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平成17年度事業報告
事 業 自 至 概 報 告 平成17年4月1日 平成18年3月31日 況 温泉法施行規則の一部が平成17年2月に改正され、5月24日施行された。 この改正により、温泉利用施設において、温泉に、加水、加温、循環装置の使用、入浴剤添加、 消毒処理などを行っている場合は、その旨とその理由の掲示が必要となった。 また、虚偽の掲示、あるいは掲示しない場合には罰則規定も適用されることになったため、温泉 利用施設側では限られた日数のなかで対応に苦慮する場面も見うけられた。 日本温泉協会が平成15年度から2カ年にわたって試験運用を行ってきた天然温泉表示看板も、項 目の追加や、場合によって、一部の項目については表示内容の変更が生じたため、平成17年5月の 本格導入への移行にあたり、改正温泉法施行規則に準拠したものとするため、表示内容を全体的に 見なおした。 なお、テスト看板を掲示している施設に対しては、詳しく状況を説明するとともに、看板の掛け 替えや、自らの補足表示、修正等の必要性を通知した。 天然温泉表示看板は、全国統一の基準と第三者機関による公正な審査という点が特色であり、協 会ではその普及に力を注いできた。17年度末の貸与状況は、全国で209施設、402枚を数える。本会 がかねてより他に先駆けて取り組んできた温泉の表示問題は一歩前進したことになる。 また、日本宝くじ協会助成金による新規事業で、温泉の知識を普及する事業として図書「温泉 自然と文化」を刊行し、成果物を全国の図書館等に寄贈。温泉の知識の啓蒙普及につとめるととも に、併せて日本温泉協会の存在を世に示した。環境省委託事業「国民保養温泉地における温泉の利 用に関する検討調査」では3カ年事業の締め括りとして、現行の国民保養温泉地指定に関する見直 しのための提言と、新基準試案を報告書にまとめ報告した。 さらに、月刊雑誌『温泉』とインターネット・ホームページ「温泉名人」の内容の充実につとめ た。「温泉名人」は、温泉専門のサイトとして高い評価を得るとともに、アクセス数も年々増加し ている。全会員旅館の情報を掲載したこの媒体は、協会が会員に還元するサービス業務としても大 きな意味あいをもつものとなっている。 会員の異動並びに現況 期間中 17.4.1現在 普 通 会 員 18.3.31現在 合 併 に 増 減 種別変更に よる 異 動 入会 脱会 1,589 39 71 0 +1 1,558 −31 よる減員 特 別 会 員 314 7 13 3 −1 304 −10 名 誉 会 員 4 0 0 0 0 4 ±0 計 1,907 46 84 3 0 1,866 −41 - 1 - 事業報告 1,会議の開催、関係会議および行事参加 (1)総 会 1)平成17年度会員総会 6月22日 兵庫県神戸市・有馬グランドホテル (1)平成16年度事業ならびに決算報告 (2)役員改選 (3)平成17年度事業計画ならびに予算案 (4)平成17年度短期借入金の限度額について (5)平成18年度会員総会開催地の選定 (6)その他 (2)理 事 会 1)第1回理事会・評議員会合同会議 6月9日 東京・朝日東海ビル会議室 (1)平成16年度事業ならびに決算報告 (2)平成17年度事業計画ならびに予算案 (3)平成17年度短期借入金の限度額について (4)平成17年度会員総会の開催について (5)平成18年度会員総会開催地の選定 (6)その他 1)第2回理事会 12月21日 東京・朝日東海ビル会議室 (1)平成17年度上半期事業ならびに収支について (2)天然温泉表示制度の実施状況について (3)定款変更について (4)第48回「旅と温泉展」、第34回「国際ホテル・レストランショー」開催について (5)平成18年度会員総会の開催について (6)その他 (3)正・副会長会議 1)第1回正・副会長会議 5月9日 東京・協会会議室 (1)平成16年度事業報告ならびに収支決算見込みについて (2)平成17年度事業計画ならびに予算案について (3)平成17年度会員総会の開催について (4)その他 2)第2回正・副会長会議 6月9日 東京・朝日東海ビル会議室 (1)第1回理事会・評議員会合同会議の提出課題について 3)第3回正・副会長会議 6月22日 兵庫県神戸市・有馬グランドホテル (1)平成17年度会員総会について (2)その他 4)第4回正・副会長会議 12月21日 東京・朝日東海ビル会議室 - 2 - (1)第2回理事会の提出課題について (4)監 事 会 1)平成17年度監事会 5月27日 東京・協会会議室 (5)委員会等の会議 1)天然温泉表示制度運営委員会 4月6日 東京・協会会議室 2)総務委員会開催 5月9日 東京・協会会議室 (6)関係会議出席 1)ツーリズム産業団体連合会、第1回広報・啓蒙委員会 4月19日 東京・赤坂プリンスホテル 2)自然公園財団評議員会 6月10日 東京・法曹会館 3)ツーリズム産業団体連合会・第2回広報・啓蒙委員会 7月5日 東京・赤坂プリンスホテル 4)国民保養温泉地協議会総会 7月14日 福島市・コラッセふくしま 5)国際ホテル・レストランショー2006、第1回企画委員会 7月26日 東京・ロイヤルパークホテル 6)ツーリズム産業団体連合会、第3回広報・啓蒙委員会 9月27日 東京・赤坂プリンスホテル 7)ツーリズム産業団体連合会、第4回広報・啓蒙委員会 11月29日 東京・赤坂プリンスホテル 8)国際ホテル・レストランショー2006、第2回企画委員会 11月30日 東京・ロイヤルパークホテル 9)自然公園等保全整備促進中央協議会総会 12月1日 東京・霞山会館 10)ツーリズム産業団体連合会、第5回広報・啓蒙委員会 1月31日 東京・赤坂プリンスホテル (7)関係行事参加 1)国土交通大臣表彰祝賀パーティー 4月14日 東京・赤坂プリンスホテル 2)旅フェア2005 開会式 4月22日 千葉市・幕張メッセ 3)中国大慶市副市長一行来会 4月25日 東京・協会会議室 4)日本温泉地域学会総会、第5回研究発表大会 5月12日∼13日 長野県昼神温泉・昼神温泉観光センター 5)「大白川温泉しらみずの湯」竣工式 5月17日 岐阜県白川村・大白川温泉しらみずの湯 6)温泉文化を利用者とともに語る会 5月24日 大分県別府温泉・別府アリーナ - 3 - 7)長野県温泉協会総会 5月25日 長野県上諏訪温泉・ぬのはん 8)旅行作家の会、第21回「年に一度の大集合」 6月7日 東京・ホテルメトロポリタン 9)ツーリズム産業団体連合会総会 6月14日 東京・東商ホール 10)(社)国際観光旅館連盟総会 6月16日 東京・東京プリンスホテル 11)全国旅館生活衛生協同組合連合会全国大会 6月21日 兵庫県神戸市・ポートピアホテル 12)(社)群馬県温泉協会総会 6月28日 群馬県前橋市・上毛会館 13)全国女将サミット2005 7月6日 東京・東京プリンスホテルパークタワー 14)岐阜県温泉協会総会 7月14日 岐阜県下呂温泉・水明館 15)温泉学会、第5回全国大会 9月2日∼3日 山形県尾花沢市・尾花沢市共同福祉施設 16)日本温泉科学会、第58回大会 9月8日∼9日 北海道洞爺湖温泉・洞爺湖文化センター 17)日本旅行記者クラブ創立40周年記念交流会 9月16日 東京・京王プラザホテル 18)下呂温泉関東地区観光客誘致会議 9月29日 東京・帝国ホテル 19)日本酒で乾杯推進会議 9月30日 東京・グランドハイアット東京 20)体力つくり国民会議総会 11月11日 東京・霞ヶ丘競技場 21)日本温泉地域学会、第6回研究発表大会 11月13日∼14日 福島県土湯温泉・山水荘 22)第19回にっぽんの温泉100選審査会(観光経済新聞社主催) 12月1日 東京・観光経済新聞社 23)ツーリズムサミット2005(ツーリズム産業団体連合会主催) 12月6日 東京・赤坂プリンス 24)人気温泉旅館ホテル250選表彰式(観光経済新聞社主催) 1月27日 東京・浅草ビューホテル 25)プロが選ぶ日本のホテル旅館100選表彰式(旅行新聞新社主催) 1月27日 東京・京王プラザホテル 26)上州吾妻でお宝を探しませんか PartⅡ メディア招待会 2月6日 東京・帝国ホテル 27)国際競争力のある観光地づくりシンポジウム 2月21日 東京・ホテルニューオータニ 28)「旅行読売」創刊40周年記念の集い 3月1日 東京・パレスホテル 2,調査研究(学術部委員会活動ほか) (1)平成17年度環境省委託事業「国民保養温泉地における温泉の利用に関する検討調査」(請負) - 4 - 国民保養温泉地の温泉利用の現状を把握するとともに、温泉利用者を対象に意識調査を実 施し、今後の温泉利用のあり方をとりまとめ、現行の国民保養温泉地制度の問題点等を明ら かにして、制度見直しに向けた基礎資料を得ることを目的とする。 検討委員は、石川理夫氏(温泉評論家)、甘露寺泰雄氏((財)中央温泉研究所長)、下村 彰男氏(東京大学教授)、堀内憲明氏(丸子町長)、村田彰氏(流通経済大学教授)、山村 順次氏(千葉大学教授)(五十音順)。 第1回検討会 8月31日 東京・協会会議室 第2回検討会 1月17日 東京・協会会議室 第3回検討会 3月2日 東京・協会会議室 (2)温泉に関するアンケート調査の実施 4月29日 「みどりの日の集い」会場にて実施 3月13日∼17日 第48回「旅と温泉展」会場にて実施 (3)その他 温泉に関する調査および研究、温泉の保護および適正利用に関する研究、温泉地および温泉 利用施設に関する調査研究、また、温泉関係資料統計の収集等を実施し、結果を随時月刊雑誌 『温泉』に掲載。 3,指導斡旋 (1)温泉地および温泉利用施設に関する指導斡旋 4,広報普及活動 (1)温泉と温泉利用に関する正しい知識の普及ならびに温泉の適正利用の普及 1)月刊雑誌『温泉』の発行(詳細別掲) 2)インターネット事業の推進(詳細別掲) 3)後援、協賛、協力等名義使用の承認 (1)「下呂発温泉博物館開館一周年記念特別企画・温泉シンポジウム」後援 6月12日 岐阜県下呂温泉・下呂温泉旅館会館 (2)「北投石発見百周年記念温泉国際会議」後援 10月7日∼8日 台湾 台北市・復興崗政治作戦学校国際会議所 (3)「ウィンターリゾート2006」後援 11月11日∼13日 東京・サンシャインシティコンベンションセンター (4)「ホテレス&フーデックス関西2005」協賛 11月16日∼18日 大阪市・インテックス大阪 (5)第34回「国際ホテル・レストランショー」協賛 3月14日∼17日 東京・東京ビックサイト (2)温泉研修会等に講師の斡旋または派遣(講師派遣事業) 1)和歌山県温泉協会総会 6月3日 和歌山県白浜温泉・ホテルシーモア 講師:古田靖志氏(岐阜県博物館学芸員)「和歌山県の温泉のすばらしさをいかに伝えるか (温泉理解の現状と普及活動のあり方)」 2)温泉設備管理シンポジウム(日本温泉管理士会主催) 7月6日 東京・ゆうぽーと五反田 講師:布山事務局長「温泉掲示について」 3)岐阜県温泉協会総会 - 5 - 7月14日 岐阜県下呂温泉・水明館 講師:石川理夫氏(温泉評論家)「温泉(地)のこれからを考える」 4)リゾート事業協会研修会 7月26日 東京・リゾート事業協会 講師:寺田専務理事「日本の温泉の現状と課題」 5)第2回草津「温泉観光士」養成講座(草津「温泉観光士」養成講座実行委員会主催) 7月27日 群馬県草津温泉・草津町商工会会議室 講師:布山事務局長「温泉法学」 6)村杉温泉ラジウム研究会 研修会 7月29日 新潟県村杉温泉・長生館 講師:堀内公子氏(大妻女子大学教授)「放射能泉について」 7)第45回温泉経営管理研修会 11月9日 東京・野口英世記念会館 講師:布山事務局長「温泉浴槽の掲示・表示」 8)美作三湯温泉フォーラムin東京 11月11日 東京・飯野ビル「キャッスル」 パネラー:布山事務局長「現在・旅行事情と温泉」 9)山形県温泉協会・第47回温泉経営管理研修会 11月24日 山形県赤湯温泉・南陽市中央公民館 講師:石川理夫氏(温泉評論家)「今もとめられる温泉地とは」 10)川越市高階南遊学舎 講座 1月10日 埼玉県川越市・高階南公民館 講師:布山事務局長「温泉の効用と地域の温泉」 (3)会員温泉地の紹介 1)座談会の「温泉」誌掲載 (1)「兵庫県と神戸市の観光と温泉−有馬温泉を中心として−」 島田三津起氏、中瀬俊明氏、當谷正幸氏、梶木雅夫氏、増田兵右衛門氏、金井啓修氏 2)温泉地紹介記事の「温泉」誌掲載 (1)国内の温泉地(掲載順) 有馬、土肥、湯の平、君田、湯原、小浜、木江、東山、郡上市高鷲町、温泉津、河口湖町、 戸倉上山田、土湯、わかさぎ、白川郷平瀬、修善寺、古湯、飯坂、二岐、鹿塩、小渋、 伊豆長岡、上牧、湯涌、雲仙、松之山、奈良田、別所、湯来、別府、由布院、雄琴、中房、 唐沢鉱泉、猿ヶ京、西山、湯田川、兎鹿嶋、栃尾又、銀山、満願寺、中山平、乳頭、三朝、 こんだ薬師、川内高城、沢渡、湯の鶴、山田、宮津、出湯、武雄、犬吠埼、三瓶、畑毛・ 奈古谷、野沢、入之波 (2)海外の温泉地(掲載順) ダックス、スパァ、台湾、ロイカーバート (4)マスコミ取材等への対応 5,出 版 (1)月刊雑誌『温泉』発行 第73巻4・5月合併号(通巻789号)∼第73巻9月号(通巻793号 ) 1)4・5月合併号/兵庫県の温泉(表紙:有馬温泉) 2)6月号/温泉の冷却装置(表紙:土湯温泉) 3)7月号/ベルギーの温泉(表紙:川原湯温泉) - 6 - 4)8月号/台湾における温泉開発 お湯を溜めるということ(表紙:氷見岩井戸温泉) 5)9月号/長野県・大鹿村の温泉(表紙:大鹿村の温泉) 6)10・11月合併号/岡山県・湯原温泉郷(表紙:湯原温泉) 7)12月号/温泉統計ベスト10(表紙:唐沢鉱泉) 8)1月号/温泉と微生物 年頭の挨拶(表紙:銀山温泉) 9)2月号/台湾の北投石と岡本要八郎(表紙;川内高城温泉) 10)3月号/温泉に関連する文化財 都道府県別温泉利用状況(表紙:道後温泉) (2)「温泉 自然と文化」発行(2月28日) (3)「国民保養温泉地ガイド」2006年版 編集協力 国民保養温泉地協議会 発行 (1月30日) (4)「温泉学辞典」編集協力 日本温泉協会編、日本観光協会監修、創成社出版発行(18年春刊行予定) 6,インターネット事業 (1)ホームページ「温泉名人」の運営 温泉の正しい知識を普及するとともに、全国の温泉地と日本温泉協会加盟旅館等を紹介。 アクセス数は1ヶ月あたり平均120万∼125万件を数える。「温泉名人」は下記の4コーナー で構成。 ①協会PRコーナー 日本温泉協会の活動の紹介。温泉に関する基礎知識や統計等で構成する「温泉百科」。 ②温泉地情報コーナー 「温泉地情報コーナー」、「日本の秘湯コーナー」、「国民保養温泉地コーナー」などで 構成。 ③温泉地と宿の検索コーナー 日本全国2,600ヵ所以上の温泉地を検索できる「温泉地の検索コーナー」。日本温泉協会 の全会員施設(1,600軒の旅館)を検索できる「旅館の検索コーナー」。 ④イベントコーナー 協会主催の行事と、全国の温泉地のイベント情報など。 7,催物の開催 1)会員総会「施設展」(環境月間賛同事業) 6月22日 兵庫県有馬温泉・有馬グランドホテル ・各種温泉関連施設備品等を展示 2)総会エキスカーション 6月23日∼24日 総会翌日有馬温泉発 ・Aコース 有馬温泉街、神戸北野異人館街視察(日帰り) ・Bコース Aコースに加え、塩田温泉、赤穂温泉、姫路城など視察(1泊2日) 3)第13回日本温泉クラブの集い 10月28日∼29日 長野県大鹿村・大鹿村交流センター(鹿塩温泉) ・ゲストは温泉研究家・郡司勇氏で、記念講演は「変わり種の温泉と温泉の使い方」。 出席者40名。 4)第45回「温泉経営管理研修会」((財)中央温泉研究所、(社)日本温泉協会、温泉工学会、 日本温泉管理士会、共催) 11月9日∼10日 東京・野口英世記念会館 - 7 - ・特別テーマは、「温泉浴槽の掲示・表示」、「温泉活用の新展開」 受講者250名。11日の現地見学会は東京・豊島園庭の湯を視察 5)第48回「旅と温泉展」 3月14日∼18日 東京・JR東京駅丸の内北口 ・全国の会員温泉地、会員施設の紹介。温泉の正しい知識の啓蒙普及。パンフレット、粗品 の配布。イベントステージにおいて温泉地紹介など。入場者数44万3,983人。 8,催物への参加 1)第17回新宿御苑みどりの日の集い「みどりフェスタ2005」参加 (新宿御苑みどりの日の集い実行委員会主催) 4月29日 東京・新宿御苑 ・会員温泉地の紹介、天然温泉表示看板の紹介、アンケートの実施。 2)「ウィンターリゾート2006」(ウィンターリゾート実行委員会主催)出展 11月11日∼13日 東京・サンシャイン文化会館 ・天然温泉表示看板の紹介。入場者数4万5,217人 3)第34回「国際ホテル・レストランショー」(ホテレス2006) ((財)日本能率協会ほか宿泊料理関係5団体主催)出展 3月14∼17日 東京・東京国際展示場 ・「温泉情報コーナー」を開設。会員温泉地の紹介、天然温泉表示看板の紹介、浴槽管理関 係装置の紹介など。来場登録者数9万3,898人。 9,天然温泉表示看板の普及 (1)当初のスケジュール 新しい天然温泉表示看板の導入については、平成15年4月より2年間をテスト期間としモデ ル施設を募り試験運用を行ってきた。当初の計画では、平成17年4月から本格実施に移行する 予定であったが、16年夏以降の一連の温泉表示にかかわる問題を契機に温泉法施行規則の一部 が改正される見通しとなったため、それに準拠させる都合上、本格実施は改正内容が明らかに なるのを待つかたちとなった。 (2)温泉法施行規則の改正 温泉法施行規則の一部を改正する省令が平成17年2月24日付で公布され、5月24日から施行 されることになった。 この改正により、温泉法第14条第1項の規定による温泉の成分等の掲示について、従来の掲 示項目に加え、温泉成分に影響を与える項目を追加して掲示することが定められた。 改正の内容は、加水、加温、循環・ろ過、入浴剤の添加・消毒を行っている場合、その旨と その理由を掲示することが義務づけられ、さらに虚偽の掲示あるいは掲示しない場合には罰則 規定が適用されるという内容になっている。 (3)本格実施の天然温泉表示看板の内容 天然温泉審査機構では、テスト期間中に得られた知見に加え、改正温泉法施行規則に適合さ せるため表示内容の全体的な見直しを行った。テスト看板では季節限定の加水、ならびに温度 調整のための保温などは、加水、加温にはあたらないとの判断でこれまできたが、これらも加 水、加温にあたるとの国の判断が下されたこと、また、入浴剤添加、消毒処理などについての 表示は行っていなかった。審査機構では原案をまとめ、平成17年4月6日の天然温泉表示制度 運営委員会に報告した。 内容は、利用源泉に関する情報7項目と浴槽の温泉利用に関する情報10項目、計17の項目に ついて文字で判りやすく紹介するとともに、引湯方法や新湯注入率など6項目について、自然 - 8 - 度、適正度の目安を5段階(サイコロの目を図案化したもの)で表示し、一般消費者にも判り やすいように配慮した。 運営委員会では細部の調整は審査機構に任せることとし原案を承認した。 (4)普及についての対応 5月24日の施行後は新たに表示項目が追加され、その表示を怠った場合、虚偽表示となる可 能性もでてきたことから、協会では、テスト看板を掲示しているモデル施設に対し、詳しく状 況を説明するとともに看板の掛け替えや自らの補足表示、修正の必要性を通知した。 天然温泉審査機構では、4月28日の会議で、最終的な表示内容とその審査基準をまとめた。 第10回審査会を5月16日、第11回審査会を7月13日、第12回審査会を7月20日、それぞれ開催。 平成18年3月末現在の天然温泉表示看板の貸与状況は、209施設、402枚。 各地で独自の取り組みが見られるなか、全国統一の基準と第三者機関による公正な審査とい う信頼性を前面に出し普及につとめてきた。 10,日本宝くじ協会助成金による新規事業の取り組み (財)日本宝くじ協会の助成事業で、温泉の知識を普及する事業として図書「温泉 自然と文 化」を刊行した。この書籍はA4判、オフセット4色、72頁で、発行部数5,000部。平成18年 2月28日刊行。 配布先は、国、都道府県、温泉所在の市町村、図書館、閲覧可能な公共施設、在外公館、関 係団体などとし、一般市民を読者対象としている。 編集作業は学術部委員会の協力のもと、写真や図表を多く取り入れたヴィジュアルなレイア ウト、誰でも楽しく読める平易な文章、入門書として全体の広がりが正しくイメージできるよ うな構成、そして温泉の魅力を存分に紹介する、これらを編集のコンセプトとした。 主な内容は、温泉とは、温泉の分類、温泉の産状、温泉の地理的分布、温泉現象のいろいろ、 温泉の歴史と文化、温泉の利活用の実態、座談会「いま、日本の温泉地とは?」、など。 11,温泉排水(ホウ素)の規制に対する対応 (1)環境省へ要望書提出 平成13年7月の水質汚濁防止法の一部改正により、フッ素及びその化合物などとともに、ホ ウ素及びその化合物が有害物質に加えられ、海域以外に排出する場合の許容限度は1?中10㎎ と定められた。ただし、3年間の暫定排出基準が業種別に設けられ、温泉を利用した旅館業と 下水道業については他業種とくらべゆるやかな500㎎という基準値が示された。 この暫定基準は平成16年さらに3年間延長されたが、実用的な除去方法が確立されぬまま期 限切れを迎えることになると、対象となる一部の温泉地、温泉旅館等では、混乱が予測される ことから、処理方法についての研究班を設置し、適正な処理方法の指針を作っていただきたい たい旨、平成17年6月9日、環境省に要望した。 当日は本協会から、顧問の加藤修一参議院議員、滝多賀男会長、綿抜邦彦学術部委員長、 大野英市常務副会長、衛藤保美大分県東京事務所参事らが環境省を訪ね、環境管理局水環境部 水環境管理課・太田進課長と、自然環境局自然環境整備課・江原満課長に要望書を提出した。 12,国民保養温泉地に対する交付金創設にむけての対応 (1)環境省へ陳情書提出 「国民保養温泉地」は、温泉法第25条の規定に基づいて、温泉の公共的利用増進のため、温 泉利用施設の整備及び環境の改善に必要な地域として環境大臣が指定する地域で、昭和29年 以来指定がなされ現在全国に91地域を数える。 指定を受けた温泉地は、その趣旨にそって健全な温泉地環境の造成のため、環境大臣の定 めた温泉地計画に基づいて公共的利用施設について保養温泉地施設整備費補助金によって整 - 9 - 備がなされてきた。しかしながら、この補助金は昭和50年代、補助金見直しのなかで廃止に なっている。 その後、これに代わるものとして、昭和56年度から国民保養温泉地の中から保健的利用に 適した温泉地を「国民保健温泉地」として、また平成5年度から国民保養温泉地の中から自 然の活用に適した温泉地を「ふれあい・やすらぎ温泉地」として選定し、それぞれ環境整備 と施設整備に国庫補助が行われてきたが、三位一体改革に伴い平成17年度廃止の憂き目を見 た。 高齢社会の到来と国民の健康志向とを背景に、温泉の、休養、保養、療養面での活用が 着目され、地域の施設整備に期待が高まるなかでのこの補助金の廃止は、それに応えていこ うとする温泉地にとって大きな痛手となった。 日本温泉協会と国民保養温泉地協議会は、国民保養温泉地制度の趣旨を改めて理解いただ くとともに、これまでの補助金に代わる新たな交付金の創設を求め、平成17年8月23日連名 で環境省に陳情した。 当日は本協会から、大野英市常務副会長、布山事務局長、国民保養温泉地協議会から寺田 事務局長(日本温泉協会専務理事兼務)が環境省を訪ね、自然環境局・南川秀樹局長と、 同局自然環境整備課・江原満課長に陳情書を提出した。 13,ビジット・ジャパン・キャンペーンへの協力 訪日外国人旅行者の増大を目指して国を挙げて取り組んでいるビジット・ジャパン・キャンペー ン(VJC)の推進にあたり、本協会では機関誌「温泉」を通じ会員の理解と積極的な協力を呼び かけた。 14,国際温泉気候連合(FEMTEC)との交流 2005年国際温泉気候連合の総会は11月11日、チュニジアのハンマン・ブルギバにて開催された。 参加国は、ロシア、フランス、ハンガリー、ドイツ、イタリアなど12カ国。 2004年から2005年のFEMTECの活動について、次の報告があった。 FEMTEC独自の活動としては、FEMTECのデータベース編成作業、FEMTECのウェ ブサイト記載情報の更新、外部諸団体との関係維持推進など。WHOとの協力関係では、第108回 WHO指令委員会会合(ジュネーブ、2005年3月)や、第58回WHO総会(ジュネーブ、2005年5 月)への参加など。また、世界数カ所における学術イベント開催促進について報告した。 なお、次の事項などが決議された。世界の温泉界におけるFEMTECの地位向上、強化のため、 会長及び事務局長の活動を記録すること。WHOとの協調のさらなる推進。FEMTEC会員は自 国で開催される温泉関連の重要なイベントをFEMTEC事務局やウェブサイトに情報提供してほ しい。すべての諸国や会員との学術面での協調の推進。 2006年のFEMTEC総会開催国はアンドラに決定した。 15,北投石発見100周年記念行事への参加 10月7日と8日の両日、「北投石発見百周年記念温泉国際会議」が台湾・台北市北投区の復興崗 政治作戦学校国際会議所において開催された。 北投石は、台湾の北投温泉と日本の玉川温泉でのみその生成が知られる世界でもたいへん珍しい ラジウムを含んだ温泉沈殿鉱物。1905年(明治38)年に日本人技師・岡本要八郎氏により北投温泉の 河床で発見された。日本では秋田県玉川温泉で発見され、1922(大正11)年内務省から天然記念物に、 1952(昭和27)年文部省より特別天然記念物に指定された最初のそして唯一の鉱物。 主催は、台湾の国立台湾大学地質化学系、中原大学化学系、台北市八頭里仁協会。共同主催は、 国立台湾博物館、経済部水利署、経済部中央地質調査所、台北市政府文化局、台北市北投社区大学。 協賛は、中華民国温泉観光協会、中華民国鉱岩協会、北投温泉博物館等10組織。国外協賛として、 日本放射化学学会、日本温泉科学会、日本温泉協会。 - 10 - 今回の国際会議の開催に当り、日本温泉科学会と日本温泉協会では、台湾と、温泉を通じて友好 を深め、学術交流、文化交流をはかるよい機会であることから、日本温泉科学会に「北投石発見百 周年記念国際会議日本委員会」を立ち上げ、綿抜邦彦委員長と大山正雄実行委員長を中心に会議を 支援していくことにした。これに日本温泉協会も協力し、日本委員会からは総勢28名が参加した。 このメンバーの中には、研究者に混じって玉川温泉の関係者も加わった。 7日、岡本要八郎氏の長男、岡本正豊氏夫妻を招き開幕式が挙行された。日本側からは、東京大 学名誉教授・湊秀雄氏、同名誉教授・綿抜邦彦氏(本協会学術部委員長)、大山正雄本協会学術部委 員、大野英市本協会常務副会長が登壇。出席者は台湾、日本両国から約200名。 学術発表に先立ち、台湾清華大学教授・朱鐵吉氏が「温泉水質中の放射性の研究」と題し、また、 綿抜邦彦氏が「玉川、北投両温泉の北投石と温泉水の化学成分」についてと題し特別講演を行った。 学術発表は台湾、日本、韓国から北投石、温泉資源、温泉成分などに関する計12の論題についての 発表と、別室においてポスターセッションが開かれ22題の展示が行われたほか、北投石の実物の展 示紹介もなされた。 なお、12日、杜正勝台湾教育部部長(文部大臣)から、岡本要八郎氏に勲章(一等教育文化奨章)が 綬与され、正豊氏が受領した。 16,表彰関係(本協会関係者) (1)国土交通大臣表彰 4月14日 ・観光関係事業功労者 国土交通大臣表彰 天 野 信 男 氏(神奈川県伊勢原温泉) 佐 藤 潤 氏(宮城県秋保温泉) 近 兼 孝 休 氏(香川県こんぴら温泉) 廣 川 允 彦 氏(栃木県那須湯本温泉、本会副会長) 伏 島 晴 彦 氏(群馬県薮塚温泉) 峯 平 隆 弘 氏(岡山県湯郷温泉) 宮 崎 高 章 氏(長崎県雲仙温泉) 山 口 保 氏(佐賀県嬉野温泉) (2)春の叙勲・褒章 4月29日 ・旭日小綬章 梶 木 雅 夫 氏(兵庫県有馬温泉) ・旭日双光章 星 野 嘉 助 氏(長野県星野温泉) ・藍綬褒章 伊 坂 博 氏(鳥取県皆生温泉、本会地域相談役) (4)環境大臣表彰 7月8日 ・温泉関係功労者 環境大臣表彰 岩 松 豪 一 氏(宮城県温泉協会) 竹 村 節 子 氏(現代旅行研究所、本会理事) 堀 是 治 氏(山形県蔵王温泉) 洞爺湖温泉利用協同組合 (5)秋の叙勲・褒章 ・旭日双光章 柿 崎 繁 雄 氏(山形県肘折温泉) 佐 藤 信 二 氏(山形県上山温泉) - 11 - ・黄綬褒章 阿 久 津 勉 氏(栃木県那須温泉) 17,相談及び斡旋 (1)温泉療養相談 (2)温泉旅行相談 (3)会員からの諸相談 18,関係機関・諸団体との連絡協議 (1)協力 ・環境省関係 「環境の日」(6月5日) 「環境月間」(6月1日∼30日) 「自然に親しむ運動」(7月21日∼8月20日) ・国土交通省関係 「観光週間」(8月1日∼7日) - 12 -