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電子情報通信学会ワードテンプレート (タイトル)

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電子情報通信学会ワードテンプレート (タイトル)
DEIM Forum 2012 C9-2
EFD/CFD 融合可視化における速度場表現の一手法
八反田
香莉†
伊藤
貴之†
渡辺
重哉 ‡
口石
茂‡
保江
かな子 ‡
†お茶の水女子大学 〒112-8610 東京都文京区大塚 2-1-1
‡宇宙航空研究開発機構 〒182-8522 東京都調布市深大寺東町 7-44-1
E-mail: †{kaori_h, itot}@itolab.is.ocha.ac.jp
‡{shigeyaw, shigeruk}@chofu.jaxa.jp , [email protected]
あらまし
EFD(実験流体力学)と CFD(数値流体力学)は流体現象を再現する手法である.EFD は風洞実験などに
よる計測技術であり,CFD はコンピュータで流体現象をシミュレートする技術であり,どちらも様々な条件を想定
して反復した結果がデータベースなどに蓄積されている.我々は航空機周りの圧力と機体後部の流速を題材として,
EFD/CFD 両者の問題点を補うことを目標とした EFD/CFD 融合可視化に取り組んでいる.既に発表している
EFD/CFD の圧力可視化に加えて,本報告では EFD/CFD の流速可視化の一手法を提案する.本手法では,分布表示
と差分表示に加えて,速度場において特徴となる部分である渦の検出を適用する.EFD/CFD の圧力可視化と流速可
視化が揃うことで,圧力と流速の相関関係の考察が容易になると考えられる.
キーワード
EFD/CFD,EFD/CFD 融合可視化,圧力/流速可視化,渦の検出/比較
Fundamental Study on EFD/CFD Integrated Visualization
For Vector Fields
Kaori HATTANDA†
Shigeya WATANABE‡
Takayuki ITOH†
Shigeru KUCHIISHI‡
†Department of Information Sciences, Ochanomizu University
‡Japan Aerospace Exploration Agency
and
Kanako YASUE‡
2-1-1 Otsuka, Bunkyo-ku, Tokyo, 112-8610 Japan
7-44-1, Jindaijihigashimachi, Chofu , Tokyo, 182-8522 Japan
E-mail: †{kaori_h, itot}@itolab.is.ocha.ac.jp
‡{shigeyaw, shigeruk}@chofu.jaxa.jp , [email protected]
1. 概 要
航空機の 機体周 りの流速 や,機 体にかか る圧力 ・抵
抗の計測は ,航空 機開発に おいて 非常に重 要であ る.
特に機体の 後方に 生じる流 れの渦 は,機体 の損傷 や燃
費の悪化を 招く可 能性があ るので ,重要な 観察点 とな
っている.
流 体 現 象 の 理 解 や 分 析 の た め に , Experim ental Fluid
ラメータだ けを適 用して実 験回数 を限定す ること も多
い.一方で ,航空 宇宙機開 発をは じめとす る多く の分
野 に お い て ,CFD に 基 づ く 計 算 機 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 技
術 が 広 く 用 い ら れ て い る .CFD を 適 用 す る こ と で ,複
雑な流体現 象をよ り容易に 再現・ 可視化す ること が可
能 に な る .た だ し 一 般 的 に CFD で は ,実 際 の 流 体 現 象
の再現に対 する妥 当性の検 証が重 要となる .
こ れ ら の 両 者 の 問 題 点 を 考 慮 し ,EFD に お け る 実 験
Dynam ics (EFD) と Computational Fluid Dynam ics( CFD)
結 果 と CFD に お け る シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 結 果 を 比 較 し ,
の 2 種 類 の 手 法 が 研 究 さ れ て い る . EFD 技 術 は 風 洞
それらの差 分をわ かりやす く可視 化するこ とは, シミ
などの実験 環境を 用いて模 型周り の流速を 計測す るも
ュレーショ ン技術 の改良に おいて 重要性が 高いと 言え
の で あ り ,CFD よ り も 長 い 歴 史 を 有 す る .EFD を 適 用
る .そ こ で 本 報 告 で は , 航 空 機 の 機 体 後 方 に お け る 流
することで ,計測 精度や風 洞壁干 渉などの 誤差要 因は
速 EFD と CFD の 両 者 の ベ ク タ デ ー タ を 比 較 す る 可 視
あるものの ,ある 程度の信 頼性を 持った計 測値が 得ら
化技術を提 案する .この技 術によ り,ベク タ場に おけ
れ る .し か し , EFD で は ラ ン ニ ン グ コ ス ト や 使 用 可 能
る EFD/CFD の 双 方 の 誤 差 検 証 の 課 題 の 明 確 化 と そ の
日程の制限 などか ら,重要 性の高 い模型形 状や気 流パ
解 決 に 役 立 つ だ け で な く , EFD/CFD の 圧 力 可 視 化 [3]
航 空 機 周 り の EFD/CFD の 特 徴 や 急 勾 配 線 と 渦 の 関 係
と組み合わ せるこ とによっ て,圧 力・流速 の相関 関係
性など流体 現象の 解明に役 立てた い.
の考察に役 立つと 考えられ る.
2.4 渦 中 心 検 出 手 法
2. 関 連 研 究
2.1 EF D/CFD 融 合 シ ス テ ム ViDI
可視化する 手法を 提案して いる. この手法 では, 速度
文 献 [4]は ,複 雑 な ベ ク タ 場 を 尐 数 の 流 線 で 効 果 的 に
場 で の ベ ク ト ル が 0 で あ る 特 異 点 (渦 中 心 , 鞍 点 な ど )
航 空 ・ 宇 宙 機 開 発 の 現 場 で EFD/CFD 融 合 技 術 を 導
を自動抽出 し,そ の近傍を 通過す る流線を 優先的 に生
入 し て い る 例 と し て ,文 献 [1]の NASA Langly 研 究 所 に
成する.本 手法の 渦中心検 出では ,この手 法を用 いて
よ る 3 次 元 仮 想 実 験 診 断 シ ス テ ム (ViDI:Virtual
全ての特異 点を抽 出した後 ,特異 点が渦中 心であ るか
Diagnostics Interface System )が 挙 げ ら れ る . ViDI は ,
を判定する .
風 洞 実 験 の 実 施 の た め の 事 前 検 討 で ,3 次 元 CAD を 用
いることで 実験の 最適化及 び効率 化を図る システ ムで
3. 提 案 手 法
あ る .ま た 、事 前 実 施 し た CFD の 計 算 結 果 と 風 洞 試 験
本手法の流れは,デー タ統合・差分算 出と渦中心 検出
結果を実験 中にリ アルタイ ムで厳 密に比較 ・可視 化す
と渦度算出の 3 つ に大きく分け られる.これらの 処理の
る こ と が で き る .た だ し 、EFD/CFD の デ ー タ フ ォ ー マ
後,可視化ソフト Tecplot を用いて 結果を表示す る.圧
ッ ト の 不 統 一 な ど に よ り ,デ ー タ 比 較 に 煩 雑 さ が 残 る .
力・流速の分布可視 化例を図 1 に 示す.航空機の 機体に
2.2 EF D/CFD 融 合 技 術
圧力分布,機体後部 に流速分布が 表示され てい る.図中
文 献 [2]の デ ジ タ ル ・ ア ナ ロ グ ハ イ ブ リ ッ ド 風 洞 は ,
風 洞 と CFDを 強 く 連 携 さ せ た コ ン カ レ ン ト な EFD/CFD
の左半分が CFD デ ータ,右半 分が EFD データで ある.
本手法では後部の 流速データに ついて扱う .
融合システ ムであ り,一歩 進んだ 高精度・ 高信頼 度な
システムを 目指し ている.
EFD/CFD融 合 技 術 の 基 本 方 針 は 以 下 の と お り で あ
る . 機 体 設 計 で 定 義 さ れ た 形 状 か ら , 事 前 に CFD解 析
を 行 う . 続 い て 風 洞 試 験 に お い て , EFDデ ー タ と 事 前
CFDデ ー タ と の 統 合 可 視 化 ・ 比 較 処 理 を 適 用 す る こ と
で,準リア ルタイ ムな評価 を可能 とする. その後 ,主
要 な EFDデ ー タ を 随 時 CFDへ 戻 し , EFDの 条 件 を 基 に
詳 細 な CFD解 析 を 再 実 施 す る . そ の 結 果 , EFD/CFDデ
ータおよび 両者を 融合させ た最も 確からし いデー タが
図 1 : 圧 力・流 速分布可 視化例
ユーザへ提 供され ると同時 にデー タベース 化され ,以
降 の 風 洞 試 験 や CFD解 析 , 設 計 開 発 に 活 用 さ れ る .
3.1 デ ー タ 統 合 ・ 差 分 算 出
本 報 告 は ,こ の よ う な EFD/CFD融 合 技 術 で の 両 デ ー
本 手 法 で 用 い る ベ ク タ 場 の デ ー タ は , 速度ベ クト ル
タ間の比較 ・評価 を効率化 するた めに,統 合可視 化手
を持つ多数の頂点 によって格子 を構成して いる.速度ベ
法を提案す るもの である. この統 合可視化 では, 横に
クトル には 座標値
隣 接 す る EFD/CFDデ ー タ を 交 互 に 見 る こ と で 比 較 は
ベクトル成 分
できるが, 両デー タの一致 度を測 る定量的 な解析 や,
ている.EFD/CFD はメッ シュの構造 や疎密が異な ってい
EFD/CFD間 で の 特 徴 的 な 箇 所 の ズ レ と い っ た 定 性 的
る場合があり,現在 扱っているデ ータは EFD が四 角形格
な解析は難 しいと いった課 題が残 っている .
子,CFD が三角形・四角形混合 格子の構造と なっている .
2.3 EF D/CFD 融 合 可 視 化
差分の算出には,同じ座 標での値を 比較しなくて はなら
と流 速に 対し て正規 化を 行った
とメッシュ構 造の情報 が与え られ
文 献 [3]で は ,EFD/CFD 融 合 可 視 化 を 行 っ て い る .航
ないことから,EFD/CFD の格子構造 を統合する必 要があ
空 機 機 体 に か か る 圧 力 に つ い て ,EFD/CFD 両 結 果 の 分
る.本 研 究 で は EFD の 値 を 基 準 と し て CFD の 値 を 比
布可視化, 差分表 示,急勾 配線の 検出を行 ってい る.
較 す る と い う 立 場 か ら ,EFD の 各 格 子 点 に お け る CFD
急勾配線と は圧力 が急激に 変化し ている部 分であ り ,
の ベ ク タ 値 を 補 間 に よ り 求 め る こ と で ,デー タを 統合
このような 箇所近 辺には渦 や衝撃 波などの 特異点 が見
する.その後に,EFD/CFD の各 計測点の差分 を算出する .
つかること が多い とされて いる. 一方,流 速に関 して
データ統合の手順 は以下のとお りである.
は分布可視 化のみ となって いる. そこで本 研究で は,
1.
求める.
流速に関し て差分 表示・渦 の検出 を行う. これと 圧力
の 差 分 表 示・急 勾 配 線 を 同 時 に 可 視 化 す る こ と に よ り ,
EFD 上の頂点 Ve に 対応する CFD 上の座標値 Ve’ を
2.
Ve’ を囲む四角形 Cc を 求める.

3.
Cc の 4 頂点の値から Ve’ に お け る 値 を 補 間 す る .
い.よって ,本研 究では翼 端渦に 注目し, 渦検出 ・比
4.
EFD の全ての頂点 に対して, 1~3 を繰り 返 す .
較 を 行 っ て い く . 図 4 は,翼端 渦の例である .
図 2 : デ ータ統 合
図 4 : 翼 端渦
流速値の補間の手 順は以下のと おりである .
i.
頂点と 2 つの三角 形の内外判定 に置き換え る.
ii.
三角 形を 三 分割 し, 各要 素 中心 にお け るス カラ
速度が 0 である点 の一種である. よって,速度場 におい
値を平均値とする .
て速度が 0 となっ ている頂点を 算出し,渦中心か それ以
求め る点 の スカ ラ値 を各 要 素中 心値 の 面積 重み
外の点(鞍点 )かの判定 を行うことで ,渦中心 を検出する .
付け平均として算 出する.図 3 では, が面積 ,
渦中心検出の手段 として,文 献[4]の手 法を用いる .渦中
iii.
が流速の v 成分を示して いる.
続 い て 渦 中 心 の 検 出 手 法 に つ い て 述 べ る . 渦中 心は
成分のそれ
心検出の手順は以 下のとおりで ある .本 研 究 で は ,扱 っ
ぞれに対しても同 様に算出する .
ているデー タが機 体後部の 平面デ ータであ るため ,現
段階ではそ の平面 に生成さ れる渦 を対象と してい る.
v13 
v v3 v1
3
v2 3 
v  v2  v3
3
飛行機の圧 力と流 速の三次 元空間 は,機体 前後方 向が
x 軸 , 速 度 場 は yz 平 面 で 構 成 さ れ て い る . なお,ここ
では飛行 機に対 して垂 直にで きる渦 のみを 算出す るた

め,yz 平面について処理 を行っている .

v12 
v v1 v2
3
1.
四 角 形 Cc の 中 に ベ ク ト ル が 0 と な る 点 を 探 す .
2.
ベ ク ト ル が 0 と な る 点 が あ っ た 場 合 , Ve の 座 標
を補間算出 する.
図 3 : デ ータ補 間

v
1   v  v1  v2
v  v2  v3
v  v3  v1  
 S2 3
 S3 1
 S1 2
  (1)
 
S 
3
3
3
u,w についても 同様.
以上の手順で EFD/CFD データを統合 した後,EFD/CFD
3.
算出された 点が渦 中心であ るか判 定する.
4.
EFD/CFD デ ー タ の 全 て の 要 素 に 対 し て , 1〜 3
の処理を繰 り返す .
ベ クトル が 0 と なる座標 の補間 手法は以 下のよ うに
なる.
の各計測点でベク トルの長さの 差分を算出 し,差分の値
i.
に応じて頂点にス カラ値を与え,そ のスカラ値を 色で表
ii.
四角形を 2 つの三 角形に分 割する .
三角形の内 部にベ クトル 0 の点 があるか 判定
す.
する.各頂 点のベ クトル
3.2 渦 中 心 検 出
化など飛行 に悪影 響を及ぼ す可能 性がある ことか ら,
0  v0  
v1  
v2  
pq) (2)
  
     p    q

   (1

0  w
 0 
w
 1 
w
 2 
流体シミュ レーシ ョンにお いて非 常に重要 な観察 点と
こ の 式 を p,q に つ い て 解 き ,
渦は流れ が不安 定な箇所 で,機 体の破損 や燃費 の悪
な っ て い る . 機体後 部の 速度場 で, 渦中心や EFD/CFD
間の渦のズレを可 視化すること は,機体にかかる 抵抗の
0  p, 0  q, 0  1 p  q

(3 )
(3)の 条 件 を 満 た す と き ,3 つ の ベ ク ト ル で 作
直感的な理解を可 能にする.
られる平面 内に 0 の点が存 在する ことに なり,
飛行機 後部の 速度場 ではエ ンジン 後部と 翼端の 後方
三角形内部 にベク トル 0 の点が あると判 定で
に 渦 が 発 生 し て い る . 翼 端 の 渦 (翼 端 渦 )は 翼 の 上 下 の
流速と圧力 の差に よって発 生する 渦であり ,この 渦 の
を用いて算出.
きる.
iii.
ベクトル 0 の点の 座標を求 める.
強さで機体 にどれ ほどの抗 力がか かってい るかを 確認
ii で 求 め た p,q を 用 い て , 3 つ の 頂 点 と 特 異 点
することが できる .一方, エンジ ン後部の 渦は様 々な
の位置関係 から座 標を算出 する.
要因が絡み 合い乱 流が発生 してい ることに より, 現在
y  y0 
y1 
y2 
pq)
  
     p   q

   (1

z  z0  
z1 
z2 
扱ってい る 2 次元 平面のデ ータの みでは渦 の発生 要因
や EFD/CFD 間 の 渦 の 対 応 関 係 を 観 察 す る こ と が 難 し

(4 )
iv.
渦中心の判 定
渦中心の 判定に は,ヤコ ビアン の固有値 を
図 5 よ り CFD は EFD に 比 べ , 翼 端 に い く に つ れ て
用いる.ヤ コビア ンは以下 のよう に定義さ れ
流速が遅く なって いる傾向 にある ことや翼 ・エン ジン
る.
後部の流速 が遅く なってい ること が読み取 れた.
  V
 y
Jv   
 W
 y
V    v
z    y


W    v
z     z
y  y 2
  0
 z 0  z 2
w    V
y     v

w    V

z    w
t
y1  y 2   V 0  V2
   
z1  z2   Z 0  Z 2
W  
v  
W  

w  
4.1. 渦 中 心 検 出 結 果
続いて渦中 心の検 出 ・ 比 較 の 結 果 に つ い て 述 べ る .
図 6 に 渦 中 心 検 出 結 果 を 示 す .EFD の 渦 中 心 は 図 中
(5)
央 部 よ り 左 半 分 の 緑 の 四 角 ,CFD の 渦 中 心 は 右 半 分 の
青の四角で 示され ている. エンジ ン後部に は乱流 が起
t
V1  V2  

Z1  Z 2  
こっている ことか ら渦中心 として いくつか 検出さ れて
い る と 考 え ら れ る . そ し て 翼 端 渦 の 中 心 が EFD/CFD
Jvの 固 有 値 が 正 の 場 合 は 特 異 点 か ら 外 に 離 れ
間でそれぞ れ検出 されてい る様子 が確認で きた.
る流れ,負 の場合 は特異点 に対し 内に吹き 込

む流れであ ること を示す. さらに ,固有値 が

複素数であ った場 合,実部 が 0 以 外であれ ば
特異点は渦 中心で ,実部に 正負両 方ある場 合
は鞍点であ る.
3.3 渦 度 算 出
渦の強さによって機体にかかる抵抗を測ることが
できること から、 渦度を算 出する .渦度と は,速 度ベ
クトルの回 転のあ りさまを 表す量 であり, 渦度の 値の
図 6 : 渦 中心検 出結果
大小によっ て渦の 回転方向 と強さ を示す. 渦度が 負で
あると右回 りの渦 ,正であ ると左 回りの渦 を指し ,絶
次 に EFD/CFD の 渦 中 心 の 比 較 結 果 を 図 7 に 示 す .
対値の大き さによ り渦の強 さを表 す.本研 究では 機体
前章でも述 べたよ うに,エ ンジン 後部の渦 は様々 な要
前後に対し 鉛直方 向にでき る渦を 観察する ため, ベク
因が絡み合 い乱流 が発生し ている ことによ り,現 在扱
ト ル の vw 成 分 の み を 用 い て い る .
っている 2 次元平 面のデー タのみ では渦の 発生要 因や
渦度の式は 次のよ うに定義 される .
w v
rotV    V 

y z
EFD/CFD 間 の 渦 の 対 応 関 係 を 観 察 す る こ と が 難 し い .
(6 )
この式を各格子点それぞれについて解くことにより
渦度を算出 する.
よって図 7 では翼 端渦のみ 位置比 較を行っ た.位 置比
較 を 分 か り や す く す る た め ,EFD/CFD の 分 布 可 視 結 果
に EFD/CFD の 両 渦 中 心 検 出 結 果 を 投 影 す る と , 下 図
のようにな った.
4. 実 行 結 果
前節までの 処理で 算出した 速度場 の,渦中 心検出 ・
比較,渦度 ,差分 表示の可 視化結 果を示す .
図 5 は流速 データ の分布可 視化結 果である .この 可
視 化 結 果 で は 模 型 形 状 DLR-F6, マ ッ ハ 数 0.75, 迎 角
0.19 度 の デ ー タ を 用 い て い る . 横 軸 が y, 縦 軸 が z で
あ り , 速 度 に 応 じ て 色 を 割 り 当 て て い る .
図 7 : 翼 端渦位 置比較
ここでは渦中心の位置のズレが機体幅の割合のど
れほどを占 めるか を確認す るため ,機体幅 を 1 と して
正 規 化 し た 座 標 を 用 い て い る .EFD/CFD の 翼 端 渦 中 心
の 座 標 を 比 較 す る と 機 体 幅 に 対 し 、0.1~0.2% 程 度 位 置
図 5 : 流 速分布 可視化例
の ズ レ が み ら れ た . 現 状 で は EFD/CFD 間 の デ ー タ に
は 通 常 10% 程 度 の ズ レ が あ る の が 一 般 的 で あ る と さ
れている. よって ,今回用 いたデ ータはと ても正 確な
シミュレー ション 結果が得 られて いると推 測でき る.
4.2. 渦 度 検 出 結 果
次に渦度 の検出 結果につ いて述 べる.
図 8 上図で は渦度 のみの表 示,下 図は渦度 にベク ト
ルと渦中心 を重ね て表示し た結果 である. 下図を 見る
と,渦度が 発生し ている領 域と渦 中心の位 置が一 致し
て い る 様 子 が 読 み 取 れ る .青 で 示 さ れ て い る 領 域 が 負 ,
つまり右回 転の力 が働いて いる領 域,そし て赤で 示さ
れている領 域が正 ,つまり 左回転 の力が働 いてい る領
図 10 : EFD/CFD 流 速 差 分 表 示 (全 体 )
域を示して いる.
翼 端 部 を 拡 大 す る と 図 11 の よ う な 結 果 が 得 ら れ た .
渦 中 心 付 近 の 差 分 が 約 0.078 を 示 し て い る こ と か ら ,
流 速 に 対 し 約 7.8%の ず れ が あ る こ と が わ か っ た .な お ,
ここでの流 速は試 験条件と して設 定された 流速を 1 と
して正規化 した値 である.
図 8 : 渦 度表示
図 9 は翼 端周辺 の渦度分 布を拡 大したも のであ る.
図 11 : EFD/CFD 流 速 差 分 表 示 (翼 端 )
この図では 比較し やすくす るため に,カラ ースケ ール
と CFD の 座 標 を 調 整 し て い る . 赤 は 渦 度 が ほ と ん ど
EFD/CFD の ズ レ を 比 較・可 視 化 す る こ と は ,EFD や
発生してい ない領 域を示し ,青に 近づくと 右回り の渦
CFD の 誤 差 の 原 因 の 検 証 に 有 効 で あ る .シ ミ ュ レ ー シ
の力が強い ことを 示してい る.
ョ ン を 実 施 す る 際 に 考 え う る 誤 差 要 因 は ,EFD で は 模
型の形状変 化,作 業者の技 能,実 験環境な どの不 確か
さ に 関 す る 要 因 が あ り ,CFD で は モ デ ル の 定 式 化 ・簡
略化,丸め 誤差, 時間・空 間の離 散化など の数多 くの
要因がある .差分 可視化で 得られ た結果を 参考に ,こ
れらの誤差 要因を 考慮に入 れ,両 データの 差を見 なが
らシミュレ ーショ ンの改善 が出来 ると考え られる .
5. ま と め
図 9 : EFD/CFD 渦 度 表 示 (翼 端 )
本 報 告 で は ,EFD/CFD 融 合 可 視 化 を 用 い た 速 度 場 の
渦 中 心 近 辺 で は , EFD の 図 9(左 )を み る と CFD の 図
表 現 手 法 を 提 案 し た .本 手 法 に よ っ て ,EFD/CFD 双 方
9(右 )に 比 べ と て も 低 い 値 を 示 し て い る こ と が わ か る .
の技術課題 を明確 化し,誤 差の解 決に役立 てるこ とが
翼端渦の渦 度が高 いほど, 機体に かかって いる抵 抗が
可能になる と考え られる. 今後の 課題とし て以下 の 3
大 き い .こ の 図 の 結 果 か ら は ,EFD デ ー タ の 方 が CFD
点があげら れる.
に比べ機体 に強い 抵抗がか かって いるよう なデー タが
現段階では特徴点の位置を考慮せずに差分をとっ
得られてい ること が推測で きる.
ている.そ れでは 特徴とな る部分 の位置の 違いに より
4.3. 差 分 表 示 結 果
発生してい る差分 なのか, 値の大 小の違い により 発生
最後に差分 表示結 果につい て述べ る.
している差 分かと いう情報 が欠落 してしま うので ,改
図 10 は EFD か ら CFD の 流 速 の 差 分 を と っ た 値 を 可
良を行いた いと考 えている .また ,差分表 示には ベク
視 化 し た 図 で , 図 11 は そ の 翼 端 部 の 拡 大 図 で あ る .
トルの長さ は反映 されてい るが, 向きの違 いは可 視化
できていな いので 今後検討 を行う 必要があ る.
次 の 課 題 は EFD/CFD 間 の 誤 差 も 含 め た 可 視 化 方 法
の 検 討 で あ る . 4.3 節 で 述 べ た 通 り , EFD に も CFD に
も様々な誤 差が発 生しうる .その 起こりう る誤差 範囲
の 算 出 を 各 頂 点 に 適 用 し た デ ー タ を 用 い ,EFD/CFD 間
の最も確か らしい 値を算出 し,そ の確から しさを 可視
化できるよ うな手 法を目指 す.
最後の課題は多数 の条件の流速データを対象とし
て,本手法 を適用 して検証 するこ とである .そし て,
現在 2 次元 平面の 速度場で 実装し ているの を 3 次 元に
拡張し,機 体周り の流体現 象の可 視化も実 現した い.
また,リア ルタイ ムでの比 較可視 化も行い ,空間 ・時
間共に複合 的で多 様な切り 口で比 較・誤差 検証が 行え
るようなシ ステム にしたい と考え ている.
参
考
文
献
[1] R.J.Schwarts , G.A.Flem ing , Virtual Diagnostics
Interface: Real Time Comparison of Experim ental Data
and CFD Predictions for a NASA Ares I -Like Vehicle,
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