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060515(月)近附連国語部会 奈良女子大学附属中等教育学校 国語科
060515(月)近附連国語部会 奈良女子大学附属中等教育学校 国語科 吉田 隆 国語科学習指導案 □ 日時 2006 年5月 15 日(月) 第5校時 13:25~14:10(45 分) □ 指導学年クラス 5年A組 生徒数 男子 19 名 女子 20 名 計 39 名 □ 授業者 吉田 隆 □ 学習テーマ 国家と言語 □ 教材 「最後の授業」(『月曜物語』アルフォンス・ドーデ作 桜田佐訳 岩波文庫) □ 教材観 フランス語を教えるアメル先生が、プロシアの侵略によってアルザス地方がプロシア領となり、職 を追われる。その最後の授業の場面を、アルザスの一少年フランツの視点から描いた短編小説が、今 回取り上げる「最後の授業」である。 この小説は、1985 年(昭和 60 年)まで小学校の定番教材として、多くの教科書に採択されていた。 しかし、言語学者田中克彦がアルザスの言語事情を実証的に述べることによって、アメル先生の論理 とアルザスの言語事情に矛盾があると指摘した。この指摘を受ける形で一斉に「最後の授業」は教科 書から姿を消すことになる。 このような事情を知らせずに、現代の高校生がこの作品をどのように読み深めることができるか、 という観点から、今回教材として取り上げた。主人公は誰か、主題は何か、という現代文読解の鍵を 足がかりとして、小説を教材として取り上げる際の多様な読みとはどのような読みなのかを提示した い。国語の授業で、小説を取り上げる場合、何を学ぶのか(教えるのか)という問題に迫るための格 好の題材として、生徒ともに考えることができればと願っている。 □ 学習目標 (1) 作品の舞台となる状況をとらえ、登場人物の心情を的確にとらえる。 (2) 社会や国家、言語の関わりを論じた文章を読み、作品を多角的にとらえ、自分自身の感じ方 や考え方を深める。 □ 学習計画 第1時 「多文化世界」(青木保)を読んで、言語と文化のかかわりについて考えを深める。 第2時 「最後の授業」を読む。物語を一文で表現する試みとして、 「○○が・・・する話」 「○ ○が・・・になる話」を作る。*アルザスの歴史的背景についてふれる。 第3時(本時) 第4時 「ことばと国家」(田中克彦)を読み、言語と国家の問題を考える。 第5時 地域語としての方言を「国家」との関係で文章にまとめる。作品集「国家と言語」完成。 □ 本時の目標 (1)多様な読みを交流し、読みの可能性を探る。 (2)作品を多角的にとらえることで、読みの変容を理解する。 □ 本時の学習過程 分節 学習内容 指導上の留意点 ・物語を一文で表現した物語文を交流する。 ・「主語」によって板書を分ける。 1 (導入) ・様々な主語を設定することで、物 語文が多様に存在することに留意 5分 させる。 2 (展開 1) ・ 「主人公は誰が決めるのか」という問いを考える。 ・誰の視点で作品が描かれているか に留意させる。 5分 (展開 2) 「アメル先生の悲劇」 「国語への愛」 ・ 「作者」が主人公を決めると考える場合、この作 ・ 品の描かれ方に注意し、中心テーマを考える。 を中心テーマとして読む場合の描 かれ方に留意させる。 10 分 (展開 3) 「読者としての中心テーマ」とは、 ・ 「読者」が主人公を決めると考える場合、読者と ・ しての疑問や問題意識から中心テーマを考える。 各自の疑問や問題意識であること に言及する。 10 分 (展開 4) ・作品の中から各自の疑問を発表する。 ・疑問の例を提示する。 5分 3 (まとめ) ・田中克彦の問題意識を提示し、作品の多様な読 ・「アルザス」の言語事情について みについて考える。 10 分 説明する。