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抄録集
抄 録 集 1.Gumbel 法を用いた金属アーチファクト低減処理後の アーチファクト量の検討 鶴岡市立荘内病院 ○久保 真菜子 落合 一美 東芝メディカルシステムズ 大橋 侑真 宮澤 大輔 【背景・目的】 2015 年 3 月,当院に TOSHIBA 社製 CT 装置 Aquilion ONE が導入され, 体内金属のある患者に対して金属アーチファクト低減処理 (Single Energy Metal Artifact Reduction:SEMAR)が用いられるようになった.そこで SEMAR を臨床で有効に活用するために,撮影条件と撮影位置の検討を行った ので報告する. 【方法】 寒天ファントム内にペディクルスクリューとロッド(チタン製)を配置した自 作ファントムを作成し,TOSHIBA 社製 CT 装置 Aquilion ONE を用いて Volume Scan を行った.検討項目は,①mAs 値を固定し,回転速度を 0.5/0.75/1/1.5[s/rot]と変化させた場合の SEMAR 処理後のアーチファク ト量の評価と,②ガントリ内の金属位置を,センターから左右 10cm,15cm と変化させた場合の SEMAR 処理後のアーチファクト量の評価とした.アーチ ファクト量の解析は,解析対象画像内の金属周辺に上下左右の 4 ヶ所に関心領 域を設定し,その関心領域内のデータを抽出し,Gumbel 法にて行った. 【結果】 ①回転速度の変化 0.5s/rot と 0.75s/rot ではアーチファクト量の差は小さく,解析箇所や金属 位置によって,値の大小関係にばらつきが見られた.しかしながら 1s/rot, 1.5s/rot では 0.5s/rot や 0.75s/rot と比較すると,回転速度が遅くなるにつ れてアーチファクト量が減る傾向となった. ②金属位置の変化 0.5s/rot と 0.75s/rot では,センターより左右 10cm,15cm と off center になるほどアーチファクト量が増える傾向にあった.しかしながら 1s/rot と 1.5 s/rot では傾向が異なり,値の大小関係にばらつきが見られた. 【結論】 整形領域において SEMAR を用いる際,動かずに検査を受けることができる 患者や,動きの影響が少ない部位では,1s/rot,1.5s/rot を用いることで 0.5s/rot と 0.75s/rot に比べ,よりアーチファクトが低減できることがわかっ た.またポジショニングをする際,金属位置をガントリのセンターに近づける ことも有用であることが示唆された. 2.金属アーチファクト低減再構成法 SEMAR の臨床的有用性について 公立学校共済組合 東北中央病院 放射線科 ○菅原 秀明 高橋 幸子 佐々木 竜馬 菅野 亨 児玉 潤一郎 【目的】 近年、SEMAR の臨床的有用性が文献や発表などで分かってきている。ただ、 SEMAR の金属アーチファクト除去は不完全であり、さらに SEMAR によるア ーチファクトを発生させる場合がある。SEMAR での基礎的実験を踏まえ、臨 床に反映させる方法について検討を行う。 【使用機器】 CT:Aquilion ONE Global Standard Edition TOSHIBA 製 ファントム:Catphan CTP700 TOYO MEDIC 製 自作ファントム 金属:人工骨頭・文鎮等 解析ソフト:ImageJ 【方法】 (1)人工関節を想定し Catphan ファントムを人工骨頭2本で挟み、ヘリカ ル撮影・ボリューム撮影で様々な撮影条件で行い、SEMAR の効果を検証し た。 (2)両側の膝の人工関節を想定し自作ファントムに2本の文鎮をいれて、FOV 中心から少しずつ外側にずらして撮影を行い SEMAR の効果を検証した。 【結果】 (1)ほとんどの金属アーチファクトの除去が良好であったが、160mm(320 列)ボリュームで骨頭部位に、SEMAR によるアーチファクトが発生した。 (2)収集 FOV 内では金属アーチファクトの除去が良好であったが、収集 FOV 外に金属があると金属アーチファクトの除去は不良だった。 【考察】 (1)160mm(320 列)ボリュームで撮影を行うときは、Z 軸方向の端の金 属に注意する必要がある。ヘリカル撮影・ワイドボリューム撮影が望ましい。 (2)両側の膝に人工関節がある場合は、片側撮影が必要な時は、片側のみの 撮影ではなく、両側を撮影し SEMAR をかけて拡大再構成を行うほうが望ま しい 3.当院の BT(二値化法)による頭部3DCTA の紹介と検討 山形県立中央病院 ○鈴木 由卯子 荒木 隆博 和田 由美子 工藤 昌広 小野 勝治 瀬野 昌文 【目的】 当院における Aquilion ONE を使用した頭部 3D-CTA 撮影は、導入当初、 目視によるマニュアルスタートで撮影を開始していた。そのため、撮影者間・ 被験者間で CT 値のばらつきがあり、二値化法による撮影を導入するに至った。 今回、二値化法の有用性の評価を行ったので報告する。 【使用機器】 CT:Toshiba 社製 AquilionONE インジェクター:根本杏林堂製 デュアルショット GXV WS:テラリコン 造影剤:イオパミロン 370 80ml or オム二パーク 350 70ml 後押し用 生理食塩水 50ml 【方法】 二値化法:第 1 頸椎レベルをトリガースライスとし、プリセットウィンドウ WW1、WL200 とする。内頚動脈の辺縁が円形に染まったらスキャン開始と する。 上記の二値化法による撮影のウィリスリングレベルの CT 値を測定し、被験 者間および撮影者間のばらつき等を評価した。 撮影条件:120kV 270mAs 0.75sec 320 列ボリューム撮影 造影条件:4ml/s 50ml+生食後押し 4ml/s 30ml なお、造影剤使用量は体重規定での投与は行っていないため、体重 50kg前 後のデータを対象とした。 【結果】 二値化法による撮影により、脳動脈の CT 値は VR 作成および診断に十分な 値が得られた。また、撮影者間のばらつきも小さかった。 【結語】 二値化法は被験者間、撮影者間ともに CT 値のばらつきが少なく、有効であ り、医師からも高評価であった。二値化法の利点は撮影の簡便性であるが、脳 圧亢進時など適応を迷う場合もあり、考慮が必要である。今後は頚部3DCTA に対しても検討していきたい。 4.腹部 CT における非剛体補正サブトラクション処理の有用性の検討 山形県立河北病院 放射線部 ○吉田 直人 結城 歩 菅井 敬一 山形県立中央病院 中央放射線部 今野 雅彦 森田 健一 【背景】 現在のサブトラクション処理は位置や回転のみを補正する「剛体補正」が主 流であり、呼吸位相のずれ等が生じる腹部領域ではその適応は難しい。しかし 最近「非剛体補正」、つまり2つの物体のうち片方を変形してサブトラクション する技術が搭載され始めている。 【目的】 腹部 CT において、非剛体補正サブトラクション処理の有用性を検討する。 【使用器材】 ・ CT 装置 Aquilion ONE(東芝メディカルシステムズ) ・ 3D ワークステーション Aquarius iNtuition Edition (テラリコン) 【評価方法】 腹部 CT 検査における単純と造影の Thin slice データ間で非剛体補正サブト ラクションをおこない、出力結果に対して視覚的に評価した。 【結果】 ・ 自動骨除去機能が使用できないケースであっても迅速な血管構築が可能で あった。 ・ 剛体補正サブトラクションと比較し、より精度の高い差分画像が得られた。 ・ 石灰化を除去した MIP 画像により、血管の視認性が向上した。 【考察】 ワークステーションによるレトロスペクティブな処理であっても、呼吸位相 のずれなどを補正した良好な画像を得た。頸部血管 CTA など多部位への応用も 可能と考えるが、より精度の高い検証のためには血管造影画像との比較検討が 必要であり、今後の検討課題とする。 5.冠動脈 CT における非剛体補正サブトラクション処理の有用性の検討 山形県立中央病院 中央放射線部 ○今野 雅彦 森田 健一 山形県立河北病院 放射線部 吉田 直人 結城 歩 菅井 敬一 【目的】 近年、「冠動脈サブトラクション CT」が開発され、一部の施設で研究されて いる。しかし、機械的な制限もあり、一般病院では使用することが難しい。そ こで、石灰化スコア用の単純 CT と冠動脈造影 CT の既存の検査画像に対して、 非剛体補正を使用して正確な位置合わせを実施することで、正確な冠動脈サブ トラクション CT 画像を作成できることを検証する。 【方法】 <使用機器> CT 装置 Aqilion One(東芝メディカルシステムズ) ワークステーション:Aquarius iNtuition Edition (テラリコン・インコーポ レイテッド) <手順> 1. 冠動脈 CT 画像をリファレンスにして、石灰化スコア画像に非剛体補正を施 す。 2. 冠動脈 CT 画像から非剛体補正後の石灰化スコア画像を引算する。 3. 石灰化が除去された画像に対して、MIP 画像や CPR 画像を作成して、視覚 的に有用性を検討する。 【結果】 非剛体補正による位置合わせを使用しても、正確な冠動脈サブトラクション CT 画像を作成することができた。画像を供覧する。 【考察】 ・石灰化スコア画像を用いるため、非剛体補正用に特別に単純 CT を撮影する 必要がない。 ・被検者への追加被曝は発生しない。 ・後処理だけで付加価値の高いサブトラクション画像が臨床に提供できる。 ・石灰化スコアと冠動脈 CT の位相は、非剛体補正を有効にするために近い必 要がある。 ・強度石灰化による狭窄に対しても血流の評価がより正確にできるだろう。 ・運動範囲の大きな部位(肋骨など)には、非剛体補正の補正は動作しなかっ た。 【結論】 既存の画像に対して、非剛体補正による位置合わせを使用しても、正確な冠 動脈サブトラクション CT 画像を作成することができた。 6.前立腺 VMAT における CBCT 画像収集方法の違いによる 被ばく線量の比較 山形大学医学部附属病院 放射線部 ○山澤 喜文 水谷 康朗 保吉 和貴 山崎 智香 齋藤 之寛 岡田 明男 山形大学医学部がんセンター 鈴木 幸司 [目的] 前立腺 VMAT 時、毎回 CBCT 撮影にて位置照合を行っているが、現在の Fullscan 撮影(360°収集)に対し、Halfscan 撮影(200°収集)がリスク 臓器の被ばく低減につながるか、画質と線量を比較検討する。 [方法] Fullscan 撮影と Halfscan 撮影で Catphan ファントムを撮影し、ImageJ にて SD、CNR を測定する。Halfscan 撮影は収集角度として、X 線管 270° ~70°(寝台下回り)と 110°~270°(寝台上回り)2 通りを設定した。 Fullscan 撮影と Halfscan 撮影で同等な画質となる撮影条件を求め、ランドフ ァントムと蛍光ガラス線量計を用いて組織吸収線量を測定し、線量評価を行っ た。 [結果] Halfscan 撮影の寝台上回り、下回りとも、Fullscan 撮影と同等の画質の撮 影条件では、ほぼすべての測定点において被ばく線量の低減効果があった。膀 胱、直腸では、寝台下回りの場合それぞれ 70%、20%、寝台上回りの場合 14%、 63%の被ばく線量の低減が認められた。Halfscan 撮影により、画質を維持し つつリスク臓器の被ばく線量が低減できることが示唆された。さらに、寝台下 回り、寝台上回りを組み合わせることにより、直腸、膀胱の被ばく線量の低減 効果が期待できる。 7.自由呼吸下 CBCT における収集方法が ITV 評価へ与える影響 山形大学医学部附属病院 放射線部 ○保吉 和貴 斎藤 之寛 水谷 康朗 岡田 明男 山形大学医学部東北未来がん医療学講座 金井 貴幸 山形大学医学部がんセンター 鈴木 幸司 【背景・目的】 体幹部定位放射線治療(stereotactic body radiation therapy:SBRT)では、 照射直前に CBCT を撮影し位置照合を行うことでより高精度な治療が可能であ る。しかし腹部圧迫法を用いた肺 SBRT の場合には、平均的な呼吸性移動を含 んで画像化しているに過ぎず、モーションアーチファクトによる ITV(internal target volume)の過小評価が問題となる。今回は自由呼吸下の CBCT において 収集方法が ITV 評価に与える影響について検討した。 【方法】 模擬肺腫瘍ファントムとして RT3000-NEW(R-tech)を使用した。これに呼 吸運動の駆動部として Respiratory Gating System AZ-733V(安西メディカ ル)を接合し動体ファントムを作成した。治療計画用 CT にて 4DCT、治療装置 にて位置照合用 CBCT を異なる収集方法(360°収集、200°収集)にて撮影し た。画像は放射線治療計画支援ソフトウェアへ転送し各々の輪郭を描いた。そ の輪郭から Z 軸長、X-Y 軸長、輪郭体積を求め 4DCT をリファレンスとして 評価した。 【結果】 輪郭中心での X-Y 軸長は撮影条件を変更してもほぼ変化なかった。Z 軸長は 4DCT、CBCT(360°収集)、CBCT(200°収集)の順で低下した。輪郭 体積は 4DCT、CBCT(360°収集)、CBCT(200°収集)の順で減少した。 8.放射線治療装置の受入試験と精度管理について 山形市立病院済生館 ○渡部 遼太 兵庫 健一 松田 善和 黒田 功 中嶌 徹 【背景・目的】 当院では、昨年放射線治療装置を更新し、同年の 12 月より稼働した。 放射線治療では、高精度化が進み、それに伴ってより正常組織の被ばく線量 の低減、標的体積の線量の増加が可能となってきているが、その分安全な医療 の提供のためにも精度管理による品質の維持がより重要となってきている。 また、装置の導入時の理解も重要であるため、導入までの流れを振り返り、 特に受入試験と精度管理について着目し、紹介することにした。 【方法・内容】 放射線治療装置導入までの流れの中で行われる受入試験について整理する。 受入試験は、大きく・加速器・寝台・kV 画像収集用イメージング装置(XVI) ・.MV 画像収集用イメージング装置(iViewGT) ・定位コーンの項目に分かれていたが、 今回はその中の XVI に着目し、試験に用いられた画像を交えながら、試験の方 法と結果についてまとめる。 また、稼働後の精度の推移の把握のためにも、XVI において定期的に行って いる精度管理の結果についてもまとめ、受入試験の結果と比較を行った。 【結果】 受入試験、その後の精度管理の結果共に許容範囲内におさまっていた。 【まとめ】 全項目において許容範囲内におさまってはいたが、項目によってはばらつき があり、許容値の境界付近のものもあったため、今後の定期的な点検を通して、 注意深く観察し、精度管理を行っていきたい。 9.ERCP 検査における放射線防護具の被ばく低減効果について 山形大学医学部附属病院 放射線部 ○佐藤 有希 山崎 智香 佐藤 優輝 齋藤 暢利 宮野 望 日野 隆喜 大沼 千津 谷地 守 岡田 明男 【目的】 当院では 2014 年より ERCP 検査時に装置取付型の放射線防護具(以下 ERCP 用防護具とする)を使用している。今回、この防護具使用時の室内空間 線量率を測定し、防護具の効果および従事者の被ばく低減について検討を行っ た。さらに、追加防護具として防護衝立、天井懸垂型防護板を使用した場合の 効果についても検討を行った。 【方法】 床面からの高さ 100cm、150cm における室内空間線量率を ERCP 用防護 具の有無別に電離箱式線量計にて測定を行った。なお、測定間隔は X 線入射中 心を床面に投影した点から 50cm 格子間隔とした。測定結果をもとに室内空間 線量分布図を作成した。 同様の測定配置にて、防護衝立、天井懸垂型防護板を追加した場合の室内空 間線量率を測定し、室内空間線量分布図を作成した。 【結果】 ERCP 用防護具の使用により、高さ 100cm では最大 73.8%、高さ 150cm では最大 86.6%の低減効果があった。しかし、高さ 100cm では寝台付近で低 減率が 55%程度に留まる点があり、追加防護具を設置するとその点での低減率 が約 12~45%改善した。 【考察】 ERCP 用防護具を使用しない場合、従事者は水晶体防護ゴーグルや甲状腺防 護具の使用が必須であると考えられる。当院では、従事者は感染防護ゴーグル 等を使用しているため水晶体防護ゴーグルの使用率は低い。また、甲状腺用防 護具の着用は個人の判断に委ねられている。ERCP 用防護具を使用することで、 身体的負担なく、頭頚部被ばくの低減に効果があると考えられる。さらに、ERCP 用防護具とファントムの隙間からの散乱線遮蔽として追加防護具の使用は有用 である。 10.C アーム型 X 線 TV 装置導入における術者の被ばく状況の検討 日本海総合病院 放射線部 ○鈴木 挙 佐藤 公彦 川村 司 多田 繁 難波 ひろみ 【目的】 当院内視鏡室では平成 27 年 9 月に C アーム型 X 線 TV 装置が導入され、内 視鏡的逆行性胆管膵管造影(以下 ERCP)等の検査はアンダーチューブ方式を 利用して行われている。装置の更新に伴い、昨年度報告したオーバーチューブ 型 X 線 TV 装置における術者の被ばく・散乱線量分布と更新後の被ばく状況と の比較を行ったので報告する。 【方法】 1.50 ㎝間隔で散乱線量を測定し、透視室内の散乱線量分布図を作成、比較 した。 2.透視条件(線量モード・パルスレート・拡大率・SID)、測定点の高さを変 えて散乱線量の測定を行った。 3.ポケット線量計を医師・看護師の胸部に装着し、ERCP 時の散乱線量を実 測した。さらに前装置との散乱線量と比較した。 【結果】 1. 散乱線量分布を可視化することで立ち位置や遮蔽物を考慮しながら検査 に臨めるようになった。 2. 透視条件による散乱線量の変化を測定・周知することで、検査時における 術者の被ばく低減にむけて意識共有ができた。 3. 更新前の装置と比較し、60~70%程度の散乱線低減効果が得られたが、 立ち位置によっては低減が見られないことがあった。 【まとめ】 アンダーチューブ方式のメリットとしてオーバーチューブ方式と比べ上半身 の被ばくを低減できるということが挙げられる。また、防護板などの放射線防 具具の活用や検査中の立ち位置を検証することで更に術者の被ばくを少なくで きると考えられる。 装置の特性をスタッフ間で共有し、より一層検査の円滑化・被ばくの低減化 に努めていきたい。 11.X 線透視検査における立位での空間線量の可視化 済生会山形済生病院 放射線部 ○佐藤 洸 新宮 幸博 千葉 まい 佐藤 祐加 大内 智彰 【目的】 X 線透視検査時,立位時の空間線量分布はあまり知られていない.そこで, 臥位と立位での散乱線による空間線量分布の可視化を行ったので報告する. 【使用機器】 ・ X 線透視診断装置:ZEXIRA DREX-ZX80 (東芝社製) ・ 電離箱式サーベイメーター:ICS-321 (ALOKA 社製) ・ アクリルファントム:45cm×22cm 【方法】 ・ 寝台をホームポジションから起倒させ,X 線の中心にアクリルファントムが 来るように設置し,臥位・立位の測定を行った. ・ アクリルファントム厚は,22cm とした. ・ 測定点は,立位時の寝台とファントムの接点から下垂した点を中心とし, 50cm 間隔に測定ポイントを設け,高さ 100cm と 150cm の点とした. ・ 通常医師が立っている位置を Dr ポイント・看護師が立っている位置を Ns ポイントとし,撮影時の線量を測定した. 【結果】 ・ 立位にすると,X 線管側に線量分布が大きくシフトした. ・ 臥位・立位ともに,100cm に比べて 150cm の位置の方が全体に高い値を 示した. ・ 150cm 高の撮影時の線量は,Dr ポイントで約 3 倍,Ns ポイントで約 9 倍立位ポジションの方が多い値を示した. 【考察】 ・ 立位時,Ns ポイントで線量が増加するため,スタッフへの分布図を用いた 説明が必要と考える. ・ 立位時,距離の逆2乗に比例して減衰してもなお,高線量である方向が存在 するため,理解して業務にあたる必要がある. 【結論】 ・ 線量測定を行い,線量分布を可視化することにより,空間線量分布の理解を 深めることができた. ・ 立位ポジションで大幅に分布が変わること理解し,被ばくに対し高い意識レ ベルで業務に従事することが必要である. ・ この測定結果をふまえて,これからも臨床の被ばく低減に努めていきたい. 12.嚥下造影検査における診療放射線技師の関わりについて 公立置賜総合病院 放射線部 ○小関 沙織 鈴木 康則 竹田 亜由美 土屋 一成 【はじめに】 当院では耳鼻科・脳神経外科領域での嚥下障害の評価と治療計画を、X線透 視装置による嚥下造影検査(videofluroscopic examiation of swallowing:以 下 VF)によって行っている。 VF を行う際の診療放射線技師の役割や他職種との関わり、当院での検査の流 れを報告する。 【目的】 当院では2台の透視装置があり、VF は主に脳神経外科と耳鼻咽頭科からの依 頼が多い。 医師・言語聴覚士・管理栄養士・診療放射線技師・看護師がチームとなって 医師が嚥下評価を行いながら検査を進める。 診療放射線技師がどのように VF に関わっているのか、また、円滑に検査が 行えるようにどのような取り組みをしているのかを紹介する。 【業務内容】 現在は島津メディカル社製 safire と、東芝メディカル社製 ultimax の2台体 制で VF を行っている。ultimax が導入される前は safire のみで VF を行って いたが、2015年1月以降、ultimax による VF も行うようになった。 嚥下時の撮影は透視録画モードで行われている。 VF 時の診療放射線技師の主な業務は、患者が座っている椅子の角度調整やポ ジショニングを行っている。 また、最適な透視モードに調整・変更し、常に検査中も患者の近くにいる言 語聴覚士の被ばく低減のために遮蔽板を設置している。 また、診療放射線技師も NST 委員会(NST:Nutrition Support Team 栄養サ ポートチーム)に関わっている。 【結果】 診療放射線技師も NST 委員会に関わることで、診療放射線技師視点のアドバ イスをしたり、他職種との VF に関する情報の共有が可能になった。 その結果、VF 検査時にも多職種間の積極的な、コミュニケーションによる患者 の状態把握が可能になった。 13.心房細動アブレーションにおける患者被ばく線量低減 山形大学医学部附属病院 放射線部 ○信夫 章宏 石井 英夫 保吉 和貴 原田 望 千葉 裕太 山田 金市 岡田 明男 【背景・目的】 心房細動(AF)の不整脈に対するアブレーション治療は、原因箇所の検索や治 療に長い時間を要し、一般的に透視時間が長くなり、患者被ばく線量が高くな る傾向にある。我々は 2012 年 JRC 総会にて、ノイズ低減フィルタを効果的 に使用し、フットスイッチで透視収集を行い、肺静脈隔離術(PVI)患者の被ば く線量を約 50%低減できた事を報告した。その後手技も発展し、自律神経節 (GP)Ablation や持続性 AF に対する不整脈基質(CFAE)を標的とした Ablation が追加されるようになった。また 3D マッピングが登場し、CT 画像とマージし 手技が正確かつ短時間で行えるようになった。 我々は、透視時間や被ばく線量を電子カルテ上に記録し、術者に対し被ばく 線量低減の啓蒙としてきた。現装置設置時からこれまでの心房細動の不整脈に 対するアブレーションにおける患者被ばく線量の推移を調査し、低減の推移を 報告する。 【方法】 現装置に更新となった 2010 年 11 月から現在までの心房細動の不整脈に対 するアブレーション約 300 例を調査対象とした。当初、焼灼部位の位置確認は DA にて撮影していたが透視収集が主体となった。その後追加された GP Ablation や CFAE Ablation、また 3D マッピングを使用した時の、透視時間、 被ばく線量の変化を調査する。 【結果】 2010 年当初、焼灼部位を DA で撮影した時は、透視時間 80 分、被ばく線 量は 1600mGy 程であったが、透視収集を始めてから、透視時間 75 分、被ば く線量 760mGy と被ばく線量はおよそ半分となった。2013 年頃、3D マッ ピング使用により、被ばく線量は約 500mGy まで減少した。 2014 年、GP Ablation や CFAE Ablation が追加され、透視時間 85 分、 被ばく線量 740mGy と上昇したが、その後 Carto3 が登場し造影無しとなり、 収集画像の減少により、現在 29 分、290mGy まで低減している。これは、装 置や技術の発展の他に、術者の手技に対する習熟度が高まりと被ばく線量低減 に対する意識が強くなった事が大きいと考える。 14.当院における TAVI の現状と診療放射線技師の役割について 日本海総合病院 放射線部 〇齋藤 享平 川村 司 手塚 宣成 難波 ひろみ 【はじめに】 当院では TAVI(経カテーテル大動脈弁植え込み術)に向けて 2013 年 5 月に ハートチームを立ち上げ、同年 8 月にハイブリッド手術室が稼働した。その後 2015 年 2 月に TAVI 施設認定を取得し、同年 3 月に第 1 例目の TF(鼠経部 アプローチ)-TAVI を行っている。現在まで 10 数例を経験し、当院における TAVI の現状、診療放射線技師の役割、今後の課題などについて報告する。 【導入・使用機器】 血管撮影装置:フィリップス AlluraXperFD20 OR Table(Clarity) 寝台:マッケ MAGNUS インジェクター:シーマン ゾーンマスターZ モデル ワークステーション:アミン ZIOstation2.0 PHILIPS Xtravision CT 装置:東芝 AquilionONE 【診療放射線技師の役割】 (術前) TAVI 用プロトコルで、心臓・大動脈 CT 撮影を行う。 ・ CT 撮影データを基に TAVI 用の CT 計測を ZIOstation にて行う。 ・ 循環器内科医・心臓血管外科医・診療放射線技師とで計測データ確認を行う。 ・ デバイスメーカへ提出するためのスクリーニングデータの作成を行う。 (術中) ・ C アーム・寝台・透視・撮影・インジェクターのレート設定などの操作を行 う。 【問題点・課題】 ・ TAVI 用 CT 計測データ作成に時間がかかり、今後は時間短縮に向けて検討 が必要。 ・ ・ ・ 現状 3 名の担当者をより複数で行うために、担当者の育成が必要。 術中で有用と思われる術前・術中3D-CTA による 3D ロードマップ (Overlay)の使用。 詳細については当日会場にて報告する。 15.MIBG 心/縦隔・比における体重の影響 山形県立新庄病院 放射線部 山形大学医学部附属病院 放射線部 ○小野 宗一 大場 誠 【背景】 心交感神経トレーサーである MIBG は体積により希釈されるため、体格によ り心筋と縦隔の集積に影響を受けると考えられる。したがって体格が心/縦隔・ 比 H/M に影響を与えると推測される。そこで、体重による MIBG の心筋集積、 縦隔集積、H/M への影響を検討した。 【対象】 MIBG 心筋集積が正常値とされる H/M≧2.0 の症例 53 例 【方法】 MIBG 投与 15 分後(初期像)と 4 時間後(後期像)に Planar 像を撮像し、 H/M を算出した。今回は初期像のみによる検討を行った。 【検討内容】 1.体重と MIBG 心筋集積の関係 2.体重と MIBG 上縦隔集積の関係 3.体重と H/M の関係 4.体重 60kg 未満の症例群と 60kg 以上の症例群間における H/M の比較 【結果】 1.体重と MIBG 心筋集積の間に負の高度有意相関(r=0.72)を認めた。2.体 重と MIBG 上縦隔集積の間に負の高度有意相関(r=0.76)を認めた。3.体重と H/M の間に負の軽度有意相関(r=0.34)を認めた。4. 体重 60kg 以上の症例 群は 60kg 未満の症例群に対し H/M の有意な低下を認めた(p<0.05)。 【考察】 投与された MIBG は体積により希釈されるため、交感神経障害と無関係に体 重の重い人ほど心筋および上縦隔集積は低下する。体重の影響は縦隔よりも心 筋の方が強い。したがって、体重と H/M の間には軽度ではあるが負の有意相関 関係にある。とくに、体重 60kg 以上の症例群ではわずかではあるが 60kg 未 満の症例群に対し有意な低値を認めている。DLB 早期のように H/M の低下が 軽度である場合、体重による低下も視野に入れながら経過を観察するべきと考 えられる。 【結語】 体重は MIBG 心/縦隔・比に影響を与える因子になる。 16.99mTc 心筋 SPECT における180度収集と360度収集の比較・検討 公立置賜総合病院 放射線部 ○石川 絢奈 秋保 正和 木村 明菜 今野 祐治 土屋 一成 【背景】 当院では、SPECT 装置を更新するにあたり、検査時間の短縮と検査枠の拡大 のため従来の 360 度収集から 180 度収集に変更するため比較・検討を行った。 【目的】 99m Tc 心筋 SPECT における 180 度収集と 360 度収集について、比較・検 討を行った。 また、CT による吸収補正により画像がどの程度改善されるか確認した。 心臓の下壁部分に高集積があった場合にそれぞれの収集条件において下壁に どのような影響があるかも検討した。 【使用機器】 ガンマカメラ:Discovery NM/CT 670(GE 製) 心臓・肝臓ファントム:RH-2 型(京都科学社) 解析装置:Xeleris Ver.3.1(GE 製) 【方法】 99m Tc 製剤を心臓・肝臓ファントムの心臓部分に均一になるように注入し、 180 度および 360 度収集を行った。また 3 ヶ所の欠損部位を作り、同様に収 集した。それぞれ CT による吸収補正(CTAC)を行い、検査に関わる放射線 技師 4 名で視覚的に評価した。 心臓の下壁部分に高集積からの影響については、心臓と肝臓の RI 濃度を 1:4 となるように 99mTc 製剤を注入して同様に比較・評価を行った。 【収集条件】 データー収集:180 度収集‐60view/3deg 360 度収集‐120view/3deg 収集時間:1view あたり 20sec 収集マトリックス:64×64 コリメータ:LEHR 【結果】 一般的に 180 度収集は 360 度収集と比較して歪みが生じることが言われて いるが、CTAC などの補正により改善され、360 度収集とほぼ同等の画像が得 られた。 詳細については当日報告する。 17.脳ドパミントランスポーターSPECT における BG カウント補正に関する SBR 値の検討 山形大学医学部附属病院 放射線部 ○大場 誠 岡田 明男 山形県立新庄病院 放射線部 小野 宗一 【背景】 脳ドパミントランスポーターSPECT(以下、DAT-SPECT)において当院では、 解析ソフト DaTView を用いて定量指標 Specific Binding Ratio(以下、SBR) を算出している。全脳カウントから線条体カウントを除いた BG カウントと線 条体カウントより SBR 値を算出するが、その BG カウントが患者の体重と間で 中等度の負の有意相関も示すことが認められた。従って、体重が重いほど SBR 値が過大評価される可能性があるため、BG カウントを体重で補正した SBR 値 を算出する必要がある。 【目的】 体重で補正した BG カウントを用いて体重依存の影響が少ない SBR 値を算出 する。 【対象】 2014 年 3 月から DAT-SPECT を施行した患者 130 例。 【方法】 1. 体重と線条体集積量が負の相関を示せば BG カウントを補正する必要が無く なるため、DAT-SPECT において正常と判断された症例での体重と線条体 集積量、体重と SBR 値との関係を確認する。 2. 体重と BG カウントの関係より算出した回帰式を BG カウントに乗じ、補正 した BG カウントを求め、補正後の SBR 値を算出する。 【結果】 1. 体重と線条体集積量の関係は相関を認めず、体重と SBR 値は正の有意相関 を認めた。 2. 体重と補正前後の BG カウントの相関は補正前 r=0.671 から補正後 r=0.401 へ依存度を低下することができた。体重と補正後の BG カウントよ り算出した SBR に関しては補正前 r=0.407 から補正後 r=0.311 へ依存度 を低下することができた。 【結語】 体重依存の影響を少なくした SBR 値を算出することで、SBR 値が正常か異 常かの境界領域の症例に関しては診断精度向上が期待できる。 18.当院の特色と放射線業務内容について 清永会矢吹病院 放射線科 ○伊藤 貴之 長岡 智子 菊地 美紀 丹 義雄 【はじめに】 当院は本院及び2つのクリニックと 1 つのデイサービス施設を併せ持つ透析 患者数 500 超の、東日本大震災の際には県外からの透析患者さんを県内で最も 多く受け入れた腎不全治療特化の病院となっている。 【目的】 今回、放射線業務内容についても紹介し当院の特殊性について触れる。 【対象及び方法】 ①各施設の透析患者数と内訳、役割。②施設透析療法の区分。③診療科とスタ ッフの配置。④放射線業務とその動態 ⑤シャント PTA 造影検査、放射線技師 担当エコー検査それぞれの年間件数の区分算出。 【結果】 ①当院全体の透析患者数は血液透析(HD)504 人(本院 238 CL-A137 CL-B129)、腹膜透析(PD)29 人,在宅透析(HHD)8人の計 533 人。平均年齢 67.4 歳、男女比 2:1、平均透析年数は 8.3 年であった。またデイ施設は透析 患者さんのみならず一般近隣住民の方々の利用も可能で、憩いの場ともなって いる。②HD は週3回の来院となり、1 回の透析は 4~5 時間、2 施設では夜間 透析も行っている。③特にバスキュラーアクセス(vascular access)科の存 在がありシャントの作成、修復(PTA)など透析血管の確保を目的とし県内外か ら来院している。スタッフは特に臨床工学技士が全体で 30 人と多く放射線技 師は 1 施設のみ。④特徴的な業務としては、3 施設の透析患者さんの定期的な 胸部・関節骨撮影、骨密度測定のフォロー検査、及び健診業務等を全て本院 4 人の技師で出張し網羅している。⑤PTA 造影検査及び 3 施設のエコー件数は 1 年間でそれぞれ 588 件と 858 件であった。エコーの部位別件数は(頸部+心臓 ),(腹部)が多くそれぞれ全体の約 40 と 50%であった。なおエコー検査所見の レポートも放射線技師が行っている。 【まとめ】 当院の特色と業務内容を述べた。 19.山形県内のポータブル撮影安全対策について 鶴岡市立荘内病院 放射線画像センター ○伊藤 昭俊 一般社団法人 山形県放射線技師会 管理部会 【はじめに】 ポータブル撮影は、在宅医療・災害医療などの多様化に伴い、その適応を拡 大して多くの医療機関でルーチン検査の一つとなっている。また急性期、慢性 期を問わず、救急部門・手術部門を含めて普及している重要な検査である。 平成27年 2月に開催された日本放射線公衆安全学会、第20回講習会『ポー タブルならびに外科用イメージの利用における放射線安全管理』において、関 東の病院でポータブル撮影の安全運用マニュアルが有効に活用されているとい う情報をもとに、当院でもポータブル安全運用マニュアルを作成した。 【目的】 ポータブル撮影に関するアンケート調査を行い、今後の放射線安全管理に結 び付けていきたい。 【アンケート調査】 ポータブル撮影装置を有する27施設にアンケート調査依頼、2015年6月末 までの期限で回答を得た。 【結果】 27施設にアンケート調査依頼、23施設より回答を得た。 ポータブル撮影マニュアルの状況 『ポータブル撮影の事故防止マニュアル』の有無について ある 7施設 ない 16施設 『ポータブル撮影における基本安全マニュアル』の有無について ある 8施設 ない 15施設 両者がある、4分の1程度の6施設、どちらもない、およそ6割の14施設であ った。 【まとめ】 施設間での同室患者や付き添い者・看護師など医療スタッフに対する退出指 示について、および放射線防護方法等についてのアンケート結果を示した。 現在の医療機関におけるポータブル撮影は、安全管理に関する指針が明確にな っていない。 そこで看護師および医療スタッフに対する退出指示など撮影時の放射線防護 に関する基準や、患者や付き添い者、同室者に対する退出指示などに関する基 準といった、 『ポータブル撮影の安全管理に関する院内マニュアル』が必要であ ると考える。 20.一般的なストレッチャーで行ったバイオプシーの使用経験 および効果の検討 篠田総合病院 ○小林 潤子 柴田 知恵子 髙梨 世 【背景】 当院では、かねてより座位によるバイオプシー検査を行ってきた。しかしこ の度、CC 方向ではターゲットを合わせることができない可能性がある事例に出 会った。側面方向からのアプローチが最善と考えたが当院では、専用ストレッ チャーを設置していないため、一般的なストレッチャーを使用することになっ た。 【目的】 一般的なストレッチャーで行うため、患者の苦痛が無いように工夫する。 側臥位で行うことにより乳房(ターゲット)のズレが軽減できるか確認する。 【使用装置】 シーメンス社製 MAMMOMAT Inspiration バイオプシーユニット ストレッチャー 【方法】 ①バイオプシー検査を側臥位で行う ②側臥位による効果を過去に座位で行った検査と比較する 【結果】 当日報告する 【考察】 今回初めて側臥位にて行ったが、座位と比べてアームが患者の頭部付近で移 動しないため、まったく上体が動かない。しかしターゲットのズレは、乳房が 圧迫板で固定されている程度(ターゲット位置や乳房の大きさ)に左右され、座位 か側臥位での違いは無かった。ただ、側臥位では患者にとって耳元で X 線管の 音やピアッシングの音が間近で聞こえないので恐怖心が少ない。専用のストレ ッチャーの使用経験がないので比較はできないが、ポジショニング位置の微調 整が難しく、技師 1 人では操作が難しかった。しかし、反対側の胸や腕に気を 付ければ一般的なストレッチャーでも無理なく進められることが分かった。 21.膝関節軸位撮影法における X 線入射角決定の定量化における考察 山形県立河北病院 放射線部○山口 隆博 吉田 直人 菅井 敬一 【背景】 膝関節軸位撮影法(以下、パテラ撮影)における X 線の入射角は、膝関節を指 定の角度に屈曲し、その状態の膝蓋骨上面に三角定規(マーカー)等を設置し、 受像面にあたる CR 等に照射ランプの光を投影し、その写りこむ三角定規(マ ーカー)の影の形により、入射角を決めるのが一般的である。 しかし、定規の置き方、つまり角度により、本来の入射角度を知ることができ ず、診断に値しない撮影になってしまうことがある。 【目的】 角度計による、脛骨前面における角度測定により、入射角度を決定して、良 好なパテラ撮影ができるようになったことを報告する。 【使用機材】 一般撮影装置 RADIOTEX safire(島津製作所) CR システム CR DirectView CR975 (KODAK) ビューワー EV Confirm (PSP) 【評価方法】 撮影した写真を、膝蓋骨ズレなし、ズレ1~5mm以下、5 ミリ以上、間隙 なしの4つの結果に分け、評価した。 【結果】 膝関節正面撮影で OA などが認められない患者については、良好な撮影結果 が得られた。 撮影時間の短縮につながった。 【考察】 変形性膝関節症についても同じような撮影結果が得られるよう、見地を積み 重ねていきたい。 22.冠動脈疾患における SPECT/CTA 3D Fusion 画像の臨床的有用性 日本メジフィジックス株式会社 画像情報センター ○柳沢 正道 冠動脈 CTA は、陰性的中率が高く、冠動脈狭窄の非侵襲的検査法として急速 に普及している。また、予後からみた再灌流療法の適応判定には、虚血重症度 がエビデンスとして示されており、冠動脈インターベンションのトレンドとし て虚血の判定が必須となりつつある。非侵襲的に心筋全体の虚血を判定できる 手段として、心筋血流 SPECT が注目されているが、空間分解能の悪さから虚 血の範囲の解剖学的な同定が困難となる症例もある。特に多枝病変の場合には 責任冠動脈を正しく判定することが治療戦略上重要となるが、これまでは、解 剖学的位置(狭窄部位)情報と機能(虚血範囲)情報を Side by side で観察す ることが一般的であった。 近年、画像解析ソフトウェアの進歩により、精度の高い位置合わせや三次元 表示が可能となり、冠動脈疾患においても SPECT/CTA 3D Fusion 画像が比 較的容易に作成できるようになった。SPECT/CTA 3D Fusion 画像の利用に より、診断精度が向上する、という報告もみられるようになるとともに、患者 からみても視覚的にわかりやすく、説明を受け入れやすい、というメリットも 期待できる。 「AZE VirtualPlace 隼 心臓解析パッケージ」に搭載される「Heart Risk View-S」は、99mTc-tetrofosmin による国内大規模臨床研究 J-ACCESS の データに基づいた 3 年以内の心事故発生確率計算を算出できるソフトウェアで あるが、今回、SPECT/CTA 3D Fusion 機能が追加され、心事故発生リスク との同時表示が可能となり、診断や患者説明における有用性の向上が期待でき るようになったので報告する。 23.オクトレオスキャン静注用セットに関しておよび撮像に関して 富士フイルム RI ファーマ株式会社 カスタマーサポート部 ○石川 寧 神経内分泌腫瘍(Neuroendocrine tumor: NET)とは、神経内分泌細胞 からできる腫瘍である。NET とは一般的には進行が遅く、予後は良好といわれ ていたためカルチノイドと呼ばれていたが、基本的には悪性化(転移)するこ とが多いため、近年では「NET」という単語が用いられるようになった。 膵臓、消化管(胃、十二指腸、小腸、虫垂、大腸)、肺など全身のさまざま な臓器にできる。神経内分泌腫瘍は①機能性 NET→症状のある腫瘍と非機能性 NET に大別される。例えば本邦において人口 10 万人あたり、膵 NET は 2.7 人、消化管 NET は 6.4 人と言われている。(ちなみに乳癌や前立腺癌は 50~ 60 人/人口 10 万人程度) オクトレオスキャンはソマトスタチンのアナログであり、神経内分泌腫瘍に 発 現 し て い る 。 ソ マ ト ス タ チ ン レ セ プ タ ー ( SSTR1,2,3,4,5 ) の う ち 、 SSTR2,3,5 に高い親和性(特に SSTR2)を示す。 オクトレオスキャンによるシンチグラフィは①全身撮像、遠隔転移の検索が 可能②ソマトスタチン受容体の発現状況の把握→NET の診断、治療に有益な情 報を与えると言われている。 使用方法は1)注射用ペンテトレオチドバイアル(凍結乾燥品)2)塩化イン ジウム(111In)注射液バイアル(122MBq、1.1mL)を院内で塩化インジ ウム(111In)注射液を無菌的に注射用ペンテトレオチドのバイアルに入れ、 十分に混合し 30 分間放置する。 また、投与後 4 時間または 24 時間、必要に応じて 48 時間後シンチグラム を得る。オクトレオスキャンによるシンチグラフィ投与後4時間、24時間と もに全身像、及びスポット像及び SPECT 像を撮像する。これらについてもガ イドラインを踏まえ紹介する。 24.新型検出器と旧型検出器の性能比較 東芝メディカルシステムズ株式会社 ○大橋 侑真 宮澤 大輔 【背景・目的】 2015 年 4 月より当社 CT 装置に新型検出器(PURE ViSION Detector) が搭載された。 信号検出能 40 %向上や電気ノイズ 28 %低減を可能とする検 出器であるが、これまでに同一のソフトウェアを搭載した CT 装置における新 型検出器と旧型検出器の性能比較を行った報告はない。そこで今回、新型検出 器と旧型検出器の性能比較を行ったので報告する。 【方法】 新型検出器と旧型検出器を搭載した当社 CT 装置(Aquilion ONE、ソフトウ ェア:V7)をそれぞれ用い、装置の基本性能として MTF(Modulation Transfer Function )、 Noise SD ( Standard Deviation) 、 NPS ( Noise Power Spectrum)、被曝線量を測定した。 MTF はアクリル製円柱ファントムを用い た Radial Edge 法とワイヤー法にて測定を行った。 Noise SD は水ファントム を撮影し、得られた画像の中央と上下左右の 5 箇所に関心領域を置き、SD 値 を算出した。NPS は水ファントムを用い、Radial Frequency 法にて測定を行 った。また被ばく線量に関しては、同一ファントムにおいて管電流自動変調機 構を同一設定とした際のコンソール上に表示される被曝線量を参考値とした。 各解析には CT measure ver.096a(日本 CT 技術学会)を使用した。本実験 では検出器に関する性能評価を行うため、他の影響因子を可能な限り排除し、 それぞれ同一条件での撮影を行った。 【結果】 各解析結果より、MTF に関して新型検出器と旧型検出器で同様の傾向を示し、 両者の差は認められなかった。Noise SD の結果に関しては、本実験の撮影条件 においては旧型検出器に比べ、新型検出器では 2~5 %低値を示した。NPS に 関しては新型検出器と旧型検出器でほぼ同様の傾向を示し、値についても両者 で大きな差は認めなかった。被曝線量に関しては最大で約 14 %の低減が認め られた。 【結論】 本実験の結果から、新型検出器は従来の画質を担保しながら被曝低減を可能 とする検出器であることが示唆された。 25.当院における CT プロトコルの CTDIvol、DLP と 診断参考レベル(DRLs 2015)との比較 公立置賜総合病院 放射線部 ○松野 剛 石山 宏二 土屋 一成 【目的】 近年、CT 検査のみならずあらゆる放射線を使用した検査において、医療で受 ける放射線被ばくによる影響への不安が広がってきている。これを請けて、 2015 年 6 月 7 日に国内実態調査結果に基づく診断参考レベル(DRLs 2015 以下 DRLs)が設定された。そこで、当院で使用している CT プロトコルにおけ る CTDIvol と DLP に関して、DRLs との比較・検討を行った。 【方法】 使 用 機 器 は 、 東 芝 社 製 Aquilion ONE 、 SIEMENS 社 製 SOMATOM sensation 64、アクロバイオ社製水ファントムと線量計を用いた。各装置で検 査を行った症例から、撮影部位毎に標準体格(体重 50~60kg)の範囲内から無 作為に 10 症例を選出し、装置に表示されている CTDIvol と DLP の平均を算出、 DRLs との比較・検討を行った。また、装置に表示されている CTDIvol の正当性 を確かめるため、水ファントムによる線量測定を行い、測定結果との比較・検 討を行った。 【結果】 選出した 10 症例の平均の CTDIvol と DLP においては、ほぼ全ての撮影部位 で東芝、SIEMENS ともに DRLs と同等または少し下回る結果となった。特に、 頭部単純ルーチンでは大きく下回る結果となった。また、線量測定においては、 装置に表示されている CTDIvol、DLP とほぼ変わらず良好な結果となった。 【結語・考察】 DRLs との比較において頭部単純ルーチンで大きく下回った理由として、検 査目的が主に出血の有無や脳梗塞フォローアップのため、それに応じた撮影条 件の設定がなされているからであると考えられる。また、線量測定を行ったこ とにより、装置に表示されている CTDIvol、DLP の正当性を確認でき、今後の 検討に使用できると考えられる。今回の比較・検討により、さらなる被ばく低 減を目指し、今後は画質の担保についても検討していく必要があると考えられ る。 26.HyperViewer(裸眼3D モニター)使用による 肺動静脈 CT の変遷について 鶴岡市立荘内病院 ○落合 一美 【背景・目的】 平成 27 年 3 月、CT 装置の更新に伴い東芝社製 HyperViewer(裸眼3D モ ニター)が導入された。このモニターは特別な眼鏡を使用する必要がない。現 在では TAE や、とりわけ肺癌区域切除術の手術支援として使用している。 HyperViewer を使用するためには専用のワークステーション Vitrea が必要 で、そのため肺動静脈 CT の撮影方法が少し変遷している現状があるので、そ の経緯を報告する。 【方法】 HyperViewer の概要・原理 導入から 11 ヶ月間に行われた肺動静脈 CT の変遷 専用ワークステーション Vitrea の特徴 ワークステーション2種体制の注意点 などについて 【結語】 HyperViewer を使用するためには専用ワークステーション Vitrea の導入が 必須となる。肺動静脈 CT においては、現在ワークステーション Zio2と併せて 二つの解析を行っている現状がある。位置ずれなどデータの整合性を担保する ため、以前は TDC による2相撮影を行っていたところを現在は1相撮影として いる。どちらのワークステーションにも利点がある。 HyperViewer は呼吸器外科医より、直感的にわかりやすくて良いと高い評価 を得ている。 また他科での使用ももう少し進めてゆきたい。 27.TAVI 術前 CT に使用する造影剤量の検討 日本海総合病院 放射線部 ○中川 実加子 【背景】 当院では、2015 年 2 月に TAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)施設認定 を取得した。2013 年 11 月から 2015 年 2 月まで TAVI 術前 CT による冠 動脈・大動脈の撮影を 30 数件行っている。最初の 10 件は施設認定を取得す るために造影剤量を体重に関係なく 100ml 使用して撮影を行っており、造影剤 量が多い傾向にあった。TAVI を行う患者は高齢な方が多いため、体重によって 造影剤量を従来より減量する撮影を考慮してみた。 【目的】 造影剤量の減量がどの程度可能であるのか time-density curve(以下、TDC) を用いて検討する。 【使用機器】 CT 装置:Aquilion ONE(TOSHIBA) インジェクター:Dual Shot GX(根元杏林堂) 【撮影法】 TAVI 術前 CT では最初に心電図同期で冠動脈を撮影した後、大動脈を非心電 図同期で撮影する。撮影法は冠動脈をコンベンショナルで基本 1 ボリューム 0.35 秒で撮影し、8 秒後に頸部~鼠径部までを 160 列ヘリカルで撮影する。 造影剤はイオパミロン 370/100ml を全量使用し、その後生理食塩水 50ml を全量後押しする。注入レートは体重で可変とし体重×0.7 で算出する。 【方法】 TDC より、至適造影剤量を考察する。 【結果】 詳細については当日報告する。 28.大腸 CT における緩下剤の服用時間変更による残渣の改善について 山形県立河北病院 放射線部 ○結城 歩 吉田 直人 菅井 敬一 山形県立中央病院 中央放射線部 今野 雅彦 森田 健一 【目的】 下剤の使用方法の一つである高張法は、下剤量が少ないため患者の負担が少 なく、受容性を高める特長がある。一方、残渣が残りやすい欠点も持ち合わせ ている。排便良好な患者において、極度の残便が発生したため、前処置の再検 討を行った。 【方法】 症例数:137 名(変更前 61 名、変更後 76 名) 期間:2013/1~2014/3 <前処置> マグコロール P50g(下剤:高張法)合計 200ml ガストログラフィン 20ml×2 回 センノシド(緩下剤)2錠 FG-two(検査食) <変更内容> 緩下剤の服用時間:夜9時→昼3時 <評価方法> 大腸を6セグメント(盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S 状結腸、直 腸)に分割して残渣の程度を 3 段階にて評価した。 評価者 :放射線科医師1名、放射線技師3名で、各セグメントと総合 平均にて行った。 有意差検定 :Mann-Whitney 検定にて評価した。 【結果】 大腸全体 変更前 平均 2.37±0.46、変更後 平均 2.71±0.31、有意差 あり(P<0.001) 【考察】 ・緩下剤の昼3時での服用変更は、有意差を持って残渣の改善が認められた。 ・各セグメントにおいては、盲腸と横行結腸以外で有意差を持って残渣が改善 した。 ・緩下剤の種類や服用時間が最良かどうかは疑問であるが、比較的良い前処置 法であると考える。 【結論】 緩下剤の服用時間を夜9時から昼3時に変更することにより、有意差を持っ て残渣が改善した。 29.下肢動脈造影 CT に対してテストインジェクション法と ボーラストラッキング法を併用した撮影タイミング設定の有用性について 山形県立中央病院 中央放射線部○今野 雅彦 森田 健一 山形県立河北病院 放射線部 吉田 直人 結城 歩 菅井 敬一 【目的】 閉塞性動脈硬化症に対する下肢動脈造影 CT では、造影剤の流速に個人差が 大きいため撮影タイミングが難しい。これに対して、下肢動脈血流予測撮影法 (version 2)が報告された。この報告は、GE 社製の CT 装置を用いて研究さ れているが、東芝社製 CT においても実現可能か検証を行った。 【参考文献】 小林史典 下肢動脈血流予測撮影法(version 2)~1回のテスト撮影で2領 域の情報を得る~日本放射線技師会雑誌 2011 【方法】 <使用機器> CT 装置 Aqilion One(東芝メディカルシステムズ) 造影剤注入器:Dual Shot GX7(根本杏林堂) 造影剤:イオパミロン 370 100ml シリンジ(バイエル) <手順> 1. テストインジェクション撮影(ボーラストラッキング法を併用) 注入条 件:CM 3.0ml/s 15ml+生食 25ml 2. 画像解析(撮影開始時間と撮影時間の決定) 3. 本スキャン 注入条件:CM 3.0ml/s 80ml+生食 20ml 【結果】 症例:1 例(91 歳男性) <テストインジェクション>腹部の造影剤到達時間:20.3 秒、下肢の造影剤到 達時間:38.2 秒、造影剤通過時間:17.9 秒 <本スキャン設定>撮影開始時間設定:40 秒、撮影時間設定:22.1 秒 <造影濃度>撮影開始位置:434HU、撮影終了位置:373HU 【考察】 あらかじめ通過時間を確認できるため、撮影失敗という不安を感じない。 【結論】 下肢動脈造影 CT におけるテストインジェクション法とボーラストラッキン グ法を併用した撮影タイミング設定は、東芝社製 CT においても正確で安定し た造影濃度の画像を提供できる。 30.子宮 MRI 検査における 3D FIESTA の基礎的検討 公立置賜総合病院 放射線部 ○芳賀 智行 土屋 一成 【背景】 骨盤部領域の MRI 検査において、T2 強調コントラストにおける撮像は、診 断に非常に有用であり、悪性腫瘍の場合、進展範囲などの決定に大きく寄与す る。 【はじめに】 子宮頸がん撮像時には、子宮頸部に対して垂直のスライス断面が有用であり、 正確な診断のために 3D 撮像が求められる。 【目的】 子宮の内膜・Junctional zone・筋層を模したファントムを作成し、これを 用いて 3D T2Cube、3D FIESTA の比較・検討を行う。 【方法】 3D T2Cube、3D FIESTA の撮像条件を変えて、それぞれの組織間コント ラスト及び SNR の測定を行う。 【結果】 SNR は 3D T2Cube がよかったが、組織間コントラストでは 3D FIESTA と同等の結果となった。 【まとめ】 FOV を小さくして撮像する際には、3D T2Cube に比べ 3D FIESTA の方 が時間を短くできた。しかし、3D FIESTA 特有のバウンディング・アーチフ ァクトが目立つため、撮像に用いる際には、アーチファクトに注意が必要であ る。 31.3.0Tesla 用 Microscopy Coil の基礎的検討 山形県立中央病院 中央放射線部 ○伊藤 真理 荒木 隆博 大西 信博 永沢 賢司 小野 勝治 市立函館病院 狩野 麻名美 【目的】 3.0Tesla 用の Microscopy coil(以下 Micro coil)が導入され、小 FOV にお ける高空間分解能撮像への対応が可能となった。今回、手関節部三角線維軟骨 複合体(以下 TFCC)高分解能撮像を対象とした撮像条件での磁場均一性と空間 分解能の検討を行った。 【使用機器】 ・Philips 社製 Ingenia3.0T ・ds Microscopy coil・ds Flex S coil・ds Extremety coil ・ボトルファントム ・自作空間分解能ファントム(くしをゼラチンで固めた容器 に固定) 【方法】 1. 感度補正による磁場均一性の比較 Micro coil を使用してボトルファントムを撮像する。CLEAR と Synergy の 二種類の感度補正を用いて後処理を行い、プロファイルカーブを作成し、最 適感度補正を検討する。 2.コイルの相違による空間分解能の比較 三種類のコイルを使用して自作空間分解能ファントムを撮像する。 プロファイルカーブを作成し、コイル毎の空間分解能を比較する。 3.TFCC のボランティア撮像を行い、視覚評価を行う。 【撮像条件】TFCC 精査の臨床で使用する T2*の条件 FOV:60mm/Slice 厚:1.5mm/TR:400msec/TE:shortestFA:30/NSA:2 Matrix:256×256/撮像時間:3’26 【結果】 1.磁場均一性の検討では、同等の深さで CLEAR が良好であった。 2.空間分解能の検討では、プロファイルカーブにおける半値幅は、Micro coil が、ファントムの実寸値に最も近似した値を示した。 3.ボランティア撮像の臨床画像においては、Micro coil は TFCC の微細線維の 描出が良好であった。 【結語】 Micro coil は従来の Flex coil や Extremety coil に比べ、より高分解能画像 の取得が可能であった。臨床では TFCC など局所診断に役立つと思われる。今 後、さらに臨床応用への検討が必要である。 32.表面コイルとテーブル埋め込み型コイルを組み合わせた 撮像における基礎的検討 山形県立中央病院 中央放射線部 ○荒木 隆博 伊藤 真理 永沢 賢司 小野 勝治 狩野 麻名美 大西 信博 市立函館病院 【目的】 第 5 回東北放射線医療技術学術大会にて、表面コイルとテーブル埋め込み型 コイルの組み合わせ型コイルを組み合わせた撮像の有用性を報告した。しかし、 上肢撮像を想定した場合、3.0Tesla 特有の磁場不均一による感度不均一の発生 が問題になる。今回は、その感度不均一を最小限とする上肢撮像条件の検討を 行った。 【使用機器】 ・Philips 社製 Ingenia3.0T ・ds Flex コイル(L)×2 ・ds Posterior コイ ル ・上肢想定自作ファントム(直径 9cm・長さ 76cm の塩ビ管・200 倍の希釈造影 剤を充填) 【方法】 ① 実際の上肢撮像ロケーションを想定して、体幹部の横に上肢想定自作ファ ントムを配置し、Flex コイルと Post コイルを組み合わせてファントムを 撮像する。5 点の ROI を設定し磁場均一性の評価を行う。ファントム単独 の場合と比較を行う。 ② さらに、CLEAR と Synergy と Bodytuned の三種類の感度補正を用い て画像の後処理を行い、同様に磁場均一性の評価を行う。 ③ 検討した条件で、上肢のボランティア撮像を行い、視覚評価を行う。 【結果】 体幹部の有無で均一性に大きな差は見られなかった。またファントム単独の 時は感度補正は CLEAR が最も均一であったが、体幹部ありの時には、感度補 正に Synergy を用いることで、より均一な信号強度が得られることがわかった。 【結論】 上肢広範囲撮像における表面コイルとテーブル埋め込み型コイルを組み合わ せた撮像は、可能な範囲でガントリ中心にポジショニングを行う。さらに最適 な感度補正を用いることで磁場均一性が良好となる。より軽い表面コイルを用 いることで患者負担の少ない検査が可能である。