...

解明!「会話」ブームの秘密

by user

on
Category: Documents
14

views

Report

Comments

Transcript

解明!「会話」ブームの秘密
NHK総合テレビ 毎週水曜日・午後8時から放送中
http://www.nhk.or.jp/gatten/
解明!「会話」ブームの秘密
2008年1月23日放送
今回の番組について
昨年流行語大賞にノミネートされた「KY(空気が読めない)」。気にしている人が多いのか、「会話
術」が大ブーム。人前での会話の仕方を教える教室や指南本も続々登場しています。以前は結婚式など
での「スピーチ」術について書かれた本が人気でしたが、今はむしろふだんの「会話」の上達法につい
て書かれたものが主流です。
ガッテンが20~80代の300人の男女に行ったアンケートでは、自分の会話力に「自信がない」と答えた人
が全体の7割もいました。
そこでガッテンが最新の脳科学や心理学で日常会話の不思議を大研究! すると会話力アップの秘訣は
「鏡」? 一体どういうことでしょうか?
「実録!会話の現場」
会話に詰まったり、盛り上がったりするのはどんな時でしょうか?
会話にはそこそこ自信があるという男性たちが「赤」「青」2チームに分かれ、初対面の女性たち
と1対1で会話を始めました。女性陣の足元には「会話が面白くない」と感じた時に点灯する赤ランプの
ボタンを仕掛けてあります。
「赤」チームはなぜか何回もランプをつけられしまうのに対し、「青」チームは一向にランプはつきま
せん。
赤チームと青チームの差は、話すときの表情にありました。青チームは、赤チームに比べ、表情豊かに
話していました。ちなみに、赤チームの男性に同じ内容の話を表情をつけて話してもらうと、印象が
まったく変わってしまいました。
「男女に何が?青チームの大ピンチ」
1回戦では「赤ランプ」がほとんどつかなかった青チーム。2回戦も順調に会話が続いていましたが、突
然女性たちがランプを一斉に付け始めました!
実は、スタッフが聞き役の女性陣に、あえて表情を作らずに話を聞いてもらうよう合図を送ったので
す。すると男性陣は動揺し、話し方がぎこちなくなります。その結果、女性陣がランプを付け始めたの
です。
つまり、表情と感情が「伝染」していたのです。このような現象の説明として、いま「ミラー・ニュー
ロン仮説」というものが注目されています。
「ミラー・ニューロン仮説」とは
90年代にイタリアの研究者が提唱した仮説です。脳には、相手の動作を見たとき、あたかも自分も同じ
動きをするかのように活性化する神経群があるというのです。元々はサルの実験で発見されましたが、
最近の研究で、ヒトにもそのような脳の領域があることが分かってきました。
たとえば、人の脳は、サルやイヌの声を聞いたとき、聴覚をつかさどる領域だけが活性化します。しか
し、人が話しているのを見たり聞いたりするときは、聴覚だけでなく、言葉を発するために口やのどを
動かす神経の領域も活性化します。この領域こそが「ミラー・ニューロン」だと考えられ始めていま
す。
私たちが「表情」や「音の調子」から相手の「感情」が分かることがよくあります。それは、脳の中
で、「鏡のような神経=ミラー・ニューロン」が働き、相手がどのような感情で話しているのかを、ま
るで自分も追体験しているかのように働いているのではないかというのです。
「そんな顔でミラーれると……」
番組のオーディションという名目で多くの人に集まってもらい、会議室で面接を行いました。実はこの
とき、応対するスタッフの表情の違いが、相手にどう影響するかをマジックミラーで観察していたので
す。
スタッフが無表情の時は相手も無表情になるのに対し、スタッフが突然笑顔を作ると相手も笑顔になり
ます。表情が伝染したのです。
ちなみに、無表情の男性の話を聞いている時のゲストは無表情、笑顔で話すのを聞いている時のゲスト
はやはり笑顔でした。
つまり、どんなに面白い話でも、話し手が「ほんとうに面白い」と感じ、笑顔で話さなければ、相手に
は伝わらず、もっと話を聞きたいと思えなくなります。だから、「会話上手な人」を目指す前に、「会
話しやすい人」になることが大前提なのです!
「ミラーリング実験」
性格テストという名目で集まってもらった人たちに心拍計をつけ、面接官役のスタッフと会話をしても
らいました。最初は緊張のためか、心拍数は高めでした。ところが途中から、スタッフが相手の仕草や
言葉を真似しはじめると、次第に心拍が低下していきました!
話し手の仕草を真似したり、言葉を繰り返すことを「ミラーリング」といいます。心理カウンセラーも
使う方法で、話し手に好感を持っていることが無意識に伝わり、相手が話をしやすくなると言われてい
ます。
また、初対面の2人に自由に会話をしてもらいました。でも実は、ひとりは役者さん。最初は当たり障り
のない気候の話ばかりでしたが、スタッフがプライベートの話をしてもらうよう促すと、相手も自分の
家族の話を始めました!
自分と相手に一定の関係がある場合、一方が家族や仕事の悩みなど少し「突っ込んだ」話をすると、相
手も同じレベルの話をしてくると言われています。これを心理学用語で「自己開示の返報性」といいま
す。
Copyright NHK (Japan Broadcasting Corporation) All rights reserved.
許可なく転載することを禁じます。
Fly UP