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山手線新大久保駅可動式ホーム柵新設に伴う 乗降場改良工事
● 施工の記録 ● 山手線新大久保駅可動式ホーム柵新設に伴う 乗降場改良工事 はじめに 本工事は、JR東日本東京支社より受注した工事で、新大久保駅にホームドアを設置するための工事です。 当社では、池袋駅に続き2駅目の工事となります。今回は、現場乗込み(平成23年11月)から現在(平成26 年1月)に至るまでの約2年間を振返りながら工事の紹介をさせていただきます。 1 工事概要 工 事 件 名: 山手線新大久保駅可動式ホーム新設に伴う乗降場改良その他(その2)工事 工 期: その1工事 ・・・ 平成23年10月16日 ∼ 平成25年 2 月28日 その2工事 ・・・ 平成24年 9 月16日 ∼ 平成26年 1 月 9 日 主 要 工 種: 盛土ホーム改良 290.8 m(内回り 152.6 m、外回り 138.2 m) 計 456.5 m 桁式ホーム改良 165.7 m(内回り 175.4 m、外回り 90.3 m) 2 着手∼機械引渡し(施工期間 : 平成23年11月 ∼ 平成25年4月) 主要工種 : 盛土ホーム改良、桁式ホーム改良、調整プレート設置 (1)盛土ホーム改良 既設の盛土ホームを桁式構造に改良します。施工順序は、口元管設置→EAZET杭打設→本受桁・沓座設置 →土留め縦桁設置→盛土掘削→PC板設置という順序で行いました。 EAZET杭打設 本受桁設置 PC板設置 また、盛土掘削を行った後に、ホームを覆工しなければなりませんが、覆工方法としてフレーム材を用 いた覆工方法を採用しました。フレーム材を用いた覆工方法は、すでに設置した桁と桁間に受台とフレー ム材を設置し、その上に鋼製覆工板を設置して覆工する方法です。この覆工方法は、当社で採用するのは 初めてだったため、置場に仮想桁を設置して、フレーム材の使用方法の勉強会を開催してから施工に臨み ました。 置場での勉強会 フレーム材設置 鋼製覆工板設置 この覆工方法を採用することで、ホーム復旧に要する時間が格段に短くなり、実施工時間を多くとるこ とができ、順調に進めることが出来ました。 (2)桁式ホーム改良 桁式ホームの改良は、補強支柱を設置するのがメインで、既設を利用することが基本であるため、盛土 式ホームの改良に比べて施工手順が少ないので簡単に思われがちです。しかし、盛土式ホームの改良は、自 分達で管理数値を決めて施工していけるのに比べ、桁式ホームの改良は、既設を利用するため、既設数値 の悪い場所は設計計算を行って、壊したり削ったりする必要があったことと、設計はJR東日本の財産図を 用いているため、設計と実際のホーム形状が違っている場所があったりと、目に見えない苦労がありました。 補強支柱設置 (3)盛土式・桁式ホーム共通 補強支柱・基礎設置(単独) 補強支柱・基礎設置 (4本連続) ホームの構造改良が完了したら、ホームドアを固定するためのプレート(調整プレート)の設置となり ます。事前に機械との共同確認を行って調整プレートの位置を確認してから、調整プレート1枚当たり6 箇所のボルト固定孔と2箇所のケーブル開口孔を約240枚分(約2,000孔)削孔しました。 新大久保駅は、ホーム内に橋りょう区間があるため、橋りょう部の施工の際は、道路使用許可を取得し、 ホーム上と道路上(ホーム下)からの作業となりました。 土木・機械共同確認 ボルト固定部削孔 調整プレート設置 3 機械引渡し∼ホームドア搬入(施工期間 : 平成25年5月 ∼ 平成25年8月) 主要工種 : ホーム先端部改良(無収縮モルタル打設、先端タイル設置、警告ブロック設置(1段)) 機械への引渡し後、機械工事で調整プレート位置と高さが決まったら、ホーム先端部の改良となります。 ホーム先端部の仕様は、電車への乗降口は、タイル(先端タイル、警告ブロック2段)を設置し、ホーム ドア周囲は、無収縮モルタルの打設を行います。 池袋駅では、ホームドアの搬入後に無収縮モルタルの打設とタイルの設置を行いましたが、新大久保駅 では、コストダウンの関係で、ホームドア搬入から使用開始までの期間が40日間と短縮(池袋駅では約 60日間)され、ホームドア搬入前に先端部の改良が必要となりました。 先端部の改良には、箱抜き工法と呼ばれる工法を採用しました。この工法は、ホームドア搬入後の調整 幅を事前に箱抜き(スペースの確保)を行って、周囲に無収縮モルタルを打設する工法です。 箱抜き工法 箱抜き工法後のタイル設置 先端・警告タイル設置 4 ホームドア搬入∼使用開始(固定柵期間)(施工期間 : 平成25年8月 ∼ 平成25年9月) 主要工種 : ホーム先端部改良(警告ブロック設置(2段))、誘導ブロック設置、アスファルト舗装 ホームドアの搬入には、機械・土木合わせて約100人の作業員を動員して、ホームを4分割して4日間で 搬入を行いました。 ホームドア搬入後の仕様は前述したとおり、乗降口は先端タイル+警告ブロック(2段)、乗降口間は 誘導タイルとなるため、警告・誘導ブロックの設置がメイン作業となりました。 機械工事のほうも、40日間という短い期間でホームドアの調整や開閉試験等、使用開始に向けた機械 工事の最盛期を迎えるため、作業終了後に、次の日の作業場所の確認を行い、競合調整を綿密に行いました。 警告ブロック(2段)設置 誘導ブロック設置 アスファルト舗装 5 使用開始∼しゅん功(施工期間 : 平成25年9月 ∼ 平成25年12月) 主要工種 : ホーム先端改良(ドア根巻き)、カラー舗装、ホームジョイント設置、アスファルト舗装 使用開始後は、発報停止というホームドアを開けても警報を鳴らさない措置をとってからの作業となる ため、作業時間が1時間弱短くなってしまったため、時間管理をシビアに設定して作業を行いました。 着手時(平成23年11月) 完成(平成26年1月) おわりに 平成25年9月28日初電から、無事に新大久保駅のホームドアを開業することができました。開業後は、 ホーム舗装(アスファルト舗装、カラー舗装)等の周辺設備の工事を行い、平成25年12月10日をもって 施工を完了することができました。 平成23年11月8日から現場に乗込み、平成25年12月10日の施工完了で764日が経過しました。このう ち578日間作業を行い、作業規制日(57日間)を勘案すると、81.8%の稼働率(1ヶ月30日中25日程度) となります。しかも、ATOS禁止日のような、仕事をしたくても出来ない日もあるため、ATOS禁止日以 外は作業日という状態で作業を行っていたため、現場は2週間以上休みをとることができない状態になる ことが何度もあり、作業員の体調に気を配りながら作業を行いました。 私自身も、昼間は施工計画、工事書類の作成のほかに、発注者や施工・材料業者との打合せ、夜間は年 間200回を超す現場従事と、これほど長期にわたり継続的に現場に携わった経験がなかったため、いろい ろな面でとても勉強になりました。今回の工事を振返ってみて、着手から機械引渡し、ドア搬入、使用開始、 しゅん功と、ずっと全力で駆け抜けた2年間でした。