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150725パナマだより (449261)

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150725パナマだより (449261)
2015 年 7 月 25 日
パナマだより
1号
田中正紀
1.まえがき
6 月 29 日にパナマに到着し、7 月 6 日から JICA シニアボランティアとしての業務
を開始しました。もうパナマに来て一か月近くなります。
テレビの番組では「日本人が 99.99xx%行かない国」になっているパナマですが、中
米の中では比較的日本でも知られている国ではないかと思います。この機会に皆さんに
パナマのご紹介をいたしたく存じます。
中米には小さな国がたくさんあります。パナマは中米の一番南米寄りに位置してい
ます。歴史的にはコロンビアの一部だったこともあります。
上の図ですぐにわかるように、南北アメリカはこのパナマでかろうじてつながって
います。もうちょっと引き延ばしたら陸地がちぎれて太平洋と大西洋がつながったかも
しれない。そうすれば海上交通にとっては好都合だったと思うのですが、あいにくなこ
とに陸続きとなってしまい、これがためにここにパナマ運河があることはご承知の通り
です。パナマの人口は 370 万人(2012 年統計)で国別順位は 126 位です(ちなみに日
本は 10 位)
。面積は北海道より少し小さいぐらいです。世界にたくさんある小国のひと
つと言えます。
2.気候
パナマの緯度は北緯 9 度です。今 7 月の太陽は少しばかり北側に寄っていますが、
だいたいにおいて太陽は真上からがんがん照り付けます。昼の時間は一年を通じて 12
時間に近い長さです。たとえば岡山ですと夏と冬で昼の時間は 4 時間以上違いますが、
パナマではせいぜい 1 時間ほどの違いになります。いつも朝 6 時ごろ陽が昇り、夕方 6
時ごろ陽が沈みます。
12 月から 4 月にかけて、パナマは乾季です。この時期をパナマの人は「夏」と呼び、
4 月から 11 月の雨季を「冬」と呼びます。でも気温はそう変わるわけではなく、平均
気温は年間を通してだいたい 30℃です。日本人は「冬」なら寒く「夏」なら暑いと思
うでしょうが、それは緯度の高い国の事情で、「冬」と「夏」の定義は国によっては違
います。「夏」には 3 か月近く雨が降らないので、木々は葉を落とし、草は枯れ果てま
す。従ってパナマでは葉っぱが繁るのは「冬」ということになります。
さて、雨季と言っても日本の梅雨のように一日中雨が降るということはまれです。
だいたいスコールが一日に一回か二回やってきます。どしゃぶりになり、二時間以内に
やみます。土砂降りの時は傘もあまり役に立たない上、あちこちで道路が池のようにな
るので歩行は困難を極めます。私もこのようなときは雨宿りを決め込みます。長くても
二時間待てばやむので、あえて濡れて行くことはありません。そのかわり、約束には二
時間ぐらい遅れることもありますが・・・それは当地の事情でしかたがありません(晴
れた日でも二時間ぐらいの誤差があるのは困ったことですが)。
これは以前にアパートの窓から撮りおろしたパナマの雨の写真。土砂降りのイメー
ジができますでしょうか?
3.マンゴー
私が通っている大学はパナマ運河のほとりにあり、古くはアメリカの借地でした。
アメリカ人はここにたくさんのマンゴーの木を植えました。今それらは大木になって
我々のために涼しい木陰を提供してくれます。7 月から 8 月にかけてはマンゴーが熟れ
る時期です。大きな木に何百とも何千ともしれない実が付きます。
マンゴーは実が重いので、枝いっぱいに実ると、果実の重みで大きな枝が折れるこ
ともしばしばあります。たまにはマンゴーを落として食べようとする人がいますが、だ
いたいにおいて落ちるに任せていて、拾いもしません。大きな木から自然落下したマン
ゴーはたいてい割れてしまい、それを鳥が喜んでつつきます。これからしばらくはマン
ゴーが腐った甘酸っぱいにおいがそこここにただよいます。せめてネットでも張ればマ
ンゴーが落ちたときに割れないで採集できると思うのですが、マンゴーはそれほど努力
して収穫するようなものではないようです。
「腐ってもマンゴー」で私にとってはとてもおいしいのですが、パナマのマンゴー
は世界的に見るとおいしい方ではないようです。最近日本で作っているような高品質の
マンゴーや台湾などで売っているとろけるようなマンゴーには到底及びません。すじっ
ぽかったり、すっぱかったり、固いこともあります。現地の人はマンゴーを短冊に切り、
塩を付けて食べたりします。一種の浅漬けみたいなものでしょうか。
昨日露店で 3 個 1 ドルで買ったマンゴー。私の手は大きい方です。現地の人は「マ
ンゴーを金を出して買うなんてアホな」とあきれる。
たわわに実ったマンゴーとマンゴーの木
折れたマンゴーの枝
マンゴーを食べられる幸せ、仕事をしながらパナマ運河を通過していく船をながめ
られる幸せ、仕事が進まなくても気にしないという幸せ、などなど、パナマならではの
幸せもいろいろあります。その幸せの国パナマの、今回は気候の話とマンゴーの話でし
た。ごきげんよう。
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