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小型移動体実証試験 - 日本自動車研究所
小型移動体実証試験 小型移動体実証 試験 小型移動体検討委員会 委員長 九州大学大学院 非常勤講師 池田 宏之助 最終目標と5ヵ年年次目標 H19.7.18 第1回 JHFC実証試験推進委員会資料 分類 小型移動体検討委員会 役割 燃料電池を用いた小型移動体の実証試験を行い、燃料電池の実用化を推進し、より幅広い水素利用形態を検討することによ り、水素エネルギー社会の実現に向けた技術開発を加速させる。 最終アウトプット(目標) H18年度(振り返り) ・小型水素・小型移動体系に実際使われる現場での実証試験を通じ、実用化のための水素貯蔵タンク系、燃料電池、バッテリー 系の技術課題を抽出し、その対応策として短期的対応と、長期的対応策に分けて織り込んだものの検証が出来る事。 ・小型水素貯蔵タンクを用いた小型移動体の実証試験スタート。 H19年度目標 ・長時間、長期間、外気環境テスト、既存の電動製品との走行比較を通じた技術課題の抽出、小型水素貯蔵タンク系の貯蔵能 力の検討と、燃料電池、バッテリーシステム系の適正化に分けて、短期的課題と基本からこの研究を長期的課題へ振分けて検 討し、提案と対応策の提案を行う。 ・小型移動体のJHFCとしての広報方針を明確にする。 H20年度目標 ・短期的な1次対応策を織り込んだ機体による実証試験に対する課題抽出、対応策提案。 ・長期的な対策を盛り込んだ小型水素貯蔵タンク系、燃料電池、バッテリーシステム系の検証試験による検討と対応策提案。 ・新しい小型移動体分野の利用実証性の検討 H21年度目標 ・短期的2次対応策を盛り込んだ機体による実証試験に対する課題抽出、対応策提案。 ・長期的な対応策を織り込んだ小型水素貯蔵タンク系、燃料電池、バッテリーシステム系の検討試験による検討と対応策提案。 ・次期実証目標の策定。 ・新しい小型移動体分野の利用実証性の提案 H22年度目標 ・短期的対応策の走行実証データの蓄積。 ・長期的な対応策からみた実用化への課題の整理、提案、総括 ・実用化レベルに対する現時点での用途別可能達成レベルとの課題について ・新しい小型移動体分野の次期実証目標の策定 平成18年度実施内容/平成19年度目標 平成18年度実施内容 <実証試験> 実証機:FC車いす、FCカート、FCアシスト自転車 ○プロトタイプ機の走行実験 ○プロトタイプ機の課題抽出 ○法令・安全性の検討 <評価> ○各種技術データの収集・調査 ○公共施設走行の環境調査 等 各機能部材の特性の確認 機能部材とシステムの最適化 コース設定 平成19年度目標および実施項目 <平成19年度目標> ○小型水素貯蔵タンク系の貯蔵能力の検討 ○長時間、長期間運転 ○外気環境テスト ○既存の電動製品との走行比較 ○燃料電池、バッテリーシステム系の適正化に関して、短期的課題と基本 からの研究を要する長期的課題に振り分けて検討し、提案と対応 ○小型移動体のJHFCとしての広報方針の明確化 <実施項目> ①長時間・長期間運転 ②季節(気温、湿度)毎の運転 ③電動小型移動体との比較運転 ④モニターによる試乗運転 安全性 走行距離 機能部材 走行効率 の特性 乗り心地 実用化に 向けた 課題抽出 平成19年度 実行計画と実績 FC車いす 実行計画 実績 FCカート FCアシスト自転車 FC車いすのハイブリッド駆動系統 ジョイスティック 水 素 吸 蔵 合 金 ボ ン ベ Left モータ ブレーキ コントローラ Right 実走行におけるFC出力、二次電池電圧等 (FCアシスト自転車) 50 FC出口温度 FC出力 温度[℃] 出力[W] 圧力[kPa] 40 FC出力 水素供給圧力 FC出口 温度 水素供給 圧力 30 20 10 0 0 1 2 3 4 5 6 7 時間 [hour] 40 800 二次電池電圧 車速 モーター消費電力 車速 30 600 20 400 10 200 0 0 0 1 2 3 4 時間 [hour] 5 6 7 モーター消費電力 [W] 二次電池電圧 電圧 [V] 車速 [km/h] モーター消費電力 水素吸蔵合金ボンベ(MHボンベ) FC車いす、FCカート用 装填の様子 (FC車いす) サイズ 356mm(L)×76mmΦ 接続方式 ワンタッチ交換式専用カプラ 材料 水素吸蔵合金 安全機構 圧力逃がし弁 容器重量 4.5kg/本×4本 水素貯蔵量 485NL FCアシスト自転車用 サイズ 100×20×321mm(カプラ含む) 接続方式 ワンタッチ交換式専用カプラ 材料 水素吸蔵合金 安全機構 圧力逃がし弁 容器重量 1138g 水素貯蔵量 105NL MHボンベ炎天下放置試験 2007/8/2 MHボンベ放置試験、0.40MPaにて開始 充填条件:28℃にて充填 1.2 60 MHボンベ温度日向 50 MHボンベ温度日陰 外気温 0.8 40 0.6 30 0.4 20 MHボンベ内圧 0.2 10 0.0 0 0 2 4 6 8 10 12 時間[hour] MHボンベ内圧[MPa] MHボンベ温度日陰[℃] MHボンベ温度日向[℃] 得られた 外気温度、MHボンベ表面の温度上昇に 結果 伴い、ボンベ圧の上昇が見られる。 外気温[℃] 温度[℃] 温度 圧力[MPa] 圧力 1.0 FC車いす(栗本鐵工所製作) 燃料電池スタック諸元 燃料電池定格出力 360W 燃料電池瞬間最大出力 540W 燃料電池定格電圧 24V 燃料電池セル数 36 燃料電池電極面積 40cm2 燃料電池水素供給圧力 最大10psig(0.07MPa) 燃料電池スタックサイズ 13.8cm×12.5cm×25.5cm 燃料電池スタック重量 4.9kg 電源関連重量 48kg MHボンベ諸元 FC車いす諸元 サイズ 1040mm(L) 600mm(W) 940mm(H) 動力制御システム ハイブリッドシステム サイズ 356mm(L)×76mmΦ 接続方式 ワンタッチ交換式専用カプラ 材料 水素吸蔵合金 安全機構 圧力逃がし弁 最高速度 6km/h 容器重量 4.5kg/本 (4本使用) 重量 93kg 水素貯蔵量 485NL FCカート(栗本鐵工所製作) 燃料電池スタック諸元 燃料電池定格出力 360W 燃料電池瞬間最大出力 540W 燃料電池定格電圧 24V 燃料電池セル数 36 燃料電池電極面積 40cm2 燃料電池水素供給圧力 最大10psig(0.07Mpa) 燃料電池スタックサイズ 13.8cm×12.5cm×25.5cm 燃料電池スタック重量 4.9kg 電源関連重量 51kg FCカート諸元 サイズ 1190mm(L) 660mm(W) 1060mm(H) 動力制御システム ハイブリッドシステム MHボンベ諸元 サイズ 356mm(L)×76mmΦ 接続方式 ワンタッチ交換式専用カプラ 材料 水素吸蔵合金 安全機構 圧力逃がし弁 最高速度 6km/h 容器重量 4.5kg/本 (4本使用) 重量 126kg 水素貯蔵量 485NL ①長時間・長期間運転(FC車いす) 大阪市北地域 全工程:11~12km ヨドバシカメラ 10 9 8 11 12 延べ走行距離 630km 延べ走行時間 370時間 平均航続距離 58km 走行期間 19年7月~12月 走行コース 大阪北コース 7 6 13 14 17 16 5 中央公会堂 15 20 4 3 4度の登板 19 6度の登板 リーガロイヤルホテル 18 2 抽出された課題 1 大阪水素ステーション ○コントローラの設定電圧による課題 ○MHボンベのカプラ先端の脱着の課題 ○MHボンベ温度低下時による水素供給の課題 ①長時間・長期間運転(FCカート) 大阪城公園の外周路、 内周路、天守閣登城路 全工程:17km <実証試験の概要> 抽出された課題 ○夏場のFC出力設定に関する課題 ○FCスタックの加湿条件の課題 ○外気温度の影響によるシステム動作に関する課題 延べ走行距離 900km 延べ走行時間 230時間 平均航続距離 66km 走行期間 19年7月~12月 走行コース 大阪城公園コース ②季節(気温、湿度)毎の運転(FC車いす、FCカート) 兵庫福祉のまちづくり 工学研究所コース 1週:1.4km 兵庫福祉の まちづくり 工学研究所 <実証試験の概要> FC車いす 時 期 平均走行距離 夏 55km 秋 63km 冬 50km FCカート 時 期 平均走行距離 抽出された課題 ○回生電流保護回路に関する課題 ○冬場のMHボンベ温度低下による水素供給に関する 課題 夏 57km 秋 54km 冬 46km ③電動小型移動体との比較運転(FC車いす、FCカート) 平均走行距離の最長 実証場所:兵庫福祉のまちづくり工学研究所 FC車いす 水素(180g) Ni水素(468Wh) 電池関連重量 FCカート 48kg 兵庫 55km 63km 50km km/kg 1.14 1.31 1.04 時期 夏 秋 冬 電動車いす 鉛電池(2個) 電池重量 平均走行距離の最短 水素(180g) Liイオン(756Wh) 電池関連重量 51kg 兵庫 57km 54km 46km km/kg 1.11 1.05 0.90 時期 夏 秋 冬 兵庫 27km 31km 26km km/kg 0.90 1.03 0.86 時期 夏 秋 冬 電動車カート 840Wh 29kg 兵庫 22km 22km 17km km/kg 0.76 0.76 0.59 時期 夏 秋 冬 兵庫 36km 35km 30km km/kg 0.75 0.73 0.63 時期 夏 秋 冬 兵庫 22km 26km 28km km/kg 2.44 2.89 3.11 時期 夏 秋 冬 栗本 km/kg 時期 91.9km 3.40 冬 鉛電池(2個) 電池重量 768Wh 30kg 電動車いす 鉛電池(4個) 電池重量 1680Wh 48kg 電動車いす Liイオン電池(2個) 756Wh 電池重量 9kg 電動車いす Liイオン電池(6個) 2553Wh 電池重量 27kg 得られた結果 ○FC車いす、カートでは、単位重量あたりの 走行距離は鉛電池と同等以上の結果が 得られた。 ○鉛電池は冬の温度影響を受けて走行距離が 少し短い結果を得た。 ○リチウムイオン二次電池は軽重量のため、 単位重量あたりの走行距離はFC車いす、 FCカートより長い結果が得られた。 ④モニターによる試乗運転(FC車いす、FCカート) FC車いす <実証試験の概要> コース:大阪市内南コース 経路 :本町~難波~上本町 ~天満橋 ~本町) 全工程 :11.7km モニター:理学療法士 FCカート <実証試験の概要> コース:靱公園 約1.3km 経路 :不整地、段差、傾斜、 坂道を通る経路 モニター:一般(男女) 得られた結果 ○概ね電動車いすと同程 度の乗り心地 ○登坂時および方向転換 では、FCのパワーが一 定で安心感がある ○FC車は重いため介助 時は大変 得られた結果 ○電動カートとほぼ同程 度の乗り心地 ○FCカートの方が加速 性、パワー感がある ○電源重量の軽量化が望 まれる。 FCアシスト自転車(岩谷産業製作) 燃料電池スタック 燃料電池出力 燃料電池瞬間最大出力 燃料電池電圧 燃料電池スタック数 燃料電池電極面積 燃料電池水素消費量(60W時) 燃料電池水素供給圧力 燃料電池サイズ(加湿器) 燃料電池重量 Liイオン電池重量 ~60W級 80W 19V~25V(OCV 36V) 36セル 4×4cm2 (4.5 × 4.5 cm) 0.7L/min(100%利用率の時) 0.03MPa以下 約85 × 85 × 105mm(突起物含む) 約1.0kg 1.3kg 燃料電池システム 燃料電池システム部寸法(ケース寸法) システム出力(DC/DC効率含む) 補機消費電力 注) 総重量 約90 × 200 × 250mm ~40W級 10~15W(空気ブロアー・電磁弁) 約3.2kg 注)総重量には燃料電池・制御ユニット・計測機器・ケース板金等含む 電源関連総重量 MHボンベ諸元 FCアシスト自転車諸元 サイズ 1800mm(L) 595mm(W) 860-993mm(サドルH) 燃料電池 固体高分子形 補助速度範囲 24km/h未満 重量 31.5kg 5.6kg サイズ 100×20×321mm(カプラ含む) 接続方式 ワンタッチ交換式専用カプラ 材料 水素吸蔵合金 安全機構 圧力逃がし弁 容器重量 1138g 水素貯蔵量 105NL FCアシスト自転車の走行コース 希望が丘文化公園(滋賀) 1週:約11km コース特徴:下図スタートから、中継①→中継②→中継③→中継④→スタートのコース。 青線で示す中継②~中継③、中継③~中継④は非常に起伏が激しく通常の自転車では 走行が困難。 井頭公園(栃木) 1週:約3.2km コース特徴:右図の赤い線が自転車道と して整備されている。 コースの特徴としては、希ヶ丘 文化公園より起伏が少なく、 コースをジョギングする人も 見受けられる。 ③電動小型移動体との比較運転(FCアシスト自転車) 得られた結果 FCアシスト自転車(希望が丘公園) 水素(9.3g) Liイオン4Ah (104Wh) 電池関連重量 5.6kg 上段:平均走行距離 下段:(最短~最長) km/kg 38.4km (31.6km~53.3km) 6.8 電動アシスト自転車(希望が丘公園) 電源:リチウムイオン 上段:平均走行距離 下段:(最短~最長) 平均 km/kg 既存の電動 アシスト自転車 4Ah(104Wh) 1.3kg 26.3km (21km~30.7km) 20.2 既存の電動 アシスト自転車 8Ah(208Wh) 2.3kg 46.9km (40.7km~53.2km) 20.3 燃料電池システム 相当重量分 16Ah(416Wh) 4.9kg 91.7km 18.7 二次電池 ○リチウムイオン二次電 池は軽重量なので、単 位重量あたりの走行距 離はFCアシスト自転車 より長い結果が得られた。 ○水素吸蔵合金ボンベの 小型化により軽量化した ため、水素の絶対量が 不足であった。 今後の技術的課題 Ⅰ.特性・品質の確認 ①燃料電池システムの軽量化 ②エネルギー変換効率の向上 ③水素吸蔵量の向上 ④水素吸蔵合金ボンベの安全性向上 Ⅱ.実用性(航続距離、寿命、信頼性、安全性、耐久性) Ⅲ.低コスト化 Ⅳ.水素供給インフラの構築 水素吸蔵合金の技術開発動向 >5wt%級材料 5 水素吸蔵量 水素吸蔵量(wt%) >4wt%級合金 4 BCC開発合金 (3wt%) 3 BCC開発合金 (2.4wt%) 2 現状合金 (AB5:1.5wt%) 1 0 2005 ~2010 ~2015 出所:小型移動体検討委員会 6/27水素検討会資料(出所:日本重化学工業、日本製綱所) ~2020 (年) 各種電池の民生小型電池セルレベルにおけるエネルギ密度比較 350 重量エネルギー エネルギー密度(Wh/kg) より 軽く リチウム 300 (一次) 空気亜鉛 250 200 オキシ ライド 150 アルカリ マンガン 100 50 0 鉛 0 ニカド 100 200 300 400 500 600 700 800 900 体積エネルギー密度 (Wh/) より小さく 出所:H19.9.12 産業技術総合研究所関西センター 第3回ユビキタスエネルギー研究部門(UBIQEN)フォーラム 辰巳 国昭氏 発表資料 セル温度特性 1.0 0.9 セル電圧 電圧 / V 0.8 0.7 0.6 セル18T-03 7.5A (300mA cm-2) H2/Air = 60% / 40% アノード側,カソード側 フル加湿 0.5 0.4 0.3 10 20 30 40 50 60 温度 / ℃ 出所:大阪科学技術センター研究資料 70 80 90 100 まとめ 1.水素吸蔵合金ボンベ: ⇒水素吸蔵量・安全性について課題抽出ができた。 2.長時間・長期間運転: ⇒FC車いす、カートでの長時間運転における課題抽出ができた。 3.季節試験: ⇒季節毎の環境(温度、湿度)における課題抽出ができた。 4.既存の電動小型移動体との比較: ⇒FC小型移動体は、単位重量あたりの走行距離の比較では 鉛電池と同等以上である。しかし最近のリチウムイオン二次 電池と比較すると、さらなる燃料電池システム(水素吸蔵合金 ボンベ含む)の軽量化が必要である。 (注)リチウムイオン二次電池でも大型化に伴い、さらなる安全性 の確認が必要と思われる。 5.モニター試験について: ⇒既存の電動小型移動体とほぼ同等の乗り心地であった。