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空港における出発遅延抑制のための旅客・手荷物システム

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空港における出発遅延抑制のための旅客・手荷物システム
信学 技報
一般社団法人 電子情報通信学会
T日E INSTITUTE OF ELECTRONICS,
IEICE Technical Report
INFO設MATION AND CO悶UNICATION ENGINEERS
ITS2013-80 (2014-3)
空港における出発遅延抑制のための旅客・手荷物システムについて
間違哲也T
長谷川孝明T
小柳信孝*
細江克治??
林原央和*
水野一男I
新海草樹H
徳永威キ 和唐博文キ
井上麻衣5 長田範寿§§
安藤祐二S
荒尾和史5
↑埼玉大学大学院理工学研究科 千338開8570埼玉県さいたま市桜亙下大久保255
??株式会社デンソーコミュニケーションズ
:株式会社デンソ一
社株式会社デンソーエスアイ
*全日本空輪株式会社
5中部菌際空港株式会社
討中部国際空港施設サービス株式会社
E輔mail:
t {r工ianabe, takaaki}@hslab.ees.saitama鴨u.ac. ,
tt hosoe@ふcoms.co.jp,
t [email protected]伊, は[email protected],
* {t.tokunaga, h.羽制o, n.koyanagi, h.hayashibara}@ana.co.jp,
§ {k幽arao, Y可i_加do, Mai_Inoue}@吋iac.co.jp, §§ n・・[email protected]
本稿では, 空港における航空機の出発遅延抑制のための旅客・手荷物システムに関して, サブシステ
ムの基本性能評価と実証実験の概要について述べている. 本システムは, 旅客位置情報取得サブシステム, 情報配
あらまし
信サブシステム, 手前物搭載管理サブシステムで構成され, 本稿ではこれらのサブシステムに対して, 無線LAN
による位置特性の性能, 情報配信に要する時間, 手薄物探索に要する時開について評価を行っている. また, 中部
国際空港発の全日本空輸(ANA)国内線を対象とした実証実験を行い, その概要についてまとめている.
キーワード
空港, 位置特定, 情報配信, 手荷物探索
On the Passenger and Baggage System for Flight Departing Delay
Suppression at Airport
Tetsuya MANABEt
N aoki S廷闘KAIH
Takaaki HASEGAWAt
Takeshi TOKUNAGA*
H isakazu HAY ASHIBARA*
Kazuhito ARAO§
Katsuhar u HOSOtt
Hirofumi W A TO場
Yuji ANDO§
Kazuo MIZUNOt
Nobutaka KOYANAGI*
Mai INOUE§ and Norihisa NAGATA§§
↑Graduate School of Science and Engineering, Saitama University
255 Shimo”Okubo, Sakura幽ku, Saitama-shi, 338“8570Japan
tt DENSO Communications Corp.
*All Nippon Airways Co.,Ltd.
t DENSO Co中oration
U DENSO SI Co中oration
§Central Japan International Airport Co.,Ltd.
§§ Centrair Facility Service Co.,Ltd.
ιmail:↑{ manabe, takaaki}@hslab.ees.saitam制i.ac.jp,
tt hosoe@d幽corns.co品:kazuo一I工[email protected].
U naoki.shinkai@denso引J
* {t.tokunaga, h.wato, n.koyanagi, h.hayashibara}@ana.co伊,
§ {k-arao, Y吋i_Ando, Mai_Inoue}@cjiac.co.jp, §§ n·・・[email protected]
Abstract
This paper describes the passenger and baggage system for flight departing delay suppression at airports. The
system consists of the passenger’s location information acquisition subsystem, the information delivery subsystem, and the
baggage loading management subsystem. In this paper, we evaluate these subsystems about a viewpoint of the positioning
perfoロnance using wirelessLAN, the time for information delivery, and the required time for the baggage search. In addition,
we describe a summary of the demonstration experiments on the domestic flights of All Nippon Airways (ANA) departing
企om Central Japan International Airport (Centrair).
Keyword
Airport, Positioning, Information Deliverγ, Baggage Search
空機の C02排出量 削減のため に , 無駄なアイドリング
1.まえがき
地球温暖 化 対 策として低炭素社会実 現のた めの 取
り組みが世界的に行われている.
航空輸送分野では航
時間の 削減 や燃費の良い経路 ・ 高 度・ 速度の選択が行
われている.
一方, 空港では旅客や手荷物に起閤 した航空機の出
- 97 Thisa rticle isa technica l report without peer review, a nd its polished剖d/orex tended version ma y be published elsewhere.
Copyright©2014
by I EICE
:搭乗i
↑L:t態宣j
②
図1 旅客およ び預託手荷物の空港到着から出発 までの流れ
発遅延が発生している.
動チェックイン機や有人のチェックインカウンターで
例えば , 予約客が空港に現れ
チェックイン(搭乗手続き )を行う.
な い , 搭乗手続きを済 ませているのに も関わらず搭乗
預託手荷物のある
開始 時刻にな っても搭乗ゲートに現れな い , 搭乗旅客
旅客は航空会社の手荷物カウンターで手荷物を預託す
がゲートに現れないことによる受託手荷物の取り降ろ
るが , 預託手荷物のX線 検査にインライン方式を採用
し , 受託手術物の取り持ろし完了後に搭乗ゲートに旅
していない空港・ 航空会社では, 手荷物カウンターの
客が現れたことによる受託手荷物の再搭載などが挙げ
前で 検査が行われ, インライン方式が採用されてい
られる.
る場合は手荷物受託後~航空機に仕分け・搭載される
空港で航空機の出発遅延が発生すると, 需主機場での
までの開にX線 検査が実 施される. チェックインおよ
無駄なアイドリングによ って燃料が消費され , C02の
び手荷物預託が済んだ旅客は, 保安 検査場でセキュリ
また, 出発で遅れた分の 時間を取り
ティチェック(保 安 検査 )を受ける. 事前チェックイン
戻すた め に 速 度を上げて飛行することで;燃料消費・
済みで預託手荷物のない旅客:につ いては,空港到若後 ,
C02排出量はさらに増 してし まう.
藍接保安 検査場に進む.
排出量が増 える.
保 安 検査後 , 国内線搭乗旅客
木稿では, 空港における旅客の人的要因による出発
は搭乗ゲートに向 か い , 国際綿搭乗旅客は, 税関手続
遅延抑制のための旅客・ 手荷物システムに関して, そ
き( 必要に応じて) , 出国審査を経て搭乗ゲートに向 か
のサブシステムの基本性能 評価と実証実験 の概 要につ
っ.
いて述べる.
閤Iにおいて, 旅客・手荷物による遅延要因の例(不
可抗力による ものは除 く)として以下が挙げられる.
①空港外: 旅客の自己都合で空港に来ない(No-show)
2.空港における航空機出発遅涯の要国分析
② 空港構内(非制限エリア):食事 , ショッピング, 空
2.1.航空機出発遅延の要因
港ラウンジ等での休憩 ,チェックインカウンターの
航 空 機 の 遅 延 の種類は , IATA (I nterna tiona l Air
場所が分からない(迷子)など
Tra nsport Associa tion) Dela y Code では以下のように定
③空港構内(非制限エリア):食事 , ショッピング, 空
義されている.
•
Internal
e
Passenger/Baggage
・
Cargo/Mail
・
Handling
•
Technical
港ラウンジ等での休憩l ,保安 検査場の場所が分から
ない(迷子)など
@空港構内(制限エリア):食事 , ショッピング, 空港
ラウンジ等での休憩 ,搭乗ゲートの場所が分からな
い(迷子) , 出発 時期と搭乗開始 時刻の間違 えなど
⑤空港構内(荷捌き場):旅客が搭乗ゲートに現れない
e
Damage/Failure
•
Operation
ことによる受託手荷物の取り降ろし,取り降ろした
e
Weather
受託手荷物の再搭載(取り降ろしキャンセル)など
•
Air traffic control
e
Miscellaneous
これらの遅延要因に 対して, 航空会社によ って対応
は異なるが,例えば以下のような処畳が取られている.
①No-showチャージ(罰金)の導入など
2ム旅客・手帯物による遅延要因と現行の処置
②非制限エリアにお いて, 航空会社の係員が便 名 ・行
旅客およ び頭託手荷物の空港到着から搭乗・ 出発 ま
き先・ 時間等の書かれたプラカードを掲げながらの
での流れを臨1に玉沢す. 事前チェックイン(オンライン
声掛け, 館内アナウンスなど
チェックイン )を済 ま せていない旅客は空港到着後 , 自
-
98
-
③②と同じ
乗開始 時刻, 搭乗ゲート変更などのメッセージを 送信
@制騒エリアにお いて,声掛け,舘内アナウン スなど
することができ る.
⑤ネ めの受託手荷物取り降ろし指示など
により旅客はフライト情報表示板から自身に関係する
空港旅客を対 象 とした歩 行者 ナピゲーションシス
メッセージ例を閣5に示す.
これ
情報を探すのではなく, 対象 旅客のみに配信される情
テムを用い ることで旅客の移動をスムーズに 行うため
報をもとに 行動することができ る.
の 試みとして,13. 56MHz帯の eタグと電子ベーパを利
手荷物搭載管理サブシステムは, 搭乗ゲート係員が
用したもの[ l], 非接触 I C内蔵携帯電話機 (おサイフケ
利用する搭乗ゲート端末 , 荷拐1Jき:場係員が利厚する取
ータイ⑧)や二次元コード(QRコード⑧)を利用したもの
り降ろし指示端末で構成され る.
[2], タッチ パネル搭載キオスク型端末を利用したもの
は, 搭乗ゲート係員の判断で受託手荷物の取り降ろし
このサブシステムで
[3], 既存の フライト情報表示用ディスプレイを改装し
が決定した際 , 搭乗ゲート端末から対象 旅客の受託手
たもの[4 ]などが挙げられる.
荷物の取り降ろし指示を取り降ろし指示端末に 送信す
さらに , 受託手荷物管理
に関する試みとしては, 13. 56MHz 幣の 巴タグ(RFID;
R a dio F requenc y
る.
Identifica tion)を用いた航空手術物管
取り降ろし指示端末では, 取り降ろし 対象手荷物
の便 名 ・ ID・ 手術物酒{裂が表示され, 荷拐4き場係員に
よる手術物探索の効率化 が期待される.
理システム で , 新東京国際空港 (成 問空港 ) , シンガポ
取り降ろし作
ールのチャンギ空港 , 香港閤際空港 , サン フランシス
了後 ,端末上で取り降ろし完了を報告することで ,
コ国際空港 , パンクーパー闇際空港の世界 5空港を対
搭乗ゲート係員が搭乗ゲート端末上で手荷物取り降ろ
象 とした国際実験 も 行われてい る[ 5.]
しの状況を確認することができ る.
本稿では, 空港にお いて旅客の人的要国による航空
図6に受託手術物
取り降ろし指示・ 状況表示例を示す.
次 節では, 旅客・ 手荷物システムのサブシステム の
機の出発遅延抑制のための旅客・ 手荷物システムの 評
イ面を行う.
基木性能 評価として,無線L ANによる位置特性の性能 ,
情報配信に婆する時間, 手荷物探索に要する時開につ
いてそれぞれ評価を行う.
3.空港における航空機出発遅延抑制のための
旅客 ・ 手荷物シ ス テ ム
空港における航空機出発遅延抑制のための旅客・ 手
空港における航空機出発遅延抑制のための
旅客・手荷物システム
荷物システムの構成を図2に示す. 本 システムは, デ
ータベースを備えたサーバの他, 旅客位置情報取得サ
ブシステム , 情報配信サブシステム , 手荷物搭載管理
サブシステムで傍成されてい る.
旅客位置情報取得サブシステムは, 旅客が利用する
旅客用端末 , 搭乗ゲート係員が利用する搭乗ゲート端
末 ,空港構内に複数設置された無線L ANアクセスポイ
ン ト (以下 , AP)によって構成される. 旅客用端末は旅
客:の搭乗便 情報と紐 付けられてい る.
図2
このサブシステ
旅客・ 手荷物システムの構成
ムでは, 図 3のように中部菌際空港圏内線 制限エリア
(全長約 SO
Om)に APを設置し , さらに , このエリアを
27のゾーンに分割してい る.
旅客用端末の Wi綱引スキ
ャン機能を利用して, 周辺 APのBSSID(Ba sic Service
Set I dentifier), R SSI( R eceived Signa l Strength I ndica tor)
から現在地を特定し, 旅客用端末上に表示する.
例を国 4( a )に示す.
表示
各旅客用端末の 位置 情報は無線
L ANを通じてサーバに蓄積される. 搭乗ゲート端末で
は, サーバに蓄積された位置情報を図4( b)のように関
覧することで , 旅客の 位置を偲握することができ , 搭
乗ゲートに現れない旅客の捜索の効率化 , 受託手荷物
取り降ろしの指示を適 切に 行うことができ る.
情報配信サブシステムの燐成は, 旅客 位置情報取得
サブシステムと同様である.
図3
このサブシステムでは,
搭乗ゲート端末から対象便 の旅客用端末に 対して, 搭
-
99
-
中部国際空港閣内線 制限エリアへの AP設置
30
25
20
15
選
10
,
,, ,
0
1
2
麟翻歩行
=早さ善幸
一一歩f守{累積}
齢柳欄E事さ詳苦{繁華費}
3
4
1.0
0.8
4凶…ヤ
�,”,, 働
,,. .,,. - ’・8 胃直【ー 樹F #
,,,妙
5
0.2
0.0
立::1
6
ゾーン滋伎のf立後特定談畿の絶対綾(zone]
図7 ゾーン 単 位の 位置特定誤差の 絶 対値の頻度分布
表 l
( a ) 旅客用端末
位置特定誤差と位霞情報更新掲i潟
( b) 搭乗ゲート 端末
国4
現在地表示例
位置特定誤差の
平均・標準偏差 [z one]
位
情報吏新聞編の
以上の結果に鑑み ると,
( b) 搭乗ゲート端末
圏5
L3± 1.4
L 6 L7
50. 9土 28.2
空港における旅客 位置特定
WiF
- i による位罷特定アルゴリズ
複数手法の併 用 ( WトF i, QRコード,
ムの最適化,
( a ) 旅客用端末
早歩き
4 8. 6± 28. 0
平均・標準偏差 [ sec]
性能の向上のため ,
歩行
eタ
グ, B luetooth など )が 必要であると言え る.
情報配信例
4ム情報記信サブシステム
搭乗ゲート端末から旅客用端末に 対して情報を配
する際,
端末密度によ って情報配信の可否や情報配
信に要する時間に惹が出 ることが予想、される. 例えば,
搭乗開始 まで 時 聞があれば旅客は空港構内に分散して
い るため端末密度は小さく, 清報の未逮や遅延の発生
( a ) 搭乗ゲート端末
は少ないと今えられるが,
( b) 取り降ろし指示端末
搭乗開始直前など複数の旅
客 (端末 )が l ヶ所に集中すると端末密度が高くなり,
図6 受託手荷物取り降ろし指示・状況表示例
情報の未達や遅延が発生する可能性がある.
そこで,
搭乗ゲート端末から 送信されたメッセージを旅客用端
4.サ ブ シ ス テ ム の基本性能評価
4.1. 旅 客位置情報取得サブシステム
末で受信できた割合 (以下,
に要 した時間(以下,
無線 L AN を用いた位置特定性能につ いて評価を行
った. ここでは,
定誤差,
ゾーン 単 位 (1ゾーン 王子 24 m)の位置特
位置情報更新間隔につ いて歩行速度を変えて
評価を行った.
を行 った.
また,
位置特定誤差
ここでは,
受信 まで
中部国際空港圏内線出発ロビー
内で旅客用端末の台数や利用場所を変え,
情報到達の
可否と各端末の 情報配信所要 時間を計測した.
ゾーン 単 位での 位置特定誤差の頻度分
布と相 対累積接度を罰 7に示す.
情報到達率 )と,
情報配信所要 時間)につ いて評価
まず,
情報到達率に関して, G a te2 付近で端末数を
変化させたときの 情報到達率を表 2に示す. 表 2より,
と位置情報更新開痛
| を表 1に示す. 関 7および表 1よ
端末数が多い場合に 情報到達率が低くなり,
り, 早歩きは歩行に比べて,
で 情報が受け取れていないことが確認でき る.
位置特定誤差が大きく,
位置情報更新間隔 も長くな ってい ることが分か る.
こ
一部端
約 200
台の 端末を利用する場所を変えたときの 情報到達率を
の原因として, 早歩きでは端末で周辺 AP 情報を取得
表 3に示す.
してい る開に別ゾーンに入 ってしまうことによる誤皿,
と利用場所によらず情報到達率が 100%にならないこ
位置特定に係 る計算をサーバ内で行ってい るために端
とが磯認でき る.
末で AP 情報を取得 してから位置特定結果が得られる
までの遅延が考えられる.
表 3より,
端末が 1ヶ所に集中してい る
約 200台の端末を利用する場所の数
(端末密度 )を変化させたときの 情報到達率を表 4 に示
す.
表 4 より,
端末密度が小さいと情報到達率がやや
高くな ってい るが,
- 100 -
いずれも有意な差は見られない .
120
討100
三80
怪60
l毘 40
a;: 20
端末数と情報到達率の関係
表2
情報到
端末数
5
7
9
67%
100%
100%
100%
13
15
17
204
97%
93%
100%
100%
情報到
<fl
3
端末数
題 之。O
国
鮮 -40
慾 ,60
表 3 利用場所と情報到達率の関係
利用場所
情報到達率
I
1
FIS付近
95%
i
I
G a te2付近
93%
I
I
1ヶ所
(#2)
G a te4 付近
7ヶ所
(#2-#8)
10ケ所
(#2-#11)
利用場所の数{#ゲート番号)
s2%
岡10 利用場所の数と情報配信 所要 時間の関係
利用場所の数と情報到達率の関係
表4
利用場所の数
情報到達率
I
93% I
I
I
1
/
I
I
96% I 93% I 93% I
3
4
1
4.3.手荷物搭載管理サブシステム
io
受託手荷物の取り降ろしにお いて, 手荷物搭載管理
98%
サブシステムを用い ることによる効果を評価するため ,
次に , 情報配信 所要 時間に関して, 端末台数との関
係を閤8に , 利用場所との関係を鴎9に , 利用場所の
数との関係を図10に示す. 図S~10より , 端末数が多
い , または, 端末密度が高いと情報配信 所要 時間の平
均・標準偏差ともに大きくな ることが確認でき る.
搭
乗ゲー ト端末からの 情報は対象便 の旅客:用端末に 確実
に配倍されなくてはならないため , 各端末の 位龍や密
度に もと づく送信タイミング制御の 検討 などが 必要で
ある.
受託手荷物が航空機に搭載された状視を想、定し , 搭乗
ゲー ト係員から荷捌き場係員に 対して手荷物の取り降
ろし指示を出してから , 4 1個の手荷物の中から取り降
ろし対象手荷物を発見するまでの 時間(以下 , 手術物探
索 時間)を計測した. ここでは,手荷物画像情報の有無 ,
eタグ情報の有無を変え , それぞれの条件で 30回ずつ
計測を行い , 手荷物探索 時掃の平均と標準偏差を求 め
た.
結果を表 5に示す.
表 5において, 手荷物画像情
報なし . e タグ情報なしは現状の探索方法に相当し ,
術物を特定する.
表 5より , 手荷物画像および eタグ
はいずれも手荷物探索に効果があるが , 従来手法と比
較すると手荷物眠像の効果が大きいことが分か る.
し
かし, 手荷物商像と e タグを同 時に提示した場合 , 手
荷物画像のみを提示した場合より探索に 時間を要 して
繭闘
m醐輸品
縁幽副
議a
T翻網占
一
守額
閥髄
円
u
n
un
un
un
un
un
un
u
n
U
2 0 8 6 4 2
2 4
々ふ
勾ム
{
U
U
A薮山首
刷聞
出腿国
間
縦揺
受託手荷物に付けられたタグのバーコードで 対象の手
い る.
これは, 本 評価にお いてシステム利用者が「手
荷物画像のみでも探索でき るが , e タグも使わないと
3
5
7
9
11
13
15
17
204
いけないJ とい った心理的な影響によるものと考えら
れる.
端末数[台i
図8 端末数と情報配信 所要 時間の関係
しかしながら, 手荷物師像情報 . e タグ情報は
いずれも手荷物探索に効巣があることは明白であるこ
とから, これらの 情報の効果的な組み合わせ方法につ
いて今後検討 を行う 必要がある.
140
)rl 120
竺. 100
ir 80
糊 60
iさ 40
塑20
表 5 手荷物探索 時間 [ sec]
手荷物画像情報
なし
器 繍。
20
慾
4ケ所
(#2-#5)
3ヶ所
(#2-#4)
巴タグ情報
・40
FIS付近
Gate2付近
Gate4付近
利用場所
図9 利用場所と情報配信所要 時間の関係
あり
なし
74 土65
24 土17
あり
34 土30
33土50
6.むすび
5.実証実験
本稿では, 空港における航空機の出発遅延抑制のた
5.1.第1次実証実験
2013年1月23日~2月5日 の土日 を 除 く平日 10日
間, 中部菌際空港発の全日本 空輸(ANA)の沖縄 便 ( 那
覇 ・石垣)を対象に実証実験 を行 った. 本実験 における
めの旅客・手荷物システムに関して, サブシステムの
基本性能 評価として,無線L ANによる位置特性の性能 ,
情報配信に要する時間, 手荷物探索に要する時間につ
システムの機成 を図 11 に示す. 本実験 の 対象便 は 1
いて評価を行った. また, 中部国際空港発の全日本 空
日 4 便 の言十4 0使 で , 実験参加者は 1,00i名 (対象便 の
輸(ANA)園 内線を対象 とした実証実験 を行い , その概
全旅客数は 3 ,161名 ) ,受託手荷物数は 771偲(対象便 の
要につ いてまと めた.
今後の課題 として, 旅客 位震
情報取得サブシステム
全受託手荷物数は 3,665偲)であった.
では, 空港における旅客 位置特定性能の向上のため ,
WトF i による位龍特定アルゴリズムの最適化 , 複数手
空事�:I
_·:;;_;斗
i�
法の併 用 ( WトF i, QR コード, e タグ, B luetooth など )
につ いて検討 する必要がある. 情報配信サブシステム
では, 旅客用端末に 対して情報を確実 に配信するため
�[!宝百日
仁量Eコ
の方法として, 各端末の 位置や密度に もと づく送信タ
イミング制御の 検討 などが考えられる.
手荷物搭載管
理サブシステムでは, 手荷物探索 時間削減のため , 手
荷物商像情報と e タグ情報の効果的な組み合わせjj の
検討 が挙げられる. また, 本 システムの普及 に向けた
課題 の抽 出および整理を行っていく必要 もある.
謝辞
平成 24 年度地球温暖 化
本研究 は, 環境省「
対策技術 開 発・実証研究事業(空港における 待ち
時期解
消 のための革新的旅客・ 手荷物システムに関する 技術
関 11 第l 次実証実験 時のシステムの待成
開 発 )J により実 施されたものの一部である.
5ム第2次実証実験
2013年11月19日~12月18日 の 1ヶ月
間, 中部国
際空港発の全R本空輸(ANA)圏内線全便 を対象に実技
文
[I]
実験 を行った. 木実験 におけるシステムの傍成を図12
に示す. 本実験 の 対象使 は :日 52便 の言十1,572使 , 搭
乗旅客数は 125,720名 , 受託手荷物数は 73,325個であ
った.
[2]
!KIOSK繍京i
献
T. Hasegawa, A. F ukud a, S . S h i mod a, T. I noue , H.
Yanai , J. Mori y a, S. Yamash ita, K. Miz uno, H.
W at anabe , K. Og awa, K. Kod ama, H. Ot a, and K.
Hat ano, “Airport Passenger I ntelligent Transport
S y ste ms( API TS) 幽Airport Passenger Navigation by
Using W YSI W YAS Direc tion B oard s ,’' Proc . 13th
World Congre ss 2006,
L ondon,UK, Oc t . 2 006.
T. Manabe , T. H asegawa, K. Arao, K. Okuno, H. Ito,
Ando, H. Higash ida, and T. Take y ama,“Proposal
of MI Wy NE B ox
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W YSIW YAS Navigation Environments ,”Proc . 17th
I TS World Congress 20I0,B usan, Kore a, Oc t. 2010.
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実 験J’ 信学 技 報 , I TS 2009幽63, pp. 14 7幽152 ,Feb.
2 010.
[4 ]
搭窓長講番情報
取り降ろし手術物情鎗,手荷物画像情報
糸猪3震線客情報
r豆芸完ごi:kl
緒示・作家E答
X8会
P. R uppel,F .G sc h wandtner, C.K. Sc h indh elm, and C.
.
L innh of f 幽Popien ,”I ndoor Navigation on Distributed
Stationary Display S y ste ms’
'
, Proc . 2009 33rd Annual
I EEE I nternational
Computer S oftware
and
Applic ations Conf erence ( COMPSAC’09), Se attle ,
WA,USA,July 2009.
[5] 長谷川学明,福出娯,波多野啓介,喰FID 技術 によ
る空港手荷物管関 システムの実証実験 につ いて ,”
信学 技報 ,I TS2001・83, pp. 19ト197,Jan. 2 002.
函12 第2 次実証実験 時のシステムの構成
- 102 -
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