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地域農水産物の機能性成分に着目した商品開発と

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地域農水産物の機能性成分に着目した商品開発と
平成19年度農林水産省補助事業
「農水産物機能性活用推進事業」報告書
地域食品の試作と評価
及び
試作後の取り組みの状況
(・地域農水産物の機能性成分に着目した商品開発とその評価)
(・平成17・18年度試作品のその後の取り組みの状況)
平成20年3月
財団法人 食品産業センター
まえがき
近年、健康志向の高まりにより、国産原料を使用した付加価値のある食品へのニーズが
高まっており、地域の農水産物と地域の食品企業を活用し、地域農水産物の機能性に着目
した食品を開発・育成する取り組みが求められています。
(財)食品産業センターでは平成17・18年度に引き続き平成19年度においても農
林水産省の補助事業として、「農水産物機能性活用推進事業」を実施し、地域農水産物の機
能性に着目した食品の試作品開発・試食評価を行うと共に、3年目を迎えた本事業の中間
的な取りまとめとして平成17・18年度試作品のその後の取り組み状況を現地調査又は
書面調査によって確認し、そのうちのいくつかについては試食評価も行いました。
これまで2年間の報告書は、試作に係わる部分と食品科学的見地からの概要検討部分を
別冊として取りまとめましたが、今年度は試作品開発・試食評価と平成17・18年度試
作品が商品化に向けてその後どのような取り組みを行っているかの調査という試作品を軸
にした事業内容で関連性がより強いため、大冊とはなりましたが1冊の報告書として取り
まとめることと致しました。
機能性に着目した食品を地域の食品企業が市場化することを支援する一助として、本報
告書が関係者の参考になれば幸いです。
当事業の推進に当たって、ご指導いただいた本検討委員会の委員の方々、及び試作・調
査に当たってご協力頂いた方々に厚くお礼を申し上げます。
平成20年3月
財団法人
食品産業センター
平成17年度試作品
ブルーベリーティー(青森県)・・・P149
自然薯ゼリー(ソルベ)(宮城県)・・・P155
柿皮ゼリー(宮城県)・・・P163
平成17年度試作品
金時草カステラ(石川県)・・・P105
しおふき天王寺蕪(大阪府)・・・P169
やまもも茶(徳島県)・・・P69、137
しおふき毛馬胡瓜(大阪府)・・・P177
平成18年度試作品
低カロリーこんにゃくスプレッド
(群馬県)・・・P55、95
メグスリノキ葉茶(埼玉県)・・・P185
中島菜せんべい(石川県)・・・P115
ツナキャンディー(静岡県)・・・P195
平成18年度試作品
てん茶の焼き菓子(京・流れ橋クッキー)
(京都府)・・・P63、125
有色米ドリンク酢(岡山県)・・・P201
青のり入りスープ(高知県)・・・P209
青のり入り珍味(高知県)・・・P215
平成19年度試作品
鯖そぼろ(千葉県)・・・P9
小菊かぼちゃ入ちくわ(石川県)・・・P17
ガゴメコンブ巻(富山県)・・・P25
春菊ふりかけ(大阪府)・・・P33
網干メロンパン(兵庫県)・・・P41
試食検討会
意見交換会
意見交換会
意見交換会
目次
1.事業の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
(1)事業の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
(2)事業の内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
(3)検討委員会の構成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4
2.商品の試作・評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
5
(1)商品の試作・評価・機能性成分分析 (地域名)・・・・・・・・・・
5
①鯖そぼろ(千葉県) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
9
②小菊かぼちゃ入ちくわ(石川県)
・・・・・・・・・・・・・・
17
・・・・・・・・・・・・・・・・・
25
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
33
・・・・・・・・・・・・・・・・・
41
③ガゴメコンブ巻(富山県)
④春菊ふりかけ(大阪府)
⑤網干メロンパン(兵庫県)
(2)試食対象とした平成17・18年度試作品の評価(地域名)
・・・
51
①低カロリーこんにゃくスプレッド (群馬県)・・・・・・・・・・
55
②京・流れ橋クッキー (京都府)・・・・・・・・・・・・・・・・
63
③やまもも茶・やまもも茶(果実入) (徳島県)・・・・・・・・・
69
(3)試食評価のまとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
80
3.平成17・18年度試作品のその後の取り組みの状況・・・・・・・・・・
82
(1)現地調査報告・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
83
Ⅰ
調査の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
83
Ⅱ
調査結果の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
85
Ⅲ
個別品目の調査結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
95
①低カロリーこんにゃくスプレッド (群馬県)・・・・・・・・・・
95
②金時草カステラ(石川県)
・・・・・・・・・・・・・・・・・105
③中島菜せんべい(石川県) ・・・・・・・・・・・・・・・・・115
④てん茶の茎入り焼き菓子(京・流れ橋クッキー) (京都府)・・・125
⑤やまもも茶 (徳島県)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・137
(2)書面調査報告・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・146
Ⅰ
調査の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・146
Ⅱ
個別品目の調査結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・149
①ブルーベリーティー(青森県) ・・・・・・・・・・・・・・・149
②自然薯ゼリー(ソルベ)(宮城県) ・・・・・・・・・・・・・・155
③柿皮ゼリー(宮城県)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・163
④しおふき天王寺蕪(大阪府)
・・・・・・・・・・・・・・・・169
⑤しおふき毛馬胡瓜(大阪府)
・・・・・・・・・・・・・・・・177
⑥メグスリノキ葉茶(埼玉県)
・・・・・・・・・・・・・・・・185
⑦ツナキャンディー(静岡県)
・・・・・・・・・・・・・・・・195
⑧有色米ドリンク酢(岡山県)
・・・・・・・・・・・・・・・・201
⑨青のり入りスープ(高知県) ・・・・・・・・・・・・・・・・209
⑩青のり入り珍味(高知県)
・・・・・・・・・・・・・・・・・215
(3)平成17・18年度試作品のその後の取り組み状況のまとめ・・・・221
4.
中間取りまとめ
―役立つ情報発信に向けて―・・・・・・・・・・・・222
資料編
資料編①
試食モニターコメント集約・・・・・・・・・・・・・・・・・・235
資料編②
意見交換会概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・266
(本事業は農林水産省補助事業である食料産業クラスター展開事業のうち農水産物機能性
活用推進事業として実施した。)
1.事業の概要
(1)事業の目的
人口減少と高齢化が進む我が国の食料消費は、既に飽和状態にあることから、今後の食
品産業と農水産業の進展にとって機能性に着目した商品の開発・販売が極めて重要と考え
られるが、これに対応できるのは概して技術力・資本力に勝る大手食品企業であり、また、
これら企業は大量販売を基本としていることから、原料手当を海外に依存することが多く
なっている。
一方、我が国の中小食品企業は、伝統的に地域の農水産業と深く結びついてきたが、概
して技術力・資本力において劣ることが多く、地域農水産物が地場市場を喪失する傾向に
ある。
このため、地域農水産物の有する機能性に着目した食品を地域の食品企業が市場化する
ことを支援し、食品開発状況の調査・分析、機能性成分についての検討を行うとともに試
作品の開発・試食評価を行うことにより、地域の食品企業の振興と地域農水産業の進展を
図ることを目的とする。
(2)事業の内容
学識経験者、試験研究機関、食品企業及び消費者団体等の分野を代表する委員により構
成される検討委員会を設置し、以下により検討を行った。
(ⅰ)機能性成分の活用方法等の検討
①
地域農水産物に含まれる機能性成分の活用方法、食品加工に利用する上での留
意点等を整理し、今後の地域農水産物を使った機能性に着目して開発された食品
の市場化への参考とするため、平成17・18年度試作品について試食検討会・
意見交換会でのモニター・検討委員会委員からの指摘事項・意見等を踏まえて商
品化に向けてその後どのような取り組みが行われているかを調査した。調査は、
検討委員会において特に詳細な調査を行うこととした試作品については(社)日
本アグリビジネスセンターに依頼することとし現地において聞き取り調査を、そ
れ以外の試作品については各試作協力先・連携先に原稿依頼し書面による調査を
行い、本報告書の「3.平成17・18年度試作品のその後の取り組みの状況」
においてその内容を取りまとめた。
また、今年度試作品について、加工による機能性成分含有量の変化を確認するた
め、加工直前の原料形態時及び試作品形態時のそれぞれでの機能性成分含有量を
測定した。
(ⅱ)機能性成分を活用した商品の試作・評価
①
食品関係試験研究機関・大学・企業に対し今後の機能性に着目した商品開発の
1
振興方策を検討するため実施した平成17年度第2回のアンケート調査(平成1
8年2月)において、19年度以降で機会があれば試作協力先となることを希望
する、とした組織などを対象に、応募内容を審査のうえ対象案件を決定した。
②
試作品について、一般パネラーを加えて試食検討・評価を行った。
③
平成17・18年度試作品のうち前述の現地での聞き取り調査対象品で商品化
されているもの及び改良された試作品について今年度試作品と同時に一般パネ
ラーを加えて試食検討・評価を行った。
④
試食品の概要及び試食検討・評価結果を、本報告書の「2.商品の試作・評価」
においてその内容を取りまとめた。
*注)
本報告書では、試作協力先からの報告・試食モニターによる記載事項・意見交換会で
の出席者発言等については、極力そのままの状態を伝える内容としている。
また、今回の事業では、商品化されているもの以外の試食品については「試作品」と
いう位置づけから、その評価に関し、包装・表示に関しては評価の対象外としており、
内容についての詳細な検討も行っていない。
このため、本報告書においては、用語等の定義・既存法令による規定等からは一部適
当でない表現が含まれているが、本事業の趣旨・試作者の意向等をふまえ、あえてそれ
らの整合を図っていない事に留意されたい。
2
<事業実施のフローチャート>
第1回検討委員会
7月上旬:試作依頼先決定
試作協力者報告①
(試作構想)
第2回検討委員会
試作進行状況確認
試作協力者報告②
(試作品内容・分析結果)
11月下旬:
試食検討会・意見交換会
試食検討会結果集約・送付
試作協力者報告③
(試食検討会結果を受けて)
第3回検討委員会
3月下旬:報告取りまとめ
3
(3)検討委員会の構成
<検討委員>
座長 小林 昭一
鎌田 克幸
石川 祐子
廣瀬 理恵子
岩手大学 特任教授
日本菓子専門学校 事業局長 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所
食品機能研究領域 機能性成分解析ユニット ユニット長
(財)東京都農林水産振興財団 東京都農林総合研究センター
食品技術センター 主任研究員
関根 啓子
東京都消費者月間実行委員会 事務局長
山田 雄司
山崎製パン(株) 中央研究所
宮川 早苗
CMPジャパン(株)
門間 裕
(社)日本アグリビジネスセンター 常務理事
所長
「食品と開発」編集長
<事務局>
信太 英治
(財)食品産業センター 企画調査部長
神保 肇
(財)食品産業センター 企画調査部 次長
鷺 仁子
(財)食品産業センター 企画調査部 主任
2.商品の試作・評価
(1)食品の試作・評価・機能性成分分析
平成17年度に実施した第2回アンケート調査(平成18年2月)で、19年度以降で
機会があれば試作協力先となることを希望する、とした組織などを対象に委員会において、
農水産物・地域・試作品形態等のバランスも考慮し5組織を試作協力組織とし、5品目の
試作を行うことを決定した。(試作品一覧は表①参照)
完成した試作品については、今後の改善につなげるため試食検討会及び意見交換会の集
約結果を試作協力者にフィードバックした。
試食検討会は、11月19日~11月22日にかけて3ヶ所で実施し、委員会で検討し
たモニター項目に沿って、各試作品について意見を収集した。
試食に当たっては、各試作品を試作協力先の指定した方法で試食を行いモニター用紙に
記入し、順番に5品目の試食を行った。
試食モニターは合計64名で、大きく「専門的な知見を有している」
「業務上食味試験を
行っている」「一定のモニター経験を持っている」「ほとんど経験を持っていない」の4群
に分けられる。(各モニター群の性別・年齢別分布は表②、試食検討会の結果については、
数値集計は表③、各モニターのコメントは資料編①、モニター用紙は表④参照)
)
なお、今回の試食評価にあたっては、各モニターの感覚を基準としたため、表③につい
ては、絶対値としての数字ではなく、試作品毎のあるいは評価項目毎の相対値としての比
較に用いたものである点に留意されたい。
意見交換会については、11月20日に開催し、検討委員会委員・試作関係者相互に試
作品に関して更に検討が必要と思われる点等について意見交換を行った。
(概要は資料編②
参照)
また、機能性成分の分析については、試作協力先が自組織内もしくは外部に依頼して加
工直前の原料形態時及び試作品形態時のそれぞれでの含有量を測定することとした。
分析にあたっては公定法を用い、公定法のないもの及び公定法では分析が困難と思われ
るものについては、一般的に妥当と思われる方法を用いることとした。
なお、統計的有意性までは求められなかったことから、分析数値の信頼度の点には留意
が必要である。
<表①>
試作品一覧
組織名
試作品
着目した機能性成分
試作品概要
連携組織
鯖そぼろ
タウリン
ゴマサバをそぼろ状に加工し、玉葱・人参・生姜
千葉県水産総合研究センター
を加え魚の臭みを消し食べやすくした缶詰。
(株)スギヨ
小菊かぼちゃ入ちくわ
カロテン
(カロチノイド)
地域特産農産物と地域特産水産物との調和の
ため、一般企業の農業参入の石川県第一号と
石川県農業総合研究センター
して自社農場で栽培した小菊カボチャを利用し
た焼きちくわ。
株式会社KOフードテック
ガゴメコンブ巻
フコイダン
鰊などの具材を海洋深層水を利用して栽培した
富山県食品研究所
ガゴメコンブで巻き上げ、調味液で味付け後、真
富山県水産試験場
空包装・加熱殺菌したコンブ巻。
大阪府
環境農林水産総合研究所
春菊ふりかけ
ヤヱガキ醗酵技研(株)
網干メロンパン
田原缶詰(株)
α-ピネン
クロロゲン酸
γ-アミノ酪酸
カリウム
大阪府特産の春菊の葉を凍結乾燥後、加工し
たふりかけ。
光陽レース株式会社
株式会社みなり
兵庫県地場伝統野菜の網干メロンを粉末加工
し、これを利用したパン。
兵庫県立農林水産技術総合センター
<表②>
試食モニター分類
男
29歳以下
30歳~39歳
40歳~49歳
50歳~59歳
60歳以上 合計
2
4
4
6
6
22
合計
女
4
11
13
5
9
42
専門的な知見を有している 業務上食味試験を行っている 一定のモニター経験を持っている ほとんど経験を持っていない
計
男
6
15
17
11
15
64
女
0
0
0
1
3
4
計
0
0
2
2
0
4
男
0
0
2
3
3
8
女
0
0
0
0
2
2
4
2
2
2
1
11
計
男
4
2
2
2
3
13
女
0
0
1
0
0
1
<表③>
試食検討会モニター結果集約
(評価は1から4の4段階で行い、最も高評価のものを4として回答。)
地域
富山
千葉
石川
石川
試作品名
鯖そぼろ
小菊かぼちゃ 小菊かぼちゃ
入りちくわ
入りちくわ
(A:早熟)
(B:完熟)
ガゴメ
コンブ巻
計
0
6
7
0
8
21
0
6
8
0
8
22
男
女
2
4
3
5
1
15
計
0
3
2
1
0
6
大阪
兵庫
春菊ふりかけ
網干
メロンパン
2
7
5
6
1
21
平均
食味
2.6
3.1
3.3
2.8
3.2
2.8
2.2
3.4
3.2
3.0
2.2
2.9
2.8
3.0
後味
2.9
2.7
2.6
3.2
3.0
2.9
2.9
目新しさ・独創性
くせ
2.8
2.9
2.8
3.2
2.9
2.9
2.9
食感
2.8
3.0
2.9
3.3
2.8
2.9
3.0
香り
2.7
2.4
2.4
3.1
2.3
2.8
2.6
食べやすさ
3.2
3.1
3.1
3.5
3.2
3.0
3.2
色彩
2.6
3.2
3.0
3.1
3.5
2.9
3.1
素材が生かされているか
3.0
2.7
2.7
3.3
2.8
2.5
2.8
地場の名産になり得るか
2.6
2.7
2.7
3.0
2.6
2.3
2.7
値頃感・市場性
2.8
2.6
2.5
2.8
2.2
2.6
2.6
この機能性要素に関心があるか
2.9
2.5
2.6
2.6
2.1
2.4
2.5
開発ターゲットと合っているか
2.7
36.9
2.7
36.6
2.8
36.3
3.0
39.5
2.3
35.9
2.4
34.8
2.6
36.7
合計
<表②>
試食モニター分類
男
29歳以下
30歳~39歳
40歳~49歳
50歳~59歳
60歳以上 合計
2
4
4
6
6
22
合計
女
4
11
13
5
9
42
専門的な知見を有している 業務上食味試験を行っている 一定のモニター経験を持っている ほとんど経験を持っていない
計
男
6
15
17
11
15
64
女
0
0
0
1
3
4
計
0
0
2
2
0
4
男
0
0
2
3
3
8
女
0
0
0
0
2
2
4
2
2
2
1
11
計
男
4
2
2
2
3
13
女
0
0
1
0
0
1
<表③>
試食検討会モニター結果集約
(評価は1から4の4段階で行い、最も高評価のものを4として回答。)
千葉
石川
石川
富山
地域
試作品名
鯖そぼろ
小菊かぼちゃ 小菊かぼちゃ
入りちくわ
入りちくわ
(B:完熟)
(A:早熟)
計
0
6
7
0
8
21
0
6
8
0
8
22
大阪
ガゴメ
コンブ巻
春菊ふりかけ
男
女
2
4
3
5
1
15
計
0
3
2
1
0
6
2
7
5
6
1
21
兵庫
群馬
京都
徳島
徳島
網干
メロンパン
低カロリー
こんにゃく
スプレッド
京・流れ橋
クッキー
やまもも茶
やまもも茶
(果実入)
平均
食味
2.6
3.1
3.3
2.8
3.2
2.8
2.2
3.4
3.2
3.0
2.2
2.9
3.4
2.9
2.8
3.1
2.9
2.1
3.1
2.6
2.9
2.9
後味
2.9
2.7
2.6
3.2
3.0
2.9
3.0
2.9
2.1
2.6
2.8
くせ
2.8
2.9
2.8
3.2
2.9
2.9
2.9
2.7
2.0
2.4
2.8
食感(口当たり)*
2.8
3.0
2.9
3.3
2.8
2.9
2.9
3.1
2.3
2.7
2.9
香り
2.7
2.4
2.4
3.1
2.3
2.8
2.8
3.1
2.0
2.4
2.6
食べやすさ(飲みやすさ)*
3.2
3.1
3.1
3.5
3.2
3.0
3.1
3.1
2.2
2.7
3.0
目新しさ・独創性
色彩
2.6
3.2
3.0
3.1
3.5
2.9
3.2
3.4
2.7
3.3
3.1
素材が生かされているか
3.0
2.7
2.7
3.3
2.8
2.5
3.1
3.3
2.8
3.1
2.9
地場の名産になり得るか
2.6
2.7
2.7
3.0
2.6
2.3
3.0
3.1
2.6
3.0
2.8
値頃感・市場性
2.8
2.6
2.5
2.8
2.2
2.6
2.8
2.9
2.3
2.6
2.6
この機能性要素に関心があるか
2.9
2.5
2.6
2.6
2.1
2.4
2.9
2.8
2.6
2.8
2.6
開発ターゲットと合っているか
2.7
36.9
2.7
36.6
2.8
36.3
3.0
39.5
2.3
35.9
2.4
34.8
3.2
39.1
3.1
39.3
2.6
31.2
2.9
36.1
2.8
36.6
2.7
2.8
合計
意匠・ネーミング
*「食感」・「食べやすさ」については、飲料(やまもも茶・やまもも茶(果実入))では、
それぞれ「口当たり」・「飲みやすさ」という設問で評価。
<表④>
「農水産物機能性活用推進事業」試食検討会モニター用紙(試作品)
年齢
29 歳 以 下 ・ 30 歳 ~ 39 歳 ・ 40 歳 ~ 49 歳 ・ 50 歳 ~ 59 歳 ・ 60 歳 以 上
性別
男・女
試食品
評価高
←
1
2
3
目新しさ
・
独創性
食味
後味
→
評価低
4
5
6
7
8
くせ
食感
香り
食べやすさ
色彩
4・3・2・1
(4段階の評価とし最高評価を4、最低評価を1としてご記入下さい)
好ましかった点
9
10
11
素材が生かさ 地場の名産に
れているか
なり得るか
改善してほしい点
開発ターゲット
想定される小売価格帯
狙い・訴求ポイント
アレルギー表示の必要な原材料
利用部分
産地
機能性成分
13
この機能性要 開発ターゲッ
素に関心があ トと合ってい
るか
るか
その他
<試食品について>
利用した農水産物
値頃感
・
市場性
12
ゴマサバ
鯖そぼろ
<①鯖そぼろ>
試作協力先:田原缶詰株式会社
1.試作品について
内容量
80g
納入数
80缶
利用した地域農水産物名
ゴマサバ
利用部分
血合肉、小骨を含む可食部
利用した地域農水産物の産地
千葉県、銚子地先
収穫時期
11月~6月
試作にあたっての着眼点
ゴマサバがタウリンを含む血合肉の割合が高い事に着目した
着目した機能性成分
タウリン
商品区分・形態
試食にあたっての留意点
水産物と野菜の混合煮(缶詰)
特に無し
想定される小売価格帯
150円
商品化に当たって
苦労した点
鯖の製品後の水分調整
蒸煮後の魚のクリーニング
味の調整
試作品の特徴
想定されるターゲット
アレルギー表示の
必要な原材料
常温
保存方法
血合部分、小骨を含めて加工した。
玉葱・人参・生姜を加え魚の臭みを消し食べやすくした。
肝臓が疲れてたり、身体がむくむ、息切れするといった健康上の不安を抱えている中高年
小麦、大豆、さば
連携した組織
千葉県水産総合研究センター
試作品作成組織
田原缶詰株式会社
試作にあたっての
スケジュール概要
9月原料調達
10月試作検討
11月試作品完成
その他特記事項
特に無し
2.使用原材料及び割合(1%未満のものについては原材料名のみ)
原材料名
割合(%)
原材料名
割合(%)
ゴマサバ
60.0
清酒
-
人参
7.5
みりん
-
玉葱
7.5
グァーガム
-
醤油
8.1
調味料
-
砂糖
5.2
水
10.5
3.試作品製造工程
1.冷凍さば解凍
↓
↓
7・詰込・秤量(60g)
2.頭・内臓・尾除去
↓
↓
8.注液(20g)
3.蒸煮(30~40分)
↓
↓
9.巻締・封缶
↓
4.クリーニング(皮、骨の除去)
↓
10.殺菌・冷却(120℃/45分)
5.加熱(水分除去)
↓
6.野菜混合(人参・玉葱ミジン切)
↓
11.製品
4.試食品評価
*鯖そぼろ
(意見交換会)
<試作協力者説明>
私ども千葉県銚子の田原缶詰では、今回千葉県水産総合研究センターより依頼があり、
「鯖そぼろ」の試作を行った。
今回の試作に当たっての着眼点は、ゴマサバの加工に対する利用度が非常に低いという
点。皆さんがよくご存じなのは、一般に市場に出回っているマサバだが、このマサバに対
してゴマサバの利用度が非常に低い。しかし、機能性の部分ではタウリンという物質がゴ
マサバ特有の血合の肉に非常に多く含まれており、これを有効利用しようということで取
り組んだ。サバの臭みを消し、食べやすくするために、野菜を加えてそぼろ状に加工した。
着眼した機能性成分としてはタウリンということになるが、もちろんサバなのでその他
にもDHA、EPA等、非常に有効な成分が含まれている。
商品化に当たって特に苦労した点は、水分調整である。ゴマサバは特に水分が多く含ま
れており、そぼろ状にするための水分調整に苦労した。当然、頭・内臓・骨といったもの
を取り除くクリーニング作業にも非常に手間を取った。また、サバ特有の臭みをなくすた
めにどうしたらいいかということで、今回はタマネギ・にんじん・生姜を加えることで魚
の臭みを消して食べやすくした。
なお、今回、缶詰で試作したが、高温加熱殺菌することによって、血合部分、小骨の部
分を含めてすべて含まれており、カルシウム等も有効に利用されるということがいえる。
着目した機能性成分のタウリンは、高血圧予防、コレステロールの低下、心臓機能の強
化などに効果があるといわれており、今回の試作品は、肝臓が疲れていたり、身体がむく
む、息切れするといった健康上の不安を抱えている中高年はもちろん、小さなお子様でも
食べやすいようにフレーク状にし、なおかつその臭みを消したということが特徴である。
私どもは自社ブランドで製造・販売しているので、後ほど皆様方の試食の感想なども聞
かせていただきながら今回の試作をステップにして、ぜひ商品化に向けて今後さらに研究
を重ねていきたいと思っている。
<質疑>(委:委員・千:千葉県試作協力者)
(委)かなりいろいろ苦労されたということを聞いたが、私が興味を持ったのは、臭みを
消すところで大変苦労をされたという点。魚類というのは、臭みを消せればかなり
のものができると思う。
(千)そういうこと。
(委)今回、タマネギ・にんじん・生姜を使ったのは何か理由があるのか。
(千)タマネギと生姜は、ご承知の通り魚の臭みを消す成分をもともと持っている。また、
にんじんについては、特に意識はしていなかったが、実は試作した段階で、血合の部
分なのでどうしても見た目が非常に黒っぽくてあまりよくないということから、製品
を見たときに、少しでも見た目を良くしようということで、単純ににんじんの赤を入
れたということ。そういう意味では、お子さんにも召し上がっていただきやすいよう
にしたいという部分もあってにんじんを加えた。あとは、やはりタマネギの甘さが製
品にかなり加わっているということ。生姜は魚の臭みを消すということ。
(委)このタマネギは温度をかけているのか。
(千)かけている。
(委)温度をかけると、非常に効果を発揮するのではないか。
(千)その通り。試作品を見ていただけばわかると思うが、加熱殺菌したことによってタ
マネギの物体自体はかなり溶けていて、目にはほとんど見えない状態で含まれている
ので、特にタマネギが嫌いだという子供でも大丈夫だと思う。臭みを消す、甘みを出
すという点でも、それなりの効果を発揮している。
(委)次に水分調整の仕方だが、これはどのようにしているのか。
(千)当初は魚を100℃で20分ほど蒸して試作したが、まだかなり水分が多かった。
水分が多いとどうしても生臭みの部分につながってくるので、極力臭みを抜くという
意味も含めてさらに蒸煮時間を長くして、それでそぼろ状にしやすいように工夫した。
(委)ちなみに、通常の缶詰の場合は幾らぐらいか。
(千)真鯖の缶詰が100円前後というところ。
先ほども説明したように、一般のマサバに比べてこのゴマサバというのは市場におい
てまだ価値が低い。いままで加工品として利用されているのは、削り節の原料に利用
されているのがほぼ唯一で、あとは養殖用のエサなど。食用としての利用価値が非常
に低かったので、こういった有効成分を見直して、もう少し利用価値を高めようと考
えた。缶詰にすれば、当然高温加熱殺菌するので、骨の部分も食べることができると
いうことで、今回、缶詰にして骨も利用した。また、日本の市場に出ているサバの缶
詰は筒切りにした形が主体で、こういったそぼろ状というか、フレーク状にしたもの
は市場にはほとんどない。どうしても魚の皮が嫌いだとか、この見た目が嫌だという
方が結構いらっしゃるので、その点も含めて、むしろフレーク状というか、そぼろ状
にしたほうが食べやすいのではないかと考え、今回あえてそぼろ状にした。
(委)従って同じぐらいで売りたいというわけ。
(千)そう考えている。
(委)海産物の場合には、臭みを取るのは非常に大事であるというのがこれでわかると思
う。臭みの取り方というのはいろいろあると思うが、ほかに良いアイデアは無いだろ
うか。
(委)鯖そぼろの賞味期限はどのくらいか。惣菜みたいな形だが、野菜が入る事で短くは
ならないのか。
(千)賞味期限は3年で検討している。
(委)色は、にんじんの色か。
(千)そうである。今のところ更に何か加える事は考えていない。
(試食検討会)
<主な意見>
・好ましかった点:
鯖のくさみが無い、食べやすい、美味しい、野菜が入っている、ニンジンの色合い
・改善して欲しい点:
生臭い・臭いが強い、小骨が気になる、色彩の面で工夫が必要
・その他:
子供がターゲットでも良い・離乳食としても使えそう
5.試作協力者コメント(試食検討会結果・意見交換会内容をうけて)
<試食結果に対する感想>
たくさんの意見・感想を聞かせていただき、大変参考になりました。鯖のそぼろが一般
的に受け入れられるか疑問でしたが、思った以上に良い評価を受けて満足しています。
今後の商品開発に生かして行きたいと思います。
<今後更に改善が必要と考える事項>
色彩が良くないという意見が多く、見た目の改良を考えています。容器がびん詰のほう
が良いという意見があり、コスト面も考慮して検討して行きたいと思います。
6.機能性成分含有量分析結果
(1)加工直前の原料形態時
地域農水産物名
ゴマサバ
分析した機能性成分
タウリン<遊離アミノ酸>
分析機関
(財)食品環境検査協会
分析法
アミノ酸自動分析計
含有量(%)
0.170
分析経過
可食部について試験
(2)試作品形態時
地域農水産物名
ゴマサバ
分析した機能性成分
タウリン<遊離アミノ酸>
分析機関
(財)食品環境検査協会
分析法
アミノ酸自動分析計
含有量(%)
0.0900
分析経過
液汁を含む
小菊かぼちゃ
小菊かぼちゃ入りちくわ(緑:早熟・黄色:完熟)
<②小菊かぼちゃ入りちくわ>
試作協力先:株式会社スギヨ
1.試作品について
内容量
160g(80g×2本)
納入数
80袋
利用した地域農水産物名
小菊かぼちゃ
利用部分
果肉 果皮
利用した地域農水産物の産地
石川県七尾市
収穫時期
7~8月
試作にあたっての着眼点
地域特産農産物と地域特産水産物との調和
着目した機能性成分
カロテン(カロチノイド) 商品区分・形態
試食にあたっての留意点
水産加工品 焼ちくわ
冷蔵(1~10℃)
保存方法
袋をあけそのまま試食する。必要に応じてマヨネーズをつけて試食しても良い。
想定される小売価格帯
約250円/2本入
商品化に当たって
苦労した点
原料野菜の色、品質の変化がなく、均一なペーストを作ること。
試作品の特徴
想定されるターゲット
アレルギー表示の
必要な原材料
野菜は生のまま丸ごとペースト化し使用しているので、栄養価の損失が少ない。
野菜ペーストを30~40%配合している。野菜の栄養も豊富で、風味も豊かである。
野菜のもつ自然な色合いがそのままでている。
加工でんぷん等を一切使っていないので、自然なおいしい歯ごたえがある。
そのままサラダ感覚でおいしく食べることができる。
野菜嫌いの人、健康に留意している人などにも勧めることができる
なし
連携した組織
石川県農業総合研究センター
試作品作成組織
試作にあたっての
スケジュール概要
その他特記事項
㈱スギヨ
8月~9月 配合・工程の確立のための試作検討
10月 機能性成分の分析
10月末 試作品完成
特になし
2.使用原材料及び割合(1%未満のものについては原材料名のみ)
原材料名
割合(%)
原材料名
割合(%)
魚肉(たら)
50.3
醗酵調味液
1.4
小菊かぼちゃ
35.9
食塩
1.4
じゃがいも
4.8
酵母エキス
1.2
砂糖
1.4
レモン
-
トレハロース
1.4
野菜エキス
-
みりん
1.4
3.試作品製造工程
<野菜原料>
洗浄 → 下処理 → カッティング → ペースト化
(種、芽取り、皮剥き等)
<製品>
副原料 計量
原料すり身 解凍 → カッティング → 擂潰 → 裏ごし → 形成 焼き → 冷却 → 包装 → 金属検出 → 箱詰め → 出荷
4.試食品評価
*小菊かぼちゃ入ちくわ
(意見交換会)
<試作協力者説明>
私どもは主に水産練り製品を製造販売しているが、今年から農業事業も行うことになり、
その一環として石川県の能登島でいろいろな野菜の栽培を始めた。その1つとして、能登
野菜の一種類である小菊かぼちゃを作り、それをいかに使おうかということで、練り製品
と合わせてみようということになった。小菊かぼちゃをペースト化して魚肉すり身と混ぜ
てちくわにしたというのが今回の試作品である。
試作にあたっては、私どもが持っているかまぼこをつくる機械では、なかなか小菊かぼ
ちゃをペースト化することが難しかった。また、市場には生のペースト製品がなかった。
そこで、魚肉すり身に混合しても弾力に影響を与えないサイズにまでペースト化する条件
について試行錯誤を繰り返してきた。これはあくまで生の野菜ペーストを使って、市場に
は全くない高品質の野菜ちくわを作ることを目標としたためである。
機能性成分としては、かぼちゃなので、βカロテンに着目した。
小菊かぼちゃは日本かぼちゃの一種で、西洋かぼちゃのようなホクホク感がなく、しか
も魚肉すり身と混合した場合、弾力が多少弱くなった。そこで、それを少し補うために、
少量のじゃがいもを使用し、目標とする製品を完成した。この製品は、通常練製品で一般
的に使用されている加工でん粉を全く使用していないのも大きな特徴となっている。
今後は、ちくわの形体、風味、食感等について、商品化に向けて検討していきたいと考
えている。
<質疑>(委:委員・石:石川県試作協力者)
(委)小菊かぼちゃ入ちくわもいろいろご苦労されている。
大変面白い開発をしている。生ペーストを作るということだが、この小菊かぼちゃの
収穫期というのはかなり限られていると思うが。
(石)その通り。
(委)その生ペーストで保存することは可能なのか。
(石)冷凍している。今回の場合は、弊社が持っているアルコール凍結という-35℃ぐ
らいまで一気に下げる装置で冷凍することで、ほぼ冷凍しないものと変わらないもの
ができたので、その方法で保管している。
(委)そうすると周年で使えるということか。
(石)使える。小菊かぼちゃの収穫期は4月から8・9月位なので、そこで1年分作って
冷凍で保管するという方法しかとれないが。
(委)そうすると冷凍のコストがかなりかかるのではないか。
(石)やはり多少かかる。
(委)小菊かぼちゃの播種から収穫期まではどのくらい時間がかかるのか。
(石)3ヵ月ぐらいだったと思う。
(委)非常に短くて良い。
(石)補足すると、小菊かぼちゃというのは若穫りで、まだ青くて皮の部分も柔らかいう
ちに収穫して、皮ごと食べるというのが通常の調理法、土地での食し方である。従っ
て、今回の試食品では、グリーンのものがいわゆる地元で食されているものをそのま
ま使った形で、それをさらに収穫後に追熟させて黄化したものが熟成したものという
形になる。
(委)かぼちゃがいっぱい入っているのに、かぼちゃの味が無いが、あれは意識的にそう
しているのか。
(石)当初試作した時にはかぼちゃの風味が非常にあったが、「ちくわ」という潜在意識が
あるので逆にそれが違和感になった。そこで社内で試食をした結果、そういう匂い、
風味が強過ぎたということで、それを改善したと聞いている。
(委)しかし、これを見ると相当かぼちゃが入っているにもかかわらず「ちくわ」。味がな
ければ、色だけでかぼちゃを想像することはできないので、「あ、これはかぼちゃな
んだ」と分かるような工夫が必要ではないか。例えば小菊かぼちゃのような形をして
いるものなど。特に野菜嫌いな人に勧めたいわけだから、「これはかぼちゃなんだ」
と分かる形、あるいは食べた時に「かぼちゃの味がするね」というものでないとかぼ
ちゃを使った意味がないと思う。
業務用でやったことはないが、かぼちゃのうらなりで柔らかいものを電子レンジに
かけると、水分が飛んでホクホクになる。このかぼちゃは、私の想像では水分が多い
かぼちゃではないのかという気がする。水分が多いかぼちゃだから、ちくわの力にみ
んな負けてしまうのではないか。反対に、電子レンジのような水分を飛ばすものでα
化させれば、もっとホクホク感が出るのではないか。
ちくわとしては美味しいが、もう一歩「かぼちゃを使った」というところの何かが
欲しい。食べてそんな感じがした。
(委)小さいかぼちゃの形をしたかまぼこをつくったらどうだろうか。
(委)野菜嫌いの子供にはそのくらいのことをしないと、なかなか手に取らないのじゃな
いかとは思う。
(委)確かにかぼちゃのイメージがなかなかわかないが、あれはあれで美味しいと思う。
(委)美味しい。もう1つ気になったのは、でんぷんを使っていないと言いながら、じゃ
がいも・かぼちゃを使っている。これは問題無いのか。
(石)その点については説明が足りなかったかもしれないが、でんぷんとして加工された
粉末のでんぷんを使っていないので、表示としてもでんぷんと書かずに、じゃがいも
と書ける。そういった意味での自然のものを使ったということである。
(委)「加工でんぷんを使っていませんよ」という意味か。
(石)そういうこと。
(委)ただ、かぼちゃにしろ、じゃがいもにしろ、もとはでんぷんだが、JAS法では認
められるのだろうか。
(委)表示は認められる。でんぷんは加工品だが、馬鈴薯とかかぼちゃはでんぷんではな
いと書いてある。
表示については、皆さんとても気をつけていると思うので大丈夫だとは思うが、今
の事例では、原材料そのものだったら問題ない。ただし、取り出したら「でんぷん入
り」となる。「でんぷん入り」だが、加工食品を入れたというだけの話なので食品素
材であることには変わりない。でんぷんは添加物ではない。
この辺は、皆さんのほうがむしろ専門家なので、気をつけてやっていると思う。
先ほど小さいかぼちゃの形をしたものをと言ったが、そのようなことも含めて、サ
イズや形を少し考えてみたらどうか。
どうしてもちくわということなのか。
(石)どうしてもちくわでやりたい。ちくわを始めて100周年ということもある。
(石)手前どもの一番得意としているものということもあり、今のところはちくわでやろ
うということになっている。
(委)生産性が悪くなるかもしれないが、1つの串の中に塗ってから転がすことによって
丸くなる。それに横の線を入れて抜いたら、かぼちゃに見えないだろうか。そういう
小さいものであれば、子供が食べても、真ん中に穴があるから飲み込んでも大丈夫だ
と思う。
色が出ているから、あとは形があればかぼちゃに見えるのではないか。かぼちゃの
味がしなくても、形をしていれば、「かぼちゃだ」ということで食欲をそそるのでは
ないか。
(委)いろいろあると思うが、とりあえず「ちくわ100周年」として出すということか。
(石)現在はそれを目標に進めている。
(委)より良いものになる事を期待している。
(試食検討会)
<主な意見>
小菊かぼちゃ入りちくわ(A:早熟)
・好ましかった点:
色がきれいなど色彩、野菜とちくわの組み合わせに対する評価
・改善して欲しい点:
塩味が強すぎる、かぼちゃの風味が感じられない、青臭い
・その他:
色彩を生かしてサラダ等洋風での利用も良い、マヨネーズは合わない
小菊かぼちゃ入りちくわ(B:完熟)
・好ましかった点:
色がきれいなど色彩、野菜とちくわの組み合わせに対する評価、かぼちゃの風味を感
じる
・改善して欲しい点:
塩味が強すぎる、かぼちゃの風味が感じられない、完熟らしい黄色が欲しい
・その他:
マヨネーズが合う、マヨネーズは合わない
*A(早熟)
・B(完熟)の比較では、22:21でA(早熟)が良いとの結果。
(モニター群によっては圧倒的にBとする群もあり、モニター群による差が大きい結果
となった。)
A(早熟)を評価する意見としては、「緑の方が野菜らしい色合い」というものが多く、
B(完熟)を評価する意見としては、
「完熟の方が栄養がありそう、完熟の色合いが良い」
というものが多かった。
5.試作協力者コメント(試食検討会結果・意見交換会内容をうけて)
<試食結果に対する感想>
小菊かぼちゃをまるごと加えたちくわを作るというコンセプトについて、製品イメージ、
見た目では高い評価を得、理解していただけた思います。しかし味、風味の面でまだ課題
も多く残っていると感じました。
<今後更に改善が必要と考える事項>
塩味の調整、青臭さ低減等の味、風味の改善をさらに進めていきます。また形状につい
て、今回の試作品より小サイズでも検討して、最もおいしく、食べやすい製品の形態を追
及していきます。
6.機能性成分含有量分析結果
(1)加工直前の原料形態時
地域農水産物名
小菊かぼちゃ
分析した機能性成分
カロテン
分析機関
(株)スギヨ
分析法
HPLC法
含有量(%)
0.000524
分析経過
特記事項無し
(2)試作品形態時
地域農水産物名
小菊かぼちゃ
分析した機能性成分
カロテン
分析機関
(株)スギヨ
分析法
HPLC法
含有量(%)
0.000201
分析経過
特記事項無し
ガゴメコンブ
ガゴメコンブ巻
<③ガゴメコンブ巻>
試作協力先:株式会社KOフードテック
1.試作品について
内容量
3本
納入数
15パック(45本)
利用した地域農水産物名
ガゴメコンブ
利用部分
葉状部
通年
利用した地域農水産物の産地 富山湾沿岸(海洋深層水取水施設) 収穫時期
試作にあたっての着眼点
着目した機能性成分
商品区分・形態
試食にあたっての留意点
抗腫瘍活性や抗血液凝固作用などの生物活性を有する硫酸化多糖のフコイダンを多く含むガゴメコ
ンブを利用した水産加工品の開発。海洋深層水を利用したガゴメコンブの通年栽培。
フコイダン
鰊を昆布で巻き上げ、調味液で味付
け後、真空包装・加熱殺菌した水産 保存方法
加工品。
直射日光を避け、常温暗所
特になし
想定される小売価格帯
298円(1パック3本入り)
商品化に当たって
苦労した点
ガゴメコンブはフコイダン等の粘質物質が他のコンブと比べ多いため、ニシンをコンブで巻く工程
において形を整えることが難しい。また、海洋深層水で栽培したガゴメコンブは従来品と比べ柔ら
かいため、加熱殺菌後の形の崩れやつぶれなどが発生しないような工夫が必要となった。
試作品の特徴
従来のコンブ巻き商品は、ナガコンブなどが利用されているが、本試作品はフコイダンを多く含む
ガゴメコンブを使用。また、海洋深層水で栽培したガゴメコンブは、従来のガゴメコンブと比べ柔
らかいため、咀嚼能力が低下している高齢者の方にも、おいしく召し上がっていただける。
想定されるターゲット
アレルギー表示の
必要な原材料
連携した組織
健康に関心の高い中高年齢層
醤油(大豆、小麦)
富山県食品研究所、富山県水産試験場
試作品作成組織
フジ七食品株式会社
試作にあたっての
スケジュール概要
8月:ガゴメコンブによる各種昆布巻の試作検討。
ガゴメコンブのフコイダン分析方法の検討。
具材の選定、味付けの改良。ガゴメコンブのフコイダン分析方法の確立。
9月:試作品の試食評価。原料ガゴメコンブのフコイダン量の分析。
10月:試作品の完成。試作品のフコイダン量の分析。
11月:評価用試作品の製造。
その他特記事項
特になし
2.使用原材料及び割合(1%未満のものについては原材料名のみ)
原材料名
割合(%)
原材料名
割合(%)
ガゴメコンブ
36
砂糖
8
ニシン
34
水飴
4
かんぴょう
7
還元水飴
3
醤油
8
3.試作品製造工程
*昆布(乾燥品)⇒水戻し⇒裁断⇒冷蔵保管
*にしん(冷凍、フィレ-)⇒解凍⇒冷蔵保管
巻き工程(手作業)⇒検品⇒冷凍(-18℃以下)⇒冷凍保管(-20℃以下)⇒水煮⇒調味⇒冷却⇒浸漬
⇒袋詰、真空包装⇒金属探知機⇒レトルト処理⇒検品⇒箱詰め
4.試食品評価
*ガゴメコンブ巻
(意見交換会)
<試作協力者説明>
今回私たちはガゴメコンブを利用したニシンのコンブ巻を試作した。
コンブはアルギン酸、ヨード、ラミナラン等、いろいろな機能性成分が含まれており、
古くから健康食品として親しまれてきたが、最近、硫酸化多糖であるフコイダンが機能性、
たとえば抗腫瘍活性、抗血液凝固活性、アレルギー反応の抑制、免疫活性の向上等、いろ
いろな機能を有するということが解明されており、注目される素材になってきている。
そこで、私たちはコンブの中でも一番フコイダンの含有量が多いガゴメコンブを利用し
たニシンのコンブ巻を試作した。
富山というのは、ご存じのように古くからコンブの食文化が発達している地域で、江戸
時代には北前船でコンブが北海道から運ばれてきている。現在、富山市の一世帯当たりの
コンブ消費高は全国トップレベルということで、富山県ではコブ締め、コブ巻きかまぼこ、
コンブ巻などコンブを使用したいろいろな食品が販売されている。
一方、残念ながら、使用されているコンブのほとんどが北海道産である。コンブは冷性
の海藻なので、富山湾では夏場は成育できない。そういうこともあり、コンブは富山湾で
は栽培できないが、富山県では現在海洋深層水の活用を進めており、富山湾の300メー
トル以深から取水する海洋深層水は2℃である。これは地上に上げても5℃で、その後少
しパイプ等で輸送しても、コンブを栽培するのに非常にいい温度の海水である。現在、水
産試験場ではこれを使ってタンクレベルでのコンブ養殖等を行っている。
私たちはそのタンク培養したガゴメコンブを利用して、コブ巻をはじめ、さまざまな食
品の開発を行っている。
試作に当たって苦労した点だが、ガゴメコンブはコンブの中でもフコイダンが多く含ま
れているということで最近注目されてきたが、これまではコンブの中ではどちらかという
と役に立たない雑草というような位置付けをされており、
「果たして美味しいのか」という
ことで、味付けに非常に苦労した。また、フコイダンが多いということは、粘り気も多い
ということで、コブ巻きの加工をするのに非常に巻きにくいという苦労があった。
一方、海洋深層水で栽培したコンブは、促成栽培で早く成育するせいか、柔らかいとい
うのが特性である。これはガゴメに限らずほかのコンブでもそういうことがあるので、現
在「コブ巻が固い」というクレームを消費者からいただくことがあるが、高齢化社会に向
けて、年配の方にも食べやすいコブ巻きということで1つの特徴ができたのではないかと
思う。
また、今回加工したところ、フコイダンのロスがほとんどなかったということは、私ど
もも非常にびっくりした。従って、原料に含まれるフコイダンをうまくコブ巻きに活用で
きたと思う。
今後の課題だが、栽培を始めたばかりということで、現在は5トンタンクレベルの試作
である。来年度は100トンのプールでの試作が行われる予定だが、いかにコストを下げ
るかということが一番の大きな課題となっている。
<質疑>(委:委員・富:富山県試作協力者)
(委)ガゴメコンブ巻。これもかなりいろいろ工夫されており、大変だったと思う。1つ
は海洋深層水を使っているが、これは結構高いと思うが。
(富)海洋深層水自体は、コスト的にはそんなにかからない。現在、海洋深層水を使った
食品等、いろいろ作られているが、取水施設から工場まで運ぶコストのほうが高く、
海洋深層水自体は何トン当たり何百円というレベルで入手できる。
ただ、コンブの栽培という意味では、5トンタンクレベルでコスト試算したところ、
乾燥コンブを1キロ作るのに5,000円以上かかりそうである。一般的な加工用の
コンブはキロ2,000円前後なので、全くべらぼうな価格ではないが、やはりスケ
ールアップをして生産性を高めコストダウンをするというのがいま大きな課題であ
る。
今回実際に使ったのは、富山県水産試験場の試験用タンクで栽培したもの。その隣
に栽培漁業センターの100トンスケール栽培槽がある。そこでもコンブの栽培実績
はあるので、ガゴメコンブについても検討したい。
目標としては、やはり3,000~5,000円ぐらいになれば、若干高くても機能
性を謳った素材として使えるのではないかと考えている。
(委)5トンタンクで培養する際の培養期間というのはどのくらいか。
(富)ガゴメの場合は、普通のコンブよりも少し長いので、6~9ヵ月かかる。ただ、天
然物は2年位かかるので、それに比べればずっと早い。
(委)道南では促成養殖であれば大体3ヵ月である程度の大きさにはなるはず。
いま市場に出ている観光土産のコンブ巻は、150円ぐらいではないか。それから
すると倍ぐらいの値段になるので、いくら栄養成分を謳ってもちょっと手が出しにく
いという感じがした。
(富)確かに、実際コンブなどは養殖では3ヵ月ぐらいで結構大きくなる。
ただ、ガゴメコンブをこのまま栽培するというのは、コスト的にきついので、コンブ
にそのガゴメコンブの特異性を融合したものを作って、成育が早くて、かつフコイダ
ンの多いコンブの品種を作ろうという取り組みを産官学でやっている。これはまだ3
年以上かかると思うが、そういう事を並行して進めている。
(委)育種までやるとなると時間がかかる。
(富)その通り。
(委)このガゴメコンブというのは5℃ぐらいの低温で培養するのか。
(富)現在は5~10℃前後で栽培している。
(委)いろいろな培養方法があるが、たとえば普通のバクテリアなどは馴化させると、か
なり温度が上がって、そして成育が数倍、中には数百倍ぐらい高くなる。従って、ひ
ょっとしたらこのガゴメコンブも馴化できるのではないのかと思うが。一度試してみ
てはどうか。そして20℃か30℃で成育できれば、計算上、10℃で2倍なので3
0℃で4倍になる。そうすると普通のコンブと同等になるのではないか。馴化できれ
ばという話だが。
(富)今回、海洋深層水は温度が低いが、これは夏場に富山で栽培できるというメリット。
栄養源が多いので、普通の海水よりも成育が早いというところもあるが、更にお話し
のように出来ればコストダウンになると思う。
(委)馴化できれば、海洋深層水の必要がなくなる。そこまでいくと、違う話になってし
まうところもあるが。
という事で、コストの問題がかなり残っているということ。
(委)咀嚼しやすいということをセールスポイントにしているが、高齢者の咀嚼について
同じ組織で研究している者が、「柔らかければ食べやすいとは限らない」という話を
していた。口の中で破砕するというのと、その後、ばらけるというのと、飲み込むと
いうのは全然違うようなので、もしこの点をセールスポイントにしたいという事であ
れば、連絡をいただければ話ができるようにしたいと思う。
(富)ぜひお願いしたい。
(委)もしその点に重点的に取り組むのであれば、協力できるところはあるかもしれない。
(富)貴重な指摘を頂きありがたい。この「柔らかい」というのは、われわれ健常人が食
べて、「ああ、柔らかいな」という感覚的なものと、クリープメータ等の破断荷重で
数値的なものを出しているぐらいだったが、実際に年配者の方が噛んで、飲み込んで
というところまでを評価しないとそういうことは言えないというのがよく分かった。
(試食検討会)
<主な意見>
・好ましかった点:
柔らかい、食べ易い、美味しい
・改善して欲しい点:
価格が高い、一般の昆布巻との違いを分かるように、もう少し歯ごたえが欲しい、も
う少し柔らかい方がよい
・その他:
富山県産が意外・北海道とのタイアップを考えては、目新しさに欠ける
5.試作協力者コメント(試食検討会結果・意見交換会内容をうけて)
<試食結果に対する感想>
多くのモニターの方から、従来の昆布巻きに比べ柔らかく食べやすいという評価をい
ただき、本試作品の目的がある程度達成できたことを実感いたしました。また、味付け
に関しては従来商品をベースにガゴメコンブに合うよう工夫したところ、予想以上に良
い評価をいただき、商品化にむけて参考になりました。一方、説明不足のため、その特
徴が、海洋深層水で栽培した昆布を原料に使用したためであることまでアピールできな
かったことが残念でした。また、本試作品の機能性成分であるフコイダンやそれを多く
含むガゴメコンブについては、まだ多くの方にはなじみが薄いことがわかり、今後開発
を進めるに当たり機能性をアピールする方法を検討していきたいと思います。
<今後更に改善が必要と考える事項>
今回の試作品は海洋深層水で栽培した柔らかいガゴメコンブを原料に使用して製造い
たしましたが、外見は従来の商品と同じです。柔らかく食べやすい昆布巻きの特徴を出
すため、大きさ、昆布の巻き方、中身の具材などを改善し、その特徴を消費者の方にう
まくアピールできる工夫をしていきたいと思います。また、機能性成分であるフコイダ
ンやガゴメコンブの特徴などについても、健康増進法や薬事法などを踏まえ適切な表現
で紹介できるよう検討したいと思います。
<その他特記事項>
本試作品に使用したガゴメコンブは、現在海洋深層水を利用して小規模の試験生産を
行っているため、コスト的にはまだ高い状況です。そのため、モニターの方から価格が
高いとのご意見が多数ありました。今後、栽培のスケールアップにより原料コストを下
げ、適正な価格でご提供できる商品にしたいと思います。
6.機能性成分含有量分析結果
(1)加工直前の原料形態時
地域農水産物名
ガゴメコンブ
分析した機能性成分
フコイダン
分析機関
富山県食品研究所
分析法
分画した精製フコイダンの重量測定
含有量(%)
5.06
分析経過
分析値は、乾燥原料のフコイダン含有量
(2)試作品形態時
地域農水産物名
ガゴメコンブ
分析した機能性成分
フコイダン
分析機関
富山県食品研究所
分析法
分画した精製フコイダンの重量測定
含有量(%)
0.284
分析経過
特記事項無し
6.機能性成分含有量分析結果
(1)加工直前の原料形態時
地域農水産物名
ガゴメコンブ
分析した機能性成分
フコイダン
分析機関
富山県食品研究所
分析法
分画した精製フコイダンの重量測定
含有量(%)
5.06
分析経過
分析値は、乾燥原料のフコイダン含有量
(2)試作品形態時
地域農水産物名
ガゴメコンブ
分析した機能性成分
フコイダン
分析機関
富山県食品研究所
分析法
分画した精製フコイダンの重量測定
含有量(%)
0.284
分析経過
特記事項無し
春菊
春菊ふりかけ
<④春菊ふりかけ>
試作協力先:大阪府環境農林水産総合研究所
1.試作品について
内容量
3.7g/袋
納入数
80食分
利用した地域農水産物名
シュンギク
利用部分
葉
利用した地域農水産物の産地
大阪府下全域
収穫時期
10月
大阪府は、シュンギクに於いては全国有数の産地であり、
試作にあたっての着眼点
鍋物需要以外の需要拡大を図る。
着目した機能性成分
α-ピネン、クロロゲン酸
商品区分・形態
ふりかけ(乾物)
常温保存
保存方法
試食にあたっての留意点 暖かいご飯とともに試食
想定される小売価格帯
100円/袋
商品化に当たって
苦労した点
シュンギクの混入量(見栄え、食味)
試作品の特徴
想定されるターゲット
アレルギー表示の
必要な原材料
連携した組織
大阪特産物であるシュンギクの独特の香りと見た目を楽しめる大切りな具
高級志向、健康志向の高い人
小麦、大豆、豚肉
1.光陽レース株式会社(大阪府和泉市) 2.株式会社みなり(広島市)
試作品作成組織
大阪府環境農林水産総合研究所
試作にあたっての
スケジュール概要
10月下旬:収穫、乾物加工、ふりかけ加工
その他特記事項
特になし
2.使用原材料及び割合(1%未満のものについては原材料名のみ)
原材料名
割合(%)
原材料名
割合(%)
ごま
32.6
蛋白加水分解物
-
でん粉
20.6
抹茶
-
砂糖
9.9
モロヘイヤ
-
ぶどう糖
8.7
鰹節エキス
-
食塩
8
野菜エキス
-
FD梅肉
6.8
粉末醤油
-
FD春菊
4.5
デキストリン
-
のり
2.3
還元水あめ
-
小麦
2.2
昆布
-
魚醤
1.4
大豆
-
鰹節
-
豚肉
-
酵母エキス
-
3.試作品製造工程
<FD春菊>
原料入荷→根カット→洗浄/殺菌→カット(10mmx7mmのギロチンカッター使用)→トレー盛り→凍結→フリーズドライ→取り出し→
選別→金属探知機→出荷
<アルミ小袋パック>
FD春菊、ごま、砂糖、食塩等を手詰めにてアルミ小袋パックに入れ込む。
ヒートシール→出荷
4.試食品評価
*春菊ふりかけ
(意見交換会)
<試作協力者説明>
今回開発したのは春菊のふりかけである。
大阪府は、農業生産額はあまりないと皆さん思われていると思うが、大阪府の農業生産
額は近畿で言えば奈良県の人口分をほぼまかなえる位の生産を行っており、大阪府は農業
生産が全くないというわけではない。
その中でも、特に軟弱野菜については非常に生産が盛んで、今回利用した春菊の産出額
は千葉県に次いで全国で2番目である。そういうこともあり、大阪府の中で春菊は注目す
べき野菜という位置付けになっている。
春菊は最近では周年栽培されているが、当然鍋物のシーズンに需要のピークが来る。余
るというところまではいかないが、冬の間たくさん穫れ過ぎた際に何かいい利用法はない
かというのが以前から課題となっていた。今回こういう機会を得たので、加工することを
考えてみようということで、時間的にもふりかけであれば対応できるのではと考え開発し
た。
機能性成分については、α-ピネン、クロロゲン酸に着目した。整腸作用や抗酸化作用
があるといわれており、加工後の残存率が高ければこの点もアピール出来るのではないか
と考えた。
実際にふりかけに加工するプロセスとしてまず春菊をフリーズドライにかけるが、そこ
でα-ピネンはすぐ飛んでしまうということが、やってみてから分かったということで、
結果的には残念ながらα-ピネンについてはあまり良くなかった。クロロゲン酸について
は若干残っていたというようなデータが得られている。
今回の試作では機能性成分の面では期待した結果とはならなかったが、大阪の旬の野菜
をふりかけにして、若干でもそういう成分を摂れるのではないかということで整理した。
苦労した点としては、農家から持って来た野菜なので当然土などが付着している。食品
の中に異物が入らないように洗浄していく過程がなかなか大変で、その辺はかなり神経質
に作業をしたと聞いている。あとは春菊の分量と、他の素材の分量とをどのような割合に
すれば味や見栄えがいいかという点について、試食を繰り返しながら「春菊はやっぱり1
0%ぐらいなかったらあかんのかなあ」といったことを言いながら、今回の試食品の割合
とした。
<質疑>(委:委員・大:大阪府試作協力者)
(委)春菊ふりかけ。これは余剰農産物を使うということで本事業の課題には合っている
と思うが、余剰農産物というとかなりの量が出てくるのか。
(大)出てくる。
(委)その余剰にあるものを取っておくのは大変ではないのか。どのようにしているのか。
(大)厳密にいえば、市場で安くなれば余剰は出ない。出荷調整といった形を考えた時に
出てくる余剰というニュアンスで考えていただければいいと思う。
ご指摘の余剰になったものをどのように保存しているのかという点だが、今回行っ
たようにすぐにフリーズドライにすれば、コストを考えなければ保存自体はいくらで
もできる。大量のものをストックしておき必要に応じて加工業者に回せば良いという
事になる。
(委)そのフリーズドライのコストが問題になる。
(大)その通り。
(委)フリーズドライとか凍結保存というのはどうしてもコストの問題が出てくる。それ
をうまくかわさないと、なかなか難しい。この春菊の場合も、水分が90%以上のは
ず。そうするとフリーズドライというのはかなり厳しい。
(大)指摘の通り。
(委)その辺をどうやるか。
それから、製造工程でα-ピネンが消えてしまいクロロゲン酸は少し残ったという
事だが、におい成分は普通飛びやすいので、大体なくなってしまう。普通はフリーズ
ドライだとそんなに飛ばないはずだが、飛んでしまうのか。
(大)フリーズドライでは、結局真空で引っ張ってやるので。
(委)なるほど。そうなると、1袋100円というのは、なかなか大変ではないか。
(大)難しいかもしれない。
(委)試食品は1袋3.7gだったが、あれを食べて、「健康にいいですよ」と言えるくら
いの量は含まれるのか。
(大)機能性成分については、先ほどの説明でも触れた通り期待したようにはいかなかっ
た。ただ、大阪には春菊がたくさんあるという事と、それを食べ続けることによって
健康への意識づけができる、そんな事のきっかけになれば良いのではないかと思って
いる。
(委)それも非常に大事な事。ブランド作りという面でも事業の課題に合っているとは思
う。
(試食検討会)
<主な意見>
・好ましかった点:
色がきれい(春菊の緑・梅の赤)、青臭さが無い・くせが無い
・改善して欲しい点:
春菊の香りがしない、価格が高い、梅肉が目立たない
・その他:
お茶漬けに向くのでは、春菊が大阪特産というイメージが無い、α-ピネン・クロロ
ゲン酸の知名度が低い
5.試作協力者コメント(試食検討会結果・意見交換会内容をうけて)
<試食結果に対する感想>
春菊をふりかけの素材に利用した点は、全般的には受け入れられており、良い評価を
いただいた。
①春菊の葉の量が多いこと、②あえて葉を大きくカットし、春菊をアピールした点につ
いて、評価の善し悪しが二分された。
フリーズドライの春菊葉は軽すぎるため、他の具材とうまく混ざらず、パッケージから
先に全部出てきてしまう点が好ましく思われていないようだ。お茶漬けの方が良いとい
う意見に納得した。
<今後更に改善が必要と考える事項>
春菊の持つ機能性について説明書きを入れる工夫。
価格を低廉にするための加工行程の見直し(フリーズドライをやめて高温乾燥するなど)。
高級感を出す場合には、パッケージの工夫が必要。
お茶漬けも視野に入れての検討。
6.機能性成分含有量分析結果
(1)加工直前の原料形態時
地域農水産物名
シュンギク
分析した機能性成分
α-ピネン
クロロゲン酸
分析機関
大阪府環境農林水産総合研究所
大阪府環境農林水産総合研究所
分析法
水蒸気蒸留-ヘキサン転溶-ガスクロ分析
70%メタノール抽出-高速液クロ分析
含有量(%)
4.45×10 -5
2.40×10 -3
分析経過
特記事項無し
特記事項無し
(2)試作品形態時
地域農水産物名
シュンギク
分析した機能性成分
α-ピネン
クロロゲン酸
分析機関
大阪府環境農林水産総合研究所
大阪府環境農林水産総合研究所
分析法
水蒸気蒸留-ヘキサン転溶-ガスクロ分析
70%メタノール抽出-高速液クロ分析
含有量(%)
1.00×10 -4以下
1.00×10 -3以下
分析経過
試作品形態での検出限界
試作品形態での検出限界
網干メロン
網干メロンパン
<⑤網干メロンパン>
試作協力先:ヤヱガキ醗酵技研株式会社
1.試作品について
内容量
70~100g/個
納入数
80食
利用した地域農水産物名
網干メロン
利用部分
可食部
利用した地域農水産物の産地
兵庫県姫路市
収穫時期
7~8月
試作にあたっての着眼点
着目した機能性成分
商品区分・形態
数ある兵庫県地場伝統野菜の中から血圧降下作用のあるγ-アミノ酪酸、カリウム
を含有するものに着眼した
γ-アミノ酪酸、カリウム
パン(個別包装のメロンパン)
室温(あるいは冷凍)
保存方法
試食にあたっての留意点 網干メロンの風味や色をうまく残すこと
想定される小売価格帯
150円
商品化に当たって
苦労した点
風味を残そうとするとウリ臭が前面にでてくる点の改善
試作品の特徴
想定されるターゲット
アレルギー表示の
必要な原材料
連携した組織
網干メロンは、γ-アミノ酪酸、カリウム含量が高く、これらの成分は血圧の上昇抑制効果がある
ため、地場の伝統野菜を消費すると共に健康になれる点
中高年の女性(あるいは血圧が気になる人)
小麦、卵、乳
兵庫県立農林水産技術総合センター
試作品作成組織
岡野食品産業株式会社
試作にあたっての
スケジュール概要
網干メロンの収穫時期が限られているが、収穫後に粉末加工をおこなう。(8~9月)
その粉末を用いて機能性成分分析とパンの試作に取り掛かる。(9月)
課題をクリアするために検討を重ねる。(9~10月)
最終完成および試作品の機能性成分の分析。(10~11月)
その他特記事項
特になし
2.使用原材料及び割合(1%未満のものについては原材料名のみ)
原材料名
割合(%)
原材料名
割合(%)
小麦粉
70.0
乳製品
2.5
砂糖
15.0
網干メロン
2.0
卵
4.5
ドライイースト
1.5
マーガリン
4.0
食塩
-
3.試作品製造工程
パン生地
小麦粉、乳製品、卵、ドライイースト、砂糖、マーガリン、食塩にぬるま湯を入れ、こねる。
一次発酵・・・・室温で90分間
ビスケット生地
マーガリンに砂糖を加え混合し、卵を加え、さらに網干メロンパウダーを添加する。
小麦粉を加え、混ぜたものを冷蔵庫で寝かせる。
一次発酵を終えたパン生地を丸め、室温で30分放置する。
そのパン生地をビスケット生地で包み込み、グラニュー糖をつける。
二次発酵・・・・38度で45分間
190℃で10分、180℃で5分間焼き、できあがり。
4.試食品評価
*網干メロンパン
(意見交換会)
<試作協力者説明>
私どもヤヱガキ発酵技研は食品の天然色素を製造・販売しており、食品の着色料を作っ
ている。
今回の開発に取り組んだ経緯としては、食品の着色料というのは食品の色の無いものに
色をつけたり、あるいは色の悪いものをもっと良くしたりという用途で着色するわけだが、
もともとのこういった食品素材を使って、それで自然な良い色が出せればそれが一番いい
だろうということで、そういうものをこれからやっていきたいということと、地域に何か
貢献できるような形で仕事がしたいということ、この二つを重要視して着目したのが網干
メロンである。
この網干メロンというのは、兵庫県の姫路市、特に網干地区と呼ばれるところで古くか
ら栽培されているマクワウリの一種である。果実の形状は、細長いマユのような形状をし
ており、1個が150~250gほどの大きさ。果肉は薄い緑色をしており、果肉の厚さ
が1.5センチほど。ウリなので、非常に香りが高く、ほのかな甘みがある、そういう特
徴のものである。
昭和の初期にはお盆のお供物として利用されていたが、非常にほのかな甘みがあるとい
うことで今でも根強い人気があり、姫路市内では市場でも出荷されていて、地域の方は家
庭菜園などで栽培されている方も多い。
収穫時期が7月中旬~8月上旬という非常に短い間にあり、しかも日持ちが悪いという
ことで、これが世の中にどんどん出て行くのにはなかなか難しいところである。
弊社では、この地域の網干メロンをもっと広く知っていただきたいということで取り組
んだ。まず日持ちをよくする為の加工が必要なので、水分を飛ばし粉末状にして食品の中
に添加できる形にしていきたいということがあった。そういったパウダー状のものを作る
という加工技術の開発をまず行った。
網干メロンの機能性成分としては何があるのかということで、いろいろ成分を分析した
ところ、まずミネラルの中でもカリウムが非常に多いということがわかった。もう1つ特
徴的なのが、γ-アミノ酪酸(GABA)と呼ばれる成分が、遊離アミノ酸、すべてのア
ミノ酸の中でアラニンに次いで2番目に多いということがわかった。これが非常に特徴的
だと考えた。このγ-アミノ酪酸とカリウムが非常に多いということから、期待できる機
能性としては、まず血圧の上昇を抑制できるのではないかというふうに考えた。そういう
ことから、食品に添加して、高齢者の血圧の上昇を抑える機能を持った商品を作りたいと
考えた。
素材が網干メロンというメロンなので、どういう方向に行こうかということで考えてい
たが、ちょうど近くに製パン会社があり、メロンパンが作れるか相談したところ引き受け
てもらうことができた。
その後、弊社とその製パン会社との間で試行錯誤しながらいろいろ試作を行った。一番
問題になったのは、乾燥して添加するとウリ臭さが出てしまいメロン独特の非常にいい香
りというのが全部飛んでウリっぽい香りになってしまって、メロンというイメージがわか
ないような商品ができてしまったということ。ここを何とかクリアするために、凍結乾燥
でパウダー化することでいくらか改善された。
逆によかった点は、緑色のパウダーなのでこれをパンに入れることで自然な緑色のメロ
ンパンができた事。着色料は一切使っていないが、自然な緑色をしたメロンパンができた
というのは非常によかった点だと思う。
完成した試作品は、これは素材によるものかどうかはわからないが、弊社の社員等によ
る試食の評価では総合的な意見として「非常にサックリして美味しい」という事であった。
もう1つは、本当にその効果・効能があるのかという点。こういった食品なのでラベル
に効果・効能を謳うことは出来ず確かに難しい点はあるが、実際この網干メロンパンにつ
いて、動物実験で血圧上昇抑制効果を確認して、つい2日前、18日の日本栄養・食糧学
会の支部会で発表したばかりである。
今後の課題は、網干メロンのパウダーの添加量をどうするかという点。試作品の網干メ
ロンパンの中には網干メロンのパウダーを2%入れている。本当は5%近くまで入れたい
希望がありいろいろな添加量で検討したが、5%入れると、先ほどのウリ臭さというのが
出てきて、ちょっと食味が悪くなるというところがある。機能的なことを考えれば、多い
にこしたことはないので、そのあたりはもっと機能アップできないかということを今後や
っていきたいと思っている。
<質疑>(委:委員・兵:兵庫県試作協力者・徳:徳島県試作協力者・石:石川県試作協
力者)
(委)網干メロンパンだが、これもいろいろ苦労されたところがあると思う。収穫期が7
~8月という事で、かなり厳しいところではないか。
(兵)厳しい。収穫期間が短く傷みやすいという事がある。その分傷みかけたものが入っ
てはくるが、すぐに処理しないといけないので、パウダー化するところが非常に困難
なところ。
(委)これを粉末状にするのは大変だと思う。
(兵)粉末にすること自体は問題ないが、先ほどの春菊の話と同じでフリーズドライとい
う工程をとるので、かなりコストがかかるという欠点がある。当初はフリーズドライ
でない別の方法をとって熱風乾燥していたが、どうしてもウリ独特の臭いになってし
まい、内部の検討で「風味が悪い」という結果になった。できるだけ風味を残そうと
すると、やはり凍結乾燥という手段を取らざるを得ないという事になった。
(委)試食して、「たぶん中はこんな色だろう」と自分で想像していたが、あけたら真っ白
なので、ガッカリした。あれは中も緑か黄色でないと。味はなくてもいいから、絶対
中にいろいろな方法で色をつけたほうが夢を壊さないと思う。表にメロンがついてい
ますよというのはわかっているが、あけて見た時のギャップが大きかった。ただ、あ
のパン生地は出来立てのようですごく良かった。うちの学校でもパンの授業をやるが、
ああいう柔らかいパンはなかなかできないし、目もつんでいるし、良かった。それだ
けに食べた時の色は残念だった。黄色または緑を想像していたので。味はなくても、
色は欲しい。
(兵)実は、試作する中で、中に入れたものもたくさん作った。どのぐらいの割合を入れ
たらどうだというのもやってきた。中に入れてなおかつ外にという事になると、口の
中がかなりモアッとウリ臭い感じが残ってしまったので、最終的に今回の試食品の形
にした。
ご指摘の通り、あけた時確かに白いので、その点をこれからいかに工夫していくか
という事は課題としてあると思う。
(委)全部でなくて部分的に入れたらどうだろう。そうすれば、そんなに量も使わなくて
いいし、コスト的にもかなり楽になるのではないか。
(兵)今回の試作品はパウダーとして使っているが、いま1つ考えているのは、ホールと
して一部そういうもので食感を出す形で中に入れるというのも方法としてあるので
はないかと思っている。
(委)そっちの方が面白いかもしれない。
(委)原材料を見ると香料が一切書いてないが、香料は使っていないのか。
(兵)全然使っていない。
(委)それでああいう香りが出てくるのか。それを入れていないとしたら、良いものだと
思う。
(兵)高い評価を頂きありがたい。
(委)当然コスト的なものもあるし、中の生地に入れるかどうかという点はあるが、あれ
だけ特徴が出ているのであれば、結構良いものではないかと思った。
中身にもそういうメロンの匂いを強調するようなものは入っていないということか。
(兵)全く入れていない。
(委)専門家の目で見ると、やはり非常に良いものか。
(委)あれだけのものが出ているとしたら、結構商品価値としてはあるのではないかと思
う。
(委)それは良かった。
(委)ヒト試験というのは行ったのか。
(兵)SHRの動物実験で血圧降下作用を調べた。
(委)あのパンを食べさせたのか。
(兵)パンではなく、もとのパウダーを食べさせた時のデータ。
(委)かなり良いものになりそうだが、やはりコストの点が問題か。
(兵)その点については、試作に携わった製パン会社の話では、現状の添加量であれば1
20円で採算は合うという事だった。
(委)普通100円位だろうか。
(委)若干高めだが、美味しそうなものとしては大体標準的な価格。
(委)期待が持てそうである。
(徳)網干メロンパンでは、メロンをフリーズドライで乾燥されたという事だったが、こ
れは糖も何も添加せずそのままメロンのみをフリーズドライしたということか。
(兵)何も添加していない。
ただ、1点問題がある。皮の部分と種の部分を取って、可食の部分だけをフリーズド
ライにかけているが、糖分がかなりあるのでフリーズドライにかけた後、そのまま置
いておくと、すぐに吸湿してベチャッとなってしまう。できるだけ迅速に粉末にして、
袋にきちんと詰めて保存するというようにしなければならない。
(徳)私はこういう加工には詳しくないが、フリーズドライ後の粉砕というのは冷蔵庫内
とか低温の環境で行うのか。それともフリーズドライで室温に戻った後、室温で急
いでという事か。
(兵)室温で急いでという事。
(徳)やまももの果汁をフリーズドライにかけたことがあるが、すぐにニカワのようにな
ってしまった。
(兵)もちろん季節の問題もある。たとえば梅雨のシーズンだと、ちょっと難しいところ
があるかと思う。
(徳)その後は密封して保管するということで良いのか。
(兵)それで良い。
(兵)パンのことについて、委員にお尋ねしたい。私はパンについては詳しくないのだが、
今回の試作をやっていて、私の受けたイメージは、パンというのは非常に消費期限・
賞味期限が短い。短いということは、製パン会社がこの網干メロンパンを作って売
ろうとして、たとえば大量生産したときに、1週間しか賞味期限がないとしたら、
その1週間の間でたくさん作ったものをとにかく売っていかないといけない事にな
る。実際にスーパーなどの陳列棚を見ていても、パンというのはいろいろなメーカ
ーのパンが入り乱れたような置き方をされているが、消費者の行動を観察している
と、パンを選ぶ時には即座にパッパッと取っていく方が非常に多いように感じる。
普通のメロンパンとこの網干メロンパンとでは、確かに機能的に差があったとして
も、そこまで消費者の方は考えて手に取らないような気がする。付加価値をつけた
パンを開発する際に、そういったところをどのように差別化していけばいいのかと
いう点をお聞きしたい。
(委)パンについてというよりは、流通に関しての課題になる。
(兵)私たちはこういうものを作って、とにかく売っていきたいので、「売る」というとこ
ろを考えた時に、連携した製パン会社などからも、「いいのはいいんだけど、これを
たくさん作って、本当に1週間の間に捌き切れますか?」と言われる。
(石)私どもでは農林水産省の高度化事業をやらせていただいて、新しい形質のお米を使
っての商品化に現在取り組んでいる中で、今お話しのような点が課題となった。パ
ンではなく、おにぎりとか、そういったものについてだが、やはりたくさん作って
も、おにぎりはコンビニエンスストアに行けばいろいろな種類があり、消費者は機
能性などは関係なくサッサッと棚から取って行くという実態にどう対応するかが課
題だった。そこで、巨大胚芽米という胚芽の大きいお米があるが、それは発芽玄米
にするとギャバが高濃度であるという事で、それを使ったおにぎりを商品化した。
その商品をどのように売ったかというと、今日の話にもいろいろ出てきたように、
どういう人たちをターゲットにして売るかということを考え、最終的に関西の高質ス
ーパーで自社ブランド商品として扱ってもらう事になった。そのスーパーの中だけで、
品種名を書き、説明書きをし、ギャバが高含有だという事を訴求した。成分が高いと
いう事が謳えるので、ターゲットとして考えた健康志向の高い方が客層として多いス
ーパーだけに置くという形をとったところ、健康志向の高い方々なのでそれを選んで
頂けた。1つのおにぎりが200円ぐらいだが、それでも買って頂ける。逆に「いい
んだわ」というような形で買って頂ける。売り場には原料が厳選されたものなど競争
相手の180円、190円のおにぎりがいっぱいあるが、そういった形を狙えば、ま
た違ってくるのではないかと思う。
(試食検討会)
<主な意見>
・好ましかった点:
美味しい、まわりのサクサク感が良い、メロンの香りが良い
・改善して欲しい点:
表面がボロボロはがれてしまう、値段がやや高い、パン生地にもメロンを加えて欲し
い、メロンの香りがもう少し欲しい
・その他:
パン1つで機能性成分はどの程度含まれるのか、ターゲットはもっと広く考えられる
のでは
5.試作協力者コメント(試食検討会結果・意見交換会内容をうけて)
<試食結果に対する感想>
様々な分野のモニター意見が集約されており、今後の展開に大いに役立つと考えられ
る。開発者側のねらいとモニター(消費者)側の感じる部分でギャップがあるのも事実
であるが、総合的に見れば網干メロンの風味をうまくパン生地に練りこむことができて、
特徴を活かすことができたのではないかと思われる。ただメロンパンは、どこにでもあ
り、また単価も安いので、どこで差別化して、独創的な地域食品にするのかが難しいこ
とを、あらためてモニターの方々の意見を読んで感じさせられた。
<今後更に改善が必要と考える事項>
網干メロンというものがあまり知られていないので、これをパンに入れたときに、普
通のメロンパンと何が違うのかがうまく伝え切れていない。外側のクッキー生地は、風
味や色があるが、中のパンは色や風味が薄いので、改善すれば商品価値が向上するもの
と思われた。
<その他特記事項>
パンは賞味期限が短く、地場の名産とするには難しいかもしれない。クッキーなど水
分活性を抑えた商品のほうがうまく展開できるような気がする。
6.機能性成分含有量分析結果
(1)加工直前の原料形態時
地域農水産物名
網干メロン
分析した機能性成分
γ-アミノ酪酸
カリウム
分析機関
ニッテクリサーチ株式会社
ニッテクリサーチ株式会社
分析法
高速液体クロマトグラフィー
原子吸光法
含有量(%)
0.566
3.92
分析経過
特記事項無し
特記事項無し
(2)試作品形態時
地域農水産物名
網干メロン
分析した機能性成分
γ-アミノ酪酸
カリウム
分析機関
ニッテクリサーチ株式会社
ニッテクリサーチ株式会社
分析法
高速液体クロマトグラフィー
原子吸光法
含有量(%)
0.0110
0.178
分析経過
特記事項無し
特記事項無し
(2)試食対象とした平成17・18年度試作品の評価
平成17・18年度の試作品のうち試食検討会・意見交換会でのモニター・検討委員会
委員からの指摘事項・意見等を踏まえて商品化に向けてその後どのような取り組みが行わ
れているかについて、検討委員会において特に詳細な調査を行うことを決定した試作品の
中で商品化されているもの及び改良された試作品について3組織4品目を対象に今年度試
作品と同時に試食検討・評価を行った。(試食品一覧は表⑤参照)
試食後は、今後の更なる改善につなげるため試食検討会及び意見交換会の集約結果を試
作協力者にフィードバックした。(試食検討会の結果については、数値集計は表⑥、各モニ
ターのコメントは資料編①、意見交換会概要は資料編②、モニター用紙は表⑦及び④参照)
試食検討会・試食モニター及び意見交換会に関しては、「(1)食品の試作・評価及び機
能性成分分析」の項で記載の内容と同様なのでここでは割愛する。
また、表⑥の試食評価についても、今年度試作品と同様に各モニターの感覚を基準とし
ており、絶対値としての数字ではなく、試作品毎のあるいは評価項目毎の相対値としての
比較に用いたものである点に留意されたい。
<表⑥>
試食検討会モニター結果集約
(評価は1から4の4段階で行い、最も高評価のものを4として回答。)
徳島
地域
群馬
京都
徳島
試作品名
低カロリー
こんにゃく
スプレッド
京・流れ橋
クッキー
やまもも茶
やまもも茶
(果実入)
平均
食味
3.4
2.9
2.8
3.1
2.9
2.1
3.1
2.6
3.0
2.7
後味
3.0
2.9
2.1
2.6
2.6
くせ
2.9
2.7
2.0
2.4
2.5
食感(口当たり)*
2.9
3.1
2.3
2.7
2.7
香り
2.8
3.1
2.0
2.4
2.5
食べやすさ(飲みやすさ)*
3.1
3.1
2.2
2.7
2.8
色彩
3.2
3.4
2.7
3.3
3.1
素材が生かされているか
3.1
3.3
2.8
3.1
3.1
地場の名産になり得るか
3.0
3.1
2.6
3.0
2.9
値頃感・市場性
2.8
2.9
2.3
2.6
2.7
この機能性要素に関心があるか
2.9
2.8
2.6
2.8
2.8
開発ターゲットと合っているか
3.2
39.1
3.1
39.3
2.6
31.2
2.9
36.1
3.0
36.4
2.7
2.8
目新しさ・独創性
合計
意匠・ネーミング*
-
-
-
*「食感」・「食べやすさ」については、飲料(やまもも茶・やまもも茶(果実入))では、
それぞれ「口当たり」・「飲みやすさ」という設問で評価。
*「意匠・ネーミング」については、製品のみを対象とした。
<表⑦>
「農水産物機能性活用推進事業」試食検討会モニター用紙(製品)
年齢
29 歳 以 下 ・ 30 歳 ~ 39 歳 ・ 40 歳 ~ 49 歳 ・ 50 歳 ~ 59 歳 ・ 60 歳 以 上
性別
男・女
試食品
評価高
←
1
2
3
目新しさ
・
独創性
食味
後味
→
評価低
4
5
6
7
8
くせ
食感
香り
食べやすさ
色彩
4・3・2・1
(4段階の評価とし最高評価を4、最低評価を1としてご記入下さい)
好ましかった点
9
10
11
素材が生かさ 地場の名産に
れているか
なり得るか
改善してほしい点
開発ターゲット
一般的な小売価格
主な販売経路
狙い・訴求ポイント
アレルギー表示の必要な原材料
利用部分
産地
機能性成分
13
この機能性要 開発ターゲッ
素に関心があ トと合ってい
るか
るか
その他
<試食品について>
利用した農水産物
値頃感
・
市場性
12
14
意匠
・
ネーミング
こんにゃく芋
低カロリーこんにゃくスプレッド
<①低カロリーこんにゃくスプレッド>
協力先:群馬県農業技術センター、有限会社ホウトク
1.試食品について
内容量
150g
納入数
10個
利用した地域農水産物名
こんにゃく芋
利用部分
球茎
利用した地域農水産物の産地
群馬県
収穫時期
11~12月
着目した機能性成分
グルコマンナン(水溶性食物繊維)
商品区分・形態
調理食品・スプレッド
保存方法
常温(開封前)
試食にあたっての留意点
・低カロリースプレッドとしての商品化の可能性
・塗り拡げやすいこと、食べやすいこと
想定される小売価格帯
1瓶(150g) 300~400円
商品化に当たって
苦労した点
・砂糖を極力使わず、低カロリー糖を使用したことによる物性変化。
・食品として不自然でないこと。
試食品の特徴
想定するターゲット
アレルギー表示の
必要な原材料
・こんにゃくマンナンは、血中コレステロール低下作用など水溶性食物繊維として
高い機能性が期待できます。
・砂糖を使用していない低カロリースプレッドです。
・地元産果実の使用
・肥満を気にしながらも、甘い物が食べたい方
例えば①カロリー摂取制限の必要がある方②美容に関心の高い女性
・観光客(こんにゃく特産品として)
りんご
試食品作成組織
群馬県農業技術センター
その他特記事項
・開封後、要冷蔵
2.使用原材料及び割合(1%未満のものについては原材料名のみ)
原材料名
割合(%)
原材料名
割合(%)
リンゴ果汁
37
こんにゃく精粉
1.1
還元水飴
30
ペクチン
-
リンゴペースト
18
クエン酸
-
エリスリトール
12
3.試食品評価
*低カロリーこんにゃくスプレッド
(意見交換会)
<試作協力者説明>
昨年度お世話になった時、委員の皆様にご意見をいただいた中で、1つはスプレッドし
にくい、少し固いのではないかという指摘、それから粘りが気になるという指摘があった。
今回の試作品はその点を考えた。まずスプレッドしにくい、少し固いということで、こ
の点は単純に柔らかくするという方向にした。それから粘りが気になるという点について
は、こんにゃくのマンナンを使っているので、そのマンナンの粒の粒感を高めて、粘りを
なくす方向で試作した。
結果として、エリスリトールは若干削減した。低カロリーを狙って入れ過ぎると低温保
存時に結晶化することもあったので、若干減らした。開封後の保存性等についても考え、
還元水飴を増やす方向にした。また、昨年度はリンゴのシロップ煮というかスライス片を
入れていたが、スライスがかなり薄かったということもあったと思うが、あまり気づかれ
なかったようだったので、今回は均一に練り込んでいく方向にした。そのほうがこんにゃ
くのマンナンの粒感も少し出てくるのではないかと考えた。
今回の試作品は、まだその辺の基本的な物性の調整が必要ということで、群馬県農業技
術センターで作製しており、最終的な仕込みについても提出間際まで何度か確認はしたが、
まだもう少し物性面での調整が必要かなというところも感じている。
カロリーのほうは、昨年よりは若干上がったが、それでも概算すると市販のものに比べ
ると半分以下になっていると思っている。
その辺を調整した結果、ターゲットとしては、カロリー摂取を制限されている方に加え
て観光客、それから地元産の果実を使用してよりお土産に近いような形もあるのではない
かと思っている。
<質疑>(委:委員・群:群馬県試作協力者)
(委)低カロリーこんにゃくスプレッドだが、これはいろいろ工夫してスプレッドを塗り
やすいように改良している。昨年試食した時には、確かに面白い物性だがやや食べに
くいという評価であった。そこを工夫したのだと思う。
この試作品は、こんにゃくというイメージからかけ離れている。私自身はこんにゃ
くのイメージがなかなか捨て切れないが。
こんにゃくという、あの芋の名前は、他に呼び方はないのだろうか。
(群)このスプレッドについては、群馬県の中山間地の主要作物がこんにゃくだが、その
消費がどんどん落ちてきているという状況の中で、関税の問題もあって、こんにゃく
の産地を守るという意味で、あるいは中山間地を守るという意味で、どうしたらこん
にゃくの消費拡大を図れるかという課題に応えるために、新しい消費形態を考えよう
ということで取り組んだものである。
(委)そうすると、「こんにゃく」という名前にはこだわりたいという事か。
(群)可能であれば残したいとは思う。ただ、その点にはこだわらない。結果的に消費が
高まれば良いと思っている。
(委)新しいタイプの素材のような気がしたので。例えば学名ではどうだろうか。何か良
い名前があるのではないかと思うのだが。
(委)私は逆に、「こんにゃく」という名前があったほうが良いと思う。「こんにゃく」と
いう事でお客様にお買い求めいただけるケースが結構ある。
最近は「こんにゃくゼリー」という事で若干悪いイメージがあるので、逆にそうい
うイメージを回復するためにも良い商品になってくるのではないかという気がした。
(委)私は甘党だが、甘くないと量を食べない。あれでは美味しくない。パンに塗って食
べるなら、もう少し甘みをつけないと。カロリーも心配だが、これだけ入っていれば
当然普通のジャムに比べてカロリーは低いわけだから。ゼロにしようと頑張っても美
味しくないものは売れないので、カロリーが増えても、もう少し甘みを強くした方が
良いと思う。
(群)率直なご意見を頂き大変ありがたい。本日出席させていただく前に考えていたのは、
委員の皆さんから率直なご意見を全員から伺えればありがたいと思って来た。商品化
に至るまでに、専門家の方にぜひそれを伺って帰りたいと思って来たので、是非お願
したい。
(委)では順々に。
(委)私はあれぐらいの甘さだろうと思う。
(委)辛党の人はそうだろうが。
(委)良かったと思う。というのは、甘みが強いとこのターゲットの人は買わないのでは
ないかと思う。ターゲットを、美容のためとか肥満を気にする方というのであれば、
「甘い=カロリーがある=太る」といったイメージはある。あの甘さというのは、塗
ったときの量と、食べたときの感覚からいくと、「あ、こんな感じかな」と思った。
(群)粘性という面でのご意見もお願いしたい。
(委)昨年と比べて全然違う。昨年はまだまだと思ったが、これならば普通の商品。これ
で「できているな」と思った。
(委)噛みの切れもよくなっており、完成されていると思った。
(委)非常によくできている。
(群)大変高い評価を頂きありがたい。
(委)あとは、色がもう少し良くなるといいのだが。
(群)色はどんな感じが良いだろうか。
(委)もう少しあった方が良いような気がする。ただ、実際には売り場に並べた時にどう
かという事になるので、この試作品だけを見ていたのではわからない。恐らくスプレ
ッドとかジャムの棚に並ぶ事になるので、周りの色と比べてどうだろうかと。他のジ
ャムなどと並んだ時に、似たような色ではつまらない。もっと白いのが良いのか、濃
いのが良いのか、その辺がこの試作品だけを見ていたのではちょっとわからない。
(群)貴重な指摘を頂きありがたい。
(委)私も同様の意見を試食時に書いておいたような気がする。
(委)皆さん同じ意見だと思うが、まず物性については、昨年のすごくべたついて糊みた
いな感じからすごく改善されたと思う。狙いどおり粒感も高まっている感じがした。
甘みの点では、パンに塗る場合ちょっと足りないのかなという気もする。むしろ、た
だパンに塗るだけのものではなくて、もう少しデザートとか、甘いデザートのソース
のような応用というかバラエティーがあるのではないかという気がした。いろいろな
ものに使っていけるのではないかと感じた。
(委)私どもの商品にも使えるのかもしれないという気がした。
(委)私はもう1つ、粒々感の出し方をもう少し工夫できると面白いと思ったのだが。
(群)具体的にはどういう事だろうか。
(委)具体的には、これは果実の何かを使っていると思うが、粒々感を出せれば果実以外
の何かを使っても良いと思う。どういうものがいいか、サッとは出てこないが、いろ
いろな粒々感を出す素材というのはあると思う。
(群)粒々感というのは、こんにゃくのマンナンを糖によって制限したもの、マンナンそ
のものである。
(委)それが粒々感、粒になるわけか。
(群)それが今回の技術になる。
(委)私は、粒々感を出すために、他のものを入れたのかと思ったが、そうではないとい
うことか。
(群)若干の要素にはなっているが、必須ではない。ただ、そういう意見もあって全く果
実を入れないものも作ってみたが、非常に人工的な食べ物のイメージがあり、それが
大変いいという方とこれは食べ物ではないという方とに極端に二分されたので、途中
でやめた経緯がある。
(委)グルコマンナンが粒々感を出しているという事か。面白い。
(群)できれば他の委員からもご意見を伺いたい。
(委)私はタピオカのような粒々の食べ物が大好きなので、今回のスプレッドも塗ったと
きに、プツプツというような雰囲気が見える方がこんにゃくらしくて良いと思ってい
る。甘さについては、カロリーを気にしている人はあまり甘いと、やはり手に取るの
をちょっと考えてしまうというところはあるので、試食品位で十分ではないかと思う。
(委)甘さについては、クエン酸などの酸味を使うことによって、感覚は抑えてコクが出
てくる。まずは子供に食べさせるのか、大人の女性を狙うのか、ここをはっきりしな
いとだめ。観光土産で、「甘さを抑えています」というなら大人が買うが、実際に食
べて美味しくないと、次に手が出ない。ある程度コクがないと、「抑えています」だ
けでは、あまりたくさん売れないと思う。試作品では、クエン酸は何も使っていない
が、リンゴ酸でも、リンゴ酢でもいいので、そういうものを入れて糖度をもう少し上
げてやれば、コクが出てきてパンに塗るだけではなくて、いろいろなソース的なもの
でも使えるような気がした。
(委)昨年、自然食品のアンテナショップに置いているという話ではなかったか。
(群)そのルートはあるが、まだ出していない。
(委)そういった自然食品の方で出せれば。観光客というよりは健康志向の方を狙ったほ
うが良いのではないかと思う。
ただ、塗ったときに粒々なのはすごく良いが、スプーンですくった時に、何かボソッ
とした感触を覚えるような粒なので。すごくわがままなことを言っているとは思うが、
そうするとすくったときに「舌触りがひょっとしたら悪いかも」というふうに見えて
しまう気がした。
(委)いろいろあるが、個別に聞くともっと詳しく意見を聞けるかも知れないので、後で
また聞いてみて頂きたい。
(試食検討会)
<主な意見>
・好ましかった点:
適度な甘さ(低カロリーである点)、食べ易い・美味しい、プチプチ感
*昨年も試食したモニターからは、食感や粘度の改善を評価する意見があった。
・改善して欲しい点:
粘りが強い、価格が高め、甘すぎる、甘さが不足、香りが良くない
・その他:
リンゴ以外の味も試してみたい、ヨーグルトとの組み合わせなど他の用途提案
4.協力者コメント(試食検討会結果・意見交換会内容をうけて)
<試食結果に対する感想>
・先生方の客観的な講評をいただき大変参考になりました。
・物性や供試形態の見直し(200g→150g)を行ったことで、昨年度、低かった食感、及
び値頃感・市場感の評価が上昇しました。改良試作によって、新規な食品としてある
程度受容できる程度にはなっているということであり、これらを踏まえて地域農業振
興の観点から有効に活用を図りたいと思います。
<その他特記事項>
・地域資源を活かした新商品が求められている事が強く感じられ意を強くした。
・量産する上での技術的課題、コスト、流通ネットワーク等解決すべき事が多くあるが
具体的成果が挙げられるように努力したい。
てん茶(茎)
京・流れ橋クッキー
<②京・流れ橋クッキー>
協力先:特定非営利法人 京・流れ橋食彩の会、京都府立茶業研究所、京都府山城北農業改良普及センター
1.試食品について
内容量
約10g×4枚入り
納入数
80食
利用した地域農水産物名
てん茶
利用部分
茎・葉
利用した地域農水産物の産地
京都府
収穫時期
5~6月
着目した機能性成分
テアニン
商品区分・形態
洋菓子(焼き菓子)
保存方法 常温(45日)
試食にあたっての留意点 特になし
一般的な小売価格帯
税込105円(4枚入り)
商品化に当たって
苦労した点
硬い茎を細かく粉砕すること
よりお茶の緑を強調するため、生地を2層に分けたこと
生地を渦状に成型すること
試食品の特徴
想定するターゲット
アレルギー表示の
必要な原材料
①てん茶(抹茶の原料)の茎には、リラックス効果をもたらすといわれる茶特有のアミノ酸・テアニンが豊富に
含まれている。通常は焙じ茶原料として利用されており、焙じ工程によりテアニンが分解し、テアニンの機能
性が利用できていない。本試作品は、テアニンが残存し、なおかつ茶の香味を生かした食品となっている。
②京・流れ橋食彩の会は、時代劇の撮影等で有名な「流れ橋」の直近にあり、京都府有数の高級てん茶産
地である八幡市(やわたし)に所在する。本試作品は京料理で有名な「八幡巻」と「流れ橋」のたもとにできる
渦をイメージして成型したものである。
高齢者から子供までお茶とお茶の機能性成分に興味をもつ消費者層
小麦・乳製品・卵
試食品作成組織
特定非営利法人 京・流れ橋食彩の会
その他特記事項
特になし
2.使用原材料
原材料名
原材料名
小麦粉
てん茶(茎・葉)
バター
塩
グラニュー糖
ベーキングパウダー
卵
3.試食品評価
*京・流れ橋クッキー
(意見交換会)
<試作協力者説明>
この京・流れ橋クッキーは、お茶の中でもてん茶というものを利用してつくったもので
ある。
てん茶というのは、お茶に携わる方以外には少し馴染みのない言葉かもしれないが、お
抹茶の原料になるものをてん茶と言う。
てん茶というのは製造上特徴があり、葉と茎とに分かれて製造されている。葉のほうは
石臼で挽かれて抹茶になるが、茎のほうは加熱工程を経て焙じ茶になるというような利用
をされている。
お茶の中にはテアニンというリラックス効果をもたらすといわれるアミノ酸が、遊離ア
ミノ酸の約4割入っているが、てん茶の葉と茎を比較すると、茎のほうが多いということ
がわかっている。その茎に多いテアニンが焙じ工程によって加熱分解してしまうというこ
とがあったので、焙じることなく食品に利用できないかということに着目してこういう食
品にした。
試作品の製造については、京・流れ橋食彩の会から説明する。
昨年、京都府立茶業研究所から「こういうものを作ってみないか」との話があり開発し
た。昨年の試作にも携わったが、昨年の試食結果では「ちょっと固い」という意見があっ
たので改良した。具体的には、以前はベーキングパウダーを入れていなかったが、ベーキ
ングパウダーを少し入れてカリッと美味しくできるようにした。
苦労した点としては、二層にすることで巻いていく段階で形をうまく整えるのに大変苦
労している。
現在の状況は、まだ試作の段階だと思っているうちに試売品に対して好評をいただき、
あちこちから注文をいただいて、既に商品化の状態になっている。現在4個入りで100
円(税別)だが、来年度からもう少し数を入れて210円ぐらいで販売していこうかと思
っているところである。
<質疑>(委:委員・京:京都府試作協力者)
(委)次に京・流れ橋クッキー。
(京)まず、てん茶だが、茎をローストして120℃で30分焙せんするが、それを粉砕
機で粉砕するのが500gしかできない。うまく粉砕するにものすごく苦労した。
また、生地作りでは、普通のクッキー生地までは簡単にできるが、そのてん茶を生
かした生地を作るのに苦労している。すぐ固まってしまい、麺棒で伸ばしてもなかな
か伸びない。
(委)そのクッキーは、練りパイ式にして、そこの中にグラニュー糖ではなくて粉糖を使
えばもっと粘りが出る。
(京)粉糖のほうが良いのか。
(委)グラニュー糖だとどうしてもハードになるので、食べた感覚が固くなる。もっとサ
クくするためには、練りパイ式にして粉糖を使うと良い。
(京)今は、グラニュー糖を使って練りパイ式でやっている。
(委)練りパイ式でやると、練りパイで粘りを出して砂糖を少なくできる。現在は完全に
ハードクッキー。グラニュー糖を使っているので食感が固い。この状態で作業性がよ
くないのならば、ショートニングを入れたらサクサクになる。
練りパイ式でいくか、いまのクッキーでやるかということで、やり方は2つあると思
う。専門にお菓子を作っている方に相談すれば、幾らでも知恵は出てくると思う。
(京)それから、抹茶を薄く伸ばす時に全然伸びなかったので、どうすれば良いかと思っ
たところ、ちょうどパンも作っているので、メロンパンのビス生地の作り方を参考に
して、ちょっと薄めたところ普通に伸びるようになった。
(委)ああいうクッキーもハードクッキーで良いが、作業性が良くないという事であれば、
もう少し別な方法に変えたほうが楽にできると思う。
(委)それから、二層にするのが大変だと言うことだが、これは何か方法があるのだろう
か。
(委)パイ生地を薄く伸ばして、そこに敷いて、ロールに巻いて、冷凍して切るのだが、
その薄く伸ばすのが大変。
(京)その通り。薄く伸ばすのに苦労している。
(委)クッキー生地だとグラニュー糖を使うので、ゴロンゴロンして薄く伸びない。練り
パイ式にするか、練りパイでも練って三つ折に2回か3回折って、それで間に挟んで
巻けば巻けると思う。その場合の甘みは、粉糖を使うと良いと思う。
(京)粉糖も、グラニュー糖と同じ割合で良いのか。
(委)もっと減らして良い。練りパイにしたら、ずっと減らさないと浮きが悪くなる。そ
れとも、ハードクッキーで噛んで味を出したいというならば別だが。作業性を選ぶな
らば、練りパイのほうが良い。折りパイのほうがもっと良いが。ただ、あまり浮き過
ぎてもろくなると困るので。
(京)今度巻く時にまた考えてみたい。
(委)洋菓子屋さんで相談すれば、いろいろな方法があると思う。
(京)洋菓子屋さんにも行っていて、ちょっとしたコツは教えてもらっているが、細かい
ところまではなかなか。
(試食検討会)
<主な意見>
・好ましかった点:
色合いが美しい、美味しい、香りがよい
・改善して欲しい点:
ネーミングがピンとこない、パッケージ・デザインに工夫が必要、少し苦い、価格が
高い
・その他:
パッケージ・売り方に対する具体的な提案など
4.協力者コメント(試食検討会結果・意見交換会内容をうけて)
<試食結果に対する感想>
・パッケージについて多くの意見をいただきました。八幡らしいお土産物にしていきた
いと思いますので、「流れ橋」をイメージした現在のパッケージに工夫を加えていきた
いと思います。
・価格については、現在の単価が消費者の方々におみやげとして買っていただくのに手
頃な価格と思います。気軽に、たくさん買っていただきたいと思っています。
・クッキーのデザインについて概ね高い評価をいただきました。「渦巻き」もまた八幡ら
しいデザインと考えています。
・多くの方にアンケートに答えていただき、今後の商品開発に大変参考になりました。
ありがとうございました。
やまもも
やまもも茶
<③-1 やまもも茶>
協力先:阿波のやまもも会、徳島県立工業技術センター
1.試食品について
内容量
60g
納入数
10袋
利用した地域農水産物名
やまもも
利用部分
葉
利用した地域農水産物の産地
徳島県小松島市櫛渕町
収穫時期
7月
着目した機能性成分
ヤマモモは徳島県の県木であり、その果実中にポリフェノール3種が確認されている。その葉を使用
したお茶にも、高い機能性が期待される。
商品区分・形態
飲料・お茶(乾燥茶葉)
試食にあたっての留意点
保存方法
常温
茶葉30gに1ℓの熱湯を入れ、4分程度でカップに注ぎ、試飲。
一般的な小売価格帯
500円(60g)
商品化に当たって
苦労した点
熱水抽出時の抽出性向上(蒸熱時間、乾燥茶葉の微細化)。
葉が厚く表面がつるつるしているので撚れにくい、乳酸発酵が起こりにくく進みにくい、発酵があまいので乾
燥に時間がかかる。
葉の乾燥が機械化されていないので天日干ししており、大量生産体制がとれていない。
試食品の特徴
想定するターゲット
アレルギー表示の
必要な原材料
癖がなく,非常に飲みやすい。ポリフェノールを豊富に含む。
お土産として、観光客を想定。
無し
試食品作成組織
阿波のやまもも会
その他特記事項
特になし
2.使用原材料
原材料名
やまもも葉
やまもも茶(左)
やまもも茶(果実入)(右)
やまもも茶(果実入)
<③-2 やまもも茶(果実入)>
協力先:阿波のやまもも会、徳島県立工業技術センター
1.試食品について
内容量
60g
納入数
10袋
利用した地域農水産物名
やまもも
利用部分
葉・果実
利用した地域農水産物の産地
徳島県小松島市櫛渕町
収穫時期
7月
着目した機能性成分
ヤマモモは徳島県の県木であり、その果実中にポリフェノール3種が確認されている。その葉を使用
したお茶にも、高い機能性が期待される。
商品区分・形態
試食にあたっての留意点
飲料・お茶(乾燥茶葉・果実)
保存方法
常温
2~3gをティーバッグに入れて紙コップに入れ、100mlのお湯を注ぎ紅茶のように飲む。
砂糖は好みで入れる。
想定される小売価格帯
600円(60g)
商品化に当たって
苦労した点
やまももの果肉を加えたものを検討したが原材料費負担が多くなるので、代わりに果汁製造時に遠心分離
で生じるパルプの活用を、商品改良として考えた。
今回の試作品で使用したのは、やまもも果汁搾汁時に生じる残渣(パルプ)。(果肉が脱水された物)
試食品の特徴
想定するターゲット
アレルギー表示の
必要な原材料
従来のやまもも茶に果実の特徴を出すために開発した。
ハーブティーや紅茶感覚で召し上がっていただけるお茶。
お土産として、観光客を想定。
無し
試食品作成組織
阿波のやまもも会
その他特記事項
特になし
2.使用原材料
原材料名
原材料名
やまもも葉
やまもも果実
3.試食品評価
*やまもも茶・やまもも茶(果実入)
(意見交換会)
<試作協力者説明>
やまもも茶については、阿波のやまもも会という組織が徳島にあり、そちらで製造して
いただいた。
やまももは徳島県の県の木にもなっており、その果実中に3種のポリフェノールを確認
している。もちろんその葉とか、今回は使っていないが、樹皮にもそういうポリフェノー
ルが含有されていることが期待できる。
やまももに関しては、西日本で山や家の庭にみられるものだが、その果実が非常に傷み
やすいということと収穫が梅雨の時期に限られるということで青果の流通がなかなか難し
く、今回のような加工品が望まれている。
平成17年度の本事業では、やまももの葉のみのお茶を作った。農協や阿波のやまもも
会での試飲では、「飲みやすくていいんじゃないか」という意見もあったが、いざこちらで
試飲していただくと、「ちょっと枯葉臭い」とか、「見た目が、ただの乾燥した葉っぱのよ
うだ」ということで、商品として、見た目と、味と、非常に好き嫌いが分かれる結果とな
った。そこで、今回は果肉を入れたものについても試飲していただいた。
やまももの場合、青果から果肉を分離してピューレになる。ピューレは食品素材として
売られている。このピューレを遠心で搾汁することによってやまもも果汁を生産しており、
このやまもも果汁もゼリーやジュースなどに使われている。果肉を入れたやまもも茶を作
るにあたって、果肉をそのまま使うと非常にコストが上がってしまうので、このジュース
を搾ったときの搾りかす、もちろん果肉の脱水した部分だが、これをやまもものお茶に加
えて開発した。パッケージにもやまももの実が載っているので、本当にイメージそのまま
という、やまももの葉と果肉を使ったやまもも茶(果実入)が出来たと思う。
やまももの葉の場合は、徳島の阿波番茶という製法で作っているが、一般の日本茶に比
べて葉が非常に固く、葉を練る工程があるが、それが機械に非常に負担がかかり作りにく
いとか、若干発酵が進みにくいという部分があった。この点を阿波のやまもも会が阿波番
茶を作っているところで勉強して作れるようにしたというところが製造にあたって苦労し
た点である。
現在、やまもも茶はJA東とくしまの直売施設である「みはらしの丘あいさい広場」で
販売している。やまもも茶(果実入)については、試験的に産直市で販売したが、最終的
な商品化には到っていない。
<質疑>(委:委員・徳:徳島県試作協力者・兵:兵庫県試作協力者)
(委)やまもも茶だが、これもいろいろ苦労されている。一昨年と比べて今回はどうだっ
ただろうか。
(委)果肉の入っている方は、ほどよく酸味もあり、やまももの葉だけのものに比べると、
飲みやすくはなっていたと思うが、個人的にはやまもも茶自体をあまり好きになれな
かった。
(委)やまももというのは、酸味があって、すごく甘みも強い。そのやまももから葉っぱ
だけのものは想像もつかないので、やまもも茶と言われても、「本当かい?」という
感じがする。ただ、果実の入っているほうは、色が淡い色なので、「ああ、なるほど」
という感じがした。
(委)あの色は、ピューレを絞ってそのかすから出る色という事か。
(徳)その通り。
(委)そうすると、まだかなりそのかすの色が残っているという事か。
(徳)色は残っている。そのまま放っておくと酸化して黒くなってしまうが、すぐに冷凍
や加工に使えば、大丈夫。
(委)水分は、もう絞っているからそんなに無いのか。
(徳)そんなに無い。その後やまももの葉のほうと混ぜる事によって割に簡単に水分を飛
ばすことができる。それぞれ単独で乾燥すると、やまもものピューレを絞ったものの
ほうは結構大変だが、乾燥したやまももの葉と混ぜる事で乾燥が促進される。
(委)やまももの葉っぱと一緒にして乾燥すると、色もそのまま保てるという事か。
(徳)その通り。
(委)これはどうしてだろうか。
(委)一緒にして乾燥しているというより、乾燥の時間が短いから、保持できるというこ
とだと思う。
(委)一緒にしたから色が保持されるという事ではないのか。
(徳)葉の何かが効いているというよりは、やはり乾燥が早いというところだと思う。
(委)私は何かの成分が影響しているというふうになれば面白いなと思ったのだが。
(委)それはないと思う。
(徳)そこは確認していないので、厳密に何がどう起こっているという作用機構はわから
ない。
(委)あまりこだわらなくても良いが。うまくいっていれば、それで良いわけだから。
(委)葉の状態だけだと、固まっていて買ってからリピーターになりにくいだろうと思う。
今回は、ああやって粉砕したものをティーバッグに入れた状態にして試飲したが、あ
れなら普通のハーブティーと一緒。仕上がりもハーブティーなので、かなり完成して
いると思った。
問題は、単価。ただ乾かすよりも、あれだけ手間をかけるとコストとしてどれだけい
くかなと。もともと捨てているパルプという廃棄物なのでそのもの自体は安いのだろ
うが、工程が増えるので、その部分の計算だと思う。
(徳)試作品の段階だが、葉だけのものが60gで500円に対し、今回の果肉入りのも
のは60gで600円と100円高くなると聞いている。まだ最終決定ではないと思
うが。
(委)やまももの葉というのは、普通は捨てているものか。
(徳)そうなる。
(委)乾燥は天日か。
(徳)天日乾燥。いままでは完全に捨てていたが、このようなやまもも茶を作っていると
いう事で、近隣のやまもも農家の方が独自に乾燥して煎じて飲んでいるという話も聞
いている。
(委)それなら結構面白くなる可能性はある。
(委)ただ、私は柿の葉茶とかヨモギも飲んでみたが、それと比べてちょっと生臭さとい
うか、木の臭いだろうか、あれがちょっと気になる。果実入りの方は、それがなくて
良かったと思う。
(徳)網干メロンパンでは、メロンをフリーズドライで乾燥されたという事だったが、こ
れは糖も何も添加せずそのままメロンのみをフリーズドライしたということか。
(兵)何も添加していない。
ただ、1点問題がある。皮の部分と種の部分を取って、可食の部分だけをフリーズ
ドライにかけているが、糖分がかなりあるのでフリーズドライにかけた後、そのま
ま置いておくと、すぐに吸湿してベチャッとなってしまう。できるだけ迅速に粉末
にして、袋にきちんと詰めて保存するというようにしなければならない。
(徳)私はこういう加工には詳しくないが、フリーズドライ後の粉砕というのは冷蔵庫内
とか低温の環境で行うのか。それともフリーズドライで室温に戻った後、室温で急
いでという事か。
(兵)室温で急いでという事。
(徳)やまももの果汁をフリーズドライにかけたことがあるが、すぐにニカワのようにな
ってしまった。
(兵)もちろん季節の問題もある。たとえば梅雨のシーズンだと、ちょっと難しいところ
があるかと思う。
(徳)その後は密封して保管するということで良いのか。
(兵)それで良い。
(試食検討会)
<主な意見>
やまもも茶
・好ましかった点:
個性的・珍しい、体に良い感じがする、飲み慣れると飲みやすい
・改善して欲しい点:
薬臭さを感じる、苦味・渋味が強い、香りにくせがある
・その他:
冷やして飲むとどうだろうか、好きか嫌いかがはっきりわかれると思う
やまもも茶(果実入)
・好ましかった点:
色が良い、酸味が良い
・改善して欲しい点:
臭い・香りが良くない、酸味が強すぎる、ティーバッグにして欲しい
・その他:
砂糖を入れると美味しくなった、砂糖は合わない
4.協力者コメント(試食検討会結果・意見交換会内容をうけて)
<試食結果に対する感想>
幅広い分野、男女、年齢のモニターの意見を聴くことができ、大変参考になった。や
まもも茶(果肉入り)に対して、色彩、素材の持ち味、地域性、ターゲット層の項目で
高い評価をいただいた事は心強い。やまもも茶の主力はこちら(果肉入り)で行くのが
望ましいようである。味,香りに関しては、やはり個人差が非常に大きい傾向が感じら
れた。包装に関しては、ティーバッグに入れる等の要望が多いように感じられた。今後
の商品改良(くせ,外観,包装等)に活用したい。
<その他特記事項>
今後とも、同様の方法で試食検討を行う事業を希望いたします。
(3)試食評価のまとめ
3年目を迎えた今年度は、これまで2年間と同様に新たな試作品の試食評価を行うと共
に、平成17年度・18年度試作品のうち現地での聞き取り調査対象品で商品化されてい
るもの及び改良された試作品についても試食評価を行った。
今年度試作品については、これまで同様それぞれ特色のある食品であった。今年度の試
作品に用いられた農水産物には、これまで地域であまり目を向けられてこなかったもの、
特色のある地域の農水産物に加え、新たにその地域で栽培していこうとするものもあった。
また、売り場・ターゲットをより強く意識して、商品化された際には一定規模の売上が
期待されるような試作品が多かったように感じる。
個々の試作品についてのモニターの評価結果は、同じ試作品で「柔らかさ」を好ましい
とする意見と「もう少し歯ごたえが欲しい」という意見がそれぞれ一定数みられたように、
消費者の嗜好が多種多様化する中、これまで同様モニターの嗜好によりばらつく部分もみ
られた。その中でも一定の傾向値はとらえられており、試作協力者のコメントからも今後
の商品化に向けての参考になったことがうかがえる。
また、例年感じる点であるが、例えばガゴメコンブ巻で「説明不足のため、その特徴が、
海洋深層水で栽培した昆布を原料に使用したためであることまでアピールできなかったこ
とが残念」との試作協力者のコメントに代表されるように、一般的な商品に対して価格競
争面で優位に立つことが難しい本事業の対象品では試作品のアピールポイントを消費者の
視点からどう伝えていくか、それをモニターがどう評価するかという事は、商品化に向け
ての重要なポイントである。
今回の結果では、昨年同様どの試作品についても商品化に向けていくつかの課題が残さ
れていることが明らかになった。商品化に向けの課題は試作品ごとに異なるが、それぞれ
の試作協力者から今回の結果をうけて残された課題の解決に取り組んで行くことも報告さ
れており、今後の商品化が期待される。
一方、今回試食の対象とした平成17・18年度試作品は、京・流れ橋クッキー及びや
まもも茶の2品が商品化されているもの、やまもも茶(果実入)が試売したもの、低カロ
リーこんにゃくスプレッドが改良された試作品となっている。
各モニターの感覚を基準とする評価の中で、個々のモニターが異なるため参考値ではあ
るが、前回のモニター結果と比較すると低カロリーこんにゃくスプレッドは試食検討会・
意見交換会での指摘事項を中心に大幅に評価アップという結果であった。また、やまもも
茶(果実入)をやまもも茶の改良されたものと位置付けると、こちらも大幅な評価アップ
となった。
これは、京・流れ橋クッキー、やまもも茶が、試食検討会の時点で販売間近の状態まで
仕上がっていたのに対し、低カロリーこんにゃくスプレッドは商品化に向けて改良を重ね
ている過程で試食検討会・意見交換会に臨み、更に指摘事項に対して対応するという取り
組みを行った結果だと思われる。やまもも茶(果実入)についても、やまもも茶に対する
指摘事項も踏まえて検討された結果だと思われる。なお、京・流れ橋クッキーについても、
固さの調整など指摘事項を反映した改良を行っていると聞いている。
このように、試食検討会・意見交換会の内容が反映されて商品・試作品の改良につなが
っていることは、本事業に係わった試作品がより良い商品となって市場に出ることで本事
業の目指すところである地域の中小食品企業の活性化につながるものと期待している。
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