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木星からの電波であることの検証
木星からの電波であることの検証 L- バースト S- バースト 木星電波の特徴 信 木星の電波には L- バーストと S- バーストと呼ばれる2種類がある。S- バースト 号 は微小時間で周波数が急激に変化する電波である。特に、周波数が約 0.01 0.1 秒の の 間で数 MHz 減少する現象をドリフト現象という。一方、L- バーストは時間変化と 強 ともに穏やかに増加していく電波信号である。信号の強さが S- バーストに比べて弱 さ 時間 (NASA radio project より) 2つの図を比較すると く、他のノイズにかき消されることがある。加えて、目立つ特徴もないので非常に 観測しずらい電波である。 よって、木星からの電波であるかどうか判断するためには S- バーストを使用する。 観測したデータを解析し、下記のようなスペクトログラム図に変換したとき、図の 信号の強さが大きく異なり、時間における変化量の違いが見て取れる ようなドリフト現象が見られれば木星からの電波である可能性が高い。 木星の電波とノイズの比較 スペクトログラムとは信号成分の強さ、時間、周波数の三つで表される、三次元のグラフである (下の図は、縦軸:周波数 横軸:時間 信号の強さ:白線の濃さ) 木星 ノイズ 周 波 数 出典 Reference : V.B.Riabov (2007) (6月 23 日観測のデータ) Jupiter S-burst: Narrow-band origin of microsecond subpulses. 斜め下方に向かって伸びるドリフト現象の ラジオなどの人工物のものは 白線がたくさんあるのが分かる 真っ直ぐの直線になる ドリフト率 周波数解析 レシーバで受信したデータを1秒ごとのスペクトログラムを IDL を使っ ドリフト率とは信号の周波数が1秒の間にどれだけ変化するかを示す値であり て作成する。レシーバで受信したデータは5分ごとに記録されているため 以下の式で求めることができる。 1つのデータに対して 300 枚のスペクトログラムが作成される。そして、 作成されたスペクトログラムを1枚1枚見て、その中から木星の電波が持 Drift Rate = つ特徴の S- バーストの際に生じる、ドリフト現象がないかを見つける。 受信した時系列データ 振 幅 過去のデータと照らし合わせ検証 時間 スペクトログラム化 周 波 数 出典 P.Zarka, GEOPHYSICAL RESEACH LETTERS, VOL.23, NO.2, pp.125-128 ,JANUARY 15 , 1996 ドリフト率分布図 赤い点が10月28日に観測したデータのドリフト率 時間 黒い点線の間にドリフト率が集まると木星電波の可能性が高い