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環境保護庁関連法案に見る「科学的公正性」の相違1

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環境保護庁関連法案に見る「科学的公正性」の相違1
環境保護庁関連法案に見る「科学的公正性」の相違1
遠藤 悟
「米国の科学政策」ホームページにおいては、2014 年 12 月 14 日に「もう一つの「科学的公正性」
」
を掲載したが、この稿で言及した環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)に関する二つ
の法案(不成立)と類似の内容の以下の法案が 2015 年に改めて提出され、3 月に下院において可決され
た。
・H.R.1029 2015 年環境保護庁科学諮問委員会改革法案(EPA Science Advisory Board Reform Act of
2015)
・H.R.1030 2015 年秘匿された科学改革法案(Secret Science Reform Act of 2015)
本稿においては、議会ホームページ(Congress.gov)に掲載されたこれらの法案の内容を記したうえ
で、多数党(共和党)および少数党(共和党)それぞれの科学宇宙技術委員会のホームページに掲載さ
れたプレスリリースから、両党の法案に対する見解をまとめた。また、両法案に関してはアカデミック
コミュニティー等から意見書が提出されていることから、全米科学振興協会等、および憂慮する科学者
連盟から提出された意見書の内容を報告する。
1.環境保護庁科学諮問委員会改革法案とそれに対する両党の見解
1-1.法案の内容
H.R.1029
2015 年環境保護庁科学諮問委員会改革法案
(EPA Science Advisory Board Reform Act of 2015)
法案提出者:Frank D. Lucas 下院議員(2015 年 2 月 24 日)
委員会:下院科学宇宙技術委員会、上院環境公共事業委員会
6 月 20 日時点の審議状況:2015 年 3 月 17 日下院可決、3 月 18 日上院環境公共事業委員会において
受理
法案の内容(Congres.gov HP における要約の記述)
:
本法案は、科学諮問委員会の委員の選任手順、委員会の助言活動への参加の指針、および設置期間
について改訂することを目的として、 1978 年環境研究開発公開法(Environmental Research,
Development, and Demonstration Authorization Act of 1978)を改訂するものである。委員会は、環
境保護庁(EPA)に科学的助言を提供する。本法案は、委員会が独立して助言を提供することを要求
するものである。連邦政府登録ロビイストは委員に任命されてはならない。
EPA はその規制的提案及び文書におけるリスクまたはハザードのアセスメントの案文を委員会に提
出しなければならない。委員会の助言およびコメントは、当該提案に関する記録に含まれ、連邦公報
において公表されなければならない。
委員会の構成委員会(member committees)および調査パネルは、新たな諮問委員会への一般の人々
の参加要件を含め、本法案における会員、参加、政策の要件に即して運営されなければならない。構
1
米国の科学政策ホームページ 2015 年 6 月 21 日掲載
1
成委員会および調査パネルは、委員会に代わり意思決定を行う権限を有せず、また、直接 EPA に報告
を行ってはならない。
委員会は、(1) 政策の決定や提言を行うことを避けることに努め、(2) 不確実性を伝達し、(3) 委員
に自身の見解を知られるように開示することを奨励し、(4) その活動が EPA に影響を及ぼす最も重要
な科学的問題に対応しているということを確かなものとするために定期的にレビューし、そして(5) 完
全にまた適時な形で議会に対応しなければならない。
本法案は、連邦政府諮問委員会法(Federal Advisory Committee Act)または 1978 年政府における
倫理法(Ethics in Government Act of 1978)の要件に代えて適用されるものではない。
参照ウェブサイト:Congress.gov( https://www.congress.gov/ )
1-2.環境保護庁科学諮問委員会改革法案に対する共和党の見解(2015 年 3 月 17 日付け下院科学宇
宙技術委員会プレスリリース)
表題:下院は、EPA における科学的公正性を向上される両党合意の法案を可決した
内容:
・下院は本日、本委員会 Frank Lucas 副委員長および Collin Peterson 議員が提出した、EPA の外部パ
ネルに公正性、透明性そして独立性を付与する 2015 年環境保護庁科学諮問委員会改革法案を可決した。
・Lucas 副委員長は以下の発言を行った:同法案は、党派に関係なく保持すべき価値を反映する「良い
政府の法案」である。法案は、科学が政策論議において役割を果たし人々の科学に対する信頼を守るも
のである。法案は独立した科学諮問委員会(Science Advisory Board: SAB)が科学的公正性を守るもの
であることを回復させるものである。
・SAB は、連邦政府の規制を正当化するために利用され得る科学的、技術的情報を独立した専門的助言
を EPA および議会に提供するために 1978 年に設置された。過去数十年において、人々の参加の制限、
専門的助言に対する EPA の介入、潜在的な利益相反といった問題が生じるようになった。
・Smith 委員長は次の発言を行った:EPA はその活動を正当化させるために科学をゆがめて(twist)き
たことが知られている。しかし、EPA の結論に重要なチェックを行うことを意図したレビュー手順が存
在する。法案は EPA の科学諮問委員会の独立性を強化し、行政がその政治的アジェンダに向けて科学を
操作することができないようにするものである。米国民は規制的科学のレビューがバランスが取れて透
明性があることを期待している。
・環境保護庁科学諮問委員会改革法案は、委員会への手順と独立性に向けた科学的公正性を回復するも
のである。法案は、SAB が価値のある、偏向していない(unbiased)科学的助言を強化するための十分
にバランスの取れた専門家パネル、より高い透明性、そして人々の参加を保証するものである。法案は
236 票対 181 票の投票により可決された。
参照ウェブサイト:
http://science.house.gov/press-release/house-passes-bipartisan-bill-promote-scientific-integrity-epa
1-3.環境保護庁科学諮問委員会改革法案に対する民主党の見解(2015 年 3 月 17 日付け下院科学宇
宙技術委員会民主党プレスリリース)
表題:強い民主党の反対の中、下院は人々の健康をリスクに晒す EPA への科学的助言を制限する法案を
2
可決した
内容:本日、下院は、H.R.1029 2015 年環境保護庁科学諮問委員会改革法案を可決した。多数の科学、
公衆衛生、環境関連組織が、
「有害」で、
「不必要」であり「重要な健康、安全、環境保護を悪化させる」
ものであるとして強い反対を表明したが、党派的なものに近い形で可決された。
・環境省委員会の Bonamici 筆頭議員は、法案は的外れで、EPA が受ける科学的助言の質を制限し、EPA
の規制的手順を無期限に遅らせる。法案は産業の代表が、経済的利益相反がある場合でも委員会委員に
就任することを容易にする。科学諮問委員会や EPA のピアレビューのプロセスに産業の専門家が参加す
ることに反対するものではないが、法案は、経済的な利益相反による偏向が組み込まれ、アウトカムに
おける物質的関心が、単純な開示により委員会委員の判断や行動の色付けから除去されると想定されて
いる。議会は、連邦政府諮問委員会の見解が公正でバランスの取れたものとなるよう行われてきた長期
的な倫理面の要請や実践を悪化させる法案を承認すべきではない。
・さらに、より産業界の代表が SAB に参加するための過程で、法案は優れた科学者の参加と科学的助言
を妨げる。
・Johnson 筆頭議員は、法案が大学の科学者が委員会に参加することを取り止めさせるような多くの要
件が定められていることから、共和党議員は米国の大学の科学者に対し根本的な不信を持っているよう
に思われると発言し、最も知識を持つ大学の科学者が EPA に助言や専門性を提供することに反対するこ
とは理解できないとした。
・Bonamici 筆頭議員は非党派的な修正案を提出したが否決された。同議員は、SAB の公正性について
妥協することなく透明性への理想を向上させる案文を作成する機会は訪れることなく、代わりに人々の
健康と環境を守るという EPA の活動を遅滞させる法案が再び検討されていると発言した。
2.秘匿された科学改革法案とそれに対する両党の見解
2-1.法案の内容
H.R.1030
2015 年秘匿された科学改革法案
(Secret Science Reform Act of 2015)
法案提出者:Lamar Smith 下院議員(2015 年 2 月 24 日)
委員会:下院科学宇宙技術委員会、上院環境公共事業委員会
6 月 20 日時点の審議状況:2015 年 3 月 18 日下院可決、3 月 19 日上院環境公共事業委員会において
受理
法案の内容(Congres.gov HP における要約の記述)
:
(セクション 2)本法案は、環境保護庁(EPA)が、その対象とする活動を提案、取りまとめ、周
知することについて、その活動を支える全ての科学的および技術的情報が、個別に特定された最良の
利用可能な科学により支えられ、また、独立して行われた十分な分析と研究成果に関する十分な再現
性に基づく手順に基づき公表されるものでない場合は、禁止することを目的として 1978 年環境研究開
発公開法(Environmental Research, Development, and Demonstration Authorization Act of 1978)
を改訂するものである。対象とする活動は、リスク、被ばく、ハザードのアセスメント、基準文書、
標準化、制限、規制、規制的影響分析または指導である。科学的および技術的情報は、(1) 理解、アセ
3
ス、結論の延長に必要なマテリアル、データ、および関連のプロトコール、(2) 情報の生成と分析に関
係したコンピュータコードとモデル、(3) 記録された事実関連のマテリアル、及び(4) どのように情報
にアクセスし利用したかということに関する詳細な記述、が含まれる。
本法案は、EPA が科学的、技術的情報を公表することを要求するものでなく、いずれの非裁量的な
法令上の要件に優先するものでもない。
EPA は、本法案の実施において年間 100 万ドル以上の支出をしてはならない。
参照ウェブサイト:Congress.gov( https://www.congress.gov/ )
2-2.秘匿された科学改革法案に対する共和党の見解(2015 年 3 月 18 日付け下院科学宇宙技術委員
会プレスリリース)
表題:下院は、EPA の透明性を要求した
内容:
・下院は本日、本委員会 Lamar Smith 委員長が提出した、EPA がその規制を、公開された、最良の利
用可能な科学に基づき設けることとなる 2015 年秘匿された科学改革法案を可決した。
・Smith 委員長は以下の発言を行った:多くの米国民は、提案されているオゾン規制などの高い費用と
大きな負担を必要とする EPA の規制のいくつかは、EPA さえも見たことのないデータに基づいているこ
とを知らない。費用負担が大きい環境の規制は、独立した科学者や一般の人々が利用可能で、検証可能
なデータに基づくべきである。政府への信頼を回復し、人々に権力が取り戻される時である。本法案は
米国民に影響を及ぼす決定が、秘匿されたデータではなく、独立した検証が行われ、偏向していない
(unbiased)科学的研究に基づくことを確かとするものである。
・2013 年の Institute of Energy Research による世論調査では、90%の米国民は連邦政府の決定に利用
されたデータが公表されることに賛成している。
・秘匿された科学改革法案は、商工会議所、米国農業会連合、小企業・起業協議会、規制的解法センタ
ーなどを含むいくつかの全米あるいは州の事業者協会から支持する文書が届けられている。
・法案の条文は、大統領府の政策、主な科学ジャーナルのデータアクセス規定、両党政策センターの提
言、オバマ政権のトップ科学アドバイザーとも一貫性がある。EPA の科学諮問委員会の委員長は EPA の
アドバイザーは EPA による文章及びデータはピアレビューをとおし行われ、公表されることを提言する
証言を行っている。
・秘匿された科学改革法案は、科学的公正性とオープガバメントの新たな途を築く。
参照ウェブサイト:http://science.house.gov/press-release/house-demands-epa-transparency
2-3.秘匿された科学改革法案に対する民主党の見解(2015 年 3 月 18 日付け下院科学宇宙技術委員
会民主党プレスリリース)
表題:下院は、EPA を弱体化させるもう一つの法案を可決した
内容:
・本日、下院は、241 票対 175 票で秘匿された科学改革法案(H.R.1030)を可決した。H.R.1030 は検
証・再現可能な公表されたデータに基づく規制を通して EPA の透明性とアカウンタビリティーを向上さ
せるものとしているが、実際は EPA が効果的に機能することや、非公開の医療情報を含む最も妥当性の
4
ある科学的データの利用することを妨げるものである。法案が成立すれば EPA は人々を守るときに価値
ある研究を無視して行わざるを得なくなる。
・Johnson 筆頭議員は以下の発言を行った:下院は、人々の健康のための機関が科学を無視せざるを得
なくする法案に効力を付与したことを悲しく思う。それ程遠くない過去に当時の Boehelert 科学委員会
委員長(共和党)は、未来の世代に残す環境を守る必要があることを明らかにしている。共和党議員が
今でもそのことを信じていると考えたい。しかし、法案は、多数党の活動を支持する汚染された産業の
ために、科学を無視、人々の健康を無視し、環境への悪影響を無視する多数党が存在するという恐怖を
抱かせる。議会が産業の要望を批判的な視点で見なくなったことを懸念する。
・全米科学振興協会(AAAS)
、憂慮する科学者連盟(Union of Concerned Scientists)
、米国統計協会
(American Statistical Association)
、米国肺協会(American Lung Association)、米国公衆衛生協会
(American Public Health Association)
、天然資源防衛評議会(Natural Resource Defense Council)、
保全投票者連盟(League of Conservation Voters)といった科学機関、公衆衛生組織、環境グループが
法案に反対の意見を表明している。
・大統領府は、H.R.1030 に関する行政府の政策に関する声明(Statement of Administration Policy: SAP)
を発表し、立法に対する強い反対を表明し、大統領への上級アドバイザーは大統領に拒否権を行使する
よう提言するとした。
・H.R.1030 は 25,000 件の研究調査を公表するため、年間 100 万ドルを配分するとしているが、議会予
算室(CBO)は実施にかかる費用は年間 2 億 5000 万ドルであると見積もっている。
・Donna F. Edwards 議員は、経費に関する修正案を提出した。
・Katherine Clark 議員は、提出した修正案について、特に人々の研究にかかる多くの重要な研究は本法
案で除外される機微な個人情報に基づくものであることから、強固な評価(evaluation)とピアレビュー
によっても、あるいは、プライバシー保護の自発的な違反であっても、EPA は重要な研究を無視せざる
を得なくなる。このため、修正案は単に EPA は規制を作成する場合、データが公表されていなくても、
EPA は査読が行われた科学出版物に依拠することが出来るという単純なものであったと発言した。
参照ウェブサイト:
http://democrats.science.house.gov/press-release/amidst-strong-democratic-opposition-house-passesbill-limiting-scientific-advice-epa
3.両法案に対するアカデミックコミュニティー等の意見
両法案に対するアカデミックコミュニティー等からの意見書は、民主党科学宇宙技術委員会の以下の
ホームページにおいて 11 通が掲載されているが、以下においては全米科学振興協会(AAAS)及び憂慮
する科学者連盟(YCS)から送付された意見書の内容を紹介する。
http://democrats.science.house.gov/markup/full-committee-markup-hr-secret-science-reform-act-201
5-and-hr-epa-science-advisory-board
3-1.全米科学振興協会(AAAS)による意見書
日付:2015 年 2 月 24 日
宛先:Smith 下院科学宇宙技術委員会委員長、Johnson 下院科学宇宙技術委員会筆頭議員
5
差出人:Geraldine Richmond AAAS 会長
意見書の内容:
・2015 年秘匿された科学改革法案に対し懸念を示し、貴殿及び同僚議員に対し、委員会における取りま
とめに先立ち意図しない結果に対する追加的検討を促す。
・研究コミュニティーは法案の「マテリアル」、
「データ」、
「再現性(reproductive)」など、いくつかの
用語が翻訳・誤訳される可能性について懸念する。EPA は物理的試料や生物的マテリアルは容易に利用
できるのか、EPA は公的なデータと私的なデータをどのように統合するのか?
・研究の再現性については、特に公衆衛生など、特定の研究分野においては、長期にわたり、大規模な
再現が困難な調査が含まれる。これらは統計モデルを通した複製・再現(replicated)による。また、こ
の問題は一度きりの事象の科学的データにも当てはまる。EPA が提案したり、人々に適時な情報を提供
したりすることについて制限されることが見込まれる。
・この立法は、費用負担について明確でないため連邦政府研究グラント受領者に対し、補償されない費
用と努力を課すことになる可能性がある。
・科学技術政策室(OSTP)は連邦政府と協力し、データへのアクセスに関する検討を行っていることか
ら、議会はこれを待つことを助言する。
・この懸念は 43 の学会、大学、高等教育機関の協会により支持されたものである。
参照ウェブサイト:
http://democrats.science.house.gov/press-release/house-passes-another-bill-undermine-epa-0
3-2.学会、大学、高等教育機関の協会による意見書
日付:2015 年 3 月 16 日
宛先:Kevin McCathy 多数党院内幹事
差出人:以下の機関
意見書の内容は上記3-1.全米科学振興協会(AAAS)による意見書と同様である。
差出人:
American Anthropological Association
American Association for the Advancement of Science
American Chemical Society
American Geophysical Union
American Geosciences Institute
American Meteorological Society
American Society for Microbiology (ASM)
American Society of Agronomy
American Society of Civil Engineers
Association of American Geographers
Association of American Universities
Association of Public and Land-grant Universities (APLU)
Biophysical Society
Brown University
Consortium for Ocean Leadership
Consortium of Social Science Associations
Cornell University
Crop Science Society of America
Duke University
Ecological Society of America
6
Entomological Society of America
Harvard University
Massachusetts Institute of Technology
National Council for Science and the Environment
Society for Conservation Biology
Soil Science Society of America
Stanford University
The Ohio State University
The University of Texas at Austin
University of California System
University of California, Riverside
University of Maryland
University of Michigan
University of Oregon
University of Pennsylvania
3-3.憂慮する科学者連盟による「環境保護庁科学諮問委員会改革法案」に対する意見書
日付:2015 年 3 月 2 日
宛先:下院議員
差出人:Andrew A. Rosenberg 憂慮する科学者連盟科学と民主主義センター長
意見書の内容:
・憂慮する科学者連盟(Union of Concerned Scientists)は、法案に強硬に反対する。法案は、最良の
利用可能な科学に基づき人々の健康を守る EPA の能力を大きく妨げるものである。
・前年の同様の法案に対し政権が拒否権の行使の可能性を示した際、その法案は専門家の任命に悪影響
が及び SAB の科学的独立性と公正性が弱体化するとしたが、本法案においても状況は同様である。
・この提案は、SAB が、EPA が人々の健康を守ることを可能とする EPA の科学的分析に関する重要な
独立した評価(evaluation)を行うことをほとんど不可能とすると思われる。法案は、SAB における企
業の影響力を増大させる扉を開くものである。
・法案は企業の専門家が SAB に参加することを奨励しているが、このことは、直接的または間接的に自
身の研究活動の評価(review and evaluation)に関わる助言活動における専門家の参加を禁止すること
により、大学の専門家が意味ある形で参加することに対する障害を造り出す(注:当該分野の研究を行
うことが間接的な利益相反を伴うという考えによる)。
・SAB の委員が、自身の研究活動を引用する形の参加が十分にできないという考えが導かれることから
非生産的、非常識なものとなる。
・2014 年の法案とは異なり、本法案は SAB の専門家は出版された査読済みの研究を用いることが認め
られたが、法案の条文は曖昧であり、多くの疑問を抱かせる。
・法案は、人々の意見の定期の機会についてはほとんど制限を設けていないが、このことにより、例え
ば SAB は個々の主要な活動において公開の情報集会において「科学の状況についての議論」をしなけれ
ばならなくなっている。
・この要件下において、SAB は気候変動や特定の有毒物質などについて、科学の状況を繰り返し再検討
することとなる可能性がある。
・EPA は SAB に対する質問について、人々の意見を「受け入れ、検討し、対応する」ことが求められ、
また、パブリックコメントが奨励されているが、これにより科学的評価(evaluation)が人々のヒアリン
7
グに変化する。
・意見の受付に期限を設けない中で、EPA は重要な(significant)意見に回答することが求められてい
る。
・前年に CBO は法案により 4 年間で 200 万ドルの経費が必要となると試算したが、資金のより良い支
出先がある。
・法案は SAB を改善せず、EPA が独立した科学的助言を得ることは困難である。
3-4.憂慮する科学者連盟による「秘匿された科学改革法案」に対する意見書
日付:2015 年 3 月 2 日
宛先:下院議員
差出人:Andrew A. Rosenberg 憂慮する科学者連盟科学と民主主義センター長
意見書の内容:
・UCS は全米の 45 万人の会員と支援者とともに、法案に強硬に反対する。法案は問題を生み、人々の
健康と環境を守るという EPA のミッションを阻害する。
・法案は前年の委員会報告のものと類似のものであるが、前年の法案では EPA が人々の健康の安全と環
境を守ることを妨げるものであるとして、政権により拒否権の行使の可能性が示されている。
・2015 年の版の用語は、起草者の真の意図が不明確なものとなっている。
・EPA は既に依拠するデータ、手法、ピアレビューによる研究を可能な限り透明性を高めており、法案
による追加的な制限は利用可能な最良の科学的情報による人々の保護をほとんど不可能とする。用語の
点で以下のよう課題が生ずると考えられる。
‐EPA は大半の健康に関する調査を利用することができない。
‐EPA は産業のデータソースの利用ができない。
‐EPA は最新の革新的な科学を利用できない。
‐長期的分析およびメタ分析は利用できない
・法案は EPA が人の健康と環境を守る科学に基づき行うミッションを阻害するものであり、反対する。
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