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第5章 戦略プロジェクトと具体的アクション
第5章 戦略プロジェクトと具体的アクション 5-1 10 の戦略プロジェクトと 25 の具体的アクション 基本戦略① 個々の魅力づくりと 受入れ体制づくり 基本戦略② 基本戦略③ 地域間連携と ネットワーク化 交通環境整備と 快適回遊の実現 基本戦略④ 一元的な情報発信と プロモーション 戦略プロジェクト①:地域に眠る資源の発掘と磨きがけ <趣旨・ねらい> 高梁市内の各地域において、身近な自然の魅力や特色ある地域文化を培ってきた郷土史な どを地域住民自ら再確認するとともに、各地域ならではの地域資源や継承されてきた生活 文化に着目し、観光や交流の目的となる地域資源を発掘します。 このような取り組みの中で、地域の営みを支えている身近な自然や歴史・文化を見直し、 地域の財産として継承していく心を育てるとともに、受入れ体制を整えていくこと、各地 域の伝統の技や素材を用いた特徴ある食や土産物を開発していくことがねらいとなりま す。 <具体的アクション> 1)各地域の “お宝”発見とデータベース化 ・ 身近な自然の魅力、その恩恵を活かす暮らしの知恵や技等の掘り起こしや、地域の歴史・ 文化について学習するワークショップを継続的に開催するなどし、地域に眠る交流資源と なり得る“お宝”を発掘するとともにそのデータベースを作成します。 ・ 地域の四季折々の魅力やあまり知られていない魅力を発掘する試みとしては、市民からお 気に入りの場所の写真を募集する「高梁百景フォトコンテスト」や、鉄道写真の適地など、 市内で撮影した「鉄道写真コンクール」 、地域の風物等を詠んだ俳句や川柳を募集する「高 梁俳句・川柳コンテスト」などの企画を検討していきます。 また、発掘した“お宝”については、そのデータベースを活用し、資源に関する情報を掲 載したアイテムや商品を作成・提供することで、来訪者が興味対象に応じてまち巡りに活 用できるような取り組みも進めていきます。 2)地域の魅力を伝える「高梁ものがたり」の編集 ・ 地域の資源や魅力を再発見し、それを市民全体で共有化する取り組みとして、高梁、有漢、 成羽、備中、川上の各地域の歴史や文化、風土、暮らし、地域の偉人等を体系的に整理し、 地域の魅力を伝承する地域学読本「高梁ものがたり」として取りまとめます。 ・ また、取りまとめた「高梁ものがたり」をもとに、イベント的に「ご当地検定」を実施し、 楽しみながら地域を知ってもらうような取り組みを実施します。 ・ また、市内の祭礼やイベントの開催情報を「高梁交流ものがたりイベントカレンダー」と して取りまとめ、内外に広く情報発信するとともに、似たようなイベント同士の広域連携 - 18 - 等を促進し、イベントの魅力向上や来訪者の市内回遊の促進、市内滞在時間の延長を目指 します。 3)各地域ならではの特徴ある食・土産物の開発 ・ 平成 21 年に実施したアンケートでは、現状の不満点として「魅力的な飲食店が少ない」 「買 いたいと思うような土産物がない」といった意見が挙げられました。そこで、高梁観光の 魅力向上と地域内観光消費の拡大を図るため、各地域の伝統的な食や素材、特産物を生か し、現代的ニーズを踏まえてアレンジした特徴的な食や土産物の開発を促進していきます。 ・ 開発した食や土産物については、 「備中高梁ブランド」等と連携し、一定の基準を満たす ものについては市として積極的にその普及・PRについて協力していきます。また、地産 地消の名物料理としての提供等、市内の飲食店や宿泊施設との連携を図ります。 ・ なお、新たな「食」の魅力開発にあたっては、飲食店や地元企業などに広く働きかけると 共に、各家庭で作られているアイディア料理等をコンテスト形式で募集する等、広く市民 に興味を持ってもらえるような取り組みを検討していきます。 ■市内における先行的取り組み 吹屋ご当地メニューの開発 吹屋地区では「備中高梁元気!プロジェクト」の一環として、 吹屋の特産であるベンガラ色をイメージした「ベンガラカレ ー」や「手打ち高きびうどん」等のご当地メニューの開発を行 っています。 備中夢大納言小豆 中四国有数の小豆生産を誇る備中地域 で、近年栽培が進められている優良品種 が、備中夢大納言小豆です。良質な「備 中大納言」のさらなる向上をめざして開発されました。 薄皮で大きさ・色・ツヤともに優れ、粘りのある 美味しい餡づくりに最適と高い評価を受けています。 - 19 - とうふ飯 明治時代から、主に成羽地域で精進料理 のひとつとしてたしなまれていた料理で、 一般家庭でも先祖の供養を行う法事料理 として取り入れられていました。 とうふは、水切りして炒め、熱いうち に裏ごしし、錦糸卵やかんぴょうなどと 一緒にごはんにのせ、だし汁をかけていた だきます。 ぶり雑煮 高梁のお雑煮と言えば、丸いもちに、 ハマグリ、だいこん、ユリ根などを入れ ますが、忘れてはいけないのが、大きめ に切った「ブリ」です。 うま味豊かで、あっさりとしたお味は お正月から幸せな気分にさせてくれます。 高梁紅茶 高梁の茶葉を使い、ていねいに醗酵 させて作っています。春から晩秋にか けて発生する雲海(霧)は、茶葉を紫 外線から守り、ふんわり懐かしい香り とほのかな甘みが特徴です。 - 20 - 基本戦略① 基本戦略② 個々の魅力づくりと 受入れ体制づくり 基本戦略③ 地域間連携と ネットワーク化 交通環境整備と 快適回遊の実現 基本戦略④ 一元的な情報発信と プロモーション 戦略プロジェクト②:地域資源を生かした体験プログラムづくり <趣旨・ねらい> 高梁市内には、まだ活用されていない観光・交流のための地域資源が多数潜在しているも のと考えられます。このような地域資源を掘り起こし、観光客等の興味対象となり、感動 体験が得られるようなプログラムとして活かしていきます。 <具体的アクション> 4)資源の磨きがけによる特徴あるプログラムづくり ・ 地域住民にとって日常で当たり前の資源が、地域外からの来訪者にとっては大変魅力のあ る宝物となることも少なくありません。先に示した地域の“お宝”発見の取り組みを通じ、 こうした資源を掘り起こし、観光・交流の素材としてリストアップするとともに、専門家 や女性の視点も交えながら、その活用方法について検討していきます。 ・ このようにリストアップされた素材を磨きかけ・加工することで、来訪者を感動させるよ うな高梁ならではの体験プログラムづくりを行います。 ■市内における先行的取り組み 夫婦岩ガイド 成羽町長地にある「高梁夫婦岩 の会」は、地元の石灰岩にそび え立つ高さ 12m(夫岩)と 16 m(妻岩)を観光振興にと磨き をかけています。春は菜の花を 夏はヒマワリを植えて訪れる観 光客をおもてなししています。 5)プログラムの組み合わせによる着地型の旅行商品づくり ・ 構築した体験プログラムを利用し、まる1日、あるいは1泊2日でどのように観光・交流 を楽しむことができるか、モデル的に日程表を作成し、パンフレットやホームページで情 報発信します。例えば、高梁の武家屋敷地区を散策したあと「だいぶ時間が余ったけれど、 何かすることがないかな」と観光客が思った時に、ヒントになるような材料として魅力を 紹介する内容とします。 ・ 市内で提供する体験プログラムを一定のテーマやターゲットのもとで組み合わせ、旅行行 程やモデル的な旅行商品を組み立てるとともに、イベントやモニターツアーとして実際に 提供しながらその評価や課題を把握し、より参加しやすく魅力的なプログラムとなるよう必 要な改良を行います。 - 21 - 基本戦略① 個々の魅力づくりと 受入れ体制づくり 基本戦略② 基本戦略③ 地域間連携と ネットワーク化 基本戦略④ 交通環境整備と 快適回遊の実現 一元的な情報発信と プロモーション 戦略プロジェクト③:持続可能な受入れ体制づくり <趣旨・ねらい> 地域側との一定の役割分担のもと、JR西日本等の運輸事業者や旅行会社との連携によ り、戦略プロジェクト②で構築した旅行商品の流通化を目指します。 また、着地型旅行商品等の販売により、地域が経済的に自立していくため、地域内の着地 型旅行商品等の提供者と市場(旅行会社、旅行者)をつなぐワンストップの窓口としての 機能を担うまちづくり事業体等の形成を目指します。 <具体的アクション> 6)JR西日本等の運輸事業者や旅行会社との連携による商品の流通化 ・ 戦略プロジェクト②で構築した旅行商品の流通化し、地域への誘客を促進するにあたって は、JR西日本等の運輸事業者や旅行会社との連携が不可欠です。 ・ 運輸事業者や旅行会社との連携を図る場合、地域側も含めてそれぞれが果たすべき役割分 担の下に、協働・連携した取り組みを進めることが必要と考え、以下の役割について市が 連携の窓口となって協働を進めていきます。 <地域の役割> ・着地としての受け入れ対応、組織体制・窓口の整備 ・観光素材の開発・整備と情報提供 ・旅行商品化に向けた企画・提案 ・旅行者へのおもてなしによるリピーター化の促進 ・旅行商品開発および販売促進への協力・参画(パンフレット作成等) ・現地のガイド紹介手配、活動プログラムの提案・組み立て など <旅行会社の役割> ・旅行商品化のためのアドバイスと地域への助言 ・マーケット分析 ・観光素材の商品化 ・宣伝告知等販売促進 ・送客 ・地域・運輸事業者への協力窓口 <運輸事業者の役割> ・旅行商品化のためのアドバイスと地域への助言 ・特定の交通機関を活用するキャンペーンの実施 ・送客座席の確保やキャンペーン運賃の提供 ・旅行会社との連携による旅行商品企画・造成促進 ・駅等での広告宣伝の実施 ・沿線や施設周辺地域の観光素材の情報提供 ・域内広域移動の利便性向上に向けた取り組み(二次交通の整備、シャトルバスの運行等) - 22 - 7)観光コンシェルジュ・まちづくり事業体の形成 市内の観光協会等の横断的連携のもと、以下に示すような「観光地域づくりプラットフ ォーム」をモデルとして、観光コンシェルジュ等の着地オペレーション機能の充実、着地 型旅行商品のプロデュースとプロモーション、その他様々なマネジメントを担う、自立経 営型観光まちづくり事業体の形成を目指します。 (平成 22 年 9 月) 1.観光地域づくりプラットフォームの定義 着地型旅行商品の販売を行うため、地域内の着地型旅行商品の提供者と市場(旅行会社、旅行者)を つなぐワンストップ窓口としての機能を担う事業体。既存の観光協会、商工会議所などの組織が、機能 を拡充することにより、「観光地域づくりプラットフォーム」となるケースも想定される。 2.「観光地域づくりプラットフォーム」に求められる要件 ・観光事業者のほか、農商工関係者、NPO、住民等の多様な主体の実質的な参加 ・着地型旅行商品の展開に係る企画・販売機能 ・法人格を有すること(株式会社、NPO、LLC、社団法人、財団法人等) ・持続的に収益を確保できる仕組み(着地型旅行商品の販売、自治体等からの受託事業、飲食・物販事業等) ・組織を担う人材(リーダー、企画・調整者) 3.観光地域づくりプラットフォームへの支援方策 観光庁は、全国各地において「観光地域づくりプラットフォーム」の形成を早急に推進するため、成 功事例の早期構築を図り、ノウハウや情報の集約を行う。 また、得られたノウハウ・情報等を活用し、助言・指導等を行うことにより、関係省庁と連携して、 観光圏以外の地域においても「観光地域づくりプラットフォーム」の形成を支援する。 ・普及啓発段階:普及啓発のための研修(日本観光協会)、テキスト整備、研修講師のリスト整備 ・設立準備段階(組織化支援):専門家の派遣によるワークショップ開催等による合意形成、事業計 画策定の支援 ・運営初期段階(人材育成・活動支援):着地型旅行商品の企画・販売(広告宣伝、苦情処理を含む)、 受付・決済システムの導入、研修やOJTによる人材育成の支援(複数年度)。なお,自立的で持続 可能な運営のための収益の仕組み(飲食・物販等の事業)の構築や企画・調整者の人件費については、 関係省庁や地方自治体との連携による支援も有効 ・成長段階:発地側の旅行会社との商談会開催、旅行会社・IT企業等との着地型旅行商品の流通促 進・情報発信に係る勉強会の開催等 - 23 - 基本戦略① 個々の魅力づくりと 受入れ体制づくり 基本戦略② 基本戦略③ 交通環境整備と 快適回遊の実現 地域間連携と ネットワーク化 基本戦略④ 一元的な情報発信と プロモーション 戦略プロジェクト④:高梁市の観光・交流のものがたりづくり <趣旨・ねらい> 高梁観光の魅力をより高め、高梁市への来訪を効果的にPRしていくためには、各地域の 個々の魅力を重ね合わせ、一つの物語となるようなストーリー立てを行うことが必要で す。またこのような地域連携により、それぞれの足りない部分を補い合うことも可能とな ります。 このような地域連携を図っていく上では、まず、他地域の魅力を知り、互いを認め合うこ とから始める必要があります。 さらに、市内だけでなく、備中地域や周辺市町、近隣県との広域連携を積極的に進めるこ とで、高梁市だけでは完結しない、広域の集客力強化を図ります。 <具体的アクション> 8)他地域の魅力を知る~市民による観光・交流の実践 ・ 市内の各地域間の連携、ネットワーク化を図っていくためには、まず他地域の魅力や文化 を「知る」ことから始める必要があります。そのため、観光関係者等による他地域の視察 ツアーの実施や、地元で活動されている団体等が、それぞれの活動の情報交換等を行う交 流会の定期的な開催等の取り組みを実施します。 ・ また、高梁市の魅力を市民自らが再認識することを目的に、子ども会での市内の体験プロ グラムへの参加など、市外からの来訪者だけを対象とするのではなく、高梁市民による高 梁市観光を推進していきます。 9)「高梁ものがたり」観光モデルコースづくり ・ 市内に存在する各資源を一定のテーマのもとで括るとともにそれ らを一筆書きで巡れるよう、テーマごと、季節ごとにストーリー 立てられた魅力的な観光モデルコースの設定に取り組みます。 ・ 設定したモデルコースについては、観光マップやホームページ等に より、積極的に情報発信するとともに、コース沿いにおける“おも てなし”の環境づくりを進めます。 10)隣接市町や備中地域などの広域連携の実践 ・ 「高梁市の観光・交流のものがたりづくり」にあたっては、市内だけでなく、隣接市町や 備中地域、隣接する他県などとの広域連携を積極的に進めます。 ・ 具体的には、備中県民局で進められている「鉄の径」 「杜氏の郷」モデルコースづくりや、 水辺のユニオンが実施している高梁川流域の広域連携による滞在型・リピート型観光の促 進のための取り組みとの積極的な連携・支援を実施します。 ・ また、同じ天空の城の異名をもつ兵庫県朝来市の竹田城とコラボレーションする取組(イ - 24 - ベント実施、旅行エージェントへツアーの売り込み等)を行います。 ■市内における先行的取り組み 「鉄の径」「杜氏の郷」モデルコースづくり 備中県民局では、広域な地域に点在する スポットを一定のテーマで結び、連携を図 ることで、地域内に芽吹いている産業観 光・体験観光・学習観光を推進し、観光資 源の発掘と広域観光振興につなげること を目的に、 「鉄の径」 「杜氏の郷」の観光ル ートづくりが行われている。平成 20 年度 にはモニターツアーが実施され、今後の商 品化に向け、2次交通や宿泊施設等の受け 入れ体勢の整備が進められている。 高梁川流域の広域連携(水辺のユニオンの取り組み) 「水辺のユニオン」では、高梁川の流域にある 新見市・高梁市・総社市の各地域を産業観光・学習 観光のコンセプトで連携し、高梁川流域の観光資源 を面と捉えた滞在型・リピート型観光を促進するた め、地域発の「着地型観光」、地域活性化のイベン トの企画運営、地域商品の開発(特に「食」に関す る開発)、地域産業の人材育成などを行うことを目 的とした様々な取り組みが行われている。 - 25 - 基本戦略① 個々の魅力づくりと 受入れ体制づくり 基本戦略② 基本戦略③ 交通環境整備と 快適回遊の実現 地域間連携と ネットワーク化 基本戦略④ 一元的な情報発信と プロモーション 戦略プロジェクト⑤:おもてなしの心づくり・環境づくり <趣旨・ねらい> 高梁市への来訪者が、地域の自然や歴史・文化を体験し、そこで営まれている暮らしや地 域の人々との心の触れ合いを通じ、豊かな“思い出”として持ち帰っていただけるように するためには、受入側の市民がおもてなしの心をもって来訪者を迎え入れることが重要と なります。 そのため、観光に関わる商業者や観光事業者はもとより、市民一人ひとりのホスピタリテ ィの醸成を図り、おもてなしの体制を整えていきます。 また、各地域のガイド同士の交流・勉強会の開催等により、市内全域を案内できるガイド の養成とスキルアップを図ります。 <具体的アクション> 11)次世代の地域文化を担う人材育成ともてなしの演出 ・ 教育委員会と連携し、学校教育のなかで行う祭りや伝統芸能の伝承活動等を支援するとと もに、その練習成果の相互発表の機会や、校外(まちなかやイベントなど)で演じる場を 設ける等、学校教育を通じて子ども達に地域の魅力を知ってもらう取り組みを推進します。 ・ 課外活動や総合学習、環境学習の一環として、観光ルートの沿道における花植えや花壇整 備を行う等、おもてなしの心の育成と景観によるもてなしの演出を図っていきます。 12)五感を活かしたバリアフリー観光の実践 ・ 高齢者や体の不自由な方、外国人旅行者にも、高梁市での観光を十分楽しんでもらえるよ うにするため、観光のバリアフリー化を推進します。また、視覚だけでなく音や香りなど 五感を通じて楽しめるようなプログラムづくりについても、関係者の意見を伺いながら検 討していきます。 13)地域の魅力を伝達するガイドの養成とスキルアップ ・ 来訪者が高梁市の魅力を十分満喫し、市内観光を思い出深いものにしてもらえるよう、地 域の歴史や文化、産業等に精通し、人を惹きつける話術を備えた市民ガイドやインストラ クターの育成に取り組みます。また、民間タクシー・バスドライバーの育成を行うための マニュアルを整備し研修機会を充実させます。さらに、現状で市民ガイドの高齢化もみら れることから順正学園等とも連携し、学生ガイドの募集・育成等についても検討します。 ・ 現在、活動している高梁観光ガイド会や吹屋観光協会ボランティアガイドなどのガイド同 士の交流・勉強会等の定期的な開催といった、情報交換とスキルアップを図る取り組みに ついて、積極的に支援していきます。 ・ それぞれの地域だけでなく、アクション9の観光モデルコースについては、一連の案内が できることが望ましいため、案内のガイドブック(マニュアル)を作成します。 - 26 - 基本戦略① 個々の魅力づくりと 受入れ体制づくり 基本戦略② 基本戦略③ 地域間連携と ネットワーク化 交通環境整備と 快適回遊の実現 基本戦略④ 一元的な情報発信と プロモーション 戦略プロジェクト⑥:二次交通の充実化 <趣旨・ねらい> 地域間の連携・ネットワーク化を環境面からサポートし、市内周遊を促すために、レンタ サイクルシステムや既存の観光交通支援施策の充実等、二次交通の利便性向上を図りま す。 <具体的アクション> 14)レンタサイクルシステム・サイクリングコースの充実化 ・ 鉄道や自家用車利用の来訪者が市内を自転車で快適に巡れるよう、駅や主要観光施設、駐 車場等におけるレンタサイクルステーションの整備、充実を図ります。 ・ また、フリー乗降システム(乗り捨て)や自動化の導入、高齢者等でも移動手段として容 易に活用できる電動アシスト付自転車の導入、安全・安心なサイクリングコースの設定と マップ等による観光情報提供を行います。 ・ また、ヒルクライムレースの開催による自転車ファンへの細やかな対応、例えば、自転車 ハンガーの充実やトイレ看板の設置、その他、さまざまなおもてなしを行います。なお、 近年では、自分の自転車を旅行先に持ち込み、サイクリングを楽しむという新しい旅の形 (サイクルツーリズム)もみられます。このような旅行スタイルに対応するため、快適に 休憩でき、自転車のメンテナンスにも対応したステーションを観光施設や地元商店、コン ビニエンスストアー等との提携により、より一層、整備していきます。 15)観光乗合タクシー・観光タクシーの充実とボンネットバスの活用 ・ 「備中松山城観光乗合タクシー」の充実化やボンネットバスを 有効に活用する方策を検討します。ボンネットバス については JR 備中高梁駅から吹屋ふるさと村への定期便運航について、バ ス事業者と協議を進め、早期実現を目指します。 ・ また、アクション9の観光モデルコースと連携した新たなコー スの設定や、より利用者の満足度を高めるためのサービスの改 良、JR等の他の切符とのタイアップ強化等を行っていきます。 ・ さらに、観光タクシーの利用者などにアンケート調査を行い、 その検証結果を基に観光客の利便性をより充実させます。 16)(仮)高梁めぐりパスポートの発行 ・ 市内の周遊観光を促進することを目的に、スタンプラリー等の仕組みを盛り込み、市内を 回遊していただいた来訪者には特典を設けた、例えば「(仮)高梁めぐりパスポート」の発 行について検討します。発行の検討にあたっては、観光乗合タクシー等の交通機関の割引 乗車券や旅行商品と組み合わせることも考えていきます。 - 27 - 基本戦略① 個々の魅力づくりと 受入れ体制づくり 基本戦略② 基本戦略③ 地域間連携と ネットワーク化 交通環境整備と 快適回遊の実現 基本戦略④ 一元的な情報発信と プロモーション 戦略プロジェクト⑦:快適回遊のための道路環境づくり <趣旨・ねらい> 自家用車やレンタカーで市内を巡る旅行者が、迷わず安全に目的地まで到達できるよう、 統一の観光案内看板の整備等、必要な道路環境づくりを行います。 また、平成 22 年 11 月に認定を受けた「高梁市歴史的風致維持向上計画」等と連携し、歴 史的な町並み景観を生かしながら、安全・快適な巡り歩き環境を整えていきます。 <具体的アクション> 17)地域を安心して巡れる道路環境づくり ・ 自家用車やレンタカーで、市内の各地域を迷わず安心して巡れるよう、分かりやすい統一 の観光案内看板(サイン)の設置等、必要な環境整備を実施します。 ・ サイン整備については、専門的な見地を踏まえた現調査を行い、計画を策定します。 18)安全・快適な巡り歩き環境づくり ・ 高梁地区や吹屋地区等において、安心してゆったりとまち歩きを楽しめるよう、時期・時 間帯や通行目的等を限定した車両交通規制の導入や、周辺部における駐車場の確保等につ いて検討します。 ・ ハード面の整備にあたっては、平成 22 年 11 月に認定を受けた「高梁市歴史的風致維持向 上計画」等と連携し、歴史的な町並み景観を生かした舗装整備や無電柱化の検討について 積極的に参画していきます。 ・ また、観光案内サインについては、国土交通省(観光庁)が進める「観光地等における案 内表示等の多言語化」を参考に、外国人観光客への対応も進めます。 - 28 - 基本戦略① 個々の魅力づくりと 受入れ体制づくり 基本戦略② 基本戦略③ 地域間連携と ネットワーク化 交通環境整備と 快適回遊の実現 基本戦略④ 一元的な情報発信と プロモーション 戦略プロジェクト⑧:情報の受発信の充実化 <趣旨・ねらい> インターネットの発達や、個人型の旅行形態の増加により、近年は旅行先の決定や旅行計 画づくりを行う上で、地域観光の情報が掲載されたホームページの役割が大きくなってい ます。一方で地域観光の情報を発信するホームページは様々な主体のものがあり、どのよ うな場合にどのホームページを参考にすればよいか、必ずしも明確になっているとはいえ ない状況にあります。そのため、利用者の立場に立ち、高梁市の観光情報を一元的にまと めたポータルサイトの立ち上げについて、関係団体と協議を行っていきます。 高梁市に何度も訪れてもらえるような“高梁ファン”を開拓・組織化し、このような人を 対象とした特別な情報を発信できるような体制づくりについても検討していきます。 <具体的アクション> 19)ポータルサイトの立ち上げ ・ 高梁市の旬の観光情報を紹介するとともに、既存のホームページや市内の飲食店や観光施 設のページもリンクされたポータルサイトの立ち上げについて、観光協会等関係団体と協 議を行っていきます。情報発信にあたっては、多様な年代のターゲットを想定し、パンフ レット等の紙媒体はもとより、メールマガジンの配信、携帯(スマホ)サイトやツイッター の活用、また、登録した市民による自由な書き込みができるような、市民参加型のサイト 構築等、様々な媒体の活用の可能性を検討します。 ・ また、市職員全員が Web(フェイスブック、ブログ等)を活用し、全員が広報宣伝パーソン となる仕組みを検討します。 20)高梁ファンクラブの組織化 ・ 個人情報保護に配慮しながら来訪者情報を蓄積し、高梁ファンの開拓・組織化を図ってい きます。ファンに特典を設けるなど、再来訪のきっかけづくりや手法の検討を行っていき ます。なお高梁市にゆかりのある人(市民の縁戚、出身者等)は高梁ファンとなる有望な 層であり、高梁ファンとして登録してもらうように、ダイレクトにはたらきかけることも 考えていきます。 ・ 芸能界や経済界等で活躍する高梁市出身者や高 梁にゆかりのある方に「備中高梁伝えたいし!」 を委嘱し全国に高梁を PR していただきます。 ・ また、「伝えたいし!」や都会に出ている高梁出 身者や高梁自慢をしていただける方に「名刺」 を作成し、配布を依頼します。 ・ そして、その名刺を持参して高梁市の観光施設 (「高梁慕情」を歌う歌手の井上由美子さん/中央) を訪れたた方には、入館料を無料とするなど、制度づくりについて研究・検討します。 - 29 - 基本戦略① 個々の魅力づくりと 受入れ体制づくり 基本戦略② 基本戦略③ 地域間連携と ネットワーク化 交通環境整備と 快適回遊の実現 基本戦略④ 一元的な情報発信と プロモーション 戦略プロジェクト⑨:地域イメージの発信・プロモーションの展開 <趣旨・ねらい> 多くの人に高梁市に訪れてもらえるようにするためには、まずは高梁市の魅力を知っても らい、興味を持ってもらえるようなプロモーションを行う必要があります。 そこで、市内各地域の個性ある魅力・イメージを積極的に発信するとともに、それを束ね るような形での一元的なプロモーションを展開していきます。 <具体的アクション> 21)各地域の個性ある魅力・イメージの積極的な発信 ・ 高梁市内の各地域には、備中松山城や武家屋敷の歴史的町並みが残る高梁地区、ベンガラ によって発展し、国の重要伝統的建造物郡保存地区に選定されている吹屋地区、農村型リ ゾート地の宇治地区など、それぞれ個性的な魅力、イメージがあります。そのため、 「高 梁市」として一括りのイメージをつくるよりも、これまでの取り組み、地域イメージを継 承し、個別の地域の魅力を訴求していくことが効果的となります。 ・ そのため、情報発信・PRにあたっては、各地区の魅力が鮮明になるよう、それぞれの地 区の個性を前面に出していくことを基本とします。 22)市全体のプロモーション展開 ・ 各地域の魅力・イメージの発信とともに、高梁市の認知度を高め、魅力を知ってもらうた めの戦略的なプロモーション活動を展開します。 ・ 具体的には、高梁市全体のプロモーション活動を担う組織を一元化し、JR西日本と連携 したPR活動、TV番組や旅行雑誌等への積極的な観光情報のリリース、たかはしフィル ムコミッションとの連携活動等を実施していきます。 ・ 観光プロモーションビデオ等をの制作し、旅行エージェントや出版社、テレビ局等への売 り込みなどを積極的に行います。 ■市内における先行的取り組み たかはしフィルムコミッションの取り組み たかはしフィルムコミッションで は、ホームページによるロケ地情報の 提供や、映画・CM等、各種ロケーシ ョンの手伝い等の活動を行っている。 また、 「こども映画塾-方谷さんを探そ う-」や「映画『バッテリー』ロケ地 巡りツアーin たかはし」など、映画に 係るイベントも開催している。 - 30 - 基本戦略① 個々の魅力づくりと 受入れ体制づくり 基本戦略② 基本戦略③ 地域間連携と ネットワーク化 交通環境整備と 快適回遊の実現 基本戦略④ 一元的な情報発信と プロモーション 戦略プロジェクト⑩:品質管理の徹底と気品ある地域づくり <趣旨・ねらい> 顧客満足度を高め、リピーターを確保していくためには、定期的な顧客満足度調査を行い、 過去の調査結果との比較から傾向を把握し、必要な改善対応を図っていくことが重要とな ります。また、旅行者から寄せられるクレーム情報には、改善へのヒントが数多く含まれ ています。そのため、定期的なアンケート調査の実施やクレーム情報の一元管理を行い、 観光地として品質管理を徹底していきます。 また、各地域での取り組みをトータル的にマネジメントできるような人材育成や専門家と の連携体制づくりを推進していきます。 <具体的アクション> 23)定期的な顧客満足度調査の実施 ・ 顧客満足度を高め、リピーターを確保していくための必要な対策等を検討するため、平成 21 年に実施したアンケート調査のような定期的な顧客満足度調査を実施し、 観光入込数等 の客観的データと照らし合わせながら、取り組みの効果と必要な改善点を検証します。 (顧客満足度調査での主な把握事項) 属性(年代、性別、居住地)/旅行形態(個人、団体等)/同行者タイプ(家族、友人 等)これまでの来訪経験/観光行動・主な来訪先/予定滞在時間/地域内予定消費額 満足度(来訪前の期待、来訪後の実感を点数で把握) 24)クレーム情報の一元管理・共有化と的確な対応の実施 ・ アンケートやホームページへの書き込み等、積極的にクレーム情報を集め、関係者で共有 するとともに、その改善を図っていきます。また、個人や地域としての心のこもった事後 対応を徹底することで、ご意見をいただいた方を高梁ファンとして取り込んでいけるよう にしていきます。 ・ そのために、観光協会を始め JR、バス、タクシー、観光施設、宿泊施設、地域住民情報と 連携を図りながらクレーム情報の一元管理・共有化と的確な対応を実施します。 25)各種取り組みをマネジメントする人材の育成・登用 ・ 観光まちづくりの取り組みを継続していく上では、客観的な視点で地域の現状を把握し、 マネジメントの基本要素とされる(a)工程管理、(b)品質管理、(c)予算管理、(d)危機管理 の4つを総合的に担う人材が必要になります。そこで、このような役割を担う人材を見出 し、さらに育成し、登用を図っていくことについて、積極的に検討していきます。 ・ また、専門的な知識と多様な経験をもち、客観的な視点で地域を評価しながら、今後の方 向性を示唆することができるような専門家との連携体制づくりについても検討を行いま す。 - 31 - 5-2 具体的アクションと達成目標との関係 第2章(2)アクションプランの達成目標で示したように、本アクションプランでは、 以下の目標の達成を目指しています。 観光客数の持続的拡大(新規顧客の獲得) ②顧客満足度の向上とリピーターの獲得 ③地域内滞在時間の延長 ① ④ 消費拡大による市内経済効果の向上 次頁は、10の戦略プロジェクトと25の具体的アクションが①~④のどの目標達成に 効果をもたらすものかを示しています。ただし①~④自体が相互に関連して実現されるもので あり、そのため各アクションは何らかの形で上記目標に効果を及ぼすとも捉えることができま す。 いずれにしても、25の具体的アクションの一つひとつを とする姿を 達成していくことが重要です。 - 32 - 着実に取り組み、目標