(01/2∼01/3)
(01/3合意)
(01/4∼)
('01/2)
A
B
C=A-B
D
E=C-D
8,189
3,698
2,021
2,201
653
2,902
2,075
1,307
1,350
805
25,200
324
146
80
88
26
116
82
52
54
32
1,000
7,865
3,552
1,941
2,113
627
2,786
1,993
1,255
1,296
773
24,200
8,675
3,917
2,141
2,333
692
3,076
2,198
1,385
1,431
853
26,700
486
219
120
132
39
174
123
78
81
48
1,500
8,315
3,750
2,165
2,240
720
2,980
2,150
1,250
1,380
810
25,760
産油能力
10,500
3,730
2,200
2,400
750
2,950
2,200
1,350
1,450
900
28,430
出所:Oil Market Report, 14 Mar. 2001, IEA(01/2産油量)
Oil Market Report, 9 Nov. 2000, IEA(産油能力)
総会には OPEC11 カ国のほかオブザーバーとして非 OPEC 産油国であるメキシコ、ロ
シア、オマーン、アンゴラ、カザフスタンの各代表も出席した。各国とも油価安定のた
めに OPEC に協力するとのコメントを発表したが、現時点 (3 月 26 日)で具体的な削減幅
を表明した国はメキシコ (3月23日に4月1日以降4万b/dの輸出削減を表明)のみであり、
他の非OPEC産油国の減産 (あるいは輸出削減)が実際に行われるかどうかは定かでない。
2
- ニューズレター 20010330なお、カタルのアティーヤ石油相は 3 月 17 日、非 OPEC 産油国が 20 万 - 30 万 b/d の協調
減産を行うとの観測を明らかにしている。
追加減産決定までの動き
OPEC は 2000 年に、油価の高騰を抑えるため 4 度にわたって合計 372.4 万 b/d の増産を
実施したが、結果的に市場に供給過剰感が広がり、2000 年末からは油価の下落基調が顕
著になっていた。そこで油価急落を懸念した OPEC は、今年 1 月の臨時総会で 1999 年 3
月以来の減産を決定し、2 月 1 日から 150 万 b/d の供給削減を実施していた。2 月はじめ
の時点では、この減産効果を把握する必要もあり、OPEC内には3月総会で追加減産につ
いて協議する必要性を訴える者はほとんどいなかった。しかし 2 月末以降になると、
OPEC 加盟国の首脳のほとんどが追加減産を示唆するようになり、3月に入ると「あとは
追加減産幅を決定するのみ」という状況にまで進展した。
このように追加減産実施の声が強くなってきた背景には、米国経済の減速により IEA
や DOE が相次いで世界の石油需要の減退予想を発表したことや、2 月以降の減産にもか
かわらず油価が下落基調となっていたことがある。OPECバスケット価格は3月に入って
も $23 - 24/b程度を維持し、OPEC が目標とする価格帯 ($22 - 28/b)を下回ることはなかっ
たものの、OPEC首脳はバスケット価格で$25/bを維持することが重要との認識を示し始
めた。
こうした状況の中、サウジアラビア、ベネズエラ、メキシコの各石油相は 3 月 12 日、
総会に先立ってリヤードで会談し、
「原油需要の後退に備えた生産調整が必要」との共同
声明を発表するとともに「OPEC バスケット価格で $25/b 以上を維持する」との姿勢を明
確化した。そして、この会談で減産に消極的であったメキシコの協調を取り付けたこと
で、追加減産の環境は整った。
消費国側の動き
OPEC 側が追加減産に向けて動き出す中、IEA は「OPEC は市場の安定よりも石油収入
の最大化を重視して行動している」と OPEC を非難するとともに、減産を決定する際に
は需要の減少だけでなく在庫が記録的な低水準にあることを考慮するべきと主張した。
また各石油専門誌も OPEC の追加減産には異議を唱え、ロンドン発行の Petroleum Argus
Weekly Newsletter 誌は「追加減産を行えば、通常第 2 四半期に行われるべき在庫の積み
増しができず、価格の不安定性が増すことになり、OPEC の主張する価格の安定は望め
ない」と懸念を示した。
ただ、世界最大の石油消費国である米国は、FBR のグリーンスパン議長が 2 月はじめ
に「エネルギー・コストの増加が景気後退を加速している」と述べるなど、高油価が経
済に与える悪影響を認識してはいたものの、ブッシュ新政権は前のクリントン政権のよ
うにOPECに対して必要以上の圧力をかけることはなかった。エーブラハム・エネルギー
長官は OPEC が追加減産を示唆する中でも「石油価格は基本的に市場に任せるべきであ
り、OPEC とは穏便に協議する」との姿勢を明確にするとともに、
「その上で OPEC 以外
からの石油輸入拡大、輸入依存度を減らすための国内開発など独自の戦略を進めること
3
-ニューズレター20010330が国益にかなう」との考えを示した。
このように米国がOPECの減産を妨げる動きを見せなかったことも手伝って、3月総会
を前にして OPEC の追加減産はほぼ確実な情勢となった。
減産幅決定の背景
上記のとおり、総会前からOPECが追加増産に踏み切るのは確実と見られていたため、
今総会の焦点の一つはその減産幅であった。総会前にはアルジェリアのハリール・エネ
ルギー鉱業相 (OPEC議長)が150万b/dの減産を示唆するなど、一部加盟国には「バスケッ
ト価格を $25/b に維持するには 100 万 b/d を超える減産が必要」との意見もあったが、サ
ウジアラビアなどの「油価を必要以上に高めに維持すれば、米国の景気後退に拍車をか
ける恐れがあり、小規模の減産にとどめるべき」といった慎重な意見が多数を占め、総
会では減産幅は 50 万 - 100 万 b/d の間で調整が進められた。こうした中、総会直前に世
界的に株価が急落したことや、IEA が世界の需要予測を再度下方修正したことで、予想
以上に需要が減少するとの判断から、最終的に減産幅は 100 万 b/d で決着した。
目標価格は「$25/b 以上」へ
今総会のもう一つの焦点は、プライス・バンドの見直し、つまり OPEC が自ら設定し
た目標価格帯を変更するのかどうかであった。これまで OPEC はバスケット価格で$22 28/b を維持するために生産調整を行うとしてきたが、今総会を前にして OPEC 首脳は一
様に「バスケット価格で $25/b 以上が必要」という発言を繰り返していた。実際、総会前
にはクウェートが目標価格帯の「$25 - 28/b」への引き上げを、またイランとベネズエラ
はOPECバスケット油種を実態に則した重質高硫黄原油に切り替えることで相対的に目
標価格を引き上げる提案をしており、今総会で何らかの見直しがなされるとの観測が強
まっていた。
ただ、プライス・バンド自体がそもそも非公式な合意であるため、今総会でもプライ
ス・バンドに関する公式な発表は一切なかった。しかし総会後、サウジアラビアのヌア
イミー石油相は「$22 - 28/b という目標価格帯の変更はないが、OPEC は $25/b を防衛し
ていく」とするコメントを発表するなど、実質的には OPEC の目標価格は「$25/b 以上」
に上方修正されたとみるべきであろう。
減産決議に対する反応
IEA によると OPEC10 の 2 月の産油量は 2520 万 b/d の生産枠に対して 2576 万 b/d と、す
でに超過生産が行われている。今回の減産決議で 4 月以降の OPEC10 の生産枠は 2520 万
b/dから2420万b/dに減少するが、2度の減産決議で相対的に生産余力が戻ってきたOPEC
各国が、一層の超過生産を行う可能性は高いと言える。また、非 OPEC 産油国も OPEC
の減産決議を支持するとはしたものの、実際に効果的な減産を行えるのはメキシコくら
いであり、ロシアやオマーンなどはその国情からして減産できるかどうかは疑わしい。
実際、総会後 (3 月 19 日)の石油市場は、減産幅がほぼ予想の範囲内に収まっていたこ
ともあり材料視されず、むしろ需要サイドの減速を懸念して売り込まれ、WTI 原油価格
4
- ニューズレター 20010330は 3 月 16 日の $26.74/b から $26.15/b に反落した。そして多くのアナリストは、需要の減
少する第 2 四半期よりも米国でガソリン需要期となる夏場以降の油価高騰を懸念してい
る。
米国のエーブラハム・エネルギー長官は 3 月 17 日、今回の減産決議を受けて「世界経
済の現状からして、OPEC の減産決議には失望した」と述べ、ブッシュ政権としては初
めて OPEC に対する不満を表明した。さらに同長官は「今回の減産決議は、米国が国内
産油量を増加させ、また安定性、信頼性、経済性、多様性を備えたエネルギーを確保す
るためのエネルギー政策を進めることが重要であることを証明した」と述べ、中東に依
存しないエネルギー政策の推進を改めて強調した。
OPEC 政策の特徴
OPEC は 1998 年にアジア経済危機による需要減退への対応が遅れ、油価が暴落したこ
とを教訓として、今回は油価の値崩れを未然に防ぐための措置として追加減産に踏み
切った。そして、今年の2度の減産決議をみる限り、OPECは「生産シェア」よりもOPEC
バスケットで $25/b という「高価格」を維持すること重視し、
「需要の減少」には「減産」
で対応する姿勢を明確に示したと言える。OPEC のロドリゲス事務局長は総会後、
「必要
なら 6 月の臨時総会で追加の決定を下す」と述べ、油価が目標価格を下回れば今後も減
産に踏み切る用意があることを強調している。
また OPEC には、小刻みな生産調整でタイトな需給バランスを維持することで、その
影響力をより強めようとする姿勢もうかがえる。消費国側が第 2 四半期の在庫積み増し
の必要性を訴えていることに対し、サウジアラビアのヌアイミー石油相は「重要なのは
在庫の積み増しではなく、供給不足が発生しないことである。イラクの供給途絶など、予
想外の供給危機が発生しても、OPEC にはこれに対処する用意があり、低在庫を懸念す
る必要はない」と反論している。
高油価政策の課題
OPECが高油価政策を維持すれば、同時に非OPEC産油国の生産量の増加と消費国の石
油離れを引き起こし、結果として OPEC の生産シェアが低下することになる。短期的に
は成功しているように見える OPEC 政策であるが、油価の下落に対して減産で対応する
手法をいつまで続けるのかが OPEC に残された大きな課題であると言える。この問題に
関して、OPEC のロドリゲス事務局長は、あくまでも " 仮説 " と前置きしながらも「将来
的には OPEC の生産シェア (約 40%)を確保するため、高油価政策から低油価政策に変更
することもありうる」と述べている。
また今後は、高油価政策による需要の減少、さらにはイラクの増産にも直面する可能
性があり、OPEC がさらなる減産を強いられる場面がでてくるであろう。この場合、い
かにして OPEC の結束を維持するのかも大きな課題として残される。1999 年初めのよう
に油価が暴落していた状況では OPEC の結束も維持できたが、ある程度の価格水準を維
持し、なおかつ2度の生産上限削減によって生産余力も生じている現在の状況でOPECが
協調減産を遵守することは、歴史的にみても非常に困難であると言わざるを得ない。
5
-ニューズレター20010330 そして、OPEC の高油価政策が消費国と産油国との対立をさらに激しくする可能性も
ある。消費国側が、高油価は世界経済に悪影響を与えていると主張しているのに対して、
OPEC側はバスケット価格で$25/bは世界経済にとって受け入れ可能なレベルであり、問
題は消費国における製品価格への高課税にあるとしており、両者の適正油価に対する認
識のズレは依然として平行線をたどったままである。
いずれにしても OPEC が現在の高油価政策を維持することは長期的には困難であり、
OPEC は近い将来、政策の転換を迫られる時期が来るであろう。ただ、短期的には OPEC
が強い結束を保つことで高油価政策は維持可能であり、当面は OPEC 各国が 4 月からの
減産協定をどの程度遵守していくのかが注目されよう。
(3 月 26 日記、島末 健作)
6
- ニューズレター 20010330<トピックス>
に設定されることは確実であろう。
財務省は、イスラエル経済が2001年から
後退局面に入り、そうした状態は2002年ま
で続くと予測している。税収は大幅な落ち
込みが見込まれ、2001年末までに失業率が
10%を超え、失業者数は25万人に達する恐
れがある。ハイテク部門の業績悪化でレイ
オフが拡大すれば、雇用情勢にはさらなる
悪化も懸念される状況だ。
一方、イスラエルの製造業協会が発表し
た2001年1 - 2月期の工業製品輸出額 (ダイ
ヤモンドを除く)は 32 億ドルで、2000 年第
4 四半期に比べて実質 2.5% の減少となっ
た。あらゆる部門の輸出が減少している
が、イスラエル経済の牽引役を果たしてき
たハイテク部門も例外ではなく、この 2 年
間で初めて前期比で3%の減少を記録した。
地域別でみると対米輸出の減少が顕著と
なっている。(上田)
アラブ首長国連邦:内閣が2001年予算案を
承認
内閣は 3 月 19 日、2001 年連邦予算案 (1 12月)を承認した。Kharbash財政工業担当国
務相によると、歳入は 204.3 億ディルハム
(Dh)、歳出は Dh226.6 億、赤字は Dh22.3 億
となっている。2 0 0 0 年予算での歳入
Dh206.8 億、歳出 Dh231.2 億、赤字 Dh24.4
億と比較すると、予算上は何れも若干縮小
された。なお、最終的にはザーイド大統領
の承認が必要となる。
歳出内訳については、給与を 2000 年の
Dh75.5億からDh77.9億に、連邦政府機関の
運営費を Dh22.7 億から Dh23.2 億に、資本
支出を Dh3.0 億から Dh3.4 億に、教育支出
を Dh52.6 億から Dh54.3 億に増額するもよ
うだが、その他は不明である。
ところで、予算の対象期間が 1 - 12 月で
あるにもかかわらず、最近は、政府機関の
予算策定の遅れにより、前年 12 月 (前予算
年度末)までに予算を決定することができな
い状況が続いている。そこで、2001 年から
は、予算策定開始時期を、従来の 6、7 月か
ら4月に早めるもようである。(高橋)
イスラエル:シャロン首相が訪米
イスラエルの首相に就任したアリエル・
シャロン・リクード党首が訪米し、3 月 20
日にブッシュ大統領と会談した。会談後
ブッシュは、米国が和平を関係者に強制す
ることはないと述べ、和平交渉や占領地か
らの撤退を先送りしたいシャロンの時間稼
イスラエル:景気は深刻な後退局面に
ぎはひとまず成功した形となっている。事
実その後シャロンは、会談結果への満足を
日刊紙 Yediot Aharonot の報道によれば、 表明した。
財務省は、3月第4週に発表した経済予測の ただ一方で米国は、現在の騒乱状態を鎮
中で、2001 年の GDP 成長率が 1.5% にとど めるためパレスチナ人に希望を与える必要
まるとの見通しを明らかにした。財務省 性に言及し、パレスチナ封鎖の緩和や代行
は、2 月末に 2001 年の GDP 予測を 4.5% か 徴収している税収の引き渡しを求めた。パ
ら 2 - 3% に引き下げたばかりだが、今回 4 レスチナとの和平交渉再開に暴力行為の中
度目の下方修正を余儀なくされた。今後、 止を条件としたシャロンに対しても、完全
この数字に基づいて 2002 年の国家予算が な暴力行使の中止までは求めないとの姿勢
作成されるが、2002 年の成長率も 2% 以下 を伝えている。そして暴力行為中止の努力
7
-ニューズレター20010330は、パレスチナのみならずイスラエルにも
必要との立場を明らかにした。テロに報い
ることになるとしてアラファトを米国に招
待することに反対したシャロンに対して
も、ブッシュは全ての指導者と会談する計
画を持っていると述べるにとどめている。
現時点で中東和平に積極的に関わること
は避けたいものの、政策的選択の幅は狭め
たくない米国側の姿勢が現れているといえ
よう。(立花)
ているのである。
米国や欧州の企業がイラク原油を購入す
る場合には、イラクから直接購入するので
はなく、違法な上乗せ金の支払いはしてい
ないとの保証を受けて、第三者を通じて購
入している。
ちなみに第九次計画でイラク原油の最大
の契約者であるイタリアのItaltechは、国連
から約 4000 万バーレルの原油購入契約の
承認を受けているが、その大部分が転売さ
れるものと見込まれる。(三田)
イラク:欧州の主要企業に代わり中小石油
企業の石油取引増大
イラク:米国がイラク反体制派への姿勢を
修正
第九次オイル・フォー・フード計画にお
けるイラク原油輸出契約は、これまでにな
く細分化している。イラクは現計画で海外
の企業約 70 社と石油輸出契約を締結して
いるが、3月20日に発表された国連イラク・
プログラム・オフィス (OIP)のデータによ
れば、承認された石油輸出契約は 129 件で
3.68 億バーレル、契約一件当たりの契約量
は約 280 万バーレルで、第八次計画での約
370 万バーレルより大幅に減少している。
実際に、イラクは 3 月第一週までの契約相
手で 1000 万バーレル以上の数量を割り当
てたのは 6 社のみで、その他大多数の企業
に対する割当量は 500 万バーレル以下にと
どまる (Reuters, 2001.03.08)。
また、契約者リストの上位にあるのは、
イタリアやマレーシアの企業等で、1996年
のオイル・フォー・フード計画開始以来直
接の取引を続けてきた欧州の主要石油会社
については契約者リストに名前が掲載され
ていない。2001 年 3 月 8 日付の Reuters によ
れば、主要な欧州石油会社は、イラクが恒
常的に徴収しようとしている、欧州向け
$0.25/b、米国、アジア向け $0.30/bの上乗せ
金のために、直接取引契約の調印を拒否し
8
米国務省関係者は 3 月 21 日、これまでは
イラク国民会議 (INC)に限定してきたイラ
ク反体制派への資金援助を他の組織にも拡
大する意向を表明した。そして具体的に、
イランを拠点とするイラク・イスラーム革
命最高評議会 (SCIRI)の名を挙げた。もっ
ともINCとの関係はこれまで同様維持する
という。
INC側はそうした米国の政策変化につい
て情報を持っていないとしているが、米国
内では、絹の服に身を包みローレックスを
はめた反体制派として INC への不信が強
まっていた。フセイン政権の打倒を真剣に
検討し出したブッシュ政権にとって、INC
が荷物になりつつあるとの情報もある。
(立花)
イラン:ハタミ大統領のロシア訪問と米日
の反応
ハタミ大統領は、3 月 12 日から 4 日間に
わたり歴史的なロシア訪問を行った。大統
領は出発前の記者会見で訪問目的を「地域
- ニューズレター 20010330内の平和の確立のため」とし、また「両国
が関心のある全ての事項について話し合
う」と語っていた。
12日の早朝モスクワに到着したハタミ大
統領は早速プーチン大統領と会談して、両
国の軍事技術や原子力分野での協力のため
の基本条約に調印した。ハタミ大統領は滞
在期間中にロシア首相、ロシア下院議長、
ロシア正教会総主教、イスラーム指導者達
と積極的に会談するとともにロシア議会下
院で演説し、国際関係研究所 (外交官向け
の学校)で講演し名誉博士号を取得した。
プーチン大統領はイラン側の要請に応え
て、遅れているブシェール原子力発電所の
建設工事を急がせることを約するととも
に、イランは外国からの攻撃を防ぐための
防衛用の武器を購入する権利があり、ロシ
アは武器輸出を続けると述べた。またイラ
ン側の招聘を受け、イラン訪問を約した。
なお 16 日に公表された共同声明で両国
は、国際的な原子力兵器不拡散協定を順守
し、原子力エネルギーの平和利用分野で協
力することを明記している。
今回のハタミ大統領訪問に同行したシャ
ムハーニー国防・軍需相は、ロシア国防相
と 2 度にわたり会談しており、米国の反対
を押し切り武器の供給再開が約された模様
である。さらに 5 月に同国防・軍需相が再
度ロシアを訪問することと、両国の事務局
がそれまでに具体的な軍事及び技術協力協
定を用意するように命じられたことが明ら
かになった。
米国は、12日に両国が基本条約に調印し
た直後より両国の武器び原子力関係の協力
に対し重大なる憂慮の意を示し、14日より
国家ミサイル防衛構想 (NMD)の話し合いの
ため米国を訪問した安全保障委員会のイワ
ノフ書記に対し、パウエル国務長官、ライ
ス安全補償問題特別補佐官がそれぞれ会談
9
の席で、具体的な供給予定武器を明らかに
することや再考を求めた。その後も下院議
員、パウエル国務長官が公開の席でロシア
に警告を発している。
さらに 13 日、ブッシュ政権は 15 日に終
了期限が迫っていた大統領の行政命令 (米
国企業・個人にイランの石油開発を禁じる
命令)を延長した。しかし、この行政命令の
延長は必ずしもクリントン政権の対イラン
政策を継続するということではなく、行政
命令延長を発表した時に報道官は、対イラ
ン政策については今後さらに状況を見て変
更もあり得るニュアンスの発言をつけ加え
ている。
ハタミ大統領も、14日にロシア下院での
演説で両国間の武器・原子力関係の協力関
係に触れた時に、米国の反対及び経済制裁
については発言せず、イランと米国がとも
に国交回復の打開策を模索している模様が
見えている。
今回のハタミ大統領のロシア訪問で、基
本条約が調印され、ロシアとイランの武器
及び原子力関係の協力が合意されたが、10
億ドルの援助削減を種にした米国のロシア
への圧力により今後のロシア側の動向が注
目される。
またカスピ海領土問題解決を延期した
り、チェチェンのイスラーム教徒に対する
ロシアの弾圧に触れずに、ソ連崩壊後のロ
シアにおける宗教復活をハタミ大統領が評
価したり、両国とも問題事項を避けた面も
見られた。
米国の反応に比較して欧州は、この問題
(武器と原子力の協力関係強化)について大
きな反応は見せなかったが、日本はモスク
ワで開催された第4回原子力協議でロシア
のイランへの原子力協力に懸念を示した。
(野草)
-ニューズレター20010330イラン:改革派への締め付け
誌・月刊誌の4紙誌に発禁処分が科された。
この結果改革派の出版物で発禁処分を受け
たのは36紙誌となった。さらに今までの保
守派の行動と異なり、発禁処分を改革派が
支配する文化イスラーム指導省の責任とし
ている。その理由として、同省が法律に従
い各紙誌を監督していれば記事の内容が発
禁処分まで至らなかったと述べている。
(野草)
6 月 8 日の第 8 期大統領選までもう 3 カ月
を切ったが、まだハタミ大統領は再選をめ
ざすか否かを明らかにしていない。この間
保守派は、今まで通り裁判所が改革派の
ジャーナリスト・活動家を拘留したり、国
会議員をその発言により裁判所に召還する
ことを続けながら、改革派への締め付けを
その頻度・方法・内容面でますます強めて
いる。
最近の保守派の目立った行動として「イ カタル:国境問題が解決
ラン自由運動」を完全に非合法化し、その
活動を一切禁止したことがある。同党は、 ハーグ (オランダ)にある国際司法裁判所
1960年代の初めに反シャー活動のためバザ は、3 月 16 日、カタルとバハレーンの間で
ルガン (イスラーム革命直後の初代首相)が 争われていた領土問題について裁定を下し
創設した反体制派の政党である。イスラー た。これにより、カタルは同国西海岸の
ム聖職者体制に反対する姿勢を見せたため Zubarah、西海岸沖合の Janan 島 (Hadd
1988年にホメイニー師の命令により党とし Janan)、Fasht al-Dibal (砂州)の領有権を、バ
ての活動を停止されたが、党員の活動はい ハレーンは Qit'at Jaradah (砂州)と、両国が
ままで黙認されていた。同党は、改革派の 強く主張していたHawar島の領有権を認め
ハタミ大統領を支援しており、中産階級の られた。Hawar 島については、両国独立ま
インテリに支持されている。
で影響力を行使したイギリスによる
3 月 11 日、ハタミ大統領が国会で改革を 「Hawar島をバハレーンの領土とする」との
続ける意思を表明した数時間後、最近刑務 決定 (1939 年)の有効性が認められた。ただ
所 か ら 釈 放 さ れ た ば か り の メ ン バ ー しカタル側は、Hawar 島を獲得できなかっ
(ジャーナリスト)を歓迎する個人の家で開 たことは遺憾としながらも、要求の80% を
かれた同党の集会を警察が襲い、21名を逮 勝ち取ったとして勝利を宣言するととも
捕した。翌日には 9 名が釈放されたが、12 に、バハレーンとの問題終結に対する満足
名はいまだ収監中である。今までの改革派 感を表明した。特にFasht al-Dibalはノース・
の逮捕と違い、司法府は有罪であれば死刑 フィールド・ガス田に隣接しているため、
もあり得る「国家転覆罪」で起訴すると公 この獲得はカタルにとって経済的な意味で
表している。
も大きいとした。今後、両国は一時中断し
改革派が支配する国会は、150 名の議員 ていた合同委員会を復活させ、協力拡大を
がこの逮捕に憂慮の意を示す公開書簡を出 はかっていくもようである。
し、ナバヴィ国会副議長もハタミ大統領が この 5 日後の 3 月 21 日には、カタルとサ
歴史的なロシア訪問を行う直前にこのよう ウジアラビアが国境協定を締結した。国境
な逮捕を行う司法府を非難する声明を出し に関する争いは、約 35 年に渡るもので、
た。
1992年には軍事衝突にまで発展した。その
また 3 月 18 日には、改革派の新聞・週刊 後はエジプトの仲介で合同委員会を設置し
10
- ニューズレター 20010330て国境確定作業を行い、実質的には1999年
6 月に合意に至っていた。
この 2 つの国境問題終結は、カタルに
とって経済的メリットが大きいと考えられ
る。現在カタルは、パイプラインによるク
ウェートへの天然ガス供給を推進しようと
しているが、この供給ルートはバハレー
ン、サウジアラビアの領海を通るからであ
る。これが、バハレーン、サウジアラビア
への天然ガス供給に発展する可能性もあ
る。(高橋)
はドバイ及び北部首長国向けに輸送され
る。(高橋)
クウェート:アラ石のクウェート権益更新
は困難、石油相次官が発言
クウェートの al-Anba 紙は 3 月 10 日、ク
ウェートが同国油田におけるアラビア石油
の石油採掘権益 (2003 年 1 月で失効)の更新
問題について、" 現行条件のもとでは更新
は困難 " との見通しを日本政府に伝えてい
たと報じた。同紙は、クウェート石油省の
カタル、アラブ首長国連邦:QP、UOG が al-Aoun 次官が 2001 年 1 月末にアラ石の取
Dolphin Projectでterm sheet agreementを 締役会出席のために来日した際 、平沼経済
締結
産業相との会談で「現行の条件での契約更
新は困難であり、更新には現状を上回る条
第 4 回ドーハ天然ガス会議の最終日にあ 件が必要との考えを伝えた」としている。
たる 3 月 14 日、Qatar Petroleum (QP)とアブ 同次官は契約更新のための新たな条件に
ダビの UAE Offsets Group (UOG)は、ドル ついて具体的なコメントをしていないが、
フィン・プロジェクト(カタル産天然ガスを 「クウェートは現在、自国の新たな開発計
UAE、オマーンに供給する予定)の上流部 画との整合性や最新技術の開発の観点から
門開発に関する条件を規定する term sheet 最も良い条件を選択するため、様々なアイ
agreement を締結した。これによると、2001 デアを研究しているところである」と述べ
年下期に掘削を開始し、2005年に生産を開 ている。
始するもようで、UOG への割当鉱区 2 つも しかし、この報道について経済産業省高
決まっている。生産分与 (PS)契約の締結は 官は 3 月 12 日、「クウェートからそのよう
2001 年 6 月になるもようである。
な要求を受けていない」としてこれを否定
こ の プ ロ ジ ェ ク ト で は 、 U O G 、 している。また、アラビア石油は3月12日、
TotalFinaElf、Enron で構成する Dolphin 同社が 2 月下旬にクウェート油田の採掘権
Energy が、カタルのノース・フィールド・ 益期限延長へ向け、クウェート政府に対し
ガス田において PS 契約に基づく天然ガス て新たな操業計画を提出したことと、al生産を行い、その天然ガスをUAEに供給す Aoun次官の発言との関係について、同次官
ることになっている。今回は天然ガスの開 の発言は 1 月末のものであり、アラビア石
発、生産に関わる条件に合意したというこ 油が 2 月下旬に提出した操業計画に対する
とで、今後は、UAE への天然ガス輸送・販 発言ではないことを強調したうえで、同社
売契約に向け調整をはかっていくことにな の提案については、現在クウェート政府内
る。なお、初期段階では 20 億 cf/d の供給を 部で検討が進められていると了解してい
行い、そのうちの 10 億 - 15 億 cf/d はアブダ る、と述べている。(島末)
ビの発電淡水化プラントで消費され、残り
11
-ニューズレター20010330サウジアラビア:工業都市に公益事業会社
を設立
売買の各部門に分割することになってい
る。また、現在国家水利庁が所有している
水力発電所も、新規に設立される発電会社
Reuters (2001.03.21)の報道によれば、サ に移管される。新発電会社は18カ月の移行
ウジアラビア商務省は 3 月 21 日、ジュバイ 期間の間全ての発電所を操業し、その後民
ルとヤンブーで水、電気、下水道の事業を 営化される。同法案に基づき新規に設立さ
行う公益事業会社が設立されたことを発表 れる送電会社は全ての発電会社の送電を行
した。
うことになり、電力の売買は行わない。
新会社の名前は Marafeq であり、資本金 上記法案成立に先立つ 1 月下旬、エネル
25 億リヤールの民間会社として設立され ギー省はBOTベースで建設され、2002年ま
た。主要株主 4 社は、the Royal Commission で に 稼 動 開 始 す る 2 9 カ 所 、 出 力 合 計
of Jubail and Yanbu、the Public Investment 1,379MWの発電所のリストを発表した。そ
Fund、Saudi Aramco、サウジアラビア基礎 れらは、風力発電所 17、水力発電所 7、ガ
産業公社 (SABIC)の 4 社であり、それぞれ ス発電所 4、地熱発電所 1 から成り、風力
24.77%を保有する。残りは両工業都市の一 を中心とするクリーン・エネルギーを指向
般投資家が保有する。同社株式の譲渡は今 するものとなっている。
後 2 年間は禁止されているが、その後株式 上記のような自由化を受けて、新たな調
公開を行う予定である。
整組織も設立される予定である。同組織
サウジ政府は、従来the Royal Commission は、電力市場の総括、価格の設定、発送電
of Jubail and Yanbuが行ってきた産業インフ の認可、入札の監視などを行う機能を持
ラ 関 連 事 業 を 民 営 化 す る 方 針 で あ り 、 ち、エネルギー大臣の管理下に置かれ、内
Marafeg の設立は 2000 年 10 月 9 日の閣議で 閣が任命する 7 人の委員から構成される。
承認されていたものである ( R e u t e r s ,
(三井)
2000.10.09; MEES 2000.10.16)。(原)
トルコ:緊急経済対策パッケージを発表
トルコ:エネルギー自由化法案が成立
トルコ議会で 2 月 20 日、エネルギー自由
化法案が通過した。これは 2000 年 12 月に
IMFがトルコに75億ドルの緊急融資を行っ
た際に、IMF がトルコに対して要求してい
た条件である。
同法案はエネルギー部門に対する政府の
独占を廃止するもので、特に今後20年間で
400% の増加が予想される電力事業に民間
資本を導入しようとする意図がある。その
ために、現在、発送電の全てを行っている
トルコ電力庁 (TEAS)を、発電、送電、電力
経済危機に見舞われているトルコで 3 月
14日、デルヴィシュ新経済担当国務相が緊
急対策パッケージを発表した。同パッケー
ジは次の 4 点を骨子としており、さらに金
融政策、銀行セクター、民営化、社会経済
などの項目について詳細なアクション・プ
ランを規定している。
・2000 年 11 月及び 2001 年 2 月の金融危機
によるダメージ、特に銀行に対するダ
メージを克服する。
・できるだけ早く市場から不安定感と危
12
- ニューズレター 20010330機感を取り除く。
・金利及び変動相場に移行したトルコ・リ
ラの安定性を確保する。
・2001 年下半期には経済成長が見込まれ
るよう、安定した基盤を提供する。
テクノロジー・ショーケースは、産業界、
学会、政府関係者が一堂に会するいわばテ
クノロジー・サミットともいうべき見本市
で、1996 年の第 1 回から米国内で開催され
てきていた。今回、イスタンブールで初め
て開かれることになった背景には、トルコ
しかし、15 日付の国内各メディアは、今 を東欧進出への基地にしたいとの両国の意
回発表されたパッケージは、為替対策や通 向が働いたものと思われる。2 月 22 日には
貨対策など根本的対策が示されておらず、 Pearson 米国大使と Urbancic 総領事主催に
市場を落ち着かせることのできる要素が欠 よる設立準備会議が開かれ、トルコ実業界
如しており、今までに失敗した改革プログ のトップも出席した。なお、トルコ側から
ラムの焼き直しにすぎない、などと批判し は Istanbul Fair Management (ITF)と Imark
た。
Communications が共催者となっている。
また、15 日付 Reuters は米国経済アナリ
(上田)
ストの談話として「銀行改革はトルコの時
限爆弾とも言われており、緊急に手を着け
なければならない課題であるが、古くから トルコ:イラクとヨルダンへ通商代表団を
の政治家や官僚が銀行を利益マシーンとし 派遣
て利用しており、改革に着手することは多
くの敵を作る作業である」という趣旨の記 3 月 12 - 19 日、Kursad Tuzmen 貿易省次
事を伝え、デルヴィシュ経済担当国務相の 官を団長とする通商代表団がイラクとヨル
経済改革の実効性に疑問を投げかけてい ダ ン を 歴 訪 し た 。 帰 国 後 の 記 者 会 見 で
る。
Tuzmen次官は、訪問が成功裏に終わったと
一方で、労働組合等は改革の必要性に理 述べるとともに、イラク側と 2 億 5000 万ド
解を示したと伝えられており、国内にはこ ル、ヨルダン側とは6000万ドルに上る契約
の機会に根本的な経済改革を期待する声も が成立したことを明らかにした。
大きい。(三井)
今回の訪問で、トルコとヨルダンは、自
由貿易協定の締結についても原則的に合意
に達したという。一方、対イラク貿易につ
トルコ:イスタンブールでテクノロジー・ いて、同次官は「2001 年の輸出額が当初見
フェアが開幕
込まれていた 3 億 7500 万ドルから 10 億ド
ルに増加する可能性もある」と示唆した
2001 年 3 月 9 - 11 日、イスタンブールの が、オイル・フォー・フード計画とのかね
CNR国際フェアセンターで、米国政府の後 あいもあり、国連がこの貿易拡大を認める
援による「イスタンブール新興市場テクノ かどうかは微妙な情勢だ。
ロジー・ショーケース (Istanbul Emerging トルコの対イラク貿易は、1990年代初め
Markets Technology Showcase)」
が開催され、 には年間25億ドルに達していたが、湾岸戦
参加企業や見学者に最新のテクノロジー事 争を境に激減している。(上田)
情が披露された。
13
-ニューズレター20010330パレスチナ:アラブ諸国からの経済援助の ウズベキスタン:外相がアフガニスタンの
動きが加速
「北部同盟」代表団と会談
2000 年 10 月にカイロで開かれたアラブ
首脳会議では、パレスチナに対する総額10
億ドルの支援基金の創設が決められたが、
実際の動きは鈍く、これまでに送金された
のはわずか 8000 万ドルに過ぎない。しか
し、悪化の一途をたどるパレスチナの経済
状況と、アラブ諸国で高まるパレスチナへ
の同情の声に押される形で、湾岸戦争の経
緯からこれまでアラファト体制への直接の
支援を避けてきたサウジアラビア、UAE、
クウェートなどの湾岸諸国も、自治政府に
対する援助にゴーサインを出した模様だ。
計画では、今後 6 カ月間、アラブ諸国が
自治政府に対して毎月 4000 万ドルの援助
資金を供与する。3 月 27 - 28 日にアンマン
で開かれるアラブ首脳会議で正式な承認を
受けた後、イスラーム開発銀行が送金を実
行する予定である。
但し、アラブ首脳の間でも、自治政府内
に広まる汚職や非効率的な運営、不透明な
財政を問題視する声は多い。これまで自治
政府に送金された援助資金についても、イ
スラーム開発銀行と自治政府側の発表する
数字には大きな食い違いが見られるのが実
情だ。イスラーム開発銀行のムハンマド・
アリー総裁は、送金手続きが遅いという自
治政府の批判を否定するとともに、承認済
みの 5 件の緊急援助プログラム (総額 7500
万ドル)についても、
厳正な規則に従って手
続きを進めると言明している。(上田)
ウズベキスタンのカミロフ外相は3月15
日、同国を訪問したアブダッラー外相が率
いるアフガニスタンの「北部同盟」の代表
団と会談し、アフガン情勢及び地域の安全
保障問題を協議した。北部同盟は、国連が
承認するラッバーニー政権 (大統領)が中心
となった 反ターリバーン勢力であるが、ア
フガニスタンで実効支配している地域は、
ターリバーンの 95% に対して、5% に過ぎ
ないといわれる。
アブダッラー外相は一連の会談後、記者
団に対して、ウズベク政府が昨年ターリ
バーンと連絡体制を確立したことを認める
一方で、「ウズベク政府はラッバーニー政
権に対する公式承認を撤回していない」と
表明した。また同外相はカミロフ・ウズベ
ク外相に対して、アフガニスタンからイス
ラム武装勢力である「ウズベキスタン・イ
スラム運動」を追放する姿勢を示したこと
を明らかにした。一方アブダッラー外相
は、
「(アフガン和平に向けた) 6 + 2 グルー
プは、和平をもたらさない。そのうちの 1
カ国がターリバーンに軍事支援しているか
らだ」と表明し、ターリバーンを承認して
いるパキスタンを暗に批判した。
今回、
「北部同盟」代表団がターリバーン
との連絡体制を確立しているウズベキスタ
ンを訪問したのは、ターリバーンがアフガ
ニスタン国内で歴史的価値の高い石仏を相
次いで崩壊させて、国際社会から非難を浴
びる中で、アフガニスタンで唯一正当な政
権としての地位を改めてアピールすること
が目的であったとみられる。
(岩木)
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