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船、山にのぼる - BankART1929
PHスタジオが、久しぶりに活動を開始します。まずは長年手がけてきた船のプロジェクトの報告会から。ドキュメント映画の映像作 家、本田孝義さんがすばらしい映画をつくってくれました。これから順々に小ホールなどで、劇場上映されますが、それにさきがけ現地 広島県灰塚と BankART1929 でスクリーニングと小さなパーティを行いたいと思います。 是非、 ご参加ください。 船、山にのぼる 映画上映会とパーティー 日時 2007 年 9 月 30 日(日)15 時∼18 時 場所 広島県三次市農業活性化センター+木村家 参加費 無料 日時 場所 参加費 2007 年 10 月 21 日(日)19 時∼21 時 30 分 BankART 1929 Yokohama IF/1929 ホール 1,000 円(パーティー代含む) 「船、山にのぼる」2007 年/ DV / 88 分 製作:ビジュアル・トラックス、戸山創作所/監督:本田孝義 /撮影:本田孝義、林憲志、濱子正/編集:本田孝義/音響構 成:米山靖/音楽:風の楽団/ナレーター:川野誠一/プロ デューサー:伏屋博雄 支援: 文化庁 配給:戸山創作所 出演:PH スタジオ、灰塚の方々、他 今後の上映予定 お申し込み・お問い合せ:BankART1929 オフィス TEL:045-663-2812 FAX:045-663-2813 [email protected] http://www.bankart1929.com 11 月下旬 広島市・横川シネマ 11 月 25 日 岡山映画祭 2007 来春、東京・渋谷ユーロスペース 問い合わせ:戸山創作所(03−5338−9490) 船をつくる話 1994+1996 「灰塚アースワークプロジェクト」の招待作家として現地滞在。 ダム工事に伴い民家や農 地の移 転が 進行するなか、およそ 200ha の森林が水没し、30∼40 万本の木が伐採されるとい う話を聞いて、森の引越しについて考えてみようというのが、こ のプロジェクトの始まりだ。伐採される木を使って60m 大の筏 状の船をつくり、それを山のてっぺんに移動すること。もちろん それは人力では不可能だが、ダム完成時に行なわれる湛水実 験時(ダムの最も高いレベルまで水をためる)に、船を湖に沈ん でいる山の上まで移動させ、 (実験後は水位を下げるので)、山 のてっぺんにのせることが可能なのだ。 *灰塚アースワークプロジェクト 広島県北東部の山々に囲まれた三良坂・吉舎・総領の3町に またがる灰塚地域にダム建設が持ち上がったのが三十数年 前。長い建設反対の闘争期間を経て、美しいダム湖を残すた めに様々な人々によってダムエリアの再建プロジェクトが はじまった。灰塚アースワークプロジェクトは、この広域の 自 然 と 文 化 を ひ と つ の ネ ッ ト ワ ー ク で 結 び つ け よ う と、 1994 年からサマーキャンプ、ワークショップや環境への提 言などをおこなってきた。 船をつくる話 1998 船をつくる話 2000̶船の上の家 プランは単純だが実際にこのプロジェクトを推進するには、 3 町の合流点にあたる向井橋のたもとの工場跡地に、建設省 さまざまなハードルがあった。どのように木を集めるのか、 (現国土交通省)から船の制作場所としての占有許可がおり、 この年はまず船をつくるための準備小屋を制作した。プレハブ 水に浮いているときはどうするのか、引っ越しするのは木だ でなく白い小さな家と丸太の皮剥きができる程度の少し大き けでよいのか、不時着したあとのこと等、地元の人たちや専 な作業小屋を制作した。 門家などから、知恵やちからを授からないといけない事柄が たくさんある。この年は、主に地元の人々にこのプロジェク 船をつくる話 2001̶ふねをつくる トをより広く知ってもらうために、プランを紹介する展覧会 船本体の制作に入った。人々が引越してしまった後のダムに沈 やシンポジウムの開催、アンケートをとる、家を訪ねてまわ む現地で、長さ 60m、幅12m、高さ3mのふねをつくる。ふねと る、新聞をつくるなどを行った。 いっても森の引越しをするための仮の姿だから、トラス状に組 船をつくる話 1999̶木をあつめる んだ立体いかだのようなものだ。一本づつ丸太の皮をむきなが 船をつくるためには口径約 10cm・長さ3∼4m の桧の丸太が らボルトで組んでいく。約 2 ヶ月で船の構造部分が完成した。 2700 本必要。この年は、木を集めているということをアピール した。そのために象(東南アジアでは木を運ぶ動 物)や、わに 船をつくる話 2002̶続ふねをつくる (広島県県北の伝統食、サメのこと)、だるまガエル(ダムエリア 2002 年は春・秋の滞在で船本体のデッキ部分の制作とその 棲息、絶滅危惧種)が登場し、木の提供者を探してダムエリア 発 表を行った。デッキに使用するひのき丸太の数は約 1,700 内の各所を訪問。移動距離は全 60km。道路の拡幅工事がある 本。太さの違い、まがり、末口と元口の口径の差、これらを組み からと、桧の林を提供してくださる人があらわれたり、建設省 合わせながらの作業。普通の床張りのようにはいかない。地元 (現国土交通省)もダムエリアの伐採 木材を取り置きしてくれ の人々、近県の作家や学生などがたくさん作業に参加してくれ たり、木は集まりはじめた。 るようになり、あたらしいネットワークができてきた。 船をつくる話 2003̶まっているあいだ 湛水実験がおこなわれる2005 年まで、船はダム底で水がは いってくる歳月を静かに待つことになる。この待っているあいだ に、地 域の人たちと恊働して、森の引越しをテーマに 様々な ワークショップをおこなった。また広島市現代美術館と旧日本 銀行広島支店を使っての展覧会も併催した。現地では見学ツ アーや船の上でのイベントも開催。 船をつくる話 2004̶まっているあいだpart2 2003 年の続編。水がきても流されないように、湖底に基礎と アンカーを打ち、係留する準備などを行なう。 船をつくる話 2005- 水の上 湛水実験がはじまり、水がダムに入ってくる。水位が最高水位 (100 年に一度想定され洪水時のレベル)に達した時、船の設 置予定の山(水面下にある)の真上まで国土交通省のボートに より牽引してもらう。 船をつくる話 2006- 山の上 2006 年3月。水位の下降にともない船が山の上に不時着。地 元神楽団による司祭と完成のパーティ。現在にいたる。