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3-8 スペックル法による欠陥を有するアルミニウム板の非破壊検査

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3-8 スペックル法による欠陥を有するアルミニウム板の非破壊検査
Research case study
3-8 スペックル法による欠陥を有するアルミニウム板の非破壊検査
松田浩ほか:応用力学論文集, No.9, pp.1093-1101, 2007
(1) 研究の概要
構造物の破壊がいつ,どこに,どのようにして生じるのかを把握するためには,材料の劣化メカニズムを面的に正
確に把握する必要がある.切欠,孔等を有するアルミニウム合金板からなる試験片を製作し,一軸引張試験を行い,
荷重の載荷から破壊に至るまでを ESPI により計測し,干渉縞,変位分布,最大主ひずみ分布の変化に注目してモニ
タリングし,
ESPIによる欠陥の有無による破壊挙動の計測可能性と非接触非破壊検査への適用の可能性を検討した.
(2) 計測概要
アルミ合金板を用い,切欠を有する試験片 A,切欠の無い試験片 B を製作し引張試験を行った. ESPI による
ひずみ・応力分布を求め,ひずみ・応力分布より不可視部の異常を検知し,同時に載荷開始から終局までのス
ペックル干渉縞の様子を観察をし,ひずみとスペックル干渉縞の関連性について検討する.
(3) 結果および考察
計測結果を図1~6に示す.y 方向変位分布(図4)を観察すると,欠陥有りの試験片では欠陥付近の分布
が屈折しているが,欠陥無の試験片は横縞である.y 方向の変位算定の基となるスペックル干渉縞(図5,6)か
ら明らかなように,横縞が観察できないということと欠陥との関連があることが推測される.図3の最大主ひずみ分
布において,(1)のように弾性域から切欠部分にひずみ集中が現れはじめ,塑性域に達した(9),(10)点では,切欠部分
に顕著に現れてくる.スペックル干渉縞においては,図5(1)に見られるように,試験片の中央右側部のスペッ
クル干渉縞が薄くなっている.これは試験片全体の変位量とこの部分の変位量が異なるためであり,欠陥が存在し
ていることを示している.欠陥が無い試験片 B においては弾性限を過ぎると,図6(1)~(5)に示すように上部に
すべり帯が生じ,下部方向に推移する.試験片全体ですべり帯が生じた後,すべり帯が 2~4 本程度単独に生
じる.すべり帯はすべて同じ方向に生じており,破断直前になると破断箇所のみに生じる.以上より不可視の
切欠きでも,弾性域の最大主ひずみ分布図,y 方向変位分布図を描画することによって,ひずみ集中の可視化が可能
であること,また,干渉縞を観察することによりリアルタイムで欠陥を検知できることがわかった.
(2) (3) (4)
4000
(7)
(5)(6)
(1)
2000
1000
4000
8000
(8)
3000
2000
0
12000
(6)
(5)
(4)
(3)
(2)
(1)
0
変位(μ)
(7)
20000
40000
232.4
224.9
204.8
194.7
177.2
164.5
149.5
134.3
121.9
104.1
94.3
73.9
66.6
43.7
39.0
13.5
11.4
-16.7
80000
図 2 試験片 B の荷重-変位曲線
(103μ)
(103μ)
4.96
33.5
72.2
4.39
29.8
64.2
3.82
26.2
56.2
3.25
22.5
48.2
2.69
18.8
40.2
2.12
15.2
32.2
1.55
11.5
24.2
0.98
7.9
16.2
0.41
4.2
8.2
-0.15
-0.6
(1)
0.2
(10)
(9)
図 3 試験片 A の最大主ひずみ分布
(103μm)
255.1
60000
変位(μ)
図 1 試験片 A の荷重-変位曲線
(103μm)
(10)
(9)
(8) (9)(10)(11)
荷重(N)
荷重(N)
(103μ)
4000
6000
-16.3
欠陥有
(1)
欠陥無
(2)
図 4 y 方向変位分布
(1)
(2)
(3)
(4)
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
図 5 欠陥を有する試験片 A の干渉縞
(5)
(6)
(7)
(8)
図 6 欠陥の無い試験片 B の干渉縞
(9)
(8)
(10)
(9)
(11)
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