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平成21年度
政策評価書(総合評価)
担当部局:地方協力局周辺環境整備課
実施時期:21年10月~22年1月
1
事
業
名
2
政策体系
:障害防止事業(共同受信施設)
:
政策体系番号
5-1
施
策
名
基地周辺対策
施策の目的
施策の目標
防衛施設は、我が国の防衛力と日
米安保体制を支える基盤として必要
不可欠であり、その機能を十分に発
揮させるためには、その周辺地域と
の調和を図り、周辺住民の理解と協
力を得て、常に安定して使用できる
状態を維持することが必要である。
このため、自衛隊等の行為又は防
衛施設の設置・運用により生ずる障
害の防止などのため、「防衛施設周
辺の生活環境の整備等に関する法
律」などに基づき、各種施策の推進
に努めることにより、防衛施設の安
定的な運用の確保を図る。
自衛隊等の行為又は防衛施設の設
置・運用により生ずる障害を防止な
どの各種施策を推進し、防衛施設と
周辺地域との調和を図り、周辺住民
の理解と協力を得るよう努める。
備
考
3
受信アン テナ
増幅器
アンテナ支 柱
通信ケーブル
分配 器
分岐器
支柱
施策等の概要:
(1) 概要と必要性
ア 施策の概要
障害防止事業(共同受信施設)は、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律(昭和49年法
律第101号。以下「環境整備法」という。)第3条第1項の規定に基づき、自衛隊又は日本国とア
メリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和35年条約第6号)に基づき日本国にあるア
メリカ合衆国の軍隊(以下「自衛隊等」という。)の航空機の離陸、着陸、急降下若しくは低空にお
ける飛行の頻繁な実施又は通信施設からの電波の頻繁な発射により生ずるテレビジョン放送の受信障
害を防止し、又は軽減するため、地方公共団体等が共同受信施設(テレビジョン放送の受信に係る有
線電気通信を行うための共用の施設。以下同じ。)について必要な工事を行うときは、当該地方公共
団体等に対し、その費用の全部又は一部を補助するものであり、基地周辺対策の重要な施策の一つで
ある。
共同受信施設は、放送電波の受信環境が悪い場所でのテレビ受信を改善するために考えられた技術
であり、受信状態の良い場所に受信アンテナを設置し、受信した放送電波を線路施設を用い、各住宅
の端末施設へ配信するシステムである。
各施設は以下の機器等から構成される。
(ア) 受信施設(受信アンテナ、アンテナ支柱等)
(イ) 線路施設(通信ケーブル、増幅器、分配器、分岐器、支柱等)
(ウ) 端末施設(保安器等)
住宅
保安器
住宅
住宅
共同受信施設概念図
イ
受信障害の概要
アナログ放送では、受信障害の原因により様々な画面症状が生じる。受信障害の事例としては、建造物等に電波が遮蔽、反射
することにより生じる「ゴースト障害」、別の無線局等からの電波混信等により生じる「ビート障害」、電気機器(モーター、
サーモスタット等)から発生するノイズ等により生じる「パルス障害」、航空機等の移動体に電波が遮蔽、反射することにより
生じる「フラッター障害」などがある。
ゴースト障害概念図
ビート障害概念図
パルス障害概念図
自衛隊等の航空機の離着陸等の頻繁な実施により生じる「フラッター障害」は、
送信アンテナから直接届く電波(希望波)及び飛行中の航空機に反射した電波(反
射波)の経路の異なる電波を受信アンテナが同時に受信することにより生じる障害
のことであり、画像の明るさや揺れが時間と共に変動する障害のことである。この
画像症状は、蝶々がひらひらと飛ぶときのように見えることから「フラッター障害」
と呼ばれる。
また、デジタル放送では、テレビ画像の一部がモザイク状になる「ブロックノイ
ズ」や一時的に受信不能となり画面が真っ暗になる「ブラックアウト」などの受信
障害があり、いずれもテレビとしての機能を喪失させてしまう特徴がある。
送信アンテナ
反射波
希望波
受信アンテナ
ブロックノイズ
ウ
ブラックアウト
フラッター障害概念図
施策の必要性
テレビジョン放送は、現代社会において日常生活に必要不可欠なものであり、また、災害等の緊急時の情報入手手段として重
要な役割を果たすものである。
本施策は、自衛隊等の飛行場等周辺において航空機の離着陸等の頻繁な実施や通信施設からの電波の頻繁な発射により生ずる
テレビジョン放送の受信障害が、自衛隊等の行為との間に相当の因果関係があり、これをそのまま放置しておくことが公平に反
すると認められる場合、これを防止し、又は軽減するための工事について、地方公共団体等が必要な工事を行うときは、国が障
害の原因者たる立場において助成措置を講じるものである。
(2) 実現しようとする目標
自衛隊等の航空機の離着陸等の頻繁な実施等により生ずるテレビジョン放送の受信障害を防止し、又は軽減するため、地方公共
団体等が行う共同受信施設についての必要な工事に対し助成措置を講じることにより、関係住民の生活の安定及び福祉の向上に寄
与するものである。
(3) 目標を達成する手段・方法
自衛隊等の航空機の離着陸等の頻繁の実施等により生ずるテレビジョン放送の受信障害を防止し、又は軽減するため、地方公共
団体等が共同受信施設について必要な工事を行うときは、当該地方公共団体等に対し、予算の範囲内においてその費用の全部又は
一部を補助することとしている。
4
評価
(1) 施策等の効果
自衛隊等の航空機の離着陸等の頻繁な実施等によりテレビジョン放送の受信障害が生じ、地方公共団体等が、その障害を防止し、
又は軽減するため、共同受信施設について必要な工事を行うときは、当該地方公共団体等に対し、その費用の全部又は一部を補助
することにより、良好なテレビジョン放送の視聴が確保され、関係住民の生活の安定及び福祉の向上に寄与している。
このことにより、防衛施設と周辺地域との調和を図り、周辺住民の理解と協力を得て、防衛施設の安定的な運用の確保を図るこ
とにも寄与している。
なお、本施策は、基地周辺対策として、防衛施設周辺の住民が障害の防止又は軽減の効果をより直接的に享受できる施策として
効果が高いものと考えている。
(2) 効果等の検証
本施策は、昭和49年度から平成20年度までに、自衛隊等の航空機の離着陸等の頻繁な実施等により生ずるテレビジョン放送
の受信障害を防止し、又は軽減するため、14防衛施設に関係する18の補助事業者に対して補助することにより、良好なテレビ
ジョン放送の視聴が確保され、関係住民の生活の安定及び福祉の向上に寄与しているものと評価できる。
なお、本施策は、基地周辺対策として、防衛施設周辺の住民が障害の防止又は軽減の効果をより直接的に享受できる施策であり、
防衛施設に対する理解と協力を得るために効果が高いと評価できる。
(参考)直近5か年の補助実績
防衛施設名
(単位:戸・百万円)
平成16年度
整備戸数
平成17年度
金額
整備戸数
平成18年度
金額
整備戸数
平成19年度
金額
整備戸数
平成20年度
金額
整備戸数
金額
千歳飛行場
928
128
743
103
602
79
794
99
17
3
三沢飛行場
1,964
226
1,381
177
1,500
207
989
153
1,310
194
松島飛行場
189
13
211
15
-
-
-
-
-
-
入間飛行場
800
46
398
36
514
43
451
33
-
-
厚木飛行場
1,144
173
973
97
-
-
-
-
-
-
小松飛行場
-
-
実施設計
2
237
33
-
-
-
-
5,025
585
3,706
431
2,853
362
2,234
285
1,327
197
計
注:1
2
計数は、四捨五入によっているため、符合しない場合がある。
整備戸数は、新設及び更新の合算戸数。
(3) 施策等の有効性
テレビジョン放送は、現代社会において日常生活に必要不可欠なものであり、また、災害等の緊急時の情報入手手段として重要
な役割を果たすものである。
本施策を実施することにより、自衛隊等の航空機の離着陸等の頻繁な実施等により生ずるテレビジョン放送の受信障害が防止又
は軽減され、良好なテレビジョン放送の視聴を確保することにより、関係住民の生活の安定及び福祉の向上に寄与している。この
ことにより、防衛施設と周辺地域との調和を図り、周辺住民の理解と協力を得て、防衛施設の安定的な運用の確保を図ることにも
寄与している。
(4) 方策等の検討
ア 地上デジタル放送への移行について
総務省は、平成13年6月に電波法(昭和25年法律第131号)が改正され、地上テレビジョン放送について、現在のアナ
ログ放送から地上デジタル放送へ移行されることを受け、平成15年12月から東京、大阪及び名古屋の三大都市圏の一部にお
いて地上デジタル放送を開始している。以降、平成18年12月までに全国都道府県庁所在地において地上デジタル放送を開始
し、平成22年12月末までにデジタル中継局の整備完了を目標としている。なお、現在放送されているアナログ放送は平成2
3年7月24日までに放送を終了することとしている。
イ
デジタル放送への移行完了のための関係省庁連絡会議について
地上テレビジョン放送のデジタル化に伴い、関係省庁の緊密な連携を図り、デジタル放送への円滑な移行を推進することを目
的に、「デジタル放送への移行完了のための関係省庁連絡会議」が平成19年9月に内閣官房に設置され、関係省庁として当省
も参加している。
同会議においては、関係省庁が緊密に連携して、デジタル放送への移行に向けた課題の洗い出し及びそれに対する施策の検討
を進める過程で、
「地上デジタル放送への移行完了のためのアクションプラン2008」が平成20年7月に取りまとめられた。
また、移行期限まで残り2年となった平成21年には、今後さらなる地上デジタル放送への移行を促進していくため、当該ア
クションプランを見直し、「地上デジタル放送への移行完了のためのアクションプラン2009」が平成21年12月に取りま
とめられた。当該アクションプランにおいて、自衛隊等の航空機による受信障害の有無について、「防衛省は、地域住民からの
申告等も踏まえつつ受信状況について必要な調査を行い、デジタル放送の受信障害防止のために必要な措置を講じる。」として
いる。
ウ
地上デジタル放送への移行に伴う取組
当初、現在のアナログ放送において、自衛隊等の航空機の離着陸等の頻繁な実施等により生ずるテレビジョン放送の受信障害
が認められる地域であっても、地上デジタル放送へ移行すると、ほとんどの地域でかかる受信障害が解消される見通しであった
が、一部の飛行場周辺において、自衛隊等の航空機の離着陸等の頻繁な実施等による地上デジタル放送の受信障害が確認された
ことから、平成18年度から地上デジタル放送の受信障害調査を実施し、障害の状況を確認しているところである。
本土においては、自衛隊等の飛行場等周辺において、ほとんどのデジタル中継局が整備されていることから、受信障害調査に
より障害が確認された地域を対象に、地方公共団体等が地上デジタル放送に対応した共同受信施設の整備に対し助成措置を講じ
ているところである。
沖縄においては、自衛隊等の飛行場等周辺のデジタル中継局の整備が平成22年度中になることから、デジタル中継局の整備
に合わせて受信障害調査を実施し、受信障害が確認された場合には、平成23年7月のアナログ放送の終了までに、共同受信施
設が整備できるよう取り組んでいるところである。
5
今後の対応
テレビジョン放送は、現代社会において日常生活に必要不可欠なものであり、また、災害等の緊急時の情報入手手段として重要な
役割を果たすものである。
障害防止事業(共同受信施設)は、防衛施設の安定的運用を確保するための重要な基地周辺対策の一つであり、今後とも、自衛隊
等の航空機の離着陸等の頻繁な実施等によるテレビジョン放送の受信障害が認められた場合、国は障害の原因者たる立場において、
その障害を防止又は軽減し、もって関係住民の生活の安定及び福祉の向上に寄与するため、環境整備法に基づき適切に対応していく
考えである。
また、地上デジタル放送への移行に伴う対応についても、計画的に受信障害の調査を行い、障害が認められた地域においては、そ
の障害を防止又は軽減できるよう、地方公共団体等と協力しつつ、適切に対応していく考えである。
○
1
2
その他の参考情報
防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律(抜粋) ・・・・・・・・・・・・・・・別紙1
「地上デジタル放送への移行完了のためのアクションプラン2009」(抜粋)・・・・・別紙2
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