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24時間クロノビデオ
幼児はテレビをどう見ているか ~ 2012 年 6 月「幼児視聴率調査」から~ 世論調査部 関根智江 2012 年 6月に実施した「幼児視聴率調査」の結果から,幼児のテレビ視聴の現状について報告する。調査は, 東京 30 キロ圏に住む2 ~ 6 歳の幼児 1,000人を調査相手として,6月11日(月)~ 6月17日(日)の1 週間実施した。 幼児が 1日にテレビを見る時間は 1 時間 53 分(週平均)で,前年(2 時間 7分)よりも減少した。視聴の減少は夕 方から夜間にかけての時間帯で,特に民放の下降が大きい。この背景として本調査からは,ビデオの再生時間が やや増加したことと,短時間視聴の母親が増加したことが考えられる。 調査をした1 週間に,少しでもその局を見た割合(週間接触者率)をみると,Eテレは 72.6%と最も高く,次いで フジテレビ,NTV,テレビ朝日となっている。前年と比べると,総合テレビは増加し,E テレ,TBS,フジテレビ, テレビ朝日,テレビ東京は減少した。 幼児がテレビをよく見る時間帯は朝と夕方から夜にかけてで,番組では「サザエさん」「ちびまる子ちゃん」など民 放のアニメ番組や,「おかあさんといっしょ」 「みいつけた!」などEテレの幼児向け番組がよく見られた。 はじめに 1.テレビ視聴状況 2012(平成 24)年 6月「全国個人視 聴率 調 1) 査」 (対象は全国 7 歳以上) と同時期に実施し た「幼児視聴率調査」の結果を報告する。 調査は 6月11日 (月) ~ 6月17日 (日)の1 週間, (1)テレビ視聴時間が2時間を切り減少 今回,2 ~ 6 歳の幼児のテレビ総計の視聴 時間は,週平均 1日あたり1 時間 53 分で,前 年(2 時間 7 分)よりも減 少した(図 1)。これ 東京 30 キロ圏に住む2 ~ 6 歳(就学前)を対象 までの長期的な推移をみると,幼児のテレビ に実施した。住民基本台帳から層化無作為2 視聴時間は 1998 年(2 時間 43 分)から漸 減 段抽出した幼児 1,000人(10人×100 地点)に郵 し,2007 年には 2 時間になった。2008 年以 送法(15 分単位日記式,保護者による代理記 後は,そのまま 2 時間程度の水準で推移して 入)で行い,有効数は 594人(有効率 59.4%) いたが,今 年初めて 2 時間を切り,これまで であった。 で最も短い。 有効サンプルの構成は表 1 のとおりである。 NHK・民放別には,NHK 総計 51分(前年 なお,回答者(幼児の世話を最もよくしている 54 分)に対し,民放総計は 1 時間 2 分(前年 1 保護者に依頼)の 97%は母親であるため,以 時間 14 分)であり,前年と比べると主に民放 下の本文では保護者のことを母親と表記する。 総計が減少傾向にある。NHK 総計の内訳を みると,総合 7分,E テレ43 分,衛星計1分で 42 OCTOBER 2012 表 1 サンプル構成 全体 男 女 2歳 3歳 4歳 5・6 歳 保育園児 594 人 100.0% 289 48.7 305 51.3 120 20.2 148 24.9 141 23.7 185 31.1 179 30.1 296 49.8 2) 不明 116 19.5 3 0.5 図 1 テレビ視聴時間の推移(1 日,週平均) 時間:分 3:00 2:43 2:42 2:25 2:00 1:30 1:00 0:54 0:00 幼稚園児 未就園児 97 2:36 2:34 2:34 2:29 2:19 2:15 1:46 1:00 98 1:38 1:04 1:34 1:02 99 00 1:33 1:03 01 1:37 0:57 02 1:33 0:56 03 1:31 1:24 * (04) 0:50 0:48 05 06 テレビ総計 2:00 2:07 2:07 2:05 2:07 1:19 1:20 1:18 1:15 1:14 民放総計 1:02 0:47 0:49 0:51 0:54 08 09 10 11 0:41 07 1:53 0:51 NHK総計** 12年 * 2004年は「幼児視聴率調査」を実施していない **2008~2010年 NHK総計中,BSはBS1・BS2・BSハイビジョンの3波 2011年〜はBS1・BSプレミアムの2波 表 2 NHK・民放別平均視聴時間(週平均) 10 年 11 年 12 年 10 年 民放総計 11 年 12 年 10 年 テレビ総計 11 年 12 年 NHK 総計 全体 0:51 0:54 0:51 1:15 1:14 1:02 2:05 2:07 1:53 男 0:50 0:51 0:49 1:19 1:13 0:59 2:09 2:04 1:48 女 0:51 0:55 0:54 1:11 1:15 1:04 2:02 2:09 1:56 2歳 0:59 0:58 1:00 1:07 1:10 0:58 2:07 2:08 1:57 (時間:分) 3歳 0:59 0:58 0:54 1:02 1:14 0:54 2:01 2:12 1:47 4歳 0:47 0:59 0:49 1:13 1:10 0:57 1:59 2:10 1:46 表 3 曜日別男女年齢別平均視聴時間(テレビ総計) 平日 土曜 日曜 12 年 1:54 1:46 1:54 全体 11 年 2:07 1:55 2:23 00 年 2:07 2:00 2:05 5・6 歳 0:42 0:39 0:44 1:31 1:20 1:14 2:13 1:59 1:59 (時間:分) 男 女 2歳 3歳 4歳 5・6 歳 1:48 1:46 1:53 1:59 1:46 1:54 2:03 1:45 1:44 1:49 1:39 1:46 1:51 1:32 1:38 1:53 2:03 2:19 ある。幼児の場合,NHK 視聴の大半が E テ 4 歳が 49 分,5・6 歳が 44 分と,年齢が上がる レに充てられている。 につれて短くなっている。一方,民放総計は 5・ 性別・年齢別にテレビ総計の視聴時間をみ 6 歳が 1 時間14 分と他の年齢よりも長めである。 てみる(表 2)。前年と比べると統計的な差は このNHK・民放別の年齢による視聴時間の長 みられないが,3 歳と4 歳で視聴時間の減少幅 短の傾向は,これまでと同様である。 がやや大きい。NHK・民放別にみると,NHK 総計の視聴時間は 2 歳が 1 時間,3 歳が 54 分, 次に,曜日別のテレビ総計の視聴時間をみ ると(表 3),平日と日曜は 1 時間 54 分,土曜 OCTOBER 2012 43 (2)よく見るチャンネルは E テレ はやや短く1 時間 46 分であったが,今年は前 年に比べて,日曜の視聴時間がやや短い。年 次に,調査を実施した 1 週間に,少しでも (15 齢別にみると,2 歳は平日に 2 時間を超えてい 分以上)その局を見た幼児の割合(週間接触 るが,5・6 歳は土曜と日曜に 2 時間を超えてい 者率)をみてみる(表 4)。E テレは 72.6%と最 る。これは,2 歳児が平日の E テレの帯番 組 も高く,次いでフジテレビ,NTV,テレビ朝日 をよく見ているのに対し,5・6 歳児は土曜・日 である。年齢別にみると,E テレは 2 歳で 80% 曜の民放人気アニメなどをよく見ていることに と高く,3 歳と4 歳でも他局に比べ高い水準で よる。 よく見られている。5・6 歳になると,NTV・フ 曜日別 NHK・民放別の視聴時間は図 2 のと ジテレビ・テレビ朝日・テレビ東京の週間接触 おりである。平日は NHK 総計と民放 総計が 者率が 6 割台に増え,E テレに並んでいる。 1 時間ほどと同程度であるが,土曜・日曜は 各 局 の 週 間 接 触 者 率を前年と比べ ると, NHK が減り民 放 が 増え, 日曜は NHK 総 計 総合は前年よりも増加したが,E テレ・朝日・ 16 分に対して,民放総計1 時間 38 分と,両者 TBS・東京・フジは前年よりも減 少している ( 表 5)。 各局の週間接触者率を2000 年ごろ の差が大きい。 表 4 局別週間接触者率(年齢別) 図 2 曜日別 NHK・民放別の平均視聴時間 (時:分) 民放総計 NHK 総計 1:00 平日 土曜 0:54 0:40 1:54 1:06 日曜 0:16 テレビ総計 1:46 1:54 1:38 (%) 全体 2歳 3歳 4歳 5・6 歳 NHK 全体 82.0 87 80 82 80 総合 29.5 26 31 21 37 E テレ 72.6 80 68 77 68 NTV 57.6 57 49 53 69 朝日 57.2 50 49 58 68 TBS 27.8 32 30 24 27 東京 46.5 34 34 47 64 フジ 63.5 61 62 60 69 表 5 局別週間接触者率の推移 (%) 2000 01 02 03 05 06 07 08 09 2010 11 12 年 総合 35 32 38 30 28 29 24 30 24 25 24 30 E テレ 90 85 89 88 84 78 80 80 81 77 81 73 NTV 71 64 69 71 62 65 57 54 54 55 54 58 朝日 80 82 80 79 78 75 69 66 71 62 69 57 TBS 59 60 66 54 54 58 44 47 39 37 34 28 東京 86 83 82 78 75 68 61 63 66 59 55 47 フジ 72 81 79 79 75 74 74 77 76 67 69 64 (整数値で比較) 44 OCTOBER 2012 表 6 局別時間帯別平均視聴率(週平均) 時間帯 * 総合 Eテレ NTV 朝日 (%) TBS 東京 フジ 10 11 12 10 11 12 10 11 12 10 11 12 10 11 12 10 11 12 10 11 12 年 午前 0.4 0.3 0.9 5.9 6.9 6.2 0.8 0.8 1.2 0.7 1.1 0.6 0.4 0.4 0.4 1.7 1.2 0.8 1.3 1.0 1.0 午後 0.2 0.2 0.2 4.1 4.2 3.4 0.5 0.7 0.6 0.2 0.2 0.2 0.2 0.3 0.2 0.2 0.1 0.1 0.7 0.6 0.4 夜間 0.6 0.5 0.7 1.6 1.5 1.4 2.2 2.6 2.2 1.8 1.9 2.0 1.0 1.0 0.5 2.4 1.6 1.5 3.3 3.7 2.9 1日 0.4 0.3 0.6 4.0 4.3 3.8 1.1 1.3 1.3 0.9 1.1 0.9 0.5 0.6 0.3 1.4 1.0 0.8 1.7 1.7 1.4 * 午前:前 5:00 ~後 0:00 午後:後 0:00 ~後 6:00 夜間:後 6:00 ~前 0:00 1 日:前 5:00 ~前 0:00 の水準と比べると,いずれの局も減少しており, 図 3 テレビ総計 30 分ごとの平均視聴率(平日) 2011 年 2012 年 半減,東京は 86%から47%と減少幅が大きい。 0.1 0.1 Eテレは 2006 年以降は 8 割前後の水準で推移 0.3 0.2 1.3 2.0 8.6 10.9 29.5 29.3 40.7 40.5 42.3 42.7 26.4 24.3 NHK・民放各局の平均視聴率(表 6)をみる 7.3 6.3 と,Eテレは1日の平均で 3.8%と最もよく見ら 2.5 2.3 1.3 1.1 れ,特に午前(6.2%)・午後(3.4%)がよく見 0.8 1.0 られている。一方,夜間ではフジがよく見られ, 0.8 0.6 0.9 0.8 2.4 2.4 3.0 2.7 2.1 1.7 1.4 1.0 特にTBS は 2000 年 59%から2012 年は 28%と していたが,今年は減少した。また,NTVは 2008 年以降は横ばいだったが,今年はやや上 向いており(58%) ,他局と動きが異なる。 次いで NTV,朝日も2%台とよく見られている。 各局・時間帯とも,前年・前々年と比べて統計 的に有意な変化はないが,午前は総合が高め 前5 6 7 8 9 10 11 後0 1 2 1.1 0.4 で,朝日と東京が低め,夜間は TBSと東京が 1.6 0.7 低めである。 1.9 0.9 2.3 2.4 11.8 10.8 17.6 15.1 22.3 19.1 25.9 21.2 26.1 22.3 ごとに時間を追って平均視聴率をグラフ化した 26.7 21.9 ものが図 3 である。幼児がテレビをよく見てい 36.2 32.1 30.8 27.2 る時間は,午前 7 時~ 9 時までと,午後 4 時~ 15.6 13.3 9 時までである。この時間帯は,朝夕ともに幼 13.7 10.9 7.0 4.6 4.5 3.5 2.0 1.4 されており,この視聴傾向はこれまでと変わら 1.2 1.0 ない。 0.3 0.1 11 0.2 0.1 時 (3)平日は夕方から夜間にかけて減少 幼児の平日1日のテレビの視聴状況を,30 分 児・子ども向けの番組やアニメ番組などが放送 前年と比べると,夕方から夜間にかけての 2011年 2012年 3 4 5 6 7 8 9 10 0 10 20 30 40 OCTOBER 2012 50 % 45 視聴率がやや低めに推移しており,午後 6 時 (4)よく見られている「サザエさん」 台後半の視聴率が有意に減少した。局別にみ NHK・民放全体で幼児によく見られた番組 ると,午後 4 時~ 6 時までは E テレが減少,午 は,フジテレビ「サザエさん」 (33.6%),E テ 後 6 時以降は民放各局が少しずつ減少傾向に レ「おかあさんといっしょ」 (32.7%),フジテ ある。 レビ「ちびまる子ちゃん」 (28.8%)などであり, トップ 3 の 番 組は前年と変わらない( 表 7)。 表 7 NHK・民放でよく見られている番組 (放送時間 10 分以上) 曜日 放送時刻 局 日 後 6:30 フジ 番組名 サザエさん (%) 視聴率 ライダー」 「プリキュア」が上位 10 番 組の中に 33.6 入っていたが,今年は全米ゴルフ中継で放送 火 前 8:01 Eテレ # おかあさんといっしょ 32.7 日 後 6:00 28.8 フジ ちびまる子ちゃん 昨年は,テレビ朝日の日曜午前 8 時台「仮面 休止のため,代わりに E テレの土曜午前 8 時 火 前 7:45 Eテレ # みいつけた! 28.5 台の「クインテット」 「おかあさんといっしょ土 金 後 7:00 ドラえもん 28.1 土 前 8:35 Eテレ アニメ おさるのジョージ 27.8 曜日」が入っている。各番組視聴率をみると, 土 前 8:25 Eテレ クインテット 26.8 朝日 木 前 8:25 Eテレ # いないいないばあっ! 25.1 土 前 8:00 Eテレ おかあさんといっしょ土曜日 25.0 金 後 7:30 クレヨンしんちゃん 24.5 朝日 前年に比べ全体的にやや低めである。 (5)2・3 歳でよく見られている E テレ 年齢別によく見られた番組を比べたのが表 8 #は帯番組で視聴率が最も高い曜日の数値(以下同様) (放送時間 10 分以上) 表 8 NHK・民放全体でよく見られている番組(年齢別) 2歳 曜日 木 火 土 土 月金 土 火 火 火 金 日 放送時刻 前 8:01 前 8:25 前 8:25 前 8:35 前 7:45 前 8:00 後 5:30 後 5:40 後 5:50 後 7:00 後 6:30 局 Eテレ Eテレ Eテレ Eテレ Eテレ Eテレ Eテレ Eテレ Eテレ 朝日 フジ 曜日 水 土 日 土 火 金 水 土 日 金 火 放送時刻 前 8:01 前 8:35 後 6:30 前 8:25 前 7:45 後 7:00 前 8:25 前 8:00 後 6:00 後 7:30 前 7:30 局 Eテレ Eテレ フジ Eテレ Eテレ 朝日 Eテレ Eテレ フジ 朝日 Eテレ 視聴率 番組名 # おかあさんといっしょ 37 # いないいないばあっ! 33 クインテット 31 アニメ おさるのジョージ 31 # みいつけた! 30 おかあさんといっしょ土曜日 29 # アニメ はなかっぱ 28 # クッキンアイドル アイ!マイ!まいん! 28 # フックブックロー 28 ドラえもん 28 サザエさん 28 曜日 火 火 日 日 土 土 火 土 火 水 放送時刻 前 8:01 前 7:45 後 6:30 後 6:00 前 8:00 前 8:25 前 7:30 前 8:35 後 5:50 後 5:30 局 Eテレ Eテレ フジ フジ Eテレ Eテレ Eテレ Eテレ Eテレ Eテレ 曜日 日 日 金 火 金 火 金 土 日 土 放送時刻 後 6:30 後 6:00 後 7:00 前 8:01 後 7:30 前 7:45 前 7:30 前 8:35 前 7:30 前 8:25 5・6 歳 局 番組名 フジ サザエさん フジ ちびまる子ちゃん 朝日 ドラえもん Eテレ # おかあさんといっしょ 朝日 クレヨンしんちゃん Eテレ # みいつけた! Eテレ # にほんごであそぼ Eテレ アニメ おさるのジョージ 朝日 特命戦隊ゴーバスターズ Eテレ クインテット 4歳 # # # # 番組名 視聴率 おかあさんといっしょ 33 アニメ おさるのジョージ 31 サザエさん 30 クインテット 29 みいつけた! 28 ドラえもん 28 いないいないばあっ! 27 おかあさんといっしょ土曜日 26 ちびまる子ちゃん 26 クレヨンしんちゃん 25 にほんごであそぼ 23 (%) 3歳 番組名 視聴率 # おかあさんといっしょ 33 # みいつけた! 28 サザエさん 28 ちびまる子ちゃん 28 おかあさんといっしょ土曜日 27 クインテット 25 # にほんごであそぼ 24 アニメ おさるのジョージ 24 # フックブックロー 24 # アニメ はなかっぱ 24 視聴率 44 37 34 31 30 29 27 26 26 24 ■ Eテレの番組 46 OCTOBER 2012 である。2 歳・3 歳は朝と夕方のEテレの番組を 期に実施した「全国個人視聴率調査」でもこれ よく見ている。年齢が上がるにつれて民放の番 らのバラエティ番組の視聴率は高く,幼児も家 組が増え,5・6 歳では10 番組中5 番組が民放 族と一緒に視聴している様子がうかがえる 3)。 の番組になる。この傾向はこれまでと同様であ る。すべての年齢でよく見られている番組は,E テレでは「おかあさんといっしょ」 「みいつけた!」 「アニメ おさるのジョージ」 「クインテット」 ,民 放ではフジテレビの「サザエさん」である。 (6)アニメなど人気番組に視聴が集中 2. NHK テレビの視聴状況 (1)朝 8 時台の番組が好調 Eテレでよく見られた番組は表 10 のとおりで ある。 「おかあさんといっしょ」 「みいつけた!」 「ア ニメ おさるのジョージ」など平日・土曜の朝 続いて,夕方から夜間にかけての民放の主 の番組が並び,上位 7 番組を占める。このほか な番組の視聴率をみてみる(表 9) 。フジテレビ 「アニメ はなかっぱ」など,平日午後 5 時台の の「サザエさん」 「ちびまる子ちゃん」や,テレビ 番組が 3 本入っている。これら上位 10 番組のラ 朝日の「ドラえもん」 「クレヨンしんちゃん」など, インナップは前年と同じであるが,視聴率は全 幼児によく見られているアニメ番組の視聴率は 体的に前年より低めである。 突出して高く,幼児は特定の番組に視聴が集中 総合テレビで最もよく見られた番組は,朝の する傾向がある。また,アニメ以外の番組では, 「連続テレビ小説・梅ちゃん先生」であり,前 フジテレビの「VS嵐」やNTVの「天才!志村ど 年の「おひさま」 (1.9%)と比べ高い。前後の うぶつ園」など,バラエティー番組も4 歳以上で 「NHKニュースおはよう日本・7 時台(L)」と「あ 10%以上と,よく見られている。本調査と同時 さイチ・8 時台」もよく見られている(表 11)。 表 9 夕方・夜間の主な民放の番組 男女年齢別視聴率 曜日 放送時刻 月〜金 後 6:30 月 後 7:00 〃 〃 火 後 6:56 後 7:00 水 後 7:00 〃 後 7:27 木 後 7:00 〃 金 後 4:30 後 7:00 後 7:30 土 後 6:00 後 7:00 〃 日 後 6:00 後 6:30 後 7:00 〃 局 東京 NTV フジ 東京 朝日 NTV フジ 東京 〃 フジ 東京 NTV 朝日 〃 NTV 〃 フジ フジ 〃 NTV フジ 番組名 ピラメキーノ 宝探しアドベンチャー謎解きバトル TORE 2 時間SP ネプリーグ たまごっち! サッカー 2014 FIFA予選 日本 × オーストラリア 火曜サプライズ おじゃマップ イナズマイレブンGOクロノ・ストーン ダンボール戦機W VS嵐 ポケットモンスターベストウイッシュ 最終回 それいけ!アンパンマン ドラえもん クレヨンしんちゃん 名探偵コナン 天才!志村どうぶつ園 リアルスコープZ ちびまる子ちゃん サザエさん ザ!鉄腕!DASH ! ! SP ほこ × たて (%) 全体 男 女 2歳 3歳 4歳 5・6 歳 5.4 6.4 5.4 11.4 6.4 4.6 5.2 9.0 6.5 9.9 13.7 8.2 28.1 24.5 7.5 9.7 5.9 28.8 33.6 7.0 7.4 6 7 4 7 7 4 4 11 9 8 15 7 29 24 8 8 6 27 32 6 7 5 6 6 15 6 6 6 7 4 12 12 9 27 25 7 11 5 31 35 8 8 2 6 5 11 6 4 6 5 4 10 7 15 28 23 5 8 7 22 28 5 8 4 5 4 7 3 6 5 3 2 5 7 7 21 18 7 6 7 28 28 5 7 5 6 7 9 7 3 5 10 7 10 14 8 28 25 6 10 4 26 30 6 3 9 9 5 17 10 5 5 16 11 14 23 5 34 30 11 14 6 37 44 10 11 OCTOBER 2012 47 (2)E テレの幼児・子どもゾーン 表 10 Eテレでよく見られている番組 (放送時間 10 分以上) 曜日 放送時刻 Eテレの平日朝の主な番組の視聴率は表 12 (%) 番組名 視聴率 火 前 8:01 # おかあさんといっしょ 32.7 火 前 7:45 # みいつけた! 28.5 土 前 8:35 アニメ おさるのジョージ 27.8 土 前 8:25 クインテット 26.8 のとおりである。前年度から始まった午前 6 時 台後半の幼児・子ども向け番組は,今年も引き 続き見られている。午前 7 時~の 「シャキーン!」 以降の番組は視聴率が徐々に上がり,7:30 〜 木 前 8:25 # いないいないばあっ! 25.1 8:40 の番組は 20%を超える。8 時台後半になる 土 前 8:00 25.0 と登園のため家を出る幼児も多くなるため,視 火 前 7:30 # にほんごであそぼ 24.1 聴率は下がり,未就園児の多い2 歳で視聴率 火 後 5:30 # アニメ はなかっぱ 20.9 が全体に比べ高くなる。前年と比べると,8:01 火 後 5:40 # クッキンアイドル アイ ! マイ ! まいん ! 20.9 ~の「おかあさんといっしょ」の視聴率はやや低 火 後 5:50 # フックブックロー 20.9 く,続く「いないいないばあっ!」 (8:25 ~)以 おかあさんといっしょ土曜日 降の 8 時台後半の番組は減少している。この 8 表 11 総合テレビでよく見られている番組 (放送時間 10 分以上) (%) 時台後半の他局の視聴状況をみると,総合テ 視聴率 レビの視聴率が前年に比べやや増加しているも 水金 前 8:00 # 連続テレビ小説・梅ちゃん先生 6.4 のの,テレビ総計の視聴率はやや減少してお 金 前 7:45 # NHK ニュースおはよう日本・7時台(L) 4.0 り,テレビが見られなくなっていた。 金 前 8:15 # あさイチ・8 時台 3.6 日 後 7:30 ダーウィンが来た! 3.2 水木 前 7:00 # NHK ニュースおはよう日本・7 時台 3.1 曜日 放送時刻 番組名 土曜の朝の 番 組視 聴 率をみると( 表 13), 平日同様に, 「おかあさんといっしょ土曜日」な ど午前 8 時台の番組が,幅広い年齢によく見 表 12 平日・朝の主な E テレの番組・男女年齢別視聴率 ( )は前年の同番組の視聴率,〈 〉は前年の同時間帯の番組視聴率(以下同様) (%) 放送時刻 番組名 男 女 2歳 3歳 4歳 5・6 歳 前 6:35 フックブックロー 3.2 (2.5) 2 4 5 2 3 3 前 6:45 クッキンアイドル アイ!マイ!まいん! 6.1 (6.1) 6 7 7 7 5 5 前 6:55 Eテレ0655 全体 6.1 (6.1) 6 7 7 7 5 5 前 7:00 シャキーン! 14.9 (16.2) 15 15 16 16 12 16 前 7:15 アニメ はなかっぱ 18.1 (21.0) 18 19 17 20 15 20 前 7:25 ピタゴラスイッチ ミニ 18.1 (21.0) 18 19 17 20 15 20 前 7:30 にほんごであそぼ 21.9 (23.6) 21 23 23 22 19 24 前 7:40 アニメ うっかりペネロペ 21.9 〈23.6〉* 21 23 23 22 19 24 前 7:45 みいつけた! 26.4 (28.7) 25 28 28 26 25 26 前 8:01 おかあさんといっしょ 30.9 (36.1) 28 33 34 31 31 29 前 8:25 いないいないばあっ! 24.4 (30.5) 23 26 31 22 24 23 前 8:40 プチプチ・アニメ 21.3 (27.8) 20 22 29 18 21 20 前 8:45 えいごであそぼ 13.7 (18.4) 12 15 20 12 12 13 前 8:55 てれび絵本 13.7 (18.4) 12 15 20 12 12 13 *前年は「アニメ リタとナントカ」 48 OCTOBER 2012 ■ は全体より統計的に高い,■ は低い(以下同様) 表 13 土曜・朝の主な E テレの番組・男女年齢別視聴率 放送時刻 番組名 全体 男 女 (%) 2歳 3歳 4歳 5・6 歳 前 7:00 デザインあ 4.9 (6.7) 5 5 3 5 4 前 7:15 モリゾー・キッコロ 森へいこうよ! 5.7 (8.8) 7 5 3 5 5 7 8 前 7:30 つくってあそぼ 10.4 (11.8) 12 9 6 10 12 12 前 7:45 ピタゴラスイッチ 12.1 〈11.9〉* 15 10 10 11 16 12 前 8:00 おかあさんといっしょ土曜日 25.0 (23.8) 24 26 29 27 26 20 前 8:25 クインテット 26.8 (26.4) 26 28 31 25 29 24 前 8:35 アニメ おさるのジョージ 27.8 (27.8) 27 29 31 24 31 26 前 9:00 アニメ ひつじのショーン 15.0 (7.9) 17 14 18 11 18 14 2歳 3歳 4歳 5・6 歳 * 前年は「しぜんとあそぼ」 表 14 日曜・朝の主な E テレの番組・男女年齢別視聴率 放送時刻 番組名 全体 男 女 (%) 前 7:00 きかんしゃトーマス 8.0 〈4.8〉* 10 6 10 11 6 6 前 7:25 みいつけた!さん 6.6 (6.0) 6 7 9 8 6 5 * 前年は「ペンギンズ2」前7:00〜7:25 られている。前年と比べると, 「モリゾー・キッ お「全国個人視聴率調査」では, 「きかんしゃ コロ 森へいこうよ!」は視聴率が減少し, 「ア トーマス」の男7 ~ 12 歳の視聴率は 0%と,前 ニメ ひつじのショーン」は増加している。 年の「ペンギンズ2」 (6%)よりも減少した。 「ペ 2010 年に新設された日曜午前 7 時台の幼児・ ンギンズ2」は小学生に, 「きかんしゃトーマス」 子どもゾーンも,引き続き好調である。 「きかん は幼児によく見られており,同じ時間帯でも番 しゃトーマス」と「みいつけた!さん」は,とも 組の内容によって,視聴の年齢層が微妙に変 に前年より視聴率が増加している(表 14)。な 化し,視聴者が替わる動きも早い。 表 15 平日・夕方の主な E テレの番組・男女年齢別視聴率 放送時刻 番組名 全体 男 女 (%) 2歳 3歳 4歳 5・6 歳 後 4:00 みんなのうた 7.4 〈8.3〉* 7 8 11 7 9 5 後 4:05 えいごであそぼ 7.4 (8.3) 7 8 11 7 9 5 後 4:15 つくってワクワク 8.6 (10.6) 7 10 14 8 10 5 後 4:20 いないいないばあっ! 9.8 (11.7) 9 11 15 10 11 5 後 4:36 おかあさんといっしょ 11.0 (13.2) 10 13 16 11 13 6 後 5:00 みいつけた! 14.9 (18.9) 14 16 18 15 18 10 後 5:15 にほんごであそぼ 15.2 (18.9) 14 17 17 16 18 11 後 5:25 ピタゴラスイッチ ミニ 15.2 (18.9) 14 17 17 16 18 11 後 5:30 アニメ はなかっぱ 16.7 (21.9) 15 19 18 20 18 12 後 5:40 クッキンアイドル アイ!マイ!まいん! 16.6 (21.5) 15 18 19 20 18 12 後 5:50 フックブックロー 16.6 (21.1) 16 17 19 20 17 12 後 6:00 アニメ おじゃる丸 13.8 (15.5) 15 13 14 15 16 11 後 6:10 アニメ 忍たま乱太郎 12.7 (14.2) 14 12 13 14 15 10 7.7 (9.9) 7 8 9 7 9 7 後 6:20 (月~木)大!天才てれびくん * 前年は「プチプチ・アニメ」 OCTOBER 2012 49 Eテレの平日夕方の主な番組視聴率をみる 29%まで減少した。一方,視聴時間が 2 時間 と,午後 4 時から徐々に視聴率が増加し,5 時 未 満 の「 短 時 間 」層は,2006 年・2007年 に 台後半の番組がよく見られている(表 15)。年 急増,その後は40%台で推移したが,今年は 齢別の視聴率をみると,5・6 歳では全体よりも 51%と増加した。今年,幼児のテレビ視聴時 やや低い番組が多い。また,前年と比べると 間は前年よりも減少したが,その背景のひとつ 全体的に番組視聴率は低く,5 時台後半の「ア として,この母親の視聴時間の短時間化が考 ニメ はなかっぱ」 「クッキンアイドル アイ!マ えられる。 イ!まいん!」 「フックブックロー」の視聴率は前 ちなみに,母親の視聴時間の短時間化は, 年20%以上であったが,今年は16%台と減少 職業を持つ母親の増加と関わりが深い。 「短時 している。 間」層の割合を職業の有無別に比べてみると, フルタイムの勤務をしている母親は 70%,パー 3. テレビ視聴時間減少の背景 (1)母親の視聴時間との関連 ト・アルバイトの母親は 51%である一方,専業 主婦は44%と,職業を持つ母親の方が「短時 間」層の割合が多い。母親の有職者率をみる これまでの幼児視聴率調査などから,幼児 の視聴時間は,母親の視聴時間やテレビの見 せ方が影響しているという知見が得られてい る。本調査では,母親のふだん1日あたりのテ レビ視聴時間を尋ねているが,今回の結果で と,2008 年・2009 年に増え高い水 準にあり, 視聴時間の短時間化と連動している(図 5)。 (2)幼児の就園状況との関連 幼児のテレビ視聴時間は母親の視聴時間と も,母親の視聴時間が 3 時間以上と長い場合, 関連しているが,就園状況もまた幼児のテレビ 幼児の視聴時間も3 時間1分と長く,母親の視 視聴に影響を与えている。なお,本調査では 聴時間が 2 時間未満と短い場合,幼児の視聴 視聴の定義として,家庭内でのテレビ視聴に限 時間も1 時間18 分と短かった(表 16)。 定しており,幼稚園や保育園での視聴は含まれ 母親の視聴時間の推移をみると(図 4),視 ていない。 聴時間が 3 時間以上の「長時間」層は,2000 幼 稚園・保育園の就 園率は,2006 年以降 年代前半まで40%前後であったが,2007年に 母親の有職者率の増加に沿う形で 2008 年に 8 割を超え,以後 8 割程度の水準で推移してい 表 16 母親の視聴時間別にみた幼児の視聴時間 (テレビ総計,週平均) (時間:分) 全体 は 2006 年ごろから変わらない(4 歳は 95%ほ ど,5・6 歳はほぼ 100%)。2 歳・3 歳の就園率 を2006 年と2012 年で比べると,2 歳は 20%か 10 年 2:05 1:26 2:15 3:07 11 年 2:07 1:23 2:12 3:12 2・3 歳児の増加が全体の就園率を引き上げて 12 年 1:53 1:18 1:57 3:01 いる。就園別の年齢構成をみると(図 6),幼 12 年のサンプル数 50 短時間 中間 長時間 (2 時間未満) (2 ~ 3 時間) (3 時間以上) る(図 5)。年齢別にみると,4 歳以上の就園率 303 人 135 人 OCTOBER 2012 152 人 ら30%,3 歳は 68%から83%と増加しており, 稚園児は 2 歳が少なく,5・6 歳が多い。保育 60 50 図 4 母親の視聴時間の推移 % 40 40 41 39 30 34 35 37 36 20 25 25 40 25 23 40 40 37 34 36 27 24 43 34 35 28 21 47 長時間 (3時間以上) 28 29 27 30 26 27 26 23 23 29 90 80 26 23 中間 (2∼3時間) 10 0 46 短時間 (2時間未満) 51 47 44 44 98 99 00 71 02 03 (04) 05 06 07 08 09 10 69 73 72 75 77 75 72 78 82 83 11 12年 7),平日朝は保育園児が テレビを早い時間から見 始め,保育園児の朝の視 後半である。幼稚園児の 幼児の就園率 81 80 80 台 前 半 で,8 時 ~ 9 時 台 前半の平均視聴率は保育 園児よりも高い。 未 就園 児の朝の視 聴のピークも 50 37 40 25 28 30 29 30 28 30 27 41 母親の有職者率 35 30 38 39 8 時台前半だが,9 時以降 も視 聴しており,昼 12 時 台には視聴の小さな山が ある。 夕方になると, 未 20 就園児と幼稚園児が午後 10 0 の平均視聴率をみると(図 朝の 視 聴のピークは 8 時 60 30 長 い( 表 17)。30 分 ごと 聴のピークは午 前 7 時 台 図 5 母親の有職者率と幼児の就園率の推移 % 70 01 就園児は 2 時間 5 分とやや 4 時ごろからテレビを徐々 98 99 00 01 02 03 (04) 05 06 07 08 09 10 11 12年 の夕方のテレビ視聴は少 図 6 幼稚園児・保育園児・未就園児の年齢別構成 幼稚園児 保育園児 未就園児 2歳 2% 5・6歳 45 3歳 25 4歳 28 4歳 7 5・6歳 29 4歳 27 2歳 16% 3歳 28 に見始めるが,保育園児 ない。幼稚園児と保育園 児の夜間の視聴のピーク 5・6歳 1 はともに 7 時台前半である 3歳 20 2歳 72% が,夜 遅い時間になると 保育園児の方がテレビをよ く見ている。 ベネッセ次世代育成研 園児は 2 歳がやや少なめであるが,各年齢ほぼ 究所が 2010 年に行った調査 4)では,幼稚園児 均等である。未就園児は 3 歳以下が 9 割を占め が朝,家を出る平均時刻は午前 8 時 38 分,家 ている。 に帰る平均時刻は午後 2 時 56 分であるが,保 就園別の年齢構成の違いがあることをふま 育園児は午前 8 時13 分,午後 5 時 44 分と,自 え,テレビ視聴状況をみてみると,就園別の平 宅 外 にいる時 間 が 3 時 間 以 上 長 い。 また, 日1日のテレビ視聴時間は,保育園児が 1 時間 1995 年から2010 年の15 年間で,幼稚園児・保 37分であるのに対し,幼稚園児は 2 時間,未 育園児ともに,園に向けて家を出る時刻は早く OCTOBER 2012 51 なり,家に帰る時刻は遅くなっていると報告し 表 17 就園別・平日の平均視聴時間(テレビ総計) (時間:分) 幼稚園児 保育園児 未就園児 および就園別の生活時間の違いと変化が,テレ 11 年 2:07 2:02 1:51 2:40 ビ視聴に深く関わり,テレビ視聴時間減少の背 12 年 1:54 2:00 1:37 2:05 景のひとつとなっていると考えられる。 4. ビデオ利用状況 図 7 テレビ総計の 30 分ごとの平均視聴率 (就園別 平日) (1)ビデオ再生時間は前年よりやや増加 幼稚 保育 未就 園児 園児 園児 0 0 1 前5 0 0 0 2 3 2 10 15 8 29 36 20 44 42 29 50 29 45 27 12 36 6 2 16 1 1 8 1 1 4 0 1 3 0 0 2 0 0 3 1 1 8 2 1 10 1 0 5 1 0 3 0 0 1 1 0 2 2 0 1 ここまで,テレビ視聴状況を紹介してきたが, 最後にビデオの利用状況をみていく。 調査では,テレビ視聴状況とともに,ビデオ 6 の再生視聴も同様に記入してもらっている。こ 7 のビデオの再生視聴は,録画番組と市販のビ 8 デオやDVDなどを合わせている。調査をした 9 1 週間に少しでもビデオを見た幼児は,全体の 81.6%で,前年(81.2%)と変わらない。 10 1日あたりのビデオ再生時間(所有していな 11 い幼児も含めた)は 46 分で,前年(40 分)より 後0 幼稚園児 もやや増えた。年齢別にみると(表 18),2 歳 1 保育園児 58 分,3 歳 48 分,4 歳 44 分,5・6 歳 36 分 と, 未就園児 2 歳が最も長く,年齢が上がるにつれて短くな 2 る。 3 4 0 3 13 1 21 18 3 27 23 8 26 25 13 25 24 20 22 23 23 18 35 32 25 29 29 20 12 18 9 9 16 9 3 7 4 2 6 3 1 3 2 1 2 1 0 0 0 11 0 0 0 時 曜日別にビデオ再生時間をみると,最も長い 4 のが土曜 1 時間 4 分で,日曜は 51分,平日は41 5 分である。曜日別のビデオ再生時間とテレビ視 6 聴時間を並べたのが図 8 である。土曜はテレビ 視聴時間が短いものの,ビデオ再生時間が長 7 く,トータルの視聴時間も長い。 8 ビデオ再生時間とテレビ視聴時間の推移をみ 9 ると(図 9),ビデオ再 生は 2002 年以降 40 分 弱で推移していたが,今年は46 分とやや増加, 10 これに対してテレビ視聴時間は前年に比べ減少 した。テレビの減少分の一部がビデオ視聴に 0 52 ている。幼児,特に 2・3 歳児の就園率の増加, 全体 10 20 30 OCTOBER 2012 40 50 % 充てられた形となっている。 表 18 ビデオ再生時間(1日,週平均) 10 年 全体 男 女 2歳 3歳 4歳 5・6 歳 40 44 34 50 43 34 35 (分) 幼稚園児 保育園児 35* 未就園児 58 11 年 40 41 40 49 41 34 39 34 41 54 12 年 46 49 42 58 48 44 36 40 46 60 *2010年は「保育園・幼稚園に行っている」と尋ねている 図 8 曜日別ビデオ再生時間とテレビ視聴時間 (1日,週平均) ビデオ再生 平日 0:41 テレビ視聴 1:54 (時:分) トータル 時間:分 3:00 図 9 ビデオ再生時間とテレビ視聴時間の推移 (1日,週平均) 2:34 テレビ総計 2:29 2:15 2:35 2:19 2:00 2:00 土曜 1:04 1:46 2:07 2:07 2:05 2:07 1:53 2:50 1:00 日曜 0:51 1:54 ビデオ再生 2:45 0:40 0:00 (2)多くの時間帯でビデオ利用が増える 0:36 0:39 0:40 0:40 0:35 0:33 0:36 0:35 2002 03 (04) 05 06 07 08 09 0:46 10 11 12年 た。これまでも報告しているが,幼児はアニメ ビデオ再生の 30 分ごとの平均利用率をみる や幼児・子ども向け番組に視聴が集中する傾 と(図 10),平日は午後 6 時~ 8 時台によく利 向が強く,このため,好みの番組の放送がな 用され,土曜・日曜は幼稚園などが休みのた め, 午 前 8 時 ~ 10 時 台, また 土 曜は午 後 2 時~ 8 時台の幅広い時間帯でよく利用されて いる。前年に比べビデオ利用率が増加した時 間帯は,土曜午後 1:30 ~ 3:00と午後 8 時台 前半,日曜午後 6 時台である。テレビ視聴率 の変化と比べると,土曜午後 8 時台前半は民 いときは,ビデオをよく利用している。今回の 時間:分 3:00結果ではさらに,日曜午後 6 時台といった人 2:25 2:29 気番組の放送時間帯でも,テレビ視聴からビ 2:19 2:15 デオ利用への動きがみられる。 2:00 2:00 (3)テレビ視聴短時間層がビデオをより利用 1:00 ここでは,幼児のテレビ視聴時間の長短とビ 放の番 組視聴率が減 少し,ビデオ利用率は デオ利用状況との関わりをみてみる。テレビの 0:40 増加した。日曜午後 6 時台はフジテレビの高 視聴時間(週平均,1日)が 1 時間未満の幼児を 視聴率番組「ちびまる子ちゃん」「サザエさん」 2 0:36 0:35 0:33 0:36 0:00 * 2002 層とし, 03 05 06 07 「短時間」 3 (04) 時間以上の幼児を 「長時間」 が放送されているにもかかわらず,視聴率は 層とする。この「短時間」層と「長時間」層のサ 減少し,ビデオ利用率が増加した。また,日 ンプル構成比は表 19 である。 「短時間」層は保 曜午前 8 時台は幼児によく見られている「仮面 育園児がやや多いが,性別・年齢・兄姉の有 ライダー」 「プリキュア」の休止が影響し,テレ 無には差はみられない。母親の属性では, 「短 ビ視聴率が減少,ビデオ利用率はやや増加し 時間」層はフルタイム勤め,視聴時間は短時間, OCTOBER 2012 53 0 図 10 ビデオ再生の 30 分ごとの平均利用率(平日・土曜・日曜) 2011 年 2012 年 0.1 0.1 0.2 0.1 0.5 0.5 1.3 1.6 2.4 2.0 2.8 3.7 3.4 4.4 2.6 3.5 2.3 2.7 2.8 2.8 2.5 2.8 2.1 2.4 1.5 2.3 1.0 2.4 1.1 1.9 1.3 1.9 1.5 2.7 1.4 2.9 1.5 2.6 1.6 2.5 3.0 4.7 3.4 4.5 4.5 4.7 4.2 4.7 5.5 6.6 6.7 7.5 8.6 8.6 8.5 9.0 7.7 10.5 7.7 8.7 8.4 8.3 6.8 6.3 3.7 3.1 2.6 1.9 0.9 0.8 0.4 0.6 0.2 0.3 0.1 0.2 平日 2011 年 2012 年 前5 0.2 0.0 0.2 0.2 6 0.4 0.8 1.2 2.1 7 4.2 3.7 6.1 5.1 7.3 7.9 7.3 9.0 11.4 8.5 11.2 9.9 9.7 9.0 8.7 6.5 6.6 4.3 5.1 3.5 4.2 4.0 4.8 3.8 4.7 4.8 3.4 6.3 4.4 7.7 3.9 6.9 5.2 7.5 5.2 6.8 8.4 8.4 8.7 8.3 9.0 8.0 8.9 8.8 8.4 8.1 8.4 8.1 8.3 8.9 7.6 8.5 6.5 10.0 5.8 7.5 3.9 4.7 3.0 3.0 1.5 0.8 0.7 0.3 11 0.5 0.4 時 0.3 0.2 8 9 10 11 2011年 後0 2012年 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0 5 10 15 % 土曜 日曜 2011 年 2012 年 前5 0.0 0.0 0.2 0.0 6 0.7 0.3 1.5 1.3 7 3.2 2.5 4.5 4.3 7.4 10.4 8.3 10.9 11.7 10.5 9.4 8.9 7.8 6.4 5.2 5.5 3.8 5.0 4.2 4.5 3.3 3.3 3.5 3.6 3.9 3.3 3.2 2.9 3.3 3.6 2.7 3.3 5.2 5.3 5.3 6.1 6.9 5.8 6.9 5.5 5.7 6.2 4.9 5.3 3.5 7.1 3.5 7.0 4.8 7.4 4.6 5.9 5.1 6.3 4.2 5.6 3.2 2.9 2.1 2.1 1.3 1.1 0.6 0.6 11 0.3 0.2 11 時 0.0 0.2 時 8 9 10 11 2011年 後0 2012年 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0 5 10 15 % 前5 6 7 8 9 10 11 2011年 後0 2012年 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0 5 10 15 % テレビの見せ方は見る時間と番組の両方を制 母親の職業などに違いがあるが,幼児の属 限する母親が多い。一方「長時間」層は,パー 性には大きな差がないことをふまえ, 「短時間」 ト・アルバイト勤めがやや多く,視聴時間は長 層と「長時間」層のビデオ利用状況をみてみる。 時間,テレビは制限せずに自由に見せている母 ビデオ再生の週間接触者率は, 「短時間」層 親が多い。なお,母親の職業で専業主婦の占 84%, 「長時間」層 69%と, 「短時間」層の方 める割合は, 「短時間」層と「長時間」層で有意 が高い。ビデオの再生時間(週平均,1日)は な差はみられなかった。 54 OCTOBER 2012 「短時間」層 49 分, 「長時間」層 32 分と,時間 表 19 幼児のテレビ視聴時間「短時間」 「長時間」のサンプル構成比 「短時間」はテレビ視聴時間が1時間未満の幼児(168人),「長時間」は3時間以上の幼児(114人) (%) 男 女 2歳 3歳 4歳 5・6 歳 保育園児 幼稚園児 未就園児 兄姉あり 兄姉なし 短時間 49 51 20 27 25 27 36 45 20 51 49 長時間 47 53 25 25 19 31 26 53 21 54 46 母親の職業 母親のテレビ視聴時間 母親のテレビの見せ方 * 短時間 中間 長時間 パート 専業主婦 アルバイト フルタイム 両方制限 (2 時間未満) (2 ~ 3 時間) (3 時間以上) どちらか 制限 制限なし 短時間 56 13 25 74 15 10 23 45 24 長時間 61 20 12 17 18 66 11 39 48 * 母親のテレビの見せ方 「両方制限」見る時間と番組の両方を決めている 「どちらか制限」見る時間と番組のどちらかを決めている 「制限なし」自由に見せている 量でも「短時間」層の方がやや多い。 販のビデオやDVDを見る人は 52%と,録画番 また,ビデオの 30 分ごとの平均利用率を「短 組を見る人の方が多い。また,再生時間量も, 時間」層と「長時間」層で比較すると(図 11), 録画番組を見る人の方が「30 分以上」という人 ビデオの利用率は朝と夕方から夜間にかけて, が多い(図 12)。 「短時間」層の方が高めに推移している。午前 録画番組をよく見ている背景には,デジタル 7 時台後半と午後 7:00 ~ 8:30 のテレビ視聴の 録画機のHDD の普及がある。HDDを最もよ 多い時間帯で, 「短時間」層の方がビデオ利用 く利用する人は,今年 55%と半数を超えた(図 率が有意に高い。 13)。DVD やビデオデッキの利用が減少するな テレビ視聴時間が長い幼児もビデオを利用し か,録画・再生操作が簡単なHDD の普及が進 ているが,テレビ視聴時間が短い幼児の方がビ んでいる。番組保存容量の増加や自動録画機 デオをより多く利用している。特に「短時間」層 能など,性能がさらに向上していくと,今後も では,ビデオ再生のピークの時間帯がテレビ視 幼児の録画番組の視聴が増える可能性が大き 聴のピークの時間帯と重なっており,幼児に見 いと思われる。 られている番組がテレビで放送されているにも かかわらず,ビデオを利用している。幼児のテ レビとビデオの使い分けに対する意識の変化が うかがえる。 (4)進む HDD の普及 調査では,休日をのぞくふだんの日に「録画 まとめ 今 年,幼児のテレビ視聴時間は初めて 2 時 間を切り,前年よりも減少した。視聴の減少は 夕方から夜間にかけての時間帯で,特に民放 の下降が大きい。減少の背景として本調査か したテレビ番組」と「市販のビデオやDVD」を らは,ビデオ再生時間がやや増加したことと, それぞれどのくらい再生して見ているかを尋ね 短時間視聴の母親が増加したことが考えられ た。その結果,録画番組を見る人は 72%,市 た。 「幼児番組の放送時間でも子どもの好きな OCTOBER 2012 55 図 11 ビデオ再生・テレビ視聴の 30 分ごとの平均利用率・視聴率(幼児のテレビ視聴時間別,週平均) 短時間 長時間 短時間 長時間 0 0 前5 0 0 0 0 0 前5 1 1 0 1 4 3 0 4 1 7 1 8 4 7 3 5 3 5 4 5 5 4 5 2 3 2 3 2 2 2 後0 2 3 3 3 4 2 4 3 3 4 5 4 5 5 5 5 4 8 4 8 3 10 4 10 5 12 5 10 3 10 3 7 3 3 3 3 2 1 1 1 0 0 0 0 0 ビデオ再生 6 4 18 7 45 7 13 61 8 11 63 9 3 23 10 1 10 0 8 11 0 5 0 5 7 43 2 17 短時間 長時間 1 2 3 1 7 0 5 0 3 0 4 0 4 1 6 3 25 4 36 5 6 7 8 9 10 11 短時間 0 10 後0 0 11 2 21 4 テレビ視聴(テレビ総計) 長時間 1 2 3 4 5 4 40 5 55 6 6 5 58 8 62 7 7 6 60 2 41 8 8 2 33 1 15 9 9 1 12 0 6 0 5 11 0 1 11 時 0 0 時 10 0 5 10 15% 10 0 15 30 45 60 % 番組がなければビデオを見せよう」,また, 「子 利用についてもここ数年で変化している。2012 ども優先ではなく親子が一緒に楽しめるバラエ 年1月に実施した世論調査「日本人とメディア」5) ティー番組などを見よう」といった母親の意識 では,30 代女性の 76%が自宅でパソコンによ がこれまでよりも強くなってきているのではない るインターネットを利用している。また,幼児 かと考えられる結果もあった。 のパソコン利用については,テレビ視聴時間に さらに,母親と幼児のテレビ以外のメディア 56 OCTOBER 2012 比べると短いものの,テレビゲームや携帯ゲー 図 12 録画したテレビ番組と市販のビデオや DVD の再生時間 (録画再生機器を所有している人 544人) 30 分未満 録画した テレビ番組 30 分以上 1 時間未満 18% 市販のビデオや DVD 20 1 時間以上 ほとんど, 2 時間未満 2 時間以上 まったく見ない 不明 28 17 17 12 9 4 26 2 47 2 図 13 ビデオを見るときに最もよく利用する機器 デジタル録画機の ハードディスク(HDD) 2011年 48.6% ブルーレイディスク ビデオデッキ パソコンの 2.0 ハードディスク(HDD) DVD 7.2 3.8 28.7 6.3 3.1 0.0 0.7 2012年 54.5 21.7 11.8 4.5 3.9 1.2 1.2 *その他には「家にはあるが子どもは利用していない」を含む 12 時間以上 時間未満 1 時間未満 30 分以上 30 分未満 録画した テレビ番組 18% 28 6) ムと同程度であるといった調査結果 もある。 母親と一緒に,幼児がインターネットなどのメ 市販のビデオや 20 17 DVD ディアに接する機会が増えていることも,テレ ビ視聴を減少させる要因と推測できよう。 2007 年以降,幼児のテレビ視聴は安定して おり,今回の減少が来年以降も続くのかは分 からない。しかし,HDD の増 加などの状況 からビデオ再生が増える可能性は高いだろう。 一方で,好みの番組が放送されれば,その番 組の視聴率が増加するなど,視聴に向かう動 きが早い一面もある。今後も幼児のテレビ視 聴を維持していくには,こうした幼児のテレビ 視聴に関わる状況の変化に,迅速に対応して いくことが求められる。 (せきね ちえ) 17 携帯電話 その他ほとんど, * 2 時間以上 まったく見ない 録画・再生機器を持っていない 9 不明 26 2 注: 1)西久美子 / 執行文子 / 安楽裕里子 / 舟越雅「テ レビ・ラジオ視聴の現況~ 2012 年 6 月全国個 12 4 47 2 人視聴率調査から~」『放送研究と調査』2012 年 9 月号 2) 「未就園児」は保育園・幼稚園には行っていな い幼児で,2011 年までの報告では「それ以外」 と表記していた。 3)文研の“子どもに良い放送”プロジェクトの調 査でも,8 歳児のテレビ視聴について,バラエ ティー番組の視聴が定着し,家族と一緒によく 見ていると報告している。 中井俊朗 / 堀川伸一「親子の接点としてのバラ エティー番組~小学 2・3 年生のテレビ視聴〜」 『放送研究と調査』2012 年 8 月号 4)後藤憲子他『第 4 回幼児の生活アンケート 速 報版』ベネッセ次世代育成研究所 2010 年 5)吉次由美 / 小林憲一「デジタル時代の『新しい テレビ』はどこに向かうのか~世論調査『日本 人とメディア』と業界アンケートから~」 『放 送研究と調査』2012 年 8 月号 6)上記 4)と同じ。 訂正 :「幼児はテレビをどう見ているか~平成 23 年 6 月『幼児視聴率調査』から」『放送研究 と 調 査 』2011 年 10 月 号 p.49 ~ 50 に お い て母親が 「短時間視聴」 の幼児の視聴時間を 「2 時間 7 分」と記載したが,正しくは今号 表 16 のとおり「1 時間 23 分」である。 OCTOBER 2012 57