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芸術は個性

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芸術は個性
芸術は個性
濱口
私は、今回、人づくり基金の援助をいた
だき、演奏家として本格的に民謡や長唄を
百合
く、これも大事な課題の一つです。いい響
きを出せるように頑張りたいです。
勉強するため、東京及び青森において、研
修の機会を与えていただきました。
人づくり基金の援助によって長唄、民謡
を勉強させいただいたおかげで、さらに研
鑽を積みたいという思いが湧き、今年の春
からは東京藝術大学に通い、大学でも長唄
三味線を中心に勉強させていただいており
ます。
長唄の稽古風景
東京にて
長唄では、曲の流れや間合い、ノリなど
を勉強しています。長唄はリズムが不定で
この他にも、九州から東北のものまで、
あり、しめたり、のったりする流れの持っ
幅広く民謡を勉強させていただいておりま
て行き方が難しく、唄やお囃子など全体を
す。中でも、私の得意とする東北民謡は、
引っ張っていく三味線の大変な役目です。
その唄の味を大事にしながら、いかに自分
しかし、またそのリズムが長唄のよさでも
なりの節を持ち、自分なりの唄にするかが
あり、間ひとつひとつに深みを感じられる
大事だとつくづく感じます。聞いていただ
古典のすばらしいところでもあります。
く人に、より伝わるように、発音や発声、
唄の流れ、節の運びなどもっともっと研究
していかなければなりません。
さらに、邦楽や洋楽など、様々なジャン
ルを知るいい機会に恵まれました(例えば
邦楽では能や地歌、清元、常磐津、雅楽、
日本舞踊、洋楽では声楽、器楽など)
。今ま
で知らなかった音楽を聴き、さらに視野が
長唄の稽古風景(左:杵屋五司郎氏)
広がりました。演奏会にもたくさん足を運
ぶ機会があり、実に様々な世界観を知るこ
暗譜でお稽古をしていただくので、曲を
とができます。
どんどん覚えて一曲一曲を仕上げていくの
どの分野の音楽もすばらしく、感動を与
は、なかなか大変です。また、いい音で弾
えてくれます。音楽は、国や言葉を超えて
感じることのできるものであり、心を豊か
これから、専門分野の演奏にさらに磨き
にしてくれるすばらしいものであると改め
をかけ、また、色々な芸術を感じて刺激を
て実感します。
受け、それを自分の糧としながら、自分に
しかないスタイル・個性を、芸術家として
こういった色々な分野に触れ、共通して
作り上げていきたいです。
大事だと感じたことがあります。
それは、それぞれの人の個性が芸術の魅力
になるということです。
このような機会を与えてくださったこと
に心から感謝申し上げます。
私の場合、民謡と長唄の両方を学ぶこと
で、時には軽快で賑やかに、時には格調高
く重々しくなど、その場に合わせて、バラ
エティに富んで楽しませる演奏の幅が広が
りました。また、この両方を学ぶことで、
それぞれの良さがさらにわかり、どちらも
さらに深くなるように感じます。
濱口
百合(はまぐち
ゆり)
8歳より民謡を始める。
幼少の頃より日本郷土民謡協会少年少女みんよう全国大会優勝
など、様々な大会で入賞を果たす。
民謡、三味線を民謡竹峰流二代目宗家福島竹峰氏に師事。
宗家より濱口韶峰の名をいただく。
津軽民謡、津軽三味線を福豊会会主福士豊秋氏に師事。
長唄三味線を杵屋五司郎氏に師事。
現在、東京藝術大学別科在学中。
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