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Page 1 558 日本機械学会論文集(A編) 64巻619号(19983) 電子
558 論文N0.97-0228 日本機械学会論文集(A編) 64巻619 W1998 3) 電子デバイスはんだ接合邦の熱疲労強度における 解析・実験ハイブリッド評価* (第2報,機械的疲労試験による評価) 強竺白鳥正樹竺金子誠史*2 于 石原達也゛3,王 樹 波*3 Analytical and Experimental Hybrid Study Electronic 【211d So】der Rcpnrt,Evaluati,ln Qiallg lly YU, An is(jthcrmah!lechallical cljclepstrain)iIHhe adualrll'(Jf colUrolHng the : only nllly rre叩sll・ain fatigu(り.est metllod and fatigue KANEK0。 testillg e【luipmellt were c()111r,ll]edby the displacemcnt is(jthel・lmll mechanicill higll displaccmcnt genel・ated altiguc l-;lle, allrhl illlhc solder joints aohe l・ate. lt is foulld that the low cyde Tests) 1VANG strcll以h or S11-llb cutectic s〔〕ldcr j,liIUs. 1仙sd pl;lslic straill was ;11 1he low of (plastic ratc tests were vel・y low high developed upnlHhe of thc linear- carried displacement by the nllio or illcl;lsljcc(lmp。11ents.Thcrefore,it can of stl-ain and nut displacement fatigue life of Sjl-Pb to rcsults by rate, rate, and eutectic solder he said that the cyc]c faliMlle lifc c;111bc esti111aled fl-ollU]le elluhjillellLillelaslic strain range, alld the relatiollship (・f tllc cycles mechanical to fjlure an(1 1hc slraill range fatiglle strength rcs111ts wilh 111(ヽCh;ltliCal fati限IC test nlethQd sll‘ellglhof S11 Pb XQ・ Shubo eqllipmellt.Thc Strength Fatjgue it is f。ulld tlull lllc l・;11e。r illel;lslicsll・;lill c omlj,mcllls joilll.sis llnl gl・e;llty alTected law Seiji and 11K 【li印hlcelllelln11 ;l very respecLivcly SHIRATORI, solder joillts can bc accurately test Fatigue Mcchanical ISHIHARA Q'ckりatigue jilliaヽel1ヽ111(ヽ111 ;m;Ilysk Thermal .loints 】s,lt】lcl・mal Masaki Tatsuya i11,・estig;11clhclow on c111cdic Cyclc Co雨11-Mallson's law.I11 comparisonof lests,it was call he tlsed as a gl】od accelel・aterl lest method solder lro,・d。: Micl・oeledl・,111ic Low fnllows thc rcsults of lhe cyclic thcrmal the found that the fol・the thermal fatigue j。ints. So]del・ Join1, Thel・maI ドatiguc,FilliLe Elemellt Fatiglle Stl・e,lgth,MechanjcaI MeL11od,Accelerated Tesヒ,Straj11 Fatigue Test。 Rate 行わなければ.平均温度あるいは最高保持温度などの 1.は じ め に 影響を考慮した強度評価則を用いてはんだの熱サイク SII-・│'b共品はんだ材料は室温においても顕著なク ル疲労寿命を評価しなければならない. リープ特性を有するため,熱サイクル負荷を受けると 著者らは本研究の第1報においてはんだ材料の特性 き,はんだ接合部に繰返して生じる非線形ひずみによ (降伏応力,クリープ特性など)の温度依存性,温度変 ー]て低サイクル疲労が発生する.共晶はんだの熱サイ 化時間および温度保持時間において生じるクリープ挙 クル疲労強度評仙i法に関してCollin 励を考慮した応力・ひずみ評価を正確に行うことによ 正Conln Mallsoll Ull, 修 Manso11則.あるいはひずみレンジ分割法, って,修正Co伍n-Manson則ではなく,次式のような ひずみエネルギー分力│」法などが提案されてき Com11-Manson則によってはんだ接合部の低サイク が1・-¨j.それぞれの強度HI」の相違ははんだ接合部の ル熱疲労強度を評価することができるとの結論を得 応力・ひずみの評価方法によるものが大きいと考えら た51. れる.例えば応力・ひずみ評価解析においてはんだ材 M=1/2(JEゆ./ε,,)"…………………………く1) 料の│時│141依存性(クリープ特性)を正確に考虚していな ただし.∠1..は温度サイクルの周波数と試験温度 ければ,周波数などの影響を考慮した強度評価則を用 などの影響はすべて考虚した応力・ひずみ解析から得 いてはんだの熱サイクル疲労寿命を説明する必要があ られたはんだ接合部ひずみ集中部に生じた相当非線形 る.また,はんだ材料の温度依存性を考虚した解析を ひずみ振幅である. はんだ接合部の熱疲労強度について検討するとき, / 1原稿愛付 1鼎7年2jlり目. 直接に熱衝撃試験機を用いて熱サイクル試験を行っ 常盤が). て,強度評価を行うことが考えられる.しかし,熱衝 4:4 横浜国立だ'Iリ石端 j現:京l=一刈株)に 砺朗Iいズヅ九万ぷ 撃試験機では高温と低温の保持温度を比較的正確に制 一 幻 り.L’..L '1」│ミ!11,横浜III立大j?,ll‘・iり11(暴2,1U S5(11横浜市保JIケ6区 H一一 559 電子デバイスはんだ接合部の熱度労作度におけろ解析・実験ハイブリッド評価(第2報) 御することができるものの,高温から低温へ,低温か 疲労強度を評価することができるとの結論が得られ ら高温への温度変化時間を制御することが難しい.ま た.この結論は同時に一定温度においてはんだ接合部 た,はんだ接合邦の構造と形状が決まると,異なる疲 に機械的繰返し負荷を与え、熱サイクル負荷を受ける 労寿命の試験を行うために,温度レンジを変えなけれ はんだ接合邦に生じる繰返し非線形ひずみをシミュレ ばならない.コンプレッサが低温源になる熱衝撃試験 ートすることによって、はんだ接合部の熱疲労強度を 機の低温側の最低温度は約一60でまでであるため,大 評価することができると示唆している.本報では、共 きい温度レンジの熱サイクル試験を行うとき,しばし 品はんだ接合邦のjE。と∠1ε9による低サイクル疲 ば高温側の温度を125°C∼15『Cまで設定することが 労強度を訓べるためにづまんだ接合邦に生じるひずみ ある.しかし,共晶はんだの融点は183でで,・一般の 速度および非線形ひずみ成分の比を正確に制御できる 使用温度は20で∼8『Cであることを考えると,上記の 機械的疲労試験法(ひずみ成分分割法)を提案した.ま ような熱サイクル試験条件の妥当性について考え直す た、マイクロはんだ接合邦の機械的疲労試験を行うた 必要がある. めに、マイクロ構造の疲労試験機を開発した.問発し 熱サイクル試験ははんだ接合邦の熱疲労強度の加速 た試験機を用いてはんだ接合邦の変位制御形の疲労試 試験法として利川されているが,はんだ接合部の実際 験を行い、賢なるひずみ速度で行われた試験でバュん 使用条件のシミュレーション試験として使われろこと だ接合邦に生じる非線形ひずみの成分を制御し、その は少ない.これは,実験使用条件でのはんだ接合邦の 実験結果をmいてはんだ接合邦の疲労寿命に及ぼすひ 疲労寿命は最低104サイクル以上となるように設計さ ずみ成分の影響を明らかにし、繰返し塑性ひずみと繰 れる場合が多く,温度サイクル試験の1サイクルに要 返しクリープひずみによってはんだ接合部に与えられ する時間は短くても約20分であるためにO(リーイクル るダメージの特性を明らかにすることを目的とした. の試験を行うためには多大な労力と時間が必要とされ さらに、機械的疲労試験と熱サイクル疲労試験の相関 ることによる. 関係について検討し、熱サイクル疲労試験の加速試験 近年になって,熱疲労試験の代用として,等温機械 として機械的疲労試験の妥当性について確認した. 疲労試験法が提案された回夙 しかし数百ミクロンの 2 マイクロはんだ接合構造の強度信頼性評価を行うため 機械的疲労試験機および 試験法の開発 には,最低0.1ミクロンの変位制御精度を有するマイ クロ構造の強度評価試験機が必要とされている.この 2・I 試験機 機械的加速試験の特徴として以下 精度を満足するためには従来の強度試験機の技術だけ の点を挙げることができる. では難しい.また,機械的疲労試験と熱サイクル疲労 い)熱サイクル試験より非常に幅広い試験速度 試験の相関関係についてあまり論理的に議論されてい (試験時間)で試験を行うことができる. ない.温度サイクル負荷を受けるはんだ接合邦に生じ (2)はんだ接合邦に与えるひずみ速度は正確に幅 る繰返し非線形ひずみの成分(クリープひずみら・と 広く制御することができる. 塑性ひずみりJの比が温度変化速度などに影響され 印)ひずみ速度を旧派に制御することによっては るが,基本的にら成分に占められている.しかし, んだ接合郎に生じる非線形ひずみ成分の比を正確に:・ 機械的疲労試験を受けるはんだ接合邦に生じる非線形 ントロールすることができ,各ひずみ成分(ら・,ごぶ ひずみにはほとんどら,成分が占められる.一般的な によってはんだ接合邦に与えるダメージの相違を調べ 高温材料の低サイクル疲労強度は非線形ひずみの成分 ることができる. に大きく影響されるものが多く,∠趾.と∠叫バこよる (n ―定温皮下においてはんだ接合部に任意のひ 低サイクル疲労強度をそれぞれ評価しておかなければ ずみレンジを与えることができる.それによって熱サ ならない.しかし,共晶はんだ接合部のjら,と∠ls。. イクル試験で与えることができない大きい,または小 さいひずみレンジでの試験結果(疲労寿命)を得ること 研究はほとんどない. ができる. 本研究の前報において,はんだ材料の特性(降伏応 マイクロ構造の疲労試験は荷垂訓御形試験,および 力,クリープ特性など)の温度依存性などを考慮した 変位制御形試験の2種類に大きく分けろことができ 応力・ひずみ評価から得られた非線形ひずみ帽を用い る.荷服制御は草本的にロードセルの精度に依存する て,熱サイクルの平均温度などに関係なく統一した熱 と考えられ瓦幸いにしてフルレンジのI/5 疲労強度評価則によってはんだ接合部の低サイクル熱 正確な計測のできるロードセルが開発され,市販され 一 による低サイクル疲労強度について正確に検討された 15 0聞まで 560 電子デバイスはんだ接合宿の熱疲9強度における解析一実験ハイブリッド評価(第2報) ている.しかし,電子デバイスのはんだ接合邦の疲労 と同じものを用いた.接着剤で試験片のパッケージ上 破壊はパッケージと基板の間に生じる線膨張のミスマ 部がチャックに,またプリント基板下郎がワークホル ッチによるもので,はんだ接合部が受ける負荷は強制 ダにそれぞれ接着固定される. 変位モードに近い.そのため,はんだ接合邦の熱疲労 既に述べたように,マイクロはんだ接合部の変位制 強度のシミュレーシコン試験を行うとき,荷重制御よ 御形疲労試験では強制変位のストロークは非常に小さ り変位制御により行われなければならない,しかし電 いので,その変位量の正確な制御および計測は疲労試 子デバイス部品とはんだ接合部の小形化のためにバよ 験の結果の信頼性に対して重要なことである.また, んだ接合邦の変位制御形の試験を行う場合は,変位ス 試験機全体の変位発生部分の制御精度が十分であって トロークをしばしばLOミクロン∼数十ミクロンに設 も,試験片周囲の構造の弾性変形の試験結果に対する 定することがある.そのため変位精度として0.5ミク 影響は無視できない.したがって,実際直接に試験片 ロン以上の制御が必要とされる. に与える変位の出力としてアクチュエータの制御およ 本研究では,はんだ接合部の変位制御形の疲労試験 び計測は不十分である.そのため,本試験機では,試 をより正確に行える試験機を開発した.図1に試験機 験片に与える変位量は直接に試験片チャック間の相対 の外観と基本的性能を示す.試験機に接続された制御 変位を計測したものとする.計測はレーザ変位計を用 盤(操作パネル)で試験モード,変位速度,変位振幅, いて行われた.ここで用いたレーザ変位計は東京精密 疲労試験の最大サイクル数などの設定を行う.試験時 製であり,その変位計測精度は0.C)I凹1である.マイ はツークホルダを固定するテーブルが,試験機本体の クロはんだ接合部の寸法は非常に小さいため,わずか リニアアクチュエータにより左右方向に往復運動させ な負荷でもはんだ接合の降伏および破断を招くことに る.変位制御の場合は,本体に設置された変位計で最 なる.そのために,試験片のグリッピング方法は試験 大・最小変位量を計測する.試験片は熱サイクル試験 結果の信頼性を左右する要因の一つとして考慮する必 要かおる.ここでは,グリッピングによって試験片に 機械的マイクロ疲i・試験嘸の基本性能 与えるグリッピング負荷を避けるために,特別なグリ 最大変位ストローク:士10 nln1 変位精度:0,5μm ッピングデバイスを設計し,試験片を固定するために 最大負荷:20 kgf 変位速度:0.01μm/s∼2mm/s 適用した. 試験環境温度:20°C 2・2 機械的疲労試験における非線形ひずみ成分分 割試験法 ここで述べる機械的疲労試験は熱サイク Monilor ル試験のシミュレーション試験としての性格を有する ため,すべての試験は変位倒卵形で行われた.試験片 に与える変位量は,温度負荷を受けた場合のパッケー ジとプリント基板の熱膨張のミスマッチの差を概算す ることで求めた.また与える変位波形は,ひずみ速度 Adhesjve を一一一定に制副するために,三角波を使用することとし 旭 機械的疲労試験のほとんどはサイクル周波数を一定 にして行われるものである.しかし,同じ周波数で異 なるひずみ振幅の試験を行うとき,試験片に生じるひ ずみ速度が変わってしまうことが考えられる.例え ← Linearactuator Displacement ば,D.1 1h でひずみ振幅Oj%と1.0%の機械的疲労 十δ 試験を行う場合は,0j%の試験片のひずみ速度は2.0 XLOI‰となるが,1.0%の試験片のひずみ速度は2.0 0 ×1(ゾ/sになる.このひずみ速度の違いは強度試験 結果に対するひずみ速度の影響の正確な把握を妨げる δ ことが考えられる. △δ:Dispjacementrange(μm) Fig.I Deve]Qped isothermal 機械的疲労試験により,はんだ接合部の強度に対す るひずみ速度の影響を調べるために,本研究では一定 mechallical fatigue test eqllipmen1 周波数ではなく,一定ひずみ迷境で試験を行うことと 16− 電子デバイスはんだ接合邦の熱疲労強度における解析・実験ハイブリッド評価(第2報) 561 −----------------− した.また,任意のひずみ速度で試験可能という機械 とした場合,はんだ材は降伏応力に達するため塑性ひ 的疲労試験のもう一つの特徴を利用して,著者らはは ずみが生じる.クリープひずみを非線形ひずみ成分中 んだ接合邦に生じる非線形ひずみ成分の割合(塑性ひ の5%に留めるには,全ひずみ速度を ずみとクリープひずみの比)はひずみ速度に依存する (3) か=らー×㈲o/5) 点に着目し,非線形ひずみ成分の割合を制御して行う となるように設定して,機械的疲労試験を行えばよ 試験方法を提案した試験で用いる試験速度は試験片 い.機械的疲労試験は任意の試験速度で試験が可能な に与える変位量と,後述する応力解析から求めた相当 ため,以上の考え方を適用することではんだ接合邦に 非線形ひずみ範囲の関係から,試験片に生じる非線形 おける非線形ひずみの成分を制御することができる. ひずみが一定になるように算出することができる. 本研究では常温において図2に示す0.4%/sと はんだ材のクリープ構成式をNorton則で記述され 0.C)03%/sの2種類のひずみ速度での機械的疲労試験 るものと仮定すると,各温度における最大クリープひ を行い,疲労強度に対するひずみ速度とひずみ成分の ずみ速度は,はんだ接合邦に生じる応力が降伏応力 影響を調べた. 心(9りよ達したとき,次のように求めることができる. J-ベンド形リード部品について,機械的荷重を受け どー.=Eo(恥)“exp(−Q//?7)……………(2) るはんだ接合部の応力-ひずみ解析を行い,ひずみ集 心=(81.54−0.183 中点の解析結果を図3に示す.解析における境界条件 25×7) 上式におけるクリープ定数Eoとクリープ硬化指数 はパッケージ上部を拘束し,プリント基板下部に図中 引こついて,向井らの結果から各係数はEo=3.29x の左右方向に強制変位を与えるものである.与える強 10111/h],Q/j?=13 制変位の波形は三角波であ瓦すでに説明したよう 180.0,z2=5.66×1(ビミ8゛-273)と 求められた巴図2に示すように,全ひずみ速度ト に,ひずみ速度が大きい場合,はんだ接合邦に生じる を塑性ひずみ速度らとクリープひずみ速度んの和 非線形ひずみ成分は塑性ひずみが支配的となる.一 として考えると,最大クリープ速度どΓΥnaxと比較して 方,ひずみ速度が小さい場合,接合郎に生じる応力は 全ひずみ速度どrが小さければはんだ材は降伏応力に 達しないため,塑性ひずみは生じない.したがって, はんだ接合部における全ひずみ速度を,最大クリープ ひずみ速度より小になるように設定して機械的疲労試 験を行うことで,はんだ接合邦に生じる非線形ひずみ 成分をすべてクリープひずみとして扱うことが可能に なる.また,はんだ接合部に生じる非線形ひずみ成分 を塑性ひずみとして扱うためには,次のような考え方 を適用すればよい. 仝ひずみ速度を最大クリープひずみ速度より大きい (a)Λnalytical model of L bcn(ltype soldcr j ・nt 40 A’ ryY゛ (s/t)h411JU!l!」1slelo1 10`3 0 0 0 0 rNXD・ cmax ︵edN)ssaJg 4s s!W uoA lua一Iコー £ 10`2 -10 10 ’4 20 J-30 10’5 -40 1 0 -0,004 ’6 100 -100 Fig.2 Relation components 0 0.002 0,004 Equjvalent inelastics train 200 △δ=60μm Temperature(℃) between -0.002 (♭)Analytical resuns the ratio of inelasLic strain and tota]strain rate Fig.3 Analytica]results 17 for isothermal fatigue tests 電子デバイスはんだ接合部の熱疲労強度における解析・実験ハイブリッド評価(第2報) 562 降伏応力に達しないため、非線形ひずみ成分のすべて 者の結果を非線形ひずみ幅が同じ場合において比較す がクリープひずみとなる. ると,繰返しクリープひずみ∠叫.による疲労寿命と 図4に示すのは機械的疲労試験で使用する変位量- 繰返し塑性ひずみ∠叫バこよる疲労寿命とで,大きな 相当非線形ひずみ幅の関係である.J-ベンド形とガル 相違が生じていないことが分かる.また,すべての結 ウィング形リードはともに、それぞれ弾塑性解析と弾 果はほぼ同一直線で近似できる.したがって,はんだ 頬性・クリープ解析の結果がほぽ一致していることが 接合部に生じる非線形ひずみ帽を用いてはんだ接合部 わかる. の疲労強度評価を行うことで,Comn-Manson則に代 表される非線形ひずみ振幅と疲労寿命のべき乗則が成 疲労強度試験結果 3 立することがわかる.また,J-ベンド形リードとガル ここでは室温(2{rc}において,図2に示した2種類 ウィング形リードにおける実験結果を比較すると,お のひずみ速度(0.4%/s,0.003%/s)による機械的疲労 おむね両者の結果は同一直線で近似できるものと思わ 試験結果を用いて,塑性ひずみとクリープひずみが疲 れる.したがってこの結果はき裂発生点の非線形ひず 労強度に及ぼす影響について考察した.図2に示すよ み福で強度評価を行う場合,はんだ接合部形状は疲労 うにはんだ接合邦に生じるひずみ速度が約0,4%/sで 寿命評価則に対してほとんど影響しないことを意味し ある場合,はんだ接合部で生じる非線形ひずみは塑性 ている. ひずみ成分のみであり,ひずみ速度が約0,00j%/sで 4.はんだ接合部の疲労強度評価法 ある場合ではクリープひずみのみが生じる.図5にそ れぞれのひずみ速度で行われた実験の結果を示す.両 図6に機械的疲労試験の結果とともに熱サイクル疲 労試験の結果も示した.各ひずみ速度での機械的疲労 0,06 C g 強度と熱疲労強度は良く一致していることが示されて 心』'Bcnd £1°l〕.4%/scc 口 ・』'Be°d ;1・0,a】3%jsec 0.05 く3 r][r rl 0.04 0.03 。- oG“ll'゛・ing i ▲G`jll'`″illg i 命曲線で近似することができることを意味している. ○ 1=0,003%/sec すなわち,正確にはんだ接合部に生じる非線形ひずみ φ を評価することができれば,はんだ接合部に生じる非 ・ ○ ・−−i ○ ︵y・ 口4︰︼ロ 0.02 いる.このことは,すべての強度試験結果を1本の寿 1=(j.4%/sec ○ 線形相当ひずみ幅を用いることによって機械的疲労試 験の結果から熱サイクル疲労試験の寿命を直接に予測 ◇ ○ ‘一 することができるとの結論が得られた. ● 愚 禰9 0.01 ○ Q6ue﹂1﹂!2 9J !l 1s sell Qb u9 l !elo1 口 今まで得られた疲労強度の結果について,はんだ接 合部の疲労寿命とはんだ接合部に生じる非線形相当ひ 0 50 0 100 150 200 ずみ振幅の関係を次式のように表すことができる. Displacementrange△δ(μm) (4) y=1/2(JG9偏)″ ここで,∠馳白,ははんだ接合に生じる非線形相当ひ F泌.,I Re]atinnof displacemelll alld cq. inclas伍丿出面 1'ange uibi ω唄 一 −一 Obコthgm副aりしx3il=0,003%/sas{Jbald} 一 一 4二ご ・・〃t〃ゝ メ1 1 ■㎜ ■㎜ −一一4一一噂・・ ㎜■ =川 1らII Pll.いj '・・・●・I・ rl y ● ゛.、 、1 ヽ・ φ S ヨ ■ OI 0.01 rl 一一 −一一一一 ■■■ 一一 − −一 一 r1り n ・ | こ蔓jl − −1一 コ 一i一 ー 0.001 100 1000 ぢ0.001 ト 10000 口lsotherma日aligueら=0,003%4ec strength rcsults of isolerma]and −− − 〃 一‐ 4・ φ心。 ● 1 S● ミW ’-・r 一 .41 M 100 肇J 1000 Cyclestofailure Nr strength results of isothermal thermal fatigue tests 18− ; t ● Fig.6 Fatigue thermal fatiguc tesl | △Thermal fatique Cyclestof日iltjra NI Fig.5 Fatigue fl,0,4%/sec | o C! nkハやhハΓγ7・りlf4rllgs ’ 一 nλQ/jF♂vI J l l コ 一一 ・lsotherma目aligue 一 一 ・blhamjraりueEI=0,4%/i・Xμjbaxj) 0 一一 e6uEJu!l3 J! ll ssla. lb Qa uj !e: 唇Q 7 95ueJu!3 e! Jl ls se‘ lb a91 u9 !o1 1 10000 and 9︼ 電子デバイスはんだ接合部の熱疲労強度における解析・実験ハイブリッド評価(第 報) 563 ずみの振幅であり,ε,と万ははんだ接合邦の疲労強 ずみ解析と実験の結果から次のような結論が得られ 度特性である.しかし,はんだ接合邦に生じる非線形 た. ひずみは場合によって要素分割に影響されることがあ (い 共晶はんだ接合邦の低サイクル疲労強度はほ りえる,そのため有限要常法解析から得られた最大ひ とんどひずみ速度あるいは非線形ひずみ成分(塑性ひ ずみ幅等を用いたComrManson則に基づいて,は ずみとクリープひずみ)に影響されず,全非線形ひず んだ接合邦の疲労寿命の絶対値を必ずしも疋確に評価 み振幅を用いてC できないことがある.しかし,Comn-Manson則に基 できる. づいてはんだ接合邦の加速強度試験の加速係数 (2)はんだ接合邦のき裂発生点の非線形ひずみ振 N川Nμは次式のように表すことができる. yvダl/j!yダ2’(∠1ε。。11με。p,・J“ ・in一一Monson則で整理することが 幅で強度評価を行えば,はんだ接合邦形状は疲労寿命 (5) 評価則に対して殆ど影響しない. ただし,y1と荼2はそれぞれ加速試験(ケース1: (3)機械的疲労強度と熱サイクル疲労強度とがよ 125∼−40°C)と使用条件(ケース2:65∼20で)の疲労 く一致し,正確にはんだ接合邦に生じる非線形ひずみ 寿命であり,Nn7Nnを加速試験の加速係数とする. を評価することができれば,はんだ接合部に生じる非 ∠jQ91とJEゅ,バまそれぞれ加速試験と使用条件にお 線形相当ひずみ振幅を用いることによって機械的疲労 いて生じる最大非線形相当ひずみ幅である.∠に肖1 試験の結果で熱サイクル疲労試験の結果を直接に評価 とjE。.12はそれぞれの値は要素分割に影響されるこ できる. とがありえるが,∠7恥91ZjEゅ,むはほとんど要素分割 最後に,本研究遂行に際して試験片等をご提供いた 密度に影響されないことが確認されている. だいた東芝研究開発センターの川上崇氏,向井稔氏に また,図6に示された疲労強度試験結果から,強度 感謝の意を衷す. 線図の傾きを表す利ま約一2.0になっている.したが 文 って,疲労強度試験から得られる比較的に正確な,7と 有限要素法解析から得られる正確な∠沁肖1句心肖バこ 献 (ll S・lolllo11,1LD.,//771;/i 7’,wjJs.,CHMT剥・1).(1986) j123-,132. (2)E印clIIljliEヽ,・,W。/jy7・,’7`,j。j,s.,CIIMTI;(:n.(1!限 232 237. 数NjjNハを正確に評価することができることがわか (3)和田元治・叱哨浩一上西研,機巍58 った. jj ︱j よって,ほとんどのはんだ接合部の加速試験の加速係 5根Λ09咄.669- 675. (4)Dls111ta,A..0yan,C.,Bakcr,D.jlnd 5.結 論 perhl,M。 7j聊,s.j£¶j/C,114,0992),152一一j60. (5)手強・白鳥iF樹・ほか3名,機一役脳中. Sn-Pb共晶はんだ接合部の低サイクル疲労破壊の (61北野誠・iill合末男・清水一男,機諭.56 メカニズムの解明と熱疲労強度評価の迅速化を図るた 525,A(1990). 1140-ni7 〔7〕UeRai,T。Tani.S.,111,nle.Λ.and¥oshi。ka,S., めに,機械的疲労試験における非線形ひずみ成分の分 メ1必1αil,・a・ j・Jj £&J!・垣丿訓‘1・ 乃,以I収il叱 EEP−voi.J-1 割法を提案した,マイクロはんだ接背部の機械的疲労 (199:1),jl!l:ト・19S,ASME. (81 Jj・1井稔・ほか:4名,ICパツjJ’−ジ.・│そⅢ接忿然の弾タリー- 試験を行うために,マイクロ構造の疲労試験機を開発 ブ解と疲労力命,日本機械・?会IN0.910 した.任意の速度で試験可能な機械的疲労試験の特徴 7!11 第一I 1・・J;IN・ 算力学濡泄論文集.(1991-111,223-224. を利用して,ガルウィング形,J-ベンド形リードのは (9)P:ln,T-Y.,・・Thel・mnl maljon んだ接合部に塑性ひずみのみが生じる疲労試験とクリ in Snlder Cyclillg Joillts m;lti()11 111 Surfac{!Motlnl ープひずみのみが生じる疲労試験を行った.応力・ひ 111&lced DeforDer。r- Joillts,`1 7jmjs.尤9M`,ノ. 91・rj,・a。み・/ja.・Z・,誓j,j£113(1991),H-15. 1!│ − Plaslic -pllrt l : Accumu];lted gl − 八 TRANSACT10NS S ,り ー i¬¬ − 7S y 1□ OF THE jAPAN SOCIETY OF MECHANICAL 1………… ̄1 rT …………… ‥…-・一一・--一一------- ENGINEERS −・・・・︲墨