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隣は何を読む人ぞう - 信州豊南短期大学

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隣は何を読む人ぞう - 信州豊南短期大学
ファンタジー小説と侮ることなかれ
第12号
隣は何を読む人ぞう
2013.07
図書館研究会
ミャンマー、メキシコ、エジプト…登場する国は数知れず
『月の影影の海 十二国記』上・下
小野不由美著 新潮社 2012年
『世界中で迷子になって』
小学館 2013年
普通の女子高生だった主人公の成長譚。
突然放り出された異界で極限まで追い詰められ
る陽子。理由も目的もわからないまま襲い来る
敵とたった一人戦い続ける過酷な旅。人に裏切
られ、猜疑心に囚われ、肉体的にも精神的にも
打ちのめされる。上巻は苦難の連続で読んでて
辛い。でも自分と向き合い葛藤を乗り越えてい
く陽子の成長ぶりと物語の伏線が収束されてい
く後半の気持ちよさは必読。壮大な十二国記シ
リーズの第一作目。続きもぜひ!
18歳でひとり旅に目覚め、19歳で初めて異国へ。
24歳のとき、本格的な旅にはまる。そんな角田
さんの「旅」と「モノ」をテーマにしたエッセ
イ。
多くの旅行経験を積んだ角田さんだからこそ語
れる海外のあんな話こんな話が満載。「旅」の
話は半分足らずで終わってしまうものの、各国
でのエピソード一つ一つがとても濃く、読み応
えがあります。個人的には、「旅トイレ」の話
に一番興味をそそられました。
角田光代
壮大な旅の第一歩へ‐南米編‐
鉄道の旅は、他の誰かの人生と乗り合わせるということ
『グレートジャーニー 人類5万キロの旅 1』
関野吉晴 角川書店 2010年
『夢より短い旅の果て』柴田よしき 著
角川書店
「グレートジャーニー」とは、アフリカに誕生
した人類が南米最南端までたどり着いた旅路の
こと。探検家関野さんが1993年から10年もの
歳月をかけ、先祖とは逆ルートの南米最南端か
らグレートジャーニーを踏破した旅行記です。
移動手段は自らの脚力と腕力のみ(カヤック、自
転車、徒歩)。トラブルの連続に「おいおい大丈
夫?」と心配になるが、数々の困難を克服して
いく様子や、訪れた先の食文化や儀式、祭りな
ど、自分の知らない世界を知ることができる。
四十九院香澄は鉄道に興味がないのにN大学の鉄
道旅同好会に入会するために手段を選ばなかっ
た。
理由は徐々に明らかになっていくが、謎解きだ
けでなく純粋に鉄道旅レポートとして読んでも
面白い作品である。特に「長い、長い、長い想
【飯田女子短大】 【佐久大学・信州短大】
い」【飯田線】にはにやり。そう、いろんな理
【信州豊南短大】 【清泉女学院大学・短大】
由から学生のうちでなければ制覇が大変な路線
【長野女子短大】【松本大学・松商短大】【松本短大】
だと言える。
学生・教職員・司書が毎号テーマに沿ったオススメ本を紹介します! ぜひ夏休みに挑戦して欲しい。
時代に立ち向かった女性たちの旅の軌跡
あなたもきっとテクテク信州を旅したくなる
京都の空気がふわっと香る恋物語
『女の旅-幕末維新から明治期の11人』
山本志乃著 中央公論新社 2012年
『信州てくてくおいしいもの探訪』
伊藤まさこ 文藝春秋 2010年
『夜は短し歩けよ乙女』
角川書店 2006年
ユネスコの世界文化遺産に登録された富士山は、
この夏休み大勢の観光客で賑わうことでしょう。
さて、この本には明治期、富士山頂での越年気
象観測に情熱を傾ける夫を助ける為、女性で初
めて富士山〝越冬〟に挑んだ野中千代子の話が
載っています。厳冬期山頂の観測小屋で夫と共
に82日間を過ごしたとは驚きです。
他にも、幕末から明治期にかけて、「旅」とい
うより「冒険と輝きに満ちた人生」を送った、
魅力的な女性たちの物語が満載です。
本書は東京から信州に移って4年目になった神奈
川県横浜市生まれのスタイリスト、伊藤まさこ
さんが信州の各地を訪ねて、そこでさまざまな
食に関わる人々との出会いとともに「おいしい
もの」を探るという内容の本です。
単に文章のみの絵のない本ではなく、写真が掲
載されているので楽しい雰囲気が醸し出されて
います。また、いわゆる「おいしいもの」の情
報誌ではなく、農業とか環境の問題についても
さりげなく示唆している点も見逃がせません。
サークルの後輩「乙女」に恋した「先輩」は、
なんとか彼女の目に留まろうと日々苦心。夜の
先斗町で、盛夏の下鴨神社で、学園祭で、彼女
の後を追うが二人の距離は縮まらず……。この
恋の行方やいかに。
京都を舞台にかけ巡る、大学生の青春コミカル
ラブファンタジー。
作中に登場する場所は京都に実在します。この
夏、あなたも「乙女」と「先輩」とともに京都
の町を旅してみてはいかがでしょうか。
森見登美彦
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