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13.院内下痢症

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13.院内下痢症
亀田 1 ページで読める感染症ガイドラインシリーズ 13
院内下痢症
感染症内科
稲角麻衣
監修
細川直登
最終更新日
2009年7月1日
院内下痢症とは、入院後少なくとも 72 時間以上経過してから新たに出現したものをさす。原因の過半数
は薬剤性や経管栄養など非感染性であるとされている。
院内下痢症における細菌感染症の占める割合は約 30%程度とされているが、その中でも抗菌薬に関連した
下痢症の1つである偽膜性腸炎は、感染管理の観点からも注意が必要である。
偽膜性腸炎は、抗菌剤の使用で正常腸内細菌叢が壊された場合、Clostridium difficile(C.difficile)の感染に
より引き起こされ、入院患者の下痢症の原因として重要である。抗菌剤による下痢症例の 15-25%で
C.difficile が確認される。C.difficile 関連下痢症とも呼ばれ、クリンダマイシン、広域セファロスポリンな
どが原因となりやすいが、実質的にすべての抗菌剤が原因となりうる。
<診断>
●便培養検査について
" Modified 3 days rule" より
入院後 4 日(72 時間)以上経過している場合の便培養検査は、通常は提出しない(入院 3 日以内は提出して
も良い)。院内において、便培養で検出すべき Campylobacter, Salmonella, Shigella による下痢症(食中毒)
は、稀であるため。ただし、下記の場合は最大 2 回を限度に便培養を行う。
・65 歳以上で基礎疾患がある
・HIV 感染症患者
・好中球 500/μL 以下
・集団発生の場合
●CD トキシン検査について
入院後 4 日以上経過(介護施設などもリスクとなる)・過去数ヶ月以内の抗菌剤使用歴・高齢者・重症な基
礎疾患などのリスクのある患者に、腹痛・発熱・下痢(認められないこともある)・白血球増加などを認め
た場合、積極的に疑って便の CD トキシン検査を施行する。
感度は低い(63-99%)ため、3 回までは繰り返して提出する。
CD トキシンが陰性でも強く疑われる場合は大腸内視鏡検査を実施し、直腸の偽膜形成があれば診断しうる。
<偽膜性腸炎の治療>
・C.difficile による下痢の加療で最も大切なのは抗菌剤をやめること。これのみで改善することも多い。
・CD トキシンが陽性で下痢・腹痛・嘔気嘔吐の症状がある場合、および CD トキシンは陰性でも臨床的に強く疑
われる場合、以下の投与を推奨する。
>>メトロニダゾール(250mg) 2 錠を 1 日 3 回 (1日量 1500mg)
10~14 日間
・再発は 10-25%に起こり、治療終了後数日以内が多いが、1-2 ヶ月後に起こることもある。1 回目の再発
であれば、初回と同様の治療。
・複数回の再発例や、重症例では感染症内科コンサルトを考慮。
・治療判定は症状で行い、Cdtoxin 検査は実施しない。
<偽膜性腸炎の予防策>
C.difficile に対しては接触感染予防が必要となる。芽胞となって医療従事者の手などを通じて感染しうる
ため、速乾式のアルコール製剤では不十分で、各患者のケアの間の流水による手洗いが望ましい。また、
不要な抗菌剤の使用を避けることも予防効果がある。接触感染予防は患者症状改善ののち、解除としてよ
い。
参考文献
・Antibiotic-Associated colitis:Mandell, Douglas, and Bennett's Principles and Practice of Infectious
Diseases
・Clinical manifestations and diagnosis of clostridium difficile inefection/ Treatment of
UpTo Date ONLINE17.1
antibiotic-asssociated diarrhea caused by Clostridium difficile
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