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第4章 生命の起源と進化 - So-net

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第4章 生命の起源と進化 - So-net
私の意見 (科学研究、地球環境など)
9.神、心、および他のいくつかの問題に関する私の諸考察
人はどこから来て、どこへ行くのであろうか?神は存在するのか、しないのか?
ヤマカガシ
(毒ヘビ)
ガマ
第4章
カマキリ
生命の起源と進化
旧約聖書の創世記に記載された生命創造の次第は、第3章の初めに紹介した。要
約すると、次のようになる。神は、三日目に地上に植物を作り、四日目に日と月と
星々を作り、五日目に水中の生き物と鳥を作り、六日目に野獣と地を這うもの(ヘ
ビや昆虫など)と家畜を作った。また、神は自らに似せて人を作った。 したがっ
て、神は植物を先に作り、その後で太陽を作ったそうである。もしそうであるなら
ば、太陽が無かった時には植物はどのようにして光合成を行ったのであろうか?ま
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た、植物の受粉には、多種多様の昆虫が必要である。しかし、神は先に植物を作り
後から昆虫を作っている。ともかく旧約聖書によれば、神は地球上の全ての生物を
たった三日間で創造したことになる。啓示宗教の神は万能なので、この程度の作業
は朝飯前なのかも知れない。
現代科学では、地球上の生命は次のようにして誕生したと考えられている。地球
が誕生した約 46 億年前には、地球はマグマの海のように溶けていた。地球は徐々に
冷却して、表面は固体の岩石で覆われた。さらに地球が冷却すると、大気中の水蒸
気が雨となって大地に降り注ぎ、やがて海ができ、大気中には炭酸ガスが残った。
最初の海中には、簡単な分子しかなかったが、化学進化により次第に多種多様の複
雑な分子が合成されていった。その次の段階では、複雑な分子が自己組織化するこ
とにより、多種多様な分子集合体が形成された。これらの分子集合体のなかで、あ
るものは自己を外界と隔てて維持する能力と、自己を複製して子孫を残す能力を獲
得した。これが、地球における最初の生命の誕生である。生物はこのようにして、
約 40 億年前に海中で発生し、それから多種多様の生物に進化した。
いったん生命が誕生すると、生物は突然変異と自然淘汰の繰り返しにより急激に
進化し、生物の種類が爆発的に増加した。最初の生物は単細胞生物であったが、約
10 億年前には多細胞生物が出現した。その間における最も重要な出来事の一つは、
約三十数億年前に開始されたシアノバクテリアによる光合成である。光合成は、水
と炭酸ガスを原料とし、太陽光をエネルギー源として、生命活動に必要な有機分子
を合成することである。なお、この反応の副産物として、酸素ガスが発生する。
光合成生物の出現により、生物の進化速度は著しく増大した。そればかりか、大
気中の炭酸ガスは生物の体内に取り込まれ、大気中の酸素濃度は徐々に増加して行
った。このような生物による地球環境の改変は、生物の陸上進出を可能にした。植
物の陸上進出は約5億年前であった。昆虫類が陸上に進出したのは約4億年前で、
両生類が陸上に進出したのは約 3.7 億年前であった。
両性類から爬虫類が進化し、爬虫類から哺乳類と鳥類が進化した。哺乳類の中の
猿類から人類が出現したのは、約 500 万年前であった。人類は二足歩行と大きな脳
を獲得したので、人類の脳の中には心が発生した。しかし、心は人類以外には存在
しないのだろうか?私は、「この問題は神の存在と同様に、心という述語の定義に
帰着する。」と考えている。
「心とは、脳内で外界の変化を感知しそれらに対応しかつ学習能力を持つ機能」
と広義に定義することも出来る。この定義では、人類はもちろん哺乳類にも心は存
在するはずである。さらに、鳥類、爬虫類、両生類、魚類などにも心が存在するか
もしれない。「心とは、脳内で言語を用いて判断する機能」とより狭義に定義する
ことも出来る。この定義では、人類以外に言語訓練を受けた猿類(例えば、チンパ
ンジーのアイとその子供、曲芸猿、介護猿など)、人の言葉を理解している犬類
(例えば、家の中で飼われている犬、盲導犬、介護犬など)などにも、心はあるは
ずである、「心とは、脳内で自己の死を予見できる機能」とさらに狭義に定義する
ことも出来る。この定義では、現生人類(ホモサピエンス)やネアンデルタール人
にしか心は存在せず、猿類や犬類にはこの定義の心は存在しないことになる。「心
とは、脳内で神を信仰することができる機能」とさらに限定的に定義することも出
来る。この定義では、現生人類のみが心を持つことになる。
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