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-1- 2013. 9.15 説教メモ 山口道征 創世記5章1~32節 「アダムの系図」 カイン
2013. 9.15 説教メモ 山口道征 創世記5章1~32節 「アダムの系図」 ●カインの子孫はさすらいの地ノドに住み文化的な発展を求めて大いに人間力を働かせたよ うです。一方、「再び、アダムは妻を知」(4:25)り、セトが生まれ、エノシュが生まれました。そして、エノ シュの時代に、「主の御名を呼び始めたのは、この時代のことである。」(4:26)と記されており ます。そして、本日のアダムの系図には、カインとアベルについては全く触れられておりません。ア ダムの系図は一体何を指し示しているのでしょうか、御言葉に聞き入りたく存じます。 ● 1,2「神は人を創造された日、神に似せてこれを造られ、男と女に創造された。創造の日に、 彼らを祝福されて、人と名付けられた。」のです。神は「我々にかたどり、我々に似せて、人を 造ろう。」(1:26)と言われました。そして、「主なる神は、土(アダマ)の塵で人(アダム)を形づく り、その鼻に命の息を吹き入れられた。」(2:7)のです。 ●そして、3~5「アダムは百三十歳になったとき、自分に似た、自分にかたどった男の子をもうけ た。アダムはその子をセトと名付けた。アダムは、セトが生まれた後八百年生きて、息子や娘をもう けた。アダムは九百三十年生き、そして死んだ。」と、同様な定型的表現で系図が続いておりま す。息子セトが、「自分(アダム)に似た、自分(アダム)にかたどった男の子」と表現されていますの は、アダムが神に似せて造られたのと同様で、この系図こそが神の系図であると暗示してい るのでしょう。そしてこの系図の継承、広がりは、正に、神が人の創造を祝福して言われた、 「産めよ、増えよ、地に満ちて」(1:28)を現しているものと言えるのです。歴代誌上1:1~4に 同じ系図が名前だけ記されております。 ●この系図で、まず気づきますことは、ここに登場する人物は皆、長寿だと言うことです が、このことについて、ある注解書では次のように説明されておりました。"創造当初の人 間ほど長寿だったのは、彼らが神の創造の時に近く存在し、全人類を生み出すほど強力な 生殖力や生命力を与えられていたはずだと考えていたからであろう。"旧約聖書の続編の 一節には、「被造物は老化して、若いときの力を失っていく」(エズラ記(ラテン語)5:55)とありま す。宜なるかな、です。 ●次に気づかされることがございます。ここで系図継承者たちの死は「------は----年生 き、そして死んだ。」と記されていますが、エノクだけは、 24「エノクは神と共に歩み、神が取られた のでいなくなった。」と記されていることです。これに類する旧約聖書での記述は、ほかに、 天に上げられた、預言者エリヤ(列王記下2:1以下)の記事があるだけです。エノクについては、22,24 「神と共に歩み」と二回記されており、神に忠実であったことが、よみせられたものと考え られるのではないでしょうか。エノクについての記述はユダの手紙14,15節にもあり、その人と なりを知ることが出来ます。この、神と共に歩む、との記述はノアについても言われており、 「ノアは神に従う無垢な人であった。ノアは神と共に歩んだ。」(6:9)と記されております。 ●さて、本日の箇所の最後にノアが登場いたします。6章以下に続きます洪水物語の導入と言 えましょう。ノアの誕生は29「主の呪いを受けた大地で働く我々の手の苦労を、この子は慰めて くれるであろう」との思いから、その誕生が祝されたようです。ノアとは慰めです。「主の呪い」 -1- とは、3:17を指しています。「神はアダムに向かって言われた。「お前は女の声に従い 取って食 べるなと命じた木から食べた。お前のゆえに、土は呪われるものとなった。お前は、生涯食べ 物を得ようと苦しむ。」主はのろいの陰に慰めの子、ノアを与えられたのです。感謝すべきか な、主よ。 ●最長寿であったメトシェラは九百六十九年生きたとのことです。しかし、千年、すなわち、永遠 に生きることはなかったのです。なぜでしょうか。それは人の犯した罪の故なのです。しか しアダムの系図は連綿と続くのです。神は言われます。「産めよ、増えよ、地に満ちて地を従わ せよ。」(1:28) ●お祈りいたします。 以上 -2-