...

ヘッジ会計

by user

on
Category: Documents
21

views

Report

Comments

Transcript

ヘッジ会計
ヘッジ会計
1. デリバティブの定義
(IAS 第 39 号、9 項)
デリバティブとは,金融商品又は本基準の範囲に含まれるその他の契約のうち,次の 3 つの特徴のすべてを有
するものをいう。
① その価値が,特定の金利,金融商品価格,コモディティ価格,外国為替レート,価格若しくはレートの指数,信
用格付け若しくは信用指数又はその他の変数(「基礎数値」と呼ばれることもある)で,非金融変数の場合に
は当該変数が契約当事企業に特有ではないものの変動に応じて変動すること
② 当初の純投資を全く要しないか,又は市場要因の変動に対する反応が類似する他の種類の契約について必
要な当初の純投資よりも小さいこと
③ 将来のある日に決済されること
【例題】
XYZ 社は,銅 1 百万キログラムの購入のために,固定価格による先渡契約を締結している。当該契約は,12 か
月後に銅の現物の引渡しを受けるか,銅の公正価値の変動に基づき現金による純決済額の支払い,又は受取
りをすることを XYZ 社に認めている。
当該契約はデリバティブの定義を満たすのか、そしてデリバティブとして会計処理するのか。
(解答)
このような契約はデリバティブの定義に該当するが,必ずしもデリバティブとして会計処理する必要はない。
当該契約はデリバティブ商品である。
なぜなら,当初の純投資がなく,その契約は銅の価格に基づいており,そして,将来のある日に決済されるから
である。
しかし,XYZ 社が引渡しによって契約を決済する意図があり,かつ,現金で純額決済をしたり,又は銅の引渡し
を受けて価格の短期的変動による利益又は売買業者としてのマージンを生み出すために引渡し後短期間のうち
に売却したりした実績がないならば,その契約は IAS39 においてデリバティブとしては会計処理されない。
その代わりに未履行契約(確定約定たる購入契約)として会計処理される。
(原則)
デリバティブ=ヘッジ手段は常に時価評価し、評価差額は当期の損益として計上
【例題】
為替予約契約(ドル買い、円売り)
・10 百万ドル
・1 月末締結
・3 月決算
・5 月末決済期日
・予約レート:1 ドル=110.00 円
・3 月末予約レート:1 ドル=107.00 円
締結時の仕訳、3 月末の当該為替予約の評価時の仕訳を行いなさい。
(解答)
当初認識時はキャッシュ・フローが生じないので、仕訳が起こらない。(デリバティブの認識は契約を締結した時
に、当該金融資産又は金融負債の発生を認識しなければならない。しかし、キャッシュ・フローが生じないので測
定値がゼロであるから、仕訳が起こらないのである。)
しかし、当初認識後では為替予約(デリバティブ)の価値に変動が生じるので、その変動を損益として計上する。
①締結時
仕訳なし。
(為替予約の締結時にはキャッシュ・フローが発生しない。ここにデリバティブの会計的な難しさがある。すな
わち、予約締結という経済的事象はオフバランスとなっている。)
DR
為替予約資産(BS)
CR
0
現金
0
②3 月末
DR
損益(PL)
CR
30
為替予約資産(BS)
30
キャッシュ・フローが発生しないが、価値の下落を認識する。こ
れが「デリバティブ取引により生じる正味の債務」
ドル買い、円売りなので、予約レートが下がったということは、それだけ損したことになります。(今、締結したほう
がよかったという状態。すなわち、予約を締結したがために、5 月末に 1 ドルあたり 110 円を支払わなければなら
ない。今、予約を締結したら、1 ドルあたり 107 円しか支払う必要がない。)
以上
Fly UP